質問 鍵山 千尋さんから ミネユキさんへ

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前回インタビューさせていただきました、立命館中学校の教諭であり、立命館中高演劇部の顧問、鍵山千尋さんです。ちなみに子供鉅人準団員の古野君の恩師でもあります。「演劇に関わって意識が変わった事はありますか?」
ミネ 
舞台を観に行く回数が増えて、観方も変わっていった事ですね。ストーリーもそうですけど、演出を見るのが好きで。魔法が掛かったようにシーンが変わっていったりだとか。子供鉅人の面白いところは、今回の「重力の光」では暗転は2回ありましたけど、あまり暗転は使わずにスムーズに変えるところがあって。「逐電」の時はやっててめっちゃ感動しました。

劇団員だけの作品「逐電100W・ロード100Mile」

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逐電の話をしていなかった。そう、台湾公演もやったんですよね。
ミネ 
台湾のお客さんの感性は鋭かったですね、笑えるところで素直に笑ってくれる。セリフ字幕付きだったんですけど、笑うポイントでめちゃくちゃ受けてて。良かったです。国が違うからこそ、言葉じゃなくて表現力が大事だなと思いました。どんだけ大きく動くかとか。日本人くらいじゃないですか、ジェスチャーが小さいのって。
__ 
日本語は文字の比重が大きいですからね。それにしても、逐電は素晴らしい作品だと思います。また見たいです。とにかく流れるようなストーリー展開、サスペンスとしてもキキさんが演じる女が本当は誰なのか、とか、役者一人一人の練度も凄まじかった。
ミネ 
劇団員だけの公演だったのもあるかもしれないですね。あれはちゃんと、一つの作品として評価される出来だった。私たちの作品として言いやすい。
__ 
代表作と言ってもいいかもしれませんね。あの作品に関われた関係者が羨ましいです。
ミネ 
大阪から東京に引っ越してすぐの作品でしたからね。より一層、みんな思い出があると思います。劇団員だけという作品はほぼ初めてでした。

MYセルフプロデュース

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
ミネ 
もうちょっと、自分が自分を理解して提示出来る役柄につきたいと思います。
__ 
セルフプロデュースという事?自分を理解する。
ミネ 
ハマリ役みたいなのが見つかればいいな、と。あと、もうちょっと意識してやっていけてたらと思います。もっと、色んな人に自分を覚えてもらいたいなと思います。
__ 
え、ミネユキさんは一目見れば覚えると思いますけど。
ミネ 
いや、印象が薄いと思うんです。多分いま、誰よりも薄いので。もっとアクを出せるようにならないと。劇団員みんなに負けないように。東京に出てからみんなと一緒の時間が長くなって、クソガキ的なキャラクターが定まり始めて(自分でもビックリなんですけど)、そういう部分を役柄にも見つけていけたらと思います。子供鉅人のカワイイ代表を目指して。
__ 
おおっ。カワイイ代表。
ミネ 
はい。今はいないので。そこを奪われないように。

ハートのアップリケ

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
ミネ 
ありがとうございます。なんだなんだ。
__ 
大したものじゃないですよ。
ミネ 
(開ける)うわ。ありがとうございます。ふふ。名前が。
__ 
アップリケですね。
ミネ 
何かに付けます。

ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」

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今日はどうぞ、宜しくお願いいたします。最近、穴迫さんはどんな感じでしょうか。
穴迫 
よろしくお願いします。はい、忙しいとは思います。10月・11月と本公演規模の公演を企画やお仕事でさせていただいて、いざ本当に本公演が始まるというときに疲れが見え始めてるような状況です(笑う)。
__ 
ありがとうございます。では、現在はAGAINの稽古中ですね。稽古はどんな状況ですか?
穴迫 
台本の完成度をはじめ、未確定な要素が多いまま始まってしまったので、個人的には結構しんどいです。俳優さんは楽しそうにやっていただいてますが、それを見ながら苦しい思いもあります
__ 
ご自身のやりたい事を模索中で、しかし、役者は今の段階での稽古で見つけた感触に興味を持っている。そんな感じですか?
穴迫 
あ、そうですそうです!俳優さんは新しい台本を稽古場に持っていくたびワクワクして読んでくれるんですが。でも僕は、新しい台本を出すたびにこれで合ってるのかとか、最悪これは絶対違うけど一旦俳優さんに読んでもらおう、という気持ちで持って行ったり、だとかそういうギャップがあります。それは過去の公演ではあまり無かったことですね。
ブルーエゴナク
2012年、福岡県北九州市にて旗揚げ。2013年1月に団体名から「劇団」を取り、現在の名称になる。同年5月、第五回公演「サヴァリーナトロメイド」では九州の二県三都市を巡る初めてのツアー公演を行い450人を動員した。2014年、第8回福岡演劇フェスティバルの公募枠作品として、「交互に光る動物」を西鉄ホールで発表。その後、枝光本町商店街アイアンシアターにて公演。2014年8月 初の関東圏での公演を開催日常と事件の狭間でただひたすらに生きることを諦めない作風が特徴。(公式サイトより)
ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」
毎日会える人に毎日は会えない
こっから行って
あそこに帰る
毎日辿る すると定まる
定まらないことばかりを辿る
辿る前に まずその道に立つ
また同じ景色の中で待つ
誰かがくるまで何かをし
数えるまでもないやりなおし
again

会場:アトリエ劇研
日程:
2015年
12月25日(金) 19:00
12月26日(土) 15:00 / 19:00
12月27日(日) 11:00 / 15:00
チケット:
一般 2,500円
U-23 2,000円
(当日500円増し)
高校生以下 当前一律 1,000円 作・演出 穴迫信一 出演:
高山実花(モンブラン部) 高野桂子 田島宏人(演劇ユニットそめごころ) 脇内圭介(飛ぶ劇場) 平嶋恵璃香(ブルーエゴナク) 穴迫信一(ブルーエゴナク)

今までのやり方で、今まで作れなかった物を作りたい

__ 
「AGAIN」ですが、作品のアイデアの概要を改めて伺えればと存じます。どんな作品でしょうか?
穴迫 
やりなおし演劇と題している通り、「やりなおし」がテーマです。シーンを繰り返したりとか、そういう意味ではありません。
__ 
あ、リフレインという訳ではないのですね。
穴迫 
あ、そうです。ただ、構造として登場人物たちが、あるいは作品の一部分が「やりなおし」てる様子を示せるような仕掛けが出来ればと考えております。
__ 
面白そうですね、ゾワゾワしそうで。そうした発想になったのはどういう経緯があると思われますか?
穴迫 
「AGAIN/やりなおし」というタイトルをつけた時はもう半年近く前なのですが、その時は確か以前の作風に今の筆力をもって回帰しようと思ったのがきっかけだったと思います。前回、前々回と作風というか世界観のような物がグルグルと変化していきました。でもその前、とは言っても1年半ほど前ぐらいですが、その時期までは良くも悪くもエゴナクはこういう作品を作る団体、みたいなイメージがお客さんにも僕の中にも多分あって、その頃技術のなさであと一歩うまくいかなかったことをまた改めてやりたいと思ったんです。
__ 
なるほど。
穴迫 
仕掛けについては、まず45分とか短い上演時間で面白いものを作りたいねとドラマターグの坂田さんとお話してて、京都で試してみてもいいんじゃないか、となり、AGAIN20分やりなおし20分の二本立てとか面白いんじゃないか、などと話していました。詳しくは見てのお楽しみにしていただきたいのですがそういった事から仕掛けや構造について話しながら考えていきました。
__ 
今も、回帰したいと思っている?
穴迫 
そうですね、自分の中の新しいドアを開く、というよりは、今までのやり方で、今まで作れなかった物を作りたい、という思いではあります。
__ 
ありがとうございます。もし可能であれば、今回作るものを物品で例えていただけますでしょうか?例えば「卒業アルバム」みたいな。
穴迫 
なるほど
穴迫 
ハムスターの回し車・・・
__ 
素晴らしい。感傷的になってしまいそうな気がします。いかがでしょうか。
穴迫 
そうなんです、ウルトラハッピーな作品をいつも作りたいと思ってるのですが、どうしてそういう力に頼ってしまうんです、それは多分潜在的に僕がそういう部分も持っているんだとは思うのですが。

音楽

__ 
穴迫さんがお芝居を始めた経緯を教えて下さいますでしょうか。
穴迫 
演劇の入り口は、僕の世代は多いと思うのですがラーメンズやバナナマンですね。昔からお笑いが好きで、小学生の時は芸人になりたくて、中学のときはミュージシャンになりたくて、高校で演劇に出会って、音楽も笑いもやれるし演劇しようと思いました。
__ 
その時にご覧になった作品で、衝撃を受けたシーンは何かありますか?
穴迫 
ラーメンズの「マーチンとプーチン」ですね、パペットコントなのですが説明できない面白さにただただ感動しました。
__ 
ありがとうございます。では次の質問ですが、いつか、どんな作品が作れるようになりたいですか?
穴迫 
音楽的な面で今まで誰も作った事ない見た事ない作品がつくりたいですね。
穴迫 
全編歌であるとか、一定のリズムが流れ続けてるとか、何かしらそういう、音楽と演劇に新しい出会い方をさせたいとはいつも思っております。
__ 
なるほど、音楽。
穴迫 
その作品が、年齢場所言語を問わない作品になれば最高ですね。
穴迫 
そう考えるともうほぼ音楽のライブみたいになりそうですね。
__ 
例えばですが・・・見ている人の年齢に関わらず、音楽によって誰もが一つの状態になる、みたいな事でしょうか。
穴迫 
そうですね、5歳ぐらいの子でも聴きながら観ていればちゃんと楽しめるような。

「場」で行われる演劇

__ 
質問の方向を変えて、ブルーエゴナクの魅力を教えて下さい。
穴迫 
毎回作風は変わっていますが、冷静に人間を描こうと思っています。そのため不完全さとか未完成さも意識して作っています。(エゴナクの作品は)見終わった後にスッキリする作品はきっと少ないと思うのですが、作品とお客さんがその場限りの関係にならないようには意識しています。こう書くと難しいような気持ち悪いような作風かと思われそうですが、実際その要素はあります。ただ最近は、演劇は笑えないとダメだ、ぐらい吹っ切れてきて。必ず7~8割は笑えるように作ろうと考えています。結果的にきもちわる~くなることもありますが。
__ 
そういうのが見たい時はオススメですね。最後に、今後、どんな感じで攻めていかれますか?
穴迫 
これは本当に、活動拠点は北九州と京都です!と胸を張って言えるよう京都の皆様に定着していけるよう頑張りたいと思っています。あとは場所しっかり関係を持った作品作りを続けたいです。今年、商店街の道路、モノレールの車内、などで作品を作らせていただきました。そこでしか出来ない作品、どこでも出来る作品、両方作れるようになりたいし、しっかりその意識を持って今後の作品にも取り組みたいです。
__ 
ありがとうございました!

顧問の先生

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。立命館中高の教諭であり立命館中高演劇部の顧問、最近、鍵山先生はどんな感じでしょうか。
鍵山 
よろしくお願いします。最近は、クラブの活動により一層力を注いでいます。顧問になって13年になるのかな、実は私がこの学校にくるまでは演劇部が無かったので、出来てからずっと顧問なんです。おかげさまで、どんどん大きくなっていっています。何より部員の子達が熱意を注いでくれましたので、昨年、初めて全国に行けました。今年も行きたくて行きたくて。みんなで頑張っているところです。
__ 
近畿大会への出場も決まったんですよね、おめでとうございました。勝ち進めると良いですね。
鍵山 
今年は、まずは楽しく出来たらいいなと思っていたんですが、上に行けたので。欲が出てきました。
立命館中高演劇部
立命館中高には、元々演劇同好会が存在していましたが、2003年度に”部”に昇格し、現在の演劇部がスタートしました。発足当時は部員も少なく休部時代もありましたが、徐々に活発になり、現在は常に30人を超える大所帯になっています。2004年度から中学生の受け入れを本格的に開始し、中学の大会にも参加するようになりました。現在では、OB・OGも様々な場所で活躍するようになってきています。 中高一緒に仲良く活動しています!(公式サイトより)
第50回 近畿高等学校演劇研究大会
公演時期:2015/12/27(立命館中高演劇部の作品は14:10~)。会場:呉竹文化センター。

OBや関係者の心強さ

鍵山 
ウチの演劇部出身の子で今でも演劇を続けている子がたくさんいて。このサイトにもたくさん出てて。去年、京都学生演劇祭で優勝した劇団西一風の岡本くんも卒業生なんです。卒業生は、時々稽古を見に来てくれるんですよ。古野君とか。古野くん、頑張って欲しいなあ。そうそう、先週、オーストラリアに二週間研修の引率に行ったんです。その間、演劇部の顧問がいない状態になりそうだったんですよ。その間、近衛虚作くんが「高校生の面倒を見てみたい」と言ってくれて。二週間、べったりついてくれて、作品作りにつきあってくれたんです。帰ってきてから見たんですが、すごく面白くなってました。
__ 
ええ、彼なら。彼ならそういうシチュエーションで良いものを作れるでしょうね。
鍵山 
めっちゃありがたいです。生徒だけでも練習は出来るけど、不安な部分もあるので。他にも、私が先生になる前にお世話になった方にも色んな協力をしていただいているんです。実は私、中学の大会の事務局長をしていて、大会の審査員をお願いすることもあるんです。今年の秋は村上慎太郎くんと近衛くんにお願いしました。筒井さんや田中遊さんや橋本くんにお願いした事もあります。高校の方の審査員は、今年の地区大会は田辺剛さんやったし、府大会は高間響君。
__ 
直接的にせよ間接的にせよ、多くの方にお世話になっているんですね。
鍵山 
そういう繋がりがあるとアドバイスを頂けたりするんです。ありがたいですね。

教職に就いて、顧問になって

__ 
ざっくりと伺いたいんですが、鍵山先生が演劇を教える事になったキッカケを教えてください。
鍵山 
最初は劇団ケッペキにいて、でも演劇をこのまま続けていこうという気持ちはあまり無くて。もちろん関わって行きたかったんですけど、それでは生きていけなかったので。教員免許を取って先生になって、しばらく演劇は出来ないなと思ってたんです。ウチの学校、演劇の同好会はあったんですよね。2年目に、私が元々演劇をしていた事が知られて(隠していた訳じゃなかったんですが)、演劇部の顧問になりました。なった以上は、自分の好きな事やから頑張りたい、と。
__ 
ありがとうございます。顧問になってからは。
鍵山 
しばらくは既成台本でやっていて、何年目かにちょっとずつ賞を貰えるようになって。初めて地区を突破したのが、四方さんが高3の時に書いた作品だったかな。その後、古野君がいた時に近畿大会に初めて出場しました。近畿で3位になって、春秋座に招かれたんです。そのときはワケ分かってなくて、みんなで「ふうん・・・?」って感じでした。今は、もう一度春秋座に行きたくて行きたくてしょうがないです。去年、7年振りに行きました。
__ 
近畿大会には何回出場しているんですか?
鍵山 
5回目です。
__ 
強豪ですね!

演劇と教育

__ 
学校教育のみならず、学ぶ事って、自分から何かを考えたり分析したりして得た知見こそが身に着くじゃないですか。ただ聞いているだけでは、それは力としてはあんまり意味が無いんじゃないかと思うんです。そこでの教師の役割は、学ぶ楽しさを教える事じゃないかなと。さて、芝居を学ぶ事で生徒はどんなキッカケを手に入れる事が出来るのでしょうか。
鍵山 
漠然とした言い方をすると、先生の立場からすると演劇という活動自体、とても教育的な活動やなと思うんです。全てが含まれているんですよ。
__ 
というと。
鍵山 
先週まで研修で行っていたオーストラリアでは、演劇は高校の必修の授業なんですよね。美術・音楽・演劇。その演劇の授業に、連れていった中学3年生を参加させたんです。
__ 
なるほど。
鍵山 
言葉の壁があるからさらに痛感したんですが、正しい意味でのコミュニケーションを取らないと演劇の作業は出来ないんですね。作品を一つ作り上げようと思ったら、「ただの個人の集まり」から「一つの集団」にならないと、その集団の中で協力し合わないといけない。難しいのは、体育会系的・中央集権的に集団をまとめあげるやり方もあるけど、それがいつも上手くいくわけではない。
__ 
グループ内でのコミュニケーション。
鍵山 
それからまた、作品を通してお客さんに言いたいことを伝える為には、台本を元に全員が意見交換をしないといけない。そういう勉強にもなるんですね。文化系の活動って(なんでもそうですけど)勝ち負けはつけられないんですよね。評価に絶対はないので。そういう、答えのない事に学校現場で挑めるって、他には中々無いなと思うんです。
__ 
集団で何か一つを作るって、結構無いですよね。
鍵山 
そうそう、教育現場にはピッタリだと思うんです。そういう事を意外と日本の学校では理解されていないんじゃないかな。もちろん文化祭でもやったりするんですけど。
__ 
あ、文化祭でもクラス演劇をするんですね。
鍵山 
中三・高三の担任になったときは文化祭でクラスの演劇をやるんです。自分が担任になったからには絶対優勝させたくて。で、クラスで演劇を作ろうとなると、演劇部とは違ってやる気のない子も当然いるし、男子と女子の意見が思いっきり対立したり。しょっちゅう喧嘩になるんです。それがまた面白いんですよね、きたきた、みたいな。

生徒の力の引き出し方

__ 
生徒との関係で何か、気を付けている事はありますか?どこまでアドバイスするか、とか。
鍵山 
活発な演劇部の顧問の先生方って、結構みなさん、ご自分でリーダーシップを取るんじゃないかと思うんですが、私はあんまりそういうタイプじゃなくて。何だろう・・・ていうかむしろ、ちょっとセンスの良い高校生やったら、彼らの方が演劇のセンスはいいので。もちろん私は指導する立場に立つんですが、でも生徒が「こういう風にしたい」と言ってきたら、「それよりもこっちの方が良い」と言うほど自信はないので。基本はやっぱり、生徒に全部持ってこさせられるといいなあと思っています。
__ 
生徒のアイデアを大事にする。
鍵山 
その上で、この13年やってきて自分なりの方法論が見えてきたのかな。もちろんその時その時で生徒も違うからやり方は変わるんですけどね、四方さんとか古野くん、岡本くんみたいな、リーダーシップを持つ子が出てきたりするので。私がやるのは、事務的なことや生徒の話し合いの場を設けること。
__ 
全てではないけれども、自主的な感じですね。そして、生徒が考えてきた事を、そのまま採用する訳じゃないけれど、基本的には受け入れる。すばらしい。
鍵山 
生徒だけで話合いをさせると、やっぱり大人ではないので、ちょっと傷付け合ったりだとか、発言力の大きな子が前に立っちゃったりして、目立たない子がすごく良い事を言ってるのに流されちゃったりする事もあって。でも、今のメンバーは凄く良いんですよ。全員の良さを引きだそうと意識的で。偉いなあと思うんです。年を追う毎に、揉めたとしても上手に解決する事が出来るようになってきている気がする。どこか、伝統というのが出来てきたのかもしれない。
__ 
伝統とは。
鍵山 
ウチは中高一貫で一緒に活動しているんですが、中学生はいやでも高校生を見て育つので。高校生は中学生相手だとめちゃくちゃ優しいんですね。あと。OBがこうやって続けてると、例えば古野君とか、代が重なっていなくても見に来てくれるというのが嬉しいですね。近衛君も自分のところの劇にウチから出してくれたりして、繋がりを作ってくれて。続けてる子はそれぞれの別の場所で頑張っているけど、お互いに繋がりがある。
__ 
段々と、歴史が出来てきているんですね。

出たい子全員出す

鍵山 
演劇をクラブ活動としてやっていて面白いのは、体育会系のクラブは身体的な能力で決まる部分が大きいけど、演劇はどんだけ頑張っても発声は上手くならないし動きは汚い、へたくそ・・・でも輝く役者っているじゃないですか。それが面白いなと思うんです。そういう意味では、演劇てどんな子でも輝けるんですよね。ウチのポリシーは、全員、やりたい事をやらすんです。すごい強豪校だと役者を選抜させるけど、ウチは20人舞台に出たかったら20人全員を出す。
__ 
おお。
鍵山 
どうしようと悩んだ時期もあったんですけど、勝つ事は目的ではないので。もちろん、勝ったら沢山の場所に行けますけれども。遠征がめちゃくちゃ楽しくて。香川にみんなで出かけて行ったり出来るんですよ。全員で。

遠征する演劇部

鍵山 
近畿大会で一位になると、翌年の夏の全国大会に行けるんですよね。二位は同じ学年のメンバーで春の全国大会に行ける。評価としては一位というのは嬉しいんですけど、3年のメンバーの最後を飾れるというのは嬉しくて(ウチは大学へはエスカレート式で上がれるので、大学受験で時間を取られる子も少なくて)。舞台に立ちたい子を出して、なおかつ、お客さんに楽しんでもらう事がクラブの目標なんですね。
__ 
お客さんに楽しんでもらう事。
鍵山 
このメンバーで、この作品で楽しんでもらうにはどうすればいいのかを延々と話し合う。今作っている作品が評価してもらえるかは分からないですが、もし次がなくなったら巡業しようかと言っています。巡業はしてみたいですね。ほんまに遠いところに行ってみたい。

生徒が作る演劇部

__ 
生徒が作る演劇部なんですね。
鍵山 
基本的には中学と高校で分かれているんですが、一緒に作品を作る時もあるし、でも今は人数が増えてきちゃって、合わせて40人ぐらいになってきちゃったんです。一緒に何か出来るのは合宿ですね。
__ 
合宿!
鍵山 
5つか6つぐらいのチームに分かれて三泊四日の合宿でそれぞれ一つの作品を作るんだけど、その時に仲良くなってくれるのかな。中1から高3までの子が一緒に作るんです。私、合宿が好きすぎて、学校で決まっている合宿の限度日数を全部使っちゃうんですよ。
__ 
生徒にとっても楽しみ?
鍵山 
生徒も楽しんでいると思います。

鍵山先生のオーダー

__ 
先生としてクラブの話し合いで指導するのは、例えばどんな時ですか?
鍵山 
これはさっき言いましたけど、意見が出た時に、先生がちゃんとフォローしてあげないと消えてしまう事があるんですね。それから、技術的な事。まあそれもOBの子に指導してもらったりすることが多くなってきたけど。
__ 
なるほど。
鍵山 
でも結局私、自分で夢中になりすぎて生徒に無茶を言っちゃうんですよね。生徒から出てきた意見をもちろん大事にしたいと思っているんだけど、でもこの衣裳が欲しいとか舞台セットが欲しいとか、いついつまでに欲しいとか言っても、「えー!」と言いながらちゃんと用意してくれるんですよね。申し訳ない。
__ 
それは、鍵山先生のオーダーが面白いからですよね。楽しそうで何よりです。

質問 DanieLonelyから 鍵山 千尋さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、DanieLonelyの4人から質問です。「夢は何ですか?」
鍵山 
具体的過ぎてアレですけど、中学演劇の環境が整えられたらいいなあと思います。高校演劇は体制が整っているんですけど、中学はまだまだなんですよね。今は京都の事務局長をしていますが、特に何もしていないし。あとは巡業かなあ。ものすごく遠くの高校演劇部と一緒に作品を作ってみたいんです。
__ 
ありがとうございます。次の質問です。「自分でも演劇をやりたい、そんな気分になったりしませんか?」
鍵山 
自分が舞台に立ちたいとは思わないんですけど、繋がりの場を設けたいと思ったんですよね。だから豆企画を立ち上げたんです。

そういう瞬間に立ち会えること

__ 
実は私も高校演劇をやっていて。当時の仲間と出会えて良かったなと思っています。高校演劇で何かを一緒に作ることの良さというのは、関わった人は絶対に分かるというか。
鍵山 
生徒と関わっていて本当に良かったなと思うのは、私自身は学校で演劇をした事が無かったので、その達成感や思い出をこの歳になって体験出来たという事。それはとても貴重だと思います。毎年必ず、どこかのタイミングで「ここは!」という場面があるんですよ。大会の直前のミーティングの時や、現地で野外稽古してたら近くで働いていたおじさんに声を掛けられた時、合宿の時とか。先生としてそういう貴重な瞬間に立ち会えるんですよ。おいしい思いをしていると思います。
__ 
すばらしい。
鍵山 
あ、もちろん、同じくらい中学のクラス担任も面白いですよ!今日全然そのことは話して無かったですけど。

新パターン!

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
鍵山 
ちょっと今回、近衛君に関わってもらった事で、自分がこれまで築いてきたパターンに変化を与えられたんですね。生徒への関わり方や、作品の造り方を、もっとこんな事も出来るんじゃないか、別の角度を自分にもたらすことが出来たと思うんで。近衛君はそのあたりものすごくしっかりしていたんですよ。
__ 
手法が体制になる前に、変化を与えることが出来た。
鍵山 
それと、新しいことにも挑戦出来るんです。来年1月、3つの高校と合同公演をするんです。ケッペキの後輩が顧問している演劇部と。そういう、今までちょっと手を出さなかったところに手を出したら、生徒も嫌でも視界が広がるんじゃないかなと思うんです。
__ 
なるほど。
鍵山 
去年も多くのホールで上演できたことで関係が広がったんですよね。そういう、得な繋がりをもっと作れたらと思います。