質問 DanieLonelyから 鍵山 千尋さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、DanieLonelyの4人から質問です。「夢は何ですか?」
鍵山 
具体的過ぎてアレですけど、中学演劇の環境が整えられたらいいなあと思います。高校演劇は体制が整っているんですけど、中学はまだまだなんですよね。今は京都の事務局長をしていますが、特に何もしていないし。あとは巡業かなあ。ものすごく遠くの高校演劇部と一緒に作品を作ってみたいんです。
__ 
ありがとうございます。次の質問です。「自分でも演劇をやりたい、そんな気分になったりしませんか?」
鍵山 
自分が舞台に立ちたいとは思わないんですけど、繋がりの場を設けたいと思ったんですよね。だから豆企画を立ち上げたんです。

そういう瞬間に立ち会えること

__ 
実は私も高校演劇をやっていて。当時の仲間と出会えて良かったなと思っています。高校演劇で何かを一緒に作ることの良さというのは、関わった人は絶対に分かるというか。
鍵山 
生徒と関わっていて本当に良かったなと思うのは、私自身は学校で演劇をした事が無かったので、その達成感や思い出をこの歳になって体験出来たという事。それはとても貴重だと思います。毎年必ず、どこかのタイミングで「ここは!」という場面があるんですよ。大会の直前のミーティングの時や、現地で野外稽古してたら近くで働いていたおじさんに声を掛けられた時、合宿の時とか。先生としてそういう貴重な瞬間に立ち会えるんですよ。おいしい思いをしていると思います。
__ 
すばらしい。
鍵山 
あ、もちろん、同じくらい中学のクラス担任も面白いですよ!今日全然そのことは話して無かったですけど。

新パターン!

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
鍵山 
ちょっと今回、近衛君に関わってもらった事で、自分がこれまで築いてきたパターンに変化を与えられたんですね。生徒への関わり方や、作品の造り方を、もっとこんな事も出来るんじゃないか、別の角度を自分にもたらすことが出来たと思うんで。近衛君はそのあたりものすごくしっかりしていたんですよ。
__ 
手法が体制になる前に、変化を与えることが出来た。
鍵山 
それと、新しいことにも挑戦出来るんです。来年1月、3つの高校と合同公演をするんです。ケッペキの後輩が顧問している演劇部と。そういう、今までちょっと手を出さなかったところに手を出したら、生徒も嫌でも視界が広がるんじゃないかなと思うんです。
__ 
なるほど。
鍵山 
去年も多くのホールで上演できたことで関係が広がったんですよね。そういう、得な繋がりをもっと作れたらと思います。

クリスマスリース

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってきました。
鍵山 
やったー。
__ 
大したものじゃないですけどね。
鍵山 
わ~、可愛い。可愛いなあ。部室に掛けて置くといいかも。しばらくすると小道具になると思います。


冬の四人、in the good

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。
全員 
宜しくお願いしまーす。
__ 
最近、みなさんはどんな感じでしょうか。
永見 
最近は、どうですかね。まあ個々に、色々と。
神藤 
みんなちょこちょことやってはいるけどね。
永見 
でもみんなで集まるのは久しぶりという感じはしますね。
神藤 
まあ、夏は3人だけやったしね。揃うのは一年ぶりぐらいです。
__ 
DanieLonelyって、必ず年末には上演しているというイメージなんですよ。つまり、年の瀬が近付いていると。そこで、みなさんの近況を伺えますでしょうか。
濱本 
そうですね、なんやろうなあ。でもいい季節が来たなと。
__ 
いい季節?
永見 
聞き返してしまうような発言やな。
加藤 
どういう事ですか。
濱本 
あの、町の雰囲気とか。クリスマスのプレゼントを貰うのが楽しみみたいな、ワクワクする感じ。
__ 
そうですよね、わかります。永見さんは、クリスマスで何か思い出はありますか?キツい思い出でも何でも。
永見 
結構、クリスマスの近辺で公演をしているので。稽古がしんどいですね。最終的に煮詰まるのがクリスマス近くになるので。絞られている感じがします。
加藤 
ケンカしてね。
神藤 
仲はいいんですよ。
__ 
なるほど。加藤さんは、クリスマスで一番あったたかった思い出はありますか。
加藤 
子供の頃にクリスマスプレゼントでLEGOを貰って。宇宙船のセットでウワーって喜んだんだけど、ちょっと作ったら飽きてしまって。で、その翌々日に親が続きを作ってくれてた事です。
__ 
ありがとうございます。神藤さんはいかがでしょう。言える範囲で、クリスマスでの攻めたエピソードを教えてください。
神藤 
言える範囲のものはないような気がします・・・
永見 
ありますよ、クリスマスの一番いいエピソード。僕と神藤で、飛田新地を逃げ抜けた事がありましたよね。自転車で。
神藤 
ああ、あったね。
永見 
公演のセットで用意した犬のブルボン※自作を、お客様の一人にプレゼントする事になって。劇場からその家まで、自転車で犬を背負って届けたんです。その道のりで飛田新地を抜けたんですよ。きゃーきゃー言われました。
神藤 
iPhoneが示した道のりが、飛田新地を突っ切っていくパターンだったんです。
永見 
バラシが終わった直後のクリスマスの日ですよ。
神藤 
彼女たちは一瞬、素敵な事が起こったと思ったのかもしれませんね。
永見 
おばちゃん達には滅茶苦茶睨まれました。
__ 
ミナミの冬らしいエピソードですね。
DanieLonely
DanieLonelyは、演出家Daniela Greenのもとに集まった俳優を中心とする演劇グループです。(こりっちより)
DanieLonely「in the good」
作:ヒガシエイスケ
演出:DanielaGreen

【出演】
濱本 直樹
加藤 智之
神藤 恭平
永見 陽幸

会場:カフェ+ギャラリー can tutku
日程:
2015年
12月29日(火) 16:00 / 19:30
12月30日(水) 13:00 / 17:00
12月31日(木) 11:00
チケット:
前売 2000円
当日 2500円
※全席自由

長男 警察官 バツイチ
次男 雇われ店長 バツイチ
三男 住所不定無職 未婚
四男 小学校教師 婚約中

12月の寒い日
僕たちは
保護された三男を迎えにいったのだった

年末年始もやってくる

__ 
さて、もう一つ。みなさん、冬は好きですか?
神藤 
僕は、クリスマスから年末にかけての高揚感が好きなんですよ。寒いのが決定的に苦手なんですけど。いや、嫌い。
永見 
なるほど。
濱本 
いい事言うのかなと思ったら。
神藤 
部屋も寒いんですよ。僕の歴代の部屋は暖かかった事が無くて。発砲スチロールのシートを窓に貼ったりしてました。コタツを買った事があるんですけど、飼っている犬が「大きいトイレが来た」と勘違いしたみたいで、しょっちゅう粗相をして、臭くなってしまって。捨てました。
__ 
どっちをですか。
加藤・濱本 
(笑う)
神藤 
犬じゃないほうです。
__ 
ああ、そりゃそうですね。加藤さんはいかがでしょうか。
加藤 
冬はそうですね。好きですね。誕生日が冬なので。寒いのは苦手なんですが。
永見 
毎年クリスマス公演をしているんですが、本当は加藤の誕生日公演なんですよ。時期的に、だいたいその辺りだからね。
加藤 
そんな事じゃないんですけどね、本当は永見が仕事だからなんです。
神藤 
しかし圧倒的に祝われるよね、年末が誕生日の人って。
加藤 
ちゃうやん、僕からもなんしかはしてるやん。でも30日だから、クリスマスと誕生日と新年は繋がったりはする。お年玉は後からちょっと貰えた。でも冬休みだから、友達に祝ってもらった事はあまりないな。
神藤 
いや友達はそもそもあんまり祝わへんでしょう。
永見 
いやしてたて。
__ 
永見さんは、冬は好きですか。
永見 
好きですね。12月に入ってからの浮かれている感じが好きなんですよ。忘年会とかで酔っぱらっている人も多いし。年越しのカウントダウン後、また一年が始まる瞬間に落ち込んでしまうのはありますね。
神藤 
お正月は嫌い?
永見 
そんなに好きじゃないね。「また始まってしまった」って感じがする。
神藤 
本当。日本酒があって、常に何かつまむものがあって、いい思うけどな。
__ 
濱本さんはいかがですか。
濱本 
僕も冬生まれなので。冬は好きですね。
__ 
冬への好感度は高い?
濱本 
そうですね。何かこう着飾れるというか。何かを着て暖かくしていられる時のほっとした感じというか。
永見 
マッチ売りの少女じゃないですけど、外からみた団らんの風景とか暖かそうでしょう。それをみるとホッとしますよね。

離れていた時間を埋めるのさ

__ 
今年も年末公演があるんですよね。「in the good」、どんな感じの公演になりそうでしょうか。
永見 
良い意味でいつも通りになりそうですね。だいたい、やっている事は同じなので。
__ 
残念ながら私は年末公演をみた事がないので想像できないんですが、壱劇屋河西さんがいつもDanieLonelyの写真を撮っていて、四人のいい感じの空気感が伝わるんですよね。
加藤 
単純に仲が良いので、作品にそのまま現れるんですよね。言っちゃあなんですけどユルいんで、家族みたいな感じになるんですかね。
永見 
そうですね。
神藤 
公演会場は家みたいなところでやる事が多いんですけど、さっきの話じゃないですけど暖かい家に来た、みたいな感じがするんじゃないかと思うんです。初めて4人でやった公演は、ポコペンで上演したんです。で、楽日の昼にストーブを付けて温まっていてだらだら喋っている時間が凄く幸せだったような気がして。そういうのがメンバーそれぞれにあるような気がする。濱さん、ないですか?
濱本 
あるある、あるよ(笑う)。
永見 
普段お芝居をしているのとは全く違うやり方で作っている点があるんです。だから貴重ですね。
__ 
全く違うとは。
永見 
普段だとセリフを覚えてシーンを作って、という流れが、僕らの年末公演だと実生活に近いというか。だらだら話したり飲んだりしながら、お互いの一年分の穴を埋めていくような。芝居の稽古、という意識とは少し違うんです。しかも今回、初めて兄弟の役になったんです。いつもは違うのに。
神藤 
確かに、そこに関しては初めてかもしれない。全員兄弟というのは。
__ 
なるほど。

なぜか仲だけは良い4人

__ 
DanieLonely結成の瞬間を教えて下さい。
濱本 
元々作ったのは永見で、そこに僕らが集まってきたというのはあるかなあ。
永見 
旗揚げしたいね、という事は前から言っていて。形式上、元々いた劇団を最初に脱退したのが僕だったと。
神藤 
桃山台駅かどこかで、旗揚げするんだったら「DanieLonely」ってのがいいよねと陽幸が言ったんですよ。
永見 
いつの間にかそう名乗っていましたね。実は理由も、あんまり覚えてないんです。
__ 
いい名前だと思います。検索にも引っ掛かりやすいし。良いネーミングっていきなり降ってくるものですよね。では、結成から今日までどんな経緯があったんでしょうか。童話で例えるとしたら?
永見 
何でしょうね・・・キン肉マンじゃないでしょうか。元々敵だったのが仲間になっていく。当初はめちゃくちゃケンカとかしてましたから。
加藤 
France_panの時とかね。
神藤 
僕たち、俳優としても演劇人としても全然考え方が違うのに何故か仲だけは良いという。
永見 
昨日の敵は今日の友、みたいな。
加藤 
僕と神藤はFrance_panで、永見くんと濱さんはDanieLonelyという時期があって。でFrance_panが解散して、4人で始め直した、という流れですね。
__ 
DanieLonelyは何歳ですか?
濱本 
4人の名前が出たの2009年やから6歳。
神藤 
ちなみに第一回公演はこの二人(永見・濱本)の二人芝居だったんですよ。
永見 
残り二人は音響と照明のオペだったんですよ。France_panには黙って。秘密でやってた。絶対バレたらアカンと。

「誰だ。カレーにスイカを入れたのは」

__ 
前回公演「誰だ。カレーにスイカを入れたのは」。大変面白かったです。幼なじみの関係性そのものが良かったですね。この空気感は確かに、この面子でしか実現出来ないんだろうなと思いました。永見さんは出演されておりませんでしたが。
加藤 
大変でしたね。当初は4人でやろうねという話しだったんですが、結局は永見は仕事で。代わりに男を呼ぼうかと思ったんですが、それはちょっとダニエルの良さは出ないんじゃないかと。では女優さんはどうか、と。で、女優さんに助けられた部分はありますね。
__ 
塩尻さんと下島さんと大江さんですね。
永見 
新鮮でしたね、見ていて。
加藤 
女の子が入ったらこうなるんや、というのは新鮮な発見でしたね。
神藤 
公演前に「女優が入る事で、楽しめる自信がない」という声が寄せられたんですが、結果的には僕らの関係性が浮き彫りになるというか、違う見え方が出来たと。確かに、いつもと違う作業だったように思いますね。
永見 
お芝居を作る、という作業だったからね。
__ 
山本正典さんの脚本としてはシチュエーションコメディだったので、それも新鮮だったように思います。
濱本 
何か祭みたいな感じにしたいね、と話していたんです。コトリ会議とDanieLonelyが上手く融合出来た感じになれたらいいなと。それは僕は2つとも達成出来たんじゃないかと思っています。祭らしくガヤガヤもしてたし。
永見 
山本さんがDanieLonelyを見てくれていたのが有難かったですね。
__ 
あえて反省点を言うならいかがでしょうか?
神藤 
夏の作品だったのに、汗が目立つ衣裳を選んでしまった事。開演直後、既に僕と加藤さんが汗ダラダラだったんですよね。客席と舞台側で6・7度の温度差があったらしいですね。
加藤 
お客さんが暑かったのはなあ。集中出来なかったからな。
__ 
スイカは余りませんでしたか。
神藤 
あ、みんなで食べましたよ。
永見 
打ち上げの時のカレーが異常に少なかったというのがあります。もうおしまいかよって。
神藤 
何やと思ってん、ご飯食べに来たんちゃうやろ。
永見 
みんなでカップラーメンを食べたでしょ。
濱本 
反省点は僕はあんまり無い、かなあ。まあまあ、お客さんにはご迷惑を掛ける事の多い公演だったのかな、と。建物の造り上、雨が降ってきた時に待ってもらうスペースが無かったりして。大丈夫大丈夫だと思い過ごしていたらゲリラ豪雨が来てしまったり。
DanieLonely the Lacky line『誰だ。カレーにスイカを入れたのは』
公演時期:2015/8/8~10。会場:阿倍野長屋。

日常の中の日常

__ 
DanielaGreenとしてはどんな方向性での演出をしているんでしょう。
神藤 
年を重ねているから、みんな変化はしているんですよ。
永見 
自ずとね、Danielaとしてもヒガシさんとしても、同じような年代で同じように年を取っていっているので。誤差はありますけど、お互いに伝えたい事は伝わりやすいし。自由にやってみて、お互いを尊重しあうというような。
__ 
毎年毎年一歳ずつ年を取っていて、そして、空いた時間を埋めあっている。なるほど、何と言えばいいんだろう。
永見 
「小石を一つずつ積み上げていくような感じで芝居を作る」という表現が合っているのかもしれませんね。ガチャガチャ芝居をしているようで、実は積み上げているんですよ。
__ 
そんな緻密さは、演技自体だけの話ではなさそうですね。なんというか、人間関係の濃さでもありそうな気がする。
永見 
そうですね。毎回、それぞれのポジションはそれほど変わらないので。でも毎年少しずつ違う。個人的にも色々と事件はある。そういう事を思い出すと、僕らの演技にも変化が出てきたり。お芝居じゃないのかもしれませんね。プラスアルファの関係性が影響しているのかもしれない。
__ 
一年に一度会える従兄弟みたいな空気感があるな。
神藤 
会っていない訳じゃないですけどね。でも、年末だからかご褒美感があるんですね。特に小屋入りしてからは。
永見 
何とか今年も役者を続けられた、みたいな感覚、ありますね。
__ 
DanieLonelyの特徴がですね、段々と分かってきたような気がするんですよ。祝祭性があるんですよね、一年に限られた回数しか会えない、でも親しい親戚のような存在。
加藤 
僕らもあんまり、年中一緒に芝居している訳じゃないから、会わなかった間の時間を埋めるような気になっていますね。だから、特別な感じはしています。

質問 福谷 圭祐さんから DanieLonelyさんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、匿名劇壇の福谷さんからです。「言葉と身体、どちらを失うとしたら?」
永見 
僕はどっちかを失ったら、俳優を辞めてしまいます。DanieLonelyを辞めるかな。どちらも最重要というか。
神藤 
表現者として、ですよね。身体かな・・・。難しい質問ですね。
加藤 
僕は身体さえあれば、何とかなると思う。伝わらない事もあるでしょうけど、にじみ出るものがあれば、そちらの方が可能性は広がりそう。その分の努力をしそう。
神藤 
体が無くなるとは、どういう状況?
__ 
まあ、この時のインタビューの内容が、未来の世界はマトリックスになるんじゃないか、みたいな話しをしていましたね。
永見 
不自由になるというぐらいなら、体はあるとは思うけどな。France_panの公演で、トイレにずっと籠もって便秘と戦いながらセリフを喋るという役をやった事があります。
__ 
その状態、確かに体は見えませんね。
永見 
表現はないですけどね。
加藤 
お客さんには見えないから、体は無いという事になるのかもしれない。
濱本 
人としては、言葉が無い方がいいですね。単純に、好きなもんに触れておきたいという心残りがありますから。表現者って感覚ではあんまり無いですね。人としての感覚が味わえていたら、そのほうが良いのかな。
__ 
私はどちらかな。言葉を失くすということは動物になる、という事だし、体を失くすということは幽霊になる事を意味しているし。
永見 
愛されたいか愛したいか、という事になるのかも。

凱旋公演出来るかも

__ 
いつか、どんな芝居を企画・上演したいですか?
永見 
4都市巡回公演。あの、岐阜、泉佐野、奈良、広島。凱旋公演の4都市周りですね。
加藤 
まあ出来ん事はないな。
永見 
あと毎週公演をするというのもやりたいですね。一年ぐらい。ほぼ大河ドラマになるな。
神藤 
フレンズみたいなシットコムになりそうやね。
__ 
ああ、フルハウスみたいな。いいですね。
神藤 
やるとしたらエチュードではやりたくないですね。ちゃんと作りたい。
永見 
したらやっぱりマドンナは必要やね。
神藤 
月替りのマドンナ、ええね。
__ 
マドンナと動物がいて。
神藤 
やろうか。
永見 
マドンナだったら誰呼ぶ?みたいなね。

地元に帰りたくなってきた

__ 
あえて伺いたいんですが、お客さんにどう感じてもらいたいですか?
永見 
見終わった後、もし地元に帰る時、「やっぱり地元はいいなあ」「昔からの仲間はやっぱりいいなあ」と思ってもらいたいなあ。
__ 
いかがですか。
濱本 
そうですね。
神藤 
(笑う)むちゃくちゃやで。
永見 
でも、常に、誰かの一生での一番を作りたいと思っています。一度しか見てなくても、その後の人生で何となく覚えていて、ふとした時に「ああ、あの劇団なんやったっけ」でもいいです。僕らの芝居だけじゃなくて、お客さんの個人的な状況とかが奇跡的に合致したら、そういう奇跡が起きるんじゃないかと思うんですよね。
__ 
「お芝居は年末にDanieLonelyしか見ない」なんてお客さんもいるかもしれませんね。
神藤 
温かい気持ちになってほしいというのはあるんですけど。僕結構、泣かせる場面じゃないのに泣いてしまう事があって。不思議と、キュッとなってしまうんですよね。
__ 
引っかかるはずのないところに引っかかる。
濱本 
僕は、羨ましいなと言われるのは凄く嬉しいですね。このメンバーがいる、と言われたり。面白かったです、より嬉しい。

側道のDanieLonely

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?あ、攻めるというのはF1で言う、インを攻めるという意味で。
永見 
それは、アウトを攻めるというのはあるんでしょうか?
__ 
あ、知らないです。F1詳しくないので。
永見 
(笑う)ずっと側道を歩いていくみたいな。メインの方をずっと、羨ましいなと思いながらずっと側道を歩いて行く。
神藤 
国道があって、その横に、1車線の道がある。高速道路の脇にある、ルート66の割とショボめの道があるんです。
永見 
そこを歩いて行く感じかな。
加藤 
車で行くのではなく。
永見 
国道いいなあ、と思いながら、歩いて。軽やかさが欲しいんです。

うどんや風一夜薬の生姜湯(辛口)

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントを持ってまいりました。どうぞ。
永見 
えー。これは凄い。生姜、めちゃくちゃ好きですから。
加藤 
どれぐらい好きなんですか。
永見 
なんでも入れる。お味噌汁にも入れますから。
神藤 
これ、甘いものなんですか?
__ 
それは結構辛口です。風邪にはお気をつけて。

滞在製作/土地によって違っていること

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
つい2週間前までiakuの「Walk in closet」に出演していて、その伊丹・東京公演が終わりました。大阪に戻ってきてからは本公演の準備をして、来週からは三重で滞在制作をします。大忙しです。
__ 
匿名劇壇の次回公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」、もうじきですね。脚本はもう書けている状態ですか?
福谷 
8割書けています。ホンマは全部書けてないとあかんのですけど。明日明後日で完成させたいと思っています。
__ 
三重で仕上げるという感じですね。もう日にちもないし、突貫と言えば突貫ですね。
福谷 
そうですね。ただ、滞在稽古となるとほぼ一日を稽古に使えるんですよ。いつもの稽古って夜2・3時間ぐらいしか稽古出来ないのに。仕事感覚で9時5時でやれるので、なかなかの稽古量になると思います。
__ 
滞在となると、滞在先で感じる価値観の違いであるとか、そういうものもあるかもしれませんね。
福谷 
僕もその辺りは楽しみです。以前壁ノ花団に出演させてもらった時、東京公演をやらせてもらって、そしてiakuでも東京公演をさせてもらったんです。その時に、同じ日本なのに価値観の違いを感じたんです。
__ 
大阪・東京間の価値観の違い。
福谷 
例えばiakuでは全編関西弁だったんですけど、関西弁に対する感じ方の違いが明らかに違う。東京の方が、関西弁を明らかに面白げに聞いていて。「ひょうきんな話をしている」って明らかに感じているんですよ。
__ 
関西弁の受け取り方は地方によって確かに違ってますよね。「悪い癖」は関西弁でしたっけ?
福谷 
あれは標準語です。でも、話はズレますが、標準語という言葉って無いという事に気付きまして。東京のお芝居は標準語ではなく東京弁なんですよね。東京の人がよく使う喋り方。逆に壁ノ花団で使われているのは無国籍語。本当はああいうのを標準語って言うんだなあと思いました。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の学生らで結成。学内にて「HYBRID ITEM」を上演。卒業後も継続的に大阪で活動。現在の劇団員は9名。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。自分たちの身近にある出来事を、自分たちをモデルにしたキャラクターを登場させながら、自己言及的な台詞を吐かせつつ、客観的でスマートなエンターテイメント作品に仕立て上げる。ポストドラマ的な表現方法を取りながらも、非常に分かりやすい作品になっていることが特徴。疾走感のある演出で、共感のしやすい物語を、メタフィクション的な多重構造で描く。同世代から強い支持を受けている。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。2014年、芸創セレクション+参加。2015年、AI・HALL 次世代応援企画 break a leg 参加。(公式サイトより)
匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」
作・演出:福谷圭祐
【あらすじ】
出会うはずのない二人だったから、始まるはずのない恋だった。
事実、それは始まったとは言いがたく。
思春期特有の思い込みといえばそれまでだし、
そもそも二人はお互いの顔すら知らなかった。
まるで比喩みたいな壁がそこにあって、
とても具体的に二人を分けていた。
二人はただ、壁越しに会話して、強く会いたいと思うようになった。
会えるはずもないのに。
きっと、この恋は終わらない。
だって、始まってないわけだから。
【出演】
石畑達哉、佐々木誠、芝原里佳、東千紗都、杉原公輔、福谷圭祐、松原由希子、吉本藍子
【上演時間】約110分(予定)
【三重公演(Mゲキ→ネクスト2015)】
日時:
2015年12月12日(土)14:00/19:00
12月13日(日)15:00
チケット:一般 2,000円 25歳以下 1,000円
会場:三重県総合文化センター 三重県文化会館 小ホール
【大阪公演】
日時:
2015年12月25日(金)19:30
26日(土)15:00/19:00
27日(日)13:00/17:00
チケット:
【前売】一般3,000円/学生2,500円/ペア割5,600円
【予約】一般3,300円/学生2,500円
【当日】一般3,500円/学生2,800円 会場:HEP HALL

iaku「Walk in closet」

__ 
まずは、iakuの「Walk in closet」について。福谷さんが演じた、主人公の男の子がアルバイトをしているカフェのオーナー。彼自身は同性愛者でありながら、そうした話題において一歩引いた立場で冷静な言動をしていましたね。「周囲に常に性的志向をカミングアウトする事は、果たして本当に周囲を幸福にするのかどうか、一度止まって考える」・・・というような。この作品はセクシュアリティがテーマでしたが、その中で評論という立場を持った役割だったんじゃないかなと思います。ご自身としては、何かそういう立場として意識する事はありましたか?
福谷 
少し違うのかなと思います。批評をもたらすというのは物語の構造上の話でしたので。というのは、「私の演じる役柄はこの物語においてこういう役どころである」そういう考え方からその「批評性」は出てくると思うですけど、上田一軒さんの演出はそういう事を一切考えない。例えば「ここはこういうシーンだからこういう風にして」とかではなく、あくまでそういう役割は考えず「その役としてここにいる」。というやり方でした。
__ 
なるほど。
福谷 
僕自身も、お客さんからの感想としては「イライラした」とか、「余計な事を言ってムカつかせるお芝居だった」というのが多かったんですが、僕を含め役者は全員、自分がイライラさせているとか間違った事を言っているとは思ってないですよ。みんな、「これがベストだ」と、良かれと思って言っているんです。「イライラした」という感想は、自分に宛てられたものではない、と思っている。そのバランスがいいんじゃないかなあと思います。
__ 
良かれと思って、というのはつまり、他人・周囲全てに対して。共同体の一員として自覚と責任を以っての言動なんですね。もちろん、福谷さんの演じたカフェのオーナーも。
福谷 
横山さんの脚本は当て書きですので、努めて僕であろうとしていました。
__ 
ザ・福谷でしたね。
福谷 
あれでもまだいい子ちゃんぶってる言われましたけどね。
__ 
なるほど。どんな経験でしたか。
福谷 
ものすごい、これからの作品づくりに対して影響を受けてしまう作品でした。事実影響を受けてて、今自分の作っている作品にしても、これまであんまり言わなかった事とか言うんですよ。実はこれまで、役の気持ちの検証とかあんまりしてこなかったんです。「そんなんいいからこんな感じで言って」とか「このぐらい間を取って言って」みたいな。「walk in closet」を終えた今、何故この間は生まれるのか・こう思って言ったら変わるんじゃない、みたいな。そっちの方が役者として作業しやすいんですね、やってみて気付きました。完全にいま、そういう風に作っています。
__ 
役作りですね。そこに今触れている。
福谷 
そうですね。今まではキャラクターを記号的に扱っていたんですけど、人って記号じゃないなと。
iaku
大阪の劇作家・演出家、横山拓也が立ち上げた演劇ユニット。各地域でオリジナル作品を発表しつつ、各地の演劇(作品および情報等)を関西に呼び込む橋渡し役になることを指針に、2012年から活動を開始。アンタッチャブルな設定を敷きながら、現代社会・市井の人にコミットする関西弁会話劇を持ち味に、今の大阪の演劇の形のひとつを届けられる存在になりたいと考えています。(こりっちより)
iaku「Walk in closet」
公演時期:2015/11/13~16(兵庫)、2015/11/20~22(東京)。会場:アイホール(兵庫)、吉祥寺シアター(東京)。

匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」

__ 
「プレゼントタイム・ハローグッバイ」。どんなお話になりそうでしょうか。
福谷 
僕はいままで、割と劇団内部の話とかを扱ってきたんですけど、今回は全然そうじゃなくて。僕はファンタジーだと称しています。全然違うかもしれませんが。
__ 
ファンタジー?
福谷 
舞台はとある島国で、真ん中に巨大な壁があるんです。2つに分かれて人々が住んでいる。人々が生まれる前からずっとその壁は存在していて、だからそれを壁とは認識出来ていないんですね。地球が丸いとかそういう概念も無い世界なので。あまつさえ、壁の向こう側に世界があるなんて発想すら出来ない。地面の向こう側なんて本来思いもしないじゃないですか。今は科学があるから想像は出来ますが。でもある日、それぞれに少年と少女が壁際で互いの声を聞く。向こう側という世界が実は存在している事に気付く。調べていくと、どうも互いの存在が隠蔽されていた。国家的な戦略で。アレが壁であるという事、向こう側があるという事実が隠されていたんですね。でも向こう側を知りたいという純粋な気持ちは国の思惑とは全然関係ないじゃないか。というお話です。
__ 
当たり前過ぎて意識すら出来ない壁の存在。
福谷 
難しいですけどね。まず壁の概念が無いので、それを表す言葉も無いんですよ。だからその問題を扱えなくなる。今、そこに悩んでいます。
__ 
認識の話なんですね。現代は科学が発展しているから色々な事が分かりますけど、まだ発見されていない概念も当然ある。(「まだ発見されていない存在」という概念を知っているのは科学のおかげですけど。)科学が無ければ、そんな知覚も出来ない概念の向こう側なんて思い付きもしない。
福谷 
知覚出来ない事を話題にしようがない。
__ 
その世界の人々は壁すら知覚出来ない・・・その上で向こう側から声が聞こえてきたら、その瞬間発狂するんじゃないかなと思いました。
福谷 
ああ、そうですね。とても驚く。
__ 
もっと言うなら、その時点で壁の向こう側に行ってしまうのと同じ事かもしれない。
福谷 
演劇的にも面白い試みをしていて、登場人物は全員壁毎に一人二役で演じているんですよ。そうすると、「出会えない二人」という物語にも関わらず、舞台上では出会っているんですね。そのあたりの面白さを演出出来たらと思います。

伝わらない気持ち

__ 
まあ誰しも個人的な事で悩んでいたりするんですよ。自分一人だけの世界じゃないから、思い通りに進む事なんて皆無に等しい。誰も自分の思った通りに動いてはくれないし、そもそも、あらゆる出会いは選べませんからね。
福谷 
そうですね。
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「結局は、何が重要なのか?」という事を聞こうと思っています。「プレゼントタイム・ハローグッバイ」で、何を描こうとしている?恋愛という話ではなさそうですが。
福谷 
上手く喋れるかな・・・そもそもの発端が、初めてのツアー公演という事で。三重県、そんなに離れてはいないとは言え近くはないじゃないですか。にも関わらず僕は三重の事を何もしらない。三重の演劇事情も全然知らない。例えば、同じ関西として「なんでやねん」という言葉はあるんですが、大阪でのそれと三重でのそれは感覚が全然違うんですよ。同じ大阪府でも、河内長野と岸和田の人間の「なんでやねん」「あほかおまえ」の感覚は全然違うんですよ。
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あー。
福谷 
もっと言うと、僕とあなたの使う「なんでやねん」の感覚は絶対に違うものなんですよ。似ていたとしても違う。だから、どうやったとしてもお互いの感覚なんて分からないですよね。というか、自分の中でも善悪の気持ちって同居してるじゃないですか。相容れない気持ちは2つあって、相容れないながらもお互い語りあって折衷案を探していく。その感覚というのを具体的な壁に置き換えて、お互いの分からなさ・伝わらなさ、でも自分の事を伝えたい、自分が相手の事をどれだけ好きかという事を伝えてあげたいという気持ち。それが好きな人じゃなかったとしても、僕にどんな景色が見えているのかを伝えてあげたい気持ち。それこそが、例えば男同士だったとしてもほとんど恋じゃないかと思いまして。その気持ちが核です。
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ありがとうございます。
福谷 
オレがどんだけ好きか、という気持ちを見せてあげたいでしょう、でも見せられないですよね。