質問 穐月 萌さんから 中西 柚貴さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、穐月萌さんから質問を頂いてきております。ハイアガールで共演されてましたね。「日本語以外なら何語を話したいですか?」
中西 
あ、穐月さん!英語ですね、話してる人多いし。
__ 
科目としては好きでしたか?
中西 
文法とかあんまり好きじゃなかったですけど、オーラルコミュニケーションって授業があってそれは好きでした。外国人の先生と会話するっていう。喋るのは好きでした。
__ 
これから本気で学べば、駅前留学とかで習ったら喋れるようになるかもしれませんよ。
中西 
習おうと思っているうちに時が過ぎていって・・・英語のカフェってありますよね。あれに行ってみたいとは思っています。

「ハッピーバースデー」

__ 
あなたを揺さぶった価値観を教えてください。
中西 
元々お芝居に興味を持ったのが、中学2年生の時に見た「ハッピーバースデー」というドラマでした。私ずっと感動しててめっちゃ泣いてました。
__ 
家族とかいじめとかの話でしたっけ。
中西 
妹が兄に比べて成績が悪かったりで、妹のことを気に入らないお母さんが妹に精神的虐待をしてしまって、妹がストレスで声が出なくなっちゃって。その妹が療養のためにおばあちゃんの家に移って、色々話しているうちに、お母さんも昔両親からそういう扱いを受けていた事が分かって、バラバラだった家族がまた家族になる、みたいな話でした。この人が悪い、と思っていても、その人にはその人の色々があって、積み重なってそうなった、みたいな原因があるんですね、原因が分かると、一気に関係が良くなったりする。
__ 
悪い人だと思ってたけど実は別の面がある。
中西 
スーパーふぃクションを私のお母さんが観に来てくれたんですけど、面白い感想を言ってて。「あいつら、スーパーフィクションやって思ったら気が楽になる」って。それは何か、なるほどねと思いました。

旅公演してみたい

__ 
これから、どんな演劇に出会いたいと思いますか?
中西 
どんな演劇か・・・でも、旅公演はしてみたいです。色んな土地で演劇が出来るって楽しそうだし、知らない人と出会えるし、ご飯も美味しそう。
__ 
それはマジそうらしいですね。特に北海道とかね。
中西 
色んな人たちと関われるんですよね、きっと。この間メンバーの渡邊りょうさんがDULL-COLORED POPで新潟行ってて。羨ましかったです。
__ 
東京を越えてる時点で凄いじゃないですか。
中西 
あ、実は私、初舞台は東京だったんですよ。青年団リンクのガレキの太鼓という劇団で。オーディションを受けたんですけど落ちて、演出助手で参加して、で結局出る事になって。記録では演出助手なんですけど、初舞台はそうでした。

高校のころ

__ 
芝居を始めたのはそういう経緯があったんですね。
中西 
元々映像に興味があって、映像に行くにはどうすればいいんだろうと思って。
__ 
中西さんも綺麗だけどね。
中西 
いえ、なんかね、モデルから行く人が凄く多いので、モデル雑誌を買って、オーディションに行こうか悩んでて。そんな時に生瀬勝久さんの演出した「楽屋」をBSで見たんです。演劇いいな、って思って。高校の頃は友達とエチュードをしてました。次にヨーロッパ企画に出る藤谷理子ちゃんと同級生で、理子ちゃんとかと一緒にエチュードしてました。演劇部作ろうと言ってたんですけど無理やって。演劇に憧れてました。だから東京にめちゃくちゃ観に行ってました。養成所か芸大に行くためにお金貯めなと思って、バイトしたんですけど、高3の時にオープンキャンパス行ったら学費が高すぎて、もうちょっと考えようと。
__ 
そして成人式を迎えたと。
中西 
そうですそうです。
__ 
今からでも遅くないと考えるか、悪い芝居するのか。
中西 
いや、悪い芝居で!いつか朝ドラに出るのが夢なんで、頑張りたいです。

白地図の上で

__ 
会話演技をする上で何が大切だと思いますか?
中西 
相手から受ける演技が一番大事だと思います。台本を読む時に自分の台詞ばっかりを読んでると、相手にどう届いてどう反応したかが分からなくなってしまって。別に気持ちが無くても台詞だけがどんどん出てくる。それこそテスト勉強みたいに、順番で覚えちゃうと会話が成り立たなくなったり、外身の面白いところが全部消えちゃうから。台本を読む時も、自分の台詞が相手にどう届いたかを考えないといけないなあ、って。会話演技、出来るようになったらすごい楽しいし、自分の感情が動いているのも分かるようになってくるんですけど。一人で台本を読む時も、お互いの言葉にどう影響され合うのかを考えながら読まないとなあ、って。相手の台詞も大事にしないといけない。会話をしているときも自分が見ている景色も変えていかないといけないんですよね。それは山崎さんにもよく言われるんですけど。本当に難しい。
__ 
自分の台詞だけ覚えようとしていては駄目、という事ですね。「相手と会話をするための台詞覚え」。
中西 
いっぱいいっぱいになっちゃって、要領が良くないんです。相手の台詞を聞いている時に、(次の自分の台詞なんだっけ)って考えてしまう。それはもう違うじゃないですか。実は本番でつっかえる事はあんまり無くて、相手のセリフも聞いてるんですけど、それが出来るようになるのが遅いというか。稽古なんて、別に台詞を言う時間じゃなくて作品を作る時間だから、「相手と会話をするための台詞覚え」は当然なんですよね。でも、最初から出来る人は本当に凄いですよね。
__ 
難しいですよね。相手の台詞を聞く術。相手の台詞だって色んな要素で成り立ってますよね。文字と音と言葉と、戯曲としてはもちろん、その人の役所だとか、人間としては深層意識だとか時代背景だとか。ものすごく細分化されている。
中西 
凄い難しい。
__ 
ちょっと話はズレるかもしれないけど、相手のセリフを聞く時、引っかかる時のリアクションの演技はまあ作るとしてさ、「引っかからない」時の演技もしないといけないんじゃないか?待ち受けの演技にも様々な様相があって、それは必ず考えないといけない。
中西 
そうですね。
__ 
そう考えたら、聞く演技を作るのってものすごい大変かもしれない。
中西 
大変ですよね。私があんまり、計算して出来る人じゃないから。計算して出来る役者さんは、「あの時間をもっと取っておけば良かった」みたいな事を言ってて。私は、相手役の台詞に影響される部分を大きく取っておいたら勝手に反応するから、そこに賭けてるみたいな・・・。その領域の問題意識を強めておいて、引っかかるようにしてるだけ、でも勝手には引っかからないから本番だと結構変わってしまう。だから良い時も悪い時もあって。安定させたいとは思ってるんですけど。毎回、そこに行くために稽古してるから、稽古しているときにそういう段階にいければいいな、って。
__ 
以前インタビューで、相手を生かす事の出来る会話劇を理想としていた人がいました。
中西 
自分の台詞で相手が生きないと、会話している事にはならない、という事ですよね。相手役の為に台詞を言う、という事をしないと駄目ですね。

白目が見る演技

__ 
ちょっと戻りますけど、話を聞かない演技ってもちろん色々ありますよね。意図的に無視した、無意識がはねのけた、ほかいろいろ。リアクションしていない時の無風状態、余白の部分にこそ膨大な情報が眠っていて、その様相ももちろん情報なんですよね。その余白をどう考えて作るかというのが大きなヒントになるのかなと思いました。観客が見ているのは、意外にもそういう部分かもしれない。正確に言うと、観客の白目が見ている。
中西 
ああ、それはそうかもしれない。会話で黙る部分もそうですけど、役の人生が見えるのって本当に一部じゃないですか。こういう人生があるからそういう言動をした、っていう。自分の中で役を膨らませば膨らませるほど、お客さんにはすぐ伝わらないかもしれないけど、白いところが持っている力はあると思います。
__ 
照明さんは光の当たらない部分を考えデザインし、音響さんは音の鳴っていない時間を演出し、その言い方で言うなら、役者は「何をどう伝えないか」まで考えなくてはいけなくなりますね。
中西 
そうですね。それは逆に、「どうしてこの会話が伝わらないのか」を考えるヒントになるかもしれませんね。
__ 
しかし、そこまで作り込めたら凄いですよね。
中西 
すてきな女優さんは、その役の過去とかも考えられるんですよね。この人はこういう過去を持っていて、みたいな。

わたしのこれから

__ 
やってみたい役はありますか?
中西 
ヤンキーみたいなのはやってみたいです。グレているような役をしたことがないので。バーンって役をやってみたいです。
__ 
オンリーワンとナンバーワン、どちらが好きですか?
中西 
オンリーワンですね。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
中西 
東京には好きな人たちがたくさんいて。京都にもたくさんいるんですけど、やっぱり映像に出たいから・・・東京に出ていかなきゃな、って思ってます。一生懸命やろうと思っています。

スヌーピーのマグカップ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
中西 
ありがとうございます。みんながもらっているのを見てました。
__ 
どうぞ。大したものではないですよ。
中西 
(開ける)あ、スヌーピーや。
__ 
年代別でルーシーがどう変わっていったのかがわかりますね。
中西 
私ハーブティーが本当に好きなんですけど、これに入れて飲んだらピッタリだと思います。ありがとうございます。

したため#4「文字移植」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、穐月さんはどんな感じでしょうか。
穐月 
今はしたための「文字移植」の稽古のまっただ中です。実は最近、大阪から京都に引っ越しました。祖母の一軒家を借りてるだけなんですけど。今回東京から来てくれている多田さんはウチに滞在してて。晩ご飯が終わったらそのまま多田さんと台詞の読み合わせをしたり。家で稽古が出来るのが良いですね。
__ 
幸福度高いですね!
穐月 
凄い充実してます。
__ 
何だか、合宿みたいですね。さて、いまおっしゃって頂いた「文字移植」。このチラシカッコいいですよね!モノトーンだけど情報量の多いこのデザイン、印象的なこの何かを言おうとしている4つの唇。
穐月 
これは今回の舞台美術を担当してくれる林葵衣ちゃんの作品で。彼女は美術家で、これ過去に発表した作品らしいんですけど今回「文字移植」用に同じ手法で作ってもらいました。ある言葉の唇拓なんですけど、何だと思います。
__ 
おお、何を言ってるんでしょうね。「うあうい」?「おあうん」?
穐月 
私も最初解らなかったんですけど。是非劇場に来て謎を解いてもらえたら。チラシのデザインは岸本くんがやっているんですけど。
__ 
美術作品とチラシと演劇公演がそれぞれ結びついているんですね。素晴らしい打ち出し方ですね。
したため#4『文字移植』
原作|多和田葉子
演出・構成|和田ながら 
出演|穐月萌 岸本昌也 菅一馬 多田香織(KAKUTA)

わたしはどうしてもこの〈小説〉を翻訳してしまわないといけないと島へ来てからそのことばかり考えているくせに実際にはまだ何もしていなかった。あと一日しか残されていないというのにわたしはまだ何をどう訳せばいいのか見当もつかずにいた。
多和田葉子『文字移植』より(講談社文芸文庫「かかとを失くして|三人関係|文字移植」)


ある物語を翻訳するために訪れた島で、言語と言語のあわいで惑う"わたし"――
言葉はどのように「移植」できるのか、その「移植」をおこなう者の身体とは、
どのような運動のさなかにあるのだろうか。
出演者の日々の生活のドキュメントから演劇をたちあげてきたしたためは、
2016年、テキストと出会う旅をはじめました。
アトリエ劇研創造サポートカンパニーとしての京都公演、
そして創作コンペティション受賞公演としての福岡公演、
したため初の2都市ツアーで臨むのは、日本語とドイツ語、
ふたつの言語を往復しながら精力的に活動し、文芸賞の受賞も続く
作家・多和田葉子の初期作『文字移植』(1993 年、『アルファベットの傷口』より改題)。

言葉と身体が発火するところへ。

■京都公演〈アトリエ劇研創造サポートカンパニー公演〉

日程|2016 年6月10日(金) ~ 13日(月)
10日(金) 19:00*1
11日(土) 14:00/19:00
12日(日) 14:00*2/19:00*3
13日(月) 14:00*4

ポストパフォーマンストーク|
終演後、作品を軸に、演出・和田ながらが同世代のアーティストと
おしゃべりしたり、みた人同士で感想をシェアする場を設けます。 
*1 ゲスト 林葵衣(美術家、本作舞台美術担当)
*2 ゲスト 守屋友樹(写真家)
*3 ゲスト 中川裕貴(演奏家、音楽家)
*4 「余韻の時間」をつくって、いっしょに作品をみた人たち同士で話しながら、
   普段以上にじっくり作品を味わいます。(運営=「Listen, and...」プロジェクト)

会場|アトリエ劇研 >>access
〒606-0856 京都府京都市左京区下鴨塚本町1
TEL 075-791-1966 ( 月~土 9:00-17:00)
http://gekken.net/atelier/

■福岡公演
〈FFAC企画 創作コンペティション「 一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5 最優秀作品賞受賞公演〉

日程|2016 年6月18日(土) ~ 19日(日)
18日(金) 14:00/18:00
19日(土) 14:00*5

ポストパフォーマンストーク|
*5 ゲスト 手塚夏子(ダンサー/振付家)、大澤寅雄(文化生態観察)

会場|ぽんプラザホール >>access
〒812-0038 福岡県福岡市博多区祇園町8-3ぽんプラザ4F
TEL 092-262-5027
http://pomplazahall.jp/

■料金
一般 前売2,500円 当日2,800円
学生 前売1,700円 当日2,000円
高校生以下 無料
※各回、受付は開演の30 分前より開始いたします。

vol.474 穐月 萌

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2016/春
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穐月

どんな公演になりそうですか?

穐月 
そうですね、私がこの1年関ったしたための公演とは違う感じになると思います。
__ 
これまでとは違う?
穐月 
まずビジュアル的に違うというのは大きいです。私が出たのは素舞台で普段着で自分の言葉で喋るというのが多かったけど、今回は林葵衣ちゃんの美術も印象的だし衣装も清川敦子にカッコいいのを作ってもらうんです。これまでになく武器をたくさん持たせてもらってる感じですね。素舞台に丸裸で立たされるのではなく、鎧を。
__ 
この作品のどんなところが好きですか?
穐月 
この作品は多和田葉子さんの小説が原作なんですけど、その小説には読点がなくて。それが気持ちの良いリズムでだらだら続くんです。冒頭で風景描写が続くんですけどその文章の波が気持ちよくて。私、最初良いリズムに酔わされて綺麗な風景を想像してしまったんですけどよく読んだら別に綺麗な風景なんて描写されてなくて。どこかダマされたというか。こういう文体は好きだなと思いました。
__ 
穐月さんをダマす文体なんですね。今回の舞台にその冒頭は出てきますか?
穐月 
出てきます。私も楽しんでやっています。
__ 
原作を読んできた方が楽しめそうですね。さて、「文字移植」は物語のある小説なんですよね。では本当にこれまでのしたためとは違いますね。
穐月 
そうですね。物語のある小説ですけど、どう演劇にするのか悪戦苦闘はしてます。この小説で常に物語りを語っているのは翻訳家である「わたし」という主人公なんですけど、「わたし」もある小説を翻訳することに悪戦苦闘していて。「わたし」と私達の立場が同じなんだと気づいたとき、どう舞台に立ったらいいのかちょっと先が見えたような気がしました。
__ 
つまり、その「わたし」に付き合い続ける作品なんですね。したための作品は、人間の行動そのものについての思考を挑発するところがあるように思います。以前拝見した作品「わたしのある日」は人間の日常行動、とりわけ仕草についてをその人自身の生活から追求する、みたいな観点があって。私はどこまでその点を考えたことがあるのかを問われているような気がして、非常にスリリングでした。
穐月 
そうでしたね。今回の作品も、わざわざ虫眼鏡で視なくてもいいものを虫眼鏡で視てしまうがために、全体をどう説明すれば良いのか収拾がつかなくなって何でか最終的にずっ転けちゃう人達みたいな、例えばですけど。その感じは「わたしのある日」と共通してるような気がします。それと今回の「文字移植」で「わたし」が翻訳している小説自体が、小説と呼んでいいものかどうかさえ見当もつかないものらしくて。どう訳す?ってずっと悩んでるんですけどそれと同じ距離感で、どう演劇にする?て悩みながらここまで来ている気がします。その作り方が案外楽しいなって今回思ってます。
__ 
理解する術がないものに対して向き合い、そして迷う。それは楽しそうですね!
穐月 
作り方が分からないものって、いいですよね。

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穐月

誰も見たことがないものを作っている

穐月 
そういう意味ですごく良いテキストだなと思いました。作り方から迷うのって面白い。
__ 
作り方から作る作品。
穐月 
こんな「かっこいい」今まで知らなかった!ていうものに出会ったときにすごくときめきます。もう出尽くしたとか諦めずにそういうもの作れたら良いなとか思います。

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穐月

気がついたら踊っていたい

__ 
穐月さんの事をこれまでダンサーだと間違って認識してたんです。何でだろう。
穐月 
全然ダンサーじゃないです。でも、ダンサーだって認識されたのはうれしいかもしれないです。台詞を喋っている時でも、あわよくば体が踊りだす瞬間があればいいな、みたいな気持ちがあります。他人の台詞によって、でも同じく。
__ 
体から動きが飛び出したがっている?
穐月 
さて踊るぞっていう意図的なことをしたいのでは無いのですが。
__ 
「ハイアガール」の時の穐月さんのお姉ちゃん役はそんな感じでしたね。
穐月 
ありがとうございます。
__ 
自ら出たがっているその動きとは何なんでしょうね。その人の経験か、時代のもつうねりなのか、もっと大きい自然なのか。人格を無視した話ですが、そういう事はもちろんあるでしょうね。巫女を依代にするように。
穐月 
私は踊るというのがどういう事なのか良く分かってないですけど。台詞を脳味噌につめこんでふぃーって出すだけでは駄目で。台詞がフィットしたとき身体も動いてくれる感覚はあります。
__ 
本番にはお客さんがいて、それぞれに時間軸を持っています。舞台上で、言葉と身体を一致させ続ける事で、それぞれの時間に追いつく可能性がありますね。
穐月 
稽古場で大ヒットすることはあるんですけどね。繰り返せるようになりたいですね。お客さんに伝わらないと意味が無いので。
夕暮れ社弱男ユニット演劇公演「ハイアガール」
公演時期:2016/1/20~24。会場:京都芸術センター講堂。

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穐月

わたしだけの観客

__ 
穐月さんは、どんな表現が出来るようになりたいですか?
穐月 
演劇をやるんだったらありえない身体になりたくって。何があったらそうなるの、でも何かわかるわそういう感じみたいな。ある動きが過剰になるとか、多分そういう事でいいんですけど。
__ 
なぜそうなりたいんでしょうか?
穐月 
何でですかね・・・演劇だからですかね?
__ 
子供の頃はどんな子供でしたか?
穐月 
さっきの質問何でしたっけ?
__ 
「どんな表現が出来るようになりたいですか?」
穐月 
ああ、答えられなくてすみません。子供の頃は演劇が嫌いだったんですよ。おやこ劇場とかありましたよね。見にいかされる奴。ああいうのが凄い嫌いで。他の子達と楽しく観てる空間がイヤで、自分は絶対、騒ぎたくないみたいな気持ち。大人になって演劇を見るようになってからはそういうのは薄れていったんですけど、でも完全に無くしてはいけないと思っています、嫌いだという感覚も。
__ 
京都造形大に入ったのはどのような理由でしたか。
穐月 
芸大に入りたくって画塾に通って、でも何を学べばいいのか分からなくて。画塾の先生に「演劇は総合芸術だからきっと楽しいよ」と言われてそのまま。演劇なんて何も知らないまま入って。でも大学で見させられた演劇がめちゃくちゃカッコいい奴ばっかりで。演劇ってこういうのもあるんだ知らなかったって。地点とかコンテンポラリーダンスとか教えてもらって。
__ 
ご自身を揺さぶった価値観との出会い、ですね。それに出会えた事を、どう思っていますか?
穐月 
感謝しています。
__ 
私はどうだろう・・・最近フルハウスを見てるんですけど、家族の話って面白いですよね。アメリカの家庭なんですけど、どこかお互いへの距離とか見えない部分も作り込まれてる。
穐月 
面白いですよねフルハウス。私、アルフも好きでした。観客の声が聞こえるのがいいですよね。「オー」とか「フー」とか。
__ 
あれ、よく聞いていると、実際のお客さんの声っぽいんですよ。完パケしたものを上映して、そのリアクションを録ってるっぽいんですよどうも。
穐月 
日本にはない発想ですね。面白いですよね。
__ 
少なくとも、日本のドラマではあの演出は想像も出来ない。なぜかは分かりませんが。穐月さんは、その完パケ上映に招かれていたらどんな感じ?
穐月 
あー・・・まあ、外国人の反応は違いますからね。でも、今行ったら「フー」って言うと思います。ちっちゃい頃は出来なかったと思います(フルハウス好きでしたけどね当時から)。子供の頃は本当に乗れなくて。ノってる自分が嫌いでしたね。すごく、自分を傍観してるところがあって。今は大丈夫です。この間もライブに行ってすごくノれたし。変わってきましたね、観客である事に慣れてきた。

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穐月

質問 近藤 和見さんから 穐月 萌さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、VOGAの近藤和見さんから質問をいただいてきております。「僕はよく、海に行く妄想をするのですが、海と山どちらを思い浮かべますか?」
穐月 
あ、山ですかね。私、小さい頃から山によく行ってたので。父と母が山登りが趣味なので、連れられて行ってました。
__ 
どんな思い出がありますか?
穐月 
初日の出を見に雪山に行くのが恒例で、だから紅白歌合戦を見た事が無くて。紅白観てみたいなと思ってました。あと、雪山に行く格好が自分的にはダサくて、家族4人でそういう格好をするのがイヤでした。
__ 
なるほど。
穐月 
でも雪山の景色はすごく綺麗だったので今でも思い出したりします。

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2016/春
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穐月

似合わない事もやってみたい

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
穐月 
ええと、ノープランですね。色んな作品に出れたら良いなと思ってます。バリバリのお芝居とかもやってみたいし、ダンスもやってみたいです。似合わない事もやってみたいなと。

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2016/春
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穐月

ヘアバンド

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
穐月 
ありがとうございます。(開ける)うわ、可愛い。実用的。
__ 
宜しければお使いください。

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穐月

【5月31日(火)追加公演決定!】VOGA第12回本公演 Social walk

__ 
石清水八幡宮の野外特設舞台前にやってまいりました。本日はVOGA第12回本公演 Social walkが公演間近という事で、脚本・演出・音楽の近藤和見さんにお話を伺います。今日はお忙しい中、お時間を頂き、本当にありがとうございます。
近藤 
よろしくお願いします。
__ 
先ほど、少しだけ稽古を拝見致しました。役者さんだけの稽古でしたが、振付を細かくチューニングしている様子でした。
近藤 
二月ほど前からこの作品の稽古を始めました。最初の1ヶ月は身体表現の稽古を行ったんですよ。身体の素地と、テンポの感覚を身につけて貰わないと振付が出来ないので。基本的な考え方としては、劇団員は大衆食堂のウナギではなくて、専門店のウナギになってほしいんですよね。
__ 
専門的な役者を望んでいる。
近藤 
まず、「VOGAの役者」にしたいんですよね。その為の訓練を脳と身体で吸収したら、どこでも通用するという自負心があります。これをまず一月やったら、別人みたいになっているんです。身体を入り口にして脳が変わっていく。みんな、脳を入り口にして身体が変わっていくと思っているのかもしれないけど。
VOGA
関西を中心に活動する舞台芸術集団。1997年、劇団維新派に在籍中、草壁カゲロヲ・近藤和見が結成。以来、動員1000人規模の本公演を重ねる。古典的物語や現代舞台に必須とされる身体表現も行いつつも、その、演出手法・劇場空間設定の異質さで、他の小劇場劇団や商業劇のいずれとも違う舞台表現が特徴。近年では東西、出身母体の垣根を越えた実力派役者が多数参加する。公演は観客にとって一種の『旅』と考え、「日常から地続きの非日常へ迎え入れる」ことをコンセプトとし、一般劇場の他、神社・教会・現代美術館・ライブハウス・造船所跡地など、屋内、野外を問わず上演。野外公演ではスタッフ・役者、総勢約70名超の一座が組まれ表現者交流のターミナルとしても機能している。2011 年8月より劇団名をLowo=Tar=Voga(ロヲ=タァル=ヴォガ)からVOGA(ヴォガ)に変更。2015年現在、結成19年目を迎えた。(公式サイトより)
VOGA第12回本公演 Social walk
【5月31日(火)追加公演決定!】
<Social walk作品モチーフ>
人は生まれ、社会の中の様々なものと関わりながら歩んで行く。
石清水の荘厳な杜の力を借りて、ひとりの少年の歩みをモチーフにして描く幻想的な叙情詩。音・光・動作・言葉、VOGAが描き出す風景の連なりを感じとって頂ければ幸いです。

□開催日時
2016年5月20日(金) ~5月31日(火)
全日OPEN 18:00 START 19:00
※5月25日26日休演
□会場
京都・石清水八幡宮野外特設舞台
□キャスト&スタッフ
脚本・演出・音楽:近藤 和見
キャスト:
草壁 カゲロヲ/タナカ・G・ツヨシ
足立 昌弥/荒木 輝/野島 健矢
うめいまほ/渡辺 綾子/西村 麻生/小森 ちひろ/長谷川 りか/今道 鮎美
岩本 苑子/石川 信子/日下 七海/ままれ(チムチムサービス)
前田 愛美/香川 由依/佐藤 敦子/清水 風花/西尾 友希

演技をしてしまう身体

__ 
つまり、VOGAのメソッドを身につけてほしいのですね。
近藤 
僕らのメソッドというよりは、一つの体系の中で思考停止をしてほしくない。芝居とは、演技とはってこうやん、みたいな。イマジネーションの仕事をするのであれば、それでは成長しない。そういう思考停止をしない舞台人を集めたいなと思っています。僕は、思考停止してるなと思ったらめちゃくちゃ怒りますね。考 えない事が罪なんです。アホでもいいんですよ、ヘタでもいい、考えてやり続けないといけない。基本、それしか言ってないですね。大まかに言うと。
__ 
私が最近、仕事で考えている事と同じような気がします。依頼された仕事について考え抜いて、お客さんとイメージを合わせて、それで作らないと、良いものは出来ない。
近藤 
カウンターパートナーという考え方があります。クライアントさん側とこちらの能力が対等な状態を言うんですけど、演劇となるとお客さんの方が賢いんですよね。余計な演技をしてしまう役者がいたとして、その人は要らない事ばっかりしてるけど、お客さんにはもう伝わってるでそれはと。むしろお客さんをバカにしているんですよね。お客さんが感想で「分かりにくかった」と仰る事もあるけど、僕はそちらの方が良いと思うんです。静かに胸に、ぐっと秘めて帰ってくれるような演劇が作りたいと思っています。
__ 
お客さんの心に沈むような。

道すがら

近藤 
僕は、印象に残る、大きな筋を強く意識して作っていて。細かい身体の使い方等のディテールは細かく指定しているんですけど、基本的には、何年か後にハッと思い出すような絵を作りたいんですよ。その為には、順序とか流れが残ってないと思い出せない。男山山上線のケーブルカーに乗った辺りからその流れは始まっていて、駅に着くと空気がスッと変わって、「何かいい場所に来たのかもしれない」と、安心感と不安感の入り交じる状態になる。
__ 
私もここに来るのは初めてなんですが、明らかに空気の成り立ち違いますね。
近藤 
不思議な場所だと思います。僕はここ、日本でも5本の指に入る野外劇の環境だと思っています。そこまで辺鄙じゃないですし、意外と近い。大阪からだと、京都市のどこかに行くよりも早いです。歩かなくて済むのがいいですよね。そして何より、音を出してもいい。最後に、誰にでも貸している訳じゃない。
__ 
というと。
近藤 
維新派の松本さんと喋っていて、どうやってこんなところを借りられたんだ、と。松本さんは八幡市とゆかりが深いんですけど、ここは「初めから借りれるものだと思ったことがない」と。それぐらい格式が高い場所なんですね、本来。僕も怖いもの知らずで、お話をさせて頂きました。吉田神社の宮司の方に口添えしていただいたんですよ。「ウチが毎年困ってる企画がある」って(笑う)。石清水八幡宮の方には前回も僕らの取り組みを見ていただいて、今回もやっていただいて結構です、と仰っていただきました。今回のテーマでもあるんですが、縁ですね。

金の雨が降る

__ 
この石清水八幡宮、さきほども申し上げましたが空気が特別な感じがしますね。さっきから何か、金色のものが降ってきてますし。ご自身としては、ここはどんな場所ですか?
近藤 
野外劇という事で、何も無い場所に舞台を建てるんですけど、僕の中ではこの舞台は母胎なんですね。それは喩えではなく母胎で、ここで生まれたイメージが、お客さんの中に産み落とされる。最後にはここには、釘一本残らずに去る。そして、来年もいい子を産んでね、みたいな。
__ 
非常に神聖な場所という気がしてきました。
近藤 
ここの夜、一人でぽつねんと作業をしていると、ざわざわと、人ならぬものが蠢いておるなあ、と。神域だからかもしれません。スピリチュアルな話はおいといて、イメージを喚起してくれる場所なんですよね。お客さんにも、この場所で舞台を作る意味は感じてもらっているんですね。何か、しんどいな、辛いなと思っていても、弱音は吐けへんな、という感じはします。
__ 
半分近くの方は、ここを訪れるのが初めてかもしれませんね。どんな思いを抱くんだろう。
近藤 
八割ぐらいの方は初めてだと思います。僕らがその最初になれる。僕らの作品がどう広がるかは分からないですけどね。ここで演劇を始めた人もいる。
__ 
そう、VOGAの紹介文に「表現者交流のターミナル」とありましたね。多種多様な方が出会う場所ですね。
近藤 
もちろん、繋がりを求めて芝居を作ったらいけないと思うんですけどね、結果的には繋がりになるんですよ、表現活動って。本能として繋がるというのが無かったらあかんし、逆に、繋がらないという可能性も追求せなあかんのかな、と思います。陰と陽を理解しておかないといけないのかもしれない。