一つの演劇作品で地域を繋げる・1

山中 
今日の稽古は読み合わせをしました。久しぶりの再演なので、忘れてるかと思いきや、意外とすんなり出来たんですよ。もちろん調整しないといけない部分はあるんですが。
__ 
「人間そっくり」のツアーは京都(6/11~12)、名古屋(7/1~2)、長野は上田(10/1~2)ですね。それぞれの地域を渡り歩いての公演ですが、「地域をつなぐことに意義がある」と伺いました。今日はもう少し詳細にその辺りを伺えればと思っています。
山中 
この作品は2012年に東京で初演したんですが、評判を受けて2ヶ月後に京都と三重で上演したんです。14年と15年にもツアーをしていますね。こういう風に再演を毎年出来るというのは小劇場では中々難しいんですが、今年も御協力頂き、ツアーが実現しました。
__ 
小劇場は、新作至上主義みたいなのはありますね。
山中 
この作品はとてもポータブルで、どこにでも持っていけるんですよ。出演者も少ないし、でもお客さんに見せられるクオリティを持っている。だから毎年、違う町に持っていく事が出来るんです。大都市で商業ベースに乗っかるような作品でなくても、各地にある演劇の拠点にいつでも持っていく。僕ら自身も、毎回新しい作品を同じ地域で発表するのではなく、「同じ作品を継続して」「様々な地域で上演する」事で経年変化を感じています。新しいお客さんに出会う事が出来るんです。木材が時間を経る事で深みを増していくのと同じように。
__ 
「経年変化」を求めている?
山中 
40歳を越えて、そろそろ引き算で考えるようになってきた。いつまで演劇が出来るのか?でも、チャレンジし続けたいですからね。
__ 
いつまでやれるか、ですね。
山中 
一応、47都道府県全部回ろうと目標を立てまして。三重発祥のコンテンツというのは中々無かったんですけど、このしたやみさんのお力を借りて、油田が脚本を書いて、山口さんに演出を頼んで。僕らの名刺替わりの作品として作りたかったですね。チャレンジし続ける作品だと思います。現状、安部公房の作品の渦の中にどんどん入っていっています。自分の中の何かがグニャっと曲がる瞬間があると思います。楽しみにしてほしいですね。

私が知らない自分の演技

__ 
初演の時は、どのような手応えがありましたか?
山中 
当初ですが、実は手探りでやっていた部分があります。本当に、この作品のどこが面白いのか分からないまま演じていて、そのまま初日を迎えたんですが、それが却って評判が良かったんです。もちろん演出家の山口さんも、広田さんも二口さんも素晴らしかったのは分かっていたんですが。こちらが作ったものに、お客さんの方で想像してくれる。でもやっぱり俳優って、自分の演技の価値を理解して演技したいものですよね。だから僕も色気が出て、こうしてみよう・・・みたいな感じで演技すると、途端にダメになるらしくて。
__ 
あ、分かります、その感覚。
山中 
役者自身が分かっていないぐらいが良い、みたいな事も言われました。役者の意識なんてものはあまり役に立たない。テキストと、自分についた演出を信じて立つことが役者の仕事なんだなと。もちろんハードな訓練が必要なんですけど。これはチャレンジしたいな、と思いました。
__ 
つまり、言葉は悪いですが、慣れていない味というものがある。
山中 
とりわけ僕の、いわゆる「分かってない演技」が良い、と仰る方も多いんです。でも俳優って、どうしても自分の演技を理解しようとする本能があるじゃないですか。だから僕も色気を出して色々やる、でもそうすると良くないんですね。
__ 
ああ、そこはすごく難しいですよね。自分で分かっていないぐらいが面白い・・・。
山中 
どう言ったら良いのか、中々言葉では表現できないんですけど、そういう自分のフラットさと向き合わないといけない。そこは課題ですね。

一つの演劇作品で地域を繋げる・2

__ 
今回のツアーのキッカケを教えて下さい。
山中 
2014年に、広島・金沢ツアーをやったんです。去年2015年は松山・長崎・宮崎をやりました。今年はちょっと近場ですね。長野・上田と、京都はイサン。どちらも、今後は小劇場の拠点として重要になると思っています。名古屋のナビロフトも新しい拠点になると確信しています。各地域に受け入れの場所が出来つつあるし、そうした拠点を繋げる演劇人が、越境して力試しをする。そんなケースが増えれば、もっともっと豊かになるんじゃないかと思っています。
__ 
拠点同士を繋ぐことで、もう一度豊かになる。
山中 
やっぱり、旅をするのが一番力が付くと思っているんですね。自分達が良く知っているお客さんとだけお付き合いするんじゃなくて、他の地域で、初めてのお客さんに見てもらう経験は、演劇をやっている人には足りていないと思う。他流試合が必要なんですよ。僕らの上の世代の人たちは頑張ろうと思ったら東京に行って、ちょっと売れてTVに出て、それが演劇界スゴロクの上がりだった。いわゆるそう言った、上がりは「ない」と開き直ってます(笑)で、僕なんかは地元で腰を据えて長いことやる方が豊かなんじゃないかなと思って、あけぼの座を作った。でも都会の人たちの方が実は地方であたらしいお客さんを求めていたりするんですよね。今も、そういう状況はたくさんあります。
__ 
色んな地域のお客さんと会えるのはきっと大きいと思いますが、どんな感覚がありますか?
山中 
良く言われるような、「地域によってコレがウケる、ウケない」という感覚は無いように思います。むしろ、どこでも同じなんだなあと思いますね。
__ 
地方にいながら越境をする演劇。それは、お客さんにとってはどんな価値があるんでしょうね。
山中 
僕らも色々な劇団を受け入れしているし、受け入れられているんですが、この間受け入れた劇団こふく劇場がすごく上手かったんですよ。二十年劇団をしていて、素朴な社会人劇団なんです。でも素晴らしい。(都会ではなく)地方で演劇に取り組んで、それが素晴らしい作品を産み出しているというのを知れるだけで僕らにとっては勇気を頂けるんですね。僕らと同じような地方都市の人たちの劇場は全然強い。作品も強いし、それを地域で楽しんでいるんです。無くてもいいけどあったら豊かだよね、という事を確認出来るというのは素晴らしいですね。勇気が出ます。ところで、何でみんなツアーするんでしょうね?僕らもツアーしますけど、それに明確な答えは出てないですね。

津あけぼの座のいま

山中 
オープンから10年になりました。公演が増えてきて、活気はあるんですけど、もう一度、お客さんを増やす活動とのバランスを考える時期に来ています。
__ 
劇場に来てもらわなければ始まらないですからね。
山中 
もう一度、そのあたりの事が出来たらと思っています。でも、バランスですね。どちらかに偏ってはいけないので。創り手も観る人も増やす、そういう舵取りをもう一度する時期なのかな。
__ 
手がかりは。
山中 
創設当初は色々なイベントを行っていました。地元の名士やさまざまなジャンルの専門家を招いてトークイベントをしたり、新米を食べる会と称しておかずを持ち寄って食べたり。そういう活動でお客さんが増えていったんですが、でも最近、それは出来ていないんです。今年はもうプログラムは決まっちゃっているんで出来ないんですけど、来年以降やっていきたいなと思います。
__ 
色々やってる公民館みたいなイメージですね。改めてですが、劇場の運営者として、創客にこだわるのはどんな理由がありますか?
山中 
やっぱり、劇場にお客さんが付くんですよ。劇団と違って、劇場には毎週公演があるんですよね。劇場としては、一発だけの花火ではダメなんです。
__ 
だから定着しないといけない。
山中 
そもそも、誰の為に芝居を作っているかというと、見てもらう人の為にやっているんですよね。仲間に発表するためのものではないし。金銭的にペイするためのものではなくて、自分の考えとか表現を同じ時代に生きている人に問う活動だと思うんです。であればもうちょっと、見に来ててもらう為の努力をしないといけないんじゃないか、と。作品を作る努力は素晴らしいんだけど、それを届けることにもっと力を傾けないと思うんですよね。100人程度の集客で満足していてはいけないんですよ。作る努力はもちろん、知ってもらう為の努力。チラシを届ける、貰った人が来たくなるような努力、演劇をやっている人にはそういう努力がたり無さ過ぎると思うんですよね。
__ 
そういう意味での他流試合。
山中 
そうですね。そして、一回では諦めない。
__ 
そう、劇場に来てもらわなければ始まらないし、芝居を見てもらえれば面白さは分かるんですよ。そこだけが問題なんです。
山中 
見てもらうための努力を惜しんではいけないと常々思っています。例えば新聞取材とかも、こちらから申し出をさせてもらって、実際に取り上げてもらって。こちらの実績資料もまとめて出して。僕も、そういう一連の流れが身に着いてからは楽しくなってきました。でも、やっぱり、口コミに勝るものはないんですよね。
__ 
本当にそうですね。人類が生きている以上、口コミの強さにはずっと勝てないでしょうね。
山中 
津あけぼの座も、広報活動についてはこれまで着実に続けてきたと思います。地元の人に存在を認識していただいて、お芝居というものがあると認識していただいて、そうやって文化として根付くと思うんですね。100人単位の集客で満足していてはいけないと思っています。「あの劇場でやっていた作品が面白かったらしい、見逃した」みたいに思ってもらうぐらいになったら。とにかく、集客に関しては、もっと頑張れると思います。

いつか、どんな劇場が作りたいですか?

山中 
いやもう、老若男女がいる客席、を理想にしています。仕事帰りに学校帰りに芝居を見て帰ろうかな、みたいな事が出来る環境を作りたいと思います。いいじゃないですか、ひと月に一度ぐらいお芝居を見たって、と思うんです。
__ 
劇場で体験することの良さを分かってもらうための努力を惜しんではいけない。
山中 
そうですね。
__ 
認知させていく。
山中 
その為に、僕らはまずチョイスをしているんですね。僕らはまた外に行く事によって、他の地域とも行き来していますよ、と。小劇場の専門家としてのブランド作りをしている。
__ 
劇場に来る機会を増大させるために、ブランドの認知力を高める努力を惜しまず諦めず邁進するんですね。

質問 池川タカキヨさんから 山中 秀一さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、池川タカキヨさんから質問を頂いてきております。「僕のTwitterをフォローして下さいませんか」。
山中 
はい。フォローします。
__ 
池川さん、読んでますか。山中さん津あけぼの座のアカウントをフォローしてくださいね。
山中 
お願いします!

惹きつける

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山中 
攻め方。そういう気持ちはとってもあるんですけど、何て言ったらいいのかな。今までずっと発信してきたので。今度はちょっと匂わせて惹きつけて行きたいなと思っています。あそこは何か、面白いらしいよ、と。

保坂和志・著「カフカ式練習帳」

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
山中 
ありがとうございます。開けてみて良いでしょうか。
__ 
もちろんです。
山中 
(開ける)保坂和志。
__ 
安部公房とカフカなら、ちょっと共通点があるかな、と。随筆集だそうですが。
山中 
ありがとうございます。読んでみます。

表現の生活

池川 
僕はいま奈良県に住んでいて、仕事をしながら演劇と音楽をしています。演劇だと、次の出演はニットキャップシアターの「ねむり姫」で、稽古はもう始まっています。それぐらいかな、演劇の活動は。
__ 
音楽は。
池川 
今年再開したんですけど、毎月定期的に呼んでいただいているライブハウスがあります。全然お客さん呼べてないんですけど。
__ 
池川さんの歌は好きなので、どんな事をしているのか気になりますね。
池川 
でも、劇中歌を歌うのとは違うし、ライブは結構ふざけた曲を歌っています。
__ 
というと。
池川 
前回ニットに出た時、自分が作詞した歌を使わせてもらって。(客演なのに)結構自分の事を歌えた気がしたんですよ。それでちょっと調子に乗って。ちょっと、安全圏から出ていこうという気になって。そうしたら、大阪のちょっとアンダーグラウンドな雰囲気の人たちばかり集まるライブハウスに毎月呼ばれるようになりました。まあちょっと、それが楽しくてですね。
__ 
どんな詩ですか?
池川 
いやあ・・・何か、生々しいです。ちょっとした性的表現も含まれてますし。まあ知れてるんですけど。基盤はフォークです。なんか、きちっと人に聴かせる事を前提に作った曲よりも、友達の家で酔っぱらって適当に作ったような曲の方がウケる気がするんですよ、僕の場合。30秒くらいのうどんの歌とかの方がウケたりする。うどんを2分ぐらいに伸ばして歌ったりしてて。だいたい、30分持ち時間があったとして、伸びたうどんみたいな曲を五、六玉くらい演奏します。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

ふざけて音楽

池川 
曲ってやっぱり反復して練習するから、その場で作るMC(おしゃべり)よりも自信の強度が高いんですよ。でもMCは、自信のあるネタを持って行ったとしても本番で全然ウケない場合もある。この間も、熊本の震災関係の事で思う事があって。そのMCをスタジオで前日に予行練習したら、もうジーンときたんですよ一人で。「ええこと言うな~」って。でも本番ではMCがド滑りして。
__ 
ええ。
池川 
想定外でした。もっと、自分の中でまとめてくるべきだったんです。お客さんの反応も曲中と比べたらどんどん遠ざかっていく感じで。でも自分の言いたい事は言いたいし。まあでも、何やろう、そうやな。たぶん、話題がその日の自分の一番の出来事じゃなくなってたんですよね。
__ 
お客さんが遠ざかっていった時、池川さんはどう思いましたか?
池川 
怖かった!僕自身、なんかいかにもミュージシャンっぽい人がMCで大言壮語吐いたりするのって見てられないんですよ。このあいだ、ライブハウスで共演した大学の軽音部出身の男の子がすごく真剣な眼差しで「愛について歌わせていただきます」って。でも愛ってものすごく繊細で、個人差があるじゃないですか。「ちょっとテーマがでかすぎひんか?」とは内心思いました。お客さんに見に来てもらってる以上、自分の表現した愛でお客さんの愛を汚す場合だってあると思いますし。震災の話題もそれと同じで。最近、ネットで言葉を世界発信するのに慣れてしまって、言葉の選択力が自分の中でかなり甘くなってる気がするんです。今みたいに、ちゃんと向き合って話せばあの時みたいに自分の話題を一方的に話してお客さんが困るようなことは起こらなかったんじゃないかとは思うんですけど。
__ 
ええ。
池川 
まあ実際あの時はお客さんがいなくて、ほぼ全員共演者だったんですけどね。終演後に感想聞いてみたら「静かに聞いてた」んだそうです。「間違った事は言ってない」「共感してた」とかも言われて。でも確実に距離感はありました。前触れもなく震災の話題に入ったのが良くなかったんかな。
__ 
喋りが上手くいかない事ってありますよね。残念ながら。私も、スピーチで上手く言った経験もド滑りした経験もあります。人に合わせてパッと喋るために、観客とどこまで関係性が築けるか。
池川 
そうですね。いやあ、自分が言うべきセリフなんてそうそう見つからないじゃないですか。世の中に。でも何か、意味はないけど、自分で意味を見出すじゃないですけどそういう風にするのは楽しいなって。そうでもしないと生きててもつらいことばっかりじゃないですか・・・30分間、別にお金にならないのに何でこんなしんどい事をやっているのかっていったら、やっぱ自分の為ですよね。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

演劇を始めたのはいつからですか?

池川 
僕は地方出身で、大学にまぐれで合格して、大学時代は部室が棟の入り口から一番近かった演劇部に入って。役者は今でも続けていて、観にも行きます。昔は「学生劇団の役者だから」という理由で熱心に見てたんですけど、今は肩の力が抜けてきて、単純に劇を楽しめているような気がします。見ていて「ああ、だからこういう演出になるんや」とか思ったりするんですけど、いつも感想がうまく言葉にならないんですよね。でもそれをただぼんやり眺めているのが楽しくって。昔は役者の演技にばっかり気を取られていたけど。僕は生まれも育ちも奈良なんですけど、奈良で小劇場の演劇なんて見たことなくって。奈良だと自分が役者をやってることに対してどっかで気負いがあるんですよ。でも京都は学生の町で、学生演劇が盛んだから、役者を名乗っていても気負いがない。でも若い人が奈良で演劇を始めようとしたら、やっぱり・・・どうしても偏見を持たれやすいというか。テレビで有名な劇団四季とかのイメージで勝手に一括りにされるみたいな。それは良くないなと思っています。僕が奈良にいながら活動するのは、自分の物差しさえあれば、活動拠点が地方だろうと問題がない、というのを見せたいし、見たいんです。この間は「東アジア文化都市2016」の企画発表会で、奈良に維新派が来ることが決まって。会場にはマスコミもたくさん来たんですけど、僕の周りの奈良県民は誰もそんな事知らなくって。そもそも維新派を知らないし。ぜんぜん動きになってないから。動かなかったらそのへんに落ちてる石と変わらないんで。そこは積極的に動かしたいなと。でも僕の周りにそういう人が本当にいないんで。けもの道です。それでも今まで続けてきた成果で、だんだん気負いがなくなって自分のやっていることに自信は持ててきている気はします。
__ 
自分の活動に確信的になっているという事ですね。
池川 
なりたてですけどね。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

好きになればなるほど

__ 
ニットキャップシアターにどんな興味がありますか?
池川 
出演していて(ニットキャップシアター こんなにもお茶が美味い)、現場に入った時から、この劇団の作品を見せたいという欲求が強くあって。主宰のごまのはえさんとよく話すんですけど、本当にあの人、キャラがブレなくて。何を話してもちゃんと返ってくるんですよ。借り物じゃないごまのはえ語で。それがめちゃ好きなんですよ。好きになればなるほど、また好きになるというか。単純に憧れますよね。そういう部分を盗みにいってるところはあります。
__ 
いい出会いですね。
池川 
役者を続けていく上で、いつでもニットの舞台に立てるようなモチベーションは保っておきたいです。
__ 
大切なんですね。ニットキャップとの縁が。
池川 
はい。だから、ニットキャップシアターの「ねむり姫」、凄く見に来てもらいたいです。34名出るんですけど、余すとこなく魅力的な出演陣で、これからどんな風になるのか期待しかしてないです。今はそれくらいで稽古も始まってすぐだし、具体的なことは何も言えないけど、でも、ネットの評判を待たずに来てほしいですね。感性とかで。
ニットキャップシアター 第37回公演「ねむり姫」
華やかさと騒乱渦巻く平安末期の京を舞台に、
劇団史上最大規模で描く夢物語!

ニットキャップシアターがこの夏放つ最新舞台は、
幻想文学の巨匠、澁澤龍彦の短編小説『ねむり姫』を原作に、
34名の出演者が渦を巻く平安群像劇。

当世最新流行歌「今様」をモチーフにした音楽や、雅で優美な舞踊り、
はたまたアイドルダンス、狂犬達にシュプレヒコールも雨あられ。

「ガラパゴスエンターテインメント」を掲げるニットキャップシアターの
新たな進化をごゆるりとお楽しみあれ!
【会場】AI・HALL
【脚本・演出】ごまのはえ
【出演】門脇俊輔、高原綾子、織田圭祐、下川原浩祐、仲谷萌、池川タカキヨ、黒木夏海、佐藤健大郎、佐藤都輝子(劇団とっても便利)、西村貴治、細谷史奈、山岡美穂、山谷一也、山田レイ(Reiworks)、安藤明、石井歩(流刑芝居)、生方友理恵、ガトータケヒロ、楠海緒、越賀はなこ、坂本彩純(演劇集団Q)、私道かぴ、進真理恵、土橋夢子、豊島勇士、にさわまほ(同志社小劇場)、長谷川めぐの、前原一友、松井壮大、道咲とも子、山内庸平、山下多恵子(京都演劇サロン)、Ryosuke、大木湖南〈声の出演〉
【公演日程】
7月8日(金)19:00-
7月9日(土)13:00- / 18:00-
7月10日(日)13:00- / 18:00-
7月11日(月)14:00-
【料金】
一般 前売 3,200円 / 当日 3,500円
ユース・学生 前売 2,200円 / 当日 2,500円
高校生以下 1,000円(前売当日とも)
※ユースは25歳以下。全席自由、日時指定券。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

質問 向井 咲絵さんから 池川 タカキヨさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、弱男ユニットの向井咲絵さんからです。「ギターを始めたきっかけは何ですか?」
池川 
学生時代、周りがヤンキーばっかりで。どうすればいいかというと、ヤンキーの金魚の糞になるしかないんですよ。ヤンキーはワガママだから、ちょっと柔軟性があるとめっちゃチヤホヤされるんですよ。でもそうしたらヤンキーの思うままじゃないですか? そこでヤンキーにはない何かを始めようと思って、誕生日占いで知った、同じ誕生日の尾崎豊にならってギターを始めて。EmとCで下剋上してやりました。
__ 
「今、音楽をやりたいと思っている?その理由は?」
池川 
やりたいです。理由ですか。やっぱり最初に、テングになってたころのCコードって今と全然違うんですよ。「お前ソレどうやって弾いてんの」ってヤンキーをビックリさせながら弾いたEmは、今と全然違うんですよ。あの時の恍惚感とか幸福感にはなかなかいたれなくて。あの時に弾いたEmの感覚を忘れるまでは続けるでしょうね。思い出したいし。
__ 
その状態には中々行けないでしょうね。高度な悟りが、その人を幸せにするとは限らないじゃないですか。
池川 
関係する人間の数にもよると思うんですよ。一人で生きてたら、自分一人の為の悟りでいいと思うんですけど、芸能人とか会社の社長並に関係する人がたくさんいたら・・・僕がそうじゃないし僕からこれってことはあまり言えないですけど。関係する人がいればいるほど、個人主義では通用しない部分って増えますしね。やっぱし、基本は生きづらいんですよね。
__ 
幸福の絶対量が大きくなればなるほど幸福のレートが上がっていく。関係者数も多くなればなるほど、期待される以上の悟りを得なければならない?
池川 
はい、だからその逆もありますよね。震災関係の話題で、芸能人のSNSに一般人が「不謹慎だ」とかいって炎上するようなニュースを最近よく見かけるんですけど。カロリー使う場所明らかにおかしいですよね。「言葉って一体何のためにあんのや?」みたいな。やっぱりネットは怖いですよ。萌え系アニメのヒロインがアイコンのツイッターアカウントとか・・・

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

熱中したい春

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
池川 
演じた役にそのままなりたいです。そういう熱中できる役を見つけたい。毎回同じような役になるのもそれはそれで構わないんですよ、それは、自分の個性がそうさせているところもありますから。
__ 
そうですね。
池川 
プレーンな人の仕草が好きなんで。あれを、物怖じしないで出来たらいいのにと思っていて。そこを採取出来たらなと。材料の選択肢が演劇界の中だけになってしまうのはなんか嫌ですね。
__ 
演技が退廃する事を恐れている?
池川 
コピーじゃないですか。小劇場界の中ですら、コピーのコピーをずっと見続けていて、だから当時演劇が面白く思えてなかったのかもしれないですけど。結局、モデルの背中を追いかける事が、役者の完成度みたいな事になっていって(今はそこを踏まえて面白く見えているんですけど)。でもそれはモデルを必要としているところでやればいいことで、僕は、誰か一人だけでも、もの凄く心に引っかかる芝居が出来ればそれでいいと思ってます。月並みですけどそんなところです。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

同世代へ

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
池川 
自分と同世代の人が今どんなふうに活動をしているのかは気になります。今まで年上の人と演劇を作ってきたし。もっと同世代の人と関わって何かがしたいという想いはあります。音楽にせよ。同世代の人にもっと役者として認知してもらえたら。今のところ自称なので。企画とかもやりたいですし。
__ 
なるほど。
池川 
がんばります。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

グレート・ギャツビー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
池川 
ありがとうございます。(開ける)おお。これ読んでみたかったんですよ。まじか。めっちゃ嬉しいです。まさか自分に村上春樹の翻訳した「グレート・ギャツビー」をプレゼントされる日が来ようとは。

vol.471 池川 タカキヨ

フリー・その他。

2016/春
この人のインタビューページへ
池川

忙しい向井さん

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、向井さんはどんな感じでしょうか。
向井 
よろしくお願いします。最近ですか。次にAI・HALLのbreak a legの企画で弱男でやる「モノ」の稽古と、その後のいなもり支店という企画があって、それが三都市公演があるのでそのこととかをやっています。大変ですけど、楽しくやっています。
__ 
頑張ってますね。
向井 
まぁそうですね。
__ 
いなもり支店、凄く昔に見た事があるんですけど、それからずっと拝見出来てなくて。
向井 
以前の作品の再演になるんですけど、東京ではこまばアゴラ劇場、京都では元・立誠小学校、広島ではアステールプラザでやります。
__ 
絶対行きます。稲森さんの言葉の感じが好きです。台本欲しいと思った事を思い出しました。
向井 
それ、嬉しいです。稲森さんに伝えておきます。喜ぶと思います。
夕暮れ社 弱男ユニット
2005年村上慎太郎の個人ユニット「弱男ユニット」を結成。砂浜や劇場ロビー、ライブハウス、会議中の事務室前など劇場外での公演を数多く行う。2008年それを前身とし、さらに活動の場を広げていくためにメンバーを募り、「夕暮れ社 弱男ユニット」と名前を改める。過去作品には、観客が舞台上にあげられ、先ほどまで座っていた椅子が目の前で俳優の手によってぶん投げられながら物語が展開していく「現代アングラー」(大阪市主催CONNECT vol.2優秀賞受賞/2008年)や、 劇場の真ん中に客席を設置し、俳優がその客席の周りをグルグルと廻り続け演じるという独自の方法でデモ行進する人々を描いた「教育」(大阪市立芸術創造館/2010年)や、俳優が地面を終始、転がりつづけながら青春群像劇を演じた「友情のようなもの」(2012年/元・立誠小学校)などがある。(公式サイトより)
AI・HALL次世代応援企画break a leg 「モノ」
○開催日時○
2016年5月28日(土)29日(日)

5月28日(土) 15:00/19:00
5月29日(日) 13:00
※開演の60分前に受付開始、30分前に開場
※当日、会場にて受付順に入場整理番号を配布

○会場○
AI・HALL
(伊丹市立演劇ホール)
〒664-0846 兵庫県伊丹市伊丹2丁目4番1号
TEL:072-782-2000

○チケット○
料金

一般/前売2,800円 当日3,300円

  学生/前売2,500円 当日3,000円 (要証明)

【日時指定・全席自由】

作:フィリップ・レーレ(原題:『Das Ding』)
翻訳:寺尾格
演出:村上慎太郎
出演:稲森明日香、向井咲絵、南志穂(以上、夕暮れ社 弱男ユニット)

鎌谷潤吉(僕らの陰謀)、金田一央紀(Hauptbahnhof)、小林欣也、
古藤望(マゴノテ)、松田裕一郎 西マサト国王(B級演劇王国ボンク☆ランド)

舞台監督:浜村修司(GEKKEN staffroom)
照明プラン・オペレーター:吉津果美
照明アドバイザー:筆谷亮也
音響プラン:genseiichi
音響オペレーター:森永キョロ(GEKKEN staffroom)
劇中映像:柴田有麿
映像オペレーター:中野響馬
衣装:若松綾音
チラシ・制作:稲森明日香
票券:池田みのり

共催:伊丹市立演劇ホール
協力:大阪ドイツ文化センター、僕らの陰謀、マゴノテ、Hauptbahnhof、B級演劇王国ボンク☆ランド、徳永のぞみ、山本悟士

京都芸術センター制作支援事業
いなもり支店「ちょっと待って、エントロピー」ツアー2016
京都・広島・東京6月~7月。

稲森さんとコンビ

__ 
向井さんは稲森さんとコンビみたいな感じですよね。
向井 
私たちイコールコンビ、みたいに考えた事はないですけど、でも、言われてみればそうかもです。稲森さんとは、バランスがいいというかお互いに自分に欲しい部分を持っている感じがする。
__ 
呼吸の合い方がものすごく合っているんですよ、二人は。それは弱男ユニット全体で、ほわほわって固まっている感じ?
向井 
なんかそれは感じます。同じような色やな、というのは。
__ 
村上さんに聞いたんですけど、弱男ユニットって、血の通った芝居を作れる人たちなんじゃないかという話になったんです。血の通った、とはどういう事なんだろう、と思っていて。それはもしかして、自分ではない何かになりたいとかいう本能じゃなくて、そのままで舞台に立てる力を持っているのかなと思ったんです。前から思っていたんですけど、彼らは素の部分が非常に強く舞台に出ている。この人達はこの人達なんだなあ、って。
向井 
なるほどなあ。昔から村上さんが言ってる事ってあんまり変わってなくて、器用な人とかよりも、元々が面白い素材の人を持ってきているな、と。だから何かになりたいとかみたいに「役者」としてはあんまり考えてきていなくて。
__ 
なるほど。
向井 
脚本にも関西弁が多いのも私にはやりやすくて。その人の言葉や身体を大事にしているんだなあ、って。
__ 
その、俳優個人の土着的なものがあり、その上でのふわふわしたな何かがあると思うんですよ。浮遊感がある。彼らが人間過ぎて、時たまファンタジーのように感じられる事がある。
向井 
なるほどな。浮遊感がありますか。
__ 
そんな気がする。
向井 
それは感じた事はないけど・・・そうなんかな。変わっているな、とは思いますね自分とこの団体。
__ 
格好付けている人がいないのがいいと思います。

「メガネ」

__ 
次の出演は。
向井 
次はハイタウンに出ます。私は努力クラブの合田君が演出する「道をたずねるコメディ」に出るんですよ。私あんまり客演に出た事はなくて。イエティとユニット美人ぐらいですね。
__ 
楽しみですか?
向井 
お祭りごと好きなので楽しみですけど、緊張はしますね。毎回、やってみたら楽しいですけど。面白い人ばっかりだし。今回のは努力クラブに出てるみたいな人が結構でてるから。それでちょっと、気は楽かなと思っています。合田くん面白いし。
__ 
そうですね。最近の出演で言うと、この間のBRDGのイベントでのメガネのコント面白かったです。向井さんと稲森さんとメガネと彼氏の、ズレをめぐるようなお芝居でしたね。半径、その場でクルクル回るレベルの。
向井 
あれは何度かやっている作品で、一番最初は「弱男ユニット」って短編集の公演で、その後いなもり支店でもやったし、その後外でやる事もあって。弱男ユニットとしては唯一ぐらいの持ちネタで。前日に二人で久しぶりに練習して調整しました。あれ、すごく難しいんです。
__ 
どのあたりが。
向井 
メガネを偶然落とす演技があるんですけど、そのタイミングが。あれ結構、重力に任せてるとこがあって。
__ 
そう、すごく自然な間でした。あの間が抜けているのが、向井さんが演じている女の子の性格だとか生き方とかを端的に表現していたんですよね。あれは本当に面白い演技でした。でもちょっとした掛け違い、例えば少し感情表現の勢いとかトーンが違っただけで別の方向にそれていってしまう。その上で面白い演技が成立するって奇跡だと思う。
向井 
うん。
__ 
ここで聞きたいんだけど「面白い演技とは何か」。
向井 
あー。何でしょうね。面白い演技。
__ 
もちろん追求したら際限無いですけど、じゃあどこまでいったら一旦終わり、に出来るものなの?
向井 
メガネの場合は思い出し稽古でしたから。二人の会話が混ざったりしないように台詞のタイミングを気を付けたりして。私がすごいキャンキャン言うから。
__ 
あのぐらい混乱した掛け合いの激しい芝居でも、調節の末、一つの形にまとめられるって凄い仕事をしていると思う。あんなに不定型な作品なのに。何回もやっている作品なら、お客さんへの訴えかけるポイントだとか、そういう部分も把握しているし。
向井 
ありがとうございます。

ハイアガールの話

__ 
ハイアガール、大変面白かったです。泣きました。お疲れ様でした。ある町の話で、仲の良い女子高生の内一人が銭湯の煙突から飛び降り自殺してしまって、片方が苦しんで、周りの人たちも苦しんで・・・でも、全員が這い上がっていく。暗転が開けて1年後、町が変わるというのが示されるんですけど、私にはその描写の方にこそ泣いてしまって。銭湯の煙突が無くなって、代わりにドイツ製のボイラーが来る。
向井 
劇的な事があっても、周りの人の時間は続いていて。カップルが成立したり子供が出来たりだとか・・・劇的には変わらへんのやろうなって。人間変わらなかったり、お互い寂しくて付き合ったり。生きている人等は生活が続くから。ふつうの生活に戻っていったな。こんな言い方は村上さんに怒られるかもしれないけど、そんなもんなんかな、って思ったりはします。
__ 
村上さんは、「人間はものすごいどん底に落ちてしまっても這い上がってしまう」本能を持っていると言っていましたね。
向井 
ほんますごい、生活は続くんですよねー。落ちても、終わる訳じゃないから。続くからなー・・・って。
__ 
続くのが悔しい?
向井 
続くんのが悔しいとも思わなかったですね、自分の場合は。悔しいというより、それが当たり前というか。立ち止まらないんですよ。自分の身にそうゆうことが起きたとしても、立ち止まってられない。浸っている時間はなくて。次の日になったら、私だって仕事があるかもしれないし、食べていかれへんし。結構、思っているより、自分は中心ちゃうぞ、と。思ったよりも世の中はめちゃくちゃ動いてるぞ、と。
__ 
自分は中心じゃないと思った時、どうだった?悔しかった?
向井 
悔しいというよりは、ハッとした。中心だと思ってしまっていたことにハッとする。中心ちゃうし、そんな余裕ないやろう、と。続くから、流れていくから、だからあの二人は付き合う事になったんちゃうかな。這い上がらざるを得えへんというのは、そういう事なんじゃないかなと思う。お前なんか中心ちゃうぞ、って。浸ってんちゃうぞ、そんな余裕ないぞ、と。
__ 
誰もこの世界の中心じゃないけどね。
向井 
誰もいないと思います。中心人物なんて。
夕暮れ社弱男ユニット演劇公演「ハイアガール」
公演時期:2016/1/20~24。会場:京都芸術センター講堂。