線形と作業

__ 
お二人の最近のテーマを教えてください。
橘  
最近のテーマは、お芝居ってめっちゃ作業だなと思ってて。作業をしよう、がテーマです。盲年も、いろんな役をやりましたが、感情とかよりも作業だなと思ってて。立ち位置とか声の量、動きとか全部作業で、全部こなしていくものを見せるのかなと思ったんです。村上君はダンサーで、何か凄く作業的にやってる印象があって。
__ 
工場の作業工程のように、演技を洗練していったという事ですね。
橘  
目が見えないからこうするというのもちゃんと考えてるんですけど、演出で指定がついたら、ダンサーとしての能力でそれを作業のようにやる。その作業を見届けたお客さんには、「目の見えない人の動き」に見えるという結果になる。それを普通にやるんですよ。ああ、これは作業だなーと思って。
__ 
表現を遂行するという、まさに作業ですね。
松本 
最近の私のテーマは、物を見る事についてです。例えば家族のアルバム、自分の知らないおじいちゃんの世代の写真や、もちろん演劇を見た時。自分がどう思ったのかとか、どこで自分の感情が動いたな、考えの幅が広がったなとか、自分への影響をじっくり考える時間が最近持てなかったんですよ。考える時間をとること、考えたことを文字にするなり人に話すなり、形に残すのが最近のテーマです。
__ 
そうやって感想をアウトプットする時に表現が整理されていくんでしょうね。頭の中にある素材を一旦形にして線形にして、一度ストリームに流して、もう一度自分にインプットする、そういう整理のループが始まる。表現の作業とはまさにそれなのかも。
橘  
私は最初、演劇は作業だとは思ってなくて。お芝居を作業だというのって結構あんまりいいイメージじゃないから。でも、思いっきり高くジャンプして、大きな音を立てて着地したらめっちゃ怒ってる演技になるじゃないですか。
__ 
見えますね。
橘  
その高さが高ければ高いほどめっちゃ怒ってる風に見えると思うんですけど、盲年の作品は、藤井君の作品は冷静に考えたらよくわかんないんですよ。色々罪があるのに忘れてるじゃん、とか矛盾がいっぱい出てきて、整合性みたいなのがつかなくなって。考えすぎて動けなくなっちゃったんです。稽古ってどうするんだっけってなったんですよ。何も動けなくて面白いことできない。
松本 
あー。
橘  
そういう時に、作業的にめちゃ高くジャンプしたら、「怒ってる」じゃなくても稽古が進むし、別のいろいろな表現への道筋が見えることに気がついて。
__ 
とりあえず作業として演技をしてみて、それが叩き台になって、付帯する演技の存在が見えてくる。
橘  
それを繰り返して演劇というのは作るのかなと思って。
__ 
でもそれがお客さんに伝わるかどうかは分からないですよね。
松本 
お客さんも日によって違うし。
__ 
本当だ、稽古場にはお客さんはいないですね。
橘  
藤井君も舞台に出ちゃうので、冷静なお客さん目線の人はいない瞬間があるんですよね。
松本 
だから何かしなきゃ、という作業的な感覚になるのかな。
__ 
それはすごく厳しい現実ですね。
松本 
公開稽古みたいな感じで見せる手段もありますけど、整理している段階だから見せられる段階ではないでしょうし。
__ 
まあ、お客さんに見せて初めて価値の出るものだから、その確信が持てるまでは出せないかもしれないですよね。

信じる

__ 
幻灯劇場の稽古場で、どんなことが起きてほしいですか?
松本 
私に技術がないからかもしれないですけど、演出との共通認識が一発でバシっとハマるのが繰り返されたら最高だなと思います。
__ 
ああ、最高ですね。
松本 
そんなことがあったら、まず同じシーンの稽古を繰り返さなくて済むし、すごく円滑に進むと思うんですよね。普段のコミュニケーションでもそうですけど。
__ 
でも、「あれは忘れてくれ」ってなるかもしれないですけどね。
松本 
それを言われた時でも、普通にすぐ納得して切り替えができるような空気。があればいいんですよね。引きずってしまうと言うか・・・。
__ 
「あれ好きだったのに」と。
橘  
あ。
松本 
何だろうね、あるね、引っ張ってしまうのは私の性格的な問題かもしれないですけど。
橘  
私、大事にしちゃう。
松本 
みんなどうやって折り合いをつけているのかというのは気になるところではあります。
__ 
まあそこはお客さんを信じるしかないかもしれないですね。切り捨てていった選択肢が、本番上では出ないけれども、必ず何らかの土台にはなってるはずなんですよ。お客さんの意識には登らないけど。洗練されていると感じるのかもしれない。
松本 
今の演技を分かってもらえるような、共有出来るくらい確実な表現、が出せたらすごくいいですね。
橘  
演出との共通認識は欲しいですね。
__ 
色々な稽古場の場合がありますよね。
松本 
噛み合わない時って、本当に作品を上演できるのかみたいな所に追い込まれるので。本番を終えた時、なんとか上演できたよと稽古場の私に言ってあげたいです。

質問 藤井 颯太郎さんから 松本 真依さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた藤井颯太郎さんから質問をいただいてきております。「好きな香りは何ですか?」
松本 
肌が、太陽に当たっている、ほかほかした匂い。太陽の暖かさが香りになる。暖かい季節にならないとあんまり出会わないんですけど、人間の肌と太陽が合致した瞬間。だから暖かい季節が好きです。
__ 
ああ、何となく分かります。

松本さん、ジャグリングに挑戦する

__ 
「秘密基地vol.9-はじめてのじゃぐりんぐ」が気になりますね。
松本 
来週から稽古が始まるんですが、今はまだ構想段階です。写真でジャグリングができたら面白いよねということを考えています。それがどういう形になるのかまだ分からないですが。
__ 
想像がつかないですね。
松本 
ジャグリングって、物が浮いてたらジャグリングらしいですよ。物理的にじゃなくても、人間関係が浮いてたらそれはジャグリングと言えるかもしれないです。
__ 
浮きたいですね。
松本 
浮くって、飛ぶよりも優しい感じがしますよね。
オムニバスジャグリング公演『秘密基地 vol.9』
公演時期:2019/5/4~6。会場:スタジオヴァリエ。

出会う

__ 
お二人が幻灯劇場に出会ったのはどういう。
橘  
私は宝塚北高校の演劇科に通っていて。一応幻灯劇場の初期メンバーです。卒業する頃に後輩たちと旗上げしました。
__ 
大阪にも支部があるんですね。
松本 
現逃劇場ですね。
橘  
いろんな人がいます。
__ 
ワールドワイドな活躍を広げていて欲しいですね。というか、幻灯劇場は色々な活動の幅があるんですよね。
松本 
確かに、演劇をガッツリと言うよりも他にも色々やってる人が多い気がしますね。私も役者一本という形ではなくて、大学時代に写真を専攻していて。専攻以外の分野も自由に受けれるところだったので選んだのですが、興味のあることをいろいろとやりすぎて卒業後に悩んでしまって。そんな時にたまたま主宰の藤井と知り合い、そこで声を掛けてもらって、試しに一緒に何かを作ろうということになりました。いざやってみたら面白い人たちだなと。
__ 
面白い人達ですよね。
松本 
なんだか変な人がいっぱいいるところでしたね。私も人の事言えないけど。
橘  
ね(笑う)。真依さんはもちろんいい人です。好きなんですけど。
松本 
私もカレンちゃん好きやで。
橘  
やった。真依さんとは「DADA」で初めて会いました。幻灯劇場の今のメンバーが出そろったのは、藤井が京都に来たここ2年くらいからです。私は役者と広報なんですけど、公演にキャスティングされる時は、ちょっと嬉しいのと嫌なのが半々で。
松本 
わかるかも。呼んでもらえるのはとてもありがたいし嬉しいことなんですけど。またあの戦場に行くのか、あの稽古場から帰って寝ての生活に戻るのかみたいな。赤紙かな。
__ 
しばらく休むというのも一つの手だと思いますよ。私がそうだったんですが、半年から1年間ぐらい何もしないでいると、役者の経験が整理されていくようなそんな感覚はありましたね。ちょっと効果あった。
松本 
なるほど。
橘  
ちょっとって大きいですよね。
__ 
冷静になっていいんだ、って思いましたね。
松本 
周りを見てると、一本の熱意がないとやっちゃいけないのかなみたいな。熱意がないという訳ではないけど、私は演劇一本というわけじゃなくて、手段の一つというか。
__ 
二足のわらじって言うじゃないですか。そういう発想って、とても重要だと思うんですよね。
橘  
わらじ、履きたい派かもしれない。
松本 
二足三足、十足くらい履いてるかも。
__ 
どれも捨てないで行ければいいですね。
松本 
欲張りさんなので。捨てたくはないですね。
全国学生演劇祭参加作品 「DADA」
公演時期:2017/2/25~27。会場:ロームシアター京都 ノースホール。

理想の舞台監督さんの話

__ 
今回のインタビューはそろそろ終わりますが、何かお話になっておきたかったことはありますか。
橘  
何だろう。
松本 
幻灯劇場は今、舞台監督さんを募集しています。毎回困っています。
__ 
あ、いらっしゃらないんですか。
橘  
それぞれ自分の制作も別にあるので、統率が取れなくて困っています。
__ 
必要ですね。
松本 
すごい大事ですよね。
__ 
どんな舞台監督さんがいいんですか?
橘  
まとめてくれて、頼りがいがあって、優しくて・・・
__ 
時々冗談を言う。
松本 
大事!
__ 
いつも余裕があって。
橘  
あー最高。
松本 
余裕がある人はいいですね。
__ 
どういう状況にあってもこちらの話を聞いてくれて、連絡がすぐに返ってくる。
松本 
あー。
橘  
稽古の過程で作品がいろんな方向に行ったりするんですが、それでも支えてくれる。方向転換が起こっても否定せずに、「そういう形で面白くするんだったらこっちの方がいいかもしれない」と上げてくれる人。
__ 
しかも自分自身の意思をちゃんと持っていて、舞台セットと音響・照明が入った状態で生まれる本番の上演において演劇的にどのような面白さが発生するかということを具体的なビジョンを伝えてくれる人。
松本 
そういう人がもしいたら、安心感を持って舞台上に立てるのかなと思います。
__ 
いやわかんないですよ、そういう人がついてくれたとしてしばらくしたら慣れてきちゃって、欲張りになってその人にもっと高いものを求めちゃうかもしれませんね。
橘  
あー。
松本 
難しいですね。

いいなと思ったことをやっていきたい

__ 
今後、どんな感じで。
橘  
面白いことがしたい。楽しく生きたいです。
松本 
穏やかな気持ちで、自分がいいなと思ったことをやっていきたいです。仕方がなしに何かをやると気持ちがだんだんと落ちて行ってきてしまうので。
__ 
もしそれができたら奇跡ですね。

漆塗りのお椀

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
二人 
ありがとうございます。
松本 
わ、いいですね。ありがとうございます。かわいい。ちょうどこういうの欲しかったんですよ、最近割れちゃって。
橘  
かわいい、湯呑。
__ 
底をご覧いただいていいですか。
橘  
すごい。橘吉だって。

夜に

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。幻灯劇場の代表、藤井さんにお話を伺います。最近、どんな感じでしょうか。
藤井 
よろしくお願いします。一昨日ぐらいに発表になったんですけど、ミュージカルの執筆を依頼されて、その締め切りが今月末です。
__ 
メガネニカナウプロデュースの「DOGS,UNDER THE ROSE!」ですね。
藤井 その執筆と、4月からレギュラーでラジオに出ることになったんですがその打ち合わせ、8月に上演する幻灯劇場のヴィジュアル撮影とかをしています。今は仕込みの期間ですね。
__ 
こないだ知ったんですが、幻灯劇場には大阪支部があるそうですね。「現逃劇場」。
藤井 
劇団内で2個下ぐらいの人たちの拠点が大阪でに固まっていて、それで作る事になりました。コントチックなことをする人達です。
幻灯劇場
映像作家や俳優、ダンサー、写真家などジャンルを超えた作家が集まり、「祈り」と「遊び」をテーマに創作をする演劇集団。2017年文化庁文化交流事業として大韓民国演劇祭へ招致され『56db』を上演。韓国紙にて「息が止まる、沈黙のサーカス」と評され高い評価を得るなど、国内外で挑戦的な作品を発表し続けている。2018年、日本の演劇シーンで活躍する人材を育てることを目的に、京都に新設されたプログラム『Under30』に採択され、2021年までの3年間、京都府立文化芸術会館などと協働しながら作品を発表していく。(公式サイトより)

「盲年」

__ 
前回公演「盲年」がとても面白かったです。彼らが犯した罪が、因果応報ではあるけれどもそのまま彼らに返ってくるのではなく、形を変え現在の彼らに戻ってくる。彼らの魂や尊厳は、傷付いているのは確かなんだけど、自分がどう傷付くのかにはもしかしたら、罪や罰以外の要素があるのかもしれない。それは何だろうか。そんな事を思いました。
藤井 
楽しく見てくださってありがとうございます。盲年自体はどうなんだろうな、結構久しぶりに、稽古場の空気がいいなと思っていて。自分は劇作家なので、創作する時どうしても言葉から逃げられない感覚があるんです。台本を稽古場へ持っていくと僕が作った言葉をみんなで分解するわけですけど、結局僕がやりたいこと風景を立ち上げようと頑張ってくれている姿を見ると、なんだかなぁって思っちゃって。天邪鬼ですよね。でも今回は言葉の外側の領域で、この道具を使ってどういう面白いことができるのか、この雰囲気の中でどんな音を作ったら風景が突然違う意味を持つのかとか話し合えて。何だろう、それぞれの領域の外へうまく足を踏み出せた。久々に、気持ちいい稽古場だなと思いました。
__ 
俳優の演技については、どんな方針がありましたか。
藤井 
これまでの作品では情報を伝達する技術的な上手さを求めていましたが、今作は俳優としての技術は求めず、一人の作家のとして作品をどう捉えるか、どういうスタンスで存在するのかということを求めました。メンバーの技術の向上もあって、ようやく「作品」を作れるようになってきたという実感があります。
第七回公演「盲年」
Under30支援制度プログラム採択 Kyoto演劇フェスティバル意欲的激励賞受賞作品
Story

舞台は大阪・八尾。ある誘拐事件に、
それぞれ関わりを持ってしまった四人の男女。
互いの距離が近づくにつれ「記録」と「記憶」がすれ違い、
不可解な事件のすべてが、盲目の少年に繋がっていく。
第四回せんだい短編戯曲賞を史上最年少受賞した藤井颯太郎の新作戯曲を、
Under30支援プログラムの第一弾として、京都府立文化芸術会館で上演。
世阿弥の息子・観世元雅の傑作能「弱法師」を下敷きに、現代の「盲目」を描ききる。

出演
村上亮太朗 / 春
松本真依 / 立花
橘カレン / 梅
藤井颯太郎 / 透

スタッフ
作・演出 / 藤井颯太郎 演出助手 / 今井聖菜 
機材 / 長井佑樹(ぷっちヨ@Kyoto.lighting) 音響 / 小野桃子
衣裳 / 杉山沙織 宣伝美術・写真 / 松本真依 
広報 / 橘カレン 石原口大樹
制作 / 谷風作 プロデューサー / 小野桃子

日程
2019年 1月 12日(土)~2月 3日 (日)
会場
人間座スタジオ・京都府立文化芸術会館

今の僕と過去の・・・

__ 
藤井さんの最近のテーマを教えてください。
藤井 
スケジュール管理ですね。元々苦手なのでもう大変で。今はうちの今井聖菜に演出助手をお願いして、執筆スケジュールとか予定を管理して貰ってるので、非常にありがたいです。できるだけいっぱい良い作品を作りたいし、色々な人に会いたいし、だから予定と時間を詰められるだけ詰めようと思ってます。
__ 
大変そうですね。演劇でのテーマは?
藤井 
せんだい短編戯曲賞を受賞した「ミルユメコリオ」を8月に再演しようと思っていて。ていうのも、18歳の時のこの作品を書いていて、今読むと言葉が若いなと思って。過去に書いてしまった取り返しがつかない言葉を、取り返すために頑張ってみるのは面白いんじゃないかなと思って。
__ 
取り返しが付かないとは。
藤井 
読んでて性格悪いなと思うんです。動機が不純だし非常識。高校演劇の大会で「ファントムペインに血は流れるか」という作品を上演したら講評でに「野田秀樹だよね!」って褒められて。その時はまだ僕は拝見していなかったけど「透明人間の蒸気」と繋げて考えてしまったんだと思んです。大人の勘違いが知ったかぶりしながら上から目線で褒めてくれるのがめちゃくちゃに可笑しくって。先生とかそういう大人が嫌いだったので。次の上演で唐十郎さんの「透明人間」のセリフやピーターブルックの演出を引用しても「野田秀樹だよね!」と言われて。そういう人たちを可哀想だな、自分の知っていることの範疇でしか語る言葉を持てないんだなって軽蔑して、いたずらする感覚で作品を作っていました。
__ 
それはそれはだな。
藤井 
勿論、自分が書きたいことは沢山あったので、それを書きつつ、知ったかぶりする大人達を嘲笑する作品を書いていました。それで全然問題もなかったんですが、鈴木聡さんの作品等プロの作品に参加するようになってから、そんなつまんない演劇の遊び方もないなとも思って。今僕がどれだけお金をかけても良くって、世界中のどんな人でも自由にキャスティングできるとしたら、僕はどんな作品を作るんだろうと考えるようになった。そこでようやく、自分の為に、自分の本当にやりたいことだけやってみようと思えるようになりました。

目的

藤井 
韓国で始まった「56db」シリーズはそのやりたいことの一つですね。劇場内で56デシベル以上の音を立ててはいけないという作品です。お客さんもその音の域を絶対に超えないようにするルールが劇場で敷かれるんですね。
__ 
緊張感が凄そうですね。
藤井 
いや、普段から劇場はお客さんはしゃべってはいけないっていうマナーがあるじゃないですか。あれと同じです。でもルールとして言葉にしてみると、あれってすごく気持ち悪いんですよね。2000人ぐらいの人間が、薄暗い場所に集められて二時間ぐらい黙って椅子に座り続ける。劇場によくある風景を、意識的に見られたら面白いなと思い付いて。音をコンセプトにしたのは、初めて海外の人達と作品を作るとなったのが大きかった。国を超えた普遍的な道具が欲しかったからなんですよね。で、音にした。人類は音から逃げることができないから。あと僕は、いわゆる参加型演劇が苦手なんですけど、このスタイルなら参加したくない人は黙って座ってみてるだけでいいし、楽だなって。韓国公演では立ち上がって声出すお客さんとかいましたね。国によって反応が違います。
__ 
56デシベル以上の音を立ててはいけないルールか。
藤井 
遊びと物語の両立を目指しました。神戸公演では物語も変更しました。月のクレーター「豊かの海」にある街が突然水の底へ沈んでしまって、電柱と電線だけが水面から顔をつきだしている(去年の水害に襲われた岡山のように)。電線に逃れ、わずかに生き残った「マグレ」と呼ばれる人々が、「カグヤ」という化け物から逃げて続け安心できない日々を過ごしている。少しでも大きな音を立てると「カグヤ」に襲われてしまう。だからマグレ達は「静かの海」に逃れるんです。二酸化炭素は月の水に溶けやすい、僕たちは二酸化炭素で話すじゃないですか、だから月の水面では言葉は溶けてしまう。静かなら襲われる心配はない。3人のマグレは共通の友人である「幸」という、好きな女の子を亡くしていて、でもその死体を置いて行くことができなかった。死後硬直で固まった死体を担ぎ上げて、電線を伝いながら、静かの海を目指す。
__ 
面白そうですね。
藤井 
面白そうでしょう、面白いんですよ僕の作品。
__ 
観客にはどんな姿勢を求めますか?
藤井 
楽しんでくれれば。楽しめない人は途中で出てもいいし。初めて出会った人とお話しする感覚で見てくれればいいかなと思ってます。初対面の人には何も求めませんね。

質問 きたまりさんから 藤井 颯太郎さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いたきたまりさんから質問をいただいてきております。「今までに強く体感したことを教えてください」
藤井 
身体が覚えている衝撃という意味で言うと…。小学校6年生の時に主役で出演していた詩人の方が書かれた作品の事で。黒焦げになったおにぎりがモチーフで出てくる、大惨事世界大戦という架空の戦争を題材にした作品だったんです。それから6年位経って、全く別件の取材で広島に行ったんですね。原爆資料館の入り口に、ふと見たら焼け残ったお弁当が展示されてたんです。それを見た瞬間に、昔俳優の自分がイメージしていた映像と今目の前に存在してる物がポンとぶつかって、呼吸が出来なくなって動くことが出来なくなってしまいました。体感といか、肌に何かを衝撃を受けたような感じがありましたね。演劇はこれだけ時間を越えでも威力を発揮するんだという経験でもありました。人生の中でも大切な体感の一つですね。面白い質問ですねこれ。体感って結構忘れてしまうもんだと思うんですよ。ダンサーさんはそういうのを覚えておくのも仕事だと思うんですけど。
__ 
あ、そういう感覚をダンサーが舞台上で完璧に再現出来てたとして、それが観客に伝わったとして、それはもちろん魅力的だけど、別にそれが「超目的」じゃないよな、みたいな事を思った。
藤井 
あ、それはそうですね。
__ 
地震で受ける、あのどうしようもなく地面に罰される感覚を表現した作品があったとして、でもそれをギャグとして笑う演出もあって良いと思う訳ですよ。
藤井 
僕はパフォーマンスには、情報を伝達する「表現」と、観客に発見を委ねる「存在」の二つがあると思うんですよ。それは作品によって違うと思いますし、どちらがゴールとも言えない。

発見

藤井 
子供の頃、比叡山のお寺で修行する機会があって、その時伺った「お経」についての話が心に残ってるんです。「経」というのは花が散った、水滴が長い年月を掛け岩を穿った、そういった、世界が発信してくるメッセージのことで、それを言葉に書き起こしたのが「経文」なんだそうです。「目に映るすべてのものはメッセージ」と歌うユーミンはお経の話をしていたんですねぇ。今、現代日本を生きてる僕らには、「経」を読み取る力が圧倒的に足りてないと思うんですね。自分が理解できない存在を受け止め、そこから自分を変容させる言葉を取り出す力。僕らは様々なメディアから一方的に伝達されることを教育されてきていて、発見する喜びは一部の人達が楽しむにとどまっている気がします。
__ 
鋭敏な感覚を持つ人は、舞台上にも客席上にも欲しいですね。
藤井 
そうですね。センスのある人と一緒に作品を作りたいですね。俳優の場合、感覚が発達してるという意味でのセンス。俳優を育てていくというのは、技術を向上させていくのもそうですけれど、それと同時に生理的な感覚を発達させるということも含むんだと思っています。感知する能力ですね。言葉にならないものをどれだけ言葉に出来るか。言葉から言葉にならないものを立ち上げられるか。そういう変換器としての役割を全うしてくれる俳優と仕事がしたい。稽古場でそれを積み重ねて、見えないものを見えるようにする・・・そういう作品を作りたいですね。
__ 
見えないものを見えるようにするというのはとても大切ですね。演劇で言うなら舞台上に視点が集まっている、そういう状況から呼び出されるものがあるんじゃないかなと思ってます。

言葉にならない

藤井 
今書いているミュージカルの脚本「DOGS,UNDER THE ROSE!」ですが、今はレチタティーボに興味があって。オペラで言う、語りの部分のことですね。レチタティーボがあるミュージカルは一幕23~25曲で構成されているのが一般的ですが、ない場合は11~13曲程度しかない。無いとより音楽劇に近くなってしまう。普段なら台詞書いたらそれで執筆が終わりますが、台詞、語りの歌、歌、そのどれに振り分けるのかを考えないといけない。その作業が今すごく楽しい段階ですね。愛を伝えやすいのは歌なのか台詞なのか、とか。
__ 
伺おうと思っていた質問なんですが、ご自身の作品においてダンスとはどんな立ち位置を占めていますか?「盲年」にもダンスがありましたね。俳優がただダンスをする訳ではなく、役として踊っていて・・・先日インタビューをさせていただいた小野村優さんが開催されている「役者としてのダンスワークショップ」にも、そういうコンセプトがあるそうです。
藤井 
あれ、この方・・・
__ 
そうです。「DOGS」に出演されますよ。
藤井 
よろしくお願いします。俳優ではなく、キャラクターの肉体が踊っている感覚ですよね。
__ 
その感覚にどこまで近づけるのか。あるいは遠ざかっておきたいのか。表現の構成としてどのように考えるべきなのか、伺えれば。
藤井 
森山未來さん・伊藤郁女さんと作品を作るときに、メールでシナリオとかを送ってやり取りをしてたんです。ある時、未來さんと「言葉の指示通りに肉体が動くわけじゃない。言葉で語れないことを踊る」という話をして。要するに言葉から距離をとってどう肉体を立ち上げていくか、ということなんですよね。だって、言葉で語るんだったら最初から喋ったほうが早いし。だから言葉にできないものをダンスにするんですよね。言葉と肉体を分離する。ダンスのいいところは、意味が簡単に剥がれやすいじゃないですか。言葉は意味と結びついてしまいやすいという危険性が高いですけれど、身体から意味を剥がすのは難しくない。意味を剥がしてしまった時に、存在がすっと浮き出てくるんですよね。
__ 
そうですね。
藤井 
執筆で言うと、作家は誰しもどうしてもやりたくない、続きを書きたくないシーンにぶつかる事ってあると思うんですよ。盲年で言うと、息子が目の前の自分を監禁してきた男が、実の父親かもしれないと気づいてしまうシーンがそうでした。で、ラジオから漏れてきているオークショナーの値札を読む声に合わせて踊るシーンにした。あれは、戯曲の中にある言葉にならない部分を、言葉にしないままダンスにしているから、作品としてもキャラクターの肉体としても成立していたんだろうなと思います。
__ 
京都府立文化会館での上演の時、ラストシーンの絵が素晴らしかったですね。
メガネニカナウプロデュース 『DOGS,UNDER THE ROSE!』
作・藤井颯太郎(幻灯劇場)

演出・勝山修平(彗星マジック)

【あらすじ】
元人気漫画家・桃田郎太郎は追い詰められていた。
作家生命を賭けた原稿を担当編集者に持ち逃げされたのだ。
担当の居場所を突き止めた桃田は地下五階のガールズバー「漢 (おとこ)」へ突入し、担当が女の子達に埋められている現場を目撃してしまう。
口止めの為殺されかけた桃田だが、No. 1嬢・オオイヌの提案で新人として働き始めることになる。
オオイヌ達は怯えていた。
桃田の漫画に「秘密」が暴かれてしまうのを。

【日程】
7月
9日(火)
19:30*初日乾杯
10日(水)
19:30*劇中歌アンコール(日替わり)
11日(木)
19:30*劇中歌アンコール(日替わり)
12日(金)
19:30*劇中歌アンコール(日替わり)
13日(土)
14:00*劇中歌アンコール(日替わり)
19:00*女子だけアフタートーク
14日(日)
14:00*男子だけアフタートーク
19:00*公開ダメ出し
15日(月)
13:00*作・演アフタートーク
17:00*小道具オークション

*受付は開演の1時間前
*開場は開演の30分前
(当日受付順に整理券を発行し、
開場時期は演劇パス→こりっちの整理番号順にご入場いただきます)

【料金】
・前売/当日◆4,000円
・学生◆2,500円(要学生証)
*日時指定自由席

【予約窓口】
・演劇パス
https://engeki.jp/pass/redirects/link/579
・こりっち
https://ticket.corich.jp/apply/99570/

【場所】
in→dependent theatre 1st(6月新築予定)

【キャスト(五十音順)】
安東利香 岡田由紀 小野村優 喜多村夏実 さぶりな(IsLand☆12) 鳩川七海(YTJプロ / 幻灯劇場) 東千紗都(匿名劇壇) 水紀憧子(ジャパントータルエンターテイント) 山岡美穂

石畑達哉(匿名劇壇) 上杉逸平(メガネニカナウ) 河口仁(シアターシンクタンク万化) 中尾周統(激富) 中路輝(ゲキゲキ/劇団「劇団」)
【スタッフ】
 作・藤井颯太郎(幻灯劇場) 演出・勝山修平(彗星マジック) 音響・八木進(baghdad cafe') 照明・西村洋輝 舞台監督・北村侑也 映像・堀川高志(KUTOWANS STUDIO) 制作・渡辺大(Limited_Spice) 宣伝美術・勝山修平(彗星マジック)

交差点

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
藤井 
いまの僕の年齢だと、「新進気鋭の才能を持つ演出家」みたいな触れ込みで、ちょっといい感じに仕事がもらえたりするじゃないですか。そういうことが続いているうちにちゃんと面白いものを作りたいです。そういう人間、ひいては劇団になっていかないといけない。幻灯劇場を「この人たちが作るものは何でも面白い」と思って貰える集団にしたいです。俳優を見に幻灯劇場の作品を見に来たら僕の言葉に出会えて、次に松本の写真に出会って、次に戸根のコントに出会えて、みたいな。今後は、交差点として機能する劇団づくりをやっていきたいなと思っています。

水平線の入ったグラス

__ 
今日はお話を頂いたお礼にプレゼントを持って参りました。
藤井 
ありがとうございます(開ける)。あ、グラスですか。うわあ嬉しい。めちゃくちゃ綺麗ですね。
__ 
ちょっとゆらぎの要素が入ったグラスなんですね。平らな水平線のように見えて・・・
藤井 
あ、一直線に入った水平線じゃないんですね。おもしれーなー。これ面白いですね。

新作舞踊「あたご」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近きたまりさんはどんな感じでしょうか。
きたまり(以下、きた) 
よろしくお願いします。最近は忙しいかな。東京での「RE/PLAYDanceEdit」が終わって、新作の「あたご」に向けて動いています。それから、もう年度末なので来年度の準備をしています。2月中にその準備を済まそうと思ってます。
__ 
無理はしないでくださいね。
きた 
うん。体は丈夫だし、体力低下したらすぐわかるから。
きたまり
振付家、ダンサー。1983年生まれ。京都市在住。京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科 在学中の2003 年よりダンスカンパニー「KIKIKIKIKIKI」主宰。出演者のブログから映画、伝統芸能、クラシック音楽まで、あらゆる素材からダンスを創作、近年ではグスタフ・マーラーの全交響曲を振付するプロジェクトを開始し、同プロジェクト2作目『夜の歌』で文化庁芸術祭新人賞(2016年度)を受賞。積極的にジャンルを越境した共同制作を国内外で展開する。
新作舞踊「あたご」 サーキュレーション京都 劇場編
2019年3月23日[土] 18:00開演、24日[日] 15:00開演
会場|京都市右京ふれあい文化会館 ホール

山と生活、人々の祈り。
愛宕山へ捧げる、奉納の舞

近年グスタフ・マーラーの交響曲全10曲を振付するプロジェクトを開始し、同プロジェクト2作目『夜の歌』で文化庁芸術祭新人賞(2016年度)を受賞するなど、旺盛な活動が続く振付家、ダンサーのきたまり。今回彼女は、右京区の北西部にそびえる愛宕山に着目し、古(いにしえ)より信仰の対象として深く根付いた山への祈り、生活文化への影響、狂言、舞、落語、和歌などに多数登場する愛宕山と芸能との関わりなどをリサーチ。「愛宕山への月詣が一番の訓練になる」と山との身体的対話を経て、現代における奉納の舞として、新作舞踊を創作する。

振付・演出|きたまり 
ドラマトゥルク|木ノ下裕一、武田力
出演|斉藤綾子、益田さち、野村香子
演奏|嵯峨大念佛狂言保存会

舞台監督|浜村修司
照明|吉本有輝子
音響|佐藤武紀
衣裳|大野知英
制作|山﨑佳奈子
地域ドラマトゥルク|中智紀

山を歩く

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CIRCULATION KYOTOで上演する「あたご」。楽しみです。この企画はもう半年以上前から知っていましたが、ついに3月に上演ですね。長い製作期間を経て。
きた 
ね。愛宕山は実は毎日見ているから、ずっとリサーチし続けてるような生活です。実際にダンサー達と体を動かし始めたのは9月か10月ぐらいですが。
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愛宕山、見た事無いかも。
きた 
京都市内から結構見えますよ。
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チラシに掲載されてるこの写真の滝も、愛宕山にあるんですね。
きた 
空也上人という方が修行をしたと伝えられている空也の滝です。登山ルートからはちょっと外れるんですけど、自然の滝で、落石注意の看板が近くにあります。私、空也ファンなんですよ。
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空也上人。存じませんでしたが、どんな方だったんでしょうか。
きた 
庶民に仏教を広めたり、踊念仏の開祖だったと言われている人です。平安時代はまだまだ、お説法だけで仏教の有難さを伝えられる状況では無かったんですね。
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ええ、当時の庶民の生活状況と教育ならそうですね。
きた 
貴族の宗教だった仏教を、庶民にわかりやすく「南無阿弥陀仏と唱えれば救われますよ」と。そこにリズムを付けて、紹介したんですね。あとは、六波羅蜜寺の十一面観音像は空也が彫ったとか(12年に一度しか開帳されないんですが)、井戸も掘ったとか。そういうパワフルな逸話がたまらなくゾクゾクします。空也上人は私のアイドルなんですよ。

舞いを編集する

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作品についても伺えればと存じます。愛宕山に捧げる奉納の舞という事ですが、祈りと舞いと劇場の3つの概念から、たいへん広がりのある作品性を予感しています。
きた 
きっと、いろんな人にとって初めて見る舞踊になると思います。ここ数年、振付家としては主にマーラーの交響曲でダンスを製作していたんですが、リサーチはやはり楽曲を聞くところから始まりました。そして、マーラーという作曲家がどんな人生を送り、どんな考え方をしていたのか、交響曲何番はどういうタイミングで作って、どういう反響や出来事があったのか。曲を聞き、そうした調査をしてまた曲を聴き、イメージを膨らませたりとか。
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なるほど。
きた 
今回も音楽が重要です。嵯峨大念佛狂言のお囃子なんですが、とにかくミニマルミュージックなんですよ。大きく分けて三つの音の変化しかないんですよね。鉦と太鼓のカン・デンデンに笛が入るか入らないか。あとはテンポの速い早鐘になるかですね。とてもシンプルな音楽です。
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トランス状態になりそうですね。
きた 
あのリズムは心臓と同じリズムだと言われていて。だから生命のリズム?のような。私たちが何をしていても合う。こういう音楽で踊ったことはありません。聞いていると時間軸がわからなくなるんですよ。
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それはどういうことでしょう。
きた 
稽古で聞いていると、1時間以上いつのまにかたってしまっている。時間という概念がなくなっていき、ずっと目の前の演者を観続けていられるんです。不思議なんですよね。
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その音楽がまず楽しみですね。
きた 
振り付けの方は何をしてるかと言うと、自然に向けた舞と、信仰の舞と、山そのものに向けた舞、の大きく三つに分けています。自然に向けた舞は、私が去年の夏にひと月、中国の山の中に入っていたんですが、やることが本当に何もなくて。何もないと言うかレジデンスで行ってるから何でも出来るんですけど、あまりにも自然に囲まれていると、スピーカーから音楽を聞こうと思わなくなるんですね。
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そうなんですね。
きた 
稽古場で踊るにしても、なぜ自分は部屋の中で踊っているのかという気分になってきて。だけどちょうど雨季だったから外の地面はぬかるんでいるし。雄大な自然に感謝したり共存したりするような身振りや所作が何か作れないかなと思って、その短い振りが出来たんです。これを、何度も繰り返す構成です。
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そして次は「信仰の舞」ですね。
きた 
日本人ってよく無宗教だと言われますけど、信仰というものは生きてる間に絶対繋がりを持つじゃないですか。だから無宗教どころか多宗教で、それは本当にいいことだなと私は思っています。日本の魅力ってそういうところなんじゃないか。でも同じ日本人でも宗教観や信仰は全然違う。冠婚葬祭のやり方とかも全然違う。そういった所を表したくてダンサーに信仰についてのエピソードを色々聞いて、それを振り付けに表現しています。
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なるほど。
きた 
そして三つ目の舞は、私は毎月愛宕山に登っていて、ダンサーも何度も登ってるんですけど、そこで経験したことや感じたことをいろいろピックアップし、振り付けを作っています。
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つまり、まさにいまダンス作品を編集している最中ですね。
きた 
でも、奉納というのは人に見せるというものではないという前提がまずある。一方で、目の前にいない存在を想像して、生きている人に見せる芸能でもある。そういう意味では奉納の舞として振り付けは構成してるんだけど、生きている人にとっての観やすさを客観的に考えて、細かく稽古しています。