二つを近づける

__ 
いつか、挑戦してみたい演技はありますか?
高橋 
アングラ芝居をやってみたいです。個人的に好きなんですよ。そういうのが求められるものに出てみたいなと思ってます。無性にそういう演技がしたくなることがあります。
__ 
ハマると思いますよ。
高橋 
めちゃくちゃ叫ぶような役とか、してみたいですね。
__ 
いや、カッコいいですよ。高橋さんの熱い演技、観たことあります。劇団しようよの「CEREMONY」の完コピVerでやってましたよね。
高橋 
あれはもう、初演の夏目さんの演技を何回も見て。必死でした。
__ 
なるほど。そんな高橋さん、山城こみねっとでいつかやりたいことはありますか?
高橋 
宇治市を中心とした演劇文化は、京都市の演劇文化とは離れていると思っていて。違うシマなんですね。それがひとつになればいいとは思わないんですけど、その上で、京都の演劇の人たちをいろんな仕事で呼べたらいいな、と思っています。いろんな人が。感覚として近くなってほしいですね。
__ 
そもそも近いですからね。
高橋 
精神的な距離と言うか。それぞれの人々が、もっと行き来ができるように。

vol.506 高橋 紘介

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2017/春
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高橋

水のような・・・

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
高橋 
今年は、アラビアの夜のあとには劇団しようよさんの「あゆみ」に出ます。今年の後半は、11月と12月にエイチエムピー・シアターカンパニーさんの鶴屋南北「四谷怪談(仮)」「盟三五大切(仮)」2作連続上演の両方に出演することが決まっています。役者としては、便利な、水のような役者になりたいと思っています。どこにでもハマれるような。「アングラ芝居がやりたい」とはもしかしたら矛盾するかもしれませんが。
__ 
水とは?
高橋 
そうですね、Aという塊とBという塊の間に、ちょうど良く入り込んで隙間を満たすことができる、とか。目立たなくても、いたら絶妙にちょうど良い。そういう便利な役者、ですね。

vol.506 高橋 紘介

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高橋

一保堂茶舗のお茶

__ 
今日はですね、お話を伺えた俺にプレゼントを持って参りました。
高橋 
ありがとうございます。(開ける)お茶ですね。
__ 
もし良かったらお飲みいただければと思います。

vol.506 高橋 紘介

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高橋

二月の夜

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。BokuBorgの川本さんにお話を伺います。川本さんは最近、どんな感じでしょうか。
川本 
よろしくお願いします。最近は稽古したり、バイトしたり。今年の4月から拠点が東京になるんですけど、その準備をしたり。
__ 
そう、東京で就職するんですよね。
川本 
最終的にはいつか戻ってきたいというのはあるんですけど。
__ 
どんな所で働くんですか?
川本 
建築事務所です。地元に帰ってきたいというのも、いつか独立したいというのがあって。それは関西で、と思っていて。
__ 
東京でも頑張ってください。
川本 
はい。はは、なんだか「東京に行ってみる」、みたいなノリなんですけど。
BokuBorg
ボクボルクと読みます。 京都を拠点に活動する川本泰斗(元劇団ケッペキ)のソロユニットです。独りぼっちの豚はヒトに助けられて生きる。(公式Twitterより)

BokuBorg vol.2「幸のナナメ」

__ 
3月17日からBokuBorgの「幸のナナメ」、スタジオヴァリエですね。旗揚げ公演から3年、区切りとしての公演という形ですが、チラシの感覚からしてとても楽しみです。どんな感じの作品になりそうでしょうか。
川本 
ありがとうございます。そうですね、簡単に言うと、幸せというものに執着しすぎてバランスを崩してしまった女の人の話です。身近な女性がモデルになってるんですけど。
__ 
女性の話なんですね。女性、に興味がある?
川本 
そうですね、興味がありますね。好きなんですね、そのままの意味で。なんか、愛憎が深いような気がして。何かしらをすごく嫌いなんだけど同時にぎりぎりのところで好きだったり。
__ 
幸せにこだわっている女性の話。
川本 
いつのまにか「幸せになりたい」、にとりつかれている女性。「幸せになりたい」という言葉って面白いなと思って。漠然としてるけど、結局そういうところに向かって言ってしまう。僕自身、戒めているつもりなんですけど、気づいたらいつのまにかそれに動かされている。
__ 
ええ。悔しいですが。
川本 
例えば、「幸せな家庭」というイメージに対するこだわり。僕自身にも「男たるものデカめの車に乗って週末にはキャンプに行って一軒家を買って庭にブランコがある、そういう家庭を築くものだ」、みたいな。で、僕自身もそうなりたいと思ってるんですよね。そして僕の周りの先輩の男性たちは、そこになりたいと思ってなってるというよりは、やりたい事を自然とやっていたらそうなっていた、みたいなもんで。
__ 
3年前のBokuBorgの旗揚げ公演を拝見しているのですが、またかなりカラーが違うような気がしますね。前回は結構、アバンギャルドな雰囲気だったでしょう。それが、チラシはもちろんタイトルからして・・・そのあたりの変遷がまた楽しみですが。
川本 
そうですね。でもどうなんでしょうね、書きたい話の内容としては、家族愛とか孤独感とか、そういうものなんですよ。あの時と変わらず。違うのは味付けだけ、なんです。今回はもうちょっとホットな感じになると思いますね。味付け自体は結構、コロコロ変わるものなのかなと思います。
BokuBorg vol.2『幸のナナメ』
彼となら、私はごくごく普通の、いたって平穏な、なんでもない幸せとかいうやつを手に入れることができるだろう家族の、幸せに向かうお話。
会期:2017年3月17日(金)~2017年3月20日(月・祝)
出演者:ピンク地底人2号(ピンク地底人)、勝二繁、土肥希理子、野村眞人(劇団速度)、藤居里穂、堀内綜一郎
スタッフ:脚本・演出:川本泰斗
舞台監督:北方こだち(GEKKEN staffroom)
照明:真田貴吉
音響:アーサー
演奏:山田佳弘
イラスト:廣部萌
制作:溝端友香


自分のための場所

__ 
次の「幸のナナメ」が最後の公演になるんでしょうか・・・
川本 
まあでも、一つの節目となる行為なのかなと思います。東京でどんな生活になるのかもまだわからないですからね。でも、語弊があるかもしれないですが、やりたいからやる、というスタンスは常に持っておきたいと思います。一人のユニットなので、僕がやりたいからやりたいと思った時に、ものすごく小さい規模でやるかもしれませんし、人を集めて公演をするかもしれません。
__ 
その時機会があったら是非、拝見したいです。
川本 
ぜひぜひ。BokuBorgは僕が関わる活動全般につけている名前なので、何かでお目にかかれたら嬉しいです。別の媒体で出来てもいいかな、と、
__ 
BokuBorgの由来とは。
川本 
Boku=僕で、Borgはドイツ語で、去勢された豚です。豚が好きなんですよ。豚、可愛いじゃないですか、でも肉とか、欲とかの象徴にされているのに可愛くてポップな存在。なるべく露悪的な表現は避けたいという感覚があります。人間の欲とかのテーマも好きなので、そういう表現も織り交ぜますが。
__ 
確かに露悪的ではないですね。
川本 
当初はそう考えていました。今はどうかわからないです(笑う)。書いてない嫌な事の方がより嫌かなと。
__ 
お客さんが想像してようやく届く嫌さ、ですね。それ、成功したらいいですよね。迂遠な嫌がらせというか。

舞踏を見に行ってから生じた変化

川本 
しばらく前に、舞踏を見に行った時にショックを受けて。
__ 
と言うと?
川本 
まず演劇って、しゃべるじゃないですか。ということは嘘をつくと。すごい嫌いやのに好きやと言えたり。その逆もできるし。それをうまく使うのが演劇の利点なのかもしれない。
__ 
なぜ、演劇でなければならないのか。つまり演劇の蓋然性を問う、と。
川本 
旗揚げ公演で、アフタートークに出て頂いた演出家の方に「よくまとまっている」という言葉を頂いたんです。だから面白くない、という言葉も。ああ、確かになと思ったのは、まとまっていないものを舞台に上げる勇気が無かったんです。あの時は、自分の言葉で100%を説明できるものを完成品として舞台に乗せるのが礼儀だと思っていたんです。でもそれは恐怖感だったのかもしれない。もしかしたら、「何かわからへんけど大切で、説明出来るかどうか自信はないけれども舞台上に上げる必要性を強く感じているもの」、を、なるべくそのまま舞台上にあげるようにしたいなと。そっちの方がしんどいとは思うんですけど。
__ 
「分からないこと」、が舞台に上がっている。それは非常に歓迎すべきことだと思うんですね。説明しようがないものは、大抵、輝いているように見えるんですよ。その瞬間、それまでの上演時間全てが結実したような。そういう美しい瞬間が生まれれば、と思う。ただし、一つでいい。
川本 
僕も、それは一つでいいと思います。明確か不明かはともかく。僕は建築をやってるんですけど、建築の考え方で「Less is More」という言葉があるんです。より少ないことはより良いことである。学生時代の頃に習って、まあ聞き流せてたんですけど。でもダンスとかパフォーマンスをやっている先生がその言葉を使ったんですよ。ああ、ダンスの世界に浸透してるんだな、と。クリエイションをする時の基本概念として、「Less is More」の考え方は敷衍しているんだな、と。舞台上にあげたいと思ったものを過不足なく伝えること、そのために他の要素を削ぎ落とす。それを面白くするためには、周りの諸条件が見えていると面白くない、と。「Less Is More」を言い出したのは20世紀初頭の人々なんです。ある種のクリエイションの答えがそれで、それに対するアンチテーゼも生まれてはいますが、「Less is More」は強いんだなあ、と。演出をするときも、そんな感じにはなりがちですね。もっと言うなら、編集する、みたいな感じですね。だからあまり創作をするっていう感じじゃないんですよ。悪意ある編集をしたらえげつないドキュメンタリーになったりするし。NHKの宮崎駿のドキュメンタリーとかみたいに。

夜を明かし語った日々

__ 
川本さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
川本 
京都大学の劇団ケッペキに入ってからです。始めた理由としては、僕はちっちゃい頃からクラシックバレエをやっていて。男の子なのにちょっと嫌やったんですけど、舞台上にいるのは楽しかったんですね。だから大学に入ったら演劇サークルとかに入るんやろうなと思っていました。京都工繊大だったんですけど、近いところに演劇部のある大学といえば京大。劇団ケッペキに入りました。
__ 
そして今は、京大院生ですよね。ケッペキでの一番の思い出を教えてください
川本 
よく飲んでましたね。破滅的な飲み方をしていました。周りから見ればすごく嫌だったんでしょうけど、演出をやってる先輩とかと一緒に、グダグダネチネチと。最後はよくわからなくなって、寝る、みたいな。もっとさらっと俳優をやりたい子達もいたと思うんですけど。あれはあれで。
__ 
それはそうですよ。
川本 
あの輪のなかのひとたちは楽しかったんですよ。
__ 
もし、悔いがあるとすれば?
川本 
途中で楽しくなくなっていた、というのが、悔いですかね。どうだろうな、自己顕示欲の強い役者さんっているじゃないですか。僕も子供の頃は、バレエにしてもピアノにしても自己主張が強くて。自己主張が強い延長で演劇をやっていたのに、いつのまにか、演劇論を考えたり曲解したり。難しいことばっかりやろうとして、特に俳優をやるのが楽しくなくなっていった、というのはありますね。そういうのが、ここ一年ぐらい休憩していたというのもあって、演劇を伸び伸びやるのが面白いなあと思うようになりました。
__ 
ちょっと、休憩するというのは良いと思いますよ。
川本 
実は僕、ダンスをやるようになったんです。コンタクトプロビゼーションのワークショップに行ったりして、ダンサーの人と触れあうことが多いんです。というのがちょっと大きいと思います。俳優さんもワークショップに来ることがあるんですけど、なぜか、俳優さんはできないんですね。なぜかと言うと正解を求めちゃうから。
__ 
はいはい。
川本 
どう動くのが良いのか、ということになってしまう。ダンスをやってる人達は、答えを全然求めていないんです。
__ 
そこですよね。
川本 
言われていることをただやる、ということにちゃんと集中できる。その上で、話し合いをした時に「特に私は何も思いませんでした」という発言をすることに躊躇がない。周りのダンサーさんも、その意見に対して何か言うわけではない。 俳優さんは、そういう話し合いの場で、ウィットに富んだことを言わないといけないような、そういう思いに囚われているように思えるんです。
__ 
前に取材させていただいたかたとそういう話になったんです。ダンスと演劇でどう違うかという話題で、演劇はシーンを固定して、だから観客は俳優の人間を見ている。だが、ダンスの方は、観客とダンサーが、肉体でぶつかりあっている。そういう側面があるなと思って。
川本 
そういうこともあるのかな。感覚的なところなんですけど、ダンサーの方は喋ってて気持ちいいですね。 いい俳優さんもそうなんですけど、ぐじぐじしていないと言うか。テキパキしてるって言うか。

質問 江藤 美南海さんから 川本 泰斗さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、江藤美南海さんから質問を頂いてきております。ちなみに江藤さんも、春から東京だそうで。文学座の研修生になるそうです。
川本 
そうなんですね。
__ 
もしよかったら、何かの機会に見に行ってあげてください。質問は「好きなお酒は何ですか?」
川本 
日本酒ですね。「風の森」という、有機発酵の美炭酸のものです。それと、差し入れをするときはその人の出身地のお酒を手に入れられるなら手に入れてお贈りしています。地元の酒を貰ったら嬉しいかなと思って。
__ 
おしゃれですね!

「あるある」を発見する

__ 
いつか、どんな作品を作りたいですか?
川本 
なるべくいろんな人に当てはまる「あるある」です。マイノリティに向けて、という感じではなくて。やっぱりいろんな人に見てもらわんと、と思ってます。みんなちょっと思っているあるある、ってあるじゃないですか。すごくたくさんの人にも通じる、ニッチな。 あんまり芸術家だから、みたいな敷居が好きじゃなくて。
__ 
最低でもエンターテインメントでありたいと。
川本 
エンターテインメントでなくなっちゃうともったいないな、と思ってしまうんですよね。アバンギャルドな作品でもいいんですけど、お客さんがどんどん引いてしまう。むしろ、お客さんにずっと寄り添って、距離を詰めて、最後に殴る、というようでありたいと思ってます。

100点の演技のために

川本 
努力クラブの佐々木さんが好きで、何回か一緒に飲みに行ったんですよ。その中で盛り上がった話があって。僕はお芝居って、減点方式のゲームだと思っていて。初めは0点から始まって、そこから、「良い演技をする」「プラマイゼロのことをする」「マイナスのことをする」という三択があって。まず最初にマイナス1点の演技をすると、その次にプラス1点のアクションをしても0.5という評価になってしまう。マイナス1点をするとー2.5点。
__ 
面白い。そうですね、ケチが付き始めると良くない、という奴ですね。
川本 
でも、プラスの方にも加速度があるかというとそうではなく、1点ずつの積み上げになんですよ。最終的には、平均点はおしなべてマイナス寄りになっているのでは、という考え方を話したんです。佐々木さんと意見が合わなかったのは、「その状態でも+100点になる演技がある」「そこだけを探してやっている」と言っていて。学生の頃はプラマイ0点をとり続けていたら、 平均点がマイナスになるカルチャーなんだから、相対的に絶対上に行く、と。カチカチな頭だったんですけどね、今はもう少し柔らかくなりました。佐々木さんの言うことも分かるし。
__ 
成長ですね。それはきっと。
川本 
そして今は、お客さんに近づいて、最終的に殴る、ということを目指しています。

innovatorのカレンダー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。どうぞ。
川本 
ありがとうございます。開けますね。(開ける)あ、カレンダーですね。これはとってもありがたいです。
__ 
3月17日が初日ですね。楽しみです!

一瞬、南へ

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。第三劇場の江藤美南海さんにお話を伺います。江藤さんは最近、どんな感じでしょうか。
江藤 
この間、2、3日だけでしたが一年ぶりに帰省していました。実家は宮崎なんですけど。久しぶりに中学時代の友人に会ってどんちゃん騒いできました。みんな何だかんだ変わってないな、って懐かしくなりましたね。
__ 
そうなんですね。楽しそうで。江藤さんは、中学の頃は何をしていたんですか?
江藤 
部活ばっかりしていましたね。ソフトボール部だったんですけど。
__ 
ああ、そうなんですね。
江藤 
はい、バリバリやってましたね。
__ 
ポジションは?
江藤 
ピッチャーやってました。サウスポーなので、利き手的にポジションが限られてはいました。運動はしててよかったなと思います。
第三劇場
第三劇場は1954年に設立された同志社大学を拠点に活動する学生劇団です。オリジナルの脚本の上演を主とし、同志社大学新町キャンパス別館小ホールにて年に5回の公演を行っています。(公式サイトより)

演劇集団Qプロデュース「少女仮面」

__ 
演劇集団Q プロデュース公演「少女仮面」大変面白かったです。西井桃子さんとの掛け合いが良かったです。江藤さんは少女 貝、西井さんは春日野八千代。熱演でしたね。
江藤 
西井さんとは、2015年に物忌み団さんのの『大陸ろまん伝』で一度共演しました。西井さんは当時高校生だったんですよ。その時からしっかりしてました。その時は会話の絡みはなかったんですけど、今回はたくさん絡めて嬉しかったです。
__ 
江藤さんは会話の演技がずば抜けていたように思います。我が出ていない、というか。我はあるんだけど、それをコントロールできてると言うか。演技のデザインというのができているような気がしました。
江藤 
ありがとうございます。会話の構成を練るのは好きです。まだまだですが。
__ 
ご自身としては、どんな位置づけの公演になりましたか?
江藤 
役と自分の距離を埋める難しさを改めて実感した公演になりました。普段、第三劇場ではオリジナル脚本ですし、外部も基本、脚本演出が同じ方だったので、今回は唐十郎さんの作品ということで、唐さんが目の前にいる訳ではないし、内容は難しいし、貝が何考えてるのかを読みとくのが本当に大変でした。
__ 
貝の、「周囲を狂わせていく感」が凄かったですよね。
江藤 
若さと老い、純粋の残酷さ、そういうところですね。知らず知らずに周りを傷つけてしまう。でも貝はそこに意識的になってはいけないんだろうな、と気付いて。無自覚を意識してましたね。
__ 
そうそう。ファムファタールですね。周囲の者を惹きつけるだけ惹きつけて、ふいとどこかに行ってしまう。手の付けられない奴。
江藤 
あはははは。ありがとうございます。
演劇集団Qプロデュース「少女仮面」
公演時期:2017/1/13~15。会場:スタジオヴァリエ。

第三劇場卒業公演「アプレゲール-〈賢者〉の時代」

__ 
さて、次は第三劇場の卒業公演ですね。作・演出は神田真直さん。
江藤 
ですね。(このサイトのインタビューに)神田君、出てるなと思って見てました。「少女仮面」の公演終わりの、すごく雪の降っている夜撮影をして、本人が「めっちゃ寒かった」って言ってました。雪を浴びながら写真撮ってましたね。
__ 
寒かったです。神田さん、彼は面白いですよね。
江藤 
語りだしたら止まらない。私はいつも、へいへいって聞いてるだけなんですけど(笑う)
__ 
ニーチェとかが会話に出てますからね。
江藤 
真直くんは勉強してるからなあ。演出家にはあれぐらいの知識と考えがあるといいですね。
__ 
タイトルが「アプレゲール 賢者の時代」。賢そうですね。
江藤 
哲学的要素がたくさん入ってて。私も勉強しなきゃなと。私の役は医大生なんですが、全然オツムが追い付いていない・・・
__ 
意気込みを教えてください。
江藤 
今回、主演を頂きまして。でも、自分に、というよりは後輩達の為になる公演にしたいと思ってます。後輩に女の子がすごく多いんですよ。女の子だけだと、力強さが足りなかったり、体がついてなかったりとかがありがちなので。その辺をビシバシと鍛えていって。私よりも後輩に何かを残せる芝居にできたらいいなと思ってます。
__ 
学生劇団を途中で止めてしまった私にとっては、そうした悩みは非常に崇高に思えます。
江藤 
そうなんですね。学生劇団、実は辛い事多いですよね。私も苦しかった時期があります。何度かやめようと思ったことがあって・・・今、卒業する先輩の立場に立つと、後輩の頃は何もわかっていなかったんだなあ、自分、って。実は私、卒業公演に参加するのは初めてなんですよ(下回生の参加はしてこなかったんです)。卒業公演は先輩から受け取れるものが多いし。参加しておけばよかったなあと後悔しています。
第三劇場卒業公演「アプレゲール-〈賢者〉の時代」
「アプレゲール ---〈賢者〉の時代」
脚本・演出 神田真直
1970年11月25日、三島由紀夫が死んだ。既に五輪も万博も終わっていた。医学生の朝飛洋子は時流とは裏腹に学生運動に熱中する恋人、人見勝利の身を案じていた。2005年に愛・地球博を終え、2020年に東京五輪を控えた現代と当時が交叉する。
■出演
星屑ロンリネス~マンゴーは恋の味~、Dr.ゴボー、木冬木、神田真直、チャリでチョコレート工場、蛍野闇、武士岡大吉、海老飯もぐも、叫べ!ユナイテッド、あだうち!サーキット、藤井寿美香、キュアリン★レボリューション、イマガシュン「鯛」、mamajon's、広田すみれ、マリーナシティガール、ヒナノニトン
■日時
3/10(金)14時/19時
3/11(土)14時/19時
3/12(日)14時
※開場は開演の30分前です。
■会場
同志社大学新町別館小ホール
■料金
前売り:800円
当日:1000円
高校生割引:一律500円(要身分証明)
リピート割引:500円(半券提示)
※註 江藤さん=星屑ロンリネス~マンゴーは恋の味~

潜在的な・・・

__ 
江藤さんが演劇を始めた理由を教えてください。
江藤 
恩田陸さんのある小説を読んでから、というのが、背中を後押したと言うのがあります。でも潜在的には、人前に立って何かをやるというのが好きだったんだろうな、と。地元でその地域の偉人の劇を年に一回、6年生がやるんですけど、良い役を獲りに行ってたので。
__ 
獲れましたか?
江藤 
獲りました。やっぱりそういうのがあるんだろうなと思います。舞台が好きというか、潜在的な。
__ 
それを、「好き」と言えるのは素晴らしいですね。そんな江藤さんが頑張れる秘密を教えてください。
江藤 
難しい。なんで頑張ってるんだろう。自分に負けたくないという気持ちがすごく強くあって。周りへの感謝という気持ちもあるんですけど、それよりも「ここで負けたら・・・」というのがあります。負けず嫌いで、何よりも自分に負けたくない。なんか悔しいんですよね、頑張るのをやめたり辞めようとしてる瞬間とか。まだいけるだろう、って。スポ根なんですかね。
__ 
それはかつて私も持っていたものです。今は減ったのかもしれないし、形を変えて残ってるのかもしれない。
江藤 
そうですね、忘れていたりとかもある気がしますね。

春から文学座研修生

__ 
江藤さんはこの度、文学座の研修生に受かったんですよね。おめでとうございます。春から東京で研修生活だそうですが。
江藤 
ありがとうございます。募集の締め切りは12月の20日頃だったんですけど、思い立ったのが12月の15日ぐらいで。それもバイト先のパートさんに言われた事がキッカケでした。「就職せずに演劇を続けようと思ってるんですよね」と言ったら、「そんなんやめとき、食べて生きるわけないやん、公務員にしときいや。何なん、文学座でも受けるん?」って言われて。受けてみよう!!と思って、運よく通ることができて。
__ 
おお!
江藤 
ここ一年、東京に行く資金づくりをして、お金を貯めて東京に行こうかなと思ってたんですけど。何の基準もなしに東京に出て行くのも、良くないよなと思ってて、そこにその話が入り込んで来て。
__ 
素晴らしいところですよ。
江藤 
でも予定していなかったとこなので、今てんてこ舞いです。自分の実力がどのくらいなのか量る為に受けに行ったので、受かると思ってなくて。でも頑張ります、本当に。これから厳しい日々が続くと思いますけど。
__ 
それはもちろん厳しいですよ、厳しいし難しいし、運もいるだろうし。
江藤 
入ってから残っていくのがさらに大変だろうなと思います。
__ 
普通の公務員の仕事の何倍も厳しい生活だと思いますよ。俳優ってマニュアルとか仕事のやり方とかがあるようでないような仕事ですから。方法論があって、自分の実力がそれに追いついていない、とか。そういう悩みがずっと続くと思いますよ。
江藤 
そうですよね。
__ 
でも負けず嫌いなら大丈夫でしょう。
江藤 
はい。毎日、ずっと、悔しいと思ってると思います。

目・の・中

__ 
最近、役者の演技も作り方には段階をめぐる闘争とでも言うべきものがあるなぁと思っていて。役者が自分の演技を作るときに、その演技には無段階の幅があって、そこから選び取らないといけない。でもその前に、その場に行かなくてはいけない。そこに行くための資格をまず得なければならないのであろう、と思う。経験とか能力とか、アイデアとか、もちろん研究も。いろんな条件があって、でそれを、備えるというのが役者という仕事なのかなと思っている。
江藤 
感性タイプの子をたまに見ると、すごく羨ましいなあと思っちゃいますね。天才だなあ、と。私は役に追いつくための策を色々と練ります。最初は本当に色々試してみないとわからないので、いろんなものを、いろんなところから。映像とか映画を見たり、音楽を聴いたり。役に共感して自分に落とし込むにはその役を構成するいろいろな要素が必要だと思っていて。本番でも、こんな感情もあったんだみたいに気付くこともあるし。人間自体がそうだと思うんですけど、いろんなことが詰まってその一つの動作になっていると思うし。沢山のものを吸収し続けていくことを大事にしています。
__ 
経験から役を作ると言う意識なのかもしれませんね。ところで江藤さんは、いつかどういう演技ができるようになりたいですか?
江藤 
私、大竹しのぶさんが好きなんですよね。どういう部分が素晴らしいのか説明できないんですけど・・・
__ 
みんな好きですよね。
江藤 
なんだろう、あの方の性格や人間性とかもあると思うんですけど、雑味がない、のかな。大竹さんなんだけど大竹さん自身の何かが出ていないじゃないですか。媚とか。お客さんに表現をすっと受け取ってもらえる。そういう役者になりたいです。
__ 
どうしたらあそこまでになるんでしょうね。
江藤 
ねー。
__ 
エゴを捨てればなれるんだろうか。洗練されていて、でも、他ならぬ大竹しのぶの演技なんですよね。
江藤 
バランスと言うか、滲み出るものがあると言うか。いつかあんな女優さんになれたらいいなと思います。
__ 
なれますよ、きっと。江藤さんはどんな道を選んでも、江藤さんにしかできない成功をすると思う。ちょっと話を戻すと、役者って、実は努力を裏切らない仕事だと思うんですね。インプットすればするほど演技は深くなっていく。そういう努力は降り積もる雪のように役者の瞳に反映されると思う。なぜなら、観客の瞳は役者の目を通してその奥にある知恵を感じ取るから。目で伝わるものって凄く重要ですしね。だから努力は裏切らないと思いますよ。
江藤 
目は大切ですよね。目力は本当に。目が死んでる役者を見ると、うーん、ってなりますからね。そこに最初に気がいきますからね。
__ 
文学座での経験はきっと大きいと思いますよ。
江藤 
そこに残れるかどうかはともかく、絶対糧になると思います。まず、ちゃんと教えてもらえる、というのが大きい。プロの俳優にちゃんと教えてもらえるなんて機会は本当にないから。一番下の所に、身を置けるというのが嬉しいです。

質問 岡本 昌也さんから 江藤 美南海さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、安住の地の岡本昌也さんから質問を頂いて来ています。「今まで言われた中で、一番引いたセリフを教えてください」。
江藤 
日常で、ですか。何かあったかな・・・あんまり私日常で引かないかもしれない。

質問 杉本 奈月さんから 江藤 美南海さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、杉本奈月さんからも質問を頂いてきております。「東京の地の演劇に期待していることは何ですか?」
江藤 
なんだろう、難しいな。新しい刺激。京都と大阪って全然違うじゃないですか。私、お恥ずかしながら東京の芝居をあまり見れていなくて、未知の世界なんですけど。あと、関西にいるとどうしても、東京の人たちが冷たい、みたいなイメージがあって・・・
__ 
いや、そんなことはないですよ。東京の人にはフレンドリーな人凄く多いですよ。飲み会がめっちゃ多いし、作品の批評も活発だし。
江藤 
そうなんだ。楽しみ。
__ 
あと、もう一つ質問です。「学生劇団でいけ好かないのはどういう部分ですか?」
江藤 
ええ、そんな酷な質問が・・・!わたし、仲良しごっこみたいなことしてるのが嫌いですね。馴れ合いが嫌い。稽古中も私、おしゃべりではないかも。
__ 
わかりますよ。
江藤 
学生劇団では、友達だなって思わない方がいいなあと。友達じゃなくて仲間であり同士でありライバルである。その辺の緊張感は必要だなと思ってます。そういうのを全くなくしてしまっているのはあまり良くないなあと。
__ 
連帯感は必要だと思うんですけど、足を引っ張り合うのはまあまああまり良くないですよね。それは私も警戒しています。
江藤 
私は第三劇場で女子の同期が一人だけだったというのもあって良いバランスが取れているのかもしれないですね。