後ろの七味

__ 
ちなみに、「家族百景」のほうは、七味さんは出演しないで、演出のみなんですよね。演出するのは初めての経験だったりするんですか?
七味 
本格的なのは初めてです。高校生と大学生の頃に一、二回と、三年ほど前に、天王寺にある現オーバルシアターで自分の一人芝居を作ったことはありますが。
__ 
今回はどんなポリシーがありますか?
七味 
演出方法はまだ全く考えていないんです。出演者やスタッフの方々からアイディアをたくさんもらって、それを吟味して選びたい。そして、自分の選んだものに、責任を持ちたいと思っています。今はまだ何も決まっていないし、自分でちゃんと決められるかどうかもわからずふわふわしてるのが正直なところですけれど。私の場合、女優をする時は、いろんなパターンを想定して、試してみて、ベストだろうと思ったものを選んで演じることが多いんですが、今回の演出にしても多分、そのようなやり方になるんじゃないかなとは思います。今回は、私じゃない俳優を演出するということで、自分の思った通りには絶対ならないと思うので、それが怖くもあり楽しみでもあり。皆さんのアイディアから、着想を得て、私が選んで決定したい。そこに責任を持ちたいです、演出家として。
__ 
演技って、どうしても役者当人が主観的に選んだものなんですよね。客観的に決めた演技はありえない。もちろん無限の選択肢がある。その指揮をとる七味さんは、役者全員の、前に立つというよりは後ろに立っているという恰好なのかもしれない。つまり、七味さんの演技を見るという事になるのかもしれない。
七味 
なるほど、そうですね。キャスティングもかなりのこだわりで選考させて頂いてるので、そのへんも私の好みが入ってきちゃいますし、私自身は演じないけれど、私のセンスも垣間見てもらえるような舞台になれば嬉しいな。現場の皆さんのお力にあやかって、七味ワールドが出せるといいなと思います。
__ 
大量に七味さんが見れるかもしれませんね。
七味 
大量の私は怖いかもですが(笑)私が見たい芝居になるような気はします。そうできるように頑張ります。それが受け入れられたら一番嬉しいですね。分かりにくい内容なのはそんなに好きじゃないんです。どちらかというと私、一般目線を持っているお客様の感覚に近いと思いますね、良くも悪くも。

質問 中西 良友さんから 七味まゆ味さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた中西良友さんから質問を頂いております。「本番前の緊張をコントロールする方法を教えてください」。何かありますか。
七味 
いやあ、何もないですね。ごめんなさい!たまに緊張しない時もありますが、わりと緊張してます。そして、緊張しててもそのままやっちゃいます。コントロールできないんでしょうね、私。この間スタニスラフスキーの関連本を読んだんですけど、お客様に見られることを意識すると緊張しちゃうから、目の前の相手に集中することとか、役の気持ちを集中して考えることとか、確かそうやって集中するのが緊張しないコツだ、みたいに書いてあった(そのように解釈した)のですけど、確かにそうだなとは思ったんですけど・・・集中しなきゃと思って集中できたら苦労ないし、集中しなきゃと思ってる時点ですでに意識しちゃってるってことだし・・・。
__ 
ちなみに私は、緊張し過ぎて舞台の上で足がガクガク震えたことがあります。
七味 
私は手がよく震えますよ。高校演劇の審査員をした時なんですけど、舞台上からみんなに向かって最後の総括をしたんですが、いいことを喋ろうとしたのか、マイクの前に立ったら緊張で頭の中が真っ白になっちゃって、何を喋ってるのか全くわからなくなりまして。呼吸も浅くなって。私はこれでも本当に役者なのかと自分を疑いましたね。恥ずかしかった・・・。
__ 
七味さんですら、そういう事があるんですね。

演劇界について何か思うことはありますか?

七味 
頑張ってる奴らはこんなにいるんだってこと、お互いにもっとまわりを見て、もっと知り合って良いんじゃないかと思います。見守ったり応援したり。私自身は、そういうことに敏感でいたいなと思いますね。今は、みんながみんなやってる人たちのことをわかっていないような。自分達のことしか考えていないような。演劇界のことを知ろうとしてないのかなって気がします。面白いことやってるヤツらがいっぱいいるのに、繋がってないのはちょっと寂しいなって。繋がったらどんなことが起こるだろうって、ワクワクしたい。ジャンルがわかれちゃってることもあるんだろうな。日本の演劇界なんてちっちゃいんだから、もっと一丸になっても良いのにな、みたいな事は思います。簡単なことじゃないし、理想論かもですけど。
__ 
昔は私は、バラバラでいいなと思っていました。今もそう思ってる部分はあります。それぞれが距離をおいた方が、何かを守れるようなものもあるんじゃないかなと思ったり。
七味 
私もね、バラバラでいいという気持ちもあるんですけどね。多分、今私がやりたいことが、もっと大きいことなんだろうな。小さな力がまとまった時の大きなエネルギーを信じてみたいのかもしれません。私が描こうとしている形ないものには、沢山の人の力が必要なんだと思います。演劇界全体を、巻き込みたいですね。それには長い時間が必要かもしれませんし、どうなるかわからないですけれど。
__ 
七味さんが踏み出した一歩はきっと大きいと思います。
七味 
怖がりながらも踏み出しちゃいましたね。私こそ、演劇界のこと何もわかってないアマちゃんですけども。希望を失わずにいたいなと思いますね。

一番見てほしい人

七味 
実は、「七味の一味」を立ち上げたきっかけというのがあって・・・すごく私的な事なんですけど、でもそれがなかったら立ち上げていなかったと思います。それは私の家族のこと、なんですね。私はずっと漠然と、おそらく女優しかできないんだろうけれど、いつか演劇人として何か立ち上げてみたいなあ、演出なんかもできたらなあ、なんてふわふわ思ってたんですね。で、この間、あまり面白くない舞台を見まして(私にとって面白くないと感じた舞台)。その後、(「七味の一味」を一緒に立ち上げることになる)集団asif~主宰の藤丸氏と、ポンポンペインシアター主宰の湯口氏と飲んだ時に、「私も演出やってみたいなあ」なんて口走っちゃったんです。そしたら「やったらいいじゃん、やろうよ、なんなら僕書くし。出るし。協力するし。」と後押しされて。ノリで言っちゃったこともあるし、慎重な私なのでだいぶ渋っていたのですが、試しに、「書くならどんな題材で書きたい?」と聞いてみたところ、今の私の興味とガッチリ一致して。つまりそれが、家族や両親のことだったんですね。家族や親はいつまでもあるものじゃない、だから今のうちに自分の思いを作品として残しておきたい、それを見てもらいたい・・・そんな思いが一気に湧き上がりまして。脚本家の、親や家族に対する思いに感化されたこともあり、後押ししてくれる仲間が見つかったこともあり、今作りたいものというのがハッキリ見えたこともあり。動き出すべきさまざまな要素が重なって、今やらなくていつやるのだと、決心できました。私は今まで、自分のためやお客様のために演劇を選んできたけれど、親や家族のために演劇と向き合ったことはありませんでした。初めて、 「親に見せる作品を作る」という意識を持てたので、立ち上げの決断をいたしました。このこと、親はまだ知らないですけどね。
__ 
そうなんですね。その、あまり七味さんのプライベートには突っ込まないつもりでいたんですけどね。ご家族はいないと思ってましたよ。本名だと思ってますし。
七味 
あら!そうですね。本当は天涯孤独の身ですよ。ふふ。
__ 
ご両親は、七味さんの演技をご覧になったことがあるんですか?
七味 
ちょこちょこ見てますよ。でも一番見てくれてたのはおそらく高校生の頃ですね。私が舞台に立つことが日常的になってしまってから、あまり興味を持たれなくなっちゃいました。今は、私が懇願して、母親がなんとか見に来てくれるくらい。父親は面倒くさがって見に来ませんね。悲しいかな、私の舞台姿にそんなに興味がないんです。
__ 
どうしても親には見てもらいたいですよね。演劇をするって親孝行だと思いますよ。
七味 
え? そうですか? 本当に?
__ 
そうですよ、人類としてそう思いますよ。
七味 
まだ続けるの?じゅうぶんやったでしょ、もういいんじゃないの?と言われたりもするんです。やめなさいとはならないですけど、放任されてるので(笑)。認めてもらいたいということでもないんですけどね。私が私の全てを懸けている演劇で、親に対する愛を、親に残せるものを、作りたいなというのがあるんだと思います。私の思いなんてどうでもいいのかもしれませんけどね、親にとっては。そしてお客様にとっても。だからこれは、私にとっての、ケジメだな。
__ 
子供としては、親に、とにかく見てもらいたいですね。
七味 
そうですね。今回だけは、とくに。そんな思いはありますね。

明日からもこの調子で!

__ 
今後、どんな感じで攻めてくれますか?
七味 
今後も相変わらず、七味まゆ味らしく。神出鬼没にフットワーク軽く。普段は省エネなんですけど、出会わないと知ることができないことにもっと出会いたい。人生は短い。せっかくの人生だから、相性のいい人たちと出会って楽しく生きていきたい。いろんなものに興味を持って、自由に生きたいです。
__ 
ありがとうございます。

純喫茶コレクション

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
七味 
ありがとうございます。8年前ももらったなあ。あれまだ使ってます。ちょっと壊れちゃったのもありますけど。壊れちゃうぐらい使いましたよ。
__ 
ありがとうございます。今回はこれです。
七味 
嬉しい。あ、ここ知ってる。行ったことある。嬉しー。これでぜひ色々とカフェ巡りしたいと思います。
__ 
その本にはですね、一人で行けるお店ももちろん載ってます。一人の時間を大切にしてほしいです。
七味 
まあ私もね、演出家サマになっちゃうわけですから。そういうところでじっくりと考えて、良いアイディアを思いついちゃいましょうかね。ふふ。

中西さんの最近

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近中西さんはどんな感じでしょうか。
中西 
最近は、そうですね、大学の卒業研究をやっています。卒業がそろそろ近いので。それとバイトです。コンピュータ関連のバイトをしてます。
__ 
演劇関係はどんな感じですか。
中西 
全然ですね。今年出来るかどうかわからないです。

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2017/春
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中西

喀血劇場第11幕『10年後の8月も何も言えなくて、夏』

__ 
最後に出演したのは、去年末に喀血劇場の「10年後の8月も何も言えなくて、夏」でしたね。いかがでしたか。
中西 
自分としては、もっとやれたなあ、というのがあります。喀血劇場で求められている事はある程度分かっている気でいるんですけど...。
__ 
中西さんに求められていること。
中西 
温度を上げていくということと、芝居をしっかりやりすぎないようにということだと思っています。唐仁原の芝居では、ちゃんとやりすぎて温度が下がってしまうのは望ましくないと思っていて。いたずらに間が空きすぎないようにというのは意識しています。まあ、唐仁原からはあんまり明示的に言われていないですけど。
__ 
何て彼らしい演出なんだろう。そして中西さんは、喀血ではテンションが下がっていくんですか?
中西 
いや、その逆でいたいんですけど。芝居全体を通して上がったままの状態でいてほしいということだと思います。
__ 
「10年後の8月も何も言えなくて、夏」。お話としては、大学生が10年ぶりに田舎に帰ってきて、ラブコメを繰り広げ、けれどいつの間にか結局、恋愛関係のない仲間というか共同体に落ち着いてしまうという・・・いいか悪いかはともかく、彼らにはそれがお似合いだと思ったんです。その関係は素敵だなあ、と思いました。
中西 
自分の中では、もやっとして終わりましたね。地元に残った連中はどう生きていくんだろうとか。基本的にはあのまま楽しく生きていくような気もするんですけど、どこにも行けなさみたいなものがずっと付きまとってくるんだろうなと。ずっと同じ場所をぐるぐる回っているのかもしれない。
__ 
円形劇場でしたからね。そして様々なチープな仕掛けが魅力的でした。ファミポートを模したダンボールのやつとか、流れ星とか。
中西 
ダンボールだし塗装も雑だし。
__ 
そういう味わいが喀血劇場の味でしたね
中西 
そうかもしれないですね。
喀血劇場第11幕『10年後の8月も何も言えなくて、夏』
公演時期:2016/9/3~4(岩手)、2016/10/14~17(京都)。会場:西和賀町文化創造館 銀河ホール (岩手)、京都大学吉田寮食堂(京都)。

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2017/春
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中西

これからどうするのさ

__ 
中西さんは、役者活動をこれからどう続けていきますか?
中西 
ガッチリ続けていくという感じじゃなくて、こういう言い方はちょっと違うかもしれないですけど、生きていく中でいろいろ楽しいことのひとつ、が僕にとっての芝居で。ずっとゆるく続けられたらなと思っています。
__ 
そうですね。同じ意見です。
中西 
趣味というのともちょっと違うんですけど。趣味って言うと不可欠なことじゃない、みたいなニュアンスがあるじゃないですか。そうじゃなくて、もっと生きていく上で本質的なことだと思ってます。芝居だけじゃなくて、他の活動も全部同じところにあるんですけど。
__ 
確かに私もインタビューの仕事を趣味でやってるわけではないです。中西さんにとって、役者活動を続ける、とはどういうことですか?
中西 
芝居をやっていなかったら、普通になってしまう気がする。いや、難しいな。芝居が生活に組み込まれている。普段、きちんと生活したいと思ってるんですけど、その生活の中に芝居があるっていうことなんだと思います。芝居ができていないって、ちゃんと生活できていないということなんだと。
__ 
生活の一部。
中西 
自分にとっての生活は、芝居をするのも食事をするのも、ご飯作るのも本を読むのもプログラム書くのも全部同じところにあると思えていて。後はまぁ人と会えるというのは大きいです。
__ 
私にとっての、「読書」とちょっと同じかもしれない。ないとちょっと困るんですよね、本だけは。
中西 
あーそうですね。そういうことだと思います。
__ 
かけがえのないと言うか、ないと困ると言うか。意地で続けているわけではなくて。

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2017/春
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中西

リスペクトしている演劇

__ 
中西さんが演劇を始めたのはどんな経緯があったんですか?
中西 
大学一回生の頃に、吉田寮祭で唐仁原に会い、芝居に出てみようと思って。そこではほとんど真面目に稽古をしなくて、ベロベロに酔っ払いながら舞台に立ったりもして。次の吉田寮祭でも唐仁原と一緒にやったんですが、最初の出演作からは考えられないくらい真面目に芝居を作って。その時に、舞台に立つのって面白いなと思って、ベビー・ピーの根本さんに声をかけてもらって。そこから少しずつ、出るようになりました。
__ 
芝居を始めた頃にご覧になった、衝撃を受けた作品はありますか?
中西 
どくんごはやっぱり凄かったですね。最初はよく分からなかったんですけど、後から凄い、というのがどんどん湧いてきて。劇の広がり方が普通じゃない。ベビーピーもすごかったです。最初に見たのは七福神。めっちゃすごいなと思ったのは、飛び道具の「七刑人」。
__ 
ああ!
中西 
あの芝居は全然喋らないのに、場の緊張感が普通じゃなくて。間がただの間じゃない。芝居って喋らなくてもあんなに見せられるんだなと。あんなに抑えているのに。
__ 
そうですね、沈黙で語る芝居でした。

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2017/春
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中西

いつかみる世界

__ 
大学での専門分野について教えてください。
中西 
理論生物です。ミクロな生体分子についてのシミュレーションです。生物自体、ミクロなレベルでも物理法則に従って作られている・保たれているはずなんですけど、それを物理の言葉で説明したいというのが研究室の大きなモチベーションみたいです。
__ 
それは、細胞の内と外が浸透圧でどうなるこうなるみたいなレベルですか?
中西 
もっと細かいです。原子レベルですね。適当な力場を仮定して、そこでの振る舞いを調べるみたいなことです。
__ 
ちょっとアリストテレスっぽいですよね。生物のミクロにおいて一体何が最初にそれを動かしたのかみたいな。
中西 
むしろ逆かもしれないですね。ただ物理法則に従うことで、機能と呼ばれるものが生じる。機能が前提とはなってなくて、導かれる対象だと思っています。
__ 
中西さんはそういうところに興味があるんですね。
中西 
実は、僕の興味は研究室のテーマとは少し違う所にあって。脳のことをやりたいと思ってます。意識とか知覚を数理的に解釈したいと思っています。もっと根本的なモチベーションとしては・・・ちょっと飛ぶんですけど、人が死なないようになればいいと思っています。死はただただ悲劇でしかないと思っているので。別に今の現実世界に縛られるような形で生き続けるというわけではなくて...もし、脳が完全に説明できるようになったとしたら、新しい生き方とか在り方っていうものが考えられると思っています。たとえば、コンピュータの中で生きる「人間」みたいな。全然、自分の生きているうちは無理な話ですけど。
__ 
ヨーロッパ企画の「来てけつかるべき新世界」で、まさにそれが話に出てきていました。スパコンの中に一瞬で人格をコピーできてしまって、大きなパソコンとともに生活していかなくてはならなくなる。
中西 
グレッグ・イーガンというSF作家がオーストラリアにいるんですが、そういう問題についての作品を多く発表しているんです。そしてやっぱり最終的には「自己・意識とは何か」という問いに辿り着くんですよね。

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中西

質問 岡本 昌也さんから 中西 良友さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、安住の地の岡本昌也さんから質問を頂いてきております。「今まで言われた中で、一番引いたセリフは何ですか?」
中西 
高校時代、校長先生に「お前は社会不適合者や」と言われた事ですかね。
__ 
私は高校時代、演劇部の顧問に「だからお前は信用されないんだ」と言われたことがあります。
中西 
ダメでしょそれは。

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2017/春
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中西

熱量

__ 
中西さんは、今後、どんな感じの芝居をやってみたいとかありますか。
中西 
肉体に負荷がかかる芝居をやりたいと思っています。
__ 
喀血劇場は、名前に反して、確かにそんなに熱量はないですね。
中西 
喀血の舞台に立つ役者には、ある程度ゆるく立ってもらいたいというのが唐仁原にはあるみたいです。
__ 
何か、役者のライブ感があるんですよね。その場その場の判断で役者が喋っているような。台詞って感じじゃなくてね。
中西 
それ、唐仁原が喜ぶと思います。

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2017/春
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中西

究極の書き割役者

__ 
いつか、どんな演技ができるようになりたいですか?
中西 
舞台上でただいる人、みたいなのがやりたい。存在感とか、別になくて。ただいるだけの人。でもそこに違和感はないみたいな。
__ 
違和感が完全にないと言うのは少し難しいですね。
中西 
そういう役者は、実は稀有なんじゃないか、という気がしていて。
__ 
まあ大抵の人は存在感がありますからね。
中西 
全然、自分の方向とは違うと思いますけど。
__ 
なぜそのように思われるのですか?
中西 
「あの人が一番良かった」みたいなことって感想で結構よく書かれるじゃないですか。でも、発覚しないだけで裏ですごいことをしてる人がいる。ちゃんと見ていないと分からないし、見ていても分からないことがある。そういう人がいいなあと思います。
__ 
わかります。喋っていない、目がいかない役者。その人は実は、舞台を支えるための高度な仕事をしている。
中西 
その人のおかげで風景が立ち上がってくるみたいな事は絶対あると思ってます。
__ 
ありますね。
中西 
それをちゃんとこなせるように。
__ 
風景に近い役者、という事ですか。
中西 
まあ結局のところ芝居全体が良ければいいと思っています。

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2017/春
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中西

穏やかな戦い

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
中西 
攻めるとか、あんまりないですね。楽しくやっていきたいと思います。あと、漠然とした不安感に負けないようにしたいなと思ってます。

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2017/春
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中西

生命倫理ハンドブック

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
中西 
ありがとうございます。
__ 
これで研究の方向性が変わったらすみません。

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2017/春
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中西

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。「安住の地」の岡本昌也さんにお話を伺います。最近、岡本さんはどんな感じでしょうか。
岡本 
最近はですね、ついに部屋の掃除をしました。昔から自分の部屋は汚かったんですけど、ちょっとさすがに片付けようと。汚すぎて、友達を部屋に招いたりできなかったので。45リットルのゴミ袋が10袋ぐらい出ました。ようやく、綺麗な部屋になりました。
__ 
よくわかります。何もないスペースがありがたいですよね。余白のある部屋。何も置かないという贅沢。
岡本 
わかります。片付ける前は歩くことさえままならなかったので。廊下ができるんですよね、肩で風を切りながら部屋に入っています。その状態を持続することが今の目標です。
__ 
掃除の他には。
岡本 
部屋にプロジェクターを置きました。映画が好きなので、壁に映してミニシアターのようにしています。ベッドをソファー代わりにして映画を見ています。
__ 
白い壁があるんですね。大きい壁があったら、まあ映したいですよね映像。
岡本 
是非。安いプロジェクターだと3万円位で買えるので。結構普通に綺麗な写り方しますよ。業務用のものなんですけど。
安住の地
2016年7月に結成。2017年6月に旗揚げ公演を上演予定。京都を拠点に活動。
【所属メンバー】岡本昌也 中村彩乃 にさわまほ 中西一志 森山やすたか 大崎じゅん (公式サイトより)

人間座「幽霊はここにいる」

__ 
人間座「幽霊はここにいる」大変面白かったです。
岡本 
ありがとうございます。ああ、嬉しいです。
__ 
個人的には、岡本さんが演出をするっていうのはとても新鮮な人選でしたね。非常に上手く行ったんじゃないかと思います。
岡本 
嬉しいです。僕も最初は、事の重大さをよくわかっていなくて、最初の顔合わせでコの字形でテーブルが組んであって、真ん中に座らされて「演出の岡本です」で自己紹介して。でも、重大さが分かっていなかったから緊張もしてなくて。
__ 
あはは。
岡本 
僕以外、ほぼ全員年上なんです。40年以上のキャリアを持つ方もいらっしゃって、僕の人生の2倍以上を演劇をやってる方と一緒に作品を作るという。7回目の稽古から、だんだんと事の重大さが飲み込めてきました。
__ 
そうでしょうね。
岡本 
結果的には本当にいい俳優さんに助けていただいて。感謝しかないですね。
__ 
異種格闘技戦みたいな感じでした。いろんな形の演技スタイルがそのまま出てきてましたね。
岡本 
やっぱり僕が、まとめきれなかった、という思いはあります。新劇の人がいれば、小劇場の人もいるし、(僕が連れてきた)日下七海さんみたいな、また違う文脈の人もいる。まとめきれなかったですけど、けれど全体として噛み合うということを目指しました。劇全体を、日下さんがプレイしているゲームという形でパッケージングして、様々な役者さんがすれ違うプレースタイルで演技しているのを、日下さんがまた一つ上から違う演技スタイルで、ゲームとしてプレイしている。その演出が上手くはまったステージがあったんです。それが、個人的には非常に大きな経験でした。
__ 
なるほど!日下さんと藤原さんが、素の感じで喋っているシーンが間あいだにありました。映像に「PAUSE」と出てて。ああ、確かにゲーム画面でしたね。
岡本 
「幽霊はここにいる」は、政治の話だったりとか労働の話だったりとかが頻繁に出てくる作品なんですが、21歳の僕としては正直興味があまりなくてどうしようかなと思ってたんです。
__ 
なるほど。
岡本 
脚本上では、日下さんの役は主人公の酒井さんと恋仲になるんですけど、その設定は排除して。すると日下さんの役の存在意義ではなくなってしまって。わーわーと騒いでいる大人たちを見る子供、という演出に落ち着きました。
__ 
実は日下さんがプレイしているゲームだったんですね。
岡本 
そうですね。だれがプレイヤーとして見えていてもいいのかなと思います。
__ 
いろんなファイトスタイルがありましたね。最後に出てきた高瀬川すてらが、エンタメの演技スタイルで「お待たせしました」ていうセリフと共に出てきたのが嬉しかったです。
岡本 
すてらさんには非常に助けて頂きました。楽曲は全部作ってたんですが、ステラさんが歌う曲だけ思いつかなくて、ピンクレディーでいこう、と。「UFO」と「幽霊」の言葉遊びなんですけど。丸投げしたらあの歌とダンスを完コピで稽古初日から持って来てくださっていて。
__ 
さすが。そして劇団飛び道具の藤原さんと山口さんも素晴らしかったです。
岡本 
お二方には非常にお世話になりました。特に嬉しかったのは、あの作品をそのまま演出するか、それとも構成を変えて異常にするかという事にちょっと迷っていた時期があって。後者を選んだ時に、やっぱりどこか、役者の方には、「普通に行った方がいいんじゃないか」、みたいな・・・「物語をそのままやった方が面白いんじゃないか」みたいな雰囲気もあって。その時に藤原さんに「これはどうすれば」みたいな相談を乗ってもらったんですよ。藤原さんは「ちょっとよくわからないけれども、とりあえずやってみるわ」と言ってもらって。そのスタンスに安心したんです。ただ、同時に「この演出がわかるのは最終日になるかもなあ」と怖いことをおっしゃって・・・でもとりあえずやってみるというスタンスを見せていただいたのがすごく安心しましたね。
__ 
役者が分かち合ってくれるということですからね。その中で酒井さんが一本支えてたってていうところはありますよね。
岡本 
それは絶対あると思います。やっぱりああいう演出をするにあたって物語の方が弱いとしっちゃかめっちゃかになるし、何がしたかった?みたいになるから。さかいさんの存在は大きかったと思います。
__ 
最終的には、物語と演出と役者が、どれもどれかに負けていることがない、そういう渾然一体と言うか、そういう形での「複合」となっていました。
岡本 
ありがとうございます。そう言っていただけると。嬉しいな。自分で演出する場合には絶対できない経験でした。本当に良い経験でした。
人間座「幽霊はここにいる」
公演時期:2016/12/15~18。会場:人間座。

複合について

__ 
複合というのが、最近の私のキーワードなんです。色んな領分を持っているプロが一つの作品を作る。そういう作品にあたって、お互いが混ざり合わないという形もまた複合なんだなと思っているんですよ。ざっくりとですが、どう思われますか?
岡本 
2年ぐらい前から7作品ほど、ライブハウスで、作品の上演を行ったんです。音楽のライブの中に演劇が30分枠もらえる。だから嫌でも音楽との関わりを意識しなくてはならなくて。音楽とクロスオーバーさせたりとか、詩とクロスオーバーさせたりとか。やっぱり演劇って懐が広いから許容できちゃうんだけどそれぞれがどこから独立しちゃいますよね。音楽と芝居と詩が同時にあって、シーケンスでそれらがすべて別れてしまう。ザッピング的な作品になりました。それはそれで30分の作品として楽しかったんですけど、全体で見たときに一つのまとまりみたいなものだいまひとつないなあ、と。どうしようかなと。
__ 
まあ、演劇だけをやれ、ということはないですからね。
岡本 
僕自身が結構演劇以外もすごく好きで。今でもいろんなものに興味があります。最初に学生演劇祭で評価を頂いたから続けていることもあるのかなと思う。もし映画で評価を頂いてたんだったら、映画をしていたのかもしれません。

安住の地「渓谷メトロポリス化計画」

__ 
さて、安住の地「渓谷メトロポリス化計画」ですね。チラシが非常に魅力的ですね。
岡本 
本当ですか。
__ 
チラシに載っているテキストが気になりますね。「そしてこれから緩やかな衰退を待つだけであったが・・・」。
岡本 
厭世的なイメージがあって。なんだろう、すごく怠惰な子供、な感じなんですよ。さっきも言ったんですけど、例えば政治とか2020年はオリンピックをするとかそう言う世界の目まぐるしい動きを実感していない。僕はそういうことがなくても安泰だし生きていけるのに、みたいな。世界のこととかどうでもいいなというのがあって、それは結構語れるものなんじゃないかなと思っています。自分が子供という自覚があって、その子供から見た大人のごちゃごちゃうるさい感じを表明する、みたいな事をやってみたいです。
__ 
安住の地、どんな団体を目指しますか?
岡本 
代表の中村さんって、結構いろんな役ができるんですけど、そういう団体にしたいなと思って。個人的にはラベリングされるのが凄く苦手です。あの劇団はああいう芝居をする、みたいな。その道はその道で極めればいいかもしれないですけど、僕はその時ホットなものを、できるだけ真剣な状態でやりたいなと。中村さんと一緒にやりたいというのも、そういう理由はあります。そんな団体にしたいですね。
__ 
ラベリングされたくないと。
岡本 
そうですね。
__ 
いつか、何かのスタイルを発見するのかもしれませんね。
岡本 
そうですね、それに関しては全然否定的ではないです。もともと劇団をやりたいと思ったのも、何かを積み重ねていきたいと思って旗揚げしたので。やっていくうちに何かこれだなと思ったものを見つけたとしたら、それを極めていくかもしれません。ポケモンで言う、メタモンのような。
__ 
メタモン。ごめんなさい、私ポケモンは一切やらないので・・・
岡本 
メタモンというのは、ゴムまりのようなポケモンで、成長するとどんなポケモンにもなれるんですよ。
__ 
そのメタモンというのは、メタモンのままで強くなれるんですか?
岡本 
出来ます出来ます。メタモンはいろんなものになれるんですけど、レベルが上がっていくと強い技とか覚えるんです。
安住の地 第一回公演『渓谷メトロポリス化計画』
脚本・演出:岡本昌也
日程:2017年6月30日(金) ~ 7月2日(日)
会場:アトリエ劇研

【出演】

|中村彩乃|森山やすたか|大崎じゅん|私道かぴ|市毛達也|

【スタッフ】

|ドラマターグ:中西一志|舞台監督:中西一志|舞台監督補佐:濱田真輝|
|舞台美術:森山やすたか|舞台美術補佐:市毛達也|照明:吉津果実|
|映像:岡本昌也|音響:福井裕孝|衣装:大崎じゅん|宣伝美術:岡本昌也|
|ヴィジュアルワーク:私道かぴ/大崎じゅん/中村彩乃|情報宣伝:私道かぴ|
|web:岡本昌也|制作:にさわまほ|製作:安住の地/アトリエ劇研|