可愛いを発見する

__ 
いまふと思ったんですが、可愛い、というのは主観的で曖昧な、共有の難しい基準ですね。絶対的なものではなくて、自分にしかその価値は発見出来ない、そういう性質を持っているんじゃないかと思う。
坂井 
私が思う、可愛いと思う物の一つに「ティム・バートンの世界」があるんです。気持ち悪いという人もいるけれども、あの不気味さが可愛いんですよね。代表作の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」、この作品を子供の頃に見てトラウマを植え付けられたんですけど、ものすごく印象深い作品として自分の中に残ったんです。不気味さと可愛さというのはイメージとして方向性が全然違うんですけど、なのになんだか憎めない可愛らしさが混在するあの世界観が大好きですね。

エゴイズムを考える

坂井 
個人的には、周りの人間に楽しんでもらう時間を過ごすことで、ありがとうという気持ちを返したい、というのは、エゴだなと・・・そう感じることはあります。
__ 
相手の気持ちを想像していたら、創造なんてできないのかもしれませんね。
坂井 
それはエゴだよと言われるようにならない程度にしていきたいなと思ってます。そこの塩梅は難しいですよね。でも人間が本当に好きなので、それが高じて尽くしてしてまったりして。それがちょっとしんどいと言われてしまったことがあります。ああ、これがエゴなんだなあと。損してない?って。
__ 
二人で作るものですからね。気持ちを捧げたい相手と作るプロセス。相手の返事を待つ、という姿勢だったりとか。
坂井 
そうですね。何か見返りが欲しいと思っているわけではなくて、ただただ楽しんでもらえたら嬉しいという。それは完全な自己満足ですね。
__ 
そうですね。そうですよ。

これから

__ 
今後どんな感じで攻めていかれますか?
坂井 
今は演劇部時代の後輩たちと舞台を作っていますけれども、もっと、外部の劇団の方とご縁ができたらいいなと思っています。アプローチしていきたいですね。私自身も劇団そのものも手探り状態の完全に成長段階です。

クリスマスカード

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
坂井 
ありがとうございます。(開ける)これは可愛い。
__ 
クリスマスカードです。
坂井 
クリスマスカードをすごく好きなんですけど、こういうのを贈る機会とかってデジタル化が進んでから無くなってきていますよね。贈る相手もないし、貰うこともないし。こういうの好きなんで欲しいなあと思いながら。でも嬉しいです。ありがとうございます。

劇団速度、そして彼らが見たい景色

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。舞台芸術研究会、そして劇団速度の野村さんにお話を伺います。最近、野村さんはいかがお過ごしでしょうか。
野村 
先週、本番が終わりまして。それが今年の活動おさめでした。劇団速度は今年の3月に旗揚げしたんですが、それからずっと忙しくて。つまり、いい感じだったと思います。
__ 
Juggling Unit ピントクルの主催するショーケース「秘密基地vol.6」での作品、タイトルは「寝てるあいだに死んじゃったらどうしよう」ですね。残念ながら拝見出来ませんでしたが、どんな作品だったんでしょうか?
野村 
劇団速度は僕を含めて4人で活動しているんですけど、今回初めて別の人に演出をしてもらったんです。別に、僕がしたくなかったわけではなく、劇団速度ってこういうものもやれる、色々な事がやれるみたいなカラーを作りたかったんですね。今回お願いしたのは精華大1回生の陶芸コースの子で、初演出になりました。演劇的なジャグリング作品になったと思います。主催から頂いていたのは「ジャグリング作品」という依頼だったんです。
__ 
というと。
野村 
今回は、「モノを配置する事に主眼を置いたジャグリング作品があるらしい」ということで。そこからアイディアを借りて、それで、「食べ物」を使ったんです。それも普通の用途では使わない。最初は豆腐を落下させて使おうと思ったんですけど、それが問題があって。それは飛び散り方が問題だったんですね。凍らせて水分抜いたり、いろいろ試したんですけど制御ができなくて。ちょっとだけ作品のコンセプトをいじって、お弁当という設定に変えたんです。おにぎりと卵焼きを落下させたんです。
__ 
おにぎりを落下させた時の興奮が手がかりになりそうですね。
野村 
豆腐の場合は落下させたら食べ物じゃなくなるという瞬間があって。おにぎりの場合は落下させたらぐちゃっとはなるんですけど、おにぎりはおにぎりなんです。食べ物というレッテルが剥がれ切らない。食べ物を粗末にするな、みたいな反応をやっぱりいただきましたね。人と切り離されたモノを主体とした時間の中で、そういう影響を受ける人、そうでない人、それぞれどのような反応を示すのか。シュミレーションをした演出を稽古場で試していましたね。面白かったと思います。すごく静かで。密かに進行している劇的な瞬間。落とすモノを変えると、作品の見え方も変わってしまう。そういう意味でも、やっぱりあれはジャグリング作品だったんじゃないかなと思っています。
劇団速度
2016年3月に旗揚げ。代表は野村眞人。演劇を考えるための演劇、その過程が作品化することに特徴がある。また、活動は演劇作品の発表に留まらず、フロアジャグリングの手法を用いたパフォーマンス作品「寝てるあいだに死んじゃったらどうしよう」や、食べ物を食べることを用いて詩の在り処を探るパフォーマンス作品「摂食」など、多岐に渡る。
舞台芸術研究会
2015年4月発足
京都を中心とする舞台系術や伝統芸能の鑑賞及び批評活動を行う。読書会ではこれまでにアントナン・アルトーやジャック・デリダを扱った。実践的な活動として、同年11月にB・シュトラウス原作の「終合唱」を上演。
Juggling Unit ピントクル主催 オムニバス公演『秘密基地vol.6』
公演時期:2016/12/10~11。会場:スタジオヴァリエ。

舞台芸術研究会の発足から

__ 
舞台芸術研究会ではどんなことをしているんですか?
野村 
実は今、事実上は活動停止していまして。まず、最初から話したいんですけど、当初は僕は演劇をやりたい人ではなかったんですよ。演劇を研究テーマとして使いたかったんです。まずは見たかった。でも自分一人で見て感想を持っても蓄積されていかないし、ノートを作って感想を書き連ねていたとしてもやっぱり限界がある。蓄積されたと思っていてもそれが独りよがりであったり、凝り固まったりしていくのも嫌だったし。誰かと一緒に見に行って、感想を語り合うのがいいんじゃないかなと思って。いわば批評活動ですね。演劇を見ることを常態化する、生活に組み込むことで、演劇を見ることを盛り上げたかった。
__ 
そうですね。感想を言い合うと深まりますよね。本当に。
野村 
でも、なかなか定期的に見るとしてもお金がかかりますし、話しただけでは蓄積されない。レポートとかを出してもらおうとしたんですけど、集まりが悪くなったりして。ちょっと尻すぼみになっちゃいましたね。でも面白かったのが、演劇を見る、勉強する団体である舞台芸術研究会で成果発表公演のような位置付けで公演を行うことになったんですが、そうなると人は集まるんですよ。
__ 
そして、劇団速度。
野村 
舞台芸術研究会は演劇を見て演劇論を読んで、受容者としての素地を作り、上演をすることとは別のベクトルで演劇に対して能動的になるための団体でしたが、やっぱり、それだけじゃないだろうと。実践と理論をわけるという意味で劇団速度を作りました。旗揚げ公演として上演したのが、「珈琲店」です。

劇団速度

__ 
「珈琲店」は面白かったです。
野村 
メイエル・ホリドを研究したくて。彼のレリーフ演劇という手法なんですが、緞帳が降りている状態でちょっとはみ出ている部分のみを舞台として用いる、観客とすごく近く奥行きがゼロとなる、というものなんです。人間が横向きでしゃべるんですが、絵画や彫刻などのモチーフを連想させる演劇をやってみようと思ったんです。戯曲「珈琲店」は、250年前のコメディア・デラルテです。仮面劇なんですが、仮面を使えばレリーフ演劇ができるんじゃないか。横を向けばエジプトの壁画みたいな効果になるんじゃないか、と思って。そういう可能性があるのかなと思って。ただ、物語が吉本新喜劇みたいな内容で、ベネチアのある広場で話は進みます。広場に店を構える店主や従業員たちが、事件が起きてはわらわら出てきておしゃべりする。それをその中の店の一つである珈琲店からの視点でまとめてある。それで、会場である喫茶フィガロを、劇場というよりまさに喫茶店として使ったんですが、稽古の過程で喫茶店という場所が強い意味を持ってきてしまって。最終的には、劇空間と喫茶店空間の二つの中間で葬式をする、みたいな形でまとめたんですね。
__ 
葬式?
劇団速度『珈琲店』
2016年3月10日(木)-3月13日(日)
各回20:00開演
料金:一般2000円 学生1500円
※珈琲一杯付き
会場:喫茶フィガロ

原作 カルロ・ゴルドーニ
演出 野村眞人
出演(五十音順)
後藤禎稀
城間典子
瀬戸沙門
武内もも
中西みみず(Juggling Unit ピントクル)
南風盛もえ

速度の段階

__ 
劇団速度は、旗揚げから、どのように変わっていきましたか。
野村 
演劇の実践の場として劇団速度を立ち上げたんですけど、それから段階を経て、「演劇を考えるための道具としての演劇をする劇団」になっていきました。それからさらに、道具であり、「表現でもある」、がつけ加わったというのが変化といえば変化です。というのは、2016年の京都学生演劇祭で、森山さんに指摘されたんです。「君は研究者になるのかアーティストになるのかどちらかにしたほうがいいよ」って。今でも、演劇は道具としての捉え方が強いですが、人前で何かする以上、表現になってしまわざるを得ないところに対して責任を持とうと。無責任なことやってたなと思ったんです。僕自身はそういう風に変わりましたね。
__ 
なるほど。
野村 
劇団速度にはいろんなメンバーがいて。アニメを作るために勉強している人や、陶芸を専門的に学んでいる人、ダンサー、シンガーの人もいます。次はダンス作品を上演しようと思っています。個展を開いても面白いのかなと思っています。劇団速度は所属メンバーの活動のプラットフォームとして機能させたい。最終的にすべてが演劇に還元されれば良い。劇団の名を冠してはいますが、でもそれはそういうものだという感じで思ってもらいたいです。

戯曲は必要なのか

__ 
今興味のある領域は何ですか?
野村 
一言で言うと、戯曲は必要なのか問題、です。戯曲を使うことは一般的なんですが、それをちょっと考えたい。僕は戯曲はいらないと思っているんです。戯曲の内容を演出家が解釈し、現代性だとかアクチュアルなものを付け加えて披露するために戯曲は必要ないんじゃないか。と同時に、作と演出を兼ねるということは好ましくないと思っていて。つくづく、戯曲は一要素に過ぎない、縛られてはいけないと思いますね。照明や音響と同じレベルで考えるべきなんじゃないかと。
__ 
それは主体ではないと。
野村 
俳優と観客、それが最重要のコアだと思います。戯曲はなくてもいいものに過ぎないと思っているんですけど。とはいえ、言葉は大事です。セリフ≠戯曲≠言葉というか。それこそ、このあたりは言を尽くして説明しないといけないんですけど。

死ぬということ

__ 
もし好きな超能力が一つ得られるとしたらどうしますか?
野村 
ちょっと超能力とは違うかもしれないですけど、死んでみたい。正確には、死んだ記憶を持ちたい。ですかね。
__ 
死後には何が待ち受けてるんですかね。もしかしたら、意識とか普通に残ってて、で、めっちゃ働かされる。だったらどうします?
野村 
ああ、それ、子供時代の地獄のイメージです。太い柱に付いた歯車をみんなで延々と回すイメージ。
__ 
全ての命が、そっちの世界に送られて、この世界の宇宙の原理を支えるために働かされる、みたいな。
野村 
怖いですね。天国のイメージもあって、それはふかふかの綿あめみたいなソファがあって、床に座って、美女にお酒を注がれて、延々とお酒を飲む。僕はそれも怖いんですよ。
__ 
ああ、嫌ですね。
野村 
さっき死んでみたいと言いましたけど、死んだ記憶を持ちたいだけで、死にたいわけじゃないですよ。絶対死にたくない。最後に生き残る一人でもいいから。
__ 
それまで生きていた自分の環境とか関係とか、そういうものをから全て離され、全然知らん世界に住まわされるのが嫌なんですかね。

質問 中谷 和代さんから 野村 眞人さんへ

__ 
前々回インタビューさせていただいた中谷和代さんから質問を頂いてきております。「ダメだと分かっているけれどついやってしまうことは何ですか。」
野村 
たくさんあるんですけど、携帯灰皿がない時でもタバコを吸ってしまうこと、他にもたくさんあります。本当にたくさんあります。

質問 出田 英人さんから 野村 眞人さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた出田英人さんから質問です。「きっと自分には回ってこない役を教えてください」
野村 
歌って踊れる主人公。
__ 
いつかさせられるかもしれませんけどね。
野村 
まあないでしょうね。

とはいえ生活は続く

__ 
野村さんが上演する時に、観客はどのような存在であってほしいと思いますか?
野村 
まず演劇の成立条件として必要。まず、その場にいてほしいですね。でもその居方に関しては思うところがあります。例えば俳優はその場における自分の居方を考えるけれどもお客さん自身にも自分の居方を考えて欲しい(作品側からその形式を提示してもいいんですけど)。よく演劇を見るお客さんはその居方が固まっているような気がしているんです。それをちょっとをほぐしてほしい。「珈琲店」でも、喫茶店のお客さんとしていて欲しかったんですね。僕の演出手法が色々至らなかったこととかもあったんですけど。
__ 
観客の、劇場における居方。
野村 
劇場に演劇を観に行く。それを特定のありかたに固めないでほしい、と思います。
__ 
それはなぜそう思われるのですか?
野村 
演劇とは非日常であると形容されるじゃないですか。確かに劇場に行くと、周囲から隔離され、暗転すれば闇になるし、なんとなく危険な感じするじゃないですか。劇場はそういう場所であるべきだと思うんですけど、とはいえ生活は続くし、俳優もスタッフも作品の中だけで生きてるわけじゃない。生活は続いてるんですね。演劇は一回性の芸術だと言われますが、それは幻想だと思います。その幻想が演劇の非日常性という一側面を誇大化させていると思います。観客として、確かに全く同じステージは二度と見ることがないと思いますけど、だからこそ生活に根ざして緩やかに作品は続いていく。再生可能な音楽や小説は、再生するたびに違う感想を抱いたりする。それは、作品をその都度自らに引き寄せて受け入れるからです。そういう意味ではむしろ一回性は高いと思う。一方で演劇は生活軸へのより深い接触があるんじゃないか、という気分があるんですよ。
__ 
というと。
野村 
演劇を見ることが非日常豊かな幻想に浸れるものじゃなくて、生活というものとそう変わらないんじゃないか、という気がするんです。その人が生活する時の態度そのままに劇場に来て、巻き込まれてほしい。演劇を見ることにオーソリティなんてないし、演劇を見ることは私にとってこれこれこうだという捉え方をするみたいなことはしないでほしいと思うんです。態度を決めこまないでほしい、というか。
__ 
生活と切り離された演劇がそこにあるというわけではなく、生活と言う時間の中で見た演劇は、個人と不意に衝突する、という事象としてとらえなおすべき、という事でしょうか。
野村 
僕はその先に、演劇の完成された姿を見出そうとしています。生活の終着点は死だと思うんですよ。死んだも同然という文脈ではなく、そのもの肉体的な死。その生活の終着点を劇場にしたい。つまり「葬式」をしたいんですよ。演劇の上演というものが、葬式だといいなと思っているんです。
__ 
それは全てのリアルが行き着く先ですからね。
野村 
とにかく、まずはそれが見たいんです。それで死を理解できるとは思えないんですけど、理解できないものを形式を用いて人間の認識可能な範疇に収めるというのが人間の歴史だと思うんですね。僕は死に最大の興味がある。演劇であれば死を扱い切ることができるんじゃないか。

行動

__ 
傑作について、どのような考えをお持ちですか?
野村 
僕の考える、ありうべき傑作は葬式だと思ってるんですけど、それが存在していない以上は何とも言えなくて。ただ僕が演劇を始めた理由は、ただ漠然と、演劇の二文字があって。それについてつらつらと考えてる日々だったんですけど。ある日何かを見に行ってみようと思って、地点のファッツァーを見たんですよ。衝撃だった。初めて見た演劇がファッツァーだったっていうのも衝撃だと思うんですが、「光のない」も見て僕は演劇をやろうと決めたんですね。誰かに衝撃を与えるだけではなく、物理的に行動させる、それが傑作なんだと思います。それと、傑作は時代を超えると思っていて。僕は以前タデウシュ・カントールと言うポーランドの演出家の作品をビデオで見たことがあるんですけど、それがまさに傑作で。一昨年が生誕100周年で、そのシンポジウムに行ったんですけど、それを映像で見て、めちゃくちゃ良かったんですよ。
__ 
というと?
野村 
演劇がいかにして演劇なのか、という姿を見たんですよ。日本語の字幕がついていたんですけど、セリフから内容の理解はできない、まあできる部分もあるんですけど、理解はそんなに大事ではない。でもわかるんです。俳優も老人を使っていて、(訓練はされているんですけど)目を引く美男美女とか、鍛え上げられた肉体では全然なかった。わけのわからない、異様な空間で。孤独とか音響照明、セリフとか、そういう要素のすべてが同じレベルでならされていてでもそれが全て完全に重要である、不可欠である。その一つ一つが何かの補助ではなく拮抗している状態で、素晴らしいなと思いました。それぞれがセッションをしているわけではない。
__ 
並存して存立しているということ?
野村 
ああ、そうです。バンドのようにセッションしているわけではなくて、それぞれが独立して動いていてある瞬間にバチっとくるような感覚。めちゃくちゃ素晴らしかったです。映像で見ても傑作であることには関係ないのかもしれませんね。もちろん生で見たかったとは思いますけど。

これから

__ 
今後どんな感じで攻めて行かれますか?
野村 
来年は年間を通じて同じチラシを撒き続けようと思っています。来年はいろいろやろうと思うんですよ。演劇のようなこともするしライブペイントもするし、展覧会もするし。だから、そのチラシに興味を持ってもらえたら。早くお目に掛けたいです。
__ 
楽しみです。

自己紹介

ミニ門松

__ 
今日はですねお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。よろしければどうぞ。
野村 
ありがとうございます。なんだろう。(開ける)あはは、いいですねこれ。ちょっとこれ悔しいですね。やられた感があります。門松かあ。

京都駅、寒い夜

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。劇団ZTONの出田さんにお話を伺います。最近、出田さんはどんな感じでしょうか。
出田 
よろしくお願いします。えーっと、最近は劇団が忙しいです。公演がいっぱいあるのと、学校にワークショップに行ったりしていて。そういう仕事が先月ぐらいからアホほど入って。ありがたいことです。
__ 
素晴らしい。儲けてくださいね。どんな内容なんでしょうか。
出田 
内容としてはコミュニケーションゲームと、簡単な演劇の触りをやって。コミュニケーションについて子供たちと一緒に考える時間ですね。
__ 
なるほど。
出田 
あとは、ちょっと脚本をいじっています。いつかどこかでやれたらいいなあと思っています。
__ 
素晴らしい。いつか拝見出来たら嬉しいです。
劇団ZTON
2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(以下略)(公式サイトより)

劇団ZTON 10th Anniversary「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】

__ 
さあ、ついに一月ですね。覇道泰平。意気込みを教えてください。
出田 
先日東京で上演したものを含めれば今回で4作品目なんですよね、そのうち2作品はほぼ再演なんですが。今回も、最初の作品に引き続き、僕が曹操を演じさせてもらいます。劇団に入ったのが4年か5年ぐらいなので、その当時から覇道と一緒に歩んだ3年間の集大成と言うか。そして、ZTONの十年の集大成でもある、という。有終の美を飾りたいなと思っています。
__ 
終わらないで下さいね。これからも続いて行ってほしいです。そう、出田さんの曹操の演技はとにかく印象的でした。とにかく忘れられないですよ。
出田 
ああ、姿勢悪いやつ。
__ 
姿勢悪いヤツ?あ、そうですね確かに。前編の作品は普通の好青年だったのに、後編では姿勢悪いヤツでしたね。劉備にいじられ続け、人間性がまるっきり変わって中二病になってしまった曹操。あのキャラ変は面白かったです。
出田 
そうですね、首に黒い羽つけたりして。姿勢悪かったです。腰と首にくるんですよね。でも、面白いと言っていただければ嬉しいです。
__ 
最近はキャラ変する役が多いですね、出田さんは。
出田 
そうですね、何でしょうね。覇道を見て、河瀬さんに何かスイッチ入ったのかもしれませんね。「キャラ変やらせとけ」と。
__ 
ティルナノーグでもそんな感じでしたしね、出田さんが演じたエオヒド。とにかく可哀想でした。後半になったらいきなり仮面をつけ始めたりするし。
出田 
どうしたんですかね彼は一体。主人公に感情移入してたらなんやねんあいつ、と思われるかもしれないですけど、2・3割の人に可哀想だなと思ってもらえてたら嬉しいな。
__ 
私はかわいそうだと思いましたよ。神様に尽くしたにもかかわらず、主人公には後ろから刺されて、牢獄に閉じ込められて、後半は都合のいい時に解放されて戦わせられると言う。ポケモンみたいな扱いになってましたね。可哀想すぎて面白かったです。
出田 
(笑う)
劇団ZTON 10th Anniversary「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】
【日程】
 2017年1月27日(金)~29日(日)
  1月27日(金)18時30分開演
  1月28日(土)14時開演
  1月28日(土)◆18時開演
  1月29日(日)12時開演
  1月29日(日)16時開演
  ※受付開始は開演の45分前、開場は30分前です。
 ◆印のステージはアフターイベント(写真撮影会)を実施します。
 上演終了後、劇中でのZTON劇団員達の名シーンをなんとその場で再演しちゃいます!
 しかも、この時は写真撮影OK!

【会場】
 ABCホール

【キャスト】
  <劇団ZTON>
   為房大輔 出田英人 高瀬川すてら
   レストランまさひろ 図書菅 門石藤矢
   前田郁恵 久保内啓朗 黒木柚真

  <GUEST>
   黒原優梨
   児島真理奈
   渡辺健太
   
   今池由佳
   魚水幸之助
   小野村優
   小出太一(劇団暇だけどステキ)
   土肥嬌也
   
   平宅 亮(本若)
   御竹龍雪(笑撃武踊団)

  <アンサンブル>
   浅場幸子 大塚洋太 尾崎秀明
   竹折英雄(たてびと) 丹羽愛美 溝口大成(本若)
   

【配役】
  司馬懿…黒原優梨
  徐庶 …門石藤矢
  陸遜 …渡辺健太

  劉琦 …児島真理奈
  魏延 …土肥嬌也

  劉備 …為房大輔
  関羽 …御竹龍雪
  張飛 …平宅 亮

  曹操 …出田英人
  夏侯惇…レストランまさひろ
  夏侯淵…久保内啓朗
  水龍 …前田郁恵

  許褚 …図書菅
  黄龍 …今池由佳

  孫権 …高瀬川すてら
  周瑜 …小出太一
  黄蓋 …魚水幸之助
  風龍 …小野村優


【チケット・公演に関するお問い合わせ】Z
劇団ZTON vol.12「ティル・ナ・ノーグ ~太陽の系譜~」
公演時期:2016/7/22~24。会場:ABCホール。

こういう事なんだ、って思えるほど積み重なった

__ 
どんな公演にしたいですか。
出田 
もう、満足して欲しいです。最初の作品から足掛け3年半ぐらい経っていて、初演バージョンからやっていて、その時気付かなかった事にも気付くようになるんですよ。こういう事なんだ、って。まだまだ出来ることがあるんだなと。
__ 
終わった公演の作品に対して、洞察が働いていく?そうか、台本を覚えて、理解したとしても、「そこに書かれていない事」にはなかなか気付けないですからね。
出田 
一公演だけだと台本読み切れていないことがあるんだなあ、と思います。一年経つと初演の時に「なんで僕はこう演じなかったのか」みたいな事に気付くんですよね。その時はその時で一生懸命だったんですけれども。何年も同じ役をやった分、ダイレクトに分かるんです。
__ 
意識の外にあるものがある。
出田 
まだまだ僕がお芝居でやれる事ってたくさんあるんだなって。
__ 
そういう想像の厚みというのはお客さんにダイレクトに伝わるものだと思います。台本に書かれていない領域、それは逆に言うと白目で見ているんじゃないかなあと思います。直感的に。

「劉備玄徳、ここで散れ」

__ 
曹操は今回、どうなってしまうんでしょうね。
出田 
言っちゃっていいんでしょうかね、これ。
__ 
ああ、まだあんまり知りたくないな・・・
出田 
でも最終形態になりますよ。最初の元気だった頃の曹操がバージョン1で、次の姿勢悪いヤツがバージョン2だとしたら、バージョン3をすっとばして4に行きますね。「あ、このパターンなのね」と思ってもらえるんじゃないかと。
__ 
中二病の次のバージョンが「意識高い系」だとしたら、さらに次は「普通にいいヤツ」かなあ。年取って、落ち着いた大人になってしまう、とか?
出田 
どうなるんでしょうね、お楽しみに。少なくとも、今回で劉備との決着が付きます。サブタイトルになってるから言っていいと思うんですけど、「劉備玄徳、乱世とともにここで散れ」と。
__ 
あ、死ぬんですか劉備。
出田 
どうですかね!それは劇場で。

ZTONの、実は・・・

__ 
出田さんは、ZTONのどういうところが好きなんですか?
出田 
河瀬さんの顔が広いから、外の人と絡む機会が多くなるんですよね。自分一人では中々。トップがプロデュース力ある人なんで、色々体験させていただいてます。あと、厳しい目線で見てもらえるんですね。
__ 
どんな事を言われてきましたか。
出田 
公演によって違うんですけど、「やっぱり役者は自然にリアクション出来ていれば演技出来るんだよ」とか、見栄えの技術についてはいっぱい指摘もらえますね。
__ 
ありがとうございます。ところで、ZTONそのものってどんな雰囲気なんですか?
出田 
結構、付かず離れずなんですよ。めっちゃ仲良いか、というと。一緒に旅行行くほどではないし、たまに飲みに行くとかもないし。まあ、でも、だらだらする時間もあったりはしますけど。そんなに、スクラムを組んでいる訳じゃないですね。上の3人は3人で独特の空気感があるし。でも、それほど仲が良い訳じゃない感じって僕は嫌いじゃないんですよ。学生劇団の時って、謎の結束力があって。何か知らんけどめっちゃお互いの事を褒めるんですよ。しょうもないヤツの事も褒める。ZTONだと、しょうもないヤツにはちゃんと言うんですよ。そういうドライな距離感が、僕は嫌いじゃないです。