速度の段階

__ 
劇団速度は、旗揚げから、どのように変わっていきましたか。
野村 
演劇の実践の場として劇団速度を立ち上げたんですけど、それから段階を経て、「演劇を考えるための道具としての演劇をする劇団」になっていきました。それからさらに、道具であり、「表現でもある」、がつけ加わったというのが変化といえば変化です。というのは、2016年の京都学生演劇祭で、森山さんに指摘されたんです。「君は研究者になるのかアーティストになるのかどちらかにしたほうがいいよ」って。今でも、演劇は道具としての捉え方が強いですが、人前で何かする以上、表現になってしまわざるを得ないところに対して責任を持とうと。無責任なことやってたなと思ったんです。僕自身はそういう風に変わりましたね。
__ 
なるほど。
野村 
劇団速度にはいろんなメンバーがいて。アニメを作るために勉強している人や、陶芸を専門的に学んでいる人、ダンサー、シンガーの人もいます。次はダンス作品を上演しようと思っています。個展を開いても面白いのかなと思っています。劇団速度は所属メンバーの活動のプラットフォームとして機能させたい。最終的にすべてが演劇に還元されれば良い。劇団の名を冠してはいますが、でもそれはそういうものだという感じで思ってもらいたいです。

戯曲は必要なのか

__ 
今興味のある領域は何ですか?
野村 
一言で言うと、戯曲は必要なのか問題、です。戯曲を使うことは一般的なんですが、それをちょっと考えたい。僕は戯曲はいらないと思っているんです。戯曲の内容を演出家が解釈し、現代性だとかアクチュアルなものを付け加えて披露するために戯曲は必要ないんじゃないか。と同時に、作と演出を兼ねるということは好ましくないと思っていて。つくづく、戯曲は一要素に過ぎない、縛られてはいけないと思いますね。照明や音響と同じレベルで考えるべきなんじゃないかと。
__ 
それは主体ではないと。
野村 
俳優と観客、それが最重要のコアだと思います。戯曲はなくてもいいものに過ぎないと思っているんですけど。とはいえ、言葉は大事です。セリフ≠戯曲≠言葉というか。それこそ、このあたりは言を尽くして説明しないといけないんですけど。

死ぬということ

__ 
もし好きな超能力が一つ得られるとしたらどうしますか?
野村 
ちょっと超能力とは違うかもしれないですけど、死んでみたい。正確には、死んだ記憶を持ちたい。ですかね。
__ 
死後には何が待ち受けてるんですかね。もしかしたら、意識とか普通に残ってて、で、めっちゃ働かされる。だったらどうします?
野村 
ああ、それ、子供時代の地獄のイメージです。太い柱に付いた歯車をみんなで延々と回すイメージ。
__ 
全ての命が、そっちの世界に送られて、この世界の宇宙の原理を支えるために働かされる、みたいな。
野村 
怖いですね。天国のイメージもあって、それはふかふかの綿あめみたいなソファがあって、床に座って、美女にお酒を注がれて、延々とお酒を飲む。僕はそれも怖いんですよ。
__ 
ああ、嫌ですね。
野村 
さっき死んでみたいと言いましたけど、死んだ記憶を持ちたいだけで、死にたいわけじゃないですよ。絶対死にたくない。最後に生き残る一人でもいいから。
__ 
それまで生きていた自分の環境とか関係とか、そういうものをから全て離され、全然知らん世界に住まわされるのが嫌なんですかね。

質問 中谷 和代さんから 野村 眞人さんへ

__ 
前々回インタビューさせていただいた中谷和代さんから質問を頂いてきております。「ダメだと分かっているけれどついやってしまうことは何ですか。」
野村 
たくさんあるんですけど、携帯灰皿がない時でもタバコを吸ってしまうこと、他にもたくさんあります。本当にたくさんあります。

質問 出田 英人さんから 野村 眞人さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた出田英人さんから質問です。「きっと自分には回ってこない役を教えてください」
野村 
歌って踊れる主人公。
__ 
いつかさせられるかもしれませんけどね。
野村 
まあないでしょうね。

とはいえ生活は続く

__ 
野村さんが上演する時に、観客はどのような存在であってほしいと思いますか?
野村 
まず演劇の成立条件として必要。まず、その場にいてほしいですね。でもその居方に関しては思うところがあります。例えば俳優はその場における自分の居方を考えるけれどもお客さん自身にも自分の居方を考えて欲しい(作品側からその形式を提示してもいいんですけど)。よく演劇を見るお客さんはその居方が固まっているような気がしているんです。それをちょっとをほぐしてほしい。「珈琲店」でも、喫茶店のお客さんとしていて欲しかったんですね。僕の演出手法が色々至らなかったこととかもあったんですけど。
__ 
観客の、劇場における居方。
野村 
劇場に演劇を観に行く。それを特定のありかたに固めないでほしい、と思います。
__ 
それはなぜそう思われるのですか?
野村 
演劇とは非日常であると形容されるじゃないですか。確かに劇場に行くと、周囲から隔離され、暗転すれば闇になるし、なんとなく危険な感じするじゃないですか。劇場はそういう場所であるべきだと思うんですけど、とはいえ生活は続くし、俳優もスタッフも作品の中だけで生きてるわけじゃない。生活は続いてるんですね。演劇は一回性の芸術だと言われますが、それは幻想だと思います。その幻想が演劇の非日常性という一側面を誇大化させていると思います。観客として、確かに全く同じステージは二度と見ることがないと思いますけど、だからこそ生活に根ざして緩やかに作品は続いていく。再生可能な音楽や小説は、再生するたびに違う感想を抱いたりする。それは、作品をその都度自らに引き寄せて受け入れるからです。そういう意味ではむしろ一回性は高いと思う。一方で演劇は生活軸へのより深い接触があるんじゃないか、という気分があるんですよ。
__ 
というと。
野村 
演劇を見ることが非日常豊かな幻想に浸れるものじゃなくて、生活というものとそう変わらないんじゃないか、という気がするんです。その人が生活する時の態度そのままに劇場に来て、巻き込まれてほしい。演劇を見ることにオーソリティなんてないし、演劇を見ることは私にとってこれこれこうだという捉え方をするみたいなことはしないでほしいと思うんです。態度を決めこまないでほしい、というか。
__ 
生活と切り離された演劇がそこにあるというわけではなく、生活と言う時間の中で見た演劇は、個人と不意に衝突する、という事象としてとらえなおすべき、という事でしょうか。
野村 
僕はその先に、演劇の完成された姿を見出そうとしています。生活の終着点は死だと思うんですよ。死んだも同然という文脈ではなく、そのもの肉体的な死。その生活の終着点を劇場にしたい。つまり「葬式」をしたいんですよ。演劇の上演というものが、葬式だといいなと思っているんです。
__ 
それは全てのリアルが行き着く先ですからね。
野村 
とにかく、まずはそれが見たいんです。それで死を理解できるとは思えないんですけど、理解できないものを形式を用いて人間の認識可能な範疇に収めるというのが人間の歴史だと思うんですね。僕は死に最大の興味がある。演劇であれば死を扱い切ることができるんじゃないか。

行動

__ 
傑作について、どのような考えをお持ちですか?
野村 
僕の考える、ありうべき傑作は葬式だと思ってるんですけど、それが存在していない以上は何とも言えなくて。ただ僕が演劇を始めた理由は、ただ漠然と、演劇の二文字があって。それについてつらつらと考えてる日々だったんですけど。ある日何かを見に行ってみようと思って、地点のファッツァーを見たんですよ。衝撃だった。初めて見た演劇がファッツァーだったっていうのも衝撃だと思うんですが、「光のない」も見て僕は演劇をやろうと決めたんですね。誰かに衝撃を与えるだけではなく、物理的に行動させる、それが傑作なんだと思います。それと、傑作は時代を超えると思っていて。僕は以前タデウシュ・カントールと言うポーランドの演出家の作品をビデオで見たことがあるんですけど、それがまさに傑作で。一昨年が生誕100周年で、そのシンポジウムに行ったんですけど、それを映像で見て、めちゃくちゃ良かったんですよ。
__ 
というと?
野村 
演劇がいかにして演劇なのか、という姿を見たんですよ。日本語の字幕がついていたんですけど、セリフから内容の理解はできない、まあできる部分もあるんですけど、理解はそんなに大事ではない。でもわかるんです。俳優も老人を使っていて、(訓練はされているんですけど)目を引く美男美女とか、鍛え上げられた肉体では全然なかった。わけのわからない、異様な空間で。孤独とか音響照明、セリフとか、そういう要素のすべてが同じレベルでならされていてでもそれが全て完全に重要である、不可欠である。その一つ一つが何かの補助ではなく拮抗している状態で、素晴らしいなと思いました。それぞれがセッションをしているわけではない。
__ 
並存して存立しているということ?
野村 
ああ、そうです。バンドのようにセッションしているわけではなくて、それぞれが独立して動いていてある瞬間にバチっとくるような感覚。めちゃくちゃ素晴らしかったです。映像で見ても傑作であることには関係ないのかもしれませんね。もちろん生で見たかったとは思いますけど。

これから

__ 
今後どんな感じで攻めて行かれますか?
野村 
来年は年間を通じて同じチラシを撒き続けようと思っています。来年はいろいろやろうと思うんですよ。演劇のようなこともするしライブペイントもするし、展覧会もするし。だから、そのチラシに興味を持ってもらえたら。早くお目に掛けたいです。
__ 
楽しみです。

自己紹介

ミニ門松

__ 
今日はですねお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。よろしければどうぞ。
野村 
ありがとうございます。なんだろう。(開ける)あはは、いいですねこれ。ちょっとこれ悔しいですね。やられた感があります。門松かあ。

京都駅、寒い夜

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。劇団ZTONの出田さんにお話を伺います。最近、出田さんはどんな感じでしょうか。
出田 
よろしくお願いします。えーっと、最近は劇団が忙しいです。公演がいっぱいあるのと、学校にワークショップに行ったりしていて。そういう仕事が先月ぐらいからアホほど入って。ありがたいことです。
__ 
素晴らしい。儲けてくださいね。どんな内容なんでしょうか。
出田 
内容としてはコミュニケーションゲームと、簡単な演劇の触りをやって。コミュニケーションについて子供たちと一緒に考える時間ですね。
__ 
なるほど。
出田 
あとは、ちょっと脚本をいじっています。いつかどこかでやれたらいいなあと思っています。
__ 
素晴らしい。いつか拝見出来たら嬉しいです。
劇団ZTON
2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(以下略)(公式サイトより)

劇団ZTON 10th Anniversary「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】

__ 
さあ、ついに一月ですね。覇道泰平。意気込みを教えてください。
出田 
先日東京で上演したものを含めれば今回で4作品目なんですよね、そのうち2作品はほぼ再演なんですが。今回も、最初の作品に引き続き、僕が曹操を演じさせてもらいます。劇団に入ったのが4年か5年ぐらいなので、その当時から覇道と一緒に歩んだ3年間の集大成と言うか。そして、ZTONの十年の集大成でもある、という。有終の美を飾りたいなと思っています。
__ 
終わらないで下さいね。これからも続いて行ってほしいです。そう、出田さんの曹操の演技はとにかく印象的でした。とにかく忘れられないですよ。
出田 
ああ、姿勢悪いやつ。
__ 
姿勢悪いヤツ?あ、そうですね確かに。前編の作品は普通の好青年だったのに、後編では姿勢悪いヤツでしたね。劉備にいじられ続け、人間性がまるっきり変わって中二病になってしまった曹操。あのキャラ変は面白かったです。
出田 
そうですね、首に黒い羽つけたりして。姿勢悪かったです。腰と首にくるんですよね。でも、面白いと言っていただければ嬉しいです。
__ 
最近はキャラ変する役が多いですね、出田さんは。
出田 
そうですね、何でしょうね。覇道を見て、河瀬さんに何かスイッチ入ったのかもしれませんね。「キャラ変やらせとけ」と。
__ 
ティルナノーグでもそんな感じでしたしね、出田さんが演じたエオヒド。とにかく可哀想でした。後半になったらいきなり仮面をつけ始めたりするし。
出田 
どうしたんですかね彼は一体。主人公に感情移入してたらなんやねんあいつ、と思われるかもしれないですけど、2・3割の人に可哀想だなと思ってもらえてたら嬉しいな。
__ 
私はかわいそうだと思いましたよ。神様に尽くしたにもかかわらず、主人公には後ろから刺されて、牢獄に閉じ込められて、後半は都合のいい時に解放されて戦わせられると言う。ポケモンみたいな扱いになってましたね。可哀想すぎて面白かったです。
出田 
(笑う)
劇団ZTON 10th Anniversary「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】
【日程】
 2017年1月27日(金)~29日(日)
  1月27日(金)18時30分開演
  1月28日(土)14時開演
  1月28日(土)◆18時開演
  1月29日(日)12時開演
  1月29日(日)16時開演
  ※受付開始は開演の45分前、開場は30分前です。
 ◆印のステージはアフターイベント(写真撮影会)を実施します。
 上演終了後、劇中でのZTON劇団員達の名シーンをなんとその場で再演しちゃいます!
 しかも、この時は写真撮影OK!

【会場】
 ABCホール

【キャスト】
  <劇団ZTON>
   為房大輔 出田英人 高瀬川すてら
   レストランまさひろ 図書菅 門石藤矢
   前田郁恵 久保内啓朗 黒木柚真

  <GUEST>
   黒原優梨
   児島真理奈
   渡辺健太
   
   今池由佳
   魚水幸之助
   小野村優
   小出太一(劇団暇だけどステキ)
   土肥嬌也
   
   平宅 亮(本若)
   御竹龍雪(笑撃武踊団)

  <アンサンブル>
   浅場幸子 大塚洋太 尾崎秀明
   竹折英雄(たてびと) 丹羽愛美 溝口大成(本若)
   

【配役】
  司馬懿…黒原優梨
  徐庶 …門石藤矢
  陸遜 …渡辺健太

  劉琦 …児島真理奈
  魏延 …土肥嬌也

  劉備 …為房大輔
  関羽 …御竹龍雪
  張飛 …平宅 亮

  曹操 …出田英人
  夏侯惇…レストランまさひろ
  夏侯淵…久保内啓朗
  水龍 …前田郁恵

  許褚 …図書菅
  黄龍 …今池由佳

  孫権 …高瀬川すてら
  周瑜 …小出太一
  黄蓋 …魚水幸之助
  風龍 …小野村優


【チケット・公演に関するお問い合わせ】Z
劇団ZTON vol.12「ティル・ナ・ノーグ ~太陽の系譜~」
公演時期:2016/7/22~24。会場:ABCホール。

こういう事なんだ、って思えるほど積み重なった

__ 
どんな公演にしたいですか。
出田 
もう、満足して欲しいです。最初の作品から足掛け3年半ぐらい経っていて、初演バージョンからやっていて、その時気付かなかった事にも気付くようになるんですよ。こういう事なんだ、って。まだまだ出来ることがあるんだなと。
__ 
終わった公演の作品に対して、洞察が働いていく?そうか、台本を覚えて、理解したとしても、「そこに書かれていない事」にはなかなか気付けないですからね。
出田 
一公演だけだと台本読み切れていないことがあるんだなあ、と思います。一年経つと初演の時に「なんで僕はこう演じなかったのか」みたいな事に気付くんですよね。その時はその時で一生懸命だったんですけれども。何年も同じ役をやった分、ダイレクトに分かるんです。
__ 
意識の外にあるものがある。
出田 
まだまだ僕がお芝居でやれる事ってたくさんあるんだなって。
__ 
そういう想像の厚みというのはお客さんにダイレクトに伝わるものだと思います。台本に書かれていない領域、それは逆に言うと白目で見ているんじゃないかなあと思います。直感的に。

「劉備玄徳、ここで散れ」

__ 
曹操は今回、どうなってしまうんでしょうね。
出田 
言っちゃっていいんでしょうかね、これ。
__ 
ああ、まだあんまり知りたくないな・・・
出田 
でも最終形態になりますよ。最初の元気だった頃の曹操がバージョン1で、次の姿勢悪いヤツがバージョン2だとしたら、バージョン3をすっとばして4に行きますね。「あ、このパターンなのね」と思ってもらえるんじゃないかと。
__ 
中二病の次のバージョンが「意識高い系」だとしたら、さらに次は「普通にいいヤツ」かなあ。年取って、落ち着いた大人になってしまう、とか?
出田 
どうなるんでしょうね、お楽しみに。少なくとも、今回で劉備との決着が付きます。サブタイトルになってるから言っていいと思うんですけど、「劉備玄徳、乱世とともにここで散れ」と。
__ 
あ、死ぬんですか劉備。
出田 
どうですかね!それは劇場で。

ZTONの、実は・・・

__ 
出田さんは、ZTONのどういうところが好きなんですか?
出田 
河瀬さんの顔が広いから、外の人と絡む機会が多くなるんですよね。自分一人では中々。トップがプロデュース力ある人なんで、色々体験させていただいてます。あと、厳しい目線で見てもらえるんですね。
__ 
どんな事を言われてきましたか。
出田 
公演によって違うんですけど、「やっぱり役者は自然にリアクション出来ていれば演技出来るんだよ」とか、見栄えの技術についてはいっぱい指摘もらえますね。
__ 
ありがとうございます。ところで、ZTONそのものってどんな雰囲気なんですか?
出田 
結構、付かず離れずなんですよ。めっちゃ仲良いか、というと。一緒に旅行行くほどではないし、たまに飲みに行くとかもないし。まあ、でも、だらだらする時間もあったりはしますけど。そんなに、スクラムを組んでいる訳じゃないですね。上の3人は3人で独特の空気感があるし。でも、それほど仲が良い訳じゃない感じって僕は嫌いじゃないんですよ。学生劇団の時って、謎の結束力があって。何か知らんけどめっちゃお互いの事を褒めるんですよ。しょうもないヤツの事も褒める。ZTONだと、しょうもないヤツにはちゃんと言うんですよ。そういうドライな距離感が、僕は嫌いじゃないです。

セリフの覚えかたとアウトプットについて

__ 
最近のテーマを教えてください。
出田 
最近はなるべく、稽古場に入る前にセリフの読み方を決めないようにしています。覚える時も棒読みで覚えるように。色を付けずに。稽古場での発見を大事にしたいなと思って。ベタですけど。
__ 
いえいえ。もっと詳しく教えてください。
出田 
人と演技を合わせてみると、意外と、自分が思った通りの言い方をしなかったりするんですよ。僕は最近思うんですが、感情って、何かをした結果でしかないな、って。何かをしようと思って行動するけどそれがうまくいかないから怒ったり悲しんだりするのであって、台本を読んだ時にここってこういう感情だよね、と予断するのは順序が違う。日常生活で怒ろうと思って怒る人はいないですよね。例えば他人にいい加減な対応されて初めて怒るのであって(怒ったフリをすることはあっても)。芝居の作り方として、ここはこの登場人物が死んだから怒るんだよね、というふうに稽古場に持って行くのは間違っているんじゃないか。だから最初に感情を考えないようにするというほうが、僕の場合はすごく楽に台本を読めるようになりました。
__ 
凄い事に気づきましたね。
出田 
感情を込めて演技しようと思った時に、この感情のところまで行きたいと思ったりしたのにいかない事ってあるんですよ。例えば涙を出そうと思ったのに出ない。ここまでボルテージを上げたいのになあと思ってもうまくいかない。ああもう、ないならないでいいや!ないならないで正解なんですね。実は怒りじゃなくて悲しいだったり、その場になってみないとわからなかったりするんですよ。そうすると逆に楽しくなってくるんですね。理想の自分の姿を考えずに稽古場に行った方が楽しかったりする。
__ 
なるほど。その時の感情を準備していくというのは確かに違いますね。
出田 
そうやって言ってみると「あれ、ここは泣き所じゃないぞ、」みたいな事に気付くんです。
__ 
まず、当然お客さんはそんなもの用意してませんね。そして役者も用意していない。じゃあその時、誰も次のセリフに対するリアクションを知らない・・・。泣けなきゃ泣けないでいいってことなんでしょうね。そう、それがいわゆる、「会話が出来ている演技」なんですよね、きっと。
出田 
僕、あれなんですよ。あんまり劇団でも殺陣が上手いほうじゃなくて。だから、芝居で勝たなきゃと思って。それから色んなお芝居を見て、たどり着いたと言うか。ZTONって、自分で手がかりを掴んでいく場なんですね。自然淘汰される場なんですよね、僕にとって。自力でやらないと、ただ河瀬さんに怒られて終わる、という。

質問 中谷 和代さんから 出田 英人さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいたソノノチの中谷和代さんから質問を頂いてきております。「ダメだとわかっていてもついやってしまうこと教えてください」。
出田 
深夜にポテチを食べちゃうことですね。
__ 
わかります。どのブランドの何味が好きですか?
出田 
チップスターの塩味が好きですね。
__ 
私はカルビーのうすしおが好きですね。
出田 
あーそうなんですよね。僕もそっちの気分の時はあります。
__ 
カルビーのうすしおは袋によって味が違うんですよ、本当に。そして3袋に1枚ぐらいめちゃくちゃ美味しいやつがあったりするんですよね。チップスターは加工芋だからあまりこれはないんですけど。
出田 
そのブレがないポテトチップスを食べたくなる時があるんですよね。
__ 
逆に、チョコレートとか掛けてある甘いポテトチップスはどう思いますか?
出田 
ああ、美味しいんですけど、量食べられないんですよね。頭悪いじゃないですか、チョコレートポテトチップスにかけるなんて。でもたまにそういう頭悪い食べ物を食べたくなる時があるんですよね。

空気感

__ 
いつか、こんな人や劇団と一緒に作品を作りたいとかはありますか?
出田 
以前、ふらっと劇団飛び道具さんの公演に行ったことがあって。何でしょうね、空気感が凄いなあと思って。うまく表現できないんですけど一朝一夕では表現できない空気感があって。ZTONでは100%ああいう芝居はしないじゃないですか。だからああいう所に行くとすごく勉強になるんだろうな、すげえな、と思ったんですよ。並じゃないな、と。
__ 
飛び道具は凄いですよね。個人的には一番好きな劇団です。
出田 
そう、オーラ的なものが見えるんですよね。空気の色が見えるような感じがあって。あんなのが出来ると、どういう世界が見えるんだろうなあ、と。

色気とは

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
出田 
なんかこう、上手い下手だけじゃない、色気みたいなものがあると思うんですよ。とくにすてらさんとか、後輩で言うと藤矢とかもそういうのはあると思うんですけど。それが僕の次のテーマです。「理由は分からないんだけど好きなんだよねー」って、そういう魅力ってきっと、かなり好き度は高いと思うんですよね。
__ 
具体的に、何をしたらいいんでしょうね?
出田 
そうですね、それが分かれば苦労しないですね。

クリスマスの悲しい思い出


ラーメン鉢、レンゲ、出前一丁(しょうゆ味)

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
出田 
ありがとうございます。
__ 
あ、割れ物なのでお気を付けて。
出田 
あ、これは・・・。ああ、今日の晩御飯は決まりましたね。

ソノノチ「2人の『つながせのひび』」2016/12/14~25@gallerymake[つくるビル]

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。中谷和代さんにもう一度、お話を伺います。最近、中谷さんはいかがでしょうか。
中谷 
8年ぶりなんですよね!懐かしい。よろしくお願いします。最近は次回公演の稽古ですね。6月から10月まで、「東アジア文化都市2016奈良市」の野外舞台公演に関わっていて、やっと11月から稽古の方にシフトし始めたという感じです。今回はダブルキャストなので2チームの稽古をしていまして、毎日のように稽古しています。
__ 
ダブルキャストとは、もしかしてセリフも違うんですか?
中谷 
セリフも違いますし、あと演出も違います。一旦演出のベースを作って、後は役者さんの身体とかセリフの言い方に合わせて変えましょうかみたいな感じです。手触りの違う作品が二つ出来上がってきています。
__ 
演劇以外では、どんな感じですか?
中谷 
去年の年末に結婚しました。それが環境的な一番大きな変化かな。あと今年に入ってからは、自分の劇団で色々お仕事をさせていただく機会が増えました。仕事以外だと、数年前までは自分の好きなこととか趣味みたいなことに時間を使って没頭していたりしたんですけど、結婚したりすると家族のこととか身の回りのこととか、そういう事にあてる時間が色々増えました。あとは、簿記の資格をとりたくて、ゆっくりとですが勉強をはじめました。
ソノノチ
2013年1月より活動を開始。舞台芸術に携わることを職能としている、もしくはそれを目指すメンバーを中心とし、継続的な活動を目指している。ユニット名は、「その後(のち)、観た人を幸せな心地にする作品をつくる」という創作のコンセプトにちなんでおり、フェミニンでファンタジックな「おとぎ話」の中のような会話劇を、細部までこだわったアートディレクション(美術・衣装・広報物)でかたちにしていく。また、第一回公演からこれまで、すべての作品で、物語が繋がっているのも特徴のひとつ。現在は、物販部「ソノノチノチ」によるアートフリマなどでのグッズ販売など、舞台活動以外でも展開を見せている。(公式サイトより)
ソノノチ2016 『絵本から演劇をつくる』プロジェクト 2人の「つながせのひび」
京都の劇団ソノノチとイラストレーターの森岡りえ子が、オリジナルの絵本と、それを原作とした舞台作品をつくります。「大切な人へと受け継がれていく気持ち」をテーマに、”ひびちゃん”と”つきちゃん”の生活を、優しいまなざしで描きます。

庭の植物に水をあげたり、二人してタオルケットにくるまったり
いなくなった猫を探したり、わらって ないて ころげたり…
観客もこの世界の住人のひとりとして、観ていただけたらと思います。

【日程】
2016年12月14日(水)~25日(日)
(月曜休館/延べ11日間 全17ステージ)《各回10席限定》
※期間中、舞台美術にもなる絵画の展示を同時開催しています。

【会場】
gallery make[つくるビル]
(京都市下京区五条通新町北西角 つくるビル1F 104号室)
アクセス:地下鉄「五条駅」2番出口より徒歩5分

【出演】
藤原美保(ソノノチ)
芦谷康介、豊島祐貴(プロトテアトル)《ダブルキャスト》
ここに注目!
1)舞台の上演と絵の展示を同時に開催します。
→森岡りえ子さんの絵画展示は、開廊時間及び、各ステージ終演後にご覧いただけます。また、舞台上演のなかでは、絵画そのものが舞台美術として使われます。絵の世界と劇空間が、空間的にも融合している様子を、ぜひ体感してみてください。
森岡りえ子さんWebサイト:http://riekomorioka.jimdo.com/

2)数量限定の絵本付きチケットを発売します。
→観劇チケットと上演作品の原作となる絵本がセットになった、お得なチケットです。(絵本は少部数のみの発行で、数量限定商品です。)

【スタッフ】
企画・製作:ソノノチ
宣伝美術:ほっかいゆrゐこ
ユーティリティ:脇田 友
演出補佐:外谷美沙子
楽曲提供:いちろー(廃墟文藝部)
制作:渡邉裕史
制作補佐:溝端友香
物販協力:のちノのち、森岡ふみ子

共催:NPO法人フリンジシアタープロジェクト made in KAIKA
平成28年度京都府文化力チャレンジ事業
京都芸術センター制作支援事業