構えの話

__ 
さっきインタビューさせていただいた浅井浩介さんと、構えの話をしていたんです。武道じゃないですけど。その話をしている時に気付いたんですが・・・俳優の仕事を捉えた時、俳優にはINを待ち受けるという仕事があるんじゃないか。観客席はOUTから中間処理を想像するという職掌があるが、俳優のINには責任を持っていない。そして俳優は責任を持ってINに望まなければならない。(逆に、OUTからリバースしての中間以前の洞察には当然、責任を持たない)
レス 
はい。
__ 
待ち受ける。俳優はそのINをなるべく多く想定しておくべきじゃないか、と言っていたんです、浅井さんは。そこで、殺陣におけるINとは?まず、稽古の段階で相手の剣が振り下ろされる演技、それをどう認識すべきだと思われますか?
レス 
僕は相手の剣をほとんど見てないんですよね。
__ 
あ、見てないんですか!
レス 
というか、いつもと違う手で来られた時も「どうしよう」と思ったことはほとんどなくて。何でなんでしょうね?武道やっている人って、相手の目を見ているんですよ。目を見ていたら、どんな手してくるか大体分かるんです。武道の人は、目の動きを察知されない事を戦うための技術を確立していると思うんです。逆に、殺陣の人って、どんな手で行くかというのをある意味表現しないと行けない。だから、目がもう、自分がどんな風に行くかを発信してくれているんです。あ、振ってくるな、というのを見て。だから下手すると僕は殺陣の手は曖昧になっちゃって(笑う)危険なので覚えるようにはしているんですけど。それこそ為房君は凄いなあと思っています。毎回、同じ動きの殺陣が出来るんですよ。僕は毎回変わっちゃう。
__ 
逆に凄いですよ。そうか、目を見る、というのは聞いた事があります。
レス 
殺陣をどう作るのか、色々なやり方はあると思うんです。全てを細かく資料にまとめるようなやり方ももちろんあると思うんで。でも、相手の動きを感じてやるとか、あきらかに本気で殺しに来ている人の気配で来られると自然と出来上がっていきますね。だから僕の手法に近しい人とやっていると楽しいですよね。相手は明らかに僕の目しか見てない。お互いがお互いの動きを感じながらやる殺陣。
__ 
人間の目に宿っている膨大な情報。というか、人間の目が相手の目を見る時の知覚性能はヤバいくらい発達していて、直接に会う場合の様々な距離感の交渉なんてもう、目同士が決めている事なんじゃないか・・・とさえ思う。これはパソコン様でも未来永劫獲得出来ない能力だろう。そして、劇場で観客が俳優のどこを見ているか、というともちろん顔なんですけど、顔のどこを見ているかというとやっぱり目なんですよね。
レス 
ああー。
__ 
つまり観客は俳優の状態を非常に正確に見抜く事が出来る。いま俳優が何を感じているかを、観客の目は察知している可能性すらある。殺陣で言えば、目から相手の手が見えるのは、相手の認識や知覚が伝わるので、手順などは問題ではなくなるのではないかと思う。人間は視認システムに操られている。もしそこに設計ミスがあるとしたら、それは考えるだに恐ろしくはありませんか。

なんでこいつら、戦っているんだろう?

レス 
言葉で言ったら全部ウソになりそうな気がするんですけど、殺陣は所詮ツールだと僕は思っていて。殺陣師の為ちゃんもそう思っているかはアレですけど、お客さんが何を見に来ているかというと「何で戦っているのか」という事だと思うんですよ。舞台には物語を見に来ている訳じゃないですか。なんにも思い入れのない人がいきなり殺陣始めたところで、何も面白く無いと思うんですよ。不条理で面白いのかもしれませんけど。人物たちの戦う理由が、お客さんに合点がいった状態で、剣を交わしている。お互いのどうしても譲れないものが激突している時を僕らが感じて、それでお客さんも感じられたらいんじゃないかと思うんです。何故戦っているのかを示されない限り、剣を持って戦う人ではなく棒を振り回しているだけだと思うんです。木でできた棒を人の命を奪うものとして見せなくては意味がないと思うんです。
__ 
何故戦っているかを、伝える。仰る通りですね。申し訳ありません。ZTONの殺陣が美しすぎて視界が狭くなっていました。彼らの殺陣がカッコイイのは、登場人物達が生き様を掛けて戦っているからなんです。生命を掛けているからだ。速さとか正確さだけじゃないのか。
レス 
速さとか見栄えはお客さんの気持ちを盛り上げていくものなので、ZTONには必要なものだとは思います。それプラス、役の人生だとか、そういうものが必要だと思っています。
__ 
ZTONの良さは、そういう意識にある?
レス 
そうだと思います。やっぱりスピードが早くても、人格が乗ってなければあんまり格好良くないなと思ってしまう。そういうのを見ると逆に白ける人もいるのかなと思います。僕は白けます。戦わせたいだけで殺陣が出てくるってのは、それはちょっと残念だなと思ってしまいます。

質問 浅井 浩介さんから レストランまさひろさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、浅井浩介さんから質問を頂いて来ております。彼はわっしょいハウスという、京都から東京に移った演劇ユニットの俳優であり、今は烏丸ストロークロックの次回公演の稽古のため京都に滞在しています。「歳を重ねるという事に対して、どういう気持ちがありますか?」
レス 
僕はそういうの、あんまり難しく考えた事がないですけど、歳取るとそうですね、身体の話ですけど、やっぱりこう衰えとかを感じることもあるんです。昔はもっと早かったのになあ、とか悩んだりして。ジャッキー・チェンもそうなんですけど、昔は凄く早かったんですよね。
__ 
なるほど。
レス 
でも、他のもので見せていく事が出来ていくんじゃないかなと思います。老獪さだとか。それはそれで喜ばしい事で、それは若い人には絶対出来ない事ですよね。ZTONの役者としてこれまで勢いだけでやってきました。昔は感情が100%出ていればいい芝居だなあと思っていたのが、今は自分の後ろに自分がいて「そのセリフの吐き方で気持ちは伝わるのか?」みたいに言ってくるんですね。そうなるまでの28・9歳の時は役者として衰えていくのが怖くて仕方なかったんですが、自分を後ろから見るってことを始めた時から、違うアプローチから頑張れるやり方があるのかなと思うようになったりしました。それは昔の自分からは絶対に出てこない考えです。歳を重ねると体も気持ちもイヤでも変化していくので、そんな自分に追い立てられながら自分と折り合いをつけて昇華する。いつまでも変われる事はすごい楽しい事だなと思います。

僕は僕になりたい

__ 
劇団ZTONという存在の特殊性について。京都唯一のエンターテイメント集団として、やっぱり個人的に気にし続けている部分があって。エンターテイメントと一口に行っても色んなタイプがあると思うんですが、ZTONの場合は人を熱中させるタイプだよなあ、と。殺陣も単純にスリリングで、そういう存在は京都ではZTONだけになってしまった。が、そのレベルはどこと比べても遜色はない。
レス 
劇団ショウダウンさんが旗揚げされた頃に僕は学生していて、あんな事が出来たらいいなあと思っていたんです。新感線を見て河瀬君とすごいなあって言ってたり。でも彼らが目標ではありませんでした。僕らは良くも悪くも自分なりのすごく偏った価値観を持っていたんだと思います。要するに変態なんですよ多分。結局万人に受けるものを作ろうとしても自分が譲れない部分があるんですよ。性なんですね。「新感線になりたいんやろ?」と言われても全然ピンとこなかったり。一時期、僕らはエンターテイメントを目指している訳じゃないと言ってたんです。
__ 
ああ、言ってましたね。
レス 
明らかにエンターテイメントやけど?と思ってましたが(笑う)そこから、ちゃんと河瀬君がエンターテイメントをすると決めてからはやりやすくなりました。でも、いざ脚本書くと河瀬君なりに込めたいものがあって、彼が演出と脚本をやっている以上、絶対に自分なりの価値観やロマンを盛り込んでくるんです。そのロマン偏狭だから!おとなしく万人が喜ぶもの書いておけば良いのに!って思う事もあります(笑)彼は自分にしかかけない脚本を書くのが性なんでしょうね。それが歯がゆかったりしますが、その偏狭さが時々誰にもまねできない感動を作品に生み出したりもします。それがZTONの脚本の魅力かなと思います。なら、僕らもそこをきちんと支えていかないといけないのかな、と。
__ 
そうですね。
レス 
僕もチープな作品に出されたらイヤだな、と思っています。人の感情が動くような作品を目指して、ま、勝手にシーンを増やして見たりだとか(笑う)。色々しながら戦ってます、お互いに。そういう事をしていくから良いんじゃないかなと思っています。どこの劇団もそうだと思いますが。
__ 
まさに、人の感情が動く。たとえば「天狼ノ星」もいいシーンがたくさんありましたよね。レストランさんが演じられたセタが、地の章で最後にハクトを応援するシーンがあったじゃないですか。あれは本当に良いシーンだった。セタは天の章の最後で変な国作っちゃったりするけれど、やっぱり人間としての多面性というか、存在としての重さというか、これも大河ドラマとして本当に十二分な作品だったと思う。
レス 
嬉しいですね。そうなんです、前編にあたる天の章ではシュマリの死により憎悪や悲しみに憑りつかれ、マシラという国を作ってハクトを幽閉してしまうんですけど、別の時間軸である地の章ではシュマリのたった一言で自分の本当の気持ちに気づき、ハクトを心の底から応援するっていう所が、セタにとって一番大切なんじゃないかと思ったんです。実は最初は「コイツ何で応援してんねん」と思っていたんです。天の章の最後に自分の国を作るセンセーショナルを起こすのがセタとしてのゴールだと思ってたんです。でも地の章で、特に目立った活躍はしないけれども、シュマリの一言でハクトを心から応援できるようになるのが最後のゴールなんだ、と。天の章ではハクトを幸せから絶望の底に突き落とすほど憎んでいたけど、それはすべて一番大切にしたい親友への愛情の裏返しだったって思ってから演技が変わりましたね。
__ 
ありがとうございます。素晴らしい役作りをされましたね。そして、変な国とか言って本当に申し訳ありません。
レス 
いえいえ、変な国ですよアレは(笑う)最初に脚本を読んだ時、ビックリしました。一番王にふさわしくないこいつが天の章のジョーカーなのかよ!って。

レストランさんの稽古

__ 
稽古は楽しいですか?
レス 
僕は結構しんどいですね(笑う)。元々一人で色々するのが好きですし、一人で全部上手い事が回るんやったらそうしたい人間なんです。顔を突き合わせて打ち合わせするの、しんどいな、って。でも相手と色々な事を話して、メンバーの中で意見が完全に合致して「それ!」ってなった時は人生で一番うれしいです。その瞬間の為に我慢しています。一番面白い稽古は妥協しない稽古なんですよね。
__ 
妥協しない稽古。
レス 
『まあいいかっ』って妥協した稽古はおもんないなあと思うんですよね。でもやっぱり、面と向かって人に「お前は間違っている」とは言えないじゃないですか。でも何週間・一ヶ月とかが経つと、今言わなければならないという瞬間が絶対にあるので、その時にものすごい喧嘩になる事もあって。でも、そこで普段反論してこない人が反論してくれた時に、あ、いい稽古だなあと。それを言ってくれた時に、この稽古は成功やと思います。
__ 
そういう意味でのコミュニケーションが出来た時、座組はまさに集団そのものとなるのでしょうね。

端っこの役

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
レス 
何か僕、端っこの役が多いんですよ。言い方が悪いんですけど。主人公みたいな役割じゃなくて、サイドを固める役。だから、こう動けばカッコイイんだけど、主役を立たせなくちゃいけないと思うと。毎回、自分をどう持っていくかを考えた時、悩みますね。レストランまさひろが良かったと言ってもらいたい気持ちももちろんありますので、脇を固める役だったとしても、そう言われるにはどうしたらいいのかなと。立っているだけでも存在感がある役者だったらいいなあと思いますね。
__ 
そうですね。
レス 
三國連太郎と、誰だったか女優が会話するシーンで、まるで楽屋裏の廊下で挨拶を交わすような、そのくらい自然な芝居をしていたらしいんですよね。それが一番すごかったって言っていて。そういうなんでもない事をしているのにアッと息をのむような演技の出来る役者だったら素敵だなあと思うんですよね。そういう芝居がしたいです。
__ 
「覇道ナクシテ、泰平ヲミル」では夏侯惇を演じられましたが、真王孫権編では覇道を歩み始めた曹操をカバーする役回りでした。
レス 
前編の偽蝕劉曹編では優しすぎる曹操を笑ってましたが、孫権編になって非情になっていく曹操の傍で、彼が偽蝕劉曹編で置いてきてしまった優しさが実はとても好きだったと思いたかったんです。過去の曹操が今の曹操を見たらすごい悲しいじゃないかと思ったので、過去の曹操の優しさを夏候惇で体現しようとしていました。まあ、敵対する武将には曹操を守るため殺気ばかり出していたので、そんなに単純にはできませんでしたが。

アマチュアの役者

レス 
僕は、プロの役者じゃないなあと思っていて。「プロ」意識を持つ役者はいますけど、僕自身は絶対にアマチュアだと思うようになったんです。最初は僕もプロたろうと思っていたんです。
__ 
ええ。
レス 
でもいつしか、「プロって何だろう?」って思うようになって。そんなに上手くもないし、凄い役者さんのように上手く出来ない。だったら、アマチュアとして自分の納得のいく演技を追い求め続けようと思うようになりました。ギャラ分働くって事ができないので「自分はアマチュアです!」と言って掛け値なしに全力でやりたい。「あいつプロなのに何も出来ないな」と言われるより「あいつアマチュアだからなあ」と言われる方が僕は悔しいんですね。雑草がどれだけ戦えるのかを見せたいという意識があります。アマチュアだからこそ、「アマチュアだから…」て言い訳をしたらカッコ悪い。全力でいきたい。プロって言いたければ俺を越えていけ!って思いながら、どこまでいつまでもアマチュア意識を持とうと思っています。
__ 
ありがとうございます。素晴らしい。
レス 
でも、ずっと自分は自分の演技には満足はしいひんのやろうなあと思いますね。満足!と思う日が来たら、芝居やめるんちゃうかな、と。

意識を変える

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
レス 
どんな風に芝居をしていくか、で言うと・・・少なくとも、もっと滑舌を良くしたいなとか、そういう初歩的な事に立ち返ろうかなと思っていて。というのも、人にものを伝える為にはどうしたらいいんだろうという、根本的なところを省みないといけないんじゃないかなと。勢いだけとかではなく。凄かったと言われるのを目指して、では何も変わらないなあと。凄いとかだけじゃなく、細かくて緻密なものを伝えられた方が楽しんでもらえるんじゃないかな、表現の幅が広がるんじゃないかと思っています。
__ 
なるほど。
レス 
だから自分の場合はまず滑舌なんですけど、そこを許してしまわれていたZTONもまた問題だったのかなと思っていて。まずは自分の中で意識を変えていこうと思っています。そうすればZTONも変わるかなと。あと、客演を増やしたいと思っています。ずっと同じ劇団の中でやっていると、そこでの王様やらお山の大将みたいになってしまう。呼んでもらえる訳ではないので、外に出ていけるように自分から発信したいです。あとは、元々僕は格闘技をしていたので、一から学び直していきたいなと思っています。
__ 
格闘技とは?
レス 
祖父から剣術を習っていました。剣道とはかなり違う、確実に相手の命削っていく剣術で。もう亡くなったので習えないので、他のところで剣術なり剣道を習ってみたいなあと思っています。

サブレとミニボウル

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
レス 
あ、ありがとうございます。
__ 
どうぞ。実際、大したものではないんですが。
レス 
(開ける)鳩サブレみたいなものですか?僕、鳩サブレ大好きなんですよ。と、これは・・・
__ 
お菓子のボウルですね。
レス 
僕、家でかりんとうとか食べるのが好きなので。ピッタリですね。
__ 
今回、衣裳が青だったじゃないですか。それをイメージしました。

いまは京都に

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、浅井さんはどんな感じでしょうか。
浅井 
来月の末から烏丸ストロークロックに出演する事になりました。僕は東京在住なんですが、12月の前半ぐらいから京都に来て、芸術センターで稽古に参加しております。来月までは結構京都にいるかんじですね。学生時代は京都に住んでいましたので、第二の故郷じゃないですけど、身近な人にはおかえりと言われるようなそんな土地です。烏丸ストロークロックも、京都にいた頃何度か出演していたし、芸術センターで稽古をするのも久しぶりで、色々懐かしいという。
__ 
いいですよね、京都。
浅井 
はい。好きです。京都。
わっしょいハウス
京都にて自然発生的に活動を開始(2007年)。演劇団体。メンバーは劇作家/演出家の犬飼勝哉とわっしょいハウサー浅井浩介(ほか出演者/スタッフは作品ごとに流動的)。2010年に拠点を東京に移し、以降コンスタントに作品を発表している。何気ない日常に妄想や空想や目に見えないもの達がふと侵入してくる幻想的なテキストが特長。「六畳一間」と異界の融合――表現方法はシンプル。ギャラリーやフリースペースでの上演。ここ最近ではアクティングスペースから映像撮影をおこなう撮影パフォーマンスや客席オールスタンディングなど。舞台空間と外の世界との境い目をゆるやかに(そして遠慮がちに)飛びこえる。(こりっちより)
烏丸ストロークロック
1999年京都で旗揚げした、小劇場演劇を手がける劇団。現代人とその社会が抱えている葛藤をモチーフにした作品を各地で精力的に発表している。「演劇(舞台)でしか表現できない」「世代・趣味趣向を超えて心に訴えかける」作品づくりをポリシーに、ひとつのコンセプト・題材を用いた小作品の上演を数年にわたっておこない、その後一つの分厚く上質な作品へと昇華させる創作形態をとっている。2001年「CAMPUS CUP 2001」大賞受賞、2003 年「Kyoto演劇大賞」大賞受賞。(公式サイトより)

烏丸ストロークロック Re :クリエイション・プロデュース「国道、業火、背高泡立草」

__ 
「国道、業火、背高泡立草」。私は神戸のAI・HALLでの初演を拝見したのですが、非常に面白かったです。自分の故郷に戻ってきた男が、自分の町に復讐をするという。もうあの町は元には戻れない、それぐらいの大きな変化。その復讐も、法律に触れない範囲のもので・・・。そういう卑怯さが非常に悲しかった。町のあり方を経済面から捻じ曲げて終わり、みたいな終わり方で、その終末感や寂しさは凄かったです。我々も、彼らと同じように、自分のエゴの為に捨ててはならないものを捨ててきたんじゃないか。全体に巻き込まれて捨てたにせよ、それは共犯じゃないか、と。
浅井 
実は今回は、初演の脚本を書き換えての再演という形になっているみたいで。後半が大幅に書き換えられるらしいんです。
__ 
そうなんですね。初演の絶望がどのように変わるのか、という点と同時に、何があの作品を変えるのか、にも興味があります。
烏丸ストロークロック Re :クリエイション・プロデュース「国道、業火、背高泡立草」
輸送トラックが行き交う、国道9号線沿いの町「大栄町」。 昭和の高度経済成長期に地元出身の国会議員がもたらした土木利権で興ったその町も、時代の移ろいと政治家の死によって過疎化が進んでいた。時は平成。大いなる栄華をもう一度と、次の権力者擁立を企てる町議選に人々が白熱するある日、大栄町に大川祐吉が帰ってくる。
人々は驚いた。なぜなら、20年前に広大な山林を焼失させ、逃げるようにこの町を去っていった、あの“ビンボーのユーキチ” が今ごろになって現れたからだ。
駅に降り立ち、スーツケースを引きずりながら国道を彷徨する男の姿は瞬く間に町中に喧伝され、人々はその不気味な報せに警戒する。みな、ひとえに、祐吉の復讐に怯えていた…。

2013年初演。ツアー各地で賞賛を浴び、劇団初公演地だった広島では追加公演を行うなど大きな話題となった佳作を、2014年「短編 神ノ谷第二隧道」を経て大幅に加筆、さらなる深化を遂げる“Re”クリエイション作品。経済に翻弄され金を追い続けた人物とその業。日本の宿痾を架空の町から透かし見る、烏丸ストロークロックの大栄町シリーズ最新作。

出演者/阪本麻紀 桑折現 今井美佐穂 小熊ヒデジ 新田あけみ 浅井浩介 イトウエリ

作・演出/柳沼昭徳  音楽/山崎昭典、中川裕貴
演出助手/柏木俊彦   舞台監督/山中秀一   舞台美術/杉山至  照明デザイン/魚森理恵  照明操作/尾崎翔  音響/小林祐也  宣伝美術/清水俊洋  制作/富田明日香
協力/有限会社現場サイド、有限会社アトリエ、第0楽章、てんぷくプロ、K.I.T.、わっしょいハウス、有限会社レトル、quinada   京都芸術センター制作支援事業
助成/一般財団法人地域創造  後援/特定非営利活動法人京都舞台芸術協会  製作協力/烏丸ストロークロック
津公演
2016年
1月30日 16:00
1月31日 14:00
伊丹公演
2016年
2月6日 18:00
2月7日 14:00
知立公演
2016年
2月13日 14:00
2月14日 14:00

対話

__ 
稽古は今、どんな感じで進んでいますか?
浅井 
年内は稽古場での対話が多いですね。シーンの稽古をするというより、柳沼さんが考えている事に対し俳優が質問したり、逆も。稽古が始まった時に、みんなでこの作品の舞台である「大栄町」のモデルになっている町に取材に行きまして。烏丸ストロークロックの作品って、そこの風景だとか、土地の人々のニュアンスみたいなものを大切にしていると思うんです。「大栄町」の取り残された感じというか・・・田舎の町にフィールドワークに行って、駅の感じとか風景の感じを見てきました。
__ 
いかがでしたか。
浅井 
やはり実際目で見たり体で感じたものって大きいなあと思います。個人的にも自分がやる役に関係ありそうな場所に自分で行ったりしてて。お客さんに、役や場所のニュアンスが細かいレベルまで伝わるように、その風景の中に何かを見つけようとしています。柳沼さんから、そういうものを繊細に表現できるようにして欲しいというオーダーがあったんですね。今は、その風景や町にどういう感触があるのか話して貯めていくという段階です。来年になったらもっと具体的な稽古になってくるでしょうが。
__ 
浅井さんの役は、どんな人間なのでしょうか。
浅井 
別の土地から来た農業研修生という立場の青年です。お金を貰って、町の農場で働いている。「自分はあえて田舎に来ている」という意識があって、でもその裏にはそこに来るしか無かったという部分がある。本人は、外から来た人間なので周りを田舎者だと見下して、でも、そこで暮らすうちにそこの人間になっているという。内にはどうにもならない鬱屈を抱えつつ。見てくれは田舎のヤンキーなんですよ。田舎ってヤンキーが多いイメージじゃないですか。本人は、その土地で暮らすためにあえてヤンキーっぽく、という意識で演じているが、実際にはそうなってしまっているというか。うん、複雑な田舎のヤンキーです(笑)。
__ 
自分がそこにいるために、周囲を理解しようとしている、という事でしょうか?
浅井 
理解というより、合わせてやっているという感覚で、でもそこから抜け出せなくなっているという感覚ですね。

「入れておけばいい」

浅井 
どんな役でもそうだと思うんですけど、人間だから複雑なんですよね。だから色んな気持ちというのを、出来るだけたくさん入れておくというか。「こういう時はこうする」みたいなのが決まってしまうと、単純になりがちというか。実際に本番が近くなったら色は決まっていくと思うんですけど、いまはとりあえず、「こういうこともあるかも」と、色々な事が出来るようにしといて。それを演出の方と、「そうならないんじゃないか」とか「それがいいんじゃないか」とかを話しつつ、徐々に、その役がどう行動するかの選択肢を絞っていくというか。
__ 
決めていくのではなくて、たくさんの選択肢を取り込んで、徐々に絞っていくんですね。
浅井 
そうですね、だから今は切り捨てていくというよりは、入れておけばいい、と。間違った事も今の内にやっておいた方がいい、と。
__ 
INとOUTがあって、その間の処理部分を作るのが役者の役作りの目的なのかなと思うのですが、そういう事でしょうか?
浅井 
INが少ないと、OUTってそれより少なかったり、単純なものになってしまうというか。INが少ないのにOUTを大きくしようとするとすごくウソっぽくなってしまうんですよね。だからとりあえずINを多く持っておいて、出来るだけ色んなOUTが出来るようにしておくという感覚ですね。小さくも出せるし大きくも出せる、こっちにもあっちにも行ける、その為の様々なINを持てるようにするという感じです。
__ 
INのプールか・・・今気付いたんですが、俳優って、OUTするための役割じゃないですね。OUTするためのINをする(感じる)仕事なんですよね。
浅井 
そうですね、どっちかと言うと出すことより採り入れることの方が重要な仕事な気もしますよね。それが出来るかどうか。
__ 
「見る」「聞く」「感じる」「考える」という仕事。それどころか、セリフを喋っている時もそれらの受容の作業は生き続けている。
浅井 
そうですね、聞くという事は重要視しているのかもしれない。役として舞台に立っている時、情報を初めて貰う瞬間というのは大切にしていますね。それにきちんと驚けるようにしておかないと、すごく、狭まってしまうというか。
__ 
同じ作品を数ヶ月稽古していると、摩耗していくのは想像に難くない。常に驚けるというのはやっぱり凄く大変かもしれない。
浅井 
やればやるほど、逆に繊細な感覚を取りこぼしていってしまうこともあるので、それをいかに乗り越えるかというところは気を付けています。固まってきちゃうんですよね。こうしたら上手く出来そうだ、とか、失敗したくないという気持ちもつい生まれてしまうので。そういう段階は必要だと思うんですけど、毎回の稽古でゼロの状態でいようと思います。鎧を着ないようにして、すぐ死ぬような状態にしておかないと驚けないというか。
__ 
あえて防具を外す。
浅井 
その状態でいないといけないというか・・・稽古とか作品の作り方についても同じことが言えるかもしれません。何もないところから形にしようと積み木みたいに積み上げていって、稽古で完成させたものをお客さんに見せようとするような、固まったものを再現してみせるという事ではなくて、毎回その場で積む為の・積む感覚を得るための稽古。
__ 
大仏を建立してそれを見せにいくパターンと、サッカーの試合を見せに行くパターン、そういう事なのかな。
浅井 
ああ、そうですね。最初から道筋を決めていって、その道筋を覚えるための稽古ではなくて、なんか、毎回その、俳優の道筋によって積み上がるかの稽古。
__ 
その中間に寿司屋は位置している。
浅井 
寿司屋ですか。
__ 
寿司屋なりの味やスタイルが全部決まっていて、他の様々な条件と、お客さんの前に出し、もてなすためのメソッドを手に入れる修行。
浅井 
なるほど。寿司屋パターンもあるかもですね。職人感ありますね寿司屋(笑)。色んなスタイルがあって、どれが良い悪いじゃないと思いますけど。でも根本としては、そういう稽古意識じゃないといけないのかなと思っています。もちろん作品によって違いますけど、でも、サッカー的な感覚でいないと何も面白いことは出来ないんじゃないかと思います。

質問 ミネユキさんから 浅井 浩介さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、劇団子供鉅人のミネユキさんから質問です。「自分が舞台に立っている時と立っていない時のギャップはありますか?」
浅井 
うーん、なんだろう、舞台にいる時の方が、社交的だと思います。思っている事を口に出す、というか、セリフを言わないといけないから何かしら目の前の人に喋るんですけど、普段だと何も喋らないで聞くだけとかって多いんで。
__ 
直したいと思いますか?
浅井 
いや、そんなに・・別にいいのかなと思っています、けど、人に不快な思いはさせることはない程度に・・とは思っています(笑)。

「見えてくる」

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
浅井 
なんか、おじさんの芝居って良いなあと思ってるんですけど。僕は今年、同年代か年下の方と芝居を作る事が多かったんですが、今回の烏丸ストロークロックでの稽古は久しぶりに年上の方が多くて。年代が上の人と芝居をするのって、良いなあと思って。
__ 
なるほど。
浅井 
いや、僕ももうおじさんなんですけど。でもまだまだいつも必死なんですよね。ほんと必死なんです。まあいつまでも必死なのかもしれませんけど、歳をとって味というか、貫禄というか、歳をとってこそ輝くというか、そういうものって憧れる感覚があって。昔から。
__ 
分かるような気がします。
浅井 
年配の役者さんて、そういうものを使っていると思うんですよ。その方自身の中身を晒してなお堂々していられる強さがあると思うんです。
__ 
そういう意味でも、「鎧」を外したい?
浅井 
鎧ナシでの強さを持ってるのかもしれませんね。いや、鎧ナシで弱くても大丈夫なようになっているのかもしれません。僕はいま、鎧ナシだと必死になってしまうのが、熟練してくると、弱さ自体は変わらないかもしれませんが、見えてくるのかな。
__ 
見えてくる?
浅井 
なんか、武道の達人とかもそうですよね、動かないで倒せるみたいな、そういう事かも。そういう落ち着きを身につけていきたいなあと。
__ 
見る。その現場の、自分を取り巻く状況や、起きる現象を認識する。
浅井 
起こっている事を繊細に受け止められる状態というか。
__ 
視線か・・・ところで観客は、舞台上での俳優の認識をかなり細かく理解しているじゃないですか。
浅井 
そうですよね。
__ 
あ、別にこれはオカルトとか超能力だとかの話じゃもちろんなくて、脳の能力とかの話でもなくて、単純に何故そういう事が起こっているのかを話したい。
浅井 
それって、ほんのちょっとした事で、うまくいかなくなるんですよね。同じ作品でも。うまくいっている時は観客は俳優の感じ方をものすごく敏感にキャッチしてくれるけれど、うまくいかないときはそれが全然伝わらない、みたいな。ちょっとした事で、何が起こっているのか分からなくなっていく、みたいな事はありますね。あれ、難しいんですよね。やってる側としては何故そうなってしまっているのか分からないときもある。
__ 
その劇場のリアルタイムにおいて、のめり込む場合と全くのめり込まない場合がありますね。
浅井 
お客さんによって感じ方が違うのは当然なので仕方ない部分もあると思うんですけど、でも、俳優のやる事によって、ほんのささいな事で少しズレてしまって、理解されなかったりする。難しいなあと思います。
__ 
ささいな事、もはや偶然の領域・・・株式の世界に似ているのかもしれない。正しいメソッドが確立されていながら、成功率は保証されていない。ではその中でも成功率の高い演技は何かというと、ある意味大振りな演技となる。大味な演技となる場合もある。
浅井 
うーん。そうですね。でも成功率は高いけどちょっと大味な事をやるよりかは、成功させるのは難しいけどすごく面白い可能性がある事を目指すほうがいいなあ。そっちじゃないと、やる意味が無いと思っています。もちろん、どちらも必要だとは思いますが。

整理の年

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
浅井 
ちょっと時間をゆっくりにしてみようと思っています。わりとこの1、2年は公演を立て続けにやっていて。とにかく経験が必要だと思ってやっていたんです。色んな劇場で場数を踏みたいと思っていたんですけど、それがもちろん必要で、まだまだ経験は足りないんですけど、ちょっとそれも違ってきているのかな、と。
__ 
なるほど。
浅井 
もちろん芝居は続けるんですが、ちょっとゆっくりに。それこそ、INをもっとたくさん得ようとしていたんですが、その整理をしようと思っています。そういう時間を作ってから、またどういうところでやりたいのかを整理してからまたやっていきたいなと今は思っています。

コーヒーキャンディ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。どうぞ。大したものではないですが。
浅井 
ありがとうございます。すいません、なんか。クリスマスプレゼントですね。開けてもいいですか。
__ 
もちろんです。
浅井 
あ、コーヒーキャンディですか。嬉しいです。コーヒー好きなので。お口の友に。

寒い夜の女

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、ミネユキさんはどんな感じでしょうか。
ミネ 
劇団子供鉅人の10周年を迎えて、この一年は4本もの本公演があって、先日大阪公演が終ったばかりで一段落っという感じです。まだ東京公演がありますけど、今みんな大阪帰ってきて年末モードになっています。
__ 
12月ですもんね。ミネユキさんは、冬はお好きですか?
ミネ 
12月はイベントが多いので好きですが、寒いのは苦手です。服で締め付けられるのが嫌いで無気力になる。夏の方が遊びたくなるし、汗をかくのも結構すきです。でも12月は、言っても冬の始まりだからたのしめるのですが、3月とか、まだ寒いのかよ、まだアウターを着ないといけないのか、と思ってしまいます。
__ 
ありがとうございます。クリスマスの温かい思い出はありますか?
ミネ 
小さい頃は、クリスマスは家族で過ごしてたんです。家族で家で作れる簡単なごちそう(たとえばサンドイッチとかチキンフライとか)を食べる贅沢な日みたいな。
__ 
逆に、イヤな思い出はありますか?
ミネ 
サンタクロースって信じてましたか?
__ 
私は信じてませんでした。むしろ、それを聞く前から「あ、これから聞く単語は嘘だな」と思っていました。
ミネ 
へー。ウチでは、クリスマスと誕生日は唯一自分の欲しいものが買ってもらえる日で。ある日めちゃくちゃ仲の良い友達が、サンタさんから届いた手紙を見せてくれて。でも明らかに大人の字だったんです、日本語だったし。でも凄い信じてて、私も信じそうになって、実際はどうなのかお母さんに聞いたら「サンタクロースというのはいないが、その子は信じているから合わせなさい」って言われて。元々、信じるも信じないもないまま、サンタクロースじたいも不思議な何かとは思わなかった。
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信じるも信じないもないのか。
ミネ 
で、クリスマスの夜に遊び半分で、お菓子が入るクリスマス用の靴下の容器にサンタクロースへのメモを入れたんです。容器に入るぐらいの小さいものを希望したメモ。それぐらいならお母さんも愛情表現として何かしてくれるんじゃないかと思って。ヒネたガキ。そして朝起きて、パッと見たらメモは残ったままで。現実ってこうなんや、と。
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・・・。
ミネ 
クリスマス自体は大好きです。イルミネーションとか音楽とかがテンションがあがるしなんせワクワクします。お正月は10日ぐらいになっても名残は残すのにクリスマスだけは絶対残さない。日本は、お正月の方が大事だからかな。子供のころはそれが理解できずにいました。まあ、今はお正月のほうが大好きですけど。(笑)
劇団子供鉅人
2005年、代表の益山貴司、寛司兄弟を中心に結成。「子供鉅人」とは、「子供のようで鉅人、鉅人のようで子供」の略。音楽劇や会話劇など、いくつかの方法論を駆使し、世界に埋没している「物語」を発掘するフリースタイル演劇集団。路地奥のふる長屋を根城にし、演劇のダイナミズムに添いながら夢や恐怖をモチーフに、奔放に広がる幻視的イメージを舞台空間へ自由自在に紡ぎ上げる。また、いわゆる演劇畑に根を生やしている劇団とは異なり、劇場のみならずカフェ、ギャラリー、ライブハウスなどで上演、共演したりとボーダーレスな活動を通して、無節操に演劇の可能性を喰い散らかしている。(公式サイトより)

劇団子供鉅人10周年記念公演-重力の光-

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「重力の光」、大阪公演を拝見しました。大変面白かったです。
ミネ 
良かったです。3部作、どれが面白かったですか?
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どれも甲乙付けがたいですよね。どれも、見ていた私にとっても大きな作品だったんですよ。こんな大作を1年の内に3本も作ってしまうとは・・・。お疲れ様でした。
ミネ 
ありがとうございます。まだ東京公演がありますけどね。
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今はどんな感慨がありますか?
ミネ 
1年間にこんなに立て続けでお芝居をしている事がないというか。そういう面で成長してるんじゃないかと思います。
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すばらしい。そうそう、子供の成長歴をモチーフにしたお話だったように思います。生まれが神秘的な少年が卑屈に育って、でも気高い最後を迎えたり、貧乏に生きていかざるを得ない少女が破滅的な愛に生きようとしたり。なかでも私、ミネユキさんの子供キャラが好きなんです。少女的で、しかしどこか現実主義者的なトゲを持つキャラクター。
ミネ 
現実主義は、自分がそういう育ち方をしているからかな。よく、手相占いをやってくれる人がいるんだけど、私は元々持った手相は面白い手相をしているそうなんです。面白い事を考えつく性格なのに、今を表す手相はそうなっていないみたいな。育ってきた環境がそうさせるのか。好きで現実主義者になってる訳じゃないけど、結構悪ガキの集まった小学校で、上手く生きるために誰にも嫌われずに立ちまわってて、それが中学に入ったらマセすぎて周りとギャップがあって、大学入ったら、全部とっぱらって自分だけで生きていくようになったというか。
劇団子供鉅人「重力の光」
公演時期:2015/12/3~7(大阪)、2016/1/13~19(東京)。会場:天王寺 近鉄アート館(大阪)、下北沢駅前劇場(東京)。

チケット販売における公演特設サイトの果たすべき役割について

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子供鉅人のサイトを作る時、どんな事に気を付けていますか?
ミネ 
いまだに迷いますけど、ファーストインパクトで伝わる作品の雰囲気のビジュアルと、お客さんがチケットを買うまでのたどり着き方を考えますね。ファーストビュー以降では何を探しているかというとスケジュールと金額と購入方法で、あらすじはとりあえず読まれないんですよね。なのでキャッチフレーズ的なものを抜粋して大きくしたり、イメージにしたりして。興味があればタイトルと会場さえ知れれば、観に来てくれるので、そこまでの流れと順序を考えます。
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情報を出す構成をきちんと考え、そのうえで第一印象を演出する、極めて客観性の必要な作業なんですね。子供鉅人の特設サイトは、彼らの雰囲気が如実に表現出来ている、すばらしいお仕事だといつも思います。
ミネ 
でも、Webがオシャレ過ぎて近寄りがたいという人もいるんですって。私にはそれが分からないんですよ、オシャレに作っているつもりは無いので。演劇をやっている人は「『ちょいダサ』が良い」とよく言われます。ボスにも言われています。でも私には「ちょいダサ」が難しいんですよ。何をどうするのがいいのかわからないというか。
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分かります。方向が難しいんですよね。ちなみに私にとって思い出深いのは「ツインテール」のサイト。全面がショッキングピンクでしたね。
ミネ 
自分が作る上で、いつも色から入るんですよ。ロゴもピンクだし、じゃあピンクでいこうか、と。子供鉅人は原色やなと思います。パステルカラーじゃない。演目によるんですけど。でもチラシからのイメージを取り入れてます。でも、私の子供鉅人のイメージはショッキングピンクですね。「真昼のジョージ」の色は群青色だから、それに合う色彩。「重力の光」はゴールド。
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そうなんですね。
ミネ 
見た目重視ですね。目に留まる事をめっちゃ重視するんです。上から下にパーッと流れていって、そこで見つけてもらうためにタイトルをでかくしたり。色々考えてやっています。
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そうして作ったサイトですが、ざっくり言って集客の手応えはありますか?
ミネ 
無いですね。それどころか、見やすいと褒めてくれるのは周囲だけなので。チラシを見て劇場に来た方はいますけど、Webだけを見て劇場に来た方っていないと思っています。Webは検索しないと引っかからないから。だから、誰かが誰かに伝える為の手段にしてもらえればと思います。誰かの口コミからリンクが回されて、面白そう、に繋がればいいなと思っています。
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直接的な入り口という訳じゃないんですね。
ミネ 
公演の宣伝美術などのビジュアルが良かったから観に来るという訳じゃない。でもチラシが可愛くても公演の内容が良くなかったらガーンじゃないですか。例えばツインテールは、チラシが可愛くて公演も可愛かったから、良かったねとなった。どっちもが合わさってようやく、手応えと言えるんですよ。
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特設サイトは集客における一つの要素であり、直接的な力や結果を伴うものではない。が、公演の顔としての役割はこれからも変わらず大きいでしょうね。サイト製作者のこだわりが強く出ているのであれば、なおさら。
ミネ 
観ようと思ってくれた人がWebをチェックしてみた結果、面白そうと思ってくれたら・・・と思って作っています。