正確さの要請、ジャンプの必要

今村 
ちゃんとした凄さっていうのは、でたらめな事が無くても成立させる事が出来ると思うんですよ。正当なテクニックで人を魅了する事が出来る。それにを大事にしつつ、でも今現在それと拮抗しうる力はないわけで、プラスの価値として、その中だけで収まらない(でもあくまで本筋から離れていない)何かが必要なのかなと。
__ 
そのジャンプ力を発揮出来る条件って何でしょうね。私はインプロショーを見るのが好きで、彼らが元々もっている演劇の文脈と、その時にしかないアイデアが合致した時の凄さ、がそのジャンプ力に近いような気がします。
今村 
インプロとは正反対に、演出家がちゃんと全体を作る作品であればジャンプする必要は無いと思うんですね。充分成立しているなら。でも、演出家の姿が見えてないほうが良い作品であれば、ジャンプする必要があると思うんですね。どこからが演出家で、どこまでが出演者の仕事なのか、を見えないようにしたい作品を作りたい場合は、一人ひとりが何をするのか分からない状態を持つべきなんじゃないかな。
__ 
作品自体が、どう成立したいのか。その要請によって違うんですね。
今村 
例えば宝塚歌劇でジャンプされたら困るじゃないですか。きっと。きちんと踊れる、きちんと全て出来る。一方で、野田地図は正確さも求められるけれども、何かしら、はみ出す力が必要なんじゃないかと勝手に思っています。
__ 
飛び越えてくるような野獣性。
今村 
「おしもはん」はジャンプはしていたけれど、そこは演出家もジャンプする事をわかっていたと思うんです。

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2015/春
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今村

バランスについて

__ 
ちょっと質問の方向を変えて。今村さんは、これまでどういう場所で踊ってきたんでしょう。野外等で踊っているイメージがありますが。
今村 
劇場以外ですと、ライブハウスとかバー、路上という事もあるし、教会やお寺、幼稚園とかもありますね。体育館だったりだとか。どんな場所でも踊ります。でも、作品によっては場所を選びますし、どんな場所でも踊れる作品もあります。
__ 
どんな場所でも共通する精神はありますか。
今村 
難しい質問ですが、退屈はさせたくないという思いは必ずどこかにあると思います。でも、退屈というのを何と考えるかは人によって違いますよね。どんな作品でも、退屈する人・しない人は出てくると思うんですよね。そこで作品がブレないようにしていくのは大変だなあ、と。誰でも楽しめるものをと思って作っても、見方は人それぞれですから。でもやっぱり、自分が楽しめる物を作りたいとは思っています。踊っている、というのがわかりやすい作品と、踊っているかどうかわかりにくい作品とあって、その辺りのバランスをどう取っていくかは考えものですね。

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今村

質問 長谷川 直紀さんから 今村 達紀さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、突抜隊の長谷川さんから質問です。どういう観点で作品を作られていますか?
今村 
自分が面白いなあ、と思う事を人に見せられるようにする事。例えば関節を鳴らす作品があるんですけど、ダンスとして見せようとすると難しいよなあと最初は思っていました。だからあれを最初に上演したのはサウンドパフォーマンスプラットフォームという企画で、この作品は踊らなくてもいいと思っていました。その後、コンテンポラリーダンス@西日本版に出したときは、広い意味のダンスにも見えるんじゃないかと思って応募しました。その作品を発表にいい場所を選んでいるかもしれません。FOuR DANCERSでは、一緒にやる人とどんな面白い事ができるかを考えます。照明の魚森さんとご一緒させていただいた時も、ムービング・ヘッドという照明装置を使って何ができるのか考えたりしました。だから、面白いと思った事がダンスでないならば、ダンスにこだわらなくてもいいんじゃないかと思うんですね。

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今村

どう見ていいか分からない?

__ 
今村さんがダンスと出会ったのはどんな経緯があるんでしょうか。
今村 
大学の時に演劇部に入っていて。その演劇部の先輩がキャラメルボックスという劇団にいて、ワークショップをしてくれたんです。その時の会場がダンスのスタジオで。ダンスもやった方がいいよ、と薦められて、そのスタジオに通い始めたのがきっかけです。それから最初に見たコンテンポラリーダンスが、アマンダ・ミラーというドイツの振付の方の作品だったと思います。
__ 
どう思われましたか。
今村 
どう見ていいか分からなかったですね。体がよく動くなあ、と。でも何を取っ掛かりに見ていいかわからなかった。衝撃を受けたというより、ただ、何をどう見ていいかわからなかった。でもそれは別に悪いという事ではないです。僕の高校の頃の先生が抽象画をやっていて、個展を見に行ったんですよ。それもやっぱりわからなかったんですね。でも、分からないから見に行こうと思ったんです。今見にいってもよく分からないと思う。でも、分からなければならないなら見に行かなくなってしまったと思うんですよね。分からなくても仕方がないし、分かったら楽しいよね、という。
__ 
前衛は・・・いやコンテンポラリーに「前衛」という言葉が妥当かどうか分からないですけど、手法から作るのが前衛と言えるのであれば、そのコンテキストを鑑賞者は当然のように共有していないので、だからこそ鑑賞者それぞれに絶対に違うであろう反応が鑑賞の大きな手がかりとなるのかもしれないですね。
今村 
多分、作品を作るという事だけにすると、ものによってはお客さんを必要としていない。誰かが見ないと絵は完成しないかというとそうでは無いですよね。でも、舞台芸術と呼ばれるものはお客さんがいて初めて成り立つと思うんです。ところが、ダンスそのものは、もし作品でなければ必ずしも見る人はいらない。
__ 
生活とダンス。
今村 
芸術活動をしていない人も、ダンスや演技をしている訳ですから。あれ、何を言おうとしたんだっけ。
__ 
定義の食い違いが起こっていると思います。私は「見る人がいてこそ、価値が生まれる」だろうという考え方で、今村さんは、生活と技術という意味でのアート。
今村 
その価値とは、経済的な価値という事だと思うんですよね。でも、価値のあり方はそれだけじゃなくてもいいんじゃないかなあ、と。言葉の定義の問題だけかもしれないですけど、僕は多分、アートの経済的な価値の、ちょっと外側にあるものを見たいと思っているので。
__ 
では、その幅と呼ぶべきものが今村さんを惹きつけている?

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今村

年明けの今村さん

__ 
そろそろ取材も佳境ですが、何か仰っておきたかった事はありますでしょうか。
今村 
久しぶりにお芝居に出ます。1月のgateに、したためで出演する事になって。
__ 
楽しみです!今後、どんな感じで攻めていかれますか?
今村 
そうですね、今までとそんなに変わらないと思うんですけど、今まで舞台に上げてこなかった事を上げようと思っていて、それはそのまま舞台に上げられるかどうかが課題だと思っています。それ以外は相変わらず雑多に。1月はバーみたいなところでやるかと思えば演劇に出て、SHCというイヤホンで聞くイベントに出たり、2月に入るとシンガポールで多田淳之介さんの作品に出たり。相変わらず、いろいろですね。
パイロット版シアターシリーズ『gateリターンズ2016』
公演時期:2016/1/21~24。会場:KAIKA。

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今村

いわさきちひろ作品

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
今村 
ありがとうございます。開けてもいいですか?
__ 
もちろんです。
今村 
包装がクリスマスっぽいですね(開ける)。おお。
__ 
いわさきちひろの作品ですね。
今村 
ありがとうございます。
__ 
お部屋のどこかに飾っておいて頂ければ。

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今村

突抜隊♯4 Reborn 2015/11/27~29 @東山青少年活動センター

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、長谷川さんはどんな感じでしょうか。
長谷川 
宜しくお願いします。そうですね、10月に入ってからは稽古と仕事の往復、という感じです。僕が基本的には台本が遅いので、台本を書いて稽古して・・・なかなか、それ以外は出来ていないという状況です。
___ 
そうなんですね。今日の稽古はどんな感じでしたか?
長谷川 
今の時点はまだ、役者にイメージが落ちきっていない感じだったんですけど、感触は良かったです。一本筋の通った形になれればなと思ってます。
___ 
なるほど。
長谷川 
まだ台本は出来ていないんですが、まだまだ考え続けていこうと思います。ただ、書いていく過程でああじゃないこうじゃない、と書き換えていくので、書くのが遅いんですよ。感覚的な人間なので、役者さんには迷惑を掛けています。
___ 
なるほど。まあ、二週間前に脚本を差し替える劇団もありますしね。
長谷川 
僕らも、小屋入り前はてんやわんやです。
突抜隊
2012年に京都を中心に活動開始した演劇集団。メンバーは長谷川、澤、山田のパッとしない男子3名。他メンバーは公演の度に集めている。日常的に誰もが持つ感情や、人の白黒つかない複雑な一面を探りながら、お芝居を作っている。団体名とはギャップのあるお芝居をするらしい。(公式サイトより)
突抜隊♯4 Reborn
異世界を思わせる独特の佇まい、どれだけ時が回っても人が回っても変わらない何か、この街。1人の女と惚けた男。2人は未来の話をする。2人は過去の話をする。男は女を抱きしめた。ギュッと強く抱きしめた。女が強くそれを望んだ。
作・演出 長谷川直紀
出演 澤雅展 川本泰斗【BokuBorg】 高橋志保 弘津なつめ 他
演奏 山田佳弘
舞台監督 北方こだち
照明 真田貴吉
音響 道野友希菜
日時
2015年 11/27 19:00
    11/28 14:00/19:00
    11/29 13:00
会場 東山青少年活動センター 創造活動室
料金 前売り1500円 当日 1800円

出来るだけ加工せずに

___ 
次回の「Reborn」。どんな作品になりそうでしょうか。
長谷川 
基本的に、突抜隊が題材にするのは劇的ではない平凡な日々であったり、人生の甘苦を出来るだけ加工せずにお芝居にしたいと思っていて。生活する上で避けられないようなイヤなことをテーマにすることが多かったんです。例えば家族のこととか。全体のテイストはちょっと暗かったりします。
___ 
舞台に立つ出演者に、どんな佇まいを求めますか?
長谷川 
飾らないこと、ですかね。カッチリした演技がそんなに好きじゃなくて。細かい調整はするにしても、その人の人となりが役に反映されるといいな、と思っています。
___ 
なるべく日常生活に近い演技、ですね。そこに魅力を覚える?
長谷川 
フィクションなんですけど、フィクションを前提とされると嫌なんですよね。TVドラマの演技とか、あそこまでされると見る気を無くしてしまうんです。あまり、劇的さを求めていないのかもしれません。劇的ではない些細なことに興味があるんです。
___ 
些細なこと。
長谷川 
それから、ふと日常に寂しさを感じることがあって。具体的に何かがあった訳じゃないんし、何だかよく分からないですけど。だからかありきたりなハッピーエンドがあまり好きではない、人間の実生活には続きがありますから。それと答えをはっきり提示されるのが苦手なんですよね。半分はこっちにちょうだい、と思うんですよね。お芝居の最後の落ち自体、なるべく避けたいんです。

終幕すら放り出す

___ 
「River」のDVDを頂いて拝見したんですけど、最後あっけなく終わるというのが変わった味わいでしたね。なぜ、答えを提示したくないのでしょうか。
長谷川 
僕の見る側としての意識としては、いわゆる完結したキレイな感動モノに、どこか「上から目線」を感じてしまうんですよ。よく「感動の超大作」とかいうキャッチコピーがありますけど、それを決めるのはこっちじゃないか、と。僕らは「どう感じるかはご自由に」という姿勢で作品を作っています。
___ 
避けられない不幸を見せて、ハッピーエンドは迎えない。それどころか明確な終わりも告げられない。見たお客さんは困るんじゃないでしょうか。
長谷川 
なぜこういう姿勢になったのか、時々自分でも分からなくなってしまうんです。苦しいですが、みんなと一緒に作品を作る喜びもありますし、自分の中にある鬱憤を吐き出すこともある。人間、誰しもどこかで暗さを持っているんじゃないか、そんな事を確かめたいのかもしれません。
___ 
どんな気持ちで見てもらいたいですか?
長谷川 
暗いとは言いましたが、フラットな気持ちで見てもらいたいです。それで忌憚のない意見を聞かせて頂ければなと思っています。

暗くなった

___ 
突抜隊は、どのようにして結成されたのでしょうか。
長谷川 
これはほかの劇団さんとは全然違う成立の仕方をしているんですけど、まずメンバーは僕と澤くんと山田くん。澤くんは元々、高校の時の演劇とか全く関係ない部活の後輩でして、かれは僕が小劇場で芝居を始めた頃にお客さんとして見に来ていて。で、何年かした頃に会社を辞めて芝居を始めたいと。そして、山田君はいとこなんですよ。社会人劇団に一緒に俳優として参加してたんです。僕が脚本を書いてみたいとなった時に、彼らとは好きな作品の方向が一致してたんです。じゃあ、ちょっとやってみようか、とC.T.Tに出したんですよ。そうしたらボロッカスに言われたんですよね。このままじゃ終われないと、もう一度出そうと考えていた時に東日本大震災が来たんです。どうしても、このメンバーでもう一回作品作りたいっていうのと震災をこの目で見ておきたいと思って。C.T.T仙台に無理矢理参加させてもらったんですね。そうしたら仙台のお客さんに暖かく迎えて貰って。また仙台の演劇人の熱さに触れて、その気になってしまったという。
___ 
突抜隊はどんな存在でありたいですか?
長谷川 
そうですね、これからも僕らが気になった事とかを、お芝居に限らなくてもいいかなと思っているんですけど、何かに創作したいと思っています。
___ 
なるほど。ちなみに、最近は何が気になっているんですか?
長谷川 
格闘技です。去年からムエタイをやっているんですが、演劇ばっかりやっててストレスが溜まっていたのかな、と。体力作りぐらいの気持ちで始めたらめちゃめちゃハマりました。

夕焼けの時差

___ 
どんな演劇を作ったら良いと思いますか?
長谷川 
結構、このままじゃ演劇ってやばくないか、という意見を聞くことがあって。わざわざ足を運ばないといけないというシステムはつまり、知っている人しか見れないメディアですよね。それから京都にいながら東京を意識している方が未だに多いですが、東京いかないなら、もっとみんな地元を意識して演劇やってもいいんじゃないかと。もっと地元で演劇とか全然知らない人とかも巻き込んでいけないかな?と思っています。じゃなきゃ縮小していくと思うんですよね。最近は稽古場も減ってきていますし、演劇自体下火なのかなと思えてきています。必要とされなければ、そのまま消えていくしかないんじゃないか。具体的に僕に何か出来るか?というと難しいですけど、関わってる人全員で考えていかないといけないと思います。
___ 
そうですね。
長谷川 
やっぱり、演劇を知らない人が見ても分かる作品は作りたいんですよね。芸術に特化した作品を見て、その良さが分からないなんて事もあって、そこは素人目線で、誰が見てもある程度分かるようなものを作りたいと思います。
___ 
なるほど。作り手としては手法は分かりやすいものを使い、でも答えは最後まで提示しない。

石ころの不幸、コンビニ前にちるらん

___ 
見た人にどんな影響を与えたいですか?
長谷川 
普段取り上げてこないような些細な不幸を思い出すキッカケになれたらいいなあと思っています。
___ 
見えない不幸?
長谷川 
さらっと流しているけど、改めて見ると悲しい事。誰にでもあるような不仕合わせというか。見過ごしているという事は解決していない。そういう傷跡を誰でも多く持っていて、だったら人ってそんなに強くないのかなあ、と思ってるんですよね。
___ 
「River」では、家族の中にある問題を、そのまま時間に解決させてましたよね。行方不明の兄が「半年後」だとか「1年後」には、家族とそこそこうまくやっている。和解した訳でも誰かが改心した訳でもないのに。
長谷川 
僕自身も弱い人間ですから。社会的に暗黙の価値観というのがある気がして、そこから外れた人はどうしたらいいのか、という事に興味がありますね。アウトサイダーじゃないですけれど、そういう弱い人たちに惹かれるんですよ。お芝居を始めた頃に、コンビニの前でワンカップ大関を手にした、黒い顔をしたおじさんを見て妙に切なくなる瞬間があって。その人たちだって人生を謳歌しているのかもしれないので簡単には言えないんですけど。
___ 
おいて行かれそうな人たちを取り上げたい。
長谷川 
僕自身がそうなってしまいそうな気がしてたんですよ。

そのままの彼がいる

___ 
そんな、置いて行かれた人たちは、本当に置いていかれたのか?そして、彼らを救うとか理解するとかいうのは、果たして彼らが望んでいる事であろうか?という事なんじゃないか。
長谷川 
別に救って挙げたいとかではなくて、偏見的にならないようにしたいだけなんですよ。今もそれなりに謳歌しているんだったらそのまま描きたいし。僕個人も偏見を持つのではなくて、そのままのフラットな姿を描きたいんです。そういう人たちにある種憧れているのかもしれません。
___ 
職業に貴賤なし、とか言いますよね。例えばスラムの中にだって楽しい事はある。幸も不幸もある。彼らを、「逞しいスラムの人々」じゃなくて、そのまま描く。
長谷川 
そこはまだ、僕自身の差別意識なんでしょうね、勝手に上から目線で見ているんだろうと思います。弱者を弱者として描くべきなのか、それではいけないのだろうか、とか。

質問 東 洋さんから 長谷川 直紀さんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた、東洋さんから質問を頂いてきております。「僕は絵画からインスピレーションを与えられる事が多いんですが、あなたはいかがですか?」
長谷川 
僕は歌から頂く事が多いですね。
___ 
なるほど。「僕は稽古場で曲を掛ける事が多いんですけど、例えば趣味で中島みゆきを掛けたりするんですけど、どうですか?」
長谷川 
掛けますが、歌詞の付いていない曲がいいですね。引っ張られないような曲がいいです。

栗羊羹

___ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
長谷川 
地に足の付いた。生活を大事にして、生活で感じたものを蓄積して題材にして作品を作りたいです。
___ 
ありがとうございました。今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。つまらないものですが・・・。
長谷川 
ありがとうございます。(開ける)
___ 
栗羊羹です。
長谷川 
稽古場で、みんなで頂きます。


第三回東洋企画『太陽の塔の四つ目の顔を見たことがあるか』

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近東洋さんはどんな感じでしょうか。
東洋 
こちらこそ、よろしくお願いします。最近は稽古の日々ですね。これだけたくさんの人と作品を作るのは初めてで、探り探りしながら試しては悩んでの繰り返しです。学校に行ったり食事したりの時が救いという。
中嶋 
(東洋企画の劇団員で、今回のインタビューに同席されました)稽古の合間に学校行ってる感じですね。
__ 
東洋さんは大阪大学に在学中なんですよね。稽古も学内で?
東洋 
阪大以外の出演者もいますので、アトリエS-paceさんなど大阪の色々なところを借りています。ジプシー劇団ですね。
東洋企画
大阪大学を拠点に活動する演劇企画。代表は高知県出身の東 洋。現代芸術を考える会を中心に、プロ、学生を問わず、メンバーを集め創作を行っている。幻想的かつ美しい、独特の世界観と俳優の身体能力を活かした空間表現に定評がある。求めるのは『寓話性と流転の美』。いつか高知でお芝居したいなぁ。(公式サイトより)
第三回東洋企画『太陽の塔の四つ目の顔を見たことがあるか』
望遠鏡に残った円い記憶を追って
少女は走る
太陽の塔のど真ん中

「現在」の顔は今を表した顔なのか
それとも今を見ている顔なのか

コンクリートを拾い上げたとき、
一つの顔が浮かび上がる。

あなたにあたしの世界が見える?

会場:元・立誠小学校 講堂
日程:
2015年11月27日(金)~30日(月)
11月27日(金)18:00
11月28日(土)13:00・17:00
11月29日(日)13:00・17:00
11月30日(月)13:00
チケット:
[一般]予約1,800円/当日2,000円
[学生]予約・当日1500円(要学生証)
[リピーター割引]500円
演出・劇作:東洋
出演:
岸鮭子、中嶋翠、外山雄介、東洋、白井宏幸(ステージタイガー)、久保健太、まつなが、森岡拓磨(劇団冷凍うさぎ)、村上由規乃、石垣光昴、川原啓太(劇団ずぼら)、西田悠哉(劇団ちゃうかちゃわん/劇団不労社)、國枝千尋(劇団六風館)、佐岡美咲(劇団六風館)、堀田彩花(劇団六風館)、清水咲歩(演劇集団関奈月)、石田裕子、浜崎茉優(学園座)、都呂路あすか(はちの巣座)、茶髪(劇団万絵巻)、真一花琉(演劇グループSomething)、相間カンパチ、国本クイナ(学園座)、嶋崎光輝、高橋賢(演劇集団関奈月)、佐倉ハルキ(演劇集団関奈月)、洪一平(覇王樹座)、類家弘敬(覇王樹座)、吉田皓太郎、田中林檎(展覧劇場)、西能まりあ(自由劇場)、水木めい(自由劇場)、水野さくら(劇団六風館)、黒田美音(劇団六風館)、松田千怜(劇団六風館)、島崎秀吉(劇団カオス)、熊谷香月、日浅美久

38人の顔

__ 
東洋企画の『太陽の塔の四つ目の顔を見たことがあるか』。38人と非常に出演者が多いですね。どんな公演になりそうでしょうか。
東洋 
今回僕が目指しているのは、誰かが見た夢のようなお芝居なんです。夢というのは身近なんですけど、でも記憶の中のイメージが時系列関係なく混ざっていくものですよね。そんなお芝居を作れたら、出演者含め、多くの人とイメージを共有し連鎖していく。そんな事が出来たらいいんじゃないかと思っています。だから稽古で生まれた事を大事にしています。なるべく背景が違う方を広く集めたんですけど、そうした交差がより多く生まれたらいいな、と。
__ 
交差する事。
東洋 
集団によるイメージが連鎖する集団芸術を作ろうとしています。
中嶋 
集団というより、群衆をイメージしています。集団としてまとまって動くというより、一人ひとりが個人のままばらばらに動いていて、放射状に散らばっている、そんなイメージなんですよね。
東洋 
ボルボックスという植物があるんですが、あれは個体に分かれていながら、集まって一つの方向にまとまっている。目指しているのは、そういう作品ですね。
__ 
イワシの魚群とはまた違うんですね。それは、どこにどんな面白さがあると思いますか?
東洋 
キレイな説明になるかは分かりませんが、「時代を語る」という事になればと思っています。説教臭い事をしたい訳ではないんですが、太陽の塔には今も四つ目の顔の施設というか跡地だけは残されているそうで、今は見えないんですが、知らない何かがそこに残されている、かつてそこになにかがあったという事を知っているか知っていないかでは全然違う。複数の時代で、集団や個人それぞれが何を目指していた・いるのか、という違いを感じて欲しいですね。
東洋 
そして、もし重なる部分があるとすればそれは何か。を、見た後に考えていただけるような。そんな作品が出来たらと思っています。

答えの見つからない問い

__ 
人類共通のイメージを探る。私も昔から興味のある分野ですが・・・
東洋 
そうしたテーマがやり尽くされている事については、僕は自覚的です。前回の「藪の中」も、色んな人が扱っているテーマなんですよね。新しい事をやる・奇を衒う存在も必要だと思っていますが、同じくらい普遍的なテーマに挑む存在も必要だと思っているんですね。それは僕らの世代の中としても同様で。上の世代の方から見たらもう新鮮さはないのかもしれませんが、あえて若い僕らが挑んでいるからこそ生まれるものがあるんじゃないか。そもそも人が違うので、やり古された後に生まれた世代ですので、初めての人々なんですよね。パーソナルが大事にされる世代の作る「集団」というテーマ、という意義もあるんですね。
中嶋 
古典的なテーマを扱うんですが、それをとことん突き詰めて、しかし全て拾い上げるにはキュビズム的な手法を用いるしかない、と東洋はよく言っています。色んな方面から見ても壮大な作品になると思います。そして東洋企画では「疾走感」を大事にしていまして・・・
東洋 
毎回、本気で走ってますからね。
中嶋 
稽古場でも「飽きさせるな」それどころか観客にも思考させる暇すら与えない。ただただ圧倒していく。それぐらいの勢いで押していく。終わってからようやく振り返る余裕が出来る、ぐらいの。
東洋 
スタッフの方々ともお話したんですけれども、古典的なテーマに明確に向き合いお客さんに表現するとき、明確にテーマを掲げるような事はちょっと違うのではないか、と。ただただお客さんにイメージを投げ続ける。38人のそれぞれバックグラウンドの違う役者達。
__ 
イメージの奔流ですね。
東洋 
お客さんにとったら全ての役者毎に受けるイメージも違うでしょうし、それが面白さがつながると思うんですね。
__ 
そこにどんな面白さを見出したいと欲望していますか?
東洋 
僕はですね、謎に対しての興味が面白さだと捉えています。イメージが次々に繰り出される中で、その連鎖にキーワードを発見していく面白さもあると思います。頭を使って何かを見出していく、そんな面白さを体験出来る環境を作りたいと思っています。
中嶋 
東洋の芝居が理解出来るのは、見た人だけ!と。感想をネットで見て、じゃあ見なくていいやとかではなく、本当に答えが無いからこそ、実際に見ないと分からない。そんなお芝居を作ろうとしています。

影が絡み合う

__ 
突然ですが、桃太郎の絵本がなぜ日本に浸透したか?やっぱりそれは、冒頭に巨大な桃が登場したからだろうと思っています。あのインパクト。「桃」だけでは足りない、巨大でなければ・そして「どんぶらこ」が付いていなくてはならない。物語の2シーン目で早速、聞き手の頭に桃が仮実体として像を結んでいる。その疾走感が物語云々ではない凄みがあると思うんですよね。いわゆるツカミのイメージは最初から最後まで重要だと思うんですよ、特に膨大なイメージの作品をやるという事ならなおさら。「太陽の塔の四つ目の顔」では、そのあたりはいかがでしょうか。
中嶋 
彼の脚本は、突き詰めると難しいものではないんですよ。でもそれは答えがないからだと思うんです。実は彼自身にも分かっていない。
__ 
なるほど。
中嶋 
東洋企画の戯曲は全体を通して寓話性をテーマにしています。桃太郎で言えば、「大きな桃」=四つ目の顔、ですね。太陽の塔自体も大きな謎ですが、私たち自身も稽古をしながら答えを探って行っています。見ている人も出ている人も自分なりの正解を見つけ出さなくてはならない。そうした作品だと思っています。
東洋 
難しいですね、僕がたった22年生きてきて、しかも揺らいでいる状態で出した答えですし。なんなら、来年には違う答えになっているかもしれない。普通に。
__ 
今の時点でしか出せない答えもあるんじゃないですか?
中嶋 
そうですね。
東洋 
でも僕の22年しかかけていない『答え』を提示して押し付ける気はありません。気持ちは伝えます。1人の少女の寓話劇として。でもそこから先はお客さんが拾うところだと感じています。
中嶋 
だから、そんな作風を答えが分からないから難解な作品と取られる人もいるかもしれないのですが、今回に関しては、意味が分からなかったけれども思考する楽しさを含んだエンターテイメント作品として成立させたいと考えています。イメージの奔流が風のように感じられるような。
東洋 
それぐらい欲しいね。温かかったね、とか。

これから

__ 
さて、東洋企画。どうしていきたいですか?
東洋 
まず僕らがどういう団体かというと、7人の劇団員がおりまして、僕は彼ら自体がまず面白いと思ってまして。ただ、僕はあまり劇団制でやっていく事に(疑いではないですが)成り立たないのではないかと思っていまして。例えば毎回チラシをつくってくれてる劇団員の宣伝美術も、同じく劇団員の制作チーフも色んなところでやっていける人材だと思っていますし。まず集団としての成立。そして、個々の研鑽をしていく必要があると。だから劇団というネームは付けていないというこだわりがあるんですけども(笑う)。それから、幅広いお話が頂ける存在でありたいです。イベントプロデュースなどにおいても柔軟に、演劇以外での催しやイベントにもお応え出来る存在でありたい。
__ 
なるほど。東洋企画でしか出来ない事はなんですか?
東洋 
僕の作品であり、僕らのチームでしか出来ない事。今やっている作品で言えば、大量のイメージの奔流で思わず人を立ち止まらせてしまう、そんなパフォーマンスは、ウチが確実に出来る事です。それから、その空間を活かしきる事。そのスペースを十全に使いきるのは、今現在東洋企画が得意としている事なのかな、と思います。