どんなに努力をしても100%にならない

__ 
山野さんが考える、魅力的な俳優とは?
山野 
どうなんでしょうね・・・満足しない事・・・ですかね・・・?。僕は常にそう考えようかと。そうやって自分を律したいと思っているのですが(できているかは別として)、今やっている芝居が最高のものだと思わないことかなと。「金を取って芝居をしていることを事を自覚しろ」ってよく言われますよね。それは単純にレベルの高いものを見せろということだけではないような気がしていて。その線引きも曖昧なわけですから。そもそも演劇に限らず勝負事というものは100%にはならないのではないかと。どんなに努力をしても100%にならない。もちろん目指すべきです。しかし、自分がやっていることに満足した瞬間、終わりが始まるのではないかと。自分より下手な誰かと比べて満足を得ることだけは絶対にしないようにしようと思っています。常に自分より上の人を探し続けたいし、そうなるためにはどうすればいいかと考えていきたいです。それから・・・これも演劇に限らないと思うのですが、必ずしも成功するとは限らないし、賞賛を得られるとは限らない。それどころか酷い失敗に終わる可能性もあるし、アンケートに「観ていられなかった」とか書かれるかもしれない。実際僕書かれたことがあって・・・。つまり負ける恐怖からは逃れられないわけで・・・。なんというか、いい作品を造って賞賛を得たいと思う、或はそれを目指して努力することの裏側には失敗してもそれを受け入れる責任があるのだということを自覚すること・・・が必要になるかなと思います。
__ 
なるほど。
山野 
だからといって勝てる勝負だけするか?いや、それは違う。
__ 
勝てようが負けそうだろうが、そこに戦があるなら逃げないという事でしょうか。
山野 
そういう事かもしれません。不安はなくならないけれども、ここまでやったんだからどんな結果になっても受け入れようと。逃げ口上じゃなく、心からそう思えるまでやるのがいい俳優に必要な事だと思います。

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vol.364 山野 博生

フリー・その他。

2014/春
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山野

心の目、幽霊、必死さ、鈴江さん

__ 
ホラーと言えば幽霊。昨日、心霊動画を見たんですが、良くみたらうっすい映り方してるんですよね。カメラ写りを見る以上、すごく平面的な存在なんじゃないかと。
山本 
ある小説で面白い記述があって。タクシーの運転手が幽霊に会うんですね。バックミラーには映らないけれど、目には見える。これはどういう事だろうか、と。
__ 
光が何かを経由すると映らなくなる。でもカメラには写っている。
山本 
人間が感知したものは全て脳みそに貯められていると考えられているけれども、その仕組は本当は解明されていなくて、実は体の細胞一つ一つに記憶が蓄積されていて、視覚以外の半端な記憶がそこに行くのではないかという本もありました。心の目、と言ってしまえばそうなんですけど、それは非常に面白いなと。
__ 
脳が感知と記憶を一応やってはいるけれど、肉体が外を体感して貯めている(幽霊はその残響なんだろうか・・・?さらに、我々がそれらを誤検知してしまっている?)
山本 
それにしても幽霊は怖いですよね、何をするでもなく立っているだけ。宇宙人と同じく、目的が見えない怖さがある。それは生きている人がやっていても怖いんですけど。
__ 
俳優の身体を見た時の印象は、最初に出てきた時にしか分からないという仮説を建てた事があります。俳優が研鑽を積み重ねたらそれはこちらにダイレクトに伝わってくる・・・なんてそう簡単にはいかなくて。最高の心技体でも、必ず上手く客席と交歓がなされる訳ではない。どうしても、どこか一瞬は混沌系に委ねられるんですよね。ただ、精神的なものがかなりあるんじゃないかとは思うんです。身体のどこかで世界をナメた役者がいたとしたらそれは分かるし、影響があるんですよ、きっと。幽霊と宇宙人はこちら(見ている側の者)をナメまくっているので問題外なんです。
山本 
あはは。
__ 
奴らのだらしない態度が我々のカンに触るんでしょうね。
山本 
劇団八時半の鈴江さんの下で役者を3回ほどやった事あるんですけど、あの人は芝居が出来てくるとそれを壊そうとするんですよね。僕らみたいなヘタな役者を上手く見せるためには、という事で、僕ら自身が必死になって慌てる事が大切だと。
__ 
なるほど。
山本 
いくら難しい演技でも、稽古を通したら出来ちゃうんですよね。だから、途中で難しい演技を与えてくる。これはムリだ!と必死になっている人が面白いんだ、って。

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芯にあるもの

__ 
舞台に立っていて、どんな瞬間が好きですか?
川面 
長く演劇をやっていると、舞台に立つという事が生活の一部になってくるんですよね。ご飯を食べたり、寝たりするのと同じような感じに。毎日稽古に行くのが当たり前で、毎月舞台に立って。私、今年出演した舞台が7本になるんですよ。それも今年が多い訳ではなく、去年もそうだったし、大学に入っていた頃は授業に自主企画、磯川家もあったし。だから、舞台の一瞬にスペシャルなものを感じる事はあんまりないですね。
__ 
なるほど。
川面 
だって、自分は絶対芝居をやらなくちゃいけない、舞台も映像も真面目にちゃんとやる、ってやってるから。取り立ててこの瞬間が超ハッピーだぜというのは・・・。
__ 
ない?
川面 
うーん、強いて言えば、仲良い人が見に来てくれたりとか。それは芝居というか人と人のつながりですけどね。黙々と、期待に応えるように。
__ 
すごい。
川面 
すごいですか。
__ 
この質問に対しては、何かしら好きな瞬間があるって伺いますからね。例えば集中している瞬間とか、冷静になれている、だとか。
川面 
私はやっぱり、やってる最中は基本的にはしんどいですね。緊張するじゃないですか。本番のある日は朝早く起きて劇場に行って、リハーサルして、すぐ本番が始まって、たくさんの人に見られて、その後飲みにいって。超大変じゃないですか!
__ 
ええ。
川面 
基本楽しいですけど、基本しんどい。体力作りもしないといけないからジムにも行ってるんですけど疲れる、そのまま稽古に行って疲れが取れない、やっぱり体力付かないからジムに行って、そういうスパイラルが続いていて。芝居が好きな事に偽りはないんですけど、毎日が楽しいと思ってやってる訳ではないですね。
__ 
ベースは楽しいんですよね。
川面 
そうなんですけど、でも、楽しいというだけで舞台に立ってる人はどうなのかなと。俳優がしんどくても楽しくても、お客さんが楽しむ事だけが大切なんですよ。なるべくおこがましくないように、調子に乗らないように。演劇を楽しむ為の道具には、私はしたくないです。だから、「舞台上の役者が楽しくないとお客さんも楽しめないよ」って意見がありますけど、そんな訳ないと思うんですよ。そういう、ダサいものに囲まれて、それが当然となる環境には身を置かないようにしたいですね。真面目にちゃんとやる、という事です。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 今の作品に集中する ちゃんと楽しませる


普通なんだなって

__ 
東京に行って、何か変わった事はありますか?
奥田 
うーん・・・やっぱり、現実を見たって感じですね。演劇をやりたいって人がめちゃめちゃ沢山いて、上には上がいるというか。並大抵のアレでは・・・。
__ 
なるほど。
奥田 
今考えると、関西にいた時は気楽だったと思う。TVの仕事とかも最初は嬉しかったけど、それはやっぱり普通なんだなって思うようになりました。ああ、なるほどねって。やっぱり東京に行けば何とかなるって思ってたんだけど、必ずしもそうでもないなって。
__ 
ご自身の夢が叶ったり叶わなかったり。それで人も沢山いて。それで、夢が価値を失ったという事でしょうか?
奥田 
いや、例えばドラマの現場に行って、それまで憧れだった人に会ってみて。実際に踏み込んでみると地続きなんだって思ったんですよね。
__ 
地続き。
奥田 
普通の現実だったって事で、夢見がちでなくなったって事です。
__ 
足を踏み入れてみたら、もの凄い事が起こるという訳でもなかった。
奥田 
うーん。東京に行ったら何か、やった以上の事が起こると思ってたんですね。でもやった分だけ返ってくる。やらなかったら帰ってこない。そんだけ。いい意味で現実的になったんですね。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 出立前夜 地続き


シェイプアップ

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今日は宜しくお願いします。
高杉 
宜しくお願いします。
__ 
最近はどんな感じですか。WANDERING PARTYの代表としてもお伺いしたいのですが。
高杉 
最近ですか。劇団の作品の方向性とか、組織そのものの体質もガラッと変わってきていまして。色々大変ですが、劇団をちゃんと形にするために、もっともっと努力したいですね。いまやっている事に満足している訳ではないので。絞っていきたいですね。
__ 
絞っていくとは。
高杉 
今までのやり方というのは、どうしても甘さがあったんですが、それではちゃんと作りたいものが作れないんですね。遊びを有益なものにしたいと思っています。遊びがないというのは、またちょっと違うじゃないですか。そういう部分をシェイプアップしていきたいと思うんですけれど。
__ 
ワンパのこれからの発展を目の当たりに出来るというのは嬉しいですね。
高杉 
いえいえ。でも、緊張感がありますね。うん。会議ひとつとってみても。本当に、過渡期なんだろうなと思います。作品も集団ももっと納得のいくものに仕上げたいんです。すると方向転換が必要になりますね。その時の、えも言われぬプレッシャーが。
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あごうさんにインタビューした時に伺ったんですが、やっぱり劇団をやっていくことは大変だと仰っておりました。劇団員を何とかしていかなくちゃならないという。
高杉 
本当に大変ですよね。ぶっちゃけ、1ヵ月生活出来るだけの給料を毎月支払えない以上、作品性、向上心、人間性みたいなものでしっかりと結びついていなければならないわけですから。
WANDERING PARTY
2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。(公式サイトより)

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