地元に帰りたくなってきた

__ 
あえて伺いたいんですが、お客さんにどう感じてもらいたいですか?
永見 
見終わった後、もし地元に帰る時、「やっぱり地元はいいなあ」「昔からの仲間はやっぱりいいなあ」と思ってもらいたいなあ。
__ 
いかがですか。
濱本 
そうですね。
神藤 
(笑う)むちゃくちゃやで。
永見 
でも、常に、誰かの一生での一番を作りたいと思っています。一度しか見てなくても、その後の人生で何となく覚えていて、ふとした時に「ああ、あの劇団なんやったっけ」でもいいです。僕らの芝居だけじゃなくて、お客さんの個人的な状況とかが奇跡的に合致したら、そういう奇跡が起きるんじゃないかと思うんですよね。
__ 
「お芝居は年末にDanieLonelyしか見ない」なんてお客さんもいるかもしれませんね。
神藤 
温かい気持ちになってほしいというのはあるんですけど。僕結構、泣かせる場面じゃないのに泣いてしまう事があって。不思議と、キュッとなってしまうんですよね。
__ 
引っかかるはずのないところに引っかかる。
濱本 
僕は、羨ましいなと言われるのは凄く嬉しいですね。このメンバーがいる、と言われたり。面白かったです、より嬉しい。

側道のDanieLonely

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?あ、攻めるというのはF1で言う、インを攻めるという意味で。
永見 
それは、アウトを攻めるというのはあるんでしょうか?
__ 
あ、知らないです。F1詳しくないので。
永見 
(笑う)ずっと側道を歩いていくみたいな。メインの方をずっと、羨ましいなと思いながらずっと側道を歩いて行く。
神藤 
国道があって、その横に、1車線の道がある。高速道路の脇にある、ルート66の割とショボめの道があるんです。
永見 
そこを歩いて行く感じかな。
加藤 
車で行くのではなく。
永見 
国道いいなあ、と思いながら、歩いて。軽やかさが欲しいんです。

うどんや風一夜薬の生姜湯(辛口)

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントを持ってまいりました。どうぞ。
永見 
えー。これは凄い。生姜、めちゃくちゃ好きですから。
加藤 
どれぐらい好きなんですか。
永見 
なんでも入れる。お味噌汁にも入れますから。
神藤 
これ、甘いものなんですか?
__ 
それは結構辛口です。風邪にはお気をつけて。

滞在製作/土地によって違っていること

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
つい2週間前までiakuの「Walk in closet」に出演していて、その伊丹・東京公演が終わりました。大阪に戻ってきてからは本公演の準備をして、来週からは三重で滞在制作をします。大忙しです。
__ 
匿名劇壇の次回公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」、もうじきですね。脚本はもう書けている状態ですか?
福谷 
8割書けています。ホンマは全部書けてないとあかんのですけど。明日明後日で完成させたいと思っています。
__ 
三重で仕上げるという感じですね。もう日にちもないし、突貫と言えば突貫ですね。
福谷 
そうですね。ただ、滞在稽古となるとほぼ一日を稽古に使えるんですよ。いつもの稽古って夜2・3時間ぐらいしか稽古出来ないのに。仕事感覚で9時5時でやれるので、なかなかの稽古量になると思います。
__ 
滞在となると、滞在先で感じる価値観の違いであるとか、そういうものもあるかもしれませんね。
福谷 
僕もその辺りは楽しみです。以前壁ノ花団に出演させてもらった時、東京公演をやらせてもらって、そしてiakuでも東京公演をさせてもらったんです。その時に、同じ日本なのに価値観の違いを感じたんです。
__ 
大阪・東京間の価値観の違い。
福谷 
例えばiakuでは全編関西弁だったんですけど、関西弁に対する感じ方の違いが明らかに違う。東京の方が、関西弁を明らかに面白げに聞いていて。「ひょうきんな話をしている」って明らかに感じているんですよ。
__ 
関西弁の受け取り方は地方によって確かに違ってますよね。「悪い癖」は関西弁でしたっけ?
福谷 
あれは標準語です。でも、話はズレますが、標準語という言葉って無いという事に気付きまして。東京のお芝居は標準語ではなく東京弁なんですよね。東京の人がよく使う喋り方。逆に壁ノ花団で使われているのは無国籍語。本当はああいうのを標準語って言うんだなあと思いました。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の学生らで結成。学内にて「HYBRID ITEM」を上演。卒業後も継続的に大阪で活動。現在の劇団員は9名。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。自分たちの身近にある出来事を、自分たちをモデルにしたキャラクターを登場させながら、自己言及的な台詞を吐かせつつ、客観的でスマートなエンターテイメント作品に仕立て上げる。ポストドラマ的な表現方法を取りながらも、非常に分かりやすい作品になっていることが特徴。疾走感のある演出で、共感のしやすい物語を、メタフィクション的な多重構造で描く。同世代から強い支持を受けている。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。2014年、芸創セレクション+参加。2015年、AI・HALL 次世代応援企画 break a leg 参加。(公式サイトより)
匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」
作・演出:福谷圭祐
【あらすじ】
出会うはずのない二人だったから、始まるはずのない恋だった。
事実、それは始まったとは言いがたく。
思春期特有の思い込みといえばそれまでだし、
そもそも二人はお互いの顔すら知らなかった。
まるで比喩みたいな壁がそこにあって、
とても具体的に二人を分けていた。
二人はただ、壁越しに会話して、強く会いたいと思うようになった。
会えるはずもないのに。
きっと、この恋は終わらない。
だって、始まってないわけだから。
【出演】
石畑達哉、佐々木誠、芝原里佳、東千紗都、杉原公輔、福谷圭祐、松原由希子、吉本藍子
【上演時間】約110分(予定)
【三重公演(Mゲキ→ネクスト2015)】
日時:
2015年12月12日(土)14:00/19:00
12月13日(日)15:00
チケット:一般 2,000円 25歳以下 1,000円
会場:三重県総合文化センター 三重県文化会館 小ホール
【大阪公演】
日時:
2015年12月25日(金)19:30
26日(土)15:00/19:00
27日(日)13:00/17:00
チケット:
【前売】一般3,000円/学生2,500円/ペア割5,600円
【予約】一般3,300円/学生2,500円
【当日】一般3,500円/学生2,800円 会場:HEP HALL

iaku「Walk in closet」

__ 
まずは、iakuの「Walk in closet」について。福谷さんが演じた、主人公の男の子がアルバイトをしているカフェのオーナー。彼自身は同性愛者でありながら、そうした話題において一歩引いた立場で冷静な言動をしていましたね。「周囲に常に性的志向をカミングアウトする事は、果たして本当に周囲を幸福にするのかどうか、一度止まって考える」・・・というような。この作品はセクシュアリティがテーマでしたが、その中で評論という立場を持った役割だったんじゃないかなと思います。ご自身としては、何かそういう立場として意識する事はありましたか?
福谷 
少し違うのかなと思います。批評をもたらすというのは物語の構造上の話でしたので。というのは、「私の演じる役柄はこの物語においてこういう役どころである」そういう考え方からその「批評性」は出てくると思うですけど、上田一軒さんの演出はそういう事を一切考えない。例えば「ここはこういうシーンだからこういう風にして」とかではなく、あくまでそういう役割は考えず「その役としてここにいる」。というやり方でした。
__ 
なるほど。
福谷 
僕自身も、お客さんからの感想としては「イライラした」とか、「余計な事を言ってムカつかせるお芝居だった」というのが多かったんですが、僕を含め役者は全員、自分がイライラさせているとか間違った事を言っているとは思ってないですよ。みんな、「これがベストだ」と、良かれと思って言っているんです。「イライラした」という感想は、自分に宛てられたものではない、と思っている。そのバランスがいいんじゃないかなあと思います。
__ 
良かれと思って、というのはつまり、他人・周囲全てに対して。共同体の一員として自覚と責任を以っての言動なんですね。もちろん、福谷さんの演じたカフェのオーナーも。
福谷 
横山さんの脚本は当て書きですので、努めて僕であろうとしていました。
__ 
ザ・福谷でしたね。
福谷 
あれでもまだいい子ちゃんぶってる言われましたけどね。
__ 
なるほど。どんな経験でしたか。
福谷 
ものすごい、これからの作品づくりに対して影響を受けてしまう作品でした。事実影響を受けてて、今自分の作っている作品にしても、これまであんまり言わなかった事とか言うんですよ。実はこれまで、役の気持ちの検証とかあんまりしてこなかったんです。「そんなんいいからこんな感じで言って」とか「このぐらい間を取って言って」みたいな。「walk in closet」を終えた今、何故この間は生まれるのか・こう思って言ったら変わるんじゃない、みたいな。そっちの方が役者として作業しやすいんですね、やってみて気付きました。完全にいま、そういう風に作っています。
__ 
役作りですね。そこに今触れている。
福谷 
そうですね。今まではキャラクターを記号的に扱っていたんですけど、人って記号じゃないなと。
iaku
大阪の劇作家・演出家、横山拓也が立ち上げた演劇ユニット。各地域でオリジナル作品を発表しつつ、各地の演劇(作品および情報等)を関西に呼び込む橋渡し役になることを指針に、2012年から活動を開始。アンタッチャブルな設定を敷きながら、現代社会・市井の人にコミットする関西弁会話劇を持ち味に、今の大阪の演劇の形のひとつを届けられる存在になりたいと考えています。(こりっちより)
iaku「Walk in closet」
公演時期:2015/11/13~16(兵庫)、2015/11/20~22(東京)。会場:アイホール(兵庫)、吉祥寺シアター(東京)。

匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」

__ 
「プレゼントタイム・ハローグッバイ」。どんなお話になりそうでしょうか。
福谷 
僕はいままで、割と劇団内部の話とかを扱ってきたんですけど、今回は全然そうじゃなくて。僕はファンタジーだと称しています。全然違うかもしれませんが。
__ 
ファンタジー?
福谷 
舞台はとある島国で、真ん中に巨大な壁があるんです。2つに分かれて人々が住んでいる。人々が生まれる前からずっとその壁は存在していて、だからそれを壁とは認識出来ていないんですね。地球が丸いとかそういう概念も無い世界なので。あまつさえ、壁の向こう側に世界があるなんて発想すら出来ない。地面の向こう側なんて本来思いもしないじゃないですか。今は科学があるから想像は出来ますが。でもある日、それぞれに少年と少女が壁際で互いの声を聞く。向こう側という世界が実は存在している事に気付く。調べていくと、どうも互いの存在が隠蔽されていた。国家的な戦略で。アレが壁であるという事、向こう側があるという事実が隠されていたんですね。でも向こう側を知りたいという純粋な気持ちは国の思惑とは全然関係ないじゃないか。というお話です。
__ 
当たり前過ぎて意識すら出来ない壁の存在。
福谷 
難しいですけどね。まず壁の概念が無いので、それを表す言葉も無いんですよ。だからその問題を扱えなくなる。今、そこに悩んでいます。
__ 
認識の話なんですね。現代は科学が発展しているから色々な事が分かりますけど、まだ発見されていない概念も当然ある。(「まだ発見されていない存在」という概念を知っているのは科学のおかげですけど。)科学が無ければ、そんな知覚も出来ない概念の向こう側なんて思い付きもしない。
福谷 
知覚出来ない事を話題にしようがない。
__ 
その世界の人々は壁すら知覚出来ない・・・その上で向こう側から声が聞こえてきたら、その瞬間発狂するんじゃないかなと思いました。
福谷 
ああ、そうですね。とても驚く。
__ 
もっと言うなら、その時点で壁の向こう側に行ってしまうのと同じ事かもしれない。
福谷 
演劇的にも面白い試みをしていて、登場人物は全員壁毎に一人二役で演じているんですよ。そうすると、「出会えない二人」という物語にも関わらず、舞台上では出会っているんですね。そのあたりの面白さを演出出来たらと思います。

伝わらない気持ち

__ 
まあ誰しも個人的な事で悩んでいたりするんですよ。自分一人だけの世界じゃないから、思い通りに進む事なんて皆無に等しい。誰も自分の思った通りに動いてはくれないし、そもそも、あらゆる出会いは選べませんからね。
福谷 
そうですね。
__ 
「結局は、何が重要なのか?」という事を聞こうと思っています。「プレゼントタイム・ハローグッバイ」で、何を描こうとしている?恋愛という話ではなさそうですが。
福谷 
上手く喋れるかな・・・そもそもの発端が、初めてのツアー公演という事で。三重県、そんなに離れてはいないとは言え近くはないじゃないですか。にも関わらず僕は三重の事を何もしらない。三重の演劇事情も全然知らない。例えば、同じ関西として「なんでやねん」という言葉はあるんですが、大阪でのそれと三重でのそれは感覚が全然違うんですよ。同じ大阪府でも、河内長野と岸和田の人間の「なんでやねん」「あほかおまえ」の感覚は全然違うんですよ。
__ 
あー。
福谷 
もっと言うと、僕とあなたの使う「なんでやねん」の感覚は絶対に違うものなんですよ。似ていたとしても違う。だから、どうやったとしてもお互いの感覚なんて分からないですよね。というか、自分の中でも善悪の気持ちって同居してるじゃないですか。相容れない気持ちは2つあって、相容れないながらもお互い語りあって折衷案を探していく。その感覚というのを具体的な壁に置き換えて、お互いの分からなさ・伝わらなさ、でも自分の事を伝えたい、自分が相手の事をどれだけ好きかという事を伝えてあげたいという気持ち。それが好きな人じゃなかったとしても、僕にどんな景色が見えているのかを伝えてあげたい気持ち。それこそが、例えば男同士だったとしてもほとんど恋じゃないかと思いまして。その気持ちが核です。
__ 
ありがとうございます。
福谷 
オレがどんだけ好きか、という気持ちを見せてあげたいでしょう、でも見せられないですよね。

会話

__ 
私ももちろん、コミュニケーションでは苦労していて。悪意は無いけれども、聞いてはいけない事を聞いてしまったり。それはまあ相手の事を考えていないからそんな事になるんですけどね、きっと。だから慮る。でもそればかりだとつまらなくなっていくから工夫をする。きっとバランスが大切なんですよね・・・って、そのバランスというのも厄介な感覚で、バランスを取り続けるのはきっとものすごく難しい。ていうか何か、バランスというところに着地するのがまた芸がない気がする。まあどうでもいいんだけど、コミュニケーションはずっと悩み事なんですよ。福谷さんは?
福谷 
そうですね、以前からそうした悩みは明確でした。コミュニケーションを取ろうとするのは危険を伴う。それは今回の作品でも現れているんですよ。この世界の壁際はすごく危険なんですよね。警備されていて、不用意に近づくと撃たれたりする。
__ 
なるほど。
福谷 
これって会話とも似ているじゃないですか。今回の作品には、劇団として今後どうしたいのかというのが如実に現れていて。舞台と客席の間の「第四の壁」って良く言いますよね。今の僕らが考えている事を客席に投げかけて、お客さんからもレスポンスが来る。そんな、作品を通した会話がしたいと思うんですよね。そういう事がやりたいんだな、って今回気付きました。
__ 
前回公演「悪い癖」の時、何だかそういう事を感じましたよ。メタフィクションの構造自体が、なんだか気持ちの表現になっているんじゃないかな、と思った。訳分かんないし回りくどいし捻くれているけど、伝えようとする気持ちの強さが伝わった。匿名劇壇も何だか変わってきているなあちょっとだけ思ったんですよ。対話がしたい?
福谷 
そうですね。一方的な発信だけじゃダメだなと。
__ 
フラッシュフィクションは一方的な発信だったかもしれませんね。
福谷 
そうですね。あれはあれで楽しいから今後もやろうと思っているんですけど。

質問 今村 達紀さんから 福谷 圭祐さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、今村達紀さんから質問を頂いてきております。「役者に、作品のどアタマからMAXのテンションを持ってきてもらう時、どういう声を掛けたりしますか?」
福谷 
基本的に、MAXのテンションから始まるお芝居は作らないです。フラッシュフィクションも、前説から芝居を始めているので。長編も、なだらかに上がっていくようにしています。
__ 
なるほど。では、毎回どんな声を掛けていますか?テンション云々の話はおいといて。
福谷 
結構当たり前の事しか言ってなくて。「ケガをしないように」とか「本番だからってテンション上がらないように、今まで稽古でやってきた事を思い出して、でもその通りにやろうともしなくて良い」。
__ 
おおっ!
福谷 
基本的に、稽古でやったことがない事はしないほうが良いと思ってるんですよ。でも、それを抑えようとしなくても良い。もしそれがふと飛び出そうだったら、それは飛び出しても良い。ただ、ケガしないように。そう言っておくと、丁度良い感覚になる気がします。稽古通りにやろうとしすぎると、枷になるじゃないですか。
__ 
まさに中間を探るというところですね。
福谷 
そうですね。

この町もいつか砂漠

__ 
壁で区切られた世界、を今回は描くという事で。それを聞いてちょっと考えたんですけど。その世界の逆は何かと言うと、人間同士の壁がなく、いつでもどこにでもアクセスし、モノでもカネでも共有するという世界になるんじゃないかなと思うんです。古典的な未来のディストピア像そのものじゃないですか。例えばパソコン様に管理されて、平和だから敵がいなくて、生命として地球のライフサイクルから外れてしまい、精神がゆっくりと発狂していくみたいな。福谷さんはどんな未来になっていくと思いますか?
福谷 
さっきの質問じゃないですけど、肉体の有用性はどんどん無くなっていくと思いますよ。僕エヴァンゲリオン好きなんですけど、今回はエヴァンゲリオンをやりたいと言っちゃってて。あれは、「他者と分かり合えないのは肉体という壁があるからだ」という話で、肉体を失くすためにLCLという液体になってみんなで一つになったらええやん、という。それはまあアホみたいなファンタジーだとして、でも未来、自分をデータに変換して保存出来たら、みんな、空間にぷかぷか浮いているような未来になるんじゃないかと思うんですよね。
__ 
極端ですね。そうなったら良いと思いますか?
福谷 
まあ割りとそういうの、全然恐れないタイプなんで。
__ 
そうなったら介護問題解決するなあ。
福谷 
そうですね。
__ 
ああ、でもどうなんだろう。人間のエゴはそうなっても消えないんじゃないですか?
福谷 
いや、僕はエゴはまやかしだと思ってるんですよ。ホンマはそんなもの無くて、あんまり勉強してないですけど哲学では自由意志というものがあって、例えば目の前にコップと灰皿があって、どちらかを選ぶとして、僕はいまどちらも選べる。もしコップを選んだとしたら、その理由は「珈琲を飲みたかったから」。でもその理由を突き詰めていくと最後には「なんとなく」になるんです。行動に確固たる裏付けはない、自由意志はないという。それに凄く感銘を受けていて、全部なんとなくなんですよ。自分で決めている訳では無いんですよ。
__ 
愛もない。ちゃんとした意味での諸行無常ですね。
福谷 
本来無いものに振り回されるのはやめようぜ、と思っています。
__ 
なるほど。ありがとうございます。では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
福谷 
色んな場所で上演したいと考えています。さっきの話に繋がりますけど、場所というものの有用性もだんだんと無くなっていくと思うんですよ。100年後とかになったら大阪も兵庫も無くなるんじゃないか。でもまだ、今はそうはなっていない。その土地の柄に合った人が住んでいる。今のうちに、色んな場所でやりたいなと思っています。
__ 
でも100年後には全部同じ?
福谷 
全部平均ですよ。やっぱりちょっとディストピアチックだとは思います。

認印

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
福谷 
ありがとうございます。いつも。
__ 
どうぞ。でも全然大したものではないです。ただ、さっきまでの話と完全な真逆のものです。
福谷 
真逆?(開ける)ほおほおほお。ハンコですか。もらっといてアレですけど、こんなもんは一刻も早く無くなって欲しいと思っています。
__ 
ねえ。
福谷 
何で日本はハンコ文化なんでしょうね。これでオレの何が識別できんねん。

「ひとよ」と「わが星」

__ 
またちょっと、別の質問をさせて頂ければと思います。芝居を始めた頃にご覧になった、衝撃を受けた作品を教えて下さい。映画でもなんでも結構です。
平嶋 
衝撃を受けた作品は、KAKUTAの「ひとよ」ですね。ものすごく面白かったんです・・・はじめて演劇の同じ作品を2回みました。あんなに登場人物、人間というものが愛しくなるような作品にはじめて出会いました。同時期にままごとの「わが星」の再演をみて、なんだこれはー!ってなりました、歌っておどって、ずっと音楽がかかってる。ドラマとポストドラマ、どっちもおもしろい。演劇ってなんでもあると、衝撃をうけました。高校生のときはあんまりお金がないのでそんなに観劇できなかったのですが、大学生になってその二つをみてからはいっきに観劇数か増えました。今は北九州高校生割りが多くて、北九州芸術劇場なんか小劇場1000円、中劇場大ホールのお芝居1500円でみれるんです。そういう意味でも高校生に戻りたいかも。わが星はやっぱり好きです、再々演も東京にみに行きました。また同じ時期に「ひとよ」も再演していてのでハシゴで。
__ 
そうなんですね。「わが星」はいいですよね。

北九州で一番クセになる

__ 
ブルーエゴナクではどんな演技が出来るようになりたいですか?
平嶋 
ブルーエゴナクでは思い切りのよい演技ができるようになりたいです。本当にいろんな役を固定せずにいただけるので毎回物怖じせずチャレンジしていくことが課題です。
__ 
ありがとうございます。とても楽しみにしています!では、ブルーエゴナクをご覧になったお客さん、どう思ってもらいたい等はありますか?
平嶋 
そうですね・・・京都にははじめて本公演としていくのでやっぱり「北九州になんかいるぞ!?」ってはなってほしい。北九州で一番クセになる劇団を自負しているんですが、それを京都にひろめたい。クセになって北九州にみにきちゃうくらい。
__ 
クセになる劇団。いいですよね。北九州にまでいければなと思っています。

ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします!最近、平嶋さんはどんな感じでしょう。どんな事でもどうぞ。
平嶋 
よろしくお願いします!今は、すごく忙しいです。私は今年の2月にブルーエゴナクに入団したのですが、いままでフリーだったので劇団の作業をしなくてよかったのですが(というとなんだか言い方が悪いですが・・・)、俳優をしながらいろんな作業をこなすのにそもそも慣れてなくて、しかもブルーエゴナクって1年中ずーっと演劇やってるんですよ。だからもう大変で。最近はそれにもちょっと慣れてきました。
__ 
お忙しいんですね!何よりです。ちなみに、稽古はすでに始まっている感じでしょうか?
平嶋 
稽古はまだ始まっていません。昨日から三日間、主宰の穴迫が北九州モノレールの中で公演をしていて、劇団員もそれを手伝っています。なので再来週から稽古がはじまる予定です。
ブルーエゴナク
2012年、福岡県北九州市にて旗揚げ。2013年1月に団体名から「劇団」を取り、現在の名称になる。同年5月、第五回公演「サヴァリーナトロメイド」では九州の二県三都市を巡る初めてのツアー公演を行い450人を動員した。2014年、第8回福岡演劇フェスティバルの公募枠作品として、「交互に光る動物」を西鉄ホールで発表。その後、枝光本町商店街アイアンシアターにて公演。2014年8月 初の関東圏での公演を開催日常と事件の狭間でただひたすらに生きることを諦めない作風が特徴。(公式サイトより)
ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」
毎日会える人に毎日は会えない
こっから行って
あそこに帰る
毎日辿る すると定まる
定まらないことばかりを辿る
辿る前に まずその道に立つ
また同じ景色の中で待つ
誰かがくるまで何かをし
数えるまでもないやりなおし
again

会場:アトリエ劇研
日程:
2015年
12月25日(金) 19:00
12月26日(土) 15:00 / 19:00
12月27日(日) 11:00 / 15:00
チケット:
一般 2,500円
U-23 2,000円
(当日500円増し)
高校生以下 当前一律 1,000円 作・演出 穴迫信一 出演:
高山実花(モンブラン部) 高野桂子 田島宏人(演劇ユニットそめごころ) 脇内圭介(飛ぶ劇場) 平嶋恵璃香(ブルーエゴナク) 穴迫信一(ブルーエゴナク)

「やりなおし演劇」って?

__ 
早速ですが、「AGAIN」について伺っていければと存じます。まず、チラシのインパクトが凄いですね。このチラシの女性が平嶋さんなんでしたっけ?
平嶋 
ありがとうございます!そうです、その金髪の人が私です。
__ 
素晴らしい。初めてチラシを見た時、思わず手にとってしまいました。
平嶋 
チラシはかなり悩みながら作ったのでそう言っていただけると嬉しいです!
__ 
さて、キャッチコピーに「やりなおし演劇」とありますが、どんな作品なのでしょうか。
平嶋 
作品については私はまだ詳しいことはわかりません。ただタイトルにあるように、なにかをやりなおす、それによってなにが見えてくるのか・・・そう言った演出手法を用いた作品になるのではないか、と思います。
__ 
なるほど。ちなみに平嶋さんは、人生をやり直すとしたらいつからが良いと思いますか?
・必ず、どこかからやり直さないといけない前提でお答えください。 ・記憶や思考力はそのままです。 ・オプションとして、何か一つの持ち物をもっていけます。 ちなみに私は中学からやり直す、必勝パターンがあります。
平嶋 
えーーっ!(笑う)私は、高校3年生の部活引退後からやり直したいですね。進路をきちんと決めなおしたいです。放送・演劇部だったんですけど部活動はそのときがベストだと思うのでやり直したくはないです。ただ進路をどうにかしたい!私四年制大学に進学したんですがその大学が合わなくて結局通信制の大学に編入したんですよ、だからもったいなかったなーっとずっと思っていて、もう一度やり直せるならそこからがいいです。
__ 
なるほど。何か持ち物を持っていくとしたら?私の場合は10年程度の競馬の記録メモ。
平嶋 
競馬のメモいいですね!バックトゥーザフューチャーみたい。私がもっていくなら、うーん、手帳かな・・・手帳にいろいろ書いているので、劇団のことや読んだ演劇の本のこと、見に行った公演のこと、・・・そこにこっそりLoto6とかの番号控えとこうかな(笑)

人間の気持ち悪さをやらせたらピカイチ

__ 
平嶋さんが演劇をはじめた経緯を教えていただけますでしょうか。
平嶋 
はい。演劇をはじめたきっかけは、高校の部活動からです。先輩たちが楽しそうに演劇をしているのを見て入部しました。それと私すごいあがり症だったのでそれも治したくて。人前でしゃべったりするタイプじゃなかったので、高校デビューという感じです。
__ 
ブルーエゴナクに入団したキッカケも伺えればと思います。
平嶋 
ブルーエゴナクには、フリーのときになんどか客演として呼んで頂いていて。そのときはどこかに所属する気は全く無かったんですが、去年の暮れごろからこのまま演劇を続けるのならどこか劇団に一度入った方がいいのではないか、という気持ちが自分のなかで生まれて。じゃあどこに入る? となったときに、やっぱり年に1回くらいで活動しているところじゃ物足りなくて、北九州で一番ガツガツしていて、かつ北九州以外のツアーも考えている劇団・・・となるともうブルーエゴナク一択しか無かったんです。もちろん作品も好きだし、参加してみて一緒に今後を作っていきたいと思ったことが大きいです。
__ 
ありがとうございます。では、ブルーエゴナクの魅力を教えていただけますでしょうか。最初に出会った時、何が面白いと思われましたか?
平嶋 
初めて見たのが2013年1月の第四回公演「悪者とオプマジカリアルテクノ」という作品だったんですが5~15分くらいの作品を3時間やるっていう公演で、狭いライブハウスにぎゅうぎゅうになってそれを見たんですが、もう怖い!なにこの劇団!?っていう印象でした。3時間も演劇見たのはそのとき初めてだったし、俳優さんもいままでみた地元の演劇の人たちとなんだか違う、しかもそのショートショートがわけわかんないのばっかなんですけど全部面白いんです、可愛いけど棘がある。そのあと6月に「サヴァリーナトロメイド」という作品(こっちは群像劇でした)を見たんですけど、気持ち悪い!人間の気持ち悪さをやらせたらピカイチじゃないだろうかとおもいました。本当なんだこれは!?っていう新感覚で、新しいを作り出そう、自分たちの面白いを追求しようとしている人たちを見た、といいう感じでした。
__ 
今は?
平嶋 
今はこれに加えて、笑いとせつなさを兼ね備えている作風だとおもいます。エゴナクのお芝居ってあんまりイメージがないって言われるんですが、基本的に上演中笑いが絶えません。ギャグコメディではないですが、真剣にふざけてるんですね、だからお客さんが噴き出しちゃう、そこが楽しいです。今年の6月に「POP!!!!」という作品を上演したのですが、それはもう90分間真顏でふざけ通した作品で、最後まで笑いが絶えなかったのですが、でてきたお客さんからの感想は「せつない」でした。そうそう、これがエゴナクてっ思いました。このギャップが魅力だとおもいます。
__ 
おお!それはいいですね。いつか見れるのが楽しみです!
平嶋 
ぜひ!

聖夜をお楽しみに!

__ 
さて、そろそろお開きにしたいと思うのですが、何か言い忘れた事などはございますか?
平嶋 
言い忘れたこと・・・京都の皆様!クリスマスは空けといてください!!!笑
__ 
承知しました!今回はありがとうございました。

忙しい11月

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、今村さんはどんな感じでしょうか?
今村 
最近で言うと、11月7日にDANCE BOXの企画コンテンポラリーダンス@西日本版にソロで出演して、11月14日に高尾小フェスに出演して。それから11月22日に東向日のセカンドルームというライブハウスで、voodolianさんと一緒にやりました。
__ 
そして、次の出演は12月17日にFOuR DANCERS#41ですね。引っ張りだこですね。
コンテンポラリーダンス@西日本版
公演時期:2015/11/7。会場:Art Theater dB 神戸。
高尾小フェス
公演時期:2015/11/14。会場:旧・高尾小学校。
アトリエ atelier
公演時期:2015/11/22。会場:京都東向日Second Rooms。
FOuR DANCERS#41
公演時期:2015/12/17。会場:UrBANGUILD。

vol.445 今村 達紀

フリー・その他。

2015/春
この人のインタビューページへ
今村

何かやらかしそうな

__ 
いきなりざっくりとした事を伺いたいんですが、今村さんは最近、どんな踊りが気になっていますか?
今村 
これは多分、前からそうだと思うんですけど、次に何をやるのか分からないのが好きです。何かをやらかしそうな、でたらめな状態やダンサーが好きなんですね。
__ 
でたらめをやらかしそうな?
今村 
つい最近の事ですが、芸術センターで上演された「おしもはん」。そこに高齢の男性が出演されていて、その方の演技がやらされている演技ではなく、やりたくてやっている演技だとわかるんですが、異様にでたらめなんですよ。でたらめという言葉がいいかどうかは分からないんですけれども。
__ 
それは・・・厄介な話になっていきますね。
今村 
そうですね。
__ 
「でたらめ」な演技のあり方。俳優の演技って、観客が既に持っている・そしてリアルタイムに更新しているイメージに裏付けられている。だからこそ飛躍が発生すると思うんです。でも、その方の演技は、どこかでかけ離れていっている?
今村 
演技をしているはずなのに、演技をしているかどうか分からなくなるというか、何を目的にしているか分からなくなるのが面白いんです。僕が特に思ったのは、般若心経を読むシーンがあって、書いてあるのを見ているはずなのにどんどん間違えていっている。
__ 
ええ。
今村 
でも本人はそれを別に何も気にしていないというか。そのでたらめ感は凄いなと思っていて。最後に「おかーさーん」と言って去っていくんですけど、きっと本人の中では意味がはっきりあると思うんですが、でたらめにみえる。演出の伴戸さんも、それまで纏っていたまるっとした着ぐるみを脱ぎ捨てて、突然出て行く。
__ 
こちらのリズムやそれまでの理解を無視していかれてしまったような?
今村 
こうなっていくんだろうな、みたいな部分をひっくり返される。もしくは、もう次に何をやるのか分かっているのに、何をやるのか分からない部分を残している。それがどうすれば起こるのかは分からないんですけれど。
__ 
予想を深く裏切られたらそんな「でたらめ」になれるのかもしれませんね。かけ離れる事を彼らが望んでいるかどうかはさておき。しかし、観客側の理解に沿いたいとは元々思っていないのは確実でしょうね。
今村 
お芝居という前提は全くはずさないまま、でも、何をするかは分からない。舞台上にいるという前提があるからこそそのでたらめは成立していると思います。
__ 
うーん。
今村 
話が飛んでしまうんですけど、USJのゾンビって僕は怖くないんですよ。ワーッて驚かしてくるから。でも、そんな中にも一人、何をしてくるか分からない人というのがいたらめちゃくちゃ怖いと思うんですね。この人ルール分かってるのかな?みたいな。みんな若者のゾンビばっかりなのに、一人みるからに普通のおっさんが混じってたらもの凄く怖いですよね。そのでたらめさ。
__ 
落差ですね。
今村 
そんな感じかもしれませんね。
__ 
いやなゾンビですね、それは。役者が重力から解放された時、観客は実はリアルを感じているのかもしれない。その落差が無ければ、自分が見ていた光景を では、パフォーマーとして、そのリアルさの為に何をすれば良いと思われますか?
今村 
これは・・・そうだな、と思う反面、そうじゃないなと思う事もあるんですが。たとえば、本当に困っている人を舞台に上げるということですかね。そこで本当にそうなる。
おしもはん
公演時期:2015/11/24~25。会場:京都芸術センター フリースペース。

vol.445 今村 達紀

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2015/春
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今村

はみ出ているのに飛び出ている

__ 
今村さんのソロって、空間と身体と今村さんの人格、の関係が凄く強く出ているんじゃないかな、と思っていて。空間が激しく動き、次の瞬間は身体が動く。どちらも今村さんの人格の色気が映える。もの凄く映えるんです。
今村 
うーん、どうだろう。でもそうかも。作品にもよりますが、完全に振り付けている訳ではなく、この部分はこういう質感でやろうというふうに決めているところもあります、すると自分の身体の動かし方が出るんですよね。こういうことに気をつけてるとかこういう稽古をしているとか。ということは人格もそのまま出るのかもしれません。空間は大きさにも左右されてて、狭かったら二歩歩いただけで端から端まで行けてしまう。そうすると空間が動いたように見えるのかもしれませんね。
__ 
だからか、踊っている今村さんがそのまま伝わるように思えたんです。
今村 
大野一雄の本に、プレスリーの曲をかけて踊ってみなさいみたいな発言があって、でたらめの限りを尽くさないとプレスリーなんか踊れないでしょう、って。作品そのものから離れず全力で向かっていて枠の中からはみ出てはいないんだけれども、突拍子もないものが出てくる。はみ出ていないのに飛び出ている、みたいな・・・。
__ 
ジャンプ力。

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