漫画を描く

進野 
「メロメロたち」の稽古場漫画を描きたいです。それと、漫画賞を獲ろうと思います。昔はこんな、目標を口に出して言うのは恥ずかしいと思ってたんですけど。
__ 
目標を言うだけならタダですからね。
進野 
ええ。
__ 
漫画を描くなんて、誰にでも出来る事じゃないですからね。技術と情熱を感じるし、なんだろう、進野さんはこの絵を描く事が許されている人なんだと思う。Sun!!さんの顔をこんな風に描けるのは進野さんだけだと思うんです。いや、もう、似顔絵的にデフォルメされていながらちょうど良く可愛く描けていて、でも進野さんが見たその人の人となりを感じるんですよ。
進野 
その人に似ないと、と思って描いたわけで。そうですね。僕が描いたらこうなりました、という個性は大事にしています。僕なりに、愛を持って描いたつもりでした。描くのに愛は必要だと思ってます。
__ 
本当に、そうですよね。
進野 
前回は舞台美術と、小道具を作っていたので出来なかったんです。結構忙しくてレポート漫画は描けなかったんですよね。

質問 司辻 有香さんから 進野 大輔さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、司辻さんから質問を頂いてきております。「自己紹介をしてください」。
進野 
どうも進野大輔です。悪い芝居という劇団に所属しています。ゆくゆくは、自分の漫画を描いていきたいと思っています。でも劇団員です。猫が好きです。あんまり思いつかなかった・・・こんなんでいいんですか?

愛嬌、どこからきたか

__ 
進野さんが面白いと思う漫画のポイントは?
進野 
やっぱり、漫画を読む理由って、そのキャラクターにどれだけ魅力を感じる事が出来るかだと思っていて。魅力あるキャラクターを描ければ一番いいと思うんですけど・・・
__ 
デフォルメをして、それでも一つの像としてまとめあげる事。例えばワンピースだと、どのキャラクターにも愛嬌がある。でも、愛嬌ってなんでしょうね。
進野 
その人の積み重ねみたいな部分はあるんちゃいます?やってきた事とか、全部。その積み重ねのどこかに、許される部分があったとして、そこが愛嬌なのかもしれない。
__ 
演劇人には全員愛嬌がある。誰も守ってくれない、お金のないこの業界で続けているんだから、それはやっぱり、愛嬌が宿ると思う。

もっと早く・・・

__ 
悪い芝居の中で、何を作りたいですか?
進野 
一つは、みんなで上に行くために努力をする事。それはまずやっていかないといけないなと思っています。その為には僕自身も、劇団に影響を与えられるようになりたい。漫画を描いて、それで観に来るお客さんが出てきたら。そういう風に力を付けられれば、劇団の恩返しになると思っています。漫画家ってポジションの劇団員が一人おるって、面白いと思うんですよ。大人計画ってそういう傾向があると思うんですけど、それぞれがそれぞれの何かを持っていたら、と思います。僕だったら、それは漫画。
__ 
素晴らしい。ていうかそれはもうそうなっていると思いますけどね。こんな稽古場漫画とか描かれたら、それはもう、座組はテンション上がると思いますよ。だって、これに掛けられ時間を想像するだけで元気になる。
進野 
一枚仕上げるのに何時間掛かっとんねん、という時もありましたからね。描き上げる時はバーっと出来るんですけど。次は、もう少し時間を掛けずに上げられるようにする、とか。
__ 
ああ・・・。
進野 
やっぱりNowなものをお届けしたいと思いますから、例えば4コマにするとか、描き込みの量を減らすとか。この時はどこまでやっていいのか分からなくて、気が済むまで描き込んでました。そもそも細かく描き込むのが好きだし。
__ 
飲み会の料理の皿まで描き込んでるからね。でも、この努力の量を私は愛しています。
進野 
美術科のある高校だったから、それが役に立っていると思います。楽しかったらいいかなあと思って。
__ 
私が言える事じゃないですけど、この手間が、質量ともに伝わってくる稽古場レポートなんて、唯一無二だと思います。これだけで、観に来る動機になってしまうと思うんですよ。

橋渡しになるかなあ

__ 
お客さんに何を期待しますか?
進野 
観に来てもらって、良かったよと思ってもらいたいです。周りにも言ってもらったら、それでお客さん増えてもっと大きな劇場で見れますよ、と。応援してもらえたらなと思います。
__ 
良いお客さんに出会えるといいですね。縁があっての事ですから。音楽劇という事なら、例えば最後に盛り上がって終わるとしたら、そこで意識が混ざり合うみたいな事が自然に起こる訳ですからね。最高に盛り上がった回は、特に。
進野 
僕は常に舞台の裏にいるので、お客さんの顔を見た事はないんです。どんな顔で見ているのか、分からなくて。お客さんとのつながりはあんまり無いから・・・
__ 
稽古場レポート漫画で充分橋渡しをしていると思いますよ。
進野 
そうだと嬉しいです。そこから繋げられたらいいなあと思っています。
__ 
この生原稿自体に力があるから、それを展示したら観に行く理由が出来てしまうと思うんですよ。漫画って、最初の1ページが上手く出来ていたらそれ以降読むじゃないですか。
進野 
ありがとうございます。もちろん、気軽に読んでもらいたいです。普通の漫画みたいに自由に割ると硬いかな、と思って、単純な6コマ割にしました。雑誌の広告にあるような漫画みたいに気軽に読んでもらいですね。
__ 
気軽に、ですね。
進野 
毎回やっぱり、ネームを作ってOKを取ってから描き上げるので。僕だけのものじゃないから、どうしてもそこは。客演の方もいますし、
__ 
ああ、そうですよね!特に今回は。
進野 
でも、その分多くの人の目に触れられると思うんです。頑張ります。

外の世界へ

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
進野 
僕自身の漫画を確立して描けるようになるのが大事やなと思っています。こういう絵が好きなんです。自分が何を描きたいのか、というのが段々分かってきて。いま、同じ漫画のネームを3回ぐらい描き直していて。
__ 
それはどんな漫画?
進野 
どストレートな作品にしようと思っていて。自分の為ではなく、誰かのために頑張れる人。人が変わる瞬間、やっぱり目の色が変わるんですよ。心臓の鼓動が聞こえるというか、そんな成長の瞬間。それを描きたいと思います。出来れば早く描き上げたいです。

llenoの無地のノート

__ 
今日はお話が伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
進野 
ありがとうございます。見ていいですか。
__ 
もちろんです。
進野 
(開ける)あ、ノート。僕、無地のノート大好きなんです。罫線のあるノートよりも、無地のものばっかり買っています。表紙がこんなに綺麗だと、使うのに躊躇しますね。
__ 
ガンガン使って下さい。
進野 
ありがとうございます。

明かりと私

__ 
はじめまして。今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、渡辺さんはどんな感じでしょうか。
渡辺 
よろしくお願いします。最近は、色んな現場で照明の活動をするようになりました。最近経験した公演だと、阪大の人たちと「列島カメレオン」という劇団で、そこで照明チーフをさせて頂きました。
__ 
プランを立てるところから担当されたんですか?
渡辺 
はい、プランとオペを担当しました。話に溶け込むような照明を作ろうと思っていました。
__ 
つまり、自然な地明かり?
渡辺 
そうですね、出来るだけ変化が大きくないように。
__ 
照明で楽しい事は。
渡辺 
全部の行程が好きです。考えるのも、操作も、見るのも。仕込みもバラシも好きです。
__ 
どんなところが好きなんですか?
渡辺 
舞台上での光を担うこと。時間軸を操れるのが魅力的なところだと思っています。朝や夜の時間帯や、シーンのつながりも示す事が出来るんですよね。
__ 
ありがとうございます。ちなみに、いつ頃から面白いと思われるようになったんでしょうか。
渡辺 
照明を始めて1年経っていないんですが、アトリエ劇研のスタッフワークショップで照明講師の方に教えて頂いて作った照明が私の原点なんです。その時に一番、照明の楽しさに気付きました。それから、今は劇団三毛猫座さんで照明を作っています。
劇団三毛猫座「傘下のひとりごと」
公演時期:2016/3/26~27。会場:スペースイサン。

vol.462 渡辺 佳奈

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2016/春
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渡辺

じんわりと

__ 
オペをしている時には、何を思いますか。
渡辺 
一番最初にオペをしたのが、辻企画の「燃え盛る火の車の女」でした。パフォーマーさんのげいまきまきさんと息を合わせた光を念頭に置いてオペをしていました。じんわりと変化していく事に気を付けていて。客席からはほとんど分からないように、ゆっくりと動かして。そういうオペをしている内に、ゆっくり変化するような照明プランを作りたいと思いました。
辻企画公演『燃え盛る火の車の女』
公演時期:2015年6月27日(土)~28日(日)。会場:アトリエ劇研。

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渡辺

描くなら・・・

__ 
京都で演劇を作る事に、どんな思いがありますか?
渡辺 
私の場合は作品というより明かりから演劇に入ってきたので。でも、京都にいるとしっくり来るというか、落ち着くんですよね。制作環境も京都だし。これからも京都で活動していきたいです。京都で絵を描いていると、ここが私の成長してきた場だなあ、って実感があるんです。
__ 
あ、絵の勉強をされているんですね。
渡辺 
大学では日本画を専攻しています。小さい時からずっと絵を描いていて、小学校の頃から美大で絵を学ぶ事は決めていました。中高は油絵を描いていたので、大学では新しい分野の絵に挑戦したいなと思いまして。
__ 
なるほど。最近の作品はいかがですか。
渡辺 
毎年2月に大学の制作展がありまして。京都市美術館で全学年の生徒が集大成の作品を飾るんです。その時に展示をしたのが一番最近です。こういうものを描いておりました。
__ 
あ、綺麗。一つ一つ丁寧で、細かいですね。

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渡辺

質問 南風盛 もえさんから 渡辺 佳奈さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、南風盛もえさんから質問です。「嫌いだなあと思う人の前で、どんな顔をすれば良いでしょうか。」
渡辺 
うーん・・・私だったら、そうですね、顔には出さないですね。出さないように努めています。
__ 
つまり、出ているんですね。
渡辺 
あは、私、分かりやすく顔に出てしまうから。良く言われます。

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2016/春
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渡辺

色色の明かり

__ 
何か、悩み事はありますか?
渡辺 
やっぱり今後、照明を続けられるかどうかという心配はあります。ほかの、演劇を続けている方と同じように。
__ 
どうにかして続けていきたいですよね。難しいですよね。
渡辺 
やるしかないという感じですけれども。
__ 
どんな風に続けていきたいですか?
渡辺 
私の場合はジャンルにとらわれず、演劇だったりダンスだったりパフォーマンスだったりでやっているので、今後も出来るだけ、多分野の照明が手掛けられるようになりたいです。
__ 
色々な経験を通して、たとえば誰も見た事のないような明かりが作れるようになるといいですね。
渡辺 
はい、これからも明かりをつくっていきたいです。多くの作品に触れて、経験を積み重ねていくうちに、自分の明かりになっていくと思うんですよね。
__ 
どういう作品を見ればいいんだろう。例えば手塚治虫は「一流のものだけを見なさい」とか言ってますよね。
渡辺 
そうですね、でも私は、一流の照明以外でも、学んだり吸収出来るものがあると思います。

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2016/春
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渡辺

栗納豆

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
渡辺 
え、プレゼント?え、プレゼント。貰っていいんですか。
__ 
もちろんです。どうぞ。
渡辺 
栗納豆。京都のものなんですか。ありがとうございます。やった。頂きます。

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渡辺

もう、別れの季節

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、南風盛さんはどんな感じでしょうか。
南風 
3月は本番の稽古と、卒業展があるんです。
__ 
劇団速度ですね。それと卒業制作の展示。忙しいですよね。お時間を頂きありがとうございます。
南風 
卒展は、東京に行く事になった友達が忙しいのもあって、中々人手が足りなくて。でも間に合いそうです。
__ 
忙しい以外だとどうですか?
南風 
何だろうなぁ。卒業式に何着ようかなと思ってます。女の子は大体袴なんですよ。袴姿の女の子はほんとうにかわいいと思うんですけど、自分が着るのは・・・昔薙刀やってたんで、稽古着の感覚で・・・テンションが上がらなくて。
__ 
京大の卒業式はコスプレをするらしいですね。
南風 
うちの大学では映画学科は結構コスプレするみたいですね。舞台芸術学科は大人しいですね。
__ 
何をしたらいいかな。自分の生首を持って現れるとか?
南風 
出来ます。授業発表公演でマクベスをやった時に、マクベス役の河井くんの、そんな小道具があったんで。
__ 
河井君なら出来ますね。でも生首、自分で言っててありふれたアイデアだなあと気づきました。
南風 
あはは。
劇団速度
舞台芸術研究会(@buken_26)主催の劇団です。拠点は京都。(公式twitterより)
劇団速度『珈琲店』
2016年3月10日(木)-3月13日(日)
各回20:00開演
料金:一般2000円 学生1500円
※珈琲一杯付き
会場:喫茶フィガロ

原作 カルロ・ゴルドーニ
演出 野村眞人
出演(五十音順)
後藤禎稀
城間典子
瀬戸沙門
武内もも
中西みみず(Juggling Unit ピントクル)
南風盛もえ

みだしなみ「蝶のやうな私の郷愁」を終えて

__ 
みだしなみ「蝶のやうな私の郷愁」、去年でしたね。面白かったです。狭いアパートに夫婦二人が閉じ込められていて、でも外の世界の中心にどこまでも包まれている。絵画のようにまとまっていて見やすくて、けれどどこか不安定な舞台でした。まず、舞台セットも綺麗でしたね。
南風 
抽象的な舞台セットが好きなんですけど、ト書きに「家」と書かれていたので、まず家って美術以外で出来ないものかなと思ってたんです。でも、家が家以上のものに見える瞬間ってあんのかなと思って。抽象的な美術だと四角いブロックがそれ以外の何かに見えるような。そういう風に、家が何かに見える瞬間があるのかな。お客さんが勝手に想像してくれるのかな。
__ 
具象的でありながら、それ以上のものになる。照明も抑え気味でした。家の姿かたちでありながら、それ以上のものに異化する。役者が、自分以外のものになりたいと思う、そんな動きと同じかもしれませんね。
南風 
ああ、そうか。そんな願望あるかな。
みだしなみ 第3回公演「蝶のやうな私の郷愁」(京都造形芸術大学 卒業制作演劇公演)
作:松田正隆
演出:南風盛もえ
日程:
2015年
11月15日11:30 / 18:00
  16日13:30
会場:京都芸術劇場 studio21にて
出演:近藤智子、蜷川敬太

「お客さんが勝手に想像してくれる」

__ 
「お客さんが勝手に想像してくれる」。最近、匿名劇壇の芝居でも同じような事を言ってたかな。この間のフラッシュフィクションで言ってた気がする。
南風 
フラッシュフィクション、行きたかった・・・カストリ社のときにめっちゃ面白いと思って。
__ 
そう。超短編を立て続けに上演する作品形態。だからこそお客さんが勝手に想像するという状態になりやすかったんじゃないかと思うんですが、逆に言えば、そういう状態に確実にする、というのが演出家の成果かもしれないなあとふと思って。
南風 
アンケートに「何が言いたいのか分からなかった」と書かれる事もあるんですけど、その人には想像をさせられなかったのかなと思うんですよね。平田オリザさんの著書で「作品には作者からのメッセージがある、という考え方をしている人、それは現代国語の弊害で、この作者は何が言いたいか?この文章のテーマは何か?という問題を当たり前のように私たちは解いていて。自分の考え・答えではなく、誰かの考え・答えの正解を探すような見方で演劇を見てしまう」みたいなことを読んで。
__ 
答えを予見して見てしまう人には、単純に見方が合わないのかもしれませんね。特に、どう取ってもよい演劇作品は。
南風 
そのうえ現実には、すぐには解決しないぐらい難しい問題の方がずっと多いですから。
__ 
ものの見方は一つではない。
南風 
一回生の頃三浦基さんの授業を取ったんです。「何故演劇の人口は少ないのか」というテーマがあったんです。スポーツと比べて。一番大きいのはルールがあって分かりやすいから。もし演劇にルールがあって分かりやすければ違っていたかもしれない。でもそうではない。演劇は理解して見るものではなく、了解しながら見るものなんだ、って事を入学してすぐ、5月ぐらいに聞いて。一発で色んなものを見れるようになりました。そう、了解しながら見れば良いのかと。

舞台芸術研究会で

__ 
劇団速度の公演「珈琲店」ですね。まず、この公演はどんな経緯で始まったんですか?
南風 
舞台芸術研究会の野村さんを中心に、研究会のメンバーが集まって始まりました。研究会は名前の通り「研究」が目的です。一方、劇団速度は「実践」を目的にしています。
__ 
どんな作品になるでしょう。
南風 
コラージュ作品になります。テキストがガンガン入って、今は30分ぐらい出来ているんですけど、色んな本が混ざってきています。戯曲じゃないものも入ったりしています。
__ 
あの可愛いチラシからはちょっと想像出来ませんでしたね。南風盛さんはどんな役どころでしょうか?
南風 
「珈琲店」のテキストで宛てられているのは、賭博にハマっている色男気取り男の貞操な妻で、その夫に「殺せるなら殺しなさい!」とか言う役です。
__ 
それはまた似合っているのか似合ってないのか分からない役どころですね。
南風 
はい。
__ 
あの、「舞台芸術研究会」って、ストレートなネーミングですね。
南風 
京都大学のメンバーが中心になって出来て、今は40人ぐらいいるらしいです。
__ 
多いな!京都舞台芸術協会とは違うんですよね。
南風 
あ、全然違います。今は劇団速度が忙しいから活動は抑えめですけど、普段はみんなで同じ演目を見たりして、感想を言い合ったりしています。誰でも全然、ウェルカムだと思います。気軽に来て欲しい。演劇を勉強したいんだけど何から勉強したらいいのか分からない人はとりあえず来たらいいと思います。場所としてアリだと思います。アルトーの残酷演劇とかを読む会をしました。哲学が混ざってきたら京大の哲学科が控えていて解説してくれたり。超贅沢ですよ。メンバーの京大生は割と、地点を見てたりするんですけど、「地点のああいう部分はどうなっているの?」って聞かれたら演出家の三浦さんの実技の授業を受けている京造生が解説するとか。
__ 
一つの流れになってるんですね。そういう、人の流れというか、局を作れているんですね。
南風 
人数が急に増えました。勧誘してと言われたから・・・大体みんな、アンダースローにたまるんですけど。学生が来ると、三浦さんが「怪しい会があるらしいぜ」って私達の方に紹介してくれるんですよ。じゃあ・・・って勧誘しています。
舞台芸術研究会
京都を中心とする舞台芸術の鑑賞・研究を目的とした団体です。劇団速度の主催団体でもあります(公式twitterより)

部品になる

__ 
今後、どんな演劇をやりたいですか?
南風 
どうしようかなって感じなんですけど、一人では出来ないので仲間を探します。舞台芸術研究会は色んな人に出会えるし話せるから、いいですね。でも本当はもっと俳優をやった方がいいのかなと思っています。今は自分で作るよりも、色んな人の作品に出たいと思っています。わたし、俳優をやっていて褒められた事が特に無くて。演技ヘタだから。もうちょっと稽古場で、演出家と話して取り組む経験が欲しい。
__ 
私は南風盛さんの演技好きですよ。
南風 
(笑う)、今褒められた。
__ 
みんなからは褒められない、って事ですね。褒めやすい演技って訳じゃないのか。
南風 
そうですね、印象薄い。
__ 
いや、南風盛さんは一度見たら忘れられない印象ですよ。ハマリ役に出会えていないという事じゃないですかね?
南風 
そうなのかな。1回生の時は個性派俳優に憧れて、例えばがっかりアバターの葛原君に憧れたりしました。今は、部品みたいな存在がいいなあと思ってます。
__ 
部品。
南風 
作品が大きな機械だとして、それを動かす部品達のうちの、ひとつ。でも超最先端の、超精巧な部品。他の部品に囲まれて見えなくてもいいですけど。そういう俳優を目指してみたいなあ。私は唯一無二って感じではないし。

波打ち際へ

__ 
部品になっても残るのが個性、みたいな事を土田英生さんがインタビューで仰っていて。南風盛さんはキャラが強すぎて褒める云々の話に発展しないんじゃないですか?
南風 
大学の同期に、「お前は何やっても南風盛になる」と言われたんです。「役作ってんな・・・」みたいな演技じゃない、ムリをしていないのは良い事かもしれないけど。でも、セリフを言える言えないという感覚は大事にしていて、普通に立ってたら言えないけど逆立ちすれば言える、って感じるセリフなら逆立ちして言うようにするし。だから全部、南風盛になってるのかな。
__ 
そういう在り方が似合う役者なのかもしれませんね。
南風 
本当はもうちょっと、演出家にそった役者にならないといけなかったのかもしれない。そういう現場に行ったら、言えているつもりのセリフが「全然言えてないよ」と指摘されるのかな、勉強になるのかな。
__ 
難しいですね。そういう現場を知ってた方がいいんじゃない、とも言えるし、行かなくてもいいんじゃない?とも言えるし。
南風 
わがままですけど、やっぱり自分に合った現場に行きたい、見つけたいというのはありますね。
__ 
どちらにしても、役者の演技がOKになる時のコミュニケーションって大事ですよね。自分が作ってきた表現を稽古場の中で了解を取って、OKを貰うこと。
南風 
稽古、難しい、ですよ。コミュニケーションて自分が相手に何を差し出せるかというところだと思うんですけど、相手がどれだけのものを出してくれるか分からないじゃないですか。自分が500円のものを出しても相手が300円のものしか出してくれないこともある。そもそも自分出した500円が、相手にとっては300円の価値だったり。大学の先生に、「南風盛さんは作品を見る時、作る時、視力が2.0ぐらいある。けど、自分以外の人は0.8しかないと思った方がええよ」と言われて。なるほど、と思った。自分がどんだけ感動して感想を言っても、相手に伝わらなくて、「え、怒ってる?」と言われたり。些細なことに苛ついていた。
__ 
南風盛さんが了解する力が、周りの人よりも深いのかな。
南風 
そうかもしれないですね、18歳の時にその力を与えられたから(笑う)
__ 
感動するし、了解する。
南風 
ある日、サーファーって何故波に乗れるの!?と急に不思議に思って調べたんですけど、波にはどういう原理があるのかとかを詳しく解説しているあるサイトの文章に感動して。「サーファーは、崩れる瞬間の波にしか乗れません」って一文があって。その一文、ヤバくない?って話をしても、感心してくれる人はなかなかいないです。
__ 
なるほど。あの、それはですね、それを聞いた友達はおそらく感動してたんですよ。「崩れる瞬間の波にしか乗れない」の感動は伝わっているけれども、表現が追いついていないだけなんじゃないか。南風盛さんの意図は100%伝わっていると思います。
南風 
そうかな。今はこの感動をどうしたら伝えられるのか、それがテーマです。一回感動したものって、飽きるまで感動を繰り返したくて。その方法を探りたくて。「崩れる瞬間の波にしか乗れない」という一文を基に作品を作ったら昇華するのかもしれませんけど、今のところどうしたらいいのか分からないんですよね。誰かに喋ったりするぐらいで昇華出来ればいいですけど。
__ 
簡単には昇華しない感動を得たら、もう取り憑かれるしかないのかもしれませんね。私の場合は、それは過去の風景と分かちがたく結びついている。ふとした時に、風景が私を完全に掌握するように包み始めるような感覚に陥るんです。自分の生き死にや自由も全て内包してくる風景が、私を一枚の絵の中に閉じ込めて、時間を奪い去っていく。しかしそれを表現して昇華しようとしても誰も受け止めてくれないから、個人の中で澱み始める。南風盛さんのサーフィンもそうかもしれない。

質問 柳沢 友里亜さんから 南風盛 もえさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、柳沢友里亜さんから質問です。「写真についてどう思いますか?」写真を撮る時、人の姿を留める事にちょっと興味があるそうなのですが。
南風 
撮られるのは、あんまり。苦手です。友達が、自分の過去の写真を次々にマトリョーシカみたいに抱えた写真を撮っていて。最終的にはお葬式で使う予定みたいです。そういうのもいいのかもしれないなあ。