体のなりたちが語る

__ 
まず最初に申し上げたいのですが、中間さんの身体がもの凄く気に入っているというか、肉体そのものが興味深いんです。jazzzzzzdanceの最後のシーンで、薄暗い中、ただ垂直にジャンプするだけのシーンがあったんです。あの時の中間さんの着地音がですね、とても素敵だったんです。心地よい重みでしかし確かに存在感を伝えるそんな音。トーンッ、って、高級クッキーのように程よく乾いて程よく湿った音。その謎を探りたい。
中間 
謎っ(笑う)。何でしょうね。
__ 
まずはダンスとの出会いから伺えれば。中間さんは3歳の頃からバレエを始められたんですよね。その、これまで取材させて頂いた方の中には子供の頃のバレエ教室がとても厳しいという方も多くいらっしゃいました。中間さんの場合はいかがでしたか?
中間 
そうですね、私の場合は自ら厳しい方に進んでいたように思います。バレエ教室も5つぐらい変わっていて、それはもっと上に行くために厳しいとこに行ってたんです。最初は公民館の教室だったんですが、幼稚園を卒業する頃にはバレリーナになりたいという夢があって。親に頼んで送り迎えをしてもらって。
__ 
イギリス留学にも行ったんですよね。そうした変遷を経て、中間さんはご自身の身体、肉体にどんなイメージを持っていますか?
中間 
私は自分の身体にコンプレックスがあって。自分の足とか手とかが凄く嫌いなんです本当は。そういう風におっしゃって頂くのは嬉しいんですけど。足の形も、水泳の北島康介選手が自分の足の骨格を整形手術をしたと知った時、自分もやろうかと思ったぐらい。小さい頃からバレエをやっていたから洗脳されている、じゃないですけど、足は膝が付いていて湾曲していて、むしろX脚ぐらいの方が美しいとか。今でもそういう理想みたいなのが頭の中にある気がします。
__ 
それに沿うていない自分の身体。
中間 
そうですね、でもそこは半分諦めていて。今から目指してもなれないですし。
__ 
自分の身体でやっていくしかない、と。
中間 
そうですね。でも、このサイズだから出来る踊りというのは凄く研究したと思います。私は背が低いので、背の高い、脚の長い人が苦手な回転を頑張ったりとか。凄く地味だけど回転だけは一番になってやろう、と。
__ 
むしろ、それを生かす。
中間 
はい。
__ 
ありがとうございました。思うに、中間さんの身体はサイズと体重が理想的なバランスを持っているんじゃないかと。バレエをされていたからかもしれないけれども、自分の身体を自分で作ってきた感があるんです。私のような、欲望に負け続けてきただらしない体はそれに見とれるしかないですよね。
jazzzzzzdance
公演時期:2015/2/7~9(神戸)、2015/2/14~15(横浜)。会場:ArtTheater dB Kobe(神戸)、KAAT(横浜)。

タグ: 肉体、重心 魅力的な身体[心地よい重み]


質問 田中 次郎さんから 田中 次郎さんへ

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前回インタビューさせていただいた、枠縁の田中さんから質問です。「占いについてどう思いますか?」
山野 
本能的に興味がある、という事ですかね。オカルトじゃないですけど、人知を越えた不思議な力はあると思っているんです。演劇にも直感や本能が必要になることはあると思うし。余談ですがコンテンポラリーダンスにもすごく興味があって・・・自分の肉体や直感、本能にアプローチする作業だと思っていて。生まれつきそういうことに興味があるんでしょうね。

タグ: 肉体、重心


vol.364 山野 博生

フリー・その他。

2014/春
この人のインタビューページへ
山野

心の目、幽霊、必死さ、鈴江さん

__ 
ホラーと言えば幽霊。昨日、心霊動画を見たんですが、良くみたらうっすい映り方してるんですよね。カメラ写りを見る以上、すごく平面的な存在なんじゃないかと。
山本 
ある小説で面白い記述があって。タクシーの運転手が幽霊に会うんですね。バックミラーには映らないけれど、目には見える。これはどういう事だろうか、と。
__ 
光が何かを経由すると映らなくなる。でもカメラには写っている。
山本 
人間が感知したものは全て脳みそに貯められていると考えられているけれども、その仕組は本当は解明されていなくて、実は体の細胞一つ一つに記憶が蓄積されていて、視覚以外の半端な記憶がそこに行くのではないかという本もありました。心の目、と言ってしまえばそうなんですけど、それは非常に面白いなと。
__ 
脳が感知と記憶を一応やってはいるけれど、肉体が外を体感して貯めている(幽霊はその残響なんだろうか・・・?さらに、我々がそれらを誤検知してしまっている?)
山本 
それにしても幽霊は怖いですよね、何をするでもなく立っているだけ。宇宙人と同じく、目的が見えない怖さがある。それは生きている人がやっていても怖いんですけど。
__ 
俳優の身体を見た時の印象は、最初に出てきた時にしか分からないという仮説を建てた事があります。俳優が研鑽を積み重ねたらそれはこちらにダイレクトに伝わってくる・・・なんてそう簡単にはいかなくて。最高の心技体でも、必ず上手く客席と交歓がなされる訳ではない。どうしても、どこか一瞬は混沌系に委ねられるんですよね。ただ、精神的なものがかなりあるんじゃないかとは思うんです。身体のどこかで世界をナメた役者がいたとしたらそれは分かるし、影響があるんですよ、きっと。幽霊と宇宙人はこちら(見ている側の者)をナメまくっているので問題外なんです。
山本 
あはは。
__ 
奴らのだらしない態度が我々のカンに触るんでしょうね。
山本 
劇団八時半の鈴江さんの下で役者を3回ほどやった事あるんですけど、あの人は芝居が出来てくるとそれを壊そうとするんですよね。僕らみたいなヘタな役者を上手く見せるためには、という事で、僕ら自身が必死になって慌てる事が大切だと。
__ 
なるほど。
山本 
いくら難しい演技でも、稽古を通したら出来ちゃうんですよね。だから、途中で難しい演技を与えてくる。これはムリだ!と必死になっている人が面白いんだ、って。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 肉体、重心 カオス・混沌


大理不尽

__ 
坂本さんの作る作品は、この世にあってどのような存在であってほしいですか?
坂本 
一つあるんです。モテない、鬱屈としたヤツのハケ口。これさえあれば生きられる、みたいな。「いいなあ、こいつら、アホやなあ」と思ってもらいたいです。僕もそういう人たちに励まされてきたんですよ。筋肉少女帯やみうらじゅんさん、そういう人たちに救われてきたんです。目指せ、演劇界のGAROですね。
__ 
サーカスみたいな見世物になればいいんですよね。
坂本 
そうですね、見世物になりたい。
__ 
最近、観客の感情移入について考えているんです。会話劇を見る時、セリフを投げかけられた瞬間の役者って、観客の頭の中では「特定の誰か」として意識されている訳じゃないなあと。
坂本 
ええ。
__ 
極端な例で言うと、空中ブランコから落ちて地面に激突する瞬間、その身体は誰かという属性なんて持っていなくて、砕け散る肉体としてしか印象されないんじゃないかなと思っていて。そして、観客の肉体的感覚はその時の誰でもない身体に強く移入し、その身体が臨む破壊を直観し仮体験するであろうと。であれば、役者に炸裂したエネルギーはそのまま観客の脳みそにて客を焼くんじゃないかと思うんですよ。それは快感を伴うに違いない。だから、処刑の瞬間の理不尽を、尖った劇団には期待してしまうんです。
坂本 
分かります。僕も理不尽見たいです。
__ 
これはもう、世界平和とは完全に関係ないですけどね。
坂本 
真裏ですもんね。
__ 
でも、ハケ口は必要ですからね。
坂本 
そうですね、TVドラマで気が晴れる人もいますけどね。

タグ: 肉体、重心 賛否両論 見世物 大・大・理不尽


噛み合う為に生きている

嵯峨 
腕よりも、もっと鍛えた方がいいのは体幹ですね。そこを教えてくれるのはいい道場です。腕をどう使うかは大切なんですけど、相手がどんな時に来てもいいように胴を練るんです。幹が練れていたらバランスが崩れないので、枝葉に当たる腕も動いてくれるようになるんですね。
__ 
体幹を練る。どのように訓練しているのでしょうか。
嵯峨 
まずは、正しく立つ事です。背筋をまっすぐ伸ばし、やんわり曲げていく。自分の体にどれだけ力が入っていったのか感じながら曲げていく、あるいは伸ばしていく。ブルース・リー先生もやっていた「アイソメトリックス」がそうですね。立っている人間には前後左右上下の6方向に重力が働いているんですが、動かないで自分はどこに方向に向かっていくのかを感じるトレーニングなんです。前に行きたい自分を抑え、キープする。後ろに行きたい自分を感じる。自覚するんです。
__ 
自分の行きたい方向を感じる・・・?
嵯峨 
下に向かう重力があって、自分は反作用で立っていますね。だから自分はここにいる。自分はどの方向に向かうのか?禅のようですね。
__ 
精神と肉体と関節の総合が持つ方向付けの力を感じ、集中して問い続ける。
嵯峨 
そうですね、力と言えると思います。ただし、惰性ではありません。惰性だと重力に従って落ちていく筈で、それに逆らって立っている自分の方向付けを見定める事は、禅に近い修養と言えるでしょうね。
__ 
我々はたまたま生まれてきて、闇雲に生きていますが、肉体と精神と関節というものを与えられていますね。その3つの総合をもってして、方向付けがいみじくも出来ています、と。
嵯峨 
そうですね。
__ 
それは惰性で動こうとしているのではなく、自ら存在として動こうとしている。
嵯峨 
もっと演劇の話に近づけると・・・「シモンさんみたいに動いてみたいです」と言われる事があって。僕なんか全然動けないんです。どんな風に自分は動けるのか、そのイメージを具体的に持たないといけないんですね。自分の腕の可動域はどこからどこまでか。肩は?足のバネは?それを考えて、ゆっくり動いてみたり・あるいは勢いをつけたり。考えて動かなければ失敗するパフォーマンスになるんですよね。ちゃんと、今いる立ち位置・スタンスのところから、相手への距離を考えて練っていく事をやるかやらないかが、上手い演技者かどうかの分かれ目。武道でも同じです。これは師範の言葉ですが、武道を学ぶ人こそ頭を使って勉強しないといけないんですね。理を理解し、相手と自分の事を考え、頭を使って勉強していないと、武道を正しく使えないし、上手くもならない。
__ 
それは、言葉だけではない自己分析と言えるかもしれませんね。自己の表現内容を吟味するという意味で、演技者としての大切な作業ですね。
嵯峨 
もちろん、プレイヤーと演技の間には演出の要請がありますからね。さらに、独りよがりの演技に陥ると「何で相手役を置いて一人だけでいってんねん」という事になってしまいますし。舞台は、噛み合った完成形を見せる芸術作品ですから。ところで武道でも、噛み合うという事を学ぶんです。
__ 
というと。
嵯峨 
武道の「道」とは仲良くする事を意味するんですよ。それが最終目的なんですね。道でないと広がっていかないんです。格闘術は戦場で生き残れればキレイでなくてもそれでいいんですよ、本当に。「道」と名前の付いている武道は自他共栄する事です。演劇って、役者が共演者と一緒に上に上がっていくからより良いものになっていくんですよ。
__ 
それはきっと、傑作と呼べるものだと思います。
嵯峨 
そうですよね。統合・統一・統和されないと、演劇としては完成されないと考えています。そうでないと面白くないんです。

タグ: 揺らぎ、余白 肉体、重心 傑作の定義 トレーニング[方向について]


ぼくの軸

__ 
私が御厨さんのダンスを見たのは、伊藤キムさんと京都造形大学の「go-on~からだの森をゆく~」でした。
御厨 
ダンス作品に出始めたのは去年からですね。その「go-on~からだの森をゆく~」が初めてです。ダンス経験はようやく一年です。
__ 
弱男の公演でも思ったんですが、御厨さんは身体一つだけで深い印象を刻むような印象があるんですよ。例えば弱男のコント公演「夕暮れ社 登場」の時にも、あの一人芝居のキレがまだ残っています。方向性のしっかりした動きですね。身体を動かす為の、何かポリシーがあるんですか?
御厨 
そうですね。まず、何故ダンスを始めたのかというと・・・。弱男に入って初めての作品で、ミックンロールという作品があったんですよ。その時に、イジメられっ子として頭にバスケットボールを被らされて殴られたり蹴られたりを、一人だけの演技で表現するというシーンがあったんです。公演が終わって作・演出の村上さんと話していたら、身体がきく、動かせるのでダンスをやってみたらいいんじゃないかと言ってもらえて。僕も興味があったんですね。僕も役者として見た時にあまり言葉が達者ではないので、それ以外での身体の表現を強く意識してやらないと、他の役者さんと並んだ時に難しいかなと。身体として見せる時の立ち姿ってなんなんだろうなという疑問を持ってダンスを始めたというのがあります。
__ 
御厨さんにとって、見せられる体とは何を意味していますか。
御厨 
僕はどこにでもいる普通の身体をしていて、それだけで見せられるものじゃない。
__ 
いえいえ。
御厨 
いや、そうなんですよ。でも、その肉体が舞台上に立った時に、すっと、お腹に力を入れて、軸を保っているだけで全然見え方が違ってくるんですよ。弱男の舞台でも四方八方から見られる時があるんですが、その時のために見られる身体にしておかないといけないんですよ。油断なく。それには、身体の軸を作る事が必要なんです。腹筋に本気で力を込めていると、その軸が意識出来ます。
伊藤キムダンスプロジェクト「go-on ~からだの森をゆく~」
公演時期:2012/5/12~13。会場:京都造形芸術大学 人間館・京都芸術劇場春秋座舞台上。

タグ: 肉体、重心


肉体の演技、分身の演技

江坂 
僕が男肉にいる理由は、そういうところにあります。
__ 
それは、ダンサーの実存に宿る面白さに意義を感じている?
江坂 
そういう事ですね。大長編にヨーロッパ企画さんの俳優が参加してくれる事が多くなって。前回石田さんが客演して下さった時に「ダンスを教えて欲しい」って言って下さったんですね。でも実は、僕が教える事なんてあんまり無かったんですよ。突破の仕方だけ教えて、あとはどうなるかを見ていたかったんです。いや、俳優の方だけあって、立ち方も振りも面白いんですよ。結局、どうやって生きるかだと思うんですよね。小石の演技とか見ていてそう思います。あいつ一度、本番の最中にセリフを間違って逆の事を言った時に、「違う!」って取り消したんですよ。感動しました。それが成立してるんですよ。アルトーが書いていた肉体の演技、分身の演技ってこういう事なのかなと。
__ 
その小石さんが一際輝くのが「男肉卒業式」ですね。もう6年ぐらいまえから作品の〆として上演されていますが、あれも男肉を象徴するパフォーマンスで、次回公演が決まっているのに卒業式を執り行うという荒唐無稽さ。そして、小石さんの切実さ。
江坂 
やっててマンネリ感は一切ありませんね。特に小石は観客がいなくても練習もゲネプロも全開でやるんですよ。
__ 
ええっ。
江坂 
手を抜いたら出来なくなるのかもしれません。僕にしたって、全力じゃないと踊れないので。

タグ: 肉体、重心 立ち方


アトリエ劇研でのワークショップ

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。
堀川 
お願いします。
__ 
京都へは、確かワークショップで何度も来られるんですよね。
堀川 
はい。11月は再来週14、15日。12月は12~13、1月は4~5にアトリエ劇研で開催します。
__ 
どのような内容なのでしょうか。
堀川 
今回やっているのは、本当に凄く基本的な事なんですよ。あまり普通のワークショップでは扱われないぐらい。例えば11月には立ち方について扱います。
__ 
姿勢の取り方という事でしょうか。
堀川 
実は、キレイな立ち方は俳優が自分で気を付けていても中々難しい事なんですよ。私は体が右に落ちているので、そのままでは客席にまでセリフを伝える事が出来ないんですよね。伝わらないから、言葉の力が弱くなる。
__ 
それは初めて聞きました。それは、シンメトリーである事が美しいという事になりますか?
堀川 
長台詞をばーっと言う時に体が左右どちらかに落ちていると言葉の伝わりが悪いと思うんです。左右どちらかに落ちていると、声のベクトルがずれてしまう。直接言葉を伝えるには、体をまっすぐにするのがベストだと思っているんです。それは片方の鼻が詰まっているだけでも変わります。だから、自分の体のどこがウィークポイントで、どこをまっすぐにしないといけないかを知る、というワークショップにしようと思います。
__ 
そうなんですね、そんな基本的な事をされるんですね。
堀川 
やっぱり20年・30年・・・と生きてくると、生活によって体がどこかに偏っていくんですね。
__ 
あ、そういう話は聞いた事があります。左にヴァイオリンを持ち続けたヴァイオリニストが、重心が左になって、楽器をもってやっとバランスが取れるようになったとか。
堀川 
そういうことを、参加者の方が指摘しあうワークショップにしたいと思っています。
世田谷シルク
2008年1月「15 minutes made vol.3」で旗揚げ。特徴は「踊る大人の絵本」。脚本・演出の堀川炎が考える芸術作品を行う団体。2009年より本格的に劇場で公演を行う。アングラや一律の会話劇でもなく、独特の照明と音響演出で美しい舞台を追求し、多人数のダンス群舞を得意とする。2010年、「第4回公演 渡り鳥の信号待ち」にて世田谷区芸術アワード”飛翔”舞台芸術部門賞受賞。(公式サイトより)

タグ: 肉体、重心 ユニークな作品あります 立ち方 アングラ演劇という価値