劇団みゅーじかる.321「ファーマーズROCK」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。先日ご出演の、劇団みゅーじかる.321の「ファーマーズROCK」が終わってしばらく経ちましたね。大変面白かったです。ご自身としてはどんな経験でしたでしょうか。
吉田 
ありがとうございます。ブログとかにも書いているんですけど、ほとんど全員が初めて共演する人でした。演出の青木さんに呼んで頂いた時に、「ミュージカルなんだけど、どう?」って。僕もそんなにミュージカルをやった事はないんですよね。去年の12月にPEOPLE PURPLEさんに出演した「AGAIN!」がミュージカルっぽかっただけで。
__ 
そうだったんですね。
吉田 
西原さんと青木さん以外は全員初対面。途中で別の芝居もあって抜けたりしてたんです。他のメンバーもけして集まりが良かった訳じゃなかったそうで、稽古についてはなかなか大変でしたけど、良い経験でした。
__ 
メンバー同士打ち解けられなかったとか、そういう事はありましたか?
吉田 
いや最初は少し・・・役的にも、あんまり打ち解けちゃいけないのかなと思って。どちらかというと一人で生きていく役でしたし。正直、稽古場でもそういう風にしていたところはあって。「最初はめっちゃ怖かった」って言われましたね。まあそうやろうなと思います。でもまあまあ、本番始まったら別にラフに。ご飯食べにいったり。「喋ったら怖くないんですね」って。
__ 
座組全体の和はFacebookの写真とかからも伝わってきましたね。
吉田 
そうですね。変な一体感がありましたね。若い、青春みたいな空気がありましたね。学生時代のノリが。意外とみんな若くないんですけどね。
__ 
学生時代。
吉田 
青木さんが先生みたいな。
__ 
半年に一度くらい、こういう雰囲気のプロデュース公演があったらいいなあと思いますよね。というのは、プロデュース公演の座組ってある程度、ギスギスしていても良いと思っているんですよ。一種の緊張感が必要というか。でも、「ファーマーズROCK」の場合は、それとは全然別の域にいた気がするんです。
吉田 
そうですね。まあ、だからといってむちゃくちゃ仲良かった訳でもないし、ただその、本番に対する盛り上げへの意識はまとまっていたと思いますね。
__ 
なるほど。ちなみに、7月10日の本番日までの稽古期間は、どのくらいあったのでしょうか。
吉田 
四月から撮影とかをして、本格的に稽古が始まったのは五月からです。ただ、みんなの感覚的には全然時間は無かったです。
__ 
そういう危機感を含めた意識があの大量のキャストの間で一致して、さらにその波が本番のタイミングちょうどぶつかってあの素晴らしい盛り上がりになった、という感覚があります。もちろん役者・ダンサーの能力も高かった。脚本・演出の魅力も。
吉田 
今回、稽古の段階から面白かったんですよね。みんな好き勝手やってて青木さんもそれを許す空気があって。演出家が全てに細かく采配を振るう現場じゃなくて、そしてプロデュース公演やったというのもあって。二回目のメンバーもいたからかもしれませんね。一見統一性がない状況になっとったんですけど、それはそれでええか、みたいな。稽古を見ながらみんな修正していったんでしょうね。
__ 
そうなんですね。みんなが自分の芝居を全体を見て調整して、その仕上がりがとても丁度良いところでまとまっていたところに本番があって、みたいな。メッセージを充分に伝えながらもオシャレにまとまってました。凄いと思います。
吉田 
キャスティングも結構上手く行ってたんじゃないかと思うんですよね。みんなの得意分野も生かせた配役だったかもしれません。
__ 
そうですね。どの役にも見せ場と物語があって。私、一人一人の役を全部覚えてるうえに全員気に入りましたから。
劇団みゅーじかる.321「ファーマーズROCK」
公演時期:2015/7/10~12。会場:in→dependent theatre 2nd。

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2015/春
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吉田

月曜劇団 番外公演『月曜劇団のコントっぽい劇短編集2』

__ 
さて、次に出演されるのは月曜劇団の短編集ですね。吉田さんは出演されるのが今回初めてでしたよね。
吉田 
そうなんですよ。初めてな気は全然しないんですけど。上原さんとは何度も同じ舞台に立ってますから。西川さんや森口さんもよくどこぞでお会いしますし。嬉しいですね。
__ 
とても見たい座組です。意気込みを教えてください。
吉田 
いやあもう頑張るのみですね。コントって言っちゃってる以上は笑って楽しんでいただけたら。まあ正直、脚本が西川さやかさんなので、どうなるか全然分からないですよね。一回目のコント集を拝見したんですけど、あのユルさはすごいですよね。
__ 
ユルさ、曖昧さ。月曜劇団はもう、その曖昧さの演出さえ曖昧ですからね。「『曖昧』なオチ」という着地点が明確にあって、そこへすら曖昧に落ちていくという。
吉田 
さやかさんの作品はそういうところがあって、詳しく聞いたら教えてくれると思うんですけどね。
__ 
そこに日呂さんの演出が加わると。
吉田 
そうですね。一度、本公演に出演してみたいですね。
月曜劇団
2001年3月旗揚げ。主に大阪、神戸など関西を拠点として活動中。現在は上原日呂と西川さやかの二名で構成されている少数精鋭ぽい集団。シュールで明る暗い会話劇をベースに、なんちゃってダンスやコスプレなども取り入れたいざというときに一言でジャンルを説明しづらいお芝居を展開中。(公式サイトより)
番外公演『月曜劇団のコントっぽい劇短編集2』
期間:2015/09/14(月)~2015/09/17(木)
会場:あるかアるか地下1階「Free Studio KONPIRA -金毘羅-」
9月14日(月)20:00
9月15日(火)15:00/18:00/21:20
9月16日(水)15:00/20:00
9月17日(木)15:00/19:00
出演:上原日呂(月曜劇団)、西川さやか(月曜劇団)、森口直美(パプリカン・ポップ)、吉田青弘
【脚本】西川さやか
【演出】月曜劇団
料金/前売 1,800円 当日 2,000円

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吉田

嘘と即興

__ 
吉田さんが役を演じる上で気を付けている事は何ですか?
吉田 
嘘をつかない事ですね。嘘をつく役だったらいいんですけど。「嘘を付いたらバレる」と思ってるんで。
__ 
嘘とは。
吉田 
はっきり言って、お芝居自体嘘じゃないですか。嘘のものを、それを分かっててお客さんは見ている。役者同士の会話演技のやりとりでズレが生じると何か気持ち悪いんですよね。それが狙いではないかぎり。そういう意味で嘘はつかない。
__ 
会話劇での嘘って、すぐに分かりますしね。言えてない台詞は分かるものです。我々観客と役者の間に存在している「台本」というプログラムが念頭にあって、上手く行っていない会話演技を見るとその台本の文字が頭に浮かぶような・・・。そこで興醒めしてしまう。
吉田 
そうですね、一瞬でそうなる。人が人の演技をしている訳ですから、無意識にそういう状態になってしまうんですよね。これが動物を演じているんだったらまたちょっと違うんですよ。そういう場合はわかりやすさを重視して、ズレのないように組む。だからズレは発生しない。人をやる時はそうはいかない。嘘がないようにしたいけど、でも台本に沿って会話をしないといけない。そこが難しいんですよね。
__ 
「嘘をつかない演技」。いろいろなアプローチがあると思います。不自然な息継ぎはやめる、気持ちがもたらす生理的なリズムを考える、であるとか。役者の数だけ方法があるんでしょうね。
吉田 
僕の場合は、もう基本的には即興だと思ってます。即興というのは、相手や外から発されるものを受けて出す訳じゃないですか。というのを、本のある芝居でもやる。僕、たまに台本には載っていない事を言うんですよ。一応確認するんですよ、台本と違う事を言うてもいいかどうか(今までの演出家さんは「やめてくれ」と仰る方はいなかったですけど)。というのは、僕は、台本に無くても言いたい事が出てきたら言うようにしているんです。それが、その場で生きたキャッチボールを言う事だと思うんですよね。そうすると、自然に何かを言えている。

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吉田

嘘と自然

__ 
その、役の上で感じている事と、役者が感じている事が一致している上での即興という意味ですか?
吉田 
そうですね。相手役がいるとしたら、その相手に対して感じている事。それは事前に想定してはいけない。
__ 
「それは事前に想定してはいけない」・・・それはとても難しいですね。
吉田 
難しいですね。野球だって、ストレート来ると思って変化球が来たら空振りしますから。変化球も打てるようになっておかなければ、いいバッターにはなれない。
__ 
そういう風に考えるようになったのはいつからですか?
吉田 
だいたい20代前半ですね。そのぐらいの時期の役者って誰かに教わる事が多いもんなんですよね。「嘘をつくな」はさんざん言われましたし、その為の方法論をWSとかで教わったりして。僕はどっちかというと頭で考える方なんですが、「頭で考えすぎや」って言われて。それは結局、自分の中で答えを出して思い込んでいたんですよ。結局人の話を聞いていない、対応出来ていない、自分の筋道通りにしかいけなくて、ズレている事にも気付けていない。頭でっかちの芝居しか出来ていないと言われていたんです。そういう時に、即興のつもりでやったら割と上手いこといった経験があって。
__ 
いま、ようやく理解した事があるんですけど。「嘘をつかない」っていう指摘は、「嘘をついてしまっている」という失敗を指摘しているんですね。一般常識的・道徳にもとる、騙す嘘という訳じゃなくて。ああ、なるほど。上手くいってないから、「嘘になっている」。
吉田 
失敗かどうかは難しいですけど・・・でも、一瞬醒めるのが「嘘」なんじゃないかな。僕も、日常会話だって、突き詰めると嘘なんじゃないかって。社会的な言葉を選んで、関係を成り立たせるために繕っている。台本の役同士の演技だって、そういう意味での嘘で作られている。
__ 
そうですね。
吉田 
恋愛劇でいきなり「好き」だなんて言わないですしね。そこからはドラマは生まれにくい。
__ 
物語の上での嘘が戯曲に書かれていて、役者の演技の上での嘘が発生しうる。
吉田 
お芝居自体も嘘ですしね。海が舞台上にある訳じゃないのに、頭の中で補完して見ている。
__ 
観客も演者側も演劇という嘘に取り組んでいる。お客さんも、その上では嘘を自分に課している。
吉田 
本自体もそうですね。紙に載っている文字から意味を見出そうとしている。人間は、そういう事がしたいんでしょうね、きっと。

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吉田

境界を越える

__ 
吉田さんがお芝居を始めたのはどんな経緯があったんでしょうか。
吉田 
大学1年の時です。18でした。映画がすごく好きで始めました。その時は演劇には興味が無かったんですよ。映画に出たり撮るのも好きで、WSで勉強をしていました。ある日、仲間に誘われて舞台に行ったのが初めてです。こういう世界があるんやな、と。TVに出てないのに面白い人たちがいっぱいいるなと思って。
__ 
なるほど。ところで伺いたいのですが、大阪小劇場での成功って何でしょうか。というのは、まあやっぱり色んな地域の方にインタビューをするようになって、大阪や京都それぞれの小劇場の良いところや悪いところがはっきり見えてきてですね。これまで活動してきた吉田さんからみて、どういう事がそれぞれの場所での成功なのかなというところからも考えたいなと思いまして。
吉田 
いやー、成功なんて無い気がするというか。地元のヒーローとして長く楽しくやるというのは一つの方法としてあると思うんですけどね。別に、大阪という場所にそれほどこだわる必要もないと思います。やってる身からすると、大阪京都東京と、枠を決める事で、井の中の蛙というか、井を自分で作ってしまっている感があると思うんですね。もちろん、京都と大阪の演劇は全然違いますけど、別に地域によってのカテゴリを設けても。
__ 
ああ、なるほど・・・。そう思うと私は、それぞれのエリアの「良くなさ」を追求しようとしていました。例えば、大阪のお客さんの「とりあえず盛り上がる」というサービス精神、とかね。
吉田 
まあ、高いところからみたらそういう観点になるかもしれませんね。やる側からすれば、あまり関係はないと思っています。大阪のお客さんの盛り上がりについては、確かに。でも、反応をちゃんと返してくれる、あったかい客席はありがたいですよね。
__ 
暖かいときの盛り上がりはとても楽しいですよね。あれは本当に、世界遺産に登録した方が良いと思うぐらい。

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吉田

質問 ナツメクニオさんから 吉田 青弘さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、劇団ショウダウンのナツメクニオさんからです。「将来どうなりたいですか?」
吉田 
いい死に方をしたいですね。精神的な意味で言えば、後悔を残さないように満足して死にたい。もし幽霊になるとしたら、死ぬときの心残りがやっぱり強く出るんじゃないかなと。

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2015/春
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吉田

「道」

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか。
吉田 
究極は、立っているだけで感動させるというか。それだけで見ている人の心を揺らせるような。
__ 
それは、戯曲の演技の上で?それとも、役者そのものの力とか?
吉田 
両方ですかね。そのお話の色んなものを踏まえた上で、そして、役者が舞台に出てきた時の力も。僕は実は、言葉はあんまり重視していなくて。立っているだけで伝わるものは伝わると思っています。それでこう、ぶわっと感じさせられたらいいな、と。割と、身体を動かす事はずっとやってきたので、身体そのもので何かを感じさせる事にこだわりがありますね。
__ 
それは鍛えられる事でしょうか?
吉田 
出来ると思います。
__ 
どうやってでしょうか。
吉田 
表面的なところで言うと姿勢。その人の仕事の仕方や生き方が結構出るんですよね。剣道とか柔道とか華道とか、「道」とつくものは結局のところ、そこに行き着くんですよね。
__ 
どんな姿勢であるべきか。
吉田 
呼吸もそうですし、精神的な居方も。見る方の意識もそれで変わってくるんですよね。そこに気を付けて生きる。と同時に、ちゃんと生きる事ですよね。お芝居していると実生活がちゃんと出来ない人が多いですけど、ちゃんとするだけで見えてくる世界が広がると思うんですよ。
__ 
歯医者にちゃんと行くとか、ハローワークに行く事とか・・・
吉田 
ちゃんと仕事する事、とかですね。演技に出ると思うんですよ(まあ、リアルの経験が無くてもそういう雰囲気が出せてしまう人もいるんですけどね)。
__ 
芝居をやった事のない人が参加するWS公演とか、面白いですよね。
吉田 
そうですよね。積み重ねてきたものがあるから。けれど、同じ事を継続してやろうとするとそれは役者の領域になると思います。

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2015/春
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吉田

磨き続ける

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
吉田 
そうですね、確かに年齢的にもそろそろ攻めないといけないですよね。僕、所属もしていないしいい年齢にもなったんで。でも結局自分を磨き続けるしかないんちゃうかなと思いますよね。その上で、求められているところで努力すれば認めてもらえますし。それは、その後に繋がっていく事だと思っています。
__ 
磨き続けるという事ですね。
吉田 
そうですね。80歳になっても続けているようであればいいなあと思います。

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2015/春
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吉田

カイワレダイコンの種と試験管立て

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持っていまいりました。どうぞ。
吉田 
ありがとうございます。(開ける)おっ、カイワレ。と、試験管。
__ 
水だけで育つそうです。10日で食べられるそうです。毎日の食卓に。
吉田 
おおー。カイワレって大根になるんですかね?
__ 
どうなんでしょうね。カイワレ大根と言うてますが、私の予感だとそれは大根にはならないような気がしますね。
吉田 
あー。そうですかね。
__ 
大根にならないようにDNA操作をされているんじゃないですかね。
吉田 
このカイワレの状態から根が出て大根になっていくんですかね。
__ 
「大きい根」ですから、そうでしょうね。
吉田 
ネギとタマネギも、タマネギから出た芽がネギになるんですかね?
__ 
なると思います。が、豆苗と同じで、美味しさという意味ではあやしいと思いますが。
吉田 
ああ、そうか。確かにあれは何か違うかな。


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2015/春
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吉田

劇団ショウダウン「パイドパイパー」

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、ナツメさんはどんな感じでしょうか。
ナツメ 
最近はですね、次回公演「パイドパイパー」の台本に追われています。もう終わりが見えていて、大団円になりつつあるんですけど。最初は勢いに任せて書いていたんですが、最後の方で伏線がちゃんと回収されているかも見ながら、という作業ですね。止め時が分からない部分でもあります。あっさり終わらせてももったいないし、かと言って長すぎても退屈になるので。同時に、稽古も正念場を迎えつつあります。
___ 
劇団ショウダウン「パイドパイパー」。この作品は、ハーメルンの笛吹き男の伝記を元にした作品なんですね。
ナツメ 
そうですね。この事件については実際に結論が出ている訳ではないのですが、そこに着目して当時の時代状況も元に荒唐無稽な作品に仕上げたという形ですね。
劇団ショウダウン
作演出ナツメクニオを中心し、2001年5月に京都にて旗揚げ。既成の劇団という枠にとらわれず、いろいろな物を貪欲に吸収しながら、「頭のいらないエンターティメント」をテーマに大衆娯楽の王道を追及し表現しています。特に近年のナツメクニオが取り組む実在の歴史をもとに したシリーズが人気。今までに切り裂きジャック、乗組員が忽然と消えたマリーセレスト号の事件など現代も様々な憶測が飛び交う物語を作家ナツメクニオが大胆解釈した歴史エンターテインメント として上演、好評を博しています。(公式サイトより)
『パイドパイパー』

時は13世紀、西暦1284年
とあるヨーロッパの街で笛を吹いた一人の笛吹芸人。
子供たちを集め、どこかへ消えた伝説のトリックスター。
目的も、正体もわからぬまま、物語だけが残され、
そしてそのミッシングリンクは千年後の未来に甦る。
歴史の陰にその姿を見せる謎の笛吹。
戦争の中で、平和の中で、王宮で、死の間際で、
そして生誕の傍らで何かを探し求める彼ら、彼女らは、
いつしかこう呼ばれていた、
笛を吹く者、『パイドパイパー』と。

さらに東京公演のみにて
パイドパイパーの舞台裏で進行する
もうひとつの奇跡の物語を
林遊眠の一人芝居でスピンオフ!!

林遊眠一人芝居、
最新作『千年のセピラ』 こちらもお見逃しなく。

大阪公演
2015年8月1日(土)~2日(日) 
HEP HALL
※『千年のセピラ』は東京公演のみの上演です。

東京公演 (東京公演のみ2作品を上演!)
2015年9月4日~6日
あうるすぽっと

これは、ハーメルンの事件の謎から生まれる・・・

ナツメ 
ハーメルンの笛吹き男。ドイツに伝わる、実際に起こったとされる事件。街に巣食う大量のネズミが笛吹き芸人によって退治されて、けれど街の人が報酬を支払わなかったために、笛吹き男がその街の子供を全員連れ去ってしまったというお話ですね。「パイドパイパー」の前半ではその謎が見所になります。
___ 
そもそも、これは史実かどうか定かではないんですよね。
ナツメ 
そうですね、当時の文献が今では残っていないという事情もあって。ただ、実際に子供が行方不明になった事件はあったそうです。大人もいなくなっただとか、全員少年十字軍に徴収されただとか、ペストがあっただとか。ただ、百人以上の人がいなくなった事件は確かにあったそうです。
___ 
なるほど。
ナツメ 
ハーメルンの事件は1284年なんですが、1260年にハーメルンの北の方で紛争があったそうなんです。そこでハーメルンの警備隊の人たちがそこで全滅してしまって、それが人さらい事件に繋がったんじゃないか、みたいなウワサもあるんですね。当時のイスラムの国々との関係だとか。詳しいお客さんにはニヤリと笑って頂けるようになっていると思います。
___ 
どんな公演になりそうでしょうか。
ナツメ 
あえて言えば、いつも通りだと思います。出演者と場所が違うだけで、そこに掛ける労力は一緒なんですね。一人芝居も同じですね。とにかく、2時間の枠の中でご覧頂いたお客さんが、驚いたり面白いと思っていただいたらそれで成功なので。
___ 
ありがとうございます。現在、稽古はどんな感じでしょう。
ナツメ 
台本を書きながら、全体のシーンを中心に作っていっています。今回、21人もキャストがいるんですが、どの方もそれぞれ面白いし、武器を持っている人だと思うんです。どんな人がいるのか、お客さんに見に来てもらえたらなと。

生々しい殺陣

___ 
『パイドパイパー』の見所を教えて下さい。
ナツメ 
殺陣が見所ではあるんですけど、物語がカスカスならしょうが無いですよね。一人の騎士が主役の物語なんですけど、彼が何に葛藤し、どう答えを出すのかを見てもらえたら。演出としては、やはり映画みたいなビジュアルを構築するというのが作る側としての楽しみなんですよね。それがどこまでリアルを追求出来るのか。もちろんリアルにはなれないんですけどね。日本人の僕らが中世ヨーロッパの人々を演じるというのは難しい。どこまで受け容れてもらえるよう追求出来るのかな、と。これは見所というよりは僕らのやり甲斐ですね。
___ 
今回は殺陣もあるんですよね。楽しみです。
ナツメ 
実は今回、カンフー系の殺陣は出ないんです。あくまで戦士同士の剣の打ち合いなので、素手というのはないんですよね。一撃で決める、という感じです。あとやっぱり、中世ヨーロッパを舞台としたような映画で凝った殺陣をされても冷めてしまうんですよ。もっとこう、肉弾戦でやってくれよ、と。今回はそれに近い事をやる予定です。
___ 
つばぜり合いとかじゃなく、剣を斬り抜いたり?
ナツメ 
剣を華麗にかわすとかもあるんですけど、こけつまろびつ逃げ惑うとか、そういう生々しい殺陣、ですね。

「マナナン・マクリルの羅針盤」

___ 
「マナナン・マクリルの羅針盤」、去年の池袋演劇祭での大賞を受賞されたんですよね。お疲れ様でした。私はCM大会での映像しか拝見出来ていないのですが、とても面白そうでした。林遊眠さん、凄いですよね。視線や身体のふるえなどの細かい表現で、とてもスケールの大きな世界を描き出す、そんな高い実力を感じました。見ていて気持ちよかったです。あれが2時間続くと伺っていますが、一度拝見したいですね。
ナツメ 
自信作です。あれはSP火曜劇場でも流れると思います。是非一度。
___ 
さて、最近テーマにしているのが「役者は舞台上でどんな意識状態であるべきなのか」という事なんです。無意識状態であるべきなのか、自分の役者の状態をずっと管理しているべきなのか。トリップしているのかメディテーション状態なのか。まず伺いますが、林遊眠さんは、あの芝居をしているとき、どんな状況になっているんでしょうか。
ナツメ 
たまに、乗り移っているのかなと思う瞬間はあるんですが、僕は毎回「酔いながら醒めて」いてほしいと言い続けていて。トランスしている状態だとしても、トランスしている演技をしてください、と。かといって冷めてしまうと自分の中での回転数が上がらないので、乗るべきところはノッてください。彼女はそれを一人芝居の2時間の枠の中でバランス良く使い分けていると思います。それがズレると上手く行かなくなる。どちらかに傾くという事はないんじゃないですかね。ノリっぱなしだと、「私酔ってます」みたいになってしまう。冷めっぱなしだと頭良さそうな事をしているだけのように見える。急なミスに対応出来て、でも熱い魅力のある人。
___ 
林さんはその二つを使い分けている。
ナツメ 
そのスイッチが分からないぐらい素早く、そしてたくさん切り替わるんですよね。役者が2時間ずっと集中し続けるというのは出来ないんですよね、オフの時間を作らないといけない。彼女の場合はその時間を凄く上手に取る事が出来る。
___ 
オフの部分。
ナツメ 
そうですね、彼女の編み出した方法ではあえて給水時間を作るんです。一旦ハケて、あからさまにペットボトルを持ってきて役になりながら飲むんです。空調の温度を聞いたり、腰をストレッチした方がいいぞみたいな時間を作ったり。グダグダなんですけどね。あと、舞台を走り回る演技の時。Uターンして反対の方向の切り返す時に一瞬タメを作るんですけど、そのタメが彼女にとってはオフなんです。
___ 
素晴らしい。では、林遊眠さんを見たことの無い人に一言お願いします。
ナツメ 
見る・見ないは個人の自由だと思いますけど、見なきゃ損するぞと。彼女も発展途上ではあるんです、彼女より演技が上手かったり可愛い女優もいっぱいいるんですけど、彼女より凄いい女優は僕は見たことないんです。
「マナナン・マクリルの羅針盤」
第26回池袋演劇祭 大賞受賞作品。公演時期:2014/9/5~7。会場:シアター風姿花伝。

質問 田辺 剛さんから ナツメクニオさんへ

___ 
前々回インタビューさせていただきました、下鴨車窓の田辺さんから質問です。「京都で公演しないんですか?」
ナツメ 
うーん、分からないですね。一度凱旋はしてみたいんですけどそれなりの説得力を持たないといけないですし。話題性をもっと持ってからだと思います。

質問 三木 万侑加さんから ナツメクニオさんへ

___ 
前回インタビューさせていただきました、三木万侑加さんから質問です。「何のために表現しているんですか?」
ナツメ 
考えた事もないですね。あるのかな?書いて上演した芝居がお客さんに喜ばれたのでやり続けています。何のために・・・それはやっぱり、自分のためですかね。皆そうだと思うんですけど。
___ 
ええ。
ナツメ 
書きたいものを書いて、自分のやりたいようにやった作品が、観に来たお客さんに褒められたりまた観に来るよと言われたのが繋がって今にこれたんです。煙草と一緒で、一番最初にしんどかったらやらないと思うんですよ。もちろんお客さんを喜ばせるのが大前提なんですけど、受け入れられるのは自分の感性が間違っていないという事ですから、それを証明する為という感じですかね。最初からこういう考えは変わっていないですね。極端な話、面白くなくなったら辞めてしまえるものでいいと思うんですよ。でもその時がなるべく遅くなるように、自分の感性を磨き続けていきたいです。

突きつけたいことがある

___ 
いつか、こんな演劇を作りたいというのはありますか?
ナツメ 
物凄い長尺の大作を作ってみたいです。3時間の作品を作った事はあるんですが、6時間の作品を作りたいですね。前編後編と分けての。やってみたいです。それをやらせてもらえるだけの資金力があったら。
___ 
300億あったら?
ナツメ 
それぐらいあったら小屋を買いますね、そこで稽古出来るし公演も出来る。あとは世界中に取材で旅行に行きたいです。
___ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
ナツメ 
そうですね、謙虚を装いつつ、目の上のたんこぶをぶっ潰していく感じ(笑う)。結局劇団を続けるって、一つの信仰を保ち続ける事だと思うんですよ。自分達が面白いと思うものを作っていくだけだと思うんですよ。もちろん作品作り以外の労力もあるんですけど、核は作品だと思うんです。どれだけお客さんが入ってもつまらなかったら・・・。僕はやっぱり自分の信じる面白さをもって脚本を書き続けていきたいです。突きつけたいですね。見てくださいとかじゃなく、見ろよ、みたいな。
___ 
はい。
ナツメ 
ビラに関してもそういう姿勢で、お芝居のビラと勝負してないんです。お芝居のビラって興味をそそらないと思うんですよね。映画館においても遜色ないビラを作って欲しいですね。結局、お芝居より映画の方が市民権を得ているじゃないですか。有名な映画俳優がスクリーンで1800円で見れるのと、全然知らない役者さんが出る芝居を3000円で見るというのは、相当な自信と戦略が無ければ難しいじゃないですか。お芝居が何故3000円も取れるかというと、製作費用という意味もありますが、自分達で作った面白さは3000円です、と宣言する訳じゃないですか。だとしたら勝負すべきは他の芝居ではなく、映画の方ですよね。こちらは数倍の感動を与えますよというのを突き付け続けないといけないと思うんです。目標としては、映画館にビラが並んで欲しいですよね。芝居のビラとして。夢ですよね。

グラス

___ 
今日はですね、お話のお礼にプレゼントを持ってまいりました。大したものではないですが。
ナツメ 
ありがとうございます。(開ける)おお・・・いいですね。ちょうどグラスが無かったので。嬉しいです。


CHAiroiPLIN「三文オペラ」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、三木さんはどんな感じでしょうか。
三木 
ここ最近は、秋に東京で上演されるCHAiroiPLINの「三文オペラ」に参加する事になったので、その為に関西での仕事の整理に動いていました。
__ 
劇伴で参加される感じでしょうか?
三木 
いえ、もう音楽は決まっているそうなので、役者で参加だと思います。
__ 
ありがとうございます。では、演劇を抜いたらどんな感じですか?
三木 
最近だと、去年に録音したものがやなぎみわさんのゼロ・アワーの劇中に流れると思います。あとは、外出した時に思いついたメロディとかを書き留めて家でまとめる、そんな地道な作業をしています。いつか、何かの形でまとめられたらいいなと思います。
__ 
素晴らしい。個人的な事ですが、ウクレレを触り始めたんですよ。楽器楽しいですよね。
三木 
あ、そうなんですね。楽器は楽しいですよね。弦だと私、チェロを大学の副科で習っていました。楽器を触るのが楽しいというのはいいですね。私、ピアノが楽しいと思えたのは大学からだったので。
__ 
つまり、それまでは楽しくなかった?
三木 
実は・・・
CHAiroiPLIN「三文オペラ」
公演時期:2015/10/24~11/1。会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール。

vol.425 三木 万侑加

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2015/春
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三木

わたしと先生

__ 
あ、まず伺いたいのですが、三木さんがピアノを始めたのはいつからなんですか?
三木 
3つからです。
__ 
そんなに前から。
三木 
ピアノをやっていなかった頃の記憶がないんです。気がついたらピアノを弾いて、親に怒られ先生に怒られという。
__ 
大学に入ってから楽しいと思えた?
三木 
いい先生に会ったんですね。もちろんそれまでの先生は技術的な事や感情の表現の仕方を教えて下さる良い先生だったんですけど、先生の思う様に弾かないといけない感じがあって。大学の先生は、私が思うように演奏したらいいんじゃない、と仰ってくださる方だったんですね。
__ 
それは良かったですね。細かい事を伺いたいのですが、大学に入るまでピアノが面白いと思えていなかったのに、大学に入ってもなお続ける事にしたのですね。
三木 
というのはいきさつがあって、高校の制度で留学する事になって、オーストラリアに行ってたんですよ。そのタイミングでピアノを辞めようと思い、音楽の関係ないコースを申し込んだんです。実は、習っていたピアノの先生は家のお隣にあって、ピアノの練習をしていないのがすぐバレる環境だったんです。もうイヤだと思って、これを機に離れようと。先生は音大行かす気満々だったんですけど、他の道に行きますと言うキッカケになると思って。
__ 
留学先ではどんな感じでしたか。
三木 
最初の五日で、すっごいヒマだと感じたんです。それまで学校から帰ってピアノ、寝る、学校行くの繰り返しだったのが何も無くなるから。最初の3、4日はそれでも楽しかったんですよ、散歩に行ったりホストファミリーの方とショッピングに行ったり。でも、単純にヒマだったんですね。
__ 
なるほど。
三木 
で、ステイ先のホストファミリーの方が端的に言うとパーティー好きだったんですね。毎週人を招いてバーベキューして騒いで。2回目のパーティーの時にホストマザーが私のプロフィールを読んでたんでしょうね、ちょっとピアノ弾いてよ、って言ってきたんです。そしたら周りの人たちも「日本の子だからスキヤキ弾いてよ」、って。
__ 
弾いたんですか。
三木 
はい。さすがに「上を向いて歩こう」はメロディとコード進行が頭に入ってたので。そうしたらホストマザーが「凄い!あなた天才なの!」って(後から考えると基本褒める人だったんですよね)。さらに、周りの人たちが「あなたピアノ弾けるのね」って話しかけてくれるし、楽器出来る人からは「セッションしようよ」って。言葉は通じないんだけど、音楽がコミュニケーションになったんですね。言葉は通じないけれど友達は増えている。音楽って楽しい、とまでは思えていなかったんですけど、自分の人生を生きていくツールとして考えられるようになったんですね。
__ 
なるほど。
三木 
日本に帰ったらまたピアノの練習だけが続く退屈な毎日かもしれないけど、音楽は自分にとって大切なものだと考えなおしたんです。オーストラリアに行く前に親には「私ピアノ辞めるから」って宣言してたんですけど、「やっぱりピアノ続ける」ってすぐにオーストラリアから電話しました。今考えると、音大に行く事にして良かったんです。小さい頃からピアノを習い続けても、音大に行かなかったら世間的には音大生には勝てないんですよ。私もプライド高かったんですね。今から考えたら単純ですけどね。でも辞めようと思って行ったのに、続ける決心を付けて帰ってくるとは、面白いなと自分でも思います。

vol.425 三木 万侑加

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2015/春
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三木

言葉が通じなくても伝えられる

__ 
そのホストマザーはきっと、三木さんはピアノを弾くべきだと思ったんでしょうね、きっと。
三木 
そうですね。実は留学する直前までコンクールに参加していて根を詰めて弾いていたので、しばらく弾きたくないと思っていたところだったんです。でもパーティーで「弾いてよ」って言われて、これは日本人的なんですけど場の空気を壊したくないという気持ちが働いて。
__ 
まさに「上を向いて歩こう」、ですね。
三木 
今から考えるといいホストファミリーでした。お母さんはぐいぐい人に近づく人で、お父さんは逆に距離を置く人で。きっとバランスの取れたカップルなんだろうなと思います。
__ 
悪い芝居の岡田太郎さんも同じような事をインタビューで言ってましたね。「言葉が通じなくても音楽で伝える事が出来る」って。
三木 
あ、そうなんですね。私、彼と高校の同級生です。
__ 
え、そうなんですか。
三木 
実は最近まで同級生だと知らなかったんですけど。私、全然覚えてなくて。向こうも覚えてないと思うんですけど、共通の友達が「いやいや知り合いやで」って。「オーストラリアで会ってるかもよ?」って。でも私ちゃんと喋った記憶ないんですよ岡田さんとは。
__ 
それは面白いですね。
三木 
共通の友達は何人かいるし学校ですれ違って挨拶程度には喋ったかも知れないけれどちゃんとした接点はなくて。彼がギターを担いでた姿を見た記憶はあるんですけどね。彼は軽音部だったし。今度会ったらそれを話そう。で、そうなんですよ、言葉が通じなくても伝えられるんですよね、音楽は。私はクラシック専門だから、昔から受け継がれるだけにどこでも通じるんですよね。クラシックはクリスチャンの宗教観に結びついているものなので、ある曲を弾いたらそれについてずっと話しかけてくれる人もいたし、老若男女問わず愛されているんです。ずっと引き継がれるだけの事はあるんだ、と思いますね。楽曲が持つそれぞれの意味や物語があるんです。

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