クローゼット用フレグランス

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
池田 
え、マジですか。何ですかちょっと。
若旦那 
このシステム、毎回ビックリするんですよね。
中村 
(笑う)
__ 
つまらないもので申し訳ありませんが・・・
池田 
ありがとうございます。開けていいですか。
__ 
もちろんです。
池田 
(開ける)これは。
__ 
それはですね、洋服ダンスの中に入れると香りと防虫効果があるやつです。
池田 
いや、これむっちゃオシャレですね。嬉しいです。
__ 
もし持っていたらとは思いましたが、いくつかあっても困らないだろうと。予備のオイルは売ってなかったんですけど・・・。
池田 
これ、嬉しいです。服がおっさん臭かったら妻に嫌われますから、ぜひ使わせていただきます!いやしかし、初めての経験です。インタビューされてプレゼントを貰うのは。


いろいろと試行錯誤

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、木之瀬さんはどんな感じでしょうか。
木之瀬 
よろしくお願いします。次に参加させていただく劇団しようよの稽古が始まりまして。それが一公演きりなんですけど、東京のせんがわ劇場演劇コンクールに出すんですよ。
___ 
あ、そうなんですね。一回きり。もうすぐですね。
木之瀬 
もう、2週間ぐらいしかなくて。『こんな気持ちになるなんて』という、劇団しようよとしては再演の作品なんですけど、今回は新しいバージョンになっていて。いろいろと試行錯誤しているところです。
Massachusetts
2012年、木之瀬雅貴を中心に結成されたスーパーコントユニット。"学問の街"として有名なマサチューセッツの名を冠す通り、「お笑い」を学問として捉え、多角的に考察。世に存在するあらゆる事象や現象、法則をコントに転換する実験グループである。様々なタイプ、触感の「笑い」を提供する。(公式プロフィールより)

KUNIO番外公演『ともだちが来た』

___ 
木之瀬さんはKUNIO番外公演『ともだちが来た』に出演されたということで、私は残念ながら拝見できませんでして・・・。ただ、とても良く出来た会話劇であり、それ以上に、舞台上で俳優たちによって作られた関係性それ自体に強度があったという噂を伺っています。まずざっくりと伺いたいのですが、出演された木之瀬さんとしてはどんな経験でしたでしょうか。
木之瀬 
まず、俳優としての実感がこれまでの中で一番強い公演でした。杉原邦生さんにはKUNIO11『ハムレット』のときもお世話になったのですが、その時はあっぷあっぷで。配役がまた主役のハムレットだったというのもあり、その重さを自分一人で持ち上げようとしたりして、周りが見えなくなったり、失敗も沢山しました。でも今回は、冷静に自分に何が出来るかというのを検証していけたのかなと思います。
___ 
なるほど。
木之瀬 
そうやって一つ一つを突き詰めて、積み上げる作業を繰り返しました。終演後に観てくれた人と話すと、多くの人が、俳優や演出についての言及よりもお客さんそれぞれの内面に迫る感想を持ってくださったのが良かったなと思いました。友達って何だろうって考えてくれたり、記憶や心象風景と重ねてくれたり・・・。作品に対して俳優が透けて見えるっていう僕の理想に、ほんの少し近づけたかもしれない。結果論ですけど、稽古で粘って積み上げたことが間違ってなかったことを証明できた気がしました。
KUNIO番外公演『ともだちが来た』
公演時期:2015/5/14~17。会場:元・立誠小学校 音楽室。

しびれ

___ 
その「俳優としていま出来る事を積み上げる」作業について。それはもちろん、演技を支える役作りという基本的なことだと思うんですけど、プラスアルファの思考があるんじゃないかと。そこで、『ともだちが来た』でのどこかひとつの演技、「これは自分では良くできた」と言える成果を例にとって、どんなお考えで進めたのかをお聞かせください。
木之瀬 
今回、演出家には「状態を見せろ」という事を言われてたんです。前作『ハムレット』の時は戯曲の構造に則って、感情を「言葉」に乗せるという事に集中していたんですけど、今回は言葉ではなく身体を見せるっていう、ある意味反対の事に取り組みました。
___ 
なるほど。
木之瀬 
『ともだちが来た』という作品は、「友達」という存在が「私」の家に来るところから始まります。僕が演じたのは「私」。その友達は既に死んでいるんですが、それが劇中ではなかなか明示されない。半分すぎたくらいで友人の口から死の事実が語られ始めて、それによって私の心がだんだん揺さぶられてくる。その場面で、あるタイミングを境に私が「いやいや、俺だってこう感じてんだよ」みたいに反撃していくんですけど。
___ 
ええ。
木之瀬 
そもそもこの二人の関係性は、何となくヒエラルキーを感じさせるんです。昔、いじめや迫害なんかがあったかもしれない。おそらく、私が友を蹴落としたのだと解釈したんですけど・・・。そんな友の言葉に揺さぶられつつ、反抗して切り返す演技が凄く難しかったんです。戯曲では「私」はそこで急に饒舌になるんですが、さっき言ったようにただ言葉に感情を乗せるだけでもダメで、「言いづらい事をあえてあっけらかんと喋る」っていう演技で処理するのも違うんだ、なんていうふうに演出家とディスカッションしたりしながら試行錯誤して。「状態を見せろ」とも言われているし。
___ 
そこが難しかったんですね。
木之瀬 
僕は元々、ひたすら発散のエネルギーで演技をしてしまう癖があって、以前邦生さんに矯正されたんです。当たり前の事ですが、感情・動機をちゃんと作ってから発語しろと。『ハムレット』の時はそのやり方をきちんとやることで対応できたけど、『ともだちが来た』ではそれでは対処が出来ないという場面が発生した。迷った挙句思いついたのは、矯正される前の「よくない演技の作り方に戻す」というやり方でした。役の感情が出来ていないのに行動・発語してしまうというのを、意識してやってみたんです。
___ 
おお。
木之瀬 
役の状態と自分の演技のやり方が、見せ方として合わさるかもしれないと思って、本当に賭けでやったんですよ。気持ちが出来ていないのにしゃべり始めると、呼吸が浅くなって手足がしびれ始めるという感覚が僕の中にはあるんですけど、それをあえて生じさせた時に上手くいって。「状態」を見せる形にすることができたんです。
___ 
衝動を演技で表現する時に、あえてそうする。役者にも人物にも分からない衝動だから。
木之瀬 
まあ最初からずっとやっちゃうとへたくそだという事になってしまうので、タイミングを見定めると効果があるのかな、とは思いました。

劇場外と融け合う

___ 
会話劇をしているときに役者に起こっている事、起こっていない事、そして起こるべき事について考えていければと思います。木之瀬さんの場合、会話劇をしていた時に、どんな実感がありましたか?
木之瀬 
僕の場合、本番になると完璧主義の性質が出るみたいで。稽古場と違う事に過敏に反応してしまうみたいなんです。
___ 
というと。
木之瀬 
共演した田中祐気は、本番になったらとりあえずやっちゃえっていうタイプなんですけど、僕はその逆で。今回、元・立誠小学校の音楽室が会場で、遮光パネルもカーテンも開けて外の光や音がばんばん入ってくる状態で上演したんですが、そういうのがお客さんには気になってしまうんじゃないかとか考えちゃうんです。「あ、今カラスが鳴いた」とか気づいちゃうし。でもお客さんにとってはそれは舞台上と等しくひとつの情景ですからね。共演者にも言われたんですけど、気にしすぎだと。
___ 
そうした傾向は前から?
木之瀬 
演技は荒いくせに、そういうことに敏感で。周りが見えたうえで捨て去るべきだと反省しました。
___ 
昔、劇団どくんごの野外公演で、役者が全然関係ない向こうの道路を通り過ぎる救急車の音に反応するという演技があってそれはとても面白かったんですけどね。ネタとして。
木之瀬 
そこまで意識的にコントロール出来ればいいですよね。ノイズと融け合える、みたいな。

一つの大きなエンジン

___ 
『ともだち』では、弛緩していないように見せなければならない、そういう演技で緊張する身体、という事だったのかなと思うんですが、基本ベースとしてどんな状態を見せようと思われましたか?
木之瀬 
稽古場でダメ出しを受ける度に気づいたことがあって。感覚的な話なんですが・・・。
___ 
伺いたいです。
木之瀬 
全体を見ていくような、視点が高く広くなっていくんです。役が動く所作には、一挙一動に感情と動機と理由があって、でもそれらを一つずつ細かく作っていくというよりは、実は全てを動かすエンジンは一つなのでは、と。動きの一つずつにエンジンが違うんじゃなくて、でっかい一つのエンジンが稼働して、それが各所に作用していって指先に到達する。大きいエンジンがあれば、外界の細かい事は気にならなくなっていくと思うんですよ。樹形図の反対みたいな。時には最下層の細かいエンジンを使い分ける事もあるんですけど。
___ 
木之瀬さんには一つの大きなエンジンがある。
木之瀬 
はい。

芸人に

___ 
芝居を始めた経緯を教えてください。
木之瀬 
元々はお笑い芸人になりたかったんです。2003年に起こったお笑いブームの時に、「芸」っていうものがかっこいいなあと思って。その道の途中でラーメンズに出会いました。ラーメンズがちょっとお芝居チックな事をやってるのをみて、自分も真似してみようと。中学三年の時に初めて脚本を書いて演出してみたんですが、周りの反応が良くて調子に乗って。その流れで高校でも演劇をやって、大学もその方面に行こうと思いました。演劇学科のある大学というと日大を奨められたんですけど、京都に来たくて京都造形芸大に入りました。目標はいろいろマイナーチェンジを繰り返して今に至ってますが、未だにお笑い芸人は最高にかっこいい職業だと思っています。

質問 黒木 夏海さんから 木之瀬 雅貴さんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた、黒木夏海さんから質問です。「自分がいけてると思う時はいつですか?」
木之瀬 
舞台上にいるときです。僕が出演した舞台を観てくれた初対面の人に「舞台以外だと案外小さいんですね」と言われたことがあって、逆説的に舞台上では少しは大きく見えてるのだと気づいて。たぶん態度がでかいからですね。そのおかげで、私生活はぐうたらな人間だけども舞台上でさえいけてるのならいいか、と開き直れました。

futurismo『珈琲が冷めるまでの戦争』

___ 
futurismo『珈琲が冷めるまでの戦争』も出演されましたよね。3月でしたね。面白かったです。
木之瀬 
口語調の芝居を全くやった事がなかったので、大学を出る直前のタイミングでやれて良かったです。
___ 
匿名劇壇の福谷さんの脚本でしたが、合気道みたいな芝居でしたよね。恋愛における、こうきたらこう返す、ああ来たらこう返すみたいな。その応酬がとてもキレイだったんです。恋愛はもしかして武道の組み手に近いものなんじゃないかと。スポーツ観戦みたいな気分になっていました。
木之瀬 
それはもう、福谷師範が稽古を付けて下さったからですよ。太刀筋が見えていらっしゃるんです。
___ 
戦術の応酬でしたよね。そういう戦争。主宰の松永渚さんに一言。
木之瀬 
本当に誘っていただいて良かったなと思ってます。共演したのが活躍されてる方ばかりだったので、それはもう刺激的な毎日でした。早く追い越したい。
___ 
そういえば、木之瀬さんとは昨年の4月に行われた「gateユース」の時、Massachusettsで出会ったんですよね。あれは良かったです。大学で学ばれた事が生かされてたのかなと。
木之瀬 
生かそうとは思っていなかったですけど、同じ学び舎にいた者達なので自然とそうなったのかもしれません。Massachusettsは今後も可能な限り続けたいなと思っています。将来有望な人たちばっかりなので、みんなが有名になってその名前だけでお客さんを呼べるようになったら再始動します。次は幕張メッセとかでやりたいです。
futurismo
俳優・松永渚の演劇ユニット。イタリア語で未来派という意味を持つ単語だが、本人の勘違いにより、ここではフィチュリスモと読む。『今』をコンセプトに、関西の同世代を招いた本公演にて旗揚げ。(公式サイトより)
futurismo #1「珈琲が冷めるまでの戦争」
脚本・演出:福谷圭祐(匿名劇壇)
出演:松永渚 西分綾香(劇団壱劇屋) 佐々木誠(匿名劇壇) 佐々木ヤス子 木之瀬雅貴 福谷圭祐(匿名劇壇)
公演日程:3月26日(木)19:30 3月27日(金)20:00 3月28日(土)13:00 / 15:30 / 18:00 / 20:00 3月29日(日)13:30 / 16:00 3月30日(月)19:30 3月31日(火)20:00
会場:common cafe
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)

東京で戦う必要

___ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
木之瀬 
東京で戦う必要があります。やっぱり競争相手の絶対数が違うし、そこで淘汰されるレベルなら淘汰されてしまえばいいとも思っています。もちろんそれは絶対嫌なんですけど、試してみなければ分からないなと。
___ 
そうですね。
木之瀬 
東京で通用する人材にならねばならぬという気持ちと、反面、田舎出身だから京都は単純に住むのが心地よくてここにいたいという自分も居ます。今後の事で言えば、住まいはどこにしても各地を往復をするみたいな事が出来ればと思います。フットワーク軽く。

黄色い絵小皿

___ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってい参りました。
木之瀬 
ありがとうございます。futurismoの現場で、僕が何をもらえるのかの予想が立てられていましたよ。
___ 
いえいえ、つまらないものですよ。
木之瀬 
(開ける)小皿ですね。ありがとうございます。大事に使います。


五月の暖かい日に

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。黒木さんは最近、どんな感じですか?
黒木 
最近はちょっと落ち着いています。やりたい事を模索している時期があったんですけど、それが段々と落ち着いてきて、今はわりと安定してますね。
__ 
気持ちが安定している、か。それは凄いですね。羨ましい限りです。
黒木 
安定していないんですか?
__ 
まあ。
黒木 
まあ、私も今までに比べてですけどね。

ikiwonomu第1回マイム公演「かつての風景」

__ 
来月公演予定の、ikiwonomu第1回マイム公演「かつての風景」。生演奏とマイムの作品という事で、とても楽しみです。マイム公演という事は、台詞は無いんですよね。
黒木 
そこはいまちょっと迷っていて。言葉を使ったとしてもマイムというジャンルでいけないかな…と思っているんです。演劇から呼んでいる人もいて、その方が台詞を発している時の身体、姿にはやはり生々しさがあって。人が生きているように見えるけれども、その台詞を無くしたマイムにいかにその姿を残すのか、それとも台詞も入れてマイムとして成立させるのか。
__ 
さじ加減の難しいところですね。
黒木 
喋ると演劇やん、ってなりかねないので。悩みながらも楽しくやっていますね。
__ 
どんな公演になりそうでしょうか。
黒木 
その、自分自身が見たいものを実現出来たらいいなと思ってます。人を見せたいというよりは、人を通してその奥に広がっている風景が見えたらいいなと思っています。その息づかいを見せたいですね。
__ 
マイム俳優から見えてくる風景。
ikiwonomu第1回マイム公演「かつての風景」
目の前にある写真。私を取り囲む人びと。
目の前にある写真。弾き語りをする男。
目の前にある写真。出された美味しい食事。
目の前にある写真。の中で笑っているひとりの人。
あなたは、だれ。
私は口いっぱいに広がる人参の香りを味わいながら、目を閉じる。
まぶたの裏は、真夜中のように暗い。
波の音が聞こえてくる。
【公演日程】
6月19日(金) 19:00
20日(土) 15:00 / 19:00
21日(日) 11:00 / 15:00 / 19:00
22日(月) ★13:00 / 17:00
★6月22日(月)13:00の回は、平日マチネ割(500円引き)
[一般]前売2500円 当日3000円
[ユース(25歳以下)・学生]前売・当日共に 2000円
[高校生以下]前売・当日共に 1500円
【会場】KAIKA
【出演】岡村渉 / 菅原ゆうき(兵庫県立ピッコロ劇団) / 豊島勇士 / 仲谷萌 / 黒木夏海

タグ: 迷っています 俳優を通して何かを見る 実験と作品の価値


お祖母ちゃんの光景

__ 
ikiwonomuでは、どんな作品作りをされているのでしょうか。
黒木 
その人の生い立ちなどを聞くのが凄く好きなんです。それをまず最初にばーっと聞いて書き残して、面白かったエピソードを、ちょっと反映します。でも、「かつての風景」に関しては、大体わたし自身の話です。ちょっとずつ、お客さんが楽しめるように再構成して。
__ 
例えば。
黒木 
ウチの陽気なお祖母ちゃんの話かな。結構前から認知症で、私たち家族の事も忘れていて、今は施設に入ってるんです。でもお爺ちゃんのお葬式に、出席せざるをえないじゃないですか。私たちにとってはお葬式はしめやかで静かなものなんですけど、お祖母ちゃんにとってはライブ会場のようで、お坊さんの頭が光っているのを笑ったり、数珠のふさふさで遊んだり。家族としては思う所もあるんですけど、同時に、面白いなあと思ったんです。
__ 
というと。
黒木 
お祖母ちゃんからは、その時のお葬式はどんな風に見えていたんやろうか、と。違う風景が見えていたのかもしれない、と。それを、形を変えて今回の作品に生かせたら・・・。
__ 
黒木さんが伝えたい風景。それは根本的に、家族から来ている?
黒木 
そうですね。何年か前に引っ越したんですけど、その時の母のワクワク感とか、父が少し寂しそうだったり。そういうのが何か、良いなあと。
__ 
なぜ、家族の事を伝えたいと思うのでしょうか。
黒木 
何ででしょうね。そもそも、何で作品を作ろうと思っているのかな。でも、作らんとと思っていて。今のところ、テーマが家族になってしまう。そこにちょっと共感してくれる人がいた時、嬉しいというか、そういうものを通してのつながりが何だか好きなんです。

タグ: 引っ越し 家族という題材 焦点を絞った作品づくり


透明な壁を巡る旅

__ 
マイムって、演劇ともダンスとも違うジャンルですよね。だからまだ人類の知らない可能性があると思うんですよ。参入人数もまだそれほど多くはない。というか、歴史がまだ100年経っていない。
黒木 
そうですね。いいむろさんもおっしゃってるんですけど、マイムの良いところって、人生の長い時間を3分くらいの、いや、もっと短い時間で表現出来たりするんです。それが凄く魅力的かなと思っていまして。でも、一時間ちょっとの作品を作りたいんですけど、自分自身で作ろうとすると3分程の作品の方が作りやすくて見やすいし、一つ伝えたい事がドンってくるから。
__ 
最終的にはより深い印象を刻めるかどうか、ですよね。
黒木 
そうですね。
__ 
人生を凝縮して見せる事が出来る・・・ちょっと脇道にそれますが、マイマーってすごく俳優の人格が出ると思いませんか?
黒木 
出ますね。
__ 
これはもう、演劇よりもくっきりと出るんじゃないかと思う。会話ではなく、モノVS人物なので。さらに、触れている人物を見ている観客はどんな状態にあるかと言うと、動きの面白さはもちろん、この人はこれからどうなってしまうんだろうというワクワク感。
黒木 
そうですね。何でしょうか。それこそ、それぞれの人格も含め、役者が客席の地続きに存在しているような・・・それは一要素としてはあると思います。名前が付いていない、情報が少ないからというのもあるかもしれません。誰か分からない方が面白いというのはあるかもしれません。
__ 
しかも誇張された動きで。何故あんなに不自然なのに見せられるんだろう。見えない壁に当たったら絶対、離れますもんね。絶対に触らないと思う。スリル満点ですよね。
黒木 
そんな人がいたらビックリしますよね。
__ 
意外と、その姿が異様だからこそ、何かを感じているのかもしれない。
黒木 
ええ。
__ 
マイムの表現の原理に、何か、触るというアプローチがあって。あるかどうかも分からない透明を触るその者はその瞬間、個として完全なのかもしれない。何故なら彼はその時誰にも支配されず個としてそれに触れる事を選んでいるから。その時だけは確かに、見えない何かに触っている疑念の身体が明確に存在している。この特定によって、絶対に流れ去ってしまう時間や風景を空間にとどめようとする技術なんじゃないかと。凄くエンターテイメント性を持ちながらも、無常さそのものと相性の良い芸能なのかなと思うんです。そこで家族をテーマにした作品を行うというのは興味深いですね。

タグ: 演技の理解、その可能性 役者はノイズを産み出す機械? 役者の認識(クオリア) 瞬きの数をコントロールする俳優 コンセプチュアルな作品 一瞬を切り取る 愛情表現 新しいエンターテイメント パントマイムの話題 関係性が作品に結実する 俳優を通して何かを見る


マイムとの出会いと、母性について

__ 
黒木さんがマイムを始めた経緯を教えてください。
黒木 
昔から結構、親に連れられて劇場に行ってたんですよ。学校にまわってくるような劇団が多かったんですけど、その流れで高校生の時に芝居のショーケースイベントの手伝いをする事になって。そこで、今は師であるいいむろなおきさんも参加されていて。その時に純粋に感動したんですね。
__ 
おお。
黒木 
それまでに色々見ていたから、身構えていたんですけど、いいむろさんの表現は、何もない舞台なのにとても現実味があって。それがマイムとの出会いでした。そこから別に何かを始めようというのは無かったんですけど。高校の頃は、何故かミュージカルにはまりはじめて。で、音大を目指し始めて。でも高3で目指し始めたものだから中々すぐには受かるはずもなくて、浪人をしたんです。二浪しても受からなくて、三年目に、受験勉強以外もしよう、劇場でバイトしたい、と芸術創造館のホームページを検索してみたら、ど真ん中にいいむろさんの写真と「人は3ヶ月でマイムの舞台にたてるのか?」とありまして。それに応募したのが、マイムをし始めたキッカケですね。今も、日曜日にいいむろさんが開かれているラボセカンドに参加しています。マイムを本格的に学び初めて八年目ですね。
__ 
なるほど。黒木さんは女性マイマーですが、マイムにおける女性男性の違いってありますか?
黒木 
見ている側からの印象の違いはもちろんあると思います。やっぱりわたしはいいむろさんからの影響を大いに受けているので、表現の中に男性的なものはあるかもしれません。でも、作風に関しては女性的だと思います。演劇と同じで、女性作家がいるように。
__ 
黒木さんにとっての女性らしさって?
黒木 
最近、面白いなあと思っているのは母性です。何というか、母にしか出せない何か得体のしれないもの。他にない感じがしていて。
__ 
黒木 
あと、男性と作品を作る時に、母性を求められる事があって。ウソやんと思った事はあります。
__ 
母性を得たいと思いますか?
黒木 
得たいですね。まだ無理な気はしますが。
__ 
あなたの身体はいま、どんな状況にありますか?
黒木 
いま、ですか。今わたし自身は、ちょっと変やけど外から見ています。今、自分自身がどういう視線を送っているかとかどんな体勢にあるのか、とか。外から見ている感覚ですね。子供の頃からそういう見方をしていたんですが、マイムをしてからそういう傾向が強くなりましたね。
__ 
凄いですね。客観的、なんですね。自分には難しい。
黒木 
だから、友達と喋っていても、話題が自分自身の事なのに取りこぼす事もあって。「自分の事やで」って言われたり。ハッと思って自分に戻る事がありますね。

タグ: 親に連れられて劇場 舞台に立つまでの葛藤 瑞々しい感覚 イベントの立ち上げ 母性性 自分の演技を客観的に見る


質問 DanceFanfare事務局の皆さんから 黒木 夏海さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いたDanceFanfareの事務局のみなさんから質問を頂いてきております。まず、川那辺さんから。「ネコとイヌ、どちらが好きですか?」
黒木 
イヌ!
__ 
竹宮さんから「好きな銘柄は何ですか?」タバコという意味ではなくて。
黒木 
服やったら、ScoLar。
__ 
きたまりさんから。「生きている時の感動は、いつ感じますか?」
黒木 
美味しいものを食べている時、ですね。
__ 
御厨さんから。「自分の思う、美味しいゴハンはなに?」
黒木 
ハンバーグしか思いつかない・・・
__ 
例えば、どこのお店とかはありますか?
黒木 
家のも好きなんですけど、出町柳にあるハンバーグ屋さんが美味しかったです。その時中々ご飯を食べるお店が見つからなくて、ついに辿り着いたお店、って感じで印象に残っています。

マイムというジャンル

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
黒木 
マイムというジャンルにこだわっていきたいと思っています。狭いジャンルとして受け取られがちなのですが、でもきっと色んな事が出来ると思っています。ダンス寄りだったり演劇寄りだったり、それ以外も。どちらかというと演劇寄りの事がしたいんですけど。
__ 
いつか、どんな人と一緒に仕事したいですか?
黒木 
今は、結構やりたい人とやれているので、もっとこの人達と長くできたらなと思いますね。

トマトのディップ味噌

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
黒木 
ありがとうございます。
__ 
割れ物ですので、お気をつけて。大したものじゃなくて本当に申し訳ないのですが。
黒木 
(開ける)おお・・・凄い。トマトのディップ味噌。どちらも大好きなので。嬉しいです。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)


Dance Fanfare Kyoto vol.3

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。まずはみなさんの近況を伺えればと思うんですが・・・
竹宮 
4月から京都造形芸術大学の舞台芸術研究センターが母体となり運営している、共同利用・共同研究拠点の事務局で働き始めました。劇場を実験場として研究者とアーティストが創造のプロセスを実践的に探求しています。
御厨 
近況で言うと・・・夕暮れ社弱男ユニットで俳優としてやらせて頂いているんですけども、今年の4月から伊藤キムさん主宰のフィジカルシアターカンパニーGEROのメンバーとしても活動する事になりました。拠点が東京なので、東京と京都を行ったり来たりしながら今後も活動していく事になります。
きた 
この間アソシエイトアーティストとして、アトリエ劇研のショーケースにてKIKIKIKIKIKIとしては2年半振りに作品を作りました。今はDance Fanfare Kyotoの準備と、多田淳之介さんとRE/PLAYの再演をシンガポールのダンサーとやる事になって。そのオーディションをやるために明日シンガポールに行きます。
__ 
みなさんお忙しそうで、何よりです。
Dance Fanfare Kyoto vol.3
Dance Fanfare Kyoto は、作品のクリエイションを通して、身体の可能性を探る実験の場です。vol.03となる今回は、今までの取り組みをさらに発展させるとともに、ダンスをとりまく言葉/対話に重点を置いた新しい試みも加わります。関西のダンスシーンの活性化と舞台芸術における身体の可能性の探求をめざした多彩なプログラム。どうぞお見逃しなく。
【公演日程】
2015年5月29日~31日。その他アウトリーチ企画は6/27まで。
【会場】元・立誠小学校 ほか各所
【料金】に関しては公式サイトへ。

タグ: 今年のわたし