不安、練習、そして

___ 
カヨコの大発明『園楽』の時の小野村さんのダンス、凄く良かったです。手から星が出てるみたいに感じました。
小野村 
ありがとうございます。山田まさゆきさんが一人で歌ってる時にアドリブで踊ったり、SPEEDとか踊りましたね。
___ 
小野村さんが舞台に立つ時に必要とするものは何ですか?
小野村 
何だろう。練習。私緊張しないんですよ。でも練習不足の時は緊張します。やっぱり不安からですよね。量の問題ではなくて、確実に自分が納得できるところまでやっていないと本番に出れないです。それでも本番に出ないといけない時はどうしてもあって、不安なまま出るんですけど。緊張を無視して出演する事も出来るんですが。
___ 
ええっ、そんなことができるんですか。
小野村 
やっぱりテーマパークダンサーとして1日に何回も本番をしていると、慣れてくるんでしょうね。決して舐めてかかってるわけじゃなくて、程良い緊張感はあるんですけど、1日に何度も舞台裏とステージを行き来していると、普通の状態からふっと舞台に出られる状態になる。ただそれもきっちり稽古して、これだけやったという実感が必要なんですよね。
___ 
稽古が実感になるのはいつからでしょうか。例えば、体に振り付けが完全に落とされたら実感になったりするんですか?
小野村 
ダンスに関して言えば、振りを覚えるのは当然で、その上で見せ方の流れが出来てどの瞬間の自分でも見せられると確信したら実感になります。感情を表現するダンスだとしたら、その感情を作るというところに自信がないとできないし。即興で踊る時とかは、瞬時にアウトプットできるかどうかというところが問われていたので、少し違いましたけどね。最初は無理だと思っても、私なら大丈夫みたいな空自信みたいなので乗り切ることもあります。

質問 伊藤 彩里さんから 小野村 優さんへ

___ 
前回インタビューさせて頂いた方から質問を頂いてきております。gallopの伊藤彩里さんからです。「五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)のうち、どれか一つを超常級にするとしたらどれにしますか?」
小野村 
味覚。
___ 
それは何故?
小野村 
それだけご飯を食べるたびに幸せになれるから・・・こんなアホな答えでいいのかな。ハッピーになれるものはたくさんあった方がいいなと思うんですよね。

ハッピーの条件

___ 
今日のインタビューはそろそろ終わりますが、何かお話になっておきたかったこととかはありますか?
小野村 
今回は私のインタビューだったので、私ベースの見方や個人的な役作りの話しかできてないんですけど、「地球ロックンロード」の世界観は本当に唯一無二だと思っていて。それが具現化するってすごいことだと思うんですよ。まきゃみたいな子って他にいないじゃないですか、あの子が発する言葉とか世界が舞台化するのを楽しみにしてもらいたいです。初作品なんて次元じゃない、見たことがないような個性と熱意のこもった作品なので、是非楽しみに来て欲しいなって思います。そしてぜひ、ご自身の青春を振り返って、懐かしんだり、甘酸っぱくなったり、ちょっと苦しくなったりして欲しい。
___ 
小野村さんの苦悩の結果も含め、楽しみです。小野村さんご自身は今後、どんな感じで。
小野村 
私本当に色々なことをしてるんですけど、MCとか英語とか、ダンス、芝居、でも結局全てが芸事に繋がった時にハッピーなんですよ。自分が舞台から見る景色も好きだけど、反面、客席の後ろから自分が関わった作品を見るのも好きなんです。色々手を出してるのは賛否両論あるかと思うんですけど、その全てがあって私なのかなと思っています。これからも色々な方法で芸事と関わっていきたいなと思っています。フェイズは色々変わるでしょうが、ずっと続けていきたいなと思っています。
___ 
色々なことに関わる、トータルな舞台人であってほしいですね。
小野村 
ありがとうございます。

モンロワールのラヴィアンショコラ

___ 
今日はお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
小野村 
えっ。ありがとうございます。
___ 
平らにした状態で開けてくださいませ。
小野村 
どういう事・・・(開ける)え、凄い!
___ 
割れてませんか。
小野村 
大丈夫みたいです。めっちゃ可愛い、食べたくない、飾りたい!え、やばい。これ、今日のイヤリングに似てません?

TPAM

__ 
今日はgallopの伊藤彩里さんにお話を伺います。どうぞ、宜しくお願い致します。最近、伊藤さんはどんな感じでしょうか。
伊藤 
ちょうど昨日まで、gallopのメンバーでTPAMに行ってたんです。来年度gallopでTPAMのフリンジに出したいねってみんなで言っていて、その視察も兼ねて。TPAMは1週間位で全プログラムが終わるんですけど、お祭り感がすごくありました。横浜は京都に比べて会場になってる場所が多いのかな、1日のうちにいくつもの会場をハシゴして回れるようなスケジュールが組めました。それから、外国のお客さんがフリンジプログラムにもたくさん来ていました。そこもまた、ちょっと違う雰囲気かなと思いました。
__ 
KEXのフリンジでも同じようにPRできたらいいですね。来年のTPAM参加、頑張ってくださいませ。
gallop
葵マコ、伊藤彩里、木村悠介、三鬼春奈の4人が、共同演出・出演を行うパフォーマンス・グループ。2008年『馬の最も速い走り方』(京都芸術劇場・春秋座舞台裏)で京都造形芸術大学 卒業制作作品 学長賞を受賞。2009年 chatty+gallop『確固たる空腹へ』(京都|アトリエ劇研)、2017年『ユートピア』(京都|スタジオ・ヴァリエ)を発表。俳優としての言葉、踊り子としての身体、メディア・アーティストとしてのテクノロジーを駆使し、パフォーマー4人のリアルな身体や言語から抽出されたイメージを、パッチワークのようにつぎはぎに構成し制作する。(公式サイトより)
カイテイ舎
2014年に結成。以来継続して、年一回の演劇公演に取り組む。新しい解釈と新しい舞台形態を演出することで、定評ある戯曲に今日的な命を吹き込み、幅広い観客層の鑑賞に堪え得るような作品として上演することを目指しています。

gallop「石飛びこむ、鯉浮き上がる」

__ 
gallopの「石飛びこむ、鯉浮き上がる」。大変面白かったです。とても静かな作品でしたが、石庭の岩のようにパフォーマンスが浮かび上がるようで、退屈だということはもちろんなく、音楽的な沈黙が全編に漂っていて。淡く、でも記憶には残り続けるような情景でした。面白かったです、というだけじゃなくて、何かを感じるのかを問うてくるような。
伊藤 
前回の作品は鮮やかなシーンがばっと出て切り替わっていって、じっくり見せるというよりはあちこちで爆竹が爆発しているようなリズム感やったと思うんです。今回は、去年とはまたちょっと違う時間の流れで作品が作れたらいいなという事をみんなで話していました。何なら脱がずに。そういう意味で色々チャレンジできて良かったです。成功したとは言い切れないところもあると思いますけど。
__ 
「ユートピア」とは確かにかなり様相の異なる作品でしたね。
伊藤 
今回は「白夜」というキーワードをイメージし続けようと言ってました。
__ 
白夜そのものに対して、ネガティブでもポジティブでもない、一つの概念に対してただ眺める。そのようなコンセプトがあったそうですね。
伊藤 
前回、お客さんの中にはストーリーを探して観てくれてた方も多かったみたいなんです。でもストーリーを探し始めると、次々に現れる景色の連続みたいなものは頭の中に入って来にくいんじゃないかなという気がします。そういう説明をパンフレットには書いてみました。例えば色々な景色が見えてくるなかで、なんとなくどこか繋がりがあるように思えてきたり、あるいは全然関係のないマカオの田園が突然出てきたり。でも全体から見ると自分にしか見えないであろう景色が見えてくるような。そんな感じがやりたかったのかなと思います。
gallop『石飛びこむ 鯉浮きあがる』

個々の思考と集団による思考、過去と未来、経験と直感。
相反するものさえ複雑に絡み合い、容易にひとつの形にはならないもの。
前作『ユートピア』では理想の場所を模索する姿を通して、現状に対する違和感を描いたgallop。今回は「白夜」をモチーフに新作パフォーマンスを上演します。

公演時期:2019年1月17日(木)~ 2019年1月20日(日)。会場:人間座スタジオ。

gallopの作り方

__ 
gallopにおいて、構成や演出はどのような形で決まっていくのでしょうか。
伊藤 
再結成してから2回しか作品を作っていないので、こういう風に作っていますっていうのはおこがましいんですけど、去年の「ユートピア」は9年ぶりだったのでほぼ初めての制作に近かったんです。それにメンバー同士も離れた場所に住んでいたので、稽古期間の間に長いインターバルがありました。だから、4人それぞれが自分のやりたい構成を固めて、それをみんなで試してみるっていう決め方をしたんです。それぞれの案について一定期間具体的に稽古してみて、その後どれがいいかというのを決めようという計画だったんですけど…殺し合いみたいになっちゃうじゃないですか。
__ 
おお。
伊藤 
皆、自分の構成が一番いいと思ってるから、他の人の何が良くないかということを話し始めちゃって、それは結果的に作品にとっては生産的な時間にはならなかった気がする。だから、今年はそれはしないでおこうということになりました。今年のピース作りは序盤から結構うまく進んでいました。「こういうことがやりたい」とか「こういう景色が見たい」とか。稽古の後半期間で、構成の最初からの流れが「こういう感じになるよね」という風に決まっていきました。去年のユートピアでは劇場に入ってもラストシーンが決まらないみたいな事もあったけど、今回は稽古時間の使い方が全然違ったなと思ってます。
__ 
去年は泥沼化していたのを、今回はふんわりとした同意を大事にしたということなのかな。
伊藤 
いや、「ユートピア」での泥沼化みたいなんを、めっちゃ悪かったとも思っていなくて。「まあまあ、こういうことにもなるだろう」って。でも限られた時間を生産的な方向に活かそうと思うと・・・それと、今年も何となく「ふんわり」というよりかは。
__ 
ええ。
伊藤 
ピースがたくさん出てきた時に、それを構成の頭から組立ててみたら、何となく4人とも「これ以上のものはない気がする順番」、私たちに今出すことのできるピースや景色の構成が見えてきて。これ以外はないね、うんうん、となったんです。公演の1カ月位前にぴたっと一致して、帰り道で木村君と「なんか決まったなぁ」と言い合ってました。少なくとも「白夜」的なイメージに、4人で一緒に着地できる場所を見つけられたのかなと思います。
__ 
そういう状況に至る稽古場はとても難しいんじゃないかなと思いますよ。

__ 
gallopの稽古において、どのようなことが起きてほしいですか?
伊藤 
ちょうどそんなことを横浜で話していたんです。私はパフォーマンスをやるにあたり、私たち自身にも魅力がないといけないんじゃないかなと思っていて。パフォーマンスでは演劇とはまた違う形での魅力みたいなものが必要なんじゃないかなと。演劇は役を演じているから、俳優そのものだけというより、そこに「役」ってものも入ってきている。パフォーマンスでは、自分たちがどういう私生活をしていて、どういう場所に立脚しているか、その人がどのようなチャレンジをしているか、その強度とか必然性をもっと重要視してもいいのかなと思っています。
__ 
その人に宿っている魅力というのは、舞台に上がったら一瞬でわかりますからね。
伊藤 
そうですね。演劇だったら役柄や台詞を武器として戦うこともできるけど、パフォーマンスの場合は自分自身に由来したり、まとわっていたりするものがどうしても使われることになる気がしていて。私自身、「この人、なんか見ちゃうな」ってなるにはどうすればいいのかなと考えています。それをハシゴにしたら、もっと本質的なところに入っていけるような気がしています。
__ 
逆に演劇だと、その人自身の人柄というものを持ち出すのは観客としてはあまり良くないかなと思ったりするんですけどね。
伊藤 
演劇だと、役と俳優っていう全然違う別の軸を生きてきた2人が出会うところを観たい。と思うと、その人自身のことを言われても・・・と思うのかもしれませんね。

質問 にさわまほさんから 伊藤 彩里さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた安住の地の俳優、制作者のみさわまほさんから質問を頂いてきております。「最近見た夢の話を教えてください」。
伊藤 
夢の話ですか、何か見たかな。一時期、夢ノートをつけてたことがあったんですけど、人とメールしてた夢を書いたせいで現実とごっちゃになったことがあったのでやめちゃいました。
__ 
危険ですね。
伊藤 
一番最初に書いた夢は、広い芝生に立っていて、なんじゃこれはと思っていたら天井の方にも芝生が広がっていて。そしたら視点がぐーっと上の方にあがっていって、私は三角定規みたいな角度の芝生の間に立っていたって夢でした。
__ 
聞いてて思ったんですけど、人間って古代から夢を見てますけど、映像技術って夢が一番最初だったのかなと。人間には映像についての本能があるかもしれない、そう考えると不思議だなって。
伊藤 
ああ、そうかもしれないですね。夢を再現するために映像が出来たんかな。

寺町二条

__ 
演劇を始めたのはいつからですか?
伊藤 
私は高校の演劇部からでした。それまでは演劇ってものは全然知らなくって、大勢の人の前で喋ることも苦手だったんです。友達に誘われて高校の部活の説明会に行ったら、演劇部が出ていてて、なんとか新入部員を勧誘しようと頑張っていました。「オペラ座の怪人」の稽古をやっていて、その中で、セリフを読んでみようっていうちょっとした体験コーナーがあったんですよ。私は、こんな恥ずかしいことはようせん、と思ってました。絶対この部活は向いてないやろうと思ってたんですけど、「じゃあ明日、部活のボックスで待ってるね」と言われて…行かなあかんかな、と、正直に行ったのが最初でした。それからあれよあれよと部員になり、その年に役者デビューもさせてもらい。右も左も分からないまま始めたのがきっかけです。
__ 
高校からだったんですね。
伊藤 
具体的に続けていこうと思ったのは、芸術センターで「Jericho」という作品を観た時でした。松田正隆さん作、三浦基さん演出で、内田淳子さん出演の。それを高校生の時に観て、「ああ、こういう演劇もあるんや」と思ったんです。あと、私が高校3年生の時に作った作品を森山直人先生が面白いとおっしゃってくださったんです。それで、京都造形大学に行ったらこういう舞台をやれるのかなと思って。
__ 
それはどんな作品だったんですか?
伊藤 
「寺町二条」というタイトルで、2組の女子高生の話です。寺町二条の交差点は道路と道路が斜めに交差する感じになってるんですけど、実際にそこにある、朝の開店前のレストラン前と、真夜中のコンビニ前での会話。4人は一応知り合いなんだけど劇中では朝の2人と真夜中の2人は交わらない。共通の友人がいるんだけれども来る気配はない。梶井基次郎の「檸檬」と、高村光太郎の「レモン哀歌」が引用される作品でした。私が高校生だったとき寺町二条には、「檸檬」の主人公が丸善に持っていくレモンを買った果物屋がまだあったんです。
__ 
めちゃくちゃ高度な話じゃないですか。そりゃ面白いわ。
伊藤 
長いセリフはあまり書かなかったです。「うん」とか「あぁ」とかのセリフで、日陰に入るか入らないかの駆け引きをし続けてるみたいな。「Jericho」を観たあとでめっちゃ頑張ろう!と思ってたのもあったなあ…。顧問の先生に助けてもらいながら作りました。

「わたしじゃない」

__ 
6月の「わたしじゃない」について少し伺えればと思います。この作品は、以前アトリエ劇研で上演した記憶がありますが。
伊藤 
そうなんです。前回の出演者である増田美佳さん、三田村啓示さん、私に加え、今回はさらにもう1人加わるんじゃないかという話をしています。東京でも上演する予定です。出演者の方からもこういうことをやりたいっていうアイデアが出てきたりしてるので、新しいことにもチャレンジしたりするんじゃないだろうかと思っています。
__ 
カメラオブスキュラを使った演出ですよね。室内の、映像灯ではない明りを用いた映像という事で、その場の空気感が如実に反映されるんですよね。それがすごく面白いなと思っていて。
伊藤 
5月後半ぐらいから稽古が始まる予定です。東京で上演して、京都に戻ってくる予定です。木村君が演出と、テキストの翻訳をするんです。出版されている「わたしじゃない」の翻訳は女性の言葉で書かれてるんですが、三田村さんが演じることを想定して、フラットな言葉に置き換えるように翻訳し直してくれてました。
__ 
あの独特な空気感がもう一度見れるのが楽しみです。

軟着陸

__ 
一つの物語演劇ではなく、ピースで構成されたパフォーマンス作品を構成演出するにおいて、複数のパフォーマーの間で「これがいいよね」という同意が同時に出来たということに、何か重要なものを感じるんですよ。例えばそれは「勢い」というものではないか。
伊藤 
勢い。
__ 
ある1人の演出家によるイメージがメンバー全員から同意された時、作品そのものにエネルギーが宿り、傑作として立ち上がるという事がやはりあると思うんですよ。でも、gallopの「石飛び込む、」の場合はトップダウンの演出家が1人いたわけではなく、しかし4人が「これだよね」という合意に着地したということに、強く惹きつけられるものがあります。
伊藤 
私もそう思う、これだよね、となっていったのはすごく変な時間だったなと思ってます。なんであんなにスムーズだったんだろう。
__ 
例えばメンバーのうち1人が、自分のやり方やイメージに強いこだわりを持っていたとしても、それがうまく共有されなければ動かないじゃないですか。
伊藤 
そうですね。
__ 
他のメンバーに、まるで決定事項であるかの如く意思を強く伝えようとしても「そんな事聞いていない」となるわけじゃないですか。根回しと言うか調整や呼びかけをしないといけないんですよね。
伊藤 
そうですね、事前の打合せとか裏会合みたいなのを必要だったりとかはしますよね。再結成からまだ2回目ですが、演出家が1人の方がスムーズに決まっていたんだろうなと思います。同じ事をひとつ決めるにも、全員の歩調が合っている事を確認しながら進むからめちゃくちゃ効率悪いなとは思います。
__ 
そうなんですよね。全員で同じ段階を、例えば1人が一つ飛びにならないようにする。チームプレイだなと思います。
伊藤 
皆がある程度バラバラの方向を見ているけれども、共有するところも多々あってみたいな。これを繰り返していくうちにもっと面白いものが生まれてくればいいなと期待しています。
__ 
お互いの懐に、ちょうど良く踏み込むのがきっと重要なんでしょうね。
伊藤 
そうですね、拒否とか否定ではなくてちゃんと批評をする。「これは面白くない」と一瞬で蹴る事は出来るけど、そうしないように気をつけています。どれだけ馬鹿馬鹿しいことを提案されたとしても、普段の私なら絶対やりたくないような事だって一度はやってみて、その上で改めて自分の意見を言う。そういう風にやってくのが大事なのかも。

同じ方向

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
伊藤 
横浜で話していたのは、メンバーの間で共通する基礎的な身体性を作る稽古をしてみてもいいかなと。一瞬、全員が同じ方向を向く、そんな光景を作り出せるような。変な例えですけど、朝顔を育てる経験が必要なら、馬鹿馬鹿しくても朝顔を育ててみる。私には私なりの朝顔の育て方があって、木村君や三鬼さんのやり方もそれぞれあって、きっと朝顔に対する感想も違う。でも朝顔を育てた結果、なんか「分かるわー」と、共通するような部分も生まれる、みたいな。今はバラバラの状態だから何か共通の経験とか体験をやってみて、その上でメンバーの方向性がどういう風にバラバラなのかを考えてみるのもいいのかなと思ってます。今年は葵マコちゃんがお休みなので、また作品や作り方も変わるかもしれないんですが。
__ 
なるほど。
伊藤 
私は何年か舞台に関わってなかった時期があったんですけど、ここ何年かまた色々な方からお声をかけていただいたりして嬉しいです。今年は8月にはカイテイ舎の公演も予定しているので、もしよかったらそちらの公演と、その後のgallopもぜひいらしてください。
__ 
ありがとうございます。楽しみです。

二人静

__ 
今日はお話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
伊藤 
ありがとうございます。
__ 
おやつかな。(開ける)あ、可愛い。見たことない。これは和三盆のお菓子?ありがとうございます。

にさわさんの最近

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。安住の地の俳優・制作者、にさわまほさんにお話を伺います。にさわさんは最近、どんな感じでしょうか。
にさわ 
よろしくお願いします。最近は集団迷子の制作と、安住の地の次回公演のオーディションの準備をしていたりしています。
___ 
お忙しいんですね。
にさわ 
公演終わって少しは暇になるかなと思ったんですけど、全然忙しかったです。休みの日の方が動いてるかもしれません。
___ 
休む暇もなく。
にさわ 
ちょいちょい休んでます。
___ 
演劇以外ではどんな感じですか?
にさわ 
最近、着物が好きで。休みの日に着物でその辺に出かけたりしています。メンバーにはまだ言ってないですけど、こそこそ着てます。
安住の地
2016年7月に結成。京都を拠点に活動。
安住の地のラジオ「の地ラジ」
Twitter @nochiradio

安住の地「ポストトゥルースクレッシェンドポリコレパッショナートフィナーレ」

___ 
安住の地の「ポスト」・・・覚えさせる気がないと評判のタイトルですね。メンバーの皆さんは覚えたんでしょうか。
にさわ 
そうですね、最初は全然覚えられなかったんですけど、だんだんと呪文みたいに言うのが楽しくなってきて。最初は「ポスコレ」って略してたんですけど。このタイトル、まずどういう意味だろうと思ったんですけど、意味は特にないということでした。かっこいいという印象を受けたメンバーも多かったです。プリキュアの必殺技です、って会う人会う人に言ってました。最後ビックリマークだし。
___ 
「ポスコレ」、大変面白かったです。複雑な演劇作品でした。他の出演者と同様、にさわさんも複数役を演じられていましたね。
にさわ 
私は、お母さん役と女子高生役でした。他の人がもっと役は多かったので、大変だー、って。
___ 
複数役なのに、あんまり衣装を変えずに演じてましたよね。普通はちょっと、布や帽子とかを使いますよね。
にさわ 
一応、見てて目印になるような物を役の切り替わりとしてつけてはいるんですが、場面で連続して出ている人とかもいるので、アイテムを変えるので精一杯みたいな。
___ 
それにしては混乱は少なかったように思います。
にさわ 
今回はあんまり混乱しなかったという声がアンケートには書かれていました。どうしてなんだろうと思ってたんですが、それぞれの役が境遇が違ったり世界線が違ったりしていたからかも。
___ 
その辺りもなんだか不思議と、作品の内容と絡んでるような気がしたんですよ。もちろん衣装を変えて「これは違う役ですよ」と宣言するのは効果的な演出だと思います。ですがそれをあえてせず、しかしてアノニマスな味の衣装でもなく、しっかりオシャレで可愛い特徴的な衣装。で全く違う別の役を演じている。そこには何かの暗示があるような気がする。というより、何らかのメカニズムがあるような気がしますね。演技の説得力の方が勝ってたんですよね。
にさわ 
そういうところが小劇場演劇っぽいんですよね。ウチは。そういうところにアナログさが出るのが。早着替えでも何かの効果でもなく、演技の力でやろう、というのが。
ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム”KIPPU” 安住の地「ポスト・トゥルースクレッシェンド・ポリコレパッショナートフィナーレ!」
会場|
ロームシアター京都
住所: 〒606-8342京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13 https://rohmtheatrekyoto.jp/access/ 

公演日程|
2019年1月
17日(木)19:30
18日(金)14:30 / 19:30 
19日(土)14:30  / 19:30
20日(日)11:00 / 15:00
受付開始は各回45分前
開場は30分前

料金|
一般:3,000円 当日:3,500円
U25:2,500円 当日:3,000円
高校:1,000円(前売・当日一律)

出演|
中村彩乃 森脇康貴 日下七海 にさわまほ 山下裕英
武田暢輝 柳原良平(ベビー・ピ―) タナカ・G・ツヨシ
【映像出演】ぶんけい(パオパオチャンネル)

スタッフ|
作・演出:岡本昌也・私道かぴ
舞台監督:平林肇
舞台美術:森脇康貴
音響:椎名晃嗣(劇団飛び道具)
照明:河口琢磨(劇団飛び道具)
映像:岡本昌也
衣装:大平順子
宣伝美術:岡本昌也・日下七海
イラスト提供:JewelSaviorFREE(http://www.jewel-s.jp/)
物販:大平順子・日下七海
制作:安住の地
制作協力:渡邉裕史(ソノノチ)
ライター:朴健雄 一人静
カメラマン:中谷利明 大平順子
メイク:篁怜
協力:CoRich舞台芸術!・劇団飛び道具・鍵山千尋
主催:安住の地
共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)・京都市

没頭1

___ 
「ポスト-」。ご自身としてはどんな経験でしたか。
にさわ 
私が岡本昌也の作品に初めて出演したのは妖怪SOHOで開催したPLOWでの「impedance mismatch」という3人芝居だったんです。その時に、演技に対する意識がものすごく変わったところがあって。公演中は必死だったんですけど、それが自分にとっては衝撃的でした。このことは次の舞台に絶対に生かそうと思っていたんです。それが「ポスト-」でした。そういうこともあってか、今までと違う感覚で演技が出来たと思います。
___ 
それはどのようなことでしたか?
にさわ 
私は中学高校と演劇部で、大学は同志社小劇場という演劇サークルに入っていて、ずっと同じメンバーの中で作るということをしていました。内輪の悪い癖で、自分の演技に没頭してしまうということが多かったんです。自分の役の感情に。安住の地の座長の中村さんは「自分の演技に酔っ払う」という言い方をよくするんですけど、それを良しとしていた部分が多々あって。恥ずかしいんですけど。それをPLOWの時に、岡本昌也さんに徹底的に「それは違う」、と具体的に言われはしなかったんですけど、ダメ出しの言葉で気付かされることが多くあって。ポスコレの時はできるだけ自分の中に没頭しないようにしようと、できるだけ目の前にいる俳優、舞台上にいる全員との空気感を感じてやろうというテーマが自分の中にありました。
___ 
没頭するというのは、表現をする次元においては、時には良くないことなのかもしれないと?
にさわ 
はい、あんまりよくないなと思いました。特に自分の場合は。没頭していた方がいいんじゃないかなと思っていたんですが、自分のことを客観的に見れていないので・・・今でも客観的に見れているかわかんないんですけど。でもポスコレが終わった後、メンバーに「上手になったね」と言われて。
___ 
直接的やな。
にさわ 
打ち上げには遅れて顔を出したんですけど、その瞬間に「今まほちゃんの話をしてたんだよ、上手になったって言ってたよ」って、謎の盛り上がりをしてました。

没頭2

___ 
自分の創造活動に没頭するということには大きな快楽を感じるものですが、それは逆に言うと、誰にも連絡をしなくなってしまい、コミュニケーションがとりづらくなる、という副作用がありますね。
にさわ 
ありますね、やってしまいます。
___ 
それが実は、制作している内容そのものにも好ましい効果があるとは言えないのではないか。自分の中だけで完結しているだけで、お客さんにはその井戸の中にある物が伝わらなくなるのかもしれない。そういう体制を作ってしまう結果になるのかもしれない。
にさわ 
そうなんですよね、自分の中で作れていたら伝わるんじゃないかと思っていたんですけど、お客さんが見ているものと私の中で動いているものはやっぱり別なので。そういうことに「impedance mismatch」で気付いたんです。それが露骨にお芝居全体の完成度に結びついてしまっていたので。本当にダメだった時は自分の中で没頭していた部分がある。3人のうち誰かがそうなってしまうと崩れてしまう。
___ 
「impedance mismatch
」の場合はセットが複雑でしたからね。場所を生かした演出が面白かったです。
にさわ 
下に張り巡らせている糸に気を取られないように、三人の会話と空気に集中しないといけない。
___ 
そう、シャッターを開け閉めしたり、ビルを出て、道路を渡って行くのが窓の外から見えたりして。
にさわ 
妖怪SOHOでは、いつかまた公演がやりたいです。

没頭3

___ 
雑な質問かもしれませんが、安住の地では、例えばどんな演技が求められますか?脚本・演出家は、岡本昌也さんと私道かぴさんの二人がいらっしゃいますが。
にさわ 
二人とも、最終的に求めているものはそんなに違わないはずで。でもそこに行くまでの道筋の示し方が、岡本さんと私道さんとでは違うんです。私道さんは、最短距離をまず示してくれることが多くて。「こういう風に見せたい」という方針があったらその道をまず示してくれるんです。それがうまくいかない場合はじゃあこっちで、というのを示してくれることが多いんです。岡本さんの方は、「どういうイメージにしたいか」というのをまず示してくれて、でもそこにたどり着くまでの道筋は割と演者に任せているんです。時々、手段としての演出は付くんですが。
___ 
今回の「ポスト-」は岡本さんと私道さんの共同制作でしたね。
にさわ 
だから、二人の言うことがやっぱり途中で食い違うことが時々あって、役者は混乱することもありました。でも道の示し方が二人で違うだけだと気づいてからは自分で行き方を探すしかないなと。俳優それぞれの、道を探す能力が根本的なところで求められている稽古場だったと思います。つまり、上手に行けなくてもいいから自分で道を探してたどり着ける俳優。
___ 
にさわさんのお母さん役の時、お姉ちゃんがVRの世界に行ってしまったじゃないですか。するとお母さんはそのことだけに必死になってしまって、普通の女子校生である妹の姿が全く見えなくなってしまう。見るべきものが見えなくなってしまう。そうした演技を作る時に、にさわさんはどういう道を辿りましたか?
にさわ 
正直なところ、「どういうお母さんなのか」という指定はあんまりもらえていなくて、とにかく台本の中では妹のユーナちゃんが主軸になっていて。とりあえず、妹から見て理不尽な存在であるほうがいいのかなと思っていたんです。そう見えることが最終的な目標で、お母さん視点で作ったら失敗するということに途中で気づいたんです。ユーナからはお母さんはこう見えるというのを主軸にして考えてました。私の感情というのは置いといて。
___ 
お母さんをそういう風に見せたいということについて、どこまで意思の共有をしていましたか?
にさわ 
それ、その確認は結構直前だったんですよね。ぶっつけ本番になってしまった感じで、ゲネの時点で手探り状態だったんです。小屋入り直前の通し稽古で、家族3人で「ちょっとまだ違うね」と話し合ってる段階でした。
___ 
その、お母さんが自発的には妹の方を見ない、という演技が印象的だったんですよ。ふと妹の方を見てしまうということはなかったんです。あれはよい演技プランだったなと思いました。
にさわ 
見ないようにしようとまでは思っていなかったんですが、無関心でいようと思ったわけでもなく。長女のことだけで頭がいっぱいになってしまうという状態であろうとは思っていました。

没頭4

___ 
にさわさんは女子高生も演じてましたね。柳原良平さん演じるおじさんとパパ活をしていた女子高生。どうでしたか。
にさわ 
楽しかったですね。元々安住の地では歳が上の役をやることが多かったので(多分これからもやりますが)、どうしたら若い女子高生に見えるかというのを考えた時に、自分の中のキャッキャッとした部分を開放する形になったので。演じてる時にすごく居心地が良かったです。女子高生の無敵感と言うか。
___ 
キラキラした演技でしたよ。
にさわ 
本当の意味で高校生を再現することなんてできないんだろうなと。結構、自分の中で意図的に幼い部分を卒業しようとしていた時期があったから、今それを再現しようとするとどうしても難しいというのがあったので。本当の女子校生にはやっぱりもう勝てないんですよ。