その日までは生きてる

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私がZTONで初めて拝見したのは「沙羅双樹のハムレット」でした。政治闘争がテーマで、エンタメなのにハッピーエンドじゃなかったんですよね。悪役に負けて終わったんですよね。
土肥 
最後をお客さんに委ねた作品は多いですね。でも、バッドエンドの時でも救いは少し残すみたいな。
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そう、自己解決でまとめようとしていない。二人ぐらいしか生き残らなくて、それぞれの旅路に着くみたいな。あるいは革命が為されてしまって都が転覆してしまって、みたいな。収まらない予感を感じさせてくれるというか。大団円もありますけどね。土肥さんは、ZTONの芝居を見たお客さんにどう思ってもらいたいですか?
土肥 
最近、周りでは思考を促す芝居は多いんですよね。気付きをもたらそうとしている。それは僕は素敵だと思うんですけど、僕がやりたいのはちょっと違うんです。お客さんの明日につながるような活力を与えられる日にしたいですね。本番のある日を。好きなバンドのライブがある日までは頑張ろう、みたいな。それの邪魔になるような事は、あまりしたくなくて。
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邪魔になることとは。
土肥 
「何やったんやろうな」とか、モヤモヤする事は残したくないですね。来てよかったなと思えるものにしたいです。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6~9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。

タグ: バッドエンド 大団円 ハッピーエンドについての考え方 どう思ってもらいたいか?


劇団レトルト内閣 第19回本公演「金色夜叉オルタナティブ」

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今後、どんな感じに攻めていかれますか?
三名 
そうですね。演出はもっと突き詰めて行きたいと思います。この間、本公演で初めて原作モノに挑戦して。手応えもありましたし、好きな作品を舞台化してみたいという欲求もあります。VJさんと近松作品に挑みたいねと話してました。
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日本文学寄りになってきましたね。最新作の「金色夜叉オルタナティブ」も原作が尾崎紅葉ですね。大変面白かったです。「猿とドレス」は短い上演時間ながら、かなりエッジの効いた表現で、「演劇を使った映画」と言ってもいいんじゃないかと思っていて。でも、金色夜叉はもう一度演劇に戻ってきたような印象です。役者の出ハケとか、段取りとかに一つ一つ意味があるようで。
三名 
金色夜叉は熱海の名シーンがクライマックスなんですよね。原作でもあそこが頂点で、結構だらだらと続くみたいな。
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で、そのバッドエンドの前にお笑いが入るのがすごく良かったんですよ。凄く狂おしい感じがしました。
三名 
ゲストのうえだひろしさん(リリパットアーミーII)が上げてくれた感じですね。

タグ: バッドエンド 出ハケについて 今後の攻め方


恋愛

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監督作品の「あばうとあがーる」拝見しました。面白かったです。
角田 
ありがとうございます。
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あれを拝見して思ったのですが、男の性欲青春モノなのに、救いがないのが珍しいなと。バッドエンドでも、少し成長するとか恋愛を笑うとか、そういう陽性を帯びるのがセオリーだと思っていたんですが、全然ない。むしろ、恋愛に対する怨嗟が感じられて。望んでも何も手に入れられない、全ての弱い人間のための物語なんじゃないかなと。
角田 
あれ、原作は男肉duSoleilの吉田みるくさんで、脚本は僕なんですね。ラストについては吉田さんと話していて、ハッピーエンドにはしたくないなと。2年後3年後はそれは立ち直ってるかもしれませんけど、高校生にとって恋愛って全てですから。
__ 
まあ、必ず中心には来るでしょうね。
角田 
そういう嘘は、映画の中ではつきたくないんです。もちろんお話なので嘘をついてもいいんですけど、あの作品の恋愛の終わりで無理矢理なハッピーエンドは悪い嘘だと。
__ 
悪い嘘。
角田 
当時流行っていた恋愛映画で、レイプされた女の子がすぐに次に進む決意をして新しい男とセックスする展開があったんです。そんなんは、悪い嘘だと思うんです。観た人に無責任な悪い影響を与えるんじゃないかって。

タグ: バッドエンド 映画の話題 優しい嘘 ハッピーエンドについての考え方 性欲 恋愛至上主義


サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」

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さて、「小部屋の中の三匹の虫」。大変面白かったです。後から知ったんですが、マルチエンディングだったそうですね。私が見たのはバッドエンドだったのですが。
三國 
全部バッドエンドです。ハッピーエンド?も一応考えたのですが、会場を扉も窓もない密室に見立て、そこから出ることだけが目的の芝居だったので、ハッピーっていっても、「出れる!出た!」だけで終わっちゃいますからね。なら別にいいかなって。
__ 
なるほど。スリラーというジャンルだと思うんですが、最初に脚本をきっちりと作った訳ではなく、稽古場のエチュードで作られた作品だそうですね。
三國 
稽古場で出てきたもので構成を考えて、それを基に作っていきました。だから変な話、4カ月稽古を続けてきたんですけど完成したのは本番直前なんですよ。
__ 
そうなんですか!
三國 
ソリッドシチュエーションスリラーというジャンルの作品を色々研究するうちに、結局は緊迫感が重要なんだと思ったんです。なのでギリギリに完成するくらいがいいのかな、と。3回目の本番ぐらいが、役者の緊張と落ち着きのバランスが絶妙で、僕も手が震えるくらいぞわぞわしました。
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何回か見に行きたかったです。公演期間はロングランで京都市内6箇所を回っていましたが。
三國 
ロングランにしたのはやっぱり、旗揚げして一年経つのですがまだまだ集団としては体力がないなと思っていたからです。団体として強くなるには、1ヶ月ぐらいの公演を乗り越えないと、と。
__ 
大変でしたね。
三國 
続けざまに6会場25ステージと。ゲネプロもせずに本番、なんてザラで、役者にとっては大きな制約になっていたと思います。もちろん、演出としてもですけど。でもそれ以上に、繰り返しお客さんに見られる中で得られるものも大きかったですね。
__ 
ちなみに、あの血みたいな液体が入っていたペットボトルの中身は何だったんでしょうか。
三國 
あれは試行錯誤を重ねた結果ですね、コーヒーとココアを混ぜ、さらに緑と赤の着色料を加えたものです。とろみを付けたんですけど、あまり生かされなかったですね。
__ 
いや、あれはどういう原理の何だったんでしょうか?あのペットボトルを振るとその人が苦しんだりしていましたが。
三國 
映画ならいざ知らず、演劇で出来るリアルな暴力表現は限られていると思うんですよ。足を切断とかはできないし、血を吹き出させてもトリックを疑われてしまって興が冷めてしま。でも、演劇が虚構なら、暴力の対象が別に身体じゃなくてもいいんじゃないか。体の外に暴力の対象を設定することが出来れば、人を実際に殴らなくても、殴ることで発生する「痛々しさ」みたいなものだけ抽出できるんじゃないのかなって。それで、人間の心の醜さを見せられたらと思いました。
__ 
なるほど。
サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」
公演時期:2011/8/5~8/30。会場:元・立誠小学校ほか。

タグ: バッドエンド エネルギーを持つ戯曲 凶暴な役者 暴力


「世界はハッピーエンドで終わるんだ」

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沙羅双樹のハムレット」。この作品も大変面白かったです。一番驚いたのが、何の希望もない、まさしくバッドエンドで終わったという事なんですよね。大筋としては、主人公が死んだ父親にとり憑かれ、その狂気が為政者に利用されるというものでした。主人公が正気に戻る訳でもなく、かつての仲間たちを黒幕の思惑どおりに斬り捨て、自らも死に、悪役がほくそ笑んで終わりという。思いきった作品だなあと。蜜さんにインタビューさせて頂いたときもバッドエンドが多いと伺いましたが、バッドエンドが好きなんですか?
河瀬 
はい。実は、僕は元々漫画家になりたかったんですよ。中学からジャンプに投稿していたんです。その時はハッピーエンドが好きというか、当然だと思っていて、ある時、ある漫画に出会ったんですよね。主人公とヒロインの女の子が出てきて、いい感じになるのかな?と思ったらキャラがボコボコ死ぬという。
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タイトルは。
河瀬 
EDEN」です。ちゃんと、綿密なストーリーがあるんですよ。主人公はどんどん薬に溺れて行くんですが。あれを中学の時に読んでしまったのが運の尽きで。ジャンプの漫画を読んで育ち、「世界はハッピーエンドで終わるんだ」と思っていたのが、「これはいかん」と。のうのうと過ごしていては、と。そこからバッドエンドの方向に進んでいったんですね。
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最後に世界の厳しさを叩きつけて終わる、みたいな。
河瀬 
そのニュアンスは大いにありますね。でも、バッドエンドの方が未来があると思うんですよ。辛いけど、どうしようもないけど、だからこそどうするかという問いかけなんですよね。そこに気付かないのが一番良くないと。
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なるほど。特に「沙羅双樹のハムレット」は、一片の希望もなかったですね。
河瀬 
原作も僕ではなかったですし。いい意味で投げて書けたと思います。「月黄泉ノ唄」みたいに、無理矢理、希望が残るように書く事もあるんですけどね。

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