「町をお散歩」

__ 
「Social walk」、非常に示唆的なタイトルですね。
近藤 
感覚的には、意訳すると「町をお散歩」なんですよ。世間をお散歩するという感じで。
__ 
誰が歩くのでしょうか。
近藤 
舞台上でみんないっぱい歩き続けるんですけど、それを見ながら色んな歩き方を目の当たりにして、イメージを引き連れて行きたいなというのがあります。「Social」、社会行為は他者がいないと成立しない。関係性に対して何かを投げかける。お客さんに、改めて世間の姿を表現するというイメージがあります。それも、ラジカルに。それから、意趣返しの意もあります。
__ 
意趣返し。
近藤 
ここ石清水八幡宮で上演するという事で、なにか奉納する演劇というイメージが持たれているのかもしれない。刺激のないものをイメージされる人がいるかもしれないけど、違うよ、と。結構、そういう挑戦的な姿勢もあります。
__ 
お客さんも日常を離れる小冒険をするし、VOGAも挑戦してるんですね。石清水八幡宮さんもそうかも・・・。
近藤 
それと、ルソーが社会契約論で言っているんですが、元々みんな何も所有しておらず同じ者なんです。が、「誰もが利益のある暮らしを望んでいる」という前提がある事にされていて、正当さの元に、モノを所有するためのルールが生まれ、それを前提にした世界が成り立っている。今回の主人公は少年なんですけど、彼らはまだ所有するという感覚を持っていない。彼らと大人のルールで動いている世間の対比。その中を優雅に、あるいは苦しみながら歩いている。そういう話なんですよね。
__ 
優雅に、そして苦しみながら散歩する。

いま改めて、丁寧さについて

__ 
この作品で、出演者にどんな事を望んでいますか?
近藤 
やっぱり、丁寧に表現してほしいですね。「丁寧に」って難しい言葉ですがまさに社会的な行為を指しているんですね。自分だけが住んでいる部屋なら散らかっていても良い。なぜなら他者がいないから。他者が存在する社会行為であれば整理をしないといけない。舞台は正に社会行為だと考えているんです。カンパニーは社会の公器だと思っていて、そうでなければ丁寧さは失われる。他者と関係を持つ、社会行為を行う公器。だから何をしても良いという事はなくて、少なくとも関わっている人たち、内部の人の親族一同、納得してもらえる作品じゃないといけない。出演している人に求める丁寧さは、そもそも自分が選んだ事をやっている自己肯定を持ってもらいたいです。それを持つと、人にやらされているというレベルから脱却できるから。そこが大事だと思うんですね。世の中、そこで分かれるんじゃないかなと思うんですね。
__ 
そうですね。言われて作っただけのものと、考え抜いて疑い抜いて作ったものは全然違いますよね。
近藤 
そういう意味での丁寧さで作り続けると、世の中とか周りに流されにくい人になっていくと思うんですよね。そうなると、わざわざこんなめんどくさい、リスキーな野外公演が出来るようになります(笑う)。

誰に見て欲しいですか?

近藤 
正直、いまは難しい時代で。興味を保たない事には持たなくて良い時代だと思うんですね。でも、見てみたら良いなと思える作品だと思います。来年は来ないかもしれない。でも、10年後にはまた来てくれるかもしれない。この場所で公演をやる事の意味を感じています。だからこそ、場所の価値というのはきっと高いと思います。偶然の価値の高さは外国の方は捉え方が違うみたいで。神の仕業というのかな、ビリヤードで難しいボールがポケットに入ったぐらいでは奇蹟とは呼ばない。隣のビルから投げ込まれたボールがポケットに入ったら奇蹟に近い、とか。偶然の価値が高いお客さんが来てくれたら、真の縁やと思いますね。絶対ありえへんようなお客さん。もちろん、いつも見てくれるお客さんには感謝です。
__ 
この石清水八幡宮だからこそ。
近藤 
この場所だからこそ、そんなお客さんも多いのかもしれませんよ。外から見えますからね。
__ 
季節がめぐるたびに思い出すかもしれませんね。
近藤 
今回から10年続けるつもりで、今回は最初の1年目。一番シンプルな形でお客さんに紹介したいと思います。
__ 
素晴らしいと思います。例年行事として定着してほしいです。

質問 山中 秀一さんから 近藤 和見さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、津あけぼの座劇場のテクニカルディレクター、山中秀一さんから質問を頂いてきております。「ぜひスマートフォンに入れておきたいアプリを教えて下さい」。
近藤 
コンパスは必ず入れますね。実は今回の作品、方位を意識して振付をしているんですよ。南を向いてセリフを言って、とか、そこは西を見てほしい、とか。まあ、地球でやってるから。
__ 
素晴らしい。そうですね、劇場内ではなく地球でやってますね。

どんなお客さんに見て欲しいですか?

近藤 
野外劇、もっと言うなら演劇を体験をしたことの無い方。一回、騙されたと思ってみてもらいたいと思います。
__ 
夜のピクニックだと思えばいいですね。意外と近いですし。
近藤 
思い出に残る体験になると思います。僕らの公演に10年前に来てくださった方が、その時の公演を昨日の事のように思い出して下さるんです。
__ 
それぐらいの絵を実現させる流れが、全体を通してこの特別な地に存在している。舞台は役者が自分で選びとった仕事で構成されていて、お客さんの中にイメージとして産み落とされる。
近藤 
見た事で、お客さん自身が少し変わったらいいなと思います。出来るだけ良い影響として。作品が終わった後に、各々の心の中に何かが残されなかったら悲しいですよね。見終わったあと、少し茫然として帰るような、そんな作品が作りたい。
__ 
はい。
近藤 
今回僕は、自分が作ったものを見れる立場にいるんですよ。出演していないから。自分の心に素直になって、これは良いものが出来たと感じています。そもそも、自分の心が動かない作品を見せるのは失礼かなと思うんです。お客さんがどう思うかなんて分からないですけど、自分の心が動いたものであればオススメ出来る芝居です。格闘ですね、作品作りは。技と身体は伝えられるけど、心は伝えにくい。
__ 
そうですね。
近藤 
この間も熊本で震災があって。そんな中僕らは芝居なんか作っているけれど、それを許す社会ではあるんですよ。ありがたいことにね。その許容に甘えるのではなく、しっかり作るというのが報いだと思うんですよ。しっかり、丁寧に仕事する。道徳の授業よりもきっと大切な教育になると思うんですよね。漠然とですけど。作品が面白ければいいや、とは僕はあまり思っていなくて。生きてて甲斐があるな、と実感する場所であってほしい。野外の面白さも、そこにあると思う。僕らがここで見せる生き方や考え方に、お客さんが拍手をしていただくことで、全部報われる。この作品で二十周年を迎えるんですけど、それを一つの区切として、また新たなスタートを切る気分です。
__ 
ありがとうございます。

西陣織のネクタイ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
近藤 
ありがとうございます。
__ 
西陣織のネクタイです。
近藤 
いいですね。こう着けるのかな。
__ 
おお!とても似合っています。

このしたPosition!!(京都・三重)リーディング公演 安部公房「人間そっくり」 京都・名古屋・長野(上田)ツアー

__ 
今日は津あけぼの座テクニカルディレクターの山中さんにお話を伺います。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、山中さんはいかがお過ごしでしょうか。
山中 
よろしくお願いします。実は今、津市から30分ぐらい離れたところに来ている水族館劇場に出演しています。最初は設営のお手伝いだけのつもりだったのに、話の流れで出演する事になったんですよ。今日は休演日なので、抜け出してきました。
__ 
水族館劇場、噂だけはかねがね伺っていました。観たいと思ってたんです。野外劇なんですよね。
山中 
野外劇場なんですが、とにかく建込みが凄くて。巨大テントを建立し、大量の水が振り、飛行機が飛んだり、客席を増設したり。しかも連日超満員です。毎日台本が増えて、同時にセットも増えていくんです、フェスティバルみたいです。
__ 
その間を縫って、京都に稽古に来られたんですね。来月から三都市ツアーが始まる「人間そっくり」。今日は今回の公演についてのお話を伺えればと思います。
劇団Hi!Position!!
劇作家・演出家・ワークショップデザイナーの油田晃が中心となり2008年2月に結成。以降、津あけぼの座の専属劇団として公演を重ねる。三重県でも希少な「現代演劇の上演を行う」ことを前面に押し出し、演劇の持つ可能性、演劇と社会の接点を探っていくことを劇団の目標とする。劇団システムでは珍しい、油田晃・橋本純司の2名の劇作家・演出家が所属。演劇を作る過程におけるコミュニケーションのメソッドを用いてアウトリーチ活動やワークショップ活動、隔月ペースで名作や古典を舞台上でリーディングする「読み会」も行っている。(こりっちより)
このしたPosition!!(京都・三重)リーディング公演 安部公房「人間そっくり」 京都・名古屋・長野(上田)ツアー
作:安部公房
構成:油田 晃(劇団Hi!Position!!)
演出:山口浩章(このしたやみ)
出演
二口大学(このしたやみ)
広田ゆうみ(このしたやみ)
山中秀太郎(劇団Hi!Position!!)

【京都公演】
2016年6月11日(土)・12日(日)
会場:スペース・イサン
【名古屋公演】
2016年7月1日(金)・2日(土)
【長野(上田)公演】
2016年10月1日(土)・2日(日)

入場料
一般前売・予約・当日共 2000円
U-22割(22歳以下)前売・予約・当日共 1000円

一つの演劇作品で地域を繋げる・1

山中 
今日の稽古は読み合わせをしました。久しぶりの再演なので、忘れてるかと思いきや、意外とすんなり出来たんですよ。もちろん調整しないといけない部分はあるんですが。
__ 
「人間そっくり」のツアーは京都(6/11~12)、名古屋(7/1~2)、長野は上田(10/1~2)ですね。それぞれの地域を渡り歩いての公演ですが、「地域をつなぐことに意義がある」と伺いました。今日はもう少し詳細にその辺りを伺えればと思っています。
山中 
この作品は2012年に東京で初演したんですが、評判を受けて2ヶ月後に京都と三重で上演したんです。14年と15年にもツアーをしていますね。こういう風に再演を毎年出来るというのは小劇場では中々難しいんですが、今年も御協力頂き、ツアーが実現しました。
__ 
小劇場は、新作至上主義みたいなのはありますね。
山中 
この作品はとてもポータブルで、どこにでも持っていけるんですよ。出演者も少ないし、でもお客さんに見せられるクオリティを持っている。だから毎年、違う町に持っていく事が出来るんです。大都市で商業ベースに乗っかるような作品でなくても、各地にある演劇の拠点にいつでも持っていく。僕ら自身も、毎回新しい作品を同じ地域で発表するのではなく、「同じ作品を継続して」「様々な地域で上演する」事で経年変化を感じています。新しいお客さんに出会う事が出来るんです。木材が時間を経る事で深みを増していくのと同じように。
__ 
「経年変化」を求めている?
山中 
40歳を越えて、そろそろ引き算で考えるようになってきた。いつまで演劇が出来るのか?でも、チャレンジし続けたいですからね。
__ 
いつまでやれるか、ですね。
山中 
一応、47都道府県全部回ろうと目標を立てまして。三重発祥のコンテンツというのは中々無かったんですけど、このしたやみさんのお力を借りて、油田が脚本を書いて、山口さんに演出を頼んで。僕らの名刺替わりの作品として作りたかったですね。チャレンジし続ける作品だと思います。現状、安部公房の作品の渦の中にどんどん入っていっています。自分の中の何かがグニャっと曲がる瞬間があると思います。楽しみにしてほしいですね。

私が知らない自分の演技

__ 
初演の時は、どのような手応えがありましたか?
山中 
当初ですが、実は手探りでやっていた部分があります。本当に、この作品のどこが面白いのか分からないまま演じていて、そのまま初日を迎えたんですが、それが却って評判が良かったんです。もちろん演出家の山口さんも、広田さんも二口さんも素晴らしかったのは分かっていたんですが。こちらが作ったものに、お客さんの方で想像してくれる。でもやっぱり俳優って、自分の演技の価値を理解して演技したいものですよね。だから僕も色気が出て、こうしてみよう・・・みたいな感じで演技すると、途端にダメになるらしくて。
__ 
あ、分かります、その感覚。
山中 
役者自身が分かっていないぐらいが良い、みたいな事も言われました。役者の意識なんてものはあまり役に立たない。テキストと、自分についた演出を信じて立つことが役者の仕事なんだなと。もちろんハードな訓練が必要なんですけど。これはチャレンジしたいな、と思いました。
__ 
つまり、言葉は悪いですが、慣れていない味というものがある。
山中 
とりわけ僕の、いわゆる「分かってない演技」が良い、と仰る方も多いんです。でも俳優って、どうしても自分の演技を理解しようとする本能があるじゃないですか。だから僕も色気を出して色々やる、でもそうすると良くないんですね。
__ 
ああ、そこはすごく難しいですよね。自分で分かっていないぐらいが面白い・・・。
山中 
どう言ったら良いのか、中々言葉では表現できないんですけど、そういう自分のフラットさと向き合わないといけない。そこは課題ですね。

一つの演劇作品で地域を繋げる・2

__ 
今回のツアーのキッカケを教えて下さい。
山中 
2014年に、広島・金沢ツアーをやったんです。去年2015年は松山・長崎・宮崎をやりました。今年はちょっと近場ですね。長野・上田と、京都はイサン。どちらも、今後は小劇場の拠点として重要になると思っています。名古屋のナビロフトも新しい拠点になると確信しています。各地域に受け入れの場所が出来つつあるし、そうした拠点を繋げる演劇人が、越境して力試しをする。そんなケースが増えれば、もっともっと豊かになるんじゃないかと思っています。
__ 
拠点同士を繋ぐことで、もう一度豊かになる。
山中 
やっぱり、旅をするのが一番力が付くと思っているんですね。自分達が良く知っているお客さんとだけお付き合いするんじゃなくて、他の地域で、初めてのお客さんに見てもらう経験は、演劇をやっている人には足りていないと思う。他流試合が必要なんですよ。僕らの上の世代の人たちは頑張ろうと思ったら東京に行って、ちょっと売れてTVに出て、それが演劇界スゴロクの上がりだった。いわゆるそう言った、上がりは「ない」と開き直ってます(笑)で、僕なんかは地元で腰を据えて長いことやる方が豊かなんじゃないかなと思って、あけぼの座を作った。でも都会の人たちの方が実は地方であたらしいお客さんを求めていたりするんですよね。今も、そういう状況はたくさんあります。
__ 
色んな地域のお客さんと会えるのはきっと大きいと思いますが、どんな感覚がありますか?
山中 
良く言われるような、「地域によってコレがウケる、ウケない」という感覚は無いように思います。むしろ、どこでも同じなんだなあと思いますね。
__ 
地方にいながら越境をする演劇。それは、お客さんにとってはどんな価値があるんでしょうね。
山中 
僕らも色々な劇団を受け入れしているし、受け入れられているんですが、この間受け入れた劇団こふく劇場がすごく上手かったんですよ。二十年劇団をしていて、素朴な社会人劇団なんです。でも素晴らしい。(都会ではなく)地方で演劇に取り組んで、それが素晴らしい作品を産み出しているというのを知れるだけで僕らにとっては勇気を頂けるんですね。僕らと同じような地方都市の人たちの劇場は全然強い。作品も強いし、それを地域で楽しんでいるんです。無くてもいいけどあったら豊かだよね、という事を確認出来るというのは素晴らしいですね。勇気が出ます。ところで、何でみんなツアーするんでしょうね?僕らもツアーしますけど、それに明確な答えは出てないですね。

津あけぼの座のいま

山中 
オープンから10年になりました。公演が増えてきて、活気はあるんですけど、もう一度、お客さんを増やす活動とのバランスを考える時期に来ています。
__ 
劇場に来てもらわなければ始まらないですからね。
山中 
もう一度、そのあたりの事が出来たらと思っています。でも、バランスですね。どちらかに偏ってはいけないので。創り手も観る人も増やす、そういう舵取りをもう一度する時期なのかな。
__ 
手がかりは。
山中 
創設当初は色々なイベントを行っていました。地元の名士やさまざまなジャンルの専門家を招いてトークイベントをしたり、新米を食べる会と称しておかずを持ち寄って食べたり。そういう活動でお客さんが増えていったんですが、でも最近、それは出来ていないんです。今年はもうプログラムは決まっちゃっているんで出来ないんですけど、来年以降やっていきたいなと思います。
__ 
色々やってる公民館みたいなイメージですね。改めてですが、劇場の運営者として、創客にこだわるのはどんな理由がありますか?
山中 
やっぱり、劇場にお客さんが付くんですよ。劇団と違って、劇場には毎週公演があるんですよね。劇場としては、一発だけの花火ではダメなんです。
__ 
だから定着しないといけない。
山中 
そもそも、誰の為に芝居を作っているかというと、見てもらう人の為にやっているんですよね。仲間に発表するためのものではないし。金銭的にペイするためのものではなくて、自分の考えとか表現を同じ時代に生きている人に問う活動だと思うんです。であればもうちょっと、見に来ててもらう為の努力をしないといけないんじゃないか、と。作品を作る努力は素晴らしいんだけど、それを届けることにもっと力を傾けないと思うんですよね。100人程度の集客で満足していてはいけないんですよ。作る努力はもちろん、知ってもらう為の努力。チラシを届ける、貰った人が来たくなるような努力、演劇をやっている人にはそういう努力がたり無さ過ぎると思うんですよね。
__ 
そういう意味での他流試合。
山中 
そうですね。そして、一回では諦めない。
__ 
そう、劇場に来てもらわなければ始まらないし、芝居を見てもらえれば面白さは分かるんですよ。そこだけが問題なんです。
山中 
見てもらうための努力を惜しんではいけないと常々思っています。例えば新聞取材とかも、こちらから申し出をさせてもらって、実際に取り上げてもらって。こちらの実績資料もまとめて出して。僕も、そういう一連の流れが身に着いてからは楽しくなってきました。でも、やっぱり、口コミに勝るものはないんですよね。
__ 
本当にそうですね。人類が生きている以上、口コミの強さにはずっと勝てないでしょうね。
山中 
津あけぼの座も、広報活動についてはこれまで着実に続けてきたと思います。地元の人に存在を認識していただいて、お芝居というものがあると認識していただいて、そうやって文化として根付くと思うんですね。100人単位の集客で満足していてはいけないと思っています。「あの劇場でやっていた作品が面白かったらしい、見逃した」みたいに思ってもらうぐらいになったら。とにかく、集客に関しては、もっと頑張れると思います。

いつか、どんな劇場が作りたいですか?

山中 
いやもう、老若男女がいる客席、を理想にしています。仕事帰りに学校帰りに芝居を見て帰ろうかな、みたいな事が出来る環境を作りたいと思います。いいじゃないですか、ひと月に一度ぐらいお芝居を見たって、と思うんです。
__ 
劇場で体験することの良さを分かってもらうための努力を惜しんではいけない。
山中 
そうですね。
__ 
認知させていく。
山中 
その為に、僕らはまずチョイスをしているんですね。僕らはまた外に行く事によって、他の地域とも行き来していますよ、と。小劇場の専門家としてのブランド作りをしている。
__ 
劇場に来る機会を増大させるために、ブランドの認知力を高める努力を惜しまず諦めず邁進するんですね。

質問 池川タカキヨさんから 山中 秀一さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、池川タカキヨさんから質問を頂いてきております。「僕のTwitterをフォローして下さいませんか」。
山中 
はい。フォローします。
__ 
池川さん、読んでますか。山中さん津あけぼの座のアカウントをフォローしてくださいね。
山中 
お願いします!

惹きつける

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山中 
攻め方。そういう気持ちはとってもあるんですけど、何て言ったらいいのかな。今までずっと発信してきたので。今度はちょっと匂わせて惹きつけて行きたいなと思っています。あそこは何か、面白いらしいよ、と。

保坂和志・著「カフカ式練習帳」

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
山中 
ありがとうございます。開けてみて良いでしょうか。
__ 
もちろんです。
山中 
(開ける)保坂和志。
__ 
安部公房とカフカなら、ちょっと共通点があるかな、と。随筆集だそうですが。
山中 
ありがとうございます。読んでみます。

表現の生活

池川 
僕はいま奈良県に住んでいて、仕事をしながら演劇と音楽をしています。演劇だと、次の出演はニットキャップシアターの「ねむり姫」で、稽古はもう始まっています。それぐらいかな、演劇の活動は。
__ 
音楽は。
池川 
今年再開したんですけど、毎月定期的に呼んでいただいているライブハウスがあります。全然お客さん呼べてないんですけど。
__ 
池川さんの歌は好きなので、どんな事をしているのか気になりますね。
池川 
でも、劇中歌を歌うのとは違うし、ライブは結構ふざけた曲を歌っています。
__ 
というと。
池川 
前回ニットに出た時、自分が作詞した歌を使わせてもらって。(客演なのに)結構自分の事を歌えた気がしたんですよ。それでちょっと調子に乗って。ちょっと、安全圏から出ていこうという気になって。そうしたら、大阪のちょっとアンダーグラウンドな雰囲気の人たちばかり集まるライブハウスに毎月呼ばれるようになりました。まあちょっと、それが楽しくてですね。
__ 
どんな詩ですか?
池川 
いやあ・・・何か、生々しいです。ちょっとした性的表現も含まれてますし。まあ知れてるんですけど。基盤はフォークです。なんか、きちっと人に聴かせる事を前提に作った曲よりも、友達の家で酔っぱらって適当に作ったような曲の方がウケる気がするんですよ、僕の場合。30秒くらいのうどんの歌とかの方がウケたりする。うどんを2分ぐらいに伸ばして歌ったりしてて。だいたい、30分持ち時間があったとして、伸びたうどんみたいな曲を五、六玉くらい演奏します。

vol.471 池川 タカキヨ

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2016/春
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池川

ふざけて音楽

池川 
曲ってやっぱり反復して練習するから、その場で作るMC(おしゃべり)よりも自信の強度が高いんですよ。でもMCは、自信のあるネタを持って行ったとしても本番で全然ウケない場合もある。この間も、熊本の震災関係の事で思う事があって。そのMCをスタジオで前日に予行練習したら、もうジーンときたんですよ一人で。「ええこと言うな~」って。でも本番ではMCがド滑りして。
__ 
ええ。
池川 
想定外でした。もっと、自分の中でまとめてくるべきだったんです。お客さんの反応も曲中と比べたらどんどん遠ざかっていく感じで。でも自分の言いたい事は言いたいし。まあでも、何やろう、そうやな。たぶん、話題がその日の自分の一番の出来事じゃなくなってたんですよね。
__ 
お客さんが遠ざかっていった時、池川さんはどう思いましたか?
池川 
怖かった!僕自身、なんかいかにもミュージシャンっぽい人がMCで大言壮語吐いたりするのって見てられないんですよ。このあいだ、ライブハウスで共演した大学の軽音部出身の男の子がすごく真剣な眼差しで「愛について歌わせていただきます」って。でも愛ってものすごく繊細で、個人差があるじゃないですか。「ちょっとテーマがでかすぎひんか?」とは内心思いました。お客さんに見に来てもらってる以上、自分の表現した愛でお客さんの愛を汚す場合だってあると思いますし。震災の話題もそれと同じで。最近、ネットで言葉を世界発信するのに慣れてしまって、言葉の選択力が自分の中でかなり甘くなってる気がするんです。今みたいに、ちゃんと向き合って話せばあの時みたいに自分の話題を一方的に話してお客さんが困るようなことは起こらなかったんじゃないかとは思うんですけど。
__ 
ええ。
池川 
まあ実際あの時はお客さんがいなくて、ほぼ全員共演者だったんですけどね。終演後に感想聞いてみたら「静かに聞いてた」んだそうです。「間違った事は言ってない」「共感してた」とかも言われて。でも確実に距離感はありました。前触れもなく震災の話題に入ったのが良くなかったんかな。
__ 
喋りが上手くいかない事ってありますよね。残念ながら。私も、スピーチで上手く言った経験もド滑りした経験もあります。人に合わせてパッと喋るために、観客とどこまで関係性が築けるか。
池川 
そうですね。いやあ、自分が言うべきセリフなんてそうそう見つからないじゃないですか。世の中に。でも何か、意味はないけど、自分で意味を見出すじゃないですけどそういう風にするのは楽しいなって。そうでもしないと生きててもつらいことばっかりじゃないですか・・・30分間、別にお金にならないのに何でこんなしんどい事をやっているのかっていったら、やっぱ自分の為ですよね。

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2016/春
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池川

演劇を始めたのはいつからですか?

池川 
僕は地方出身で、大学にまぐれで合格して、大学時代は部室が棟の入り口から一番近かった演劇部に入って。役者は今でも続けていて、観にも行きます。昔は「学生劇団の役者だから」という理由で熱心に見てたんですけど、今は肩の力が抜けてきて、単純に劇を楽しめているような気がします。見ていて「ああ、だからこういう演出になるんや」とか思ったりするんですけど、いつも感想がうまく言葉にならないんですよね。でもそれをただぼんやり眺めているのが楽しくって。昔は役者の演技にばっかり気を取られていたけど。僕は生まれも育ちも奈良なんですけど、奈良で小劇場の演劇なんて見たことなくって。奈良だと自分が役者をやってることに対してどっかで気負いがあるんですよ。でも京都は学生の町で、学生演劇が盛んだから、役者を名乗っていても気負いがない。でも若い人が奈良で演劇を始めようとしたら、やっぱり・・・どうしても偏見を持たれやすいというか。テレビで有名な劇団四季とかのイメージで勝手に一括りにされるみたいな。それは良くないなと思っています。僕が奈良にいながら活動するのは、自分の物差しさえあれば、活動拠点が地方だろうと問題がない、というのを見せたいし、見たいんです。この間は「東アジア文化都市2016」の企画発表会で、奈良に維新派が来ることが決まって。会場にはマスコミもたくさん来たんですけど、僕の周りの奈良県民は誰もそんな事知らなくって。そもそも維新派を知らないし。ぜんぜん動きになってないから。動かなかったらそのへんに落ちてる石と変わらないんで。そこは積極的に動かしたいなと。でも僕の周りにそういう人が本当にいないんで。けもの道です。それでも今まで続けてきた成果で、だんだん気負いがなくなって自分のやっていることに自信は持ててきている気はします。
__ 
自分の活動に確信的になっているという事ですね。
池川 
なりたてですけどね。

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2016/春
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池川

好きになればなるほど

__ 
ニットキャップシアターにどんな興味がありますか?
池川 
出演していて(ニットキャップシアター こんなにもお茶が美味い)、現場に入った時から、この劇団の作品を見せたいという欲求が強くあって。主宰のごまのはえさんとよく話すんですけど、本当にあの人、キャラがブレなくて。何を話してもちゃんと返ってくるんですよ。借り物じゃないごまのはえ語で。それがめちゃ好きなんですよ。好きになればなるほど、また好きになるというか。単純に憧れますよね。そういう部分を盗みにいってるところはあります。
__ 
いい出会いですね。
池川 
役者を続けていく上で、いつでもニットの舞台に立てるようなモチベーションは保っておきたいです。
__ 
大切なんですね。ニットキャップとの縁が。
池川 
はい。だから、ニットキャップシアターの「ねむり姫」、凄く見に来てもらいたいです。34名出るんですけど、余すとこなく魅力的な出演陣で、これからどんな風になるのか期待しかしてないです。今はそれくらいで稽古も始まってすぐだし、具体的なことは何も言えないけど、でも、ネットの評判を待たずに来てほしいですね。感性とかで。
ニットキャップシアター 第37回公演「ねむり姫」
華やかさと騒乱渦巻く平安末期の京を舞台に、
劇団史上最大規模で描く夢物語!

ニットキャップシアターがこの夏放つ最新舞台は、
幻想文学の巨匠、澁澤龍彦の短編小説『ねむり姫』を原作に、
34名の出演者が渦を巻く平安群像劇。

当世最新流行歌「今様」をモチーフにした音楽や、雅で優美な舞踊り、
はたまたアイドルダンス、狂犬達にシュプレヒコールも雨あられ。

「ガラパゴスエンターテインメント」を掲げるニットキャップシアターの
新たな進化をごゆるりとお楽しみあれ!
【会場】AI・HALL
【脚本・演出】ごまのはえ
【出演】門脇俊輔、高原綾子、織田圭祐、下川原浩祐、仲谷萌、池川タカキヨ、黒木夏海、佐藤健大郎、佐藤都輝子(劇団とっても便利)、西村貴治、細谷史奈、山岡美穂、山谷一也、山田レイ(Reiworks)、安藤明、石井歩(流刑芝居)、生方友理恵、ガトータケヒロ、楠海緒、越賀はなこ、坂本彩純(演劇集団Q)、私道かぴ、進真理恵、土橋夢子、豊島勇士、にさわまほ(同志社小劇場)、長谷川めぐの、前原一友、松井壮大、道咲とも子、山内庸平、山下多恵子(京都演劇サロン)、Ryosuke、大木湖南〈声の出演〉
【公演日程】
7月8日(金)19:00-
7月9日(土)13:00- / 18:00-
7月10日(日)13:00- / 18:00-
7月11日(月)14:00-
【料金】
一般 前売 3,200円 / 当日 3,500円
ユース・学生 前売 2,200円 / 当日 2,500円
高校生以下 1,000円(前売当日とも)
※ユースは25歳以下。全席自由、日時指定券。

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2016/春
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池川

質問 向井 咲絵さんから 池川 タカキヨさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、弱男ユニットの向井咲絵さんからです。「ギターを始めたきっかけは何ですか?」
池川 
学生時代、周りがヤンキーばっかりで。どうすればいいかというと、ヤンキーの金魚の糞になるしかないんですよ。ヤンキーはワガママだから、ちょっと柔軟性があるとめっちゃチヤホヤされるんですよ。でもそうしたらヤンキーの思うままじゃないですか? そこでヤンキーにはない何かを始めようと思って、誕生日占いで知った、同じ誕生日の尾崎豊にならってギターを始めて。EmとCで下剋上してやりました。
__ 
「今、音楽をやりたいと思っている?その理由は?」
池川 
やりたいです。理由ですか。やっぱり最初に、テングになってたころのCコードって今と全然違うんですよ。「お前ソレどうやって弾いてんの」ってヤンキーをビックリさせながら弾いたEmは、今と全然違うんですよ。あの時の恍惚感とか幸福感にはなかなかいたれなくて。あの時に弾いたEmの感覚を忘れるまでは続けるでしょうね。思い出したいし。
__ 
その状態には中々行けないでしょうね。高度な悟りが、その人を幸せにするとは限らないじゃないですか。
池川 
関係する人間の数にもよると思うんですよ。一人で生きてたら、自分一人の為の悟りでいいと思うんですけど、芸能人とか会社の社長並に関係する人がたくさんいたら・・・僕がそうじゃないし僕からこれってことはあまり言えないですけど。関係する人がいればいるほど、個人主義では通用しない部分って増えますしね。やっぱし、基本は生きづらいんですよね。
__ 
幸福の絶対量が大きくなればなるほど幸福のレートが上がっていく。関係者数も多くなればなるほど、期待される以上の悟りを得なければならない?
池川 
はい、だからその逆もありますよね。震災関係の話題で、芸能人のSNSに一般人が「不謹慎だ」とかいって炎上するようなニュースを最近よく見かけるんですけど。カロリー使う場所明らかにおかしいですよね。「言葉って一体何のためにあんのや?」みたいな。やっぱりネットは怖いですよ。萌え系アニメのヒロインがアイコンのツイッターアカウントとか・・・

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
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池川