イッパイアンテナ16th session「オール」/夜の共犯者

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イッパイアンテナ「オール」が終わりましたね。大変面白かったです。今回はシチュエーションコメディではなかったですね。ある町の夜を舞台に、徹夜する6人の若者の旅立ちが描かれる。常々思っていたんですが、イッパイアンテナの作品は「自分探しが終わる旅」なんじゃないかと思っていて。例えば落語家が、虚勢を捨てて裸にコートだけの格好でニューヨークに行ったり、友人の父親を殺した若者が、罪を認めて許されたり。
大崎 
そうですか。
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夜を抜け出して解放された彼らが、明日以降もきっと生きていてくれるんだろうというような希望があるんですよね。大崎さん個人としてはどんな公演でしたか。
大崎 
まず、劇団員だけで公演をしようと考えて。最初は野球部の話にしようと思ってたんですよ。野球部のメンバーが夜にファミレスで、抜けたメンバーの話をするという話。そういう話を、3チームの二人組でやろうと。そこから、自分の好きな題材を詰め込もうという事も加わって。まあ具体的に並べると落語・歴史・ゲーム、それぞれの二人組に取り組ませたら、ああいうカタチになりました。
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何故、夜なのでしょうか。
大崎 
夜中を通して起きてるのって面白いじゃないですか。あの感覚を何とか舞台に立ち上げたいなと。
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なるほど。徹夜は確かにテンションが上がりますからね。ところで、大崎さんが今までにした徹夜の中でもっともテンションが上がったのは?
大崎 
覚えてないですね(笑う)でも、初めて徹夜したのは覚えてます。高校2年の時に友達と一緒に焼津の海で朝まで騒いでました。何で朝までやってたんだろう?海に行こうぜという話になって、焚き火して、気付いたら朝になってて。その時に撮った写真は、今回の芝居にこっそり使いました。
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徹夜の何が好きですか?
大崎 
何か色んな事が許せそうな気がするんです。心が開くというか。夜特有の自由さってあると思うんですよ。昼は何でもが明るみに出されてしまうから、装備が必要になる。いろいろ覆い隠してくれる夜にいると、自分も夜の共犯者のような気分になってくる。ハイになっているその高ぶりも、眠りに誘われるローさも舞台に上げたいなあと。
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眠さがだんだんと元気に変わるみたいな。そして、何だか気持ち悪い。
大崎 
寝たら全部ゼロになって再スタートですね。
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夜の空気感を舞台上にあげて、どう感じてもらいたいですか?
大崎 
オールしている人たちを面白がってもらえればそれに越したことはないですね。楽しい事は夜にこそ詰まっているんじゃないかと、僕らなりに仮説を立てて作りました。
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楽しかったですよ。後半、朝になるにつれてどんどんテンションが変になっていく彼ら。塾講師・浪人生ペアは最後、ハイになって訳わからん事してましたよね。偶然拾った大金を交番に届ける勇気がなくて、道を急ぐマイケルジャクソンの隠し子にレスラーのふりをして渡そうとしたり。みんな徹夜してたから、一時的に常識が通用しなかったんでしょうね。
大崎 
人間、追いつめられたら何でも出来るっていう可笑しさは好きです。
イッパイアンテナ16th session「オール」
公演時期:2014/2/20~24。会場:芸術創造館。

タグ: 徹夜


質問 山口 惠子さんから 丹下 真寿美さんへ

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前回インタビューさせて頂いた山口惠子さんから質問です。ちなみに、丹下さんと面識はあるみたいです。壱劇屋の稽古に来られた時に会った事があるそうで。
丹下 
分かります!ご無沙汰しております。
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壱劇屋の愛しい部分と憎い部分を教えてください」。
丹下 
愛しい部分。どこか一つの場所にみんなで向かっていくところです。未だに枚方の河川敷で稽古しているというのが半ば信じられへんけど。
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丹下さんもそのうち行く事になるのでは?
丹下 
いやそれは断固拒否したいですね、嫌だなあ河川敷。
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いや河川敷でしか生まれないものもあるんじゃないかと思いますよ。
丹下 
河川敷でしか生まれてないんじゃないか・・・。どうなんですかね。
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区民センターとかでも稽古はしてるみたいですけどね。でも、BBQしてる家族連れが密集している横での稽古、ですよ。その微妙な外の世界との緊張感が彼らの作品世界を育んできたんじゃないかと。町中でパフォーマンスをしたり、みたいなあのワクワク感が。芝居が関係ない世界へのサプライズ。
丹下 
それを聞くと、行った方がいいのかなと思いますね。
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でも徹夜はやめた方がいいかもしれませんね。
丹下 
せめて終電で帰りたいですね。憎い部分。美味しいとこ取りするとこかな。
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おおっ。

タグ: 徹夜 壱劇屋の無謀さについて 関係性が作品に結実する


vol.317 丹下 真寿美

フリー・その他。

2013/春
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丹下

あの時代(2)

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学生劇団を経て、世界一団の旗揚げ。その経緯について伺っても良いでしょうか。
木下 
学生時代に二本、自分で作演出をやったんですね。一本目が「DORAEMON」っていうテント芝居で、冬のポートピアアイランドで上演しました。二本目の「冒険王」は灘区民ホールの柿落とし公演で、学生劇団なのにそういう話が来て。それが結果的には3時間の芝居になって、本番の1週間前に台本が2/3しか出来てなくて、しかも小道具もセットも滅茶苦茶多くてみんな徹夜して作業と稽古して。やっと台本を書き上げて明日から仕込みという時に僕が熱出ちゃって稽古に行けなかったんですよ。下宿先で39度の熱で一人でうんうん唸って、その時正直死ぬ感じがあったんですね。でも、「何かしないと死ねないな」と思ったんですね。その時演劇をやっていたので、演劇をやろうと決めたんです。熱にうなされながら。
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はい。
木下 
翌日ホールに行って、最初に会った人に「劇団作んねん」と宣言しました。ちなみに芝居は・・・。灘区民ホールは公共施設なので退館時間が厳しいんですね。21時とか21時半とか。19時開演で3時間の芝居、途中で幕が閉まったんです。その時僕は演劇をやる決心がついていたので、ホールの人や勝手に幕を降ろした舞台監督さんとかにブチ切れしてました(笑う)。他の学生劇団からも人を呼んでいたので、なんなら出番の無かった人もいて、すごく、みんなショボンとしていました。後で知ったんですが怒ってるのは僕ひとりだった。あの時は凄かったな。元ピスタチオの宇田さんとかいましたね。平林さんはいたんだっけ?
平林 
僕は舞台監督でしたね。
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えっ。
木下 
平林さんが幕を降ろしたの?じゃあ。
平林 
ま、何となく、周りがそういう雰囲気になって・・・。
木下 
(爆笑)そう、役者の方が、もうやめようという空気になっていたらしいんですよ。
平林 
本番の日まで、最後まで通してなかったんです。
木下 
やばいな、強制終了する演劇て。セットも危険だったし、宇田さんは10メートルの高さのキャットウォークでずっと待機して、縄ばしごで宙づりになるんですよ。外務省の役人だみたいな、つかこうへい芝居みたいな演技をして。でも降りれないから、一回上に登って、袖から出てくる。
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野生的な時代でしたね。
木下 
けが人も続出したよね。あるシーンで、セットのパネルが奥に倒れたら、そこは海だ!「冒険に行くぞー!」っていう演出を付けていたんですが、手前に倒れちゃって。一番背の高かった女優の子の頭で止まって、ブチ切れされたな。
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(笑う)そんな過去があったんですね。
木下 
いや、ひどいですね、世界一団の初期の頃なんて。生意気だったし、評判も悪かったし。その後に旗揚げ公演をしました。作演は声を掛けた友達でした。僕が声を掛けたのに、旗揚公演が終わってから聞いたんです。「どうする?僕はまだやりたいねんけど」「いや俺は世界中で橋を作りたいねん」(ん、何を言ってるのか?)その子は土木関係の学部で、「橋を作る会社に入る、俺はこの劇団をお前にやる」とか言って。僕が作ったんだけどなと思ったんですが。第二回からは、僕が作演出です。

タグ: 徹夜 半野外劇