質問 和田 ながらさんから 松永 渚さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、京都の演劇ユニット・したための和田ながらさんから質問を頂いてきております。「1.体で一番柔らかい関節はどこですか?」
松永 
前屈が結構深く行くから・・・どこの関節?
__ 
腰じゃないですかね。
松永 
ああ、腰・・・。柔らかさで言ったら、ホッペは柔らかいです。
__ 
なるほど。「2.どういう匂いが好きですか?」
松永 
香水があんまり好きじゃなくて、というか苦手でした。けど、この間友達にボディミスとみたいなのを貰って。それ以降、その匂いが好きですね。それと、アロマの匂いなら大丈夫になりました。

前向きな気持ちを持つこと

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
松永 
今思っているのは、観てくださった方に、誰かからの思いを繋げられる事が出来たらと思っています。以前ドラマと映画で出演させていただいた『神戸在住』のご縁があって、初めて「阪神淡路大震災1.17のつどい」に寄せさせていただいたんですね。
__ 
ええ。
松永 
私は震災当時3歳で、記憶もほとんどないのに、ここで何かをしてもいいんだろうかと勝手に思っていて。でも携わらせて頂くと、前向きな姿勢とメッセージをはっきりと受け取ることができて。悲しさよりも、これからの未来に向けての姿勢。被害に合った方の為にも自分が何かしていこうと思ったんですね。
__ 
前向きな気持ち。
松永 
被害に遭われた方の実際の心情は、私には想像が及ばないところもあります。でも、そんな私でも作品を通じて表現する事で、私のような人たちにも想いを伝える事は出来るんじゃないかと思っています。それは震災に限らず。作家さんが書いた台詞を私が受け止めて、演技という形にして誰かに伝える。そうやって思いを繋げたい。それを今、私はやらなきゃいけないと。
__ 
今は、そういう風に思っているんですね。
松永 
はい。
__ 
役者もきっと、0を1にする作業だと思うんですよ。そのままでは伝える身体を持たない台詞に肉付けするから。だから、伝わりたい台詞にかりそめでも存在を与えたい本能こそが役者なんだろうなと、最近思うんです。

タグ: いつか、こんな演技が出来たら


今に向き合うこと

__ 
今後、どんな感じで生きていきたいですか?
松永 
過去の自分のためにも、未来の自分のためにも、今という時間を大事にしていきたいなと思っています。本当に。あとは周りに感謝して、謙虚に生きていきたいなと思っています。
__ 
今に向き合うという事ですね。実はそれが一番難しい事ですよね。

KIRALYのシュシュ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
松永 
ありがとうございます。嬉しい。拝見していますよ、このコーナー。何を選んでくださるんだろうと楽しみにしていました。
__ 
ありがとうございます。大したものじゃないんですけどね。
松永 
いいですよね、プレゼントって。何だろう(開ける)あっ、シュシュ。
__ 
ショートヘアだと付けにくいかもしれませんけど。
松永 
めっちゃ大きい。ありがとうございます。髪、伸ばしますね。


村川拓也×和田ながら×punto

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、和田さんはどんな感じですか?
和田 
よろしくお願いします。したためは今までのんびりやってきていたのですが、2015年はいろいろな機会に恵まれていて。1月は努力クラブとBRDGとの合同企画でドメスティックサイエンス、3月末は村川拓也さんとpuntoで上演、5月には参加している演出家コンペの上演審査が福岡であります。10月はアトリエ劇研の創造サポートカンパニーとして、ひさびさの本公演も予定しています。今までこんなハイペースで作品を作ったことがないので戦々恐々としていますが、まずは目の前の作品のことを考えている、というところでしょうか。
__ 
ありがとうございます。しんどいという思いはありますか?
和田 
あまりしんどくはないんです。稽古でいろいろなことを考えて試して深めていくっていう作業は自分にとって演劇そのもので、やっぱり楽しい。そういう場が常にある、いい時間が過ごせていると思いますね。
__ 
良い一年になりそうですね。
和田 
楽しいと同時に、プレッシャーとスリルがある年にもなりそうです。挑戦の年と言うか。なるべく色んな人に見て貰って、色んな人と作品について話をしたいなと思っています。
したため
演出家・和田ながらの大学の卒業制作公演(09)のタイトルであり、またそれ以降、演出活動を行う際の個人ユニット名。名前の由来は、手紙を「したためる」。人間の営みについて、言葉や身体や時間を使って思考する試み。(公式サイトより)
村川拓也×和田ながら×punto
公演時期:2015/3/27~29。会場:punto。上演作品:『終わり』演出:村川拓也 出演:倉田翠、松尾恵美/『肩甲骨と鎖骨』演出:和田ながら 出演:穐月萌、高木貴久恵、田辺泰信 料金:一般:1,500円/高校生以下:無料 ※要予約
ドメスティックサイエンス
公演時期:2015/1/10~11。会場:元・立誠小学校。
「創作コンペティション 一つの戯曲からの創作をとおして語ろう vol.5 上演審査」
公演時期:2015/5/22~23。会場:ぽんプラザホール。

タグ: 今の作品に集中する


したためで作る事

__ 
稽古はものを考えるいい機会・・・。本当にそうかもしれませんね。そもそも台本は仕事の筋書きと成果の二つを既に完全に表現した成果物で、これに取り組むというのは純粋な仕事そのものだろう、と。これは仕事をする人、つまりは人間にとっては幸せそのものだろうと。
和田 
ええ。
__ 
ところで、したための作品は非常にコンセプチュアルですよね。これを見てそのコンセプトを鑑賞するのも、仕事とは言えずとも、やはり純粋な取り組みと言えるのではないでしょうか。そこには物語はないかもしれないけれど。
和田 
そうですね。物語そのものを積極的につくっていく、ということには、あまり惹かれなくって。作り手としては、っていうことなんですけど。だから、普段はマンガもアニメも映画も楽しんで見ます。あとは、作り手側が物語を用意しなかったとしても、人は勝手に物語を作ってものを見る、とも考えていて。
__ 
なるほど。何故物語作りに興味が持てないのでしょう。
和田 
うーん。せっかくなら新しいものを開発したいなって思うんですけど、自分の力で新しい物語作りにトライするのは、まあかなり分が悪い勝負だなって考えているのかもしれないです。

タグ: コンセプチュアルな作品


本に触れる時に分かること

__ 
倉田さんから伺いましたが、和田さんは文章に大変なこだわりがあるそうですね。
和田 
単語ひとつひとつをどう選ぶとか、表記をひらがなにするか漢字にするかとか、いつ句読点を打つとか…書くにも読むにも、こだわりありますね。そういう集中力が非常によく実ったものであれば、詩でも評論でもエッセイでも、もちろん物語でも、大好き。文章萌えするっていうか。(笑)
__ 
文章萌えか・・・チョイスとか、配置もかな。
和田 
言葉って、テクニックもトレーニングも必要ですよね。その見事さに感動するってこともあるし、逆に、言葉に対するゆるみや隙がある表現に触れると、がっくりきちゃうというか。演劇を観る時も同じです。劇作家、演出家、俳優それぞれの言葉に向かう態度みたいなものが気になります。
__ 
分かります。本を買う時も、文章一つを読んだだけで大体分かりますよね。

視線の揺らぐとき

和田 
いま、3月末の作品の構成台本を書いているんですが、逆にそこでは自分のこだわりが邪魔になって筆が進みません。しかも悩んでいるのは、お客さんが聞く台詞の部分というより、出演者に向けてのト書き部分だったりするので、自分で自分がうっとうしいなって思ってますね(笑)。でも、どういう言葉がどういう作用で出演者に届くのかとか、そういうことに神経を使うこと自体は、作品の質を上げるんじゃないかなという気もして。
__ 
なるほど。
和田 
だから、自分がもっている言葉を鍛え続けないとなって思ってます。
__ 
文章センスのない観客がいたとしたら?観客全員がそうだったとしてもそのスタンスは変わらない?
和田 
うーん、スタンスというより、自分の言葉をそのままお客さんに届けたいという気分はほとんどないですね。作家的志向があればまた違うと思うんですけど。そもそも演劇は、もちろん言葉もあるけど、俳優の身体もあるし空間もあるし、そこで観客が何をどれだけ聞こうが見ようが勝手ですよね。どうしても見てほしいところだけ見せる、映像でいうようなクローズアップができない。
__ 
そうかな。ピンスポットで抜くとか。
和田 
もちろん眼差しを誘導するテクニックはありますけど、だからといって本筋にはまったく関係ないような、たとえば俳優の足の右の親指に注目してしまうお客さんのことは止められない。でもそれが豊かさですよね。私も自分の作品の中で人が見たいものはあるけれど、お客さんの目に対して、過剰に権力を行使したくないなって思っています。

倍率とレイヤーが語りだす事はあるだろうか

__ 
3月末の上演作品「肩甲骨と鎖骨」。どんな作品になりそうでしょうか?サイトに、はジョルジュ・ペレックに影響を受けた作品になるそうですが。
和田 
ペレックはフランスの作家です。きっかけは忘れたんですけど、「さまざまな空間」という本を読んで、それにすごく惹かれたんです。それは色んなレイヤーの空間にアプローチするっていう作品で、ページ、ベッド、寝室、アパート、通り、街区、街、国、世界と、どんどん倍率が広くなっていくかたちで記述が続いていく。
__ 
面白そう。
和田 
それを皮切りにペレックの作品を読み進めたら、どんどん面白くなっていって。いろんな側面があるんですけど、作品を作る時の技法が興味深いというか。彼はウリポ(潜在文学工房)という実験的な文学グループにも所属していたんですが、例えば、書く時に制約を掛けたりするんですよね。「煙滅」という作品は、失踪した男についての話なんですけど、フランス語で最も使われている「e」を使わずに書かれているんですよ。しかもかなり分厚い。
__ 
面白そうですね!
和田 
それから、ある1年に自分が食べたものをとにかくリスト化した作品や、自分の仕事机の上の物の来歴をとにかく記述した作品とか…。現実の物事をどのように描くことが可能か、そのトライアルをした人だったと思うんですよね。そこにとても共感しています。自分は演劇でそういうことをやりたいんじゃないのかなって。
__ 
それが「肩甲骨と鎖骨」。
和田 
はい、ペレックの作業を参照しながら作ろうと思っています。

タグ: 知識を付けよう 肩甲骨と鎖骨 実験と作品の価値


俳優をめっちゃ見てほしい

和田 
それから、ペレックは記憶にこだわりがある人なんですよね。彼はユダヤ系の人で、彼が幼い頃に両親は戦争で亡くなっていて、両親にまつわる記憶がほとんどない。そのコンプレックスというか、傷が、ペレックが記憶にこだわる発端です。彼の作業を参照するというのは、記憶そのものについて考えるという事でもあります。
__ 
なるほど。ところで、puntoという、ある種制約のある環境において、どのような作品になる予感がありますか?
和田 
そうですね、まだ、構成台本ですら最後までできていないような状況ではあるんですけど・・・ただ、思い出を愛でるようなことにはしたくなくて、目の前に俳優がいる現在と、記憶することと、思い出すことを往復したいなと思っているんです。
__ 
その往復を観客がどのように受け取るか、ですよね。そういう装置を自覚的に見ていて、往復し続ける体験によって生まれる快感がもしかしたらあるのかもしれない。・・・どうだろう、それはお客さんに事前に断ったらいいんじゃないか?
和田 
バランスの問題ですよね。さっきの話ではないですけど、「こう見てほしい」と伝えたからってそう見てくれるとは限らない。でも、観る体験を損ねないようなヒントとしてであれば、当日パンフレットなどに、そういった文言を載せてもよいかもしれません。
__ 
役割としての観客に何を期待しますか?
和田 
俳優をめっちゃ見てほしいですね。そこで、変な言い方ですけど、目の前に人がいるってことに興奮できたらいい。それから、お客さんが自分自身の記憶を参照する、それも特別な記憶ではなくて、日常の些末な記憶にアクセス出来たら、うれしいですね。
__ 
人間として、一個の記憶をリアルタイムに呼び出し始めたらいいな、って事?
和田 
そうですね。その感覚の入口を、俳優のパフォーマンスが提示できたらいいのかも。
__ 
俳優がそこまでの取っかかりを持ちうるようであれば素晴らしいですよね。近くて狭い、小劇場というフレームの中で。
和田 
観客と俳優が近くて、それこそ隠れる場所がないので、ゆるいことをしてしまったら一発でバレるっていう怖さは常にありますね。
__ 
ええ、何となくで伝わると思います。
和田 
チラッと視線が逸れただけで、それまでが台無しになっちゃうこともあるので。

タグ: 自覚的になりたい


ディテール

__ 
したための作品、gate#11で上演された「ここ」が面白かったです。自己紹介を発話する身体が、段々と浮かび上がっていく感覚。あの面白さは男性ならでは、って感じ何故かしたんですよ。その前に出村さん・飯坂さんと作られた作品は冗長さが気になったのもあって。ご自身としてはどうでしたか。
和田 
それまで男性の出演者だけで作品を作ったことがなかったんですけど、「ここ」は田辺泰信さん・七井悠さんの男性二人に出ていただいて。男性ってどういう目線で生活をしているのか、それって女性と違うのかな、って考えてたんですけど、そこまで大きな違いはなかったです。
__ 
ええ。
和田 
でも、うまく言葉にはできなかったんですけど、女性が持っているユーモア、男性が持っているユーモアは質が違うなあという感触はあったかも。
__ 
なるほど。したための作品って、私小説的な雰囲気があると思っています。自己紹介する身体に興味がある?
和田 
そうですね。私は作家ではないので、誰かがすでに書いた既存のテキストを使うのでなければ、目の前にいる俳優しか素材がなくなるんです。そこで、俳優に自分のことをしゃべってもらって、それを作品の要素にしたりする。でも、俳優に自分のエピソードを語ってもらう時は、その人の部屋に何がどういう配置であって、何に囲まれて生きているのかを尋ねます。自分自身に対する自己評価でもなく、経験した事件でもなくて、部屋のレイアウトや持ち物が、その個人のパーソナリティとか歴史とか生活を支えているんじゃないかと思っているんです。
__ 
パーソナリティ・・・。ちょっとセクハラしますが、私の部屋のベッドはロフトになっているんですが、部屋の柱とベッドを橋渡しする形でトレイが置かれていて、その橋の上にエロ本を山ほど積んでいるんです。およそ異常な重量になっていて、トレイが撓み、ベッドがへこみ、柱が非常に傷付いています。つまり、そういう事ですよね。
和田 
そうそう。その様子がすでになにかを暴露してる。どこにでもあるようなフォーマットの賃貸のワンルームとかに、自分が選んだもしくは貰ったものを持ち込んで、自分の部屋とする。その巣作りの仕方自体が雄弁に人の事を語るんじゃないかと思うんです。たとえば、どの本をどういう組み合わせで持っているか、または持っていないかとか。
__ 
それはペレックの作品にも通じている?
和田 
そういう側面もあると思います。ペレックには、あくまで物の記述や列挙に徹した作品があるんですが、それは一つ一つが特別なもののわけじゃない。でも、その配列からにじんでくる何かがあるんですよね。私個人は劇的な出来事も特にない平凡な人生を送ってきたので、わざわざ人に言うような物語の持ち合わせはないんですが、自分の周囲に積み重なっている他愛のないものたちを挙げていくことはできる。それを俳優にも期待しているのかな。
__ 
なるほど。私はまあ物語よりの人間なので、本を棚に置く時、背表紙を壁側に向けるみたいな描写に惹かれますね。

タグ: 世界がズル剥け


視界への入り口

__ 
いつか、こんな事が出来たらいいなとかそういうのはありますか。
和田 
あんまり野望みたいなものはもってないんですけど・・・出来たらいいなってことだと、わたし、写真とドキュメンタリー映画が好きで、でも自分では撮らないんですよね。もし自分がそういうような映像作品を作るとしたら、どういうものになるのか。ちょっと考えたりします
__ 
映像作品といえば、倉田さんに聞いたんですが、村川さんの新作の映像作品「千葉さん家の夏休み」が面白いそうですね。
和田 
東北に取材に行って撮影された映画ですね。やっぱりドキュメンタリーや写真って、作家が何をどう見ようとしているかとか、世界をどのように見ているかがすごくハッキリ出る。
__ 
よく出来た俳句とかもそうですよね。
和田 
こういう物の見方や解釈があるとか、時間を掛けて見えてくるあり方とか。映画も写真も、カメラを通してなにかを「見ている」、その行為がおもしろいですよね。
__ 
あ、そういえばそうですね!絶対そうだ。
和田 
フレームで切り取る。クローズアップも出来る。何秒間映すとか、一息に撮ってしまうとか、ダイレクトに意志や美学が現れますよね。
__ 
その前提として作家が見て認識している事実があり、それは観客にはもちろん作家にも動かしようがない。
和田 
ツァイ・ミンリャンの「郊遊」という映画をこの間京都シネマで見ましたが、シーンの長回しが多くて、しかもいちいちすっごくカットが長いんです。好き嫌いは分かれてしまうと思うんですけど、私はその退屈かもしれない長さが彼にとって必要なんだということがよくわかった。演劇にしても、演出家がどういう時間の使い方をしているかは結構気になります。
__ 
アングラ演劇とかね。
和田 
まあ、時間の感覚は主観的なものなので、それがハマるかどうかは本当に個人的な出来事だと思うんですけど。でも、このシーン面白いんだから、もっとやったらいいのにって感じることの方が多いですね。

タグ: ドキュメンタリー アングラ演劇という価値


京都にいて思うこと

__ 
京都について何か思うことはありますか?
和田 
街のサイズが丁度いい。住んでいるところと劇場と稽古場と仕事場と、自転車で行き来出来るのが、生活圏として健全だなと思いますね。自分には合っているなと思います。
__ 
これから表現を始める人に、一言お願いします。
和田 
とにかく何でも見たらいいんじゃないかって思います。もちろん見たものには影響を受けるけど、入力の数が少なかったらそれがバレちゃうんですよね。「ああ、あの人に影響受けてるのね」みたいな。いっぱいチャンネルを持っていたら、視野が広がっていくんじゃないかと思います。

質問 倉田 翠さんから 和田 ながらさんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました倉田さんからお願いと質問です。紙とペンをご用意いただいて、「最近めっちゃ腹立った事をばーっと書き出してください。」
和田 
えっ。腹が立ったこと?うーん。(書き出す)はい。
__ 
「先輩から深夜にメッセージが来て、京都のゲストハウスを検索して探し回ったけど空室がほとんど無かった事am3:00」ありがとうございます。
和田 
京都に遊び行くからどっかいいとこ知ってる? って聞かれて、探しはじめたら止まらなくなっちゃったんですけど、全然あいてないんですよ! 住んでると京都が観光都市だということを忘れますね。
__ 
京都にはもっともっとカプセルホテルが必要ですね。なんとなく150万室くらい欲しいよね。ありがとうございます。次です。「日常生活で大事にしている事を教えてください」
和田 
三度の食事。ただの健康なやつの答えですね(笑う)
__ 
朝食は何を召し上がるんですか?
和田 
食パンを焼いてジャム塗ってぐらいですけど、絶対食べます。

タグ: ホテルの話 朝食についての話題


手触りの良いブックカバー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってい参りました。
和田 
ありがとうございます。いつも感心してます。
__ 
大したものではなくて申し訳ないんですが・・・
和田 
いえいえ(開ける)まあ素敵。いい色ですね。
__ 
ブックカバーです。緑色ですが、茶色の方が良かったりしますか?
和田 
いえいえ、緑好きです。


健康の自覚があやふやの事

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、倉田さんはどんな感じでしょうか。
倉田 
うーん。どんな感じ。元気ですよ。
__ 
例えば今日、雨が降っていますが、雨の日は調子が悪いとかそういう事はありますか?
倉田 
いや調子はね、基本的に良い事はないと思うんですよ。元気なんですけど、調子ええわーって事もない。でも調子が悪い事もない。ま、以前と比べて客観的には元気に見えてると思います。
__ 
元気の自覚がない?
倉田 
何とも言えないんですけど。言われるほど元気になったという訳じゃないけれども、別に昔から元気じゃなかった訳じゃないから。元気ですよ、って感じなんです。「どんな感じ?」って難しい質問ですね。
__ 
そういう風に、自分が元気かどうかの確信が持てなくなったのはいつから?
倉田 
お姉ちゃんがかなり大変な病気で。それに対して私はかなり健康で、次女なんで手の掛からない、言うたらほったらかしでいい子だったんです。でもお姉ちゃんはいつか近い内に死ぬんやなと。今はもうばんばん元気で子供もいるんですけど。
__ 
なるほど。
倉田 
小学校高学年の時に、お姉ちゃんは死なへんのやと気付いて。もちろん仲良かったんですよ死ねばいいとかは全く思ってなかった。でもお姉ちゃんが死なないというのはちょっと何故かショックで、元気担当がイヤになったんですよ、今思えばですけど。私昔から健康で、骨折もしたことないし目もいいし鼻血も出さないんですよ。だから自分がどんだけぶつけたら骨折れるんか、どんだけ息止めてりゃ死ぬんか、という事に興味を持ち出した頃に、元気に対する意識が普通とはズレていたと思います。小学校3年くらいかな。今はそんな事思ってないですよ。でも健康である事に距離を置こうとしていますね。

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2015/春
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倉田

「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」

__ 
倉田さんの個展作品「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」について。こちらは数年前から何度も上演されていて、独特の形式(会場内で過ごしている出演者たちと観客が交じり合う)が特徴ですね。この作品は、雑談の時間がとても重要な要素を占めているんじゃないかと思うんです。出演者とお客さん、あるいは出演者同士だったりの。
倉田 
こういう風に普通に話したり、ですね。
__ 
普通、「作品」って一定の時間にまとめるのが大事じゃないですか。でも「今あなたが~」はお客さんが見れない時間が大量にあり、それどころかパフォーマンスが行われていない時間も相当ある。いきおい60%ぐらいがそんな時間で、結構みんな雑談したりぼーっとしてたりする。でもその「あそび」は実はもの凄く重要な部分として存在している。
倉田 
あれはね、雑談はすごく大事なポイントで。あの展示で、お客さんが入ってきたからといって話すのを放棄すると、これは舞台と一緒なんですよ。客が見る人で、こっちが見られる対象として安定している、みたいな事は別にやりたくなくて。造形大のgraduates under 30 selectedで浅田彰さんが「倉田翠の作品もいいんだけど、裸で立ってるとかそういう事しろよ」って言われたんですけど私はそういう事をしたいんでは全くなくて。いやそれは舞台人なら誰でも出来るし客をびっくりさせるようなのは舞台で出来ちゃうしそこでやればいいんです。私がアホみたいに展示をやり続けているのは、現実に起こるヤバい出来事(パチンコを元気の象徴だと言う人に出会ったり、死ぬと思ってたお姉ちゃんが死なんかったり)とかの衝撃に劇場は勝てへんのじゃないかと思っててて。
__ 
ええ。
倉田 
なるべく、現実の事と、見る・見られるが曖昧になるような作品を、身体表現としてしたいなと思っているんですよね。
「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」
出演者(展示物)が会期中展示場に居続け、そこで生じる人と人との関係を作品とする身体展示。(公式サイトより)

タグ: 観客との関係性 自分は何で演劇を


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倉田

それは雑談の横で行われている

倉田 
展示の中で会話をしているのがパフォーマンスかどうかが分からない、そのギリギリのところを攻めたいと思っていて。出演者には何も言ってないんですが、かなり要求はしています。
__ 
演出としては何も言ってないんですね。
倉田 
そういうコントロールや細かい指示は何にも。お客さんと喋っている時に照明が当たったりマイクが手渡されたりしたら虚構度はバーンって上がりますよね。それを客に体感させるかどうかというのは個人の判断ですね。他の出演者のやってる事に乗るかどうかも任せていて。だから失敗する事もあれば成功する事もあるんですよ。
__ 
あの空間で成功した瞬間は興奮しますよね。
倉田 
まあ私その、大学の頃食べられなくて痩せたりして、学内のカウンセリングに行けって言われてて。女の先生と30分ぐらい話してたんです、たまにですけど。その人が、卒業後の展示に見に来てくれたんですよ。久しぶりに会って、私いまこんな事してて元気ですよ、でもまだあんまり食べられなくてと個人的な話を普通の会話のボリュームで言ってたら私も悲しくなるし。喋りたい事を喋っている私と同時にマイクを持っている私がいて、どっちも本当の私で。それはちょっとかなりやりたいことに近くて。その機会を、私はそれを期間中ずっと狙っているというか。
__ 
いくつかの異なる様相に同時に自分が含まれている事を自覚するその不思議さ。三条のギャラリー・パルクで拝見した時も、そうした刺激的な瞬間はいくつもありました。
倉田 
あれもやばかったですね。あの時は出演者に、それを重く課していたんですよね。あの時は、過去現在で自分にとってなるべくキツい事を形にしてって言ったんですよ。思い出すだけでうええってなるぐらいのものでないとダメって。展示中の舞台の時間は、自分のことをおもっきりしろと言ってました。メンバーも凄かったんでえらい事になってましたよね。
__ 
頭がごちゃごちゃになりながらもスッキリするような感じがありましたね。出演者さんとどうでもいい事を話していたら隣で料理してたりとか、よく分からない占いに巻き込まれたりとか。ドキュメンタリーAVの架空収録みたいな下ネタに遭遇したりして。
倉田 
へー。全然覚えてへん。出演者だけがその全部を知れるんねんな。昔のように一週間出演者を拘束するとかが出来へんのですが、私に関してはずっといるので。この間の大学の時は私と玄済一さんだけが9日間ずっと会場に居てたので。むちゃくちゃ面白いですね。一回目の時、ずっと部屋の隅で見てる子とかもいて。ちょっとだけ参加して帰るのもいいけど、そういう居方もいいやろうなと思いますね。
__ 
そうそう、フラッシュモブみたいな感じに似てるなとちょっと思ったのかな。
倉田 
はい、フラッシュモブの何が面白いかって、その中に巻き込まれた人が、周りのパフォーマーがその日の為に練習してきた事に感動するからなんだと思うんですよ。それと照らし合わすとすると、あの展示の場合はほんまに用意してきたかが分からないようになっていて。浅田彰さんの言う「全裸で立ってろ」とはそういう意味でも違うつもりです。そんなんされたら困りますよね。まあ、私も舞台やってるからその面白さも分かるんですけど。
__ 
また見たいですよね。
倉田 
展示?
__ 
はい。
倉田 
これもね、またずっと作り続けたいなと思ってます。舞台で出来ひんくなっちゃったところを展示でガス抜きしている部分はあって。まあ、やりすぎると日常生活に支障をきたすし。生活の方に掛かってきちゃう、ギリギリの部分をやりたいのかな。でもしんどいですけどね。でもまだまだするつもりなんで、また来て下さい。長時間で。
__ 
一日、ずっと隅っこで見てたいですよ。
倉田 
それしたら段々、展示物化していくと思いますよ。

タグ: 役者のその場の判断 アーティストの生活


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村川拓也×和田ながら×punto

__ 
3月末の「村川拓也×和田ながら×punto」のお話を伺えればと思います。
倉田 
ちょっと長くなりますけど、実はこの企画の前身は「すごいダンスin府庁」という企画だったんですよ。いっちゃん最初は国民文化祭の一環で開催されて、二回目は相模さん演出の作品と倉田演出の作品をやって。
__ 
「天使論」と「ファミリーマート」ですね。
倉田 
最初は府の事業で始まったんです。出演者も公募制にしました。たぶん、若手を主催者にした企画を国民文化祭の中に入れとこう、という感じです。でも、それで終わっちゃったんですよ。終わっちゃうのかよ、と思って。で、二回目からは誰にお願いされるわけでもなく自分で続けようと。
__ 
ええ。
倉田 
府が私みたいな者に力を貸すというのが大事なことなんじゃないかと。まあ、めちゃくちゃ大変なんですけどね。
__ 
なるほど。
倉田 
今回一緒にやる、村川さんと和田さん。村川さんとはまだ出会って時間も経ってないんです。実はちょこちょこ接点はあったんですが、作品に出演させて頂いたのは結構最近なんです。(こういう事を言うと嫌がられるかもしれないんですが)村川さんの作品好きなんですよ。カッコイイと思う。和田ながらは同級生で(私は学年の良くない方の優等生で和田は本当の意味での優等生で)作品の雰囲気が好きなんです。ながらの真面目な性格が出つつも、ちょっと悪さが出てるっつうか。それを府庁でやったら何か化学反応が起きるんじゃないかと思って。単純に、せっかく二人の演出家にお願い出来たし、場所を色々探してpuntoさんに出会ったんです。
__ 
なるほどね。
倉田 
逆にね、府庁ではないところだからこその面白さもまたあるだろうし。これもまた良い形かなと思います。
村川拓也×和田ながら×punto
公演時期:2015/3/27~29。会場:punto。上演作品:『終わり』演出:村川拓也 出演:倉田翠、松尾恵美/『肩甲骨と鎖骨』演出:和田ながら 出演:穐月萌、高木貴久恵、田辺泰信 料金:一般:1,500円/高校生以下:無料 ※要予約
すごいダンスin府庁
2011年の国民文化祭で第一回が行われた。 『すごいダンスin府庁 2011』 http://sgid.michikusa.jp/ 参加者(順不同): Revo(田村興一郎)、harubaru、Hmmm~、ミスター、井澤佑治×広樹輝一、村上和司、今村達紀、淡水、倉田翠×きたまり×京極朋彦/『すごいダンスin府庁 2013』 http://sugoidance.tumblr.com/参加者(順不同) : 今村達紀、竹内英明、田辺恭信、松尾恵美、玄済一、相模友士郎、増田美佳

タグ: 肩甲骨と鎖骨


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倉田

劇場も好きですよ

__ 
倉田さんは、劇場外の公衆に触れる場所に作品を置く事にどんな意義を見出しているんでしょうか?
倉田 
劇場も好きですよ。逆に野外劇には全く興味は無くて。展示に関して言えば、展示と舞台の間をやりたいので劇場感は要らないんですよ。特にポリシーは持っていないですね。ただ、質が良ければ音響とか照明とかのごまかしが無くても見れるものにはなるんやろうなと思っていて。村川さんと和田さんのお二方がどういう風に作るのか、居れる事になるのかが楽しみですね。舞台って、立ってるだけで舞台感ってのがあると思うんですけど、普通の空間だと「居る」のが既に大変ですからね。
__ 
劇場の、劇場にいました感ってありますよね。お客さんが勝手に意味を汲み取っていくやつね。
倉田 
それが良いところでもありますからね。私もいくらでも照明当ててくれよと思いますから。でも普通の空間に立つと負荷が大きくなってくるんですよね。衣裳もメイクも照明もないから、自分がしっかりしていなくちゃ居られへんと。恥ずかしすぎて。蛍光灯の恥ずかしさみたいな。どういう風に、居る為の道を探すのかが、劇場外の作品の面白さだとは思いますね。

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