会話

__ 
私ももちろん、コミュニケーションでは苦労していて。悪意は無いけれども、聞いてはいけない事を聞いてしまったり。それはまあ相手の事を考えていないからそんな事になるんですけどね、きっと。だから慮る。でもそればかりだとつまらなくなっていくから工夫をする。きっとバランスが大切なんですよね・・・って、そのバランスというのも厄介な感覚で、バランスを取り続けるのはきっとものすごく難しい。ていうか何か、バランスというところに着地するのがまた芸がない気がする。まあどうでもいいんだけど、コミュニケーションはずっと悩み事なんですよ。福谷さんは?
福谷 
そうですね、以前からそうした悩みは明確でした。コミュニケーションを取ろうとするのは危険を伴う。それは今回の作品でも現れているんですよ。この世界の壁際はすごく危険なんですよね。警備されていて、不用意に近づくと撃たれたりする。
__ 
なるほど。
福谷 
これって会話とも似ているじゃないですか。今回の作品には、劇団として今後どうしたいのかというのが如実に現れていて。舞台と客席の間の「第四の壁」って良く言いますよね。今の僕らが考えている事を客席に投げかけて、お客さんからもレスポンスが来る。そんな、作品を通した会話がしたいと思うんですよね。そういう事がやりたいんだな、って今回気付きました。
__ 
前回公演「悪い癖」の時、何だかそういう事を感じましたよ。メタフィクションの構造自体が、なんだか気持ちの表現になっているんじゃないかな、と思った。訳分かんないし回りくどいし捻くれているけど、伝えようとする気持ちの強さが伝わった。匿名劇壇も何だか変わってきているなあちょっとだけ思ったんですよ。対話がしたい?
福谷 
そうですね。一方的な発信だけじゃダメだなと。
__ 
フラッシュフィクションは一方的な発信だったかもしれませんね。
福谷 
そうですね。あれはあれで楽しいから今後もやろうと思っているんですけど。

質問 今村 達紀さんから 福谷 圭祐さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、今村達紀さんから質問を頂いてきております。「役者に、作品のどアタマからMAXのテンションを持ってきてもらう時、どういう声を掛けたりしますか?」
福谷 
基本的に、MAXのテンションから始まるお芝居は作らないです。フラッシュフィクションも、前説から芝居を始めているので。長編も、なだらかに上がっていくようにしています。
__ 
なるほど。では、毎回どんな声を掛けていますか?テンション云々の話はおいといて。
福谷 
結構当たり前の事しか言ってなくて。「ケガをしないように」とか「本番だからってテンション上がらないように、今まで稽古でやってきた事を思い出して、でもその通りにやろうともしなくて良い」。
__ 
おおっ!
福谷 
基本的に、稽古でやったことがない事はしないほうが良いと思ってるんですよ。でも、それを抑えようとしなくても良い。もしそれがふと飛び出そうだったら、それは飛び出しても良い。ただ、ケガしないように。そう言っておくと、丁度良い感覚になる気がします。稽古通りにやろうとしすぎると、枷になるじゃないですか。
__ 
まさに中間を探るというところですね。
福谷 
そうですね。

この町もいつか砂漠

__ 
壁で区切られた世界、を今回は描くという事で。それを聞いてちょっと考えたんですけど。その世界の逆は何かと言うと、人間同士の壁がなく、いつでもどこにでもアクセスし、モノでもカネでも共有するという世界になるんじゃないかなと思うんです。古典的な未来のディストピア像そのものじゃないですか。例えばパソコン様に管理されて、平和だから敵がいなくて、生命として地球のライフサイクルから外れてしまい、精神がゆっくりと発狂していくみたいな。福谷さんはどんな未来になっていくと思いますか?
福谷 
さっきの質問じゃないですけど、肉体の有用性はどんどん無くなっていくと思いますよ。僕エヴァンゲリオン好きなんですけど、今回はエヴァンゲリオンをやりたいと言っちゃってて。あれは、「他者と分かり合えないのは肉体という壁があるからだ」という話で、肉体を失くすためにLCLという液体になってみんなで一つになったらええやん、という。それはまあアホみたいなファンタジーだとして、でも未来、自分をデータに変換して保存出来たら、みんな、空間にぷかぷか浮いているような未来になるんじゃないかと思うんですよね。
__ 
極端ですね。そうなったら良いと思いますか?
福谷 
まあ割りとそういうの、全然恐れないタイプなんで。
__ 
そうなったら介護問題解決するなあ。
福谷 
そうですね。
__ 
ああ、でもどうなんだろう。人間のエゴはそうなっても消えないんじゃないですか?
福谷 
いや、僕はエゴはまやかしだと思ってるんですよ。ホンマはそんなもの無くて、あんまり勉強してないですけど哲学では自由意志というものがあって、例えば目の前にコップと灰皿があって、どちらかを選ぶとして、僕はいまどちらも選べる。もしコップを選んだとしたら、その理由は「珈琲を飲みたかったから」。でもその理由を突き詰めていくと最後には「なんとなく」になるんです。行動に確固たる裏付けはない、自由意志はないという。それに凄く感銘を受けていて、全部なんとなくなんですよ。自分で決めている訳では無いんですよ。
__ 
愛もない。ちゃんとした意味での諸行無常ですね。
福谷 
本来無いものに振り回されるのはやめようぜ、と思っています。
__ 
なるほど。ありがとうございます。では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
福谷 
色んな場所で上演したいと考えています。さっきの話に繋がりますけど、場所というものの有用性もだんだんと無くなっていくと思うんですよ。100年後とかになったら大阪も兵庫も無くなるんじゃないか。でもまだ、今はそうはなっていない。その土地の柄に合った人が住んでいる。今のうちに、色んな場所でやりたいなと思っています。
__ 
でも100年後には全部同じ?
福谷 
全部平均ですよ。やっぱりちょっとディストピアチックだとは思います。

認印

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
福谷 
ありがとうございます。いつも。
__ 
どうぞ。でも全然大したものではないです。ただ、さっきまでの話と完全な真逆のものです。
福谷 
真逆?(開ける)ほおほおほお。ハンコですか。もらっといてアレですけど、こんなもんは一刻も早く無くなって欲しいと思っています。
__ 
ねえ。
福谷 
何で日本はハンコ文化なんでしょうね。これでオレの何が識別できんねん。

「ひとよ」と「わが星」

__ 
またちょっと、別の質問をさせて頂ければと思います。芝居を始めた頃にご覧になった、衝撃を受けた作品を教えて下さい。映画でもなんでも結構です。
平嶋 
衝撃を受けた作品は、KAKUTAの「ひとよ」ですね。ものすごく面白かったんです・・・はじめて演劇の同じ作品を2回みました。あんなに登場人物、人間というものが愛しくなるような作品にはじめて出会いました。同時期にままごとの「わが星」の再演をみて、なんだこれはー!ってなりました、歌っておどって、ずっと音楽がかかってる。ドラマとポストドラマ、どっちもおもしろい。演劇ってなんでもあると、衝撃をうけました。高校生のときはあんまりお金がないのでそんなに観劇できなかったのですが、大学生になってその二つをみてからはいっきに観劇数か増えました。今は北九州高校生割りが多くて、北九州芸術劇場なんか小劇場1000円、中劇場大ホールのお芝居1500円でみれるんです。そういう意味でも高校生に戻りたいかも。わが星はやっぱり好きです、再々演も東京にみに行きました。また同じ時期に「ひとよ」も再演していてのでハシゴで。
__ 
そうなんですね。「わが星」はいいですよね。

北九州で一番クセになる

__ 
ブルーエゴナクではどんな演技が出来るようになりたいですか?
平嶋 
ブルーエゴナクでは思い切りのよい演技ができるようになりたいです。本当にいろんな役を固定せずにいただけるので毎回物怖じせずチャレンジしていくことが課題です。
__ 
ありがとうございます。とても楽しみにしています!では、ブルーエゴナクをご覧になったお客さん、どう思ってもらいたい等はありますか?
平嶋 
そうですね・・・京都にははじめて本公演としていくのでやっぱり「北九州になんかいるぞ!?」ってはなってほしい。北九州で一番クセになる劇団を自負しているんですが、それを京都にひろめたい。クセになって北九州にみにきちゃうくらい。
__ 
クセになる劇団。いいですよね。北九州にまでいければなと思っています。

ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします!最近、平嶋さんはどんな感じでしょう。どんな事でもどうぞ。
平嶋 
よろしくお願いします!今は、すごく忙しいです。私は今年の2月にブルーエゴナクに入団したのですが、いままでフリーだったので劇団の作業をしなくてよかったのですが(というとなんだか言い方が悪いですが・・・)、俳優をしながらいろんな作業をこなすのにそもそも慣れてなくて、しかもブルーエゴナクって1年中ずーっと演劇やってるんですよ。だからもう大変で。最近はそれにもちょっと慣れてきました。
__ 
お忙しいんですね!何よりです。ちなみに、稽古はすでに始まっている感じでしょうか?
平嶋 
稽古はまだ始まっていません。昨日から三日間、主宰の穴迫が北九州モノレールの中で公演をしていて、劇団員もそれを手伝っています。なので再来週から稽古がはじまる予定です。
ブルーエゴナク
2012年、福岡県北九州市にて旗揚げ。2013年1月に団体名から「劇団」を取り、現在の名称になる。同年5月、第五回公演「サヴァリーナトロメイド」では九州の二県三都市を巡る初めてのツアー公演を行い450人を動員した。2014年、第8回福岡演劇フェスティバルの公募枠作品として、「交互に光る動物」を西鉄ホールで発表。その後、枝光本町商店街アイアンシアターにて公演。2014年8月 初の関東圏での公演を開催日常と事件の狭間でただひたすらに生きることを諦めない作風が特徴。(公式サイトより)
ブルーエゴナク「AGAIN/やりなおし」
毎日会える人に毎日は会えない
こっから行って
あそこに帰る
毎日辿る すると定まる
定まらないことばかりを辿る
辿る前に まずその道に立つ
また同じ景色の中で待つ
誰かがくるまで何かをし
数えるまでもないやりなおし
again

会場:アトリエ劇研
日程:
2015年
12月25日(金) 19:00
12月26日(土) 15:00 / 19:00
12月27日(日) 11:00 / 15:00
チケット:
一般 2,500円
U-23 2,000円
(当日500円増し)
高校生以下 当前一律 1,000円 作・演出 穴迫信一 出演:
高山実花(モンブラン部) 高野桂子 田島宏人(演劇ユニットそめごころ) 脇内圭介(飛ぶ劇場) 平嶋恵璃香(ブルーエゴナク) 穴迫信一(ブルーエゴナク)

「やりなおし演劇」って?

__ 
早速ですが、「AGAIN」について伺っていければと存じます。まず、チラシのインパクトが凄いですね。このチラシの女性が平嶋さんなんでしたっけ?
平嶋 
ありがとうございます!そうです、その金髪の人が私です。
__ 
素晴らしい。初めてチラシを見た時、思わず手にとってしまいました。
平嶋 
チラシはかなり悩みながら作ったのでそう言っていただけると嬉しいです!
__ 
さて、キャッチコピーに「やりなおし演劇」とありますが、どんな作品なのでしょうか。
平嶋 
作品については私はまだ詳しいことはわかりません。ただタイトルにあるように、なにかをやりなおす、それによってなにが見えてくるのか・・・そう言った演出手法を用いた作品になるのではないか、と思います。
__ 
なるほど。ちなみに平嶋さんは、人生をやり直すとしたらいつからが良いと思いますか?
・必ず、どこかからやり直さないといけない前提でお答えください。 ・記憶や思考力はそのままです。 ・オプションとして、何か一つの持ち物をもっていけます。 ちなみに私は中学からやり直す、必勝パターンがあります。
平嶋 
えーーっ!(笑う)私は、高校3年生の部活引退後からやり直したいですね。進路をきちんと決めなおしたいです。放送・演劇部だったんですけど部活動はそのときがベストだと思うのでやり直したくはないです。ただ進路をどうにかしたい!私四年制大学に進学したんですがその大学が合わなくて結局通信制の大学に編入したんですよ、だからもったいなかったなーっとずっと思っていて、もう一度やり直せるならそこからがいいです。
__ 
なるほど。何か持ち物を持っていくとしたら?私の場合は10年程度の競馬の記録メモ。
平嶋 
競馬のメモいいですね!バックトゥーザフューチャーみたい。私がもっていくなら、うーん、手帳かな・・・手帳にいろいろ書いているので、劇団のことや読んだ演劇の本のこと、見に行った公演のこと、・・・そこにこっそりLoto6とかの番号控えとこうかな(笑)

人間の気持ち悪さをやらせたらピカイチ

__ 
平嶋さんが演劇をはじめた経緯を教えていただけますでしょうか。
平嶋 
はい。演劇をはじめたきっかけは、高校の部活動からです。先輩たちが楽しそうに演劇をしているのを見て入部しました。それと私すごいあがり症だったのでそれも治したくて。人前でしゃべったりするタイプじゃなかったので、高校デビューという感じです。
__ 
ブルーエゴナクに入団したキッカケも伺えればと思います。
平嶋 
ブルーエゴナクには、フリーのときになんどか客演として呼んで頂いていて。そのときはどこかに所属する気は全く無かったんですが、去年の暮れごろからこのまま演劇を続けるのならどこか劇団に一度入った方がいいのではないか、という気持ちが自分のなかで生まれて。じゃあどこに入る? となったときに、やっぱり年に1回くらいで活動しているところじゃ物足りなくて、北九州で一番ガツガツしていて、かつ北九州以外のツアーも考えている劇団・・・となるともうブルーエゴナク一択しか無かったんです。もちろん作品も好きだし、参加してみて一緒に今後を作っていきたいと思ったことが大きいです。
__ 
ありがとうございます。では、ブルーエゴナクの魅力を教えていただけますでしょうか。最初に出会った時、何が面白いと思われましたか?
平嶋 
初めて見たのが2013年1月の第四回公演「悪者とオプマジカリアルテクノ」という作品だったんですが5~15分くらいの作品を3時間やるっていう公演で、狭いライブハウスにぎゅうぎゅうになってそれを見たんですが、もう怖い!なにこの劇団!?っていう印象でした。3時間も演劇見たのはそのとき初めてだったし、俳優さんもいままでみた地元の演劇の人たちとなんだか違う、しかもそのショートショートがわけわかんないのばっかなんですけど全部面白いんです、可愛いけど棘がある。そのあと6月に「サヴァリーナトロメイド」という作品(こっちは群像劇でした)を見たんですけど、気持ち悪い!人間の気持ち悪さをやらせたらピカイチじゃないだろうかとおもいました。本当なんだこれは!?っていう新感覚で、新しいを作り出そう、自分たちの面白いを追求しようとしている人たちを見た、といいう感じでした。
__ 
今は?
平嶋 
今はこれに加えて、笑いとせつなさを兼ね備えている作風だとおもいます。エゴナクのお芝居ってあんまりイメージがないって言われるんですが、基本的に上演中笑いが絶えません。ギャグコメディではないですが、真剣にふざけてるんですね、だからお客さんが噴き出しちゃう、そこが楽しいです。今年の6月に「POP!!!!」という作品を上演したのですが、それはもう90分間真顏でふざけ通した作品で、最後まで笑いが絶えなかったのですが、でてきたお客さんからの感想は「せつない」でした。そうそう、これがエゴナクてっ思いました。このギャップが魅力だとおもいます。
__ 
おお!それはいいですね。いつか見れるのが楽しみです!
平嶋 
ぜひ!

聖夜をお楽しみに!

__ 
さて、そろそろお開きにしたいと思うのですが、何か言い忘れた事などはございますか?
平嶋 
言い忘れたこと・・・京都の皆様!クリスマスは空けといてください!!!笑
__ 
承知しました!今回はありがとうございました。

忙しい11月

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、今村さんはどんな感じでしょうか?
今村 
最近で言うと、11月7日にDANCE BOXの企画コンテンポラリーダンス@西日本版にソロで出演して、11月14日に高尾小フェスに出演して。それから11月22日に東向日のセカンドルームというライブハウスで、voodolianさんと一緒にやりました。
__ 
そして、次の出演は12月17日にFOuR DANCERS#41ですね。引っ張りだこですね。
コンテンポラリーダンス@西日本版
公演時期:2015/11/7。会場:Art Theater dB 神戸。
高尾小フェス
公演時期:2015/11/14。会場:旧・高尾小学校。
アトリエ atelier
公演時期:2015/11/22。会場:京都東向日Second Rooms。
FOuR DANCERS#41
公演時期:2015/12/17。会場:UrBANGUILD。

vol.445 今村 達紀

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2015/春
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今村

何かやらかしそうな

__ 
いきなりざっくりとした事を伺いたいんですが、今村さんは最近、どんな踊りが気になっていますか?
今村 
これは多分、前からそうだと思うんですけど、次に何をやるのか分からないのが好きです。何かをやらかしそうな、でたらめな状態やダンサーが好きなんですね。
__ 
でたらめをやらかしそうな?
今村 
つい最近の事ですが、芸術センターで上演された「おしもはん」。そこに高齢の男性が出演されていて、その方の演技がやらされている演技ではなく、やりたくてやっている演技だとわかるんですが、異様にでたらめなんですよ。でたらめという言葉がいいかどうかは分からないんですけれども。
__ 
それは・・・厄介な話になっていきますね。
今村 
そうですね。
__ 
「でたらめ」な演技のあり方。俳優の演技って、観客が既に持っている・そしてリアルタイムに更新しているイメージに裏付けられている。だからこそ飛躍が発生すると思うんです。でも、その方の演技は、どこかでかけ離れていっている?
今村 
演技をしているはずなのに、演技をしているかどうか分からなくなるというか、何を目的にしているか分からなくなるのが面白いんです。僕が特に思ったのは、般若心経を読むシーンがあって、書いてあるのを見ているはずなのにどんどん間違えていっている。
__ 
ええ。
今村 
でも本人はそれを別に何も気にしていないというか。そのでたらめ感は凄いなと思っていて。最後に「おかーさーん」と言って去っていくんですけど、きっと本人の中では意味がはっきりあると思うんですが、でたらめにみえる。演出の伴戸さんも、それまで纏っていたまるっとした着ぐるみを脱ぎ捨てて、突然出て行く。
__ 
こちらのリズムやそれまでの理解を無視していかれてしまったような?
今村 
こうなっていくんだろうな、みたいな部分をひっくり返される。もしくは、もう次に何をやるのか分かっているのに、何をやるのか分からない部分を残している。それがどうすれば起こるのかは分からないんですけれど。
__ 
予想を深く裏切られたらそんな「でたらめ」になれるのかもしれませんね。かけ離れる事を彼らが望んでいるかどうかはさておき。しかし、観客側の理解に沿いたいとは元々思っていないのは確実でしょうね。
今村 
お芝居という前提は全くはずさないまま、でも、何をするかは分からない。舞台上にいるという前提があるからこそそのでたらめは成立していると思います。
__ 
うーん。
今村 
話が飛んでしまうんですけど、USJのゾンビって僕は怖くないんですよ。ワーッて驚かしてくるから。でも、そんな中にも一人、何をしてくるか分からない人というのがいたらめちゃくちゃ怖いと思うんですね。この人ルール分かってるのかな?みたいな。みんな若者のゾンビばっかりなのに、一人みるからに普通のおっさんが混じってたらもの凄く怖いですよね。そのでたらめさ。
__ 
落差ですね。
今村 
そんな感じかもしれませんね。
__ 
いやなゾンビですね、それは。役者が重力から解放された時、観客は実はリアルを感じているのかもしれない。その落差が無ければ、自分が見ていた光景を では、パフォーマーとして、そのリアルさの為に何をすれば良いと思われますか?
今村 
これは・・・そうだな、と思う反面、そうじゃないなと思う事もあるんですが。たとえば、本当に困っている人を舞台に上げるということですかね。そこで本当にそうなる。
おしもはん
公演時期:2015/11/24~25。会場:京都芸術センター フリースペース。

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今村

はみ出ているのに飛び出ている

__ 
今村さんのソロって、空間と身体と今村さんの人格、の関係が凄く強く出ているんじゃないかな、と思っていて。空間が激しく動き、次の瞬間は身体が動く。どちらも今村さんの人格の色気が映える。もの凄く映えるんです。
今村 
うーん、どうだろう。でもそうかも。作品にもよりますが、完全に振り付けている訳ではなく、この部分はこういう質感でやろうというふうに決めているところもあります、すると自分の身体の動かし方が出るんですよね。こういうことに気をつけてるとかこういう稽古をしているとか。ということは人格もそのまま出るのかもしれません。空間は大きさにも左右されてて、狭かったら二歩歩いただけで端から端まで行けてしまう。そうすると空間が動いたように見えるのかもしれませんね。
__ 
だからか、踊っている今村さんがそのまま伝わるように思えたんです。
今村 
大野一雄の本に、プレスリーの曲をかけて踊ってみなさいみたいな発言があって、でたらめの限りを尽くさないとプレスリーなんか踊れないでしょう、って。作品そのものから離れず全力で向かっていて枠の中からはみ出てはいないんだけれども、突拍子もないものが出てくる。はみ出ていないのに飛び出ている、みたいな・・・。
__ 
ジャンプ力。

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今村

正確さの要請、ジャンプの必要

今村 
ちゃんとした凄さっていうのは、でたらめな事が無くても成立させる事が出来ると思うんですよ。正当なテクニックで人を魅了する事が出来る。それにを大事にしつつ、でも今現在それと拮抗しうる力はないわけで、プラスの価値として、その中だけで収まらない(でもあくまで本筋から離れていない)何かが必要なのかなと。
__ 
そのジャンプ力を発揮出来る条件って何でしょうね。私はインプロショーを見るのが好きで、彼らが元々もっている演劇の文脈と、その時にしかないアイデアが合致した時の凄さ、がそのジャンプ力に近いような気がします。
今村 
インプロとは正反対に、演出家がちゃんと全体を作る作品であればジャンプする必要は無いと思うんですね。充分成立しているなら。でも、演出家の姿が見えてないほうが良い作品であれば、ジャンプする必要があると思うんですね。どこからが演出家で、どこまでが出演者の仕事なのか、を見えないようにしたい作品を作りたい場合は、一人ひとりが何をするのか分からない状態を持つべきなんじゃないかな。
__ 
作品自体が、どう成立したいのか。その要請によって違うんですね。
今村 
例えば宝塚歌劇でジャンプされたら困るじゃないですか。きっと。きちんと踊れる、きちんと全て出来る。一方で、野田地図は正確さも求められるけれども、何かしら、はみ出す力が必要なんじゃないかと勝手に思っています。
__ 
飛び越えてくるような野獣性。
今村 
「おしもはん」はジャンプはしていたけれど、そこは演出家もジャンプする事をわかっていたと思うんです。

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今村

バランスについて

__ 
ちょっと質問の方向を変えて。今村さんは、これまでどういう場所で踊ってきたんでしょう。野外等で踊っているイメージがありますが。
今村 
劇場以外ですと、ライブハウスとかバー、路上という事もあるし、教会やお寺、幼稚園とかもありますね。体育館だったりだとか。どんな場所でも踊ります。でも、作品によっては場所を選びますし、どんな場所でも踊れる作品もあります。
__ 
どんな場所でも共通する精神はありますか。
今村 
難しい質問ですが、退屈はさせたくないという思いは必ずどこかにあると思います。でも、退屈というのを何と考えるかは人によって違いますよね。どんな作品でも、退屈する人・しない人は出てくると思うんですよね。そこで作品がブレないようにしていくのは大変だなあ、と。誰でも楽しめるものをと思って作っても、見方は人それぞれですから。でもやっぱり、自分が楽しめる物を作りたいとは思っています。踊っている、というのがわかりやすい作品と、踊っているかどうかわかりにくい作品とあって、その辺りのバランスをどう取っていくかは考えものですね。

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今村

質問 長谷川 直紀さんから 今村 達紀さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、突抜隊の長谷川さんから質問です。どういう観点で作品を作られていますか?
今村 
自分が面白いなあ、と思う事を人に見せられるようにする事。例えば関節を鳴らす作品があるんですけど、ダンスとして見せようとすると難しいよなあと最初は思っていました。だからあれを最初に上演したのはサウンドパフォーマンスプラットフォームという企画で、この作品は踊らなくてもいいと思っていました。その後、コンテンポラリーダンス@西日本版に出したときは、広い意味のダンスにも見えるんじゃないかと思って応募しました。その作品を発表にいい場所を選んでいるかもしれません。FOuR DANCERSでは、一緒にやる人とどんな面白い事ができるかを考えます。照明の魚森さんとご一緒させていただいた時も、ムービング・ヘッドという照明装置を使って何ができるのか考えたりしました。だから、面白いと思った事がダンスでないならば、ダンスにこだわらなくてもいいんじゃないかと思うんですね。

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今村

どう見ていいか分からない?

__ 
今村さんがダンスと出会ったのはどんな経緯があるんでしょうか。
今村 
大学の時に演劇部に入っていて。その演劇部の先輩がキャラメルボックスという劇団にいて、ワークショップをしてくれたんです。その時の会場がダンスのスタジオで。ダンスもやった方がいいよ、と薦められて、そのスタジオに通い始めたのがきっかけです。それから最初に見たコンテンポラリーダンスが、アマンダ・ミラーというドイツの振付の方の作品だったと思います。
__ 
どう思われましたか。
今村 
どう見ていいか分からなかったですね。体がよく動くなあ、と。でも何を取っ掛かりに見ていいかわからなかった。衝撃を受けたというより、ただ、何をどう見ていいかわからなかった。でもそれは別に悪いという事ではないです。僕の高校の頃の先生が抽象画をやっていて、個展を見に行ったんですよ。それもやっぱりわからなかったんですね。でも、分からないから見に行こうと思ったんです。今見にいってもよく分からないと思う。でも、分からなければならないなら見に行かなくなってしまったと思うんですよね。分からなくても仕方がないし、分かったら楽しいよね、という。
__ 
前衛は・・・いやコンテンポラリーに「前衛」という言葉が妥当かどうか分からないですけど、手法から作るのが前衛と言えるのであれば、そのコンテキストを鑑賞者は当然のように共有していないので、だからこそ鑑賞者それぞれに絶対に違うであろう反応が鑑賞の大きな手がかりとなるのかもしれないですね。
今村 
多分、作品を作るという事だけにすると、ものによってはお客さんを必要としていない。誰かが見ないと絵は完成しないかというとそうでは無いですよね。でも、舞台芸術と呼ばれるものはお客さんがいて初めて成り立つと思うんです。ところが、ダンスそのものは、もし作品でなければ必ずしも見る人はいらない。
__ 
生活とダンス。
今村 
芸術活動をしていない人も、ダンスや演技をしている訳ですから。あれ、何を言おうとしたんだっけ。
__ 
定義の食い違いが起こっていると思います。私は「見る人がいてこそ、価値が生まれる」だろうという考え方で、今村さんは、生活と技術という意味でのアート。
今村 
その価値とは、経済的な価値という事だと思うんですよね。でも、価値のあり方はそれだけじゃなくてもいいんじゃないかなあ、と。言葉の定義の問題だけかもしれないですけど、僕は多分、アートの経済的な価値の、ちょっと外側にあるものを見たいと思っているので。
__ 
では、その幅と呼ぶべきものが今村さんを惹きつけている?

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今村

年明けの今村さん

__ 
そろそろ取材も佳境ですが、何か仰っておきたかった事はありますでしょうか。
今村 
久しぶりにお芝居に出ます。1月のgateに、したためで出演する事になって。
__ 
楽しみです!今後、どんな感じで攻めていかれますか?
今村 
そうですね、今までとそんなに変わらないと思うんですけど、今まで舞台に上げてこなかった事を上げようと思っていて、それはそのまま舞台に上げられるかどうかが課題だと思っています。それ以外は相変わらず雑多に。1月はバーみたいなところでやるかと思えば演劇に出て、SHCというイヤホンで聞くイベントに出たり、2月に入るとシンガポールで多田淳之介さんの作品に出たり。相変わらず、いろいろですね。
パイロット版シアターシリーズ『gateリターンズ2016』
公演時期:2016/1/21~24。会場:KAIKA。

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今村

いわさきちひろ作品

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
今村 
ありがとうございます。開けてもいいですか?
__ 
もちろんです。
今村 
包装がクリスマスっぽいですね(開ける)。おお。
__ 
いわさきちひろの作品ですね。
今村 
ありがとうございます。
__ 
お部屋のどこかに飾っておいて頂ければ。

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今村

突抜隊♯4 Reborn 2015/11/27~29 @東山青少年活動センター

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、長谷川さんはどんな感じでしょうか。
長谷川 
宜しくお願いします。そうですね、10月に入ってからは稽古と仕事の往復、という感じです。僕が基本的には台本が遅いので、台本を書いて稽古して・・・なかなか、それ以外は出来ていないという状況です。
___ 
そうなんですね。今日の稽古はどんな感じでしたか?
長谷川 
今の時点はまだ、役者にイメージが落ちきっていない感じだったんですけど、感触は良かったです。一本筋の通った形になれればなと思ってます。
___ 
なるほど。
長谷川 
まだ台本は出来ていないんですが、まだまだ考え続けていこうと思います。ただ、書いていく過程でああじゃないこうじゃない、と書き換えていくので、書くのが遅いんですよ。感覚的な人間なので、役者さんには迷惑を掛けています。
___ 
なるほど。まあ、二週間前に脚本を差し替える劇団もありますしね。
長谷川 
僕らも、小屋入り前はてんやわんやです。
突抜隊
2012年に京都を中心に活動開始した演劇集団。メンバーは長谷川、澤、山田のパッとしない男子3名。他メンバーは公演の度に集めている。日常的に誰もが持つ感情や、人の白黒つかない複雑な一面を探りながら、お芝居を作っている。団体名とはギャップのあるお芝居をするらしい。(公式サイトより)
突抜隊♯4 Reborn
異世界を思わせる独特の佇まい、どれだけ時が回っても人が回っても変わらない何か、この街。1人の女と惚けた男。2人は未来の話をする。2人は過去の話をする。男は女を抱きしめた。ギュッと強く抱きしめた。女が強くそれを望んだ。
作・演出 長谷川直紀
出演 澤雅展 川本泰斗【BokuBorg】 高橋志保 弘津なつめ 他
演奏 山田佳弘
舞台監督 北方こだち
照明 真田貴吉
音響 道野友希菜
日時
2015年 11/27 19:00
    11/28 14:00/19:00
    11/29 13:00
会場 東山青少年活動センター 創造活動室
料金 前売り1500円 当日 1800円