第三劇場 引退公演「ミミズクと夜の王」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、畑迫さんはどんな感じでしょうか。
畑迫 
最近は、所属している第三劇場の方に戻って引退公演の準備をしています。「ミミズクと夜の王」。原作は電撃文庫のライトノベルで、それを舞台化するという事で、反響がすごくて。原作のファンの方が気にして下さったりして。ご期待に応えられるか怖いですね。
__ 
楽しみです。畑迫さんはどんな役どころですか?
畑迫 
今回少年役なんです。三劇に入って初めての役も少年役だったので、リベンジって感じですね。どれだけ上手くなってるかな、って。
__ 
意気込みを教えてください。
畑迫 
しばらく、三劇の本公演には参加していなくて。外に出演させてもらっていたので。良い影響を与えたいなと思います。この公演で学生劇団を引退するので。
第三劇場
第三劇場は1954年に設立された同志社大学を拠点に活動する学生劇団です。オリジナルの脚本の上演を主とし、同志社大学新町キャンパス別館小ホールにて年に5回の公演を行っています。(公式サイトより)
第三劇場 引退公演「ミミズクと夜の王」
原作:電撃文庫『ミミズクと夜の王』(著/紅玉いづき)
脚本・演出:高田美沙希

■日時
10/14(金) 19:00
10/15(土) 13:00/18:00
10/16(日) 14:00
※開場は開演の30分前です。

■会場
同志社大学新町別館小ホール
(京都市上京区新町通今出川上ル近衛殿表町159‐1)





vol.489 畑迫 有紀

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畑迫

ないすばでぃプロジェクト「コーヒー荳たべちゃった」

__ 
畑迫さんは外部への出演が多いですね。夏から劇団しようよ、ないすばでぃプロジェクトの2本に出演されていましたね。まず、ないすばでぃプロジェクト「コーヒー荳たべちゃった」。いかがでしたか。10回ものロングラン公演でしたが。
畑迫 
10回もやれば途中で飽きるかなと思ったんですが、そうはならず。他のキャストさんが入れ替わり立ち替わり小屋入りしてくるというのもあったんですが、毎回違う味でした。
__ 
上手い事いいますね。
畑迫 
(笑う)
__ 
印象深い思い出を3つ教えてください。
畑迫 
開演の1時間前にしか小屋入りできない事。だから衣装を着て来るんですよ。他の小屋じゃありえない、フィガロならではの本番前の感じ。三劇の稽古を17時に終えてから、18時にフィガロに小屋入りして、19時に本番が始まるという不思議体験をしました。
__ 
芸能人みたいやな。
畑迫 
あはは。しかも、その本番は小屋入り前には稽古はしていないという。何やってんねやろう私。
__ 
二つ目は?
畑迫 
開場中からちょろっと芝居が始まっているんです。店員役の高島Q太くんと日替わりのお客さん役が会話しているんですけど、何人がそれに気づいているんだろうって、それをちらちら見るというのが楽しかったです。
__ 
実際カフェ店員やってましたからね。
畑迫 
難しかったですね。飲食でバイトした事無かったんで。
__ 
3つ目は。
畑迫 
去年は冬にないすばでぃプロジェクトに参加して。京都と大阪で展示公演をやったんですけど、その時も劇場ではないところで公演したんです。ただのギャラリーだから、中の様子が分からないんです。他の役者さんが段取りで入ってくるタイミングが遅くなったりして、その間を埋めるために何か喋らないといけない。今日は何を喋ろうかな、みたいな。
__ 
「コーヒー荳たべちゃった」でもそんなタイミングがあったみたいですね。そういうところを含め、チャーミングな作品でした。私が見たのは副音声回だけだったんですが・・・
畑迫 
副音声回。そんなのもありましたね。
__ 
副音声っていうか。完全に5号の大声による解説でしたけどね。
畑迫 
ねえ!全然副じゃない、主音声(笑う)すごいうるさいんですよ。
__ 
喫茶店中に響きわたる声で、しかも意外にコメント能力が高く、強度のある深夜の笑いになっていました。非常に面白かったですが、正確には「コーヒー荳」自体は見ていないからなあ。でも贅沢な回でしたよ。
畑迫 
そうでしたね。
__ 
作品をみんなで作って、それをよりによって演出が、しかも本番の上演中になんと大声でツッコミ続け壊していくという。しかも生声で。
畑迫 
ぶっ壊されていきましたね。
__ 
ずっと畑迫さんにツッコんでましたね。
畑迫 
ねえ、ちょいちょい聞いてたんですけど私ばっかり。あんまり聞きすぎると私の頭の中が意味不明になっちゃうんで。小道具のお菓子食べてたら「何食ってんだあの女!」って。
__ 
言ってましたね大声で。でもやっぱり副音声の無い通常の回を見ておきたかったです。
畑迫 
ストーリーとかはあんまり無い作品だったんですけどね。
__ 
総括して、どんな経験でしたか?
畑迫 
ないすばでぃプロジェクト自体、他の現場とはひと味もふた味も違う現場なんです。5号さんは結構、稽古場でたくさんお話してくれるんですけど、それに近付いていくのは、2作品に参加してもやっぱり難しくて。でも、そういう労力のいる現場は大切だなと思いました。
__ 
5号の会話劇に対するスタンスに興味があって。特別な目で見てもらいたくない、ですよね。生活に溶けている、肩肘を張らずに見てもらえるような。
畑迫 
敷居の低い芝居であることが大切で、だからこそやってる方は大変なんですよね。ないすばでぃの場合は、客席と舞台の間に垣根があると良くないというのがあって。やっぱり、今回のフィガロの公演でも、普通に喋っているように台詞を言うのはやっぱり難しくて、そうやってるつもりではいたんですけど、「まだ芝居しすぎていたんじゃない?」って言って下さるお客さんもいて。ああそうなのかあ、って。無意識で芝居してたんだな、と。難しいですよね。劇場以外の場所だという事もあって。
京都府文化力チャレンジ事業. 「コーヒー荳たべちゃった」
公演時期:2016/9/19~25日。会場:喫茶フィガロ。

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畑迫

劇団しようよ「こっちを向いて、みどり」

__ 
劇団しようよ「こっちを向いて、みどり」。いかがでしたか。
畑迫 
初めて大学以外の場所で見た小劇場のお芝居が劇団しようよだったんです。KAIKAで上演された「パフ」再演を見て以来、一番好きな劇団だったんで。出演者募集を見て、「うわ!応募するする!」って飛び込みました。採用していただいて本当に嬉しかったんです。
__ 
女子高生役でしたね。高校の先生に対してちょっかいを掛ける。先生に対して複雑な感情があったんですね。
畑迫 
「こっちを向いて、みどり」は、しようよがgate#14《sep》で上演した「ここに居たくなさ過ぎて」をベースに作られた作品なんですけど、実はこの作品からしようよの作風は変わったんじゃないかなと思ったんです。でも、「みどり」の冒頭でカップルが新居の部屋の間取りから生活を想像するシーンは、以前のしようよの明るくてファンタジーな要素が残っていて。それを稽古場で気づいたとき、「あー、私今しようよに出てる!しようよっぽい!」って感じました。シリアスなのも好きなんですけどね。
劇団しようよ 新作公演2016 ロームシアター京都 オープニング記念事業「こっちを向いて、みどり」
公演時期:2016/6/24~26。会場:ロームシアター京都 ノースホール。

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畑迫

影響をうけて・・・

__ 
畑迫さんがお芝居を始めたのはどんな経緯があるのでしょうか。
畑迫 
高校2年生くらいのときに、DVDで「SP」という映画を見たんですよ。それで女優の真木よう子さんの事が好きになって。でも次の連続ドラマでは180度違う女の人になっていて、女優ってすごいな、って。私もこれやりたい、って思って始めました。
__ 
なるほど。
畑迫 
演劇部のない高校だったんで、大学から始めようと。劇団っぽいところに所属しながらでも大学に行けるのはどこかなって探し始めて。そうしたら京都が良さそうで、ネットサーフィンしてたら第三劇場に辿り着きました。演劇をするために京都に来た感じです。
__ 
演劇を始めてからご覧になった、影響を受けた作品はありますか?
畑迫 
東京の劇団なんですけど、アマヤドリの「ロクな死にかた」が好きでした。今までの観劇至上一番好きだと思います。群像劇の要素もあり、人間と人間との生々しいやりとりもあり、でも台詞らしい台詞、演劇らしい演劇でもあり、全てが詰まっていて、でも全てが一つのテーマのために寄り添っている。ああかっこいいなあと、純粋に思いました。

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畑迫

質問 菅一馬さんから 畑迫 有紀さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた方々から質問を頂いてきております。菅一馬さんからです。「健康法を教えてください」。
畑迫 
健康法ですか…。週1回、クラシックバレエの教室に行ってることぐらいですかね。昔習っていたんですけど、演劇を始めてからまたやりたくなりました。
__ 
健康にいいですか?
畑迫 
いいといいな、って感じです。

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畑迫

質問 園田郁実さんから 畑迫 有紀さんへ

__ 
次は園田郁実さんからの質問です。「好きな人が出来たら、どんなアプローチをしますか?」
畑迫 
積極的に話しかけたりだとかはしないんですけど、近付いてって、気付いてくれるのを待つ感じですかね。でも、大体バレてます。隠し事が出来ない、何でもかんでも顔に出るって、周りからよく言われます。
__ 
少女マンガの主人公みたいですね。
畑迫 
(笑う)

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畑迫

質問 ニシノトシヒロさんから 畑迫 有紀さんへ

__ 
匿名劇壇のニシノトシヒロさんからも質問です。「卒業してからも演劇を続けますか?」
畑迫 
続けたいです。目処を立てないと。

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畑迫

どんどん埋めていかなきゃ

__ 
役者としての最近のテーマは?
畑迫 
いろんな事をやりたいです。ミュージカルにも興味があるし、ダンスもやりたいし、ないすばでぃプロジェクトみたいなお芝居らしくないお芝居も好きだし、ゴリゴリのエンタメにも殺陣にも興味あるし、どんどん間口を広めていきたいです。
__ 
さしあたっては?
畑迫 
今後の出演予定をどんどん埋めていかなきゃですね。
__ 
卒業は出来ますか?
畑迫 
1年残して卒業出来ちゃいそうなぐらい、単位はちゃんと取ってますよ。
__ 
素晴らしい。成績良いんですね。私は全然ダメだったから…。

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畑迫

自分の身体に結びつくようにしたい

__ 
難しい演技に対し、どう対応しますか?
畑迫 
その台詞を書いたのは私じゃなくて作家さんだし、だから必ずしも私が思っている事じゃないんですけど、それでも嘘を付きたくないなと思っていて。役者として舞台に立っている状態で嘘は付きたくないですね。自分はこうは思わないけれど、極力自分の身体に結びつくようにしたいです。何回も台詞を返したり、台詞について考えて論理付けていったり。
__ 
身体と心になじませる。
畑迫 
基本的にそうやって作ってるかもしれないです。
__ 
最近の私のテーマなんですけど、台詞をしゃべっている時に自分の台詞を聞いてますか?
畑迫 
ああっ。聞いてないことはないと思うんですけど…そうですね、自分の演技の映像を見ていてそんなに違和感が無くなってきています。だから、ちょっとずつ成長していってはいると思ってます。

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畑迫

パラレルワールド

__ 
初舞台はどんな感じだったんですか?
畑迫 
三劇だったんですけど、いままで演劇もなにもやってこなかったど素人だったんです。よく何も分からない状態だったので参加できるかどうかもわからなくて、「参加するなら何時までにメール送ってね」て連絡が来て。キャストを選ぶということでセリフを読んだりしたら、主役に選ばれて。
__ 
無茶苦茶ですね。
畑迫 
誰よりもセリフが多くて。脚本もオリジナルなので、完成も遅くて、セリフの改訂も何回も何回もあって。でも、その時の演出家さんが、演技のやり方からすべて、手取り足取りで教えてくれて。舞台上に一人だけの時間が多かったんですけど、初舞台でその空間を独り占めするというのが大きな経験でしたね。全然、別のパラレルワールドにいるんじゃないか、って思うぐらい。特に舞台にこだわっていたわけでもなく、ただ演技がしたいという理由で入団したのに、舞台が楽しい、と思うようになったんです。

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畑迫

あれから、これから

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
畑迫 
2回生の頃から、三劇に所属しながら外の活動に参加して、時間が空いたら三劇に戻るみたいなことができていたんですが、引退以降はそれは出来なくなる。当たり前なんですけれど、甘えていられないですよね。今年20歳になった時、絶対言い訳をしない大人になりたいと思ったんです。甘えない、言い訳をしない俳優になります。

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畑迫

デッドストックのガラスコップ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
畑迫 
うわあ、ありがとうございます。開けていいですか。
__ 
どうぞ。割れ物ですのでお気を付けて。
畑迫 
あ、グラスですね。すごい、何を入れようかな。
__ 
デッドストックの製品らしいです。
畑迫 
間口の広いコップ。飴ちゃんとか入れたいですね。

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畑迫

トシやね

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近ニシノさんはどんな感じでしょうか。
ニシノ 
よろしくお願いします。秋になりましたね。毎年この時期は忙しいんですよ。しかも、ここに劇団の公演が入って。目が回るとはこの事ですね。
___ 
忙しいんですね。
ニシノ 
忙しいです、ありがたい事なんですが。
___ 
その中で、疲労を溜めない健康法はありますか?
ニシノ 
僕も20代半ばになったので、そろそろきちんと食べて、ちゃんと寝て。無理な時間まで作業しないことですね。
___ 
たとえば、最近ではどんな「まともな食事」をなさいましたか?
ニシノ 
さっきのお昼は、ニラ団子とお味噌汁でした。
___ 
内容のある食事ですね。
ニシノ 
野菜を取らないと体の調子がおかしくなるという事らしくて。偏りのある食生活から脱却しようとしています。
___ 
では、これまでで一番、偏っていた食生活は?自慢出来るレベルで。
ニシノ 
大学の2回生の時に、ウチの劇団の佐々木と石畑と遊んでいた時期、お金が全くなくて。夏なのにお昼がコーラのロング缶とタバコだった時があります。それで一月過ごした事があります。水と糖分は確保していたんですが、塩分はどうしてたんや!って感じで。でもお昼はそれで過ごせるんだ人間は、という事が分かりました。
___ 
塩分はタバコでしょうね。
ニシノ 
今はもう無理ですねぇ。別に過ごせなくはないけど、体調を崩すと再起動まで時間掛かります。影響が大きくなりました。徹夜も同じく。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の学生らで結成。学内にて「HYBRID ITEM」を上演。卒業後も継続的に大阪で活動。現在の劇団員は9名。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。自分たちの身近にある出来事を、自分たちをモデルにしたキャラクターを登場させながら、自己言及的な台詞を吐かせつつ、客観的でスマートなエンターテイメント作品に仕立て上げる。ポストドラマ的な表現方法を取りながらも、非常に分かりやすい作品になっていることが特徴。疾走感のある演出で、共感のしやすい物語を、メタフィクション的な多重構造で描く。同世代から強い支持を受けている。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。2014年、芸創セレクション+参加。2015年、AI・HALL 次世代応援企画 break a leg 参加。(公式サイトより)

匿名劇壇第八回本公演「戸惑えよ」

___ 
初の東京公演「戸惑えよ」。大阪公演、大変面白かったです。60分という短い上演時間のなかで、匿名役者のソリッドな魅力が際だっていました。
ニシノ 
短い時間で、結構濃密なんだろうなあ、って。僕らはこれまで色んな演劇の作り方を経てきたんですが、今回は結構最初の頃の感じ、「お客さんをちょっと突き放す」終わり方で。久しぶりやな、という感じがします。2回目の公演「PUNK HOLIDAY」以来ですね、お客さんが最後どうしていいか分からない感じ。今回だいぶ、入っていきやすいんですが、お客さんによって取り方が違う。
___ 
フラッシュフィクションともまた違いますよね。
ニシノ 
そうですね。
___ 
「戸惑えよ」。一人が何役か担当するんだけど、時系列とか関係性も混迷していて、頭で処理しようとしてヘトヘトになる感じがまた面白かったんですよ。非常に挑戦的で、見れて良かったですね。東京の人に見てもらいたいポイントは?
ニシノ 
役者ですね。今回は味見程度だと思ってほしくて、『どんな奴がくんねん』みたいに構えられるよりはフラットな感じで、『大阪から来た若い奴ら』程度で見てほしいです。
匿名劇壇第八回本公演「戸惑えよ」
作・演出:福谷圭祐
何も感じない男が一人。どうやら感情を失ったらしい。
彼は何も感じない。
道端でガムを踏んづけたときも、
道端で千円を拾ったときも、
宇宙人が攻めてきた昨日も、
遠い惑星に恋人が連れ去られた今日も。
そして多分、
助けてと叫ぶ声が彼方から聞こえる明日も、
彼は何も感じない。
これはそんな彼を叱責する物語。
何かを感じろ感じろと、
世界が脅迫する物語。
たった一人の女の子が、
「何も感じなくたっていいじゃないか」と
主張するまでは。
匿名劇壇第八回本公演「戸惑えよ」
大阪公演=2016年9月22日~9月25日(以降Plant M 10月2日まで)アートグラウンドcocoromi
東京公演=2016年10月8日~10日 花まる学習会王子小劇場
仙台公演=2016年10月13日、14日 パトナシアター (宮城野区文化センター)

演劇、続いてる

___ 
ニシノさんが演劇を始めた経緯を教えてください。
ニシノ 
高校生の頃、当時の演劇部の顧問に騙されて入りました。それまではラグビー部にいたんですよ。中学からずっと。高校でもラグビー部に入ろうと思っていたんですが、体がガリガリで筋肉が付かず、じゃあマネージャーが出来たらいいんじゃないかと思って相談に行ったら男のマネージャーはいらないと一蹴されてしまい。じゃあ体を動かすのにどの部活に入ったらいいだろう、と悩んでたんです。その時、ちょうど生徒会もやってたんで、それと兼ねられるような部はないかとも悩んでいて。そんなときに、『演劇部なら体も動かせるし生徒会も兼ねられるよ』って騙されて入ったんですよ。
___ 
生徒会と兼ねられる、あたりがウソですね。
ニシノ 
そうですよね、全く兼ねられる訳がないんですよね。四月の新入生歓迎公演の時には生徒会ももちろん新入生向けの説明会をしますし、文化祭の時期になれば運営をしながら舞台をやって。
___ 
大学では。
ニシノ 
大学は最初、行くつもりは無かったんですよ。関西大学の併設校だったんですけど成績が悪くて行けなくて。
___ 
生徒会で演劇部だったから?
ニシノ 
いや、関係なく学問の方がおろそかだったので。それで、大学行かずに演劇をやろうとしたら、それは親に止められまして。色々と探した結果、近大の舞台芸術専攻一択だったんですよ。とはいえ併願で他大学も受けてて、そこも受かってたんです。悩んだ結果、近畿大学へ。文化祭実行委員とかも興味はあったんですが、いまいち違うなあって。そうこうしているうちに匿名劇壇の前身の公演に出会って、面白いなと思ってたら翌年の公演で舞台を作る事になって。
___ 
そこで匿名劇壇と出会ったんですね。
ニシノ 
その公演で勝手に色々大人を呼んだんですよ、石田1967さんとか。好評だったんですよ。そこで僕も入れてくれ、と頼みました。その頃から広報的な仕事もし始めたんです。
___ 
そこから丸5年と東京公演は早いですよ。
ニシノ 
早いんですかね。不安ですけどね。ラッキーですよね、運も実力のうちだと言ってしまえるほど図太ければいいんですけど。周りの方々に助けてもらったので、それがもったいない事にならないようにしたいです。今回の荒馬祭企画も、昔仕事でお世話になった田村さんとのご縁でした。田村さんには鹿児島や尾道、愛媛までお仕事に連れていってもらったりして、二週間で色んな現場を強行で回ったんです。そのご縁で、「PUNK HOLIDAY」を見に来てもらったんですが、「すごく面白い。いずれ東京公演に声掛けるよ」と言ってもらったんです。それが、今実現して・・・
___ 
それはなるべくしてそうなった縁ですね。
ニシノ 
たまたま、ですね。本当に。
___ 
いやあ、公演の絶対的な出来が悪かったら東京に呼ぶなんて企画は実現していないと思いますよ。
ニシノ 
ただただ田村さんのお気持ち一つだったんだと思います。少なくとも、田村さんに分かって頂けたのだけが幸運だったんですよ。

ハードル

___ 
大阪で挑戦的な劇団が東京に来る!新しいものの価値に対して鋭敏な嗅覚を持つ東京の人々ですよ。ハードルは高いのでしょう。
ニシノ 
諸先輩方が、東京には行ってるので、その分のハードルも高くなってるでしょうね。『彼らぐらいの体力と気力を持っている奴らが来るだろう』みたいな。
___ 
スタイルを確立している劇団が行っていて、好評を得ているようですね。そして、匿名劇壇もスタイルを確立している劇団ですから。
ニシノ 
具体的に、どんなご感想を頂けるのか楽しみですね。アンケートだったりtwitterだったり。直接声を掛けて頂けるのも楽しみです。今回の公演から、竹内桃子が制作に入りまして。彼女に前説を託してみたり、ロビーで僕がやっていた役回りを引き受けてもらったりしています。開演前に会場をフラフラして話しかけたり、お見送りしたり。
___ 
それはどんな役割なのでしょうか。
ニシノ 
開場して30分は、ヒマって事はないんですけど、ロビーでお客さんにご挨拶したり、最近見た芝居について聞いたりして。終演後にはお話出来ない方も多いのでいまのうちに、って。多くの人に絡んでもらおうというのが僕の大義だったんですね。
___ 
正解だと思いますよ。
ニシノ 
匿名劇壇は結構、クローズドな集団だったので。今も、入って行きにくい集団なような気がすると思われているんじゃないか、と。じゃあ周辺にいる僕がその役割をしてもいいのかもしれない。ありがたい事に僕も昔から大人に可愛がってもらえたので、甘えてみたりして。縁を大事にしていたら、もちろん作品が面白かったらですけど、その周りの方に勧めたり広めてもらえるんですよね。それはとてもありがたいなあ、って。自分たちで面白いとアピールするよりも、第三者の方の意見の方が威力があるときはあるんですよね。別の角度からの押しがあると、より一歩見に行きやすくなるのかな、と。

長く生きていくために

___ 
最近のニシノさんのテーマを教えてください。
ニシノ 
演劇人としては、出来るだけ細く長く。先輩たちには、生活していくのは大変だよと言われながらも、劇団に近い存在であり続けたいと思います。もう一つ言うと、僕は「やめ癖」が強くて。飽き性の僕が、ラグビーと同じ8年を続けられているんです。これを20年なり続けられるようにしたい。その途中で出会った匿名劇壇に、ずっと必要とされ続けたい。彼らに置いて行かれないように頑張らないと、一番面白いポジションで見れなくなってしまうというのがあるんで。お客さんには悪いですが、僕が一番の匿名劇壇のファンなんです。面白い角度で、内部を知りながら、笑う余裕ぐらいは保ちつつ、やっていきたいなと思っています。

質問 園田郁美さんから ニシノトシヒロさんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた、園田さんから質問です。「好きな人が出来たらどうアプローチしますか?」
ニシノ 
とりあえず、お昼ごはんに誘います。

もっと稽古場に行く

___ 
今後、どんな事をやっていきたいですか?
ニシノ 
もうちょっと制作の過程に身をおきたいですね。それは自分たちの劇団の事だけじゃなくて、一緒にお芝居を作るという事の尊さにもう少し触れたいですね。毎週、いろんな方々とお仕事をさせていただいているのですが、稽古に数回しかいけないことがつづいたことがありまして・・・。ちょっと一回、立ち返りたいですね。稽古場との関わりに関しては悩んでいます。一緒に作る時間ですね。匿名で言えば去年の三重の滞在制作の時のような時間があればいいなあと。贅沢ですが。仕事をしていくうえでも、お互いの理解が深まれば、作品への違うアプローチが生まれるのかもしれない。長く稽古場に付くという経験をしていきたいです。

一緒にいたい人々

___ 
今後の攻め方、みたいなのをいつも伺っているんですが・・・
ニシノ 
個人としては、劇団が東京に行くのであれば僕も一緒に行きます。近畿圏じゃないところでも仕事をしてみたいという気持ちがあるので。どんな違う価値観やシステムがあるんだろう、と。そこに匿名劇壇と一緒に行けるのであればもっと楽しいだろうな、と。しばらくは切っても切れない間柄なので。色んなところからネタを仕入れてきて、それをどう変化させて使うか、みたいなところなのかな。
___ 
匿名劇壇はこの世代の中で一番惹き付けますからね。
ニシノ 
負けたくないですからね。いまのところ、僕らは劇団員だけで作品を続けています。僕は客演さんを呼んでもいいんじゃないのと思ってたんですが、福谷が「劇団員でやれる事があるうちは」と言い続けていて。劇団員だけでどこまで行けるか。どこまで攻め上がっていけるか。見届けていただければと思います。