脚本家としての変化

__ 
今回の東京公演、企画のきっかけは。
野村 
オパンポン創造社が10年になりまして。一度、5年を迎えた日に東京に行ったんです。その時は公演する事自体が目標だったんです。
__ 
10年!
野村 
というか、元々の始まりは16歳の頃から芸能事務所に入ってて。25ぐらいの時に辞めて、何も仕事がなくて。でも芝居がしたいと思った時にどうするべきかと思って、まずは一人芝居から初めたんです。10年経ってがむしゃらに走ってきたんですが、それが東京ではどう評価されるんだろうか、試したいんです。記念という意味もありますが。
__ 
では、去年の「曖昧模糊」はどんな手応えがありましたか。
野村 
何よりも、自分が面白いと思って書いているところでちゃんと反応が返ってきたんですよね。昔は自分のやりたい事しかやってこなくて、それがズレているという事もあったんですけど。(良いか悪いかはともかく)お客さんとの感覚が一致してきている感触があります。これは別に妥協している訳じゃないですけど。
__ 
はい。
野村 
しょうがなしに始めた脚本が、やっと楽しくなってきた気がします。
__ 
身について来た?
野村 
いや、身に付いたと言ったら勘違いした人みたいな感じですけど(笑う)なんだか、自分なりに形というか方程式が出来上がってきた気がします。
__ 
なるほど・・・去年、BLACK★TIGHTSの桜×心中ですごいカッコ良く主演されてたじゃないですか。
野村 
あ、ありがとうございます。
__ 
何かその時も感じて、今も改めて感じたんですけど、野村さんの作るものって気合を入れて“パッケージング”された手作り品って感じで好きです。
野村 
いやでも、まだまだ全然分かってない事は多くて勉強中なんです。今までは見ていただく時は不安だけだったんです。でも、今は見ていただきたいという欲が出てきましたね。楽しくはなってきたんですかね。
__ 
素晴らしい。
~BLACK★TIGHTSpecialnights vol.6~「桜×心中」
公演時期:2014/2/20~24。会場:世界館。

タグ: 目を引く役者とは 出立前夜 「変身願望」 手作りのあたたかみ 作家として不安はない 観客との関係性 作家としての課題


2015年のオパンポン創造社

野村 
やっと色々なところから声を頂いてきているんですが、作品作りを続けたいという気持ちは強く持つようになってきました。脚本のお話も頂くようになってきて。
__ 
というと。
野村 
4月にテノヒラサイズさんに作演と出演をさせていただく事が決まっていまして。本当に、最初に始めた頃には外で作演するなんて考えた事もないので。後悔しないようなものにしないといけないので。4月のそれが終わらない事には僕の2015年は始まらないです。
__ 
2015年は、まずはそこですね。
野村 
まずは3月の東京公演を忘れずに。

役者、野村

__ 
演劇を始めた経緯を教えて下さい。
野村 
中学までは野球部だったんですけど、高校からは帰宅部でした。何もやることがない僕を心配して親が芸能事務所を勧めてくれたのがキッカケです。TVに出れたらいいなぐらいのミーハーな感じでした。
__ 
役者をやってこられて、身につける事に出来た最大のものはなんですか?
野村 
これは作演をやっているからかもしれないんですけど、例えば嫌な事があって、「これは面白いから覚えておこう」と俯瞰で見れるようになった事です。悩むよりは、もしかしたらこれが芝居に役立つかもしれないとネガティブな方向に行かないマインドを手に入れたんですね。このシチュエーション、逆に面白いって感じれるようになったのかも。人生をちょっと楽しめるようになった気はします。
__ 
凄いなあ。状況の中にあって、それを一度とらえ直すみたいな。
野村 
現実逃避するのに近いかもしれないですけど、逆に鮮明に覚えていて、振り返るんですね。まあその時はその時で真剣に悩んでいるんですけど。

タグ: フィードバック SeizeTheDay


質問 伊藤 えりこさんから 野村 侑志さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました伊藤えりこさんから質問を頂いてきております。「最近モテてる野村さん。モテの秘訣を教えてください。あと、お誕生日おめでとうございます。」
野村 
モテてないです!モテたいです。人前に出る以上は。誕生日についてはありがとうございます。
__ 
なるほど。伊藤さんのようにね。
野村 
そうですね。

タグ: 『モテ』 色んな秘訣集


誰かの中に続いていく作品を創りたい

__ 
作演として、どんな作品を作れるようになりたいですか?
野村 
希望としては、一人でもいいので、見て下さる方が何十年先に思い出してくれる作品ですね。一本でもいいから作れれば表現者としては最高だなと。ざっくりとした答えになっちゃいますけど。
__ 
見た人の人生に関わるような?
野村 
書き続ける事で、見に来て頂いた方に伝えられる方法論を探したいですね。
__ 
去年のオパンポンの居心地の良さが印象に残っています。といってガツガツしていない訳じゃなかった。ちゃんと演劇の空気が底にあったんです。あの、包まれている感覚が今後、どんなものになっていくのかが楽しみです。

タグ: 貴方の為に★ 続ける事が大事


全部やっておきたいんです。オパンポン創造社

__ 
役者として、いつかこんな演技が出来るようになりたいとかはありますか?
野村 
いやもう、何でもしたいんで何でもしているんですけど、この年になってもメディアの最前線で活躍してはる有名な俳優の方とたくさん仕事をしたいという気持ちは強いです。関西小劇場の年上の方ともお仕事したいんですけど、やっぱりそういう気持ちはウソでも持っておかないと、とは思いますね。
__ 
なるほど。
野村 
桜×心中とか、ふだんやらないジャンルのお芝居とかにも挑戦していければと思っています。全部やっておきたいです。
__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
野村 
10年オパンポンをやってきて。ようやく色んなところから呼んでもらえるようになって。最初の目的は達成できたはずなので。これから自分はどこまで走れるかですね。著名な方とも仕事が出来るようになりたい・・・普通の人みたいな言い方ですけど。それから、これまで自分は横の繋がりはあんまり持ってなかったんですけど、もっとお客さんに見てもらえる・関西小劇場が盛り上がる方法を模索出来ればと思っています。横の繋がりがあんまりないので独自という形にはなると思うんですけど。
__ 
最後に。改めて、オパンポン創造社東京公演の意気込みを教えてください。
野村 
今回も見切り発車で始めてしまって、動員が壊滅的な状況になっているんですけど・・・それはそれでしょうがないんですけど、諦めずに、一人でも多くのお客さんに見て貰えるように頑張っています。作品は面白いので。大阪公演は評判良かったんですけど、それをなぞるんじゃなく、良い公演にしたいです。
__ 
オパンポン野村さんは何かこう、私の中では今の関西小劇場の中でのユニークさを引き受けている感じがします。個人的にははまりますよね。ところで、オパンポン創造社ってどういうところから付けた名前なんですか?
野村 
中島らもさんが好きやったんですよ。始めて劇場に日程を押さえに行ったとき、劇団名を聞かれて。何も知らずに行ったんで、用意してなくて。その時偶然持っていたらもさんの短編に「おぱんぽん」って書いてあっって。生み出していくという意味で、色んなものを生み出していこうと。

タグ: 俳優のブレイクスルー B級の美学 いつか、こんな演技が出来たら


ファンタジーの不可解さって

__ 
作家としても幅を広げている野村さん。どんな作品を書きたいのですか?
野村 
何かあるんですかね。この前もテノヒラサイズさんで短編集のうちの一本を書かせて頂いたんです。ドキュメンタリーシリーズという事で、普段自分が思っている事を書いたんですよ。というか、どんな作家さんでも同じだと思うんですけど、自分が思っている事しか書けないものなんですよね。僕は普段、インドア派なんですけど、もうちょっと余所に出ていって、事件に巻き込まれなきゃならんなと。書ける範囲が限られてるな、とは、ね、思っています。
__ 
領域を広げる、という事ですね。
野村 
でも、ファンタジーの書き方にも興味があるんですよ。ファンタジーの中に生身の人間を置くやり方、とか・・・
__ 
ありえないファンタジーの世界や人物に、さらに訳の分からない事をしてもらう事で、自分の影の部分を投影しようとする、とかかもしれませんね。そこには現実の不合理さも流れ込んでいるのかもしれない。それで解消するような部分はあるかもしれない。だから、ファンタジーの住人には全然理解出来ない行動をとってもらいたいですね。
野村 
ああ、なるほど。
__ 
魔王とかにはもっと不可解であってほしいかな。
野村 
面白い事を聞きました。なるほど!書いてると気持ち悪くなるんですよね・・・矛盾を矛盾と思わなくなっていくのが大人やと思うんですけど、矛盾過ぎると気持ち悪くなって、途中で筋を通したくなってしまうんですよね。これで芝居をやっていけるんだろうか。
__ 
いやあ、これからどんどん、表現は色々な面から切り詰められていっていくような気がするので。遊びと余裕のある表現を大切にしてもらいたいです。ワガママかもしれないですけど。

タグ: ドキュメンタリー 訳の分からないボールの話 ファンタジー 事件性のある俳優 わたしとわたしの矛盾


シリコンの水筒

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
野村 
ありがとうございます。(袋を見て)東急ハンズはね、オパンポンパンツを買っているんですよ。
__ 
あ、あれは買ってるんですね。
野村 
でももう製造中止になって。製造元の会社さんによると買う人がいないらしくて。(開ける)これは。
__ 
柔らかい素材の水筒です。コンパクトに折り畳めます。
野村 
あ、嬉しいです。欲しかったんですよ、水筒。

タグ: プレゼント(食器系) プレゼント(ツール系)


質問 宿南 麻衣さんから 伊藤 えり子さんへ

__ 
次は「人の気も知らないで」で共演された宿南麻衣さんからのご質問です。
伊藤 
あはは。はい。
__ 
「稽古場で、演出家からいきなりネタをやってくれと言われて、それを受けて立ったりいなしたりしていて。そういう態勢をどうやって鍛えたんですか?」
伊藤 
(笑う)20代前半にお芝居を始めた頃に、「絶対に断ってはいけない」という精神を教えられて染み着いているんですよ。インプロなんかでもそうなんですけど、断っちゃいけない、いいえで返しちゃいけない。あと、早く返さないといけないんです。それがずっと頭の中にあって。ちょっとマイペースな永津に「早く早く!」ってなってしまって(笑う)。私「慌て」なんです。性格がホントに逆なんですよ。あとは先輩が本当にどんどん振ってくる方がまわりにいてて、転球劇場の橋田さんとか本当に憧れてて、生き様とかに憧れているんですけど、飲んでフラフラの状態でもエチュードを始めたりとか。そこに絶対に面白くして返さなくてはあかん。いや、多分訳わからなくてもいいんですよ。でも断ったらあかん。と思ってます(笑)
__ 
そして早く返す。
伊藤 
そうですね、なるべく早く返そうとしてしまいます。最近よくそう言われます。
__ 
凄いなあ。それ、トレーニング出来る能力なんでしょうか。
伊藤 
出来るんちゃいます?新喜劇の役者さんが段々と面白くなっていくとか、返しの早さとかも。笑ってるのが好きなので、横山さんにはコメディエンヌやなと言われますね(笑う)。

タグ: はじまりのエチュード 後輩たちへ マイペースの価値


質問 勝二 繁さんから 伊藤 えり子さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、勝二繁さんから質問を頂いてきております。「永遠のテーマ。昼ステと夜ステの間に何をしていると上手くいく、みたいなのはありますか?」
伊藤 
私全然、ONOFFの切り替えが出来なくて。買い物に行ったりする人もいるんですけど私は大抵楽屋にずっといます。途切れるのが怖いんですよ。もう一回入れるかどうかわからなくて、昼ステも本番の3時間以上前に楽屋に入るようにしていて。ストレッチしながら、ほどほどの緊張感を保とうとしています。すっと入れる人が羨ましいです。その間の時間に、日常世界?に戻りたくないんですね。

タグ: 本番前の過ごし方


Aripe野生時代

__ 
Aripeの結成は、どんな感じでしたか。
伊藤 
ミュージカル好きが集まったので自然と歌とダンスを入れてやろうとしたんですけど、もっと気軽に見てもらおうと思って、当時としては多分あまりみんながやっていなかったカフェ公演を始めました。それが12年前ですね。
__ 
そうなんですよね。当時としては全然聞いたことなかったですよね。
伊藤 
私たちも初めての試みだったんですけど、養成所の1階のカフェで、夜だけの貸し切りで公演してたんです。平台一つ置いたセットで、なおかつやっている事も超アングラな感じでね。
__ 
おお。
伊藤 
台本を誰が書くってなった時に、じゃあ私がって永津が書いて、たまには私が書いて。どちらかが書く事になるんですけど、まあ今思えば私が作演出したものは出来上がりはめちゃくちゃだったんです。いまビデオで見ても、果たしてこれでお客さんがどう思ってくれるんだろうと言うところまで全然考えられていないっていうか・・・変なんですよ。
__ 
変なんですね。
伊藤 
精神的な面に光を当てたりして、やりたい事は出来てたんですけど、変わってたなあと。それでやっぱりちゃんと作家さんに頼もうとなって、GO!GO!マグネグFLOWERモモンガの村田さんやiakuの横山さんに書いてもらう事になって、ああさすがやっぱり上手くまとまっているなあって思いました。
__ 
つまり野生時代だったんですね。
伊藤 
そう。野生時代(笑う)。当時は珍しいカフェ公演という事で本番中もご飯を出してお客様に食べてもらいたいと思ってたんですけど、やっぱり難しいんですよね。見ている間中食器を鳴らしたり出来ないし。めっちゃくちゃな事をやって。それはそれで面白かったですけど。

タグ: ミュージカルの話題 アングラ演劇という価値


コミュニケーションが仕事の結果に与える、いくつかの影響

__ 
最近疑問に思っている事があって。稽古が面白い作品は本番も面白い、みたいな意見を目にしたんです。面白い作品の条件に、稽古での何かはあるのかなと。役者同士のコミュニケーションが上手く行ってたりだとか、役者が演技を提案してこないと始まらないだとか、稽古のし過ぎは良くないだとか。
伊藤 
ああー、全部ありますね。確かに、お芝居の先輩を見ていても思うんですが、コミュニケーションがホンマに大事なんですよ。リリパットアーミーII(セカンド)さんのお芝居に出させてもらった時、大体毎日飲み会があるんですけど、最初は強制的に相手役の役者さんの隣に座らされるんですよ。最近になって、そうするべきなんやという事に気づきました。
__ 
というと。
伊藤 
相手役の方とお話せえへんでも芝居は出来るんですよ多分。成立するのはすると思うんです。でも、もっと良いものを作ろうとしたり、アイデアを出そうと思ったら相手の役者さんと仲良くならないといけないな、と。コミュニケーションをとらなあかん。飲み会という場所は普段とは違うし、私も最初は飲み会なんて何でいかなあかんのと思ってたんですけど、普段は聞けない話も聞けるし、芝居でやりたい事が直接話し合えるんで、そこで面白いプランが出てきて決まったりするんです。そういうのも大事なんですよね。
__ 
コミュニケーション、めっちゃ難しいですよね。でも、一つ考えている事があります。抽象的な腹のさぐり合いじゃなくて、具体的なものを例に取って話すのが円滑なコミュニケーションになるのかもなあ、って。
伊藤 
そうですね。もしくは全然関係ない世間話をしているときも重要なのかなと思います。彼氏どうなんとか。人柄も見えてくるんだと思うんですよ。私達は大抵初対面の方ばっかりの仕事場なので、本当にどうって事のない話から入っていくといいんですよね。
__ 
IN HER THIRTIESの時は共通項があって、話がしやすいんでしょうねきっと。しかもテーマがそのもの女性の30代だし。
伊藤 
ホンマそうでしたね。稽古場の時に延々と、自分達の生き方を持ち寄って話してました。演劇に対しての思いもそれぞれ違ってたのが凄く印象的で、でも心を開いていない人はいなかったと思います。年上の方にもちゃん付けで呼んでも怒られなかったし喋りやすかったです。本当に、みんながコミュニケーションを取ろうという気持ちがあったんだと思います。みんな、心の扉が開いてる!ってのがわかりました。

タグ: 稽古とコミュニケーション能力


何をしたいか考えたら演技だった

__ 
演劇を始めた経緯を教えて頂いてもよろしいでしょうか。
伊藤 
めっちゃ最初から話していいですか。
__ 
もちろんです。
伊藤 
子供の頃からミュージカルが好きだったんです。おやこ劇場に月一回連れていって貰ったりして。母親も好きだったんでしょうね。(ちなみに、絵の教室にも行ってました。)学校の演劇鑑賞会で劇団四季を観てミュージカルが好きになって、でも高校は演劇部は敬遠してて。宝塚とかは好きで、ずっと見に行ってたりしてたんです。
__ 
なるほど。
伊藤 
高校は進学校だったので大学に進むのが当然だったんですけど、私のいた国際教養科は熱い人が多くて、将来は何になりたいとかを語り合ってたんです。その中で一人の子が「私、みんなに黙ってたんだけど、今まで新聞記者になりたいとか言ってたんだけど、本当は歌手になりたいねん」って。そんなきらびやかな芸能生活を送りたいとか言う人なんて入学時からいてなかったし、でも当時ASAYANが流行ってたのもあるし、私も「ああ、自分のやりたい事をやってもいいんや」ってなって。高校3年ぐらいの時から劇団ひまわりの養成所に入りました。
__ 
なるほど。
伊藤 
じゃあ大学行かなくてもいいや、となって。就職しながら週3のレッスンに通って歌とかダンスとかを習う生活を2年続けていました。
__ 
二十歳ぐらいですね。
伊藤 
その時に永津とも出会いました。でも子供の頃からバレエをやっている子を目の当たりにすると能力の差が歴然で。歌もダンスもいっぺんにしようと思ったら私空回りしてる、ってなってしまって。私は一番、何をしたいか考えたら演技だったんですよ。2年続けていた会社を辞めて演技専攻クラスに入りました。その編入も永津が一緒でした。
__ 
なるほど。
伊藤 
その課程を1年間、修了公演みたいなのもあって。ひまわりの劇団員になって、しばらくしてAripeを結成したんです。

タグ: 演劇研修所 その人に出会ってしまった バレエやってた 二十歳のわたし プロの仕事 ロックな生き方


声のお仕事、細かい作業

__ 
伊藤さんは、去年はナレーションのお仕事も数多くされましたね。
伊藤 
もっと頑張っていけたらいいなと思ってます。私は今事務所には入ってなくて、それでも声を掛けていただいて。ありがたいです。でも、ナレーションってきちんとした声のプロの方の仕事で、私みたいな役者がやってもいいんだろうか、でも役者としての仕事をしているんだからいいんだ、と割り切ってやっているんですけどね。それでももうちょっと勉強せなあかんな、と。
__ 
なるほど。
伊藤 
舞台とは真逆で、凄く細かい事を言われるんですよ。細かい感情の表現の仕方を監督さんが読み切って言われるんですよね。だからと言って同じ事が再現出来る訳じゃないんですけどね。
__ 
声の凄く細かいところ。伊藤さんがキャスティングされたのはどういうところなのかなと想像しているんですけど、もしかしたら、細かい部分まで決めているわけではないから、なのかな。ちょっとこれは失礼な表現かもしれないですけど。
伊藤 
いえ、そうだと思います。MCを本業にされている方とか、聞いていて「ふわぁっ」て感心するんです。私とか、ふらついているから。きっちり出来るプロにはその仕事が振られて。私が出来るのは声を出す時の「感情」に集中する力なのかなと思います。それがまた舞台とやり方が全然違うんですよね。
__ 
面白いですね。
伊藤 
舞台だと私、体が小さいので、その分大きく動こうとしているんですけど、ラジオCMとかTVのナレーションで求められる仕事は意外と素の自分を求められるんです。新しい私を発見しているのかもしれませんね。

タグ: キャスティングについて 声のお仕事、細かい作業


IN HER THIRTIESの思い出 伊藤えりこさん編

__ 
IN HER THIRTIESについて。去年の公演ですが、今後も追跡取材をしようと思っています。まず、ご自身にとってはどんな公演でしたか。
伊藤 
まず、オーディションを受けるかどうかを迷っていて。私オーディションに受かる確率が本当に低くて。仕事を貰うのは大体、声を掛けていただいていたんです。でもプロデューサーの笠原さんから「受けてみたら」って勧めて頂いたので。ワークショップオーディションみたいな形でした。ワイワイやりながらだったのでやりやすかったです。
__ 
伊藤さんは麗らかチームの34歳のコーナーでしたね。
伊藤 
そうですね。全員個性がバラバラの人たちで、結婚もマチマチでした。頂いた台本のボリュームが最初は少なかったんです。これ大丈夫かな?と。でも話し合っていくうちに「女性の30代はまだまだあるで」みたいな感じになって、稽古中はオーディションの延長みたいにたくさん話し合いながらやっていきました。楽しかったですね。稽古期間は1ヶ月弱だったんですけど結束感を感じながら本番を迎えました。公演後も凄い仲良くなったんですよ。一つの舞台を作る時に生まれる自然な結束力ってすごく大事なんですけど、あんなに、30代の人間として結婚とか出産とか演劇を続ける事について話すのは貴重で、もう全部分かる!でした。20代ならあんなに打ち解けられないし、40代だともっと引いて見てしまうかもしれない。30代だからあんなにワイワイやれてたんですよね。
__ 
なるほど。
伊藤 
作品としても変わった試みでしたね。一人の女性を複数人でやるというのは初めてでした。終演後、トークゲストで観てくださったiakuの横山さんが「一人の女性をやっているというより、100人の女性を観ているようだった」って。誰にも通じる事をやっていたんですね。それは上野さんが狙っていた事かもしれない。バラバラなキャスティングだから成立したのかも。それぞれの人が思っているように見えたのかな。
__ 
37大西さん・38片桐さんのコーナーが面白かったですね。
伊藤 
大西さんは元の事務所の先輩なんですけど、ずっと変わらないんですよ。
__ 
若く見えますよね。配置についた瞬間びっくりしました。あの人は15歳若く見えますね。
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
公演時期:2014/3/27~31。会場:in→dependent theatre 2nd。

タグ: 続ける事が大事 IN HER THIRTIES 迷っています 人生の節目 尊敬している人 インタビュー取材による作品づくり


パリ生まれのアンティークのブローチ

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
伊藤 
そうですね。自分のしたいことをしていこうと思えるようになってきました。したい事をしていくのが大事なんやなと。今まで演劇にだけ力を割いてきたんですけど、もっと色々な事を見てもいいんちゃうかなと思えています。
__ 
今日はお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
伊藤 
可愛いー!ピンバッジ?
__ 
パリのアンティーク雑貨だそうです。
伊藤 
かわいい。お洒落な。去年横山さんにブローチを頂いたんですけど、それも可愛かったんです。


勉強の年、2015

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、伊藤さんはどんな感じでしょうか。今年の事についても伺えていけたらと思います。
伊藤 
そうですね、最近はゆっくりと落ち着いています。今年は、演劇以外にも色々他の事にも目を向けてみようかなと思っています。実は、どこかで踊る機会が持てたらなと思っています。Aripeというユニットを永津真奈と一緒にやってるんですけど、10年以上ジャズダンスを続けていて、それで。
__ 
あ、踊られるんですね。
伊藤 
二人ともミュージカル好きで始めたので。永津も踊れるんですよ。あの長い手足で。
__ 
踊れるイメージが・・・失礼ですが、意外です。
伊藤 
永津はゆっくりしてそうなイメージがあるんですけど、私はちょこちょこ動く感じで。昔のAripeも、歌とかダンスを取り入れてたんです。占いによると今年の私は勉強の年になるらしくて。何か勉強しようと思います。何か・・・ってアレですけど(笑う)。
__ 
なるほど。ネイルされてるんですね。ネイルを習ったらいいんじゃないですか?
伊藤 
あー、なるほど。絵を描くの好きだし、いいかも。
__ 
描かはるんですね。
伊藤 
Aripeのチラシも、最初の方は私が描いてたんですよ。
__ 
あ、そうなんですか!「人の気も知らないで」の絵もですか?
伊藤 
あれはプロの方が。でも、題字は私が描いたんです。ああいう、昔の感じが好きなんですよ、私も永津も。
__ 
レトロな、60年代のにっかつロマンポルノみたいな?めっちゃオシャレですよね。
伊藤 
そうなんですよ、表がフルカラーで、裏がカラー一色みたいな。昔の映画のチラシみたいな感じでできたらなと。
__ 
味がありますね。
伊藤 
味だらけで(笑う)そういうのを考えるのが私たち好きなんですよね。その流れでカラーコーディネート資格とかもいいのかな。英会話もしたいなあ。英語を喋りたいなとずっと思っていたんですよ。英語を生かした配達の仕事とかもあるらしいじゃないですか。
__ 
そんなのがあるんですね。
伊藤 
何か、現地に商品を持っていく仕事らしくて。英語が必須なんですけど現地に飛行機で行って商品を渡してくるみたいな・・・それで時間があまったら観光も出来るだろうし一石二鳥やん、て。
Aripe
女性だけの演劇ユニットAripe。当時としては珍しい、食事もできるカフェ公演を積極的に行う。
iaku 2014全国ツアー「人の気も知らないで」
公演時期:2014年6月~7月。会場:7都市各所(豊岡、福岡、熊本、仙台、札幌、京都、三重)。

タグ: オシャレをしよう 一段落ついた 資格を取ろう 意外にも・・・


日本海 第一波「カゾクノカタマリ」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。役者三人のユニット、日本海の勝二さんにお話を伺います。最近はいかがでしょうか?
勝二 
最近ですか、最近はよく忘年会をやっています。日本海の忘年会を2日前にしたんですが、その時来られなかった人も含めて、今日も開催します。
__ 
ありがとうございます。日本海の旗揚げ公演、「カゾクノカタマリ」が終わりましたね。いかがでしたか。
勝二 
色々な苦労がありましたが、色んな反響があって手応えはありました。代表の小嶋くんは経験が無かったので大変だったと思います。劇場を借りたりだとか製作面でだとか。
__ 
大変だったんですね。
勝二 
でも、やって良かったと思います。飲んでる席で出た話からユニットが立ち上がって、結果的には作品に仕上がって。感慨深いです。
日本海
京都で活動する、浦島史生(柳川)、小嶋海平、勝ニ繁という日本海側出身の顔面の濃い役者3人によるユニット。作・演出を固定せず役者による波のような自由なスタイルを目指す。(公式BLOG・こりっちより)
日本海 第一波「カゾクノカタマリ」
公演時期:2014/12/4~8。会場:元・立誠小学校 音楽室。

タグ: 飲み会結成 旗揚げ


vol.397 勝二 繁

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2015/春
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勝二

バラバラなのに共感を呼ぶ、その不思議

__ 
「日本海」、ユニット名の由来が気になりますね。
勝二 
飲んでいる席での話で、3人とも日本海地方出身だったので僕がポロッと言ったら採用されて。旗揚げのタイミング的にも色々丁度良くて、今年何かやろうという事になって。
__ 
脚本演出は勝二さんでしたね。
勝二 
実質的には全員で書いたようなものでした。まあ僕も書いてきたりはしてきたんですけどね、テンケテンケテンケテンケで。
__ 
ご自身としてはいかがでしたか。
勝二 
一応、目標は達成したんじゃないかと思っています。やりたい事はいくつかあって、動員も300超えて。意義はあったのかなと思います。
__ 
立ち上げたてのユニットでそれは素晴らしいですね。
勝二 
僕も色々ユニットの立ち上げに関わってきましたけど、残る作品になったと思います。
__ 
改めて、個人的にも大きい存在の作品でした。俳優の、家族についての実体験を彼自身が語ると、それを見ているお客さんも、自分の家族についてを思い出して心の中で語り始めるみたいな。そういう共有感があったように思います。
勝二 
これまで僕が書いてきた作品も、家族についてがテーマだったりするんです。割と引っかかる部分なんです。少し前、富山の劇作家コンクールにドキドキぼーいずが参加したんです。僕もキャストとして行って、その折に実家に帰ったんですね。すると実家がですね、兄弟家族がそこには居なかったり父も母も昔と比べると小さくなったりしてて・・・ああ、何年かしたらこの家族は居なくなってしまうんだ、それは受け入れないといけないんだと。一方、兄の家族は子供が生まれて、向こうは向こうで始まっている。
__ 
居なくなっていく家族もあれば、生まれていく家族もある。
勝二 
そういう話をしたい、男女5人ずつの10人で芝居を作りたいと小嶋君に話して、それから始まりました。
__ 
なるほど。
勝二 
でも、家族についての作品なのに、年配の役者さんが周りにはいなかったんですね。父親役とか母親役とか祖父母役が出来ない。なので、役者の語りから始まる劇中劇という形で演じるという演出になりました。そうやって家族の始まりから終わりまで描けたらいいなと。稽古でエチュードしたり皆の話しを聞いたりする内に、自分達の中での問題もそれぞれ発見して。
__ 
誰でもそれなりに問題を抱えているんですね。
勝二 
家族問題を他人の口から聞くと大ごとのように聞こえる。でも僕個人にもそういう問題はある。結局、どんな問題でも全部同じ質量を持っているんですよね。個人的には凄く勉強になった作品でした。(とはいえ、役者さんから聞いたものを直接的には使わなかったんですけどね。なんかそれは違うと思って。)
__ 
全く違う体験だけれど、かすってくる。その接点から投影が始まるような。
勝二 
そこまで狙ってはいなかったんですけど、引っかかって欲しいという気持ちでした。結果、お客さんの中にも受け止めて下さった方もいて。本当に嬉しかったですね。

タグ: 子供についてのイシュー 名称の由来 飲み会結成 家族という題材


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断片集の軸にあったもの

__ 
ひとつ、気になるシーンがあったんですよ。出村さん演じる長女が、新しく生まれた兄弟を受け取って、無表情で取り落としてしまうシーン。あの時に他の役者が全員、反応する演技を全くしていなかったんですよ。それがこう、何だかとてもリアルに感じたんです。
勝二 
ありがとうございます。ともすればオムニバス公演に取れてしまう構成の作品だったんですけどね。一応、僕と出村さんの夫婦役をなぞるみたいな軸があって、そのうちの一つのシーンとして。
__ 
ええ。
勝二 
この作品を作るにあたって、僕も家族関係についての資料で勉強したんです。今でこそよく言うようになったんですけど、虐待を受けた人が自分の子供にも虐待をしてしまうコトがあるかもしれないって。実はそれが分かったのは本当につい最近の事で、それが広まった僕らの世代が丁度、次に親になるんです。つまり、僕らがその負の連鎖を止めるべき世代なんですね。それを乗り越えた親の子達が手を取り合って生きていくという軸を作品に出したかった、というのはあったんじゃないかと思います。もちろん、それをはっきり出すというのもどうかと思ってたんですが。
__ 
素晴らしい。さらにそこに断片集としての良さが手伝いましたよね。俳優が自分の体験を語るという体裁があったので、一本の線として見ていました。
勝二 
出村さんの役は、愛情を受けられなかった子供が、自分の子供に対してどう接していいか分からなくなるという伏線があって。ロープの塊を落とした時の音が凄くて、全員自然に見てしまったんですよね。
__ 
そのロープ。赤いロープでしたが、色々な意味を持っているように見えたいい小道具でした。
勝二 
そうなんですよ。あれが来た時に色々な見立てが成立して。
__ 
様々な小道具、劇中劇による断片集仕立て。いやらしくない程度に有機的でバランスが良かったように思いました。
勝二 
ただ、お話として成り立っているのか?が不安な点もあったので、お話として着地させた部分はあります。投げっぱなしにしても良いと仰ってくださるお客さんもいたんですが・・・結婚とか男女とかの対立になぞらえて、綱引きをするシーンをラストに設けたんです。あれも賛否だったんです。
__ 
あの綱引きは大切なシーンだったと思いますけどね。
勝二 
それを僕の役と出村さんの役がやってもいいのか、と。とはいえ、そういう色々な反応が貰えた事が嬉しかったです。これまで練習してきた結果が出たなと思いました。

タグ: 結婚について 子供についてのイシュー 赤色 有機的に関わりあう


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