聖夜をお楽しみに!

__ 
さて、そろそろお開きにしたいと思うのですが、何か言い忘れた事などはございますか?
平嶋 
言い忘れたこと・・・京都の皆様!クリスマスは空けといてください!!!笑
__ 
承知しました!今回はありがとうございました。

忙しい11月

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、今村さんはどんな感じでしょうか?
今村 
最近で言うと、11月7日にDANCE BOXの企画コンテンポラリーダンス@西日本版にソロで出演して、11月14日に高尾小フェスに出演して。それから11月22日に東向日のセカンドルームというライブハウスで、voodolianさんと一緒にやりました。
__ 
そして、次の出演は12月17日にFOuR DANCERS#41ですね。引っ張りだこですね。
コンテンポラリーダンス@西日本版
公演時期:2015/11/7。会場:Art Theater dB 神戸。
高尾小フェス
公演時期:2015/11/14。会場:旧・高尾小学校。
アトリエ atelier
公演時期:2015/11/22。会場:京都東向日Second Rooms。
FOuR DANCERS#41
公演時期:2015/12/17。会場:UrBANGUILD。

vol.445 今村 達紀

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2015/春
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今村

何かやらかしそうな

__ 
いきなりざっくりとした事を伺いたいんですが、今村さんは最近、どんな踊りが気になっていますか?
今村 
これは多分、前からそうだと思うんですけど、次に何をやるのか分からないのが好きです。何かをやらかしそうな、でたらめな状態やダンサーが好きなんですね。
__ 
でたらめをやらかしそうな?
今村 
つい最近の事ですが、芸術センターで上演された「おしもはん」。そこに高齢の男性が出演されていて、その方の演技がやらされている演技ではなく、やりたくてやっている演技だとわかるんですが、異様にでたらめなんですよ。でたらめという言葉がいいかどうかは分からないんですけれども。
__ 
それは・・・厄介な話になっていきますね。
今村 
そうですね。
__ 
「でたらめ」な演技のあり方。俳優の演技って、観客が既に持っている・そしてリアルタイムに更新しているイメージに裏付けられている。だからこそ飛躍が発生すると思うんです。でも、その方の演技は、どこかでかけ離れていっている?
今村 
演技をしているはずなのに、演技をしているかどうか分からなくなるというか、何を目的にしているか分からなくなるのが面白いんです。僕が特に思ったのは、般若心経を読むシーンがあって、書いてあるのを見ているはずなのにどんどん間違えていっている。
__ 
ええ。
今村 
でも本人はそれを別に何も気にしていないというか。そのでたらめ感は凄いなと思っていて。最後に「おかーさーん」と言って去っていくんですけど、きっと本人の中では意味がはっきりあると思うんですが、でたらめにみえる。演出の伴戸さんも、それまで纏っていたまるっとした着ぐるみを脱ぎ捨てて、突然出て行く。
__ 
こちらのリズムやそれまでの理解を無視していかれてしまったような?
今村 
こうなっていくんだろうな、みたいな部分をひっくり返される。もしくは、もう次に何をやるのか分かっているのに、何をやるのか分からない部分を残している。それがどうすれば起こるのかは分からないんですけれど。
__ 
予想を深く裏切られたらそんな「でたらめ」になれるのかもしれませんね。かけ離れる事を彼らが望んでいるかどうかはさておき。しかし、観客側の理解に沿いたいとは元々思っていないのは確実でしょうね。
今村 
お芝居という前提は全くはずさないまま、でも、何をするかは分からない。舞台上にいるという前提があるからこそそのでたらめは成立していると思います。
__ 
うーん。
今村 
話が飛んでしまうんですけど、USJのゾンビって僕は怖くないんですよ。ワーッて驚かしてくるから。でも、そんな中にも一人、何をしてくるか分からない人というのがいたらめちゃくちゃ怖いと思うんですね。この人ルール分かってるのかな?みたいな。みんな若者のゾンビばっかりなのに、一人みるからに普通のおっさんが混じってたらもの凄く怖いですよね。そのでたらめさ。
__ 
落差ですね。
今村 
そんな感じかもしれませんね。
__ 
いやなゾンビですね、それは。役者が重力から解放された時、観客は実はリアルを感じているのかもしれない。その落差が無ければ、自分が見ていた光景を では、パフォーマーとして、そのリアルさの為に何をすれば良いと思われますか?
今村 
これは・・・そうだな、と思う反面、そうじゃないなと思う事もあるんですが。たとえば、本当に困っている人を舞台に上げるということですかね。そこで本当にそうなる。
おしもはん
公演時期:2015/11/24~25。会場:京都芸術センター フリースペース。

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今村

はみ出ているのに飛び出ている

__ 
今村さんのソロって、空間と身体と今村さんの人格、の関係が凄く強く出ているんじゃないかな、と思っていて。空間が激しく動き、次の瞬間は身体が動く。どちらも今村さんの人格の色気が映える。もの凄く映えるんです。
今村 
うーん、どうだろう。でもそうかも。作品にもよりますが、完全に振り付けている訳ではなく、この部分はこういう質感でやろうというふうに決めているところもあります、すると自分の身体の動かし方が出るんですよね。こういうことに気をつけてるとかこういう稽古をしているとか。ということは人格もそのまま出るのかもしれません。空間は大きさにも左右されてて、狭かったら二歩歩いただけで端から端まで行けてしまう。そうすると空間が動いたように見えるのかもしれませんね。
__ 
だからか、踊っている今村さんがそのまま伝わるように思えたんです。
今村 
大野一雄の本に、プレスリーの曲をかけて踊ってみなさいみたいな発言があって、でたらめの限りを尽くさないとプレスリーなんか踊れないでしょう、って。作品そのものから離れず全力で向かっていて枠の中からはみ出てはいないんだけれども、突拍子もないものが出てくる。はみ出ていないのに飛び出ている、みたいな・・・。
__ 
ジャンプ力。

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今村

正確さの要請、ジャンプの必要

今村 
ちゃんとした凄さっていうのは、でたらめな事が無くても成立させる事が出来ると思うんですよ。正当なテクニックで人を魅了する事が出来る。それにを大事にしつつ、でも今現在それと拮抗しうる力はないわけで、プラスの価値として、その中だけで収まらない(でもあくまで本筋から離れていない)何かが必要なのかなと。
__ 
そのジャンプ力を発揮出来る条件って何でしょうね。私はインプロショーを見るのが好きで、彼らが元々もっている演劇の文脈と、その時にしかないアイデアが合致した時の凄さ、がそのジャンプ力に近いような気がします。
今村 
インプロとは正反対に、演出家がちゃんと全体を作る作品であればジャンプする必要は無いと思うんですね。充分成立しているなら。でも、演出家の姿が見えてないほうが良い作品であれば、ジャンプする必要があると思うんですね。どこからが演出家で、どこまでが出演者の仕事なのか、を見えないようにしたい作品を作りたい場合は、一人ひとりが何をするのか分からない状態を持つべきなんじゃないかな。
__ 
作品自体が、どう成立したいのか。その要請によって違うんですね。
今村 
例えば宝塚歌劇でジャンプされたら困るじゃないですか。きっと。きちんと踊れる、きちんと全て出来る。一方で、野田地図は正確さも求められるけれども、何かしら、はみ出す力が必要なんじゃないかと勝手に思っています。
__ 
飛び越えてくるような野獣性。
今村 
「おしもはん」はジャンプはしていたけれど、そこは演出家もジャンプする事をわかっていたと思うんです。

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今村

バランスについて

__ 
ちょっと質問の方向を変えて。今村さんは、これまでどういう場所で踊ってきたんでしょう。野外等で踊っているイメージがありますが。
今村 
劇場以外ですと、ライブハウスとかバー、路上という事もあるし、教会やお寺、幼稚園とかもありますね。体育館だったりだとか。どんな場所でも踊ります。でも、作品によっては場所を選びますし、どんな場所でも踊れる作品もあります。
__ 
どんな場所でも共通する精神はありますか。
今村 
難しい質問ですが、退屈はさせたくないという思いは必ずどこかにあると思います。でも、退屈というのを何と考えるかは人によって違いますよね。どんな作品でも、退屈する人・しない人は出てくると思うんですよね。そこで作品がブレないようにしていくのは大変だなあ、と。誰でも楽しめるものをと思って作っても、見方は人それぞれですから。でもやっぱり、自分が楽しめる物を作りたいとは思っています。踊っている、というのがわかりやすい作品と、踊っているかどうかわかりにくい作品とあって、その辺りのバランスをどう取っていくかは考えものですね。

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今村

質問 長谷川 直紀さんから 今村 達紀さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、突抜隊の長谷川さんから質問です。どういう観点で作品を作られていますか?
今村 
自分が面白いなあ、と思う事を人に見せられるようにする事。例えば関節を鳴らす作品があるんですけど、ダンスとして見せようとすると難しいよなあと最初は思っていました。だからあれを最初に上演したのはサウンドパフォーマンスプラットフォームという企画で、この作品は踊らなくてもいいと思っていました。その後、コンテンポラリーダンス@西日本版に出したときは、広い意味のダンスにも見えるんじゃないかと思って応募しました。その作品を発表にいい場所を選んでいるかもしれません。FOuR DANCERSでは、一緒にやる人とどんな面白い事ができるかを考えます。照明の魚森さんとご一緒させていただいた時も、ムービング・ヘッドという照明装置を使って何ができるのか考えたりしました。だから、面白いと思った事がダンスでないならば、ダンスにこだわらなくてもいいんじゃないかと思うんですね。

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今村

どう見ていいか分からない?

__ 
今村さんがダンスと出会ったのはどんな経緯があるんでしょうか。
今村 
大学の時に演劇部に入っていて。その演劇部の先輩がキャラメルボックスという劇団にいて、ワークショップをしてくれたんです。その時の会場がダンスのスタジオで。ダンスもやった方がいいよ、と薦められて、そのスタジオに通い始めたのがきっかけです。それから最初に見たコンテンポラリーダンスが、アマンダ・ミラーというドイツの振付の方の作品だったと思います。
__ 
どう思われましたか。
今村 
どう見ていいか分からなかったですね。体がよく動くなあ、と。でも何を取っ掛かりに見ていいかわからなかった。衝撃を受けたというより、ただ、何をどう見ていいかわからなかった。でもそれは別に悪いという事ではないです。僕の高校の頃の先生が抽象画をやっていて、個展を見に行ったんですよ。それもやっぱりわからなかったんですね。でも、分からないから見に行こうと思ったんです。今見にいってもよく分からないと思う。でも、分からなければならないなら見に行かなくなってしまったと思うんですよね。分からなくても仕方がないし、分かったら楽しいよね、という。
__ 
前衛は・・・いやコンテンポラリーに「前衛」という言葉が妥当かどうか分からないですけど、手法から作るのが前衛と言えるのであれば、そのコンテキストを鑑賞者は当然のように共有していないので、だからこそ鑑賞者それぞれに絶対に違うであろう反応が鑑賞の大きな手がかりとなるのかもしれないですね。
今村 
多分、作品を作るという事だけにすると、ものによってはお客さんを必要としていない。誰かが見ないと絵は完成しないかというとそうでは無いですよね。でも、舞台芸術と呼ばれるものはお客さんがいて初めて成り立つと思うんです。ところが、ダンスそのものは、もし作品でなければ必ずしも見る人はいらない。
__ 
生活とダンス。
今村 
芸術活動をしていない人も、ダンスや演技をしている訳ですから。あれ、何を言おうとしたんだっけ。
__ 
定義の食い違いが起こっていると思います。私は「見る人がいてこそ、価値が生まれる」だろうという考え方で、今村さんは、生活と技術という意味でのアート。
今村 
その価値とは、経済的な価値という事だと思うんですよね。でも、価値のあり方はそれだけじゃなくてもいいんじゃないかなあ、と。言葉の定義の問題だけかもしれないですけど、僕は多分、アートの経済的な価値の、ちょっと外側にあるものを見たいと思っているので。
__ 
では、その幅と呼ぶべきものが今村さんを惹きつけている?

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今村

年明けの今村さん

__ 
そろそろ取材も佳境ですが、何か仰っておきたかった事はありますでしょうか。
今村 
久しぶりにお芝居に出ます。1月のgateに、したためで出演する事になって。
__ 
楽しみです!今後、どんな感じで攻めていかれますか?
今村 
そうですね、今までとそんなに変わらないと思うんですけど、今まで舞台に上げてこなかった事を上げようと思っていて、それはそのまま舞台に上げられるかどうかが課題だと思っています。それ以外は相変わらず雑多に。1月はバーみたいなところでやるかと思えば演劇に出て、SHCというイヤホンで聞くイベントに出たり、2月に入るとシンガポールで多田淳之介さんの作品に出たり。相変わらず、いろいろですね。
パイロット版シアターシリーズ『gateリターンズ2016』
公演時期:2016/1/21~24。会場:KAIKA。

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今村

いわさきちひろ作品

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
今村 
ありがとうございます。開けてもいいですか?
__ 
もちろんです。
今村 
包装がクリスマスっぽいですね(開ける)。おお。
__ 
いわさきちひろの作品ですね。
今村 
ありがとうございます。
__ 
お部屋のどこかに飾っておいて頂ければ。

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今村

突抜隊♯4 Reborn 2015/11/27~29 @東山青少年活動センター

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、長谷川さんはどんな感じでしょうか。
長谷川 
宜しくお願いします。そうですね、10月に入ってからは稽古と仕事の往復、という感じです。僕が基本的には台本が遅いので、台本を書いて稽古して・・・なかなか、それ以外は出来ていないという状況です。
___ 
そうなんですね。今日の稽古はどんな感じでしたか?
長谷川 
今の時点はまだ、役者にイメージが落ちきっていない感じだったんですけど、感触は良かったです。一本筋の通った形になれればなと思ってます。
___ 
なるほど。
長谷川 
まだ台本は出来ていないんですが、まだまだ考え続けていこうと思います。ただ、書いていく過程でああじゃないこうじゃない、と書き換えていくので、書くのが遅いんですよ。感覚的な人間なので、役者さんには迷惑を掛けています。
___ 
なるほど。まあ、二週間前に脚本を差し替える劇団もありますしね。
長谷川 
僕らも、小屋入り前はてんやわんやです。
突抜隊
2012年に京都を中心に活動開始した演劇集団。メンバーは長谷川、澤、山田のパッとしない男子3名。他メンバーは公演の度に集めている。日常的に誰もが持つ感情や、人の白黒つかない複雑な一面を探りながら、お芝居を作っている。団体名とはギャップのあるお芝居をするらしい。(公式サイトより)
突抜隊♯4 Reborn
異世界を思わせる独特の佇まい、どれだけ時が回っても人が回っても変わらない何か、この街。1人の女と惚けた男。2人は未来の話をする。2人は過去の話をする。男は女を抱きしめた。ギュッと強く抱きしめた。女が強くそれを望んだ。
作・演出 長谷川直紀
出演 澤雅展 川本泰斗【BokuBorg】 高橋志保 弘津なつめ 他
演奏 山田佳弘
舞台監督 北方こだち
照明 真田貴吉
音響 道野友希菜
日時
2015年 11/27 19:00
    11/28 14:00/19:00
    11/29 13:00
会場 東山青少年活動センター 創造活動室
料金 前売り1500円 当日 1800円

出来るだけ加工せずに

___ 
次回の「Reborn」。どんな作品になりそうでしょうか。
長谷川 
基本的に、突抜隊が題材にするのは劇的ではない平凡な日々であったり、人生の甘苦を出来るだけ加工せずにお芝居にしたいと思っていて。生活する上で避けられないようなイヤなことをテーマにすることが多かったんです。例えば家族のこととか。全体のテイストはちょっと暗かったりします。
___ 
舞台に立つ出演者に、どんな佇まいを求めますか?
長谷川 
飾らないこと、ですかね。カッチリした演技がそんなに好きじゃなくて。細かい調整はするにしても、その人の人となりが役に反映されるといいな、と思っています。
___ 
なるべく日常生活に近い演技、ですね。そこに魅力を覚える?
長谷川 
フィクションなんですけど、フィクションを前提とされると嫌なんですよね。TVドラマの演技とか、あそこまでされると見る気を無くしてしまうんです。あまり、劇的さを求めていないのかもしれません。劇的ではない些細なことに興味があるんです。
___ 
些細なこと。
長谷川 
それから、ふと日常に寂しさを感じることがあって。具体的に何かがあった訳じゃないんし、何だかよく分からないですけど。だからかありきたりなハッピーエンドがあまり好きではない、人間の実生活には続きがありますから。それと答えをはっきり提示されるのが苦手なんですよね。半分はこっちにちょうだい、と思うんですよね。お芝居の最後の落ち自体、なるべく避けたいんです。

終幕すら放り出す

___ 
「River」のDVDを頂いて拝見したんですけど、最後あっけなく終わるというのが変わった味わいでしたね。なぜ、答えを提示したくないのでしょうか。
長谷川 
僕の見る側としての意識としては、いわゆる完結したキレイな感動モノに、どこか「上から目線」を感じてしまうんですよ。よく「感動の超大作」とかいうキャッチコピーがありますけど、それを決めるのはこっちじゃないか、と。僕らは「どう感じるかはご自由に」という姿勢で作品を作っています。
___ 
避けられない不幸を見せて、ハッピーエンドは迎えない。それどころか明確な終わりも告げられない。見たお客さんは困るんじゃないでしょうか。
長谷川 
なぜこういう姿勢になったのか、時々自分でも分からなくなってしまうんです。苦しいですが、みんなと一緒に作品を作る喜びもありますし、自分の中にある鬱憤を吐き出すこともある。人間、誰しもどこかで暗さを持っているんじゃないか、そんな事を確かめたいのかもしれません。
___ 
どんな気持ちで見てもらいたいですか?
長谷川 
暗いとは言いましたが、フラットな気持ちで見てもらいたいです。それで忌憚のない意見を聞かせて頂ければなと思っています。

暗くなった

___ 
突抜隊は、どのようにして結成されたのでしょうか。
長谷川 
これはほかの劇団さんとは全然違う成立の仕方をしているんですけど、まずメンバーは僕と澤くんと山田くん。澤くんは元々、高校の時の演劇とか全く関係ない部活の後輩でして、かれは僕が小劇場で芝居を始めた頃にお客さんとして見に来ていて。で、何年かした頃に会社を辞めて芝居を始めたいと。そして、山田君はいとこなんですよ。社会人劇団に一緒に俳優として参加してたんです。僕が脚本を書いてみたいとなった時に、彼らとは好きな作品の方向が一致してたんです。じゃあ、ちょっとやってみようか、とC.T.Tに出したんですよ。そうしたらボロッカスに言われたんですよね。このままじゃ終われないと、もう一度出そうと考えていた時に東日本大震災が来たんです。どうしても、このメンバーでもう一回作品作りたいっていうのと震災をこの目で見ておきたいと思って。C.T.T仙台に無理矢理参加させてもらったんですね。そうしたら仙台のお客さんに暖かく迎えて貰って。また仙台の演劇人の熱さに触れて、その気になってしまったという。
___ 
突抜隊はどんな存在でありたいですか?
長谷川 
そうですね、これからも僕らが気になった事とかを、お芝居に限らなくてもいいかなと思っているんですけど、何かに創作したいと思っています。
___ 
なるほど。ちなみに、最近は何が気になっているんですか?
長谷川 
格闘技です。去年からムエタイをやっているんですが、演劇ばっかりやっててストレスが溜まっていたのかな、と。体力作りぐらいの気持ちで始めたらめちゃめちゃハマりました。

夕焼けの時差

___ 
どんな演劇を作ったら良いと思いますか?
長谷川 
結構、このままじゃ演劇ってやばくないか、という意見を聞くことがあって。わざわざ足を運ばないといけないというシステムはつまり、知っている人しか見れないメディアですよね。それから京都にいながら東京を意識している方が未だに多いですが、東京いかないなら、もっとみんな地元を意識して演劇やってもいいんじゃないかと。もっと地元で演劇とか全然知らない人とかも巻き込んでいけないかな?と思っています。じゃなきゃ縮小していくと思うんですよね。最近は稽古場も減ってきていますし、演劇自体下火なのかなと思えてきています。必要とされなければ、そのまま消えていくしかないんじゃないか。具体的に僕に何か出来るか?というと難しいですけど、関わってる人全員で考えていかないといけないと思います。
___ 
そうですね。
長谷川 
やっぱり、演劇を知らない人が見ても分かる作品は作りたいんですよね。芸術に特化した作品を見て、その良さが分からないなんて事もあって、そこは素人目線で、誰が見てもある程度分かるようなものを作りたいと思います。
___ 
なるほど。作り手としては手法は分かりやすいものを使い、でも答えは最後まで提示しない。

石ころの不幸、コンビニ前にちるらん

___ 
見た人にどんな影響を与えたいですか?
長谷川 
普段取り上げてこないような些細な不幸を思い出すキッカケになれたらいいなあと思っています。
___ 
見えない不幸?
長谷川 
さらっと流しているけど、改めて見ると悲しい事。誰にでもあるような不仕合わせというか。見過ごしているという事は解決していない。そういう傷跡を誰でも多く持っていて、だったら人ってそんなに強くないのかなあ、と思ってるんですよね。
___ 
「River」では、家族の中にある問題を、そのまま時間に解決させてましたよね。行方不明の兄が「半年後」だとか「1年後」には、家族とそこそこうまくやっている。和解した訳でも誰かが改心した訳でもないのに。
長谷川 
僕自身も弱い人間ですから。社会的に暗黙の価値観というのがある気がして、そこから外れた人はどうしたらいいのか、という事に興味がありますね。アウトサイダーじゃないですけれど、そういう弱い人たちに惹かれるんですよ。お芝居を始めた頃に、コンビニの前でワンカップ大関を手にした、黒い顔をしたおじさんを見て妙に切なくなる瞬間があって。その人たちだって人生を謳歌しているのかもしれないので簡単には言えないんですけど。
___ 
おいて行かれそうな人たちを取り上げたい。
長谷川 
僕自身がそうなってしまいそうな気がしてたんですよ。

そのままの彼がいる

___ 
そんな、置いて行かれた人たちは、本当に置いていかれたのか?そして、彼らを救うとか理解するとかいうのは、果たして彼らが望んでいる事であろうか?という事なんじゃないか。
長谷川 
別に救って挙げたいとかではなくて、偏見的にならないようにしたいだけなんですよ。今もそれなりに謳歌しているんだったらそのまま描きたいし。僕個人も偏見を持つのではなくて、そのままのフラットな姿を描きたいんです。そういう人たちにある種憧れているのかもしれません。
___ 
職業に貴賤なし、とか言いますよね。例えばスラムの中にだって楽しい事はある。幸も不幸もある。彼らを、「逞しいスラムの人々」じゃなくて、そのまま描く。
長谷川 
そこはまだ、僕自身の差別意識なんでしょうね、勝手に上から目線で見ているんだろうと思います。弱者を弱者として描くべきなのか、それではいけないのだろうか、とか。

質問 東 洋さんから 長谷川 直紀さんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた、東洋さんから質問を頂いてきております。「僕は絵画からインスピレーションを与えられる事が多いんですが、あなたはいかがですか?」
長谷川 
僕は歌から頂く事が多いですね。
___ 
なるほど。「僕は稽古場で曲を掛ける事が多いんですけど、例えば趣味で中島みゆきを掛けたりするんですけど、どうですか?」
長谷川 
掛けますが、歌詞の付いていない曲がいいですね。引っ張られないような曲がいいです。

栗羊羹

___ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
長谷川 
地に足の付いた。生活を大事にして、生活で感じたものを蓄積して題材にして作品を作りたいです。
___ 
ありがとうございました。今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。つまらないものですが・・・。
長谷川 
ありがとうございます。(開ける)
___ 
栗羊羹です。
長谷川 
稽古場で、みんなで頂きます。


第三回東洋企画『太陽の塔の四つ目の顔を見たことがあるか』

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近東洋さんはどんな感じでしょうか。
東洋 
こちらこそ、よろしくお願いします。最近は稽古の日々ですね。これだけたくさんの人と作品を作るのは初めてで、探り探りしながら試しては悩んでの繰り返しです。学校に行ったり食事したりの時が救いという。
中嶋 
(東洋企画の劇団員で、今回のインタビューに同席されました)稽古の合間に学校行ってる感じですね。
__ 
東洋さんは大阪大学に在学中なんですよね。稽古も学内で?
東洋 
阪大以外の出演者もいますので、アトリエS-paceさんなど大阪の色々なところを借りています。ジプシー劇団ですね。
東洋企画
大阪大学を拠点に活動する演劇企画。代表は高知県出身の東 洋。現代芸術を考える会を中心に、プロ、学生を問わず、メンバーを集め創作を行っている。幻想的かつ美しい、独特の世界観と俳優の身体能力を活かした空間表現に定評がある。求めるのは『寓話性と流転の美』。いつか高知でお芝居したいなぁ。(公式サイトより)
第三回東洋企画『太陽の塔の四つ目の顔を見たことがあるか』
望遠鏡に残った円い記憶を追って
少女は走る
太陽の塔のど真ん中

「現在」の顔は今を表した顔なのか
それとも今を見ている顔なのか

コンクリートを拾い上げたとき、
一つの顔が浮かび上がる。

あなたにあたしの世界が見える?

会場:元・立誠小学校 講堂
日程:
2015年11月27日(金)~30日(月)
11月27日(金)18:00
11月28日(土)13:00・17:00
11月29日(日)13:00・17:00
11月30日(月)13:00
チケット:
[一般]予約1,800円/当日2,000円
[学生]予約・当日1500円(要学生証)
[リピーター割引]500円
演出・劇作:東洋
出演:
岸鮭子、中嶋翠、外山雄介、東洋、白井宏幸(ステージタイガー)、久保健太、まつなが、森岡拓磨(劇団冷凍うさぎ)、村上由規乃、石垣光昴、川原啓太(劇団ずぼら)、西田悠哉(劇団ちゃうかちゃわん/劇団不労社)、國枝千尋(劇団六風館)、佐岡美咲(劇団六風館)、堀田彩花(劇団六風館)、清水咲歩(演劇集団関奈月)、石田裕子、浜崎茉優(学園座)、都呂路あすか(はちの巣座)、茶髪(劇団万絵巻)、真一花琉(演劇グループSomething)、相間カンパチ、国本クイナ(学園座)、嶋崎光輝、高橋賢(演劇集団関奈月)、佐倉ハルキ(演劇集団関奈月)、洪一平(覇王樹座)、類家弘敬(覇王樹座)、吉田皓太郎、田中林檎(展覧劇場)、西能まりあ(自由劇場)、水木めい(自由劇場)、水野さくら(劇団六風館)、黒田美音(劇団六風館)、松田千怜(劇団六風館)、島崎秀吉(劇団カオス)、熊谷香月、日浅美久