スベるのが怖くて怖くて

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昨日、杉原さんに「いま、匿名劇壇で面白い役者は誰ですか」と聞いたところ、松原さんだと即答されまして。
松原 
おおーっ。
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何故かというと、1回目の立ち稽古から面白い演技を提案してくるからだ、と。単に面白いんじゃなくて、その役として合っている、「分かってるなあ」と思わせる演技をされるという事でした。
松原 
それを私で思うとはかなり意外です。私そんなにアイデアマンでもないから、1回目の稽古嫌いなんですけどね。もう何にも出来ない状態から始まってるので、前半は苦しくて苦しくて。いやぁ、意外ですね。
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なるほど。私が最後に松原さんを拝見したのは、「二時間に及ぶ交渉の末」の時でしたね。ギャグが面白かったです。人質役のリアクション芸と、家電販売員のセルフノリツッコミが光ってました。
松原 
もうスベるのが怖くて怖くて・・・でもやってみると楽しかったですけどね。
LINX'S PRIME
公演時期:2014/9/27~30。会場:TORII HALL。

タグ: 俳優の提案作業


カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」

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今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近杉原さんは、どんな感じでしょうか。
杉原 
朝起きてバイト行って、終わったら稽古して。そのリズムが出てきました。稽古が無いとバイトだけなんで、生活が乱れてくるんですよ。ありがたいです。
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稽古とは、カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」の稽古ですね。どんな作品になりそうでしょうか。
杉原 
がっかりアバターさんとの合同公演で、昨日、向こうの稽古場に行って何本か作品を見たんですけど。良かったんですよ。匿名劇壇では作れない、がっかりアバターだけが作れる事をやっていて。合体して、一つの良いものが出来ると思います。
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なるほど。ちなみに、上演順としてはどうなるんでしょうね。キレイにアバターズと匿名さんで前編後編分かれるのか、作品ごとアトランダムな上演順で分かれるのか。
杉原 
まだ決まってないらしいですね。いや、決まった上で伝えてないのかも分かりません。でもごちゃまぜ感はあると思います。
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意気込みを教えて下さい。
杉原 
今回は特別に頑張ろうという訳じゃなく、いつも通り集中して出来たらと思います。毎ステージ新しい発見が出来たら理想的です。
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今も、稽古場で発見している?
杉原 
稽古場は発見だらけですね。例えば同じ事を同じ間で練習して突き詰めて良質化することは出来ると思うんですけど、面白かった事が分かったらそれは捨てて、新しい可能性を見つけたりして、変わっていけたらいいなと僕は思います。同じ一つのモノを研ぎ澄ますより、色んなパターンを試していけたら。
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固持するんじゃなくてね。
杉原 
今回はそういうふうにしたいと思っています。
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そんな考え方は、実はフラッシュフィクションという形式と合っているのかもしれませんね。気付いたら次の作品が始まっている、だから次々と発見がある。とても楽しみです。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」
作/福谷圭祐(匿名劇壇)・坂本アンディ(がっかりアバター)・演出/福谷圭祐(匿名劇壇)・坂本アンディ(がっかりアバター)。公演時期:2014/11/7~9。会場:SPACE9(スペースナイン) 阿倍野ハルカスウイング館9階。
がっかりアバター
結成2011年6月。主催の何とも言えない初期衝動からほぼ冗談のように結束。2011年6月vol.1『岡本太郎によろしく』2012年11月vol.2『啓蒙の果て、船降りる』(ウイングカップ2012受賞)2013年6月vol.3『俺ライドオン天使』(公式サイトより)

タグ: 俳優の提案作業 今の作品に集中する 「フラッシュフィクション」 最近どう? アーティストの生活


ふたりの会話

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2年、学んだ中で一番ショックを受けた事は何ですか?
西岡 
一番最初の演技の授業。イギリスのRADAでも教えられているローナ・マーシャルさんの授業ですね。二人一組のダイアローグを、とりあえず貴方たちの思ったように作ってきて、と課題を出されまして。ペアの子と試行錯誤して作って、実際見て頂いたら、「お芝居をしているわね」と言われたんです。
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なるほど。
西岡 
それまでやってきた事を根底から覆された気がして。私、今まで何をしてきたんだろう・・・いや、芝居をしているわねって言われたけどそれはどんな事なんだろう? 一年目は、演じるというよりも、まず自分が何者か、どこに立っているのか、その上で自分の癖を見直す、とかそういう、パーソナルな部分に触れる授業がほとんどでした。1年目の授業は、ほぼ毎回ショックを受けまくりでした。こんなにも、自分の体はコントロール出来ないものか、こんなにも私は人の話を聞いていないのか、というように。
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自分の事を見つめる一年だったんですね。
西岡 
私はすごく、怖がりだという事が分かりました。
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怖がり?
西岡 
芝居を始めた頃に自分がどういう演技の作り方をしていたかはあまり覚えてないんですけど・・・パッケージングするのが得意だったんじゃないかと思ってます。パッケージするというのは、例えばいまここで喋っている時、お互いに刺激を感じていますよね。
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ええ。
西岡 
でも、会話している役を演じるとなると、相手からリアルタイムで刺激を受けている事実を忘れてセリフを吐いていたんです。しかも、やりたい絵を最初から決めてしまっていて、そこに向かう為にはどうすればいいのか?というのがある程度「かたち」として出来てしまう。
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会話の交流を予測したり決めたりする事は、安心ですね。たしかにその意味では怖がりと言えるかもしれない。
西岡 
けれども、それはもう相手が誰であっても良いという事なんじゃないかと。多分、講師が言いたい事はそういう事だったんじゃないかと思います。人とどうやって対話するべきかと、それを考えるようになりましたね。
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異なる存在と接する時の、エモーショナルな瞬間、ですね。
西岡 
そうですね、そういう、エモーショナルな状態のフリをしていたんだと思います。本当にそういう状態になる前に、まず「かたち」を作ってしまった。会話先行、頭先行だった。本来なら、もっと何が起こるか分からないのが演劇と交流の醍醐味なんですけど、私は多分それを見過ごしたまま、無自覚に絵を作って出来た気になっていたんです、きっと。でも、そういう事じゃなかったみたいだと。
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それはきっと、舞台と観客席の間でも起こるべき事で。例えばいい映画って、全部の動きにワクワクするじゃないですか。一つ一つの動きや曲線が目に入る度、その効果が純粋に心に響く。意味や意図さえ伝わる。あれは舞台でも起こる。
西岡 
はい。
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とにかく、一年目のスタート地点から、「交流」が本来持つべき価値が見えた。
西岡 
もしかしたらそうかもしれません。今まで関わった戯曲に対しては失礼な事をしていたのかも。答えを一つに決めて掛かってしまうなんて。それが、スタート地点に立つ上で一番大切な事だったのかもしれないなと。
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なるほど。

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