質問 益田さちさんから 楳山 蓮さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、ダンサーの益田さちさんから質問です。「最近見た、衝撃を受けたものを教えてください」
楳山 
うーん。何だろう、難しいな・・・変な答えかもしれないんですが、今朝地下鉄の車内で白杖を持った盲人の方がいたんですね。その方は手すりに掴まってたんですね。で、近くにいた初老のサラリーマン風の方が「座席はこっちですよ」と誘導したんですね。そうしたら、その盲人の方が「ちょっと待ってください、今あなたはどんな表情で私を誘導したんですか?」って、相手の顔を触ったんです。
__ 
おお。
楳山 
僕はちょっと、行儀悪いんですけど引いてたんですよ。話を聞いていると按摩さんみたいで、「良いおでこの形をしていますね」とか「果物はお好きですか」と聞いてて、そのリーマン風の方も、バッチを付けてたんでそこそこ要職の方だったと思うんですが、戸惑いつつもきちんと応対していて。
__ 
ノッたんですね!
楳山 
リーマン風の方が「私は京都駅で降りるんですが、あなたはどちらまで?」「私はね、くいな橋までなんですよ。私は職業柄疲れている人に接する事が多いんですが、その疲れはね、けして悪い疲れではないんです。心地よい疲れなんです。」と。ブラックジャックの針法師琵琶丸を思い出しました。針刺して「ウム、手ごたえあり…」とか言いそうな、そんなオーラを持っていました。まあ今日の約束があったので僕は御池で電車降りたんですけど…
__ 
そういう事なら、全然大丈夫でしたよ!
楳山 
いえいえいえ。あの後どんな展開になったか気になりますよね。声掛けたりすれば良かったのかな?でも、僕は聞いているだけで良かったんだと思います。「事実は小説よりも奇なり」だなと思いました。
__ 
そうですね、そこに居合わせた楳山さんという存在を含んでの成立だと思いますよ。ある意味、演劇でしたね(笑)

vol.492 楳山 蓮

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2016/春
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楳山

お客さんを呼ぶこと

楳山 
僕、ものすごく集客にこだわっているところがあって。僕が関わる公演だったら最低でも個人で50人は呼ぶ、ということを目標にしているんです。『CEREMONY』に関しては昨日やっと達成したんですけど。
__ 
おお、すごい。
楳山 
呼ぶからにはもちろん責任を持つ、と。それはもちろん面白くするという事でもあるし、「面白くなかった」と言われたら「ちょっと奢るから」と一緒に飲みに行って、そこで何が面白くなかったかを聞く…という気持ちで呼んでいます。というのは大学時代…僕は大谷大学の劇団蒲団座に所属していたんですが、お客さんが二人しか来なかったステージがあったんです。鴻上の『トランス』を上演したんですが、まぁ地獄でしたね。それがとにかく悔しくて、もうあんな思いは二度としないと誓ったんですよ。やる側も観る側もたまったものじゃないですし。僕なんかはまだ大学を卒業して間もないですし、もっと上手な人は勿論たくさんいらっしゃいます。それこそ30代。40代の方には敵わないところがあって当たり前だと思うんです。でも集客に関しては負けたくなくて。だから自然に、外へ足が向くんですね。面白い人たちが集まっているところに出向いて、すると色々、演劇を通して人と繋がって仲良くなっていくんですね。不純かもしれないですけど、人と人とのコミュニケーションが増えるというのは演劇の一つの力かもしれませんね。ある意味、演劇を利用して友達作ってるのかもしれません。勿論、演技も磨いていかなきゃいけないんですけどね。
__ 
いえ、王道だと思いますよ。

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楳山

昂らせたい

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか。
楳山 
アングラをやってみたいですね。それこそ、肉体を昂らせたいですね。
__ 
それは何故でしょうか。
楳山 
普段、あんまり怒らないからですね。怒らない訳じゃないですけど、何とか言葉で解決しようとするので。それはやっぱりフラストレーションがたまるんですね。なんか、凄く暴れたいという思いがあるんだと思います。昔、演劇集団Qの卒業公演に出させてもらった時に唐をやったんです。あの時はもうとにかくキツかったんですけど、反面ものすごく楽しくて。本格的にやりたいですね。肉体を酷使して、暴力的な演技をしてみたいんです。でも普通の会話劇も出来るようになりたいですね。しばらく遠ざかっているので、うまく出来るか分からないですけど。
__ 
逆に、納得がいかないのはどういう演技ですか?
楳山 
これはジャンルを問わないと思うんですが、不本意な目の動きですかね。身体を凄く動かすパフォーマンスの時とかも、次の動作のために目がその方向に動く、みたいな。それはきっと演技じゃないんですよね。マイム公演に出させてもらったとき「瞬きもひとつの表現だよ」と教えられまして。自分でも意図していない瞬きだとか目の動きをやってしまったときに、自分で気付いてしまって気持ちが途切れてしまうこともあって。そういう癖は直していきたいですね。
__ 
目から送受信している情報はとても大きいですからね。
楳山 
そうですね。だから、舞台の内外を問わず見られるのが怖い時期もありました。
__ 
目の見えない人は、だから確認したくなるのかもしれませんね。

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楳山

色んな人に出会いたい

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
楳山 
攻める、というか、演劇以外のこともやっていきたいですね。というか、今は表現云々よりも旅がしたいです。人間観察が凄く好きで、稽古場でのも演出家のモノマネをしちゃったりするんですけど。旅という手法でなくても、色んな種類の人に出会いたいですね。そこでまた視野を広げていけたらと思います。

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2016/春
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楳山

L'UOMO 男のハンドクリーム

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
楳山 
ありがとうございます。(開ける)ハンドクリーム。あ、僕手がカサカサなんですよ。嬉しいです。

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楳山

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近、益田さんはどんな感じでしょう。全般的に。
益田 
全般的に!2016年は、とても嬉しいことにダンサーとして割とバタバタしていました。色々な踊りに関わることで、充実した一年だったと思います。
__ 
良かったですね。どんな充実でしたか。
益田 
良い意味で考え込む事のない感じでした。次から次へと・・・。充実していると感じられるのは幸せな事ですね。でも、ダンス以外の事はあんまり出来ていないです。映画を見に行くのが好きなんですけど、今年6本くらいしか見れていなくて。今は少し落ち着いたので、KYOTO EXPERIMENTを見に行ったりとかしました。

vol.491 益田 さち

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益田

KIKIKIKIKIKI マーラー交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

__ 
KIKIKIKIKIKIのマーラー交響曲第7番ホ短調「夜の歌」。とっても良かったです。
益田 
ありがとうございます。
__ 
どこがどう良かったかと言うと、ダンサー全員が格好付ける感じが凄く爽快だったんですよね。まるで見栄を切っているようで、見ていると元気をもらえたというか、私の代わりに啖呵を切ってもらっているような気がしたんです。本当は、みんなあんな風に格好良くなりたいんじゃないかなあ、って思いました。
益田 
「見栄を切る」という感想は意外な感じです。もちろん最初はそんな風に気張ってた部分もあったんですけど(今回、初めて共演する方ばっかりだったので)、稽古が進んでいくうちに、そういう格好付けた部分をどんどん取り払っていったような。もっともっと、いい意味で体裁を忘れていく、言葉は間違っているかもしれませんが、ばかになっていくというか。
__ 
なるほど。
益田 
演出のきたまりさんも、最後までちゃんと向き合ってくださいました。きたまりさんは、何が良くて何が悪かったかきちんと評価してくださるんですね。もっと出せるところを出していったり、逆に削ぎ落としていったり。きたまりさんの作品の作り方は、言葉による創作というより、とにかくやらせるところなんです。体で見せてなんぼというか。でも、だからと言って言葉を置き去りにするんじゃなくて、ちゃんと説明をしてくださって、こちらの意見もちゃんと聞き入れて下さって、特には厳しく・ただ厳しいだけじゃなくて、作品を作る上で大切な事を仰って下さいました。
__ 
だからかな、全員で、「夜の歌」というダンス作品を大切に作り上げたという印象が強くあります。だってあんなに盛りだくさんの作品を、全員で余すところなく織りあげたんですから。後半はドラマチックなダンサー同士の掛け合いがまるでオペラのように連鎖して。
益田 
本当に盛りだくさんでした。ほかのダンサーさんとの掛け合いもありましたが、個人的には自分の中にあるものが自然と出てくるような感覚になっていました。例えば作品の中で、私ではないのですが、1人の演者が他者を傍観している時間があったんですけど、あれも「即興でマーラーの音を聞いて動いて下さい」という指示の時にたまたまその人が傍観している姿が自然で良かった、って。作者の想像からの演出というよりも、一人一人のその時のテンションや姿が作品に反映されていたと思います。
__ 
チラシに「大変だと思いますが今回もマーラーを踊って頂きます」とありましたが、そういう意味だったんですね。振り付けはするけれど、その人にしか出来ない踊りをファーストにしている。
益田 
きたまりさんは、たぶんなのですけど、そのダンサーがどんな動きをするのかをまず見てくださったと思います。ある型にはめ込むという事はしていなかったと思います。
__ 
ええ。益田さちさんにしか出来ない踊りでしたね。
益田 
私は即興が苦手で、ずっとクラシックバレエをやってきた人間なので、最初は試練でした・・・でも、ちゃんと向き合ったら楽しいし、それがちゃんと作品として成立していくのを見ると嬉しかったです。
KIKIKIKIKIKI マーラー交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
公演時期:2016/10/14~18。会場:アトリエ劇研。

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益田

高野裕子新作ダンス公演「Sheep creeps the roop」

__ 
そのすぐ後に出演された「Sheep creeps the roop」、これももちろん、とても良かったんです。こちらの作品は、心のあり方というか、そんなのを感じました。語弊を承知で申し上げると「女」を凄く強く感じました。きっと、女の中から生まれてきた作品なんじゃないかって。女性の中の女性性だけが持つ、理性とはかけ離れた自然。これが人間をどのように動かしているのか、みたいな。彼女たちがお互いに関係しあう様子も、なんだか群であったり村だったり、お互いの精神に深く関係しあいながら、その中でいつか生まれる悲しさがだけが特権的に持つ美しさが浮上していたと思うんですよね。彼らダンサーが、なんとなく納豆みたいにお互いに引き寄せられあいながら、ばらばらとほどけていって。何となく彼らの成長があったと思うんですよね。女が自然の中でどのように自立をするのか、その様を見たような気がするんです。
益田 
いまちょっと嬉しかったのが、演出の高野さんに「今の動き納豆みたいにして」って言われたんです。そう見えてたんですね。
__ 
納豆当たってましたか。
益田 
お互いの関係性もだし、見えない糸で繋がっている感覚をイメージして動いたところがあったので。でも、女性性というところは、今回踊っていて全然気にしていなかったワードでした。ダンサーも振付の高野さんも全員女性だから、そうなってしまうのかも・・・
__ 
いえ、全然。私が勝手に女性を見出していたんです。お互いに干渉しあったりする時の間合いとかにもね。
益田 
でも、すごく意図と近いなと思ったのは、作品の冒頭は羊水をイメージしてたんですね。まだ自分に形がない時をイメージしていました。空間全体が女性になっていたのかな。
__ 
踊っていて、どうでしたか?
益田 
ひつじ(Sheep creeps the roopって長いのでそう略してるんですけど)を踊る時は、毎回違う旅をしているかのような経験でした。最初のシーンは、真っ暗な中でゆっくりゆっくり立ち上がるんですけど、ある程度時間は決まってるんですけど、毎回する度に全然違う立ち方なんですね。ちょっとだけ決められた事はあるんですけど、言ってみれば自由に動いていいから、自分の中の感覚を探っていくというか。その時に室内が暑かったり寒かったりで全然違う感覚。最初のシーンも、その時の自分の認識(自分の身体が床に触れているな、とか、演出の高野さんの言葉が聞こえたりとか)その時々で全然感覚も違う。
高野裕子新作ダンス公演「Sheep creeps the roop」
公演時期:2016/10/23。会場:OVAL THEATER。

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益田
益田 
「ひつじ」には作中、仮面が小道具として登場したんですが、その存在が私にとっては大きくて。作品の中心になっていたと思っています。
__ 
ああ、出てきていましたね。ちなみにあれは、本人に似せたものなんでしょうか。
益田 
そうなんです。似てましたか?
__ 
はい。とても。
益田 
良かったです!美術は白水麻耶子さんという方が担当してくださって。普段は尾道で作家をされていて、ギャラリーに訪れたお客さんの似顔絵を描かれているんですね。その仮面と向き合う事が、自分と向き合う事だったんですね私にとっては。葛藤していたときの事をたくさん思い出さざるをえなくて。その時の気持ちが、作品にも表れていたと思います。
__ 
辛い気持ち。
益田 
今は薄れてきているけれども、当時は大ごとなわけで、その時の気持ちを純粋に思い出していました。ずっと仮面を付けて踊っていると何故か、付けている事を忘れていくんですよ、不思議な事に。自分のつもりで踊っているけれども、観ている人にとっては私の素顔は見えていない。自分は自分でいると思っているのに。そして、いざ仮面を外して素顔をさらしても、本当はもう一枚仮面を付けているのかもしれないと思ってしまったり。偽りがある自分。仮面というレイヤーを付ける事で気付きました。
__ 
私ももちろん仮面を被って日常を送っているんですが・・・
益田 
そういう方は多いですよね。
__ 
その為に感情を上手く出せなくなってしまう事もあるんですよね。ひどくなると、自分の感情が分からなくなってしまうのかもしれない。
益田 
いつ、その仮面を外したらいいのか、外したくても外せなくなったり。
__ 
洗練されたダンス作品であり、同時に、非常に示唆的な構成の作品でしたね。
益田 
演出の高野さんが丁寧に深く考えて作られた作品でした。出演者としても大切に踊りたいという気持ちでした。
__ 
あえて伺いますが、あの作品をご覧になったお客様にどう感じてもらいたいですか?
益田 
うーん、私の場合はあんまり無いですね。どの作品を見て頂くときも、どう感じて頂いても良いと思っています。こんな作品をします、とお誘いして、来ていただくでも、来れないです、でも、お返事なしでも結構ですし・・・それを誘導しようとするのはちょっと違うのかな、と思います。自分自身が、純粋にこう踊りたいとか、こう踊るべきと思って向き合っていれば良いのかなと。どう感じて欲しいかとまで狙って深読みしてしまったら。例えばここで笑いを取ろうだとか、ある種の反応を期待し演技して、もしそれが違う、と感じたら、失敗だったという気がしてしまうんです。
__ 
舞台に立つ時、あなたにとって観客はどんな存在であってほしいですか?
益田 
来て頂いたからには、楽しんで見て頂きたいです。でも、一番は、偽らないで見てほしいです。
__ 
というと?
益田 
眠たかったら眠って頂いてもいいし(笑う)楽しいだったら楽しい、素直に受け止めて下さったら。難しいなと思っても、素直にそのまま受け止めて頂きたいですし、分からなかったらその事を、出演者と話す機会があったらそれは私にとって凄く嬉しいことですし。何を思われても間違いじゃないと思うんですね。

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益田
__ 
ダンスを始めた経緯を伺ってもよろしいでしょうか。
益田 
3歳になる前にクラシックバレエを始めました。母親が、女の子が生まれたらバレエを習わせたいということで。でも無理やり習わせるのは嫌だったみたいで、私が自ら習いたいと言うまで見学に連れられました。2つ上の女の子の友達もずっとバレエをしていて、その子の踊る姿を見て始めました。
__ 
今はどんな理由で踊っていますか?
益田 
松本芽紅見さんというダンサーの踊っている姿を見て。それまでコンテンポラリーダンスはあんまり知らなかったんですが、その方を見て凄い衝撃を受けたんです。凄く素敵な方なんです。私もこの方のように踊りたいと思ったのが大学生の頃です。それからどっぷりハマっていって。大阪でクラスを受け持っていらっしゃったので、受けに行って。コンテンポラリーダンスをしたいと言ったら、京都で毎年開催されているWSを教えて下さって。きたまりさんともそれがキッカケで出会いました。
__ 
どんな衝撃だったんですか。
益田 
・・・正直、その作品の事はあんまり覚えていなくて。でも、愕然としたんですよ。なんで私、これをしていないんだろうって。
__ 
それは凄いですね。
益田 
なんだか分からないけど、これをしなきゃ、って。根拠はないけどそう思ったんですよ。ものすごく憧れを持ったんです。
__ 
その憧れは、いまも尾を引いていますか?
益田 
当初は松本さんの影響を受けて模倣ていたりしたんですが、今はそうでなくって自分の中にコンテンポラリーダンス自体が大切なものとしてしっかりあって。もちろん今もとても憧れていて叶わない目標なんですけど。ずっと追っかけいくよりは、ほかの方の踊りを見たり自分と向き合ったりしたいなあと思っています。
__ 
私は今の益田さんの踊りに興味がありますよ。
益田 
ありがとうございます!
__ 
今は、どんな分野に興味がありますか?
益田 
最近は何か作品を見ていて、一つだけの感想・好きか嫌いか、だけで受け止めていない、色んな感情が混ざり合うんですね。何を見ても興味が持てるようになったんですね。違うジャンルのダンス、例えばHIPHOPとかを見ても面白いなと思うので。それこそダンスじゃなくても興味があります。もっと、見れる人になりたい。
__ 
それはなぜ?
益田 
しっかりと見ている人・捉えている人は、自分の作品にも生かせているなあと思っていて。知らないことは言えないのと同じで、見えていないと作れない。より、色んなものを見たいですね。一つのものも、よりしっかり見る。一つのものにしても結構色々な見方が出来るんですよね、タイトルから受け取る先入観もそうですし。

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益田

質問 FOペレイラ宏一朗さんから 益田 さちさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、FOペレイラ宏一朗さんからです。「あなたにとって、音楽は何ですか?」
益田 
音楽。最近、ダンスをするのに音楽って良くも悪くも重要だなあと思っていて。パーカッションだけでの演奏を見たことがあるのですけど、音楽の力が強すぎてなんだかショックをうけた覚えがあります。「音楽とは何ですか」という質問には答えきれないですね。
__ 
そうなんですね。
益田 
でも音楽って、BGMとしてどこでも鳴っているし、気付いたら鼻歌で歌っていることもあるし、あと最近、不思議だなと思うんですが、頭の中で再生する音楽が不思議で不思議でしょうがないですよね。
__ 
ああ、音声情報ってかなり正確に再生されますよね。
益田 
そうなんです。最近そういうことが気になりますね。全然、質問の答えになってなくてすみません。でも、音楽っていう、それだけで成立するものに合わせて踊るのって、プレッシャーというか、どんな意味のある事なんだろうと考えちゃったりして。でも、「マーラー」の稽古で即興の時に言われたのは、例えばシンバルの音が鳴った瞬間、その音を取るか、それとも真逆に、無視して静かにしておくことも出来るということです。音楽を聴いているだけでは実現出来ない騒と静が同時にある状況を、ダンスで作り出すことも出来る。そういう広がりというか、可能性があるんだ、って勉強をさせて頂きました。

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益田
__ 
いつか、どんなダンスが踊れるようになりたいですか?
益田 
これは、こんな事がありえるかどうか分からないんですけど、自分が100%納得するダンスが踊ってみたいです。見に来ていただいたのに申し訳ありません。でもやっぱり、100%の納得をしたことがないので。でもそうなったら満足してやめちゃうのかもしれません。
__ 
志、というところもありますよね。非常に丁寧に構成された作品であっても、心が整っていなければ、みたいなところもあるかもしれない。

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益田

5’00” vol.20参加作品 ソロ「ナナリフ」

__ 
来月、ソロを踊られるんですよね。
益田 
さっきもちょっと言いましたが、あんまり先入観を持たずに見て頂きたい作品になると思います!今回、自分自身が純粋に音楽を聴いて楽しめるダンスをしたいと思っています。
__ 
楽しみです。
5’00” vol.20
公演時期:2016/11/13。会場:a.room

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2016/春
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益田
__ 
益田さんは今後、どんな感じで攻めていかれますか?ポジティブな意味で。
益田 
あまりゴリゴリと攻める感じではないのですが、今後の目標は、もっと周りをちゃんと見る。そのためにはまず自分の事をちゃんと把握して、いつでもレディな状態でありたいです。自分だけが突っ走るというよりは、周りを見て。
__ 
それは真のレディネスですね。
益田 
ありがとうございます!

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2016/春
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益田

和菓子のブローチ

__ 
今日はですね、お話をうかがえたお礼にプレゼントをご用意いたしました。
益田 
ありがとうございます。蔦屋書店、大好き。(開ける)あ、可愛い。美味しそうな・・・
__ 
和菓子ですね。
益田 
こんな可愛らしいものを選ぶんですね。どこに付けようかな。

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2016/春
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益田

ペレイラさんの今

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近、いかがお過ごしでしょうか。
ペレイラ
最近は忙しくさせて頂いてますね。自分の劇団で11月の17~20日まで公演させていただくのと、今働かせて頂いてるところの仕事で、学校公演に出演させていただくんですね。それに加えて、また別で、僕の母校の定時制高校に劇団で公演をしに行くことになりまして。その3つが11月に三週間続けてって感じです。非常に充実しています。
__ 
人気者ですね。
ペレイラ
いえいえ、人気者ではないですけど。でも来年は2月に庭劇団ペニノの公演もあります。
__ 
そう、今年5月に庭劇団ペニノ「ダークマスター」へ出演をされましたね。東京公演は来年の2月。頑張ってくださいませ。その話はまたあとで伺えればと思います。演劇以外はどうですか?
ペレイラ
演劇以外はやってないですね、友達と飲んだりはしますけど、休みも不定期なので、1時間ぐらい遊ぼうと思ったら一人でカラオケにいくぐらいで。休み、無いですね、1日休みというのはもう3か月ぐらいないです。
__ 
ヤバイですね。適当に休むべきですよ、過労死だけは・・・
ペレイラ
はは、大丈夫です。自分で調整できるので、そんなには。放置すると後で詰まってくるので、まあリボ払いみたいなものですよ。
プロトテアトル
プロトテアトル「prototheatre=試作劇場(あるいは試作演劇)」2013年6月、主宰FOペレイラ宏一朗を中心に近畿大学に通う同級生で旗揚げ。扱う作品に決まった形はなく、それは演劇が未完成=試作品であると認識しているから。団員全てが個別に主導するワークショップ「n,o,t,e.プログラム」や劇団による短編演劇祭「フェスティバル」など、本公演だけでなく独自の企画も行っている。
【受賞歴】2015年2月、第四回本公演「ノクターン」がウイングカップ5最優秀賞を受賞。(公式サイトより)

プロトテアトル短編演劇祭フェスティバル#2

__ 
さて、11月には短編演劇祭ですね。どんなフェスティバルになりそうですか?
ペレイラ
前回は本当に夏祭りで、7ジャンル7作品の新作を書きました。会話劇、コント、時代劇、エンタメ、音楽劇、不条理劇、沈黙劇。雑多としていてお祭り感はあったんですけど、ちょっと演劇祭というのからは離れたというところがあったのかな、と。今回は関西の劇作家さん4名の方々に短編の脚本を依頼しました。
__ 
非常に魅力的な作家陣(久野那美(点の階)、野村有志(オパンポン創造社)、福谷圭祐(匿名劇壇)、山本正典(コトリ会議))ですが、どんな選ばれ方をされたんでしょう。
ペレイラ
どの方も、僕が公演を見て面白いと思った劇作家さんです。30分から45分という指定でお願いして、A・Bのセットでの上演となります。ショーケース公演という形に近いと思います。
__ 
ありがとうございます。公演情報を拝見したところ、テーマは「戦争」、のようですね。
ペレイラ
はい、脚本のテーマを指定させていただきました。「戦争」と「平和」と「お祭」の3つ、そのすべてを混ぜて使ってもいいし一つだけでもいい、という指定をさせていただきました。ただ、結構内容がそれぞれリンクしているところがあって。そういう部分にお祭りを感じるところもあるんじゃないかと思っています。
__ 
なるほど。お客さんに、どんな風に感じてもらいたい公演でしょうか。
ペレイラ
演劇の懐の深さだったりとか。楽しめば良いんだ、と思ってもらいたいですね。演劇をやっている人って疲れている人が多いと思うんですね。若い人は色々なものを意欲的に見ていて、多種多様な演劇があふれていることに無感覚になっていたり、疑いをもつ人も多いんじゃないか、僕もそういう時期があったんですね。これも演劇と呼ぶのか、ではなく、「演劇だからいいじゃん」ぐらいに感じてもらえたらと思います。作品を鑑賞するというよりも、演劇を楽しむ、ぐらいの感じで来てもらえたらより面白く思えるのかなと。
__ 
意気込みを教えてください。
ペレイラ
盛り上げたいです。作品だけの演出だけじゃなくて、公演としての盛り上げの演出を考えています。単に上演しても十分面白い作品なんですけど、やっぱりお祭りと言っている以上は。戦争と平和という、考えざるをえないテーマですけど、それをあんまり意識させないような時間になればいいなと思います。普遍的なテーマですけど、祭も原始時代からありますし、人間もそれから遠くないので、それを何も考えずに見てもらえたらなと。
プロトテアトル短編演劇祭フェスティバル#2
2015年、8月。
新企画、短編多ジャンル演劇祭として誕生した「フェスティバル」。
2回目となる今回は、関西で活躍する4名の劇作家の書下ろし短編をペレイラが演出。
文化祭の時期に、世代・作風を超えた演劇祭を行います。
■上演スケジュール
11月17日(木) 20:00~(A)
18日(金) 20:00~(B)
19日(土) 13:00~(A) ☆16:00~(B) 20:00~(A)
20日(日) 11:00~(B) 15:00~(A) 18:00~(B)
☆=アフタートークあり トークゲスト:can tutku 番頭 中野聡さん

■作品群
「戦争くんと平和ちゃん」・・・A
作・福谷圭祐(匿名劇壇)
「あかい木の下のカナ江」・・・A
作・山本正典(コトリ会議)
「一つの石と二羽の鳥」・・・B
作・久野那美(点の階)
「アカガミキタカラ、ヨマズニタベタ」・・・B
作・野村有志(オパンポン創造社)
■演出
FOペレイラ宏一朗

■出演
西琴美 豊島祐貴 小島翔太 小山亜衣 FOペレイラ宏一朗 
野村眞人(劇団速度) 有川水紀

■スタッフ
舞台監督/ニシノトシヒロ(BS-?)
舞台美術/竹腰かなこ
音響/近松祐貴(オリジナルテンポ)
照明/山口星(NEXT・lighting)
制作/竹内桃子
宣伝美術/アラキハルカ(SODA TOWER)

■会場
カフェ+ギャラリー can tutku

■チケット料金
・一般 前売り2500円 当日2800円
・学生 前売り2000円 当日2300円
・高校生以下 前売り・当日1500円
・AB共通券(予約のみ)
一般4500円 学生3500円 高校生以下2500円
予約はこちらから→http://ticket.corich.jp/apply/76157/001/

新作を書く

__ 
最近のテーマを教えてください。
ペレイラ
新作を書こうと思っています。今年の1月にリーディング公演をしたんですが、実は自分の書きたかったテーマで書こうとしたのにどうしても書けなかったんですね。そのテーマにもう一度挑みたいと思います。書ききるというのが戯曲作家としての最低条件なので。何故出来なかったのかを考えて。作家と演出家が同居するんですよ、僕。それぞれの僕がやりたかったことが別々にあったことに気付かなかったんです。終わってから、二作品に分けて書こうと思うようになりました。演出家としての自分に振り回されないように。
__ 
なるほど。では、演出家としてのテーマはいかがでしょう。
ペレイラ
演出家としては俳優に仕事を任せることが中々出来なかった部分があって。信じていなかった訳ではないんですが、僕がやってきたことはそうではなかったんですね。ペニノに出た時に分かったんですが、タニノさんの演出を受けて、ペーペーの僕に演技を任せて下さったんです。これは素晴らしいことなんだな、と。
__ 
俳優を信頼する。
ペレイラ
演技に対する俳優の責任を上げることで、作品のクオリティは上がるんだな、と。演出家が作りたいもの、たとえば「0.何秒の間を作って下さい」とか、そういう自分から出てきているものだけではなくて、俳優から出てきたものを信頼するというか。絶対的な指定を事細かにすれば全ての俳優が完璧になるかもしれませんが、その俳優でやる意味はない。プロデュース公演ならそうした技術は必要になるかもしれませんが、劇団でやるのであれば、俳優から生まれてきたものを信頼し、生かすというのは重要なことなんだと思います。もちろん、取捨選択は自分の中で行いますけれども。伸びしろを期待するというか。どれも全部当たり前だとは思いますけど、僕は出来てなかったんですよね。
__ 
なるほど。
ペレイラ
言葉を尽くす。俳優に通じる、共通する言語でちゃんと話す。そういうことが大事なのかな。最近、深津さんに深く関わられていた方とお仕事する機会がありまして、お話を聞いているとやっぱり深く俳優を信頼しておられて、言葉を尽くされていた方だった、と。そして、最後まで劇作家として演出家として立っておられた方だったと思っているので。
__ 
任せるのは大変勇気がいることだと思いますが、いかがですか。ちなみに私は躊躇なく任せてしまうタイプです。そちらの方が楽なので。
ペレイラ
やっぱり、演出家も俳優も、埋没を選ばずに演劇をするというのなら、お互いに言葉を尽くして・お互いに何でもしなければならないと思うんですね。やっぱり、お互いにあんまり言い合わない安定した関係を維持して本番を迎えて、そしてお互いに叩かれてしまうのが悲しいことなんじゃないかなと思うんです。任せると投げるのはちょっと違うのかなと思うんです。
__ 
任せるためには何が必要ですか?
ペレイラ
任せるためには自分の責任を相手に示さなければならない、というか。ここからは僕の領域だからこれはする、そして、そこの演技はあなたを信頼しているからお願いします、ということだと思います。「適当にやってください」は投げだと思います、僕は。どうしてそういう風になるのかを出せれば、それは指示だと思うんですね。

「エウレカ」

ペレイラ
「エウレカ」では、僕は、この世界で埋没して死んでほしく無かったんですね。夏休みの自由研究が終わらない女の子と、学生運動のデモ隊と警官隊との衝突に巻き込まれた生徒が校舎に逃げてきて・・・
__ 
生きているのか死んでいるのか分からない。
ペレイラ
僕は個人的に、あの作品で叫びたかったんですね。死ぬな、って言いたかったのは、生命的にというだけじゃなくて。

__ 
影響を受けた作品や人を教えてください。
ペレイラ
演劇系の人だと深津篤史さん、太田省吾さん、水沼健さん、タニノクロウさん、MODEの松本修さん、ハイナーミュラー、そして土田英生さん。でも、僕は関西で、観た人だったり創作に関わらせていただいた人には大体影響を受けていますね。演出家だったり作家だったり俳優だったり、影響を受けてない人は誰もいないと思います。
__ 
今書きたいテーマは?
ペレイラ
新作は夢について書こうと思っています。ウイングフィールドのHOT PRESSに寄稿させて頂いた時に、自分の視点を書いて下さいと言われたんですが、自分の視点がぼんやりしている事を自覚しまして。それは今の「知りたい情報が何でも手に入る情報化社会において、生きているのか死んでいるのか分からない瞬間」。自分が死んでも世界が動いているような感覚。死んで空から世界を見下ろしている妄想に似ていて、自分の人生だけど、自分が影響できないところで世界の大部分が勝手に動いている・・・そういう夢の感覚をテーマに書こうと思います。タイトルは決まっていて「行進曲-マーチ-」。歩き続けなければいけない人間の夢の話をしようと思っています。
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お金という価値観が強くなりすぎた現在、生の実感はさらに感じにくくなっていると私は最近思っています。時間すらがお金や用事に換算され、時間の浪費とかモラトリアムが持てない、(贅沢なようだが)そういう不幸がある。
ペレイラ
都合の良い夢を見ている時間から醒めた時の方が、現実が終わったという感覚が強い気がするんです。それをテーマに書きたいです。厳しいですね、現実は。だから演劇を創るのかもしれません。