あなたに投げかける
- __
- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 戒田
- もっとお客さんに届く作品を作りたいですね。第15回公演「ツキノアバラ」※は十五夜という事で、ちょっと特別な意味合いの公演にしたんですよ。この豪華なキャストで。
- __
- ああ、本当だ。凄いですね。
- 戒田
- その公演頑張って、でも次がショボく見られたら嫌だと思って2本立ての公演にしたんですよ。「トラワレアソビ」と「ツキカゲノモリ」。本公演クラスの2本立てをやったんです。どちらもえらく評判が良くて。僕の作品は的を絞れていないカオスだったんだなという気づきもあったんです。
- __
- なるほど。
- 戒田
- そのあたりから、お客さんからの反応がビビットに届くようになりました。今更かもしれませんけど、もっとお客さんの心に届いて、反応の返ってくる作品を作りたいなと思っています。
- ※満月動物園第壱拾五夜『ツキノアバラ』
- 公演時期:2008/10/24~26。会場:in→dependent theatre 2nd。
衝動
- __
- さて、KEXのオープンエントリー参加作品[deprived]。見所を教えて頂けますでしょうか。
- 矢野
- 俳優の身体そのものを、先ずは観て頂きたいです。俳優が言葉を発語する。発語という行為を行うために、その行為を際立たせるために本当にいろいろなものを削ぎ落としているので、そこを観て欲しい。どちらかというと僕らの作っているものは派手で豪華なエンターテインメントではなく、儀式的、様式的というか・・・例えば、歌舞伎ではなくて能楽に近いような、そんなものなんですね。俳優がテキストを発するとき、おそらくそれは目に見えるようなものじゃないんですけど、けっこうな苦労をしていて・・・僕らの作品に限らないと思うんですけど、古典や近代文学のようなテキストを、普通に、何事もなく聞けてしまうようにするのって、けっこう難しいんですよ。誰が何故、何を、何のために喋るのか? について、俳優がちゃんと自分のなかに衝動のようなものを持ってないとすぐ、言葉が上滑りするというか、スカスカになってしまうんです。
- __
- まずは俳優の発語に注目すると、shelfの作品の成立する瞬間が感じられる?
- 矢野
- いうなれば、西洋的な足し算で見せていくフラワーアレンジメントではなく、余白、間を見せるための生花ですね。ギリギリまで削った、言葉と、身体と、空間。そして何より余白を大事にした作品を作っています。これは余談なんですが、最近いろいろ英語で企画書を書いていて苦労したというか気づかされたんですが、英語では日本語の「削ぎ落とす」って、あまり良い意味を持っていないんですよ。trim outとかかな、とか、いろいろ考えたんですけど、trim outだと確かにクローズアップはしているんですけど、それはあくまで部分に集中させることを念頭に置いた表現なんですよね。僕らは逆に、削ぎ落とした、削がれた方の余白の美しさや、お客さんの想像力を喚起するための間、何もない空間じゃなくて、無いものが在る、内に深く混沌さを孕んだ豊かな空間を作るのだということを最優先に狙っています。とにかく古典をやるにしても、今回のような構成作品を上演するにしても、それを大事にしていますね。
劇団どくんご 公演第二十八番「OUF!」 THE NAKED DOG TOUR 2014※
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。神戸公演が終わった直後のお疲れの中、大変恐縮ですがお話を伺えればと思います。今日は大変貴重な機会を頂きまして、誠にありがとうございます。私、実は10年ぐらい前に京都大学西部講堂で「踊ろうぜ」を拝見しました。とても面白かったです。あの日からどくんごへの興味が尽きません。今年もツアー中という事で、関西には6月に京都に来られるんですよね。大阪には10月。ところで、ツアー公演をされていると例えばどういう事が面白いですか?どうしようかな、とりあえず、時計回りに伺ってもよろしいでしょうか。
- 一同
- (笑う)
- どいの
- どうでしょう。各地の受け入れの方がいるから僕らもやっていける部分はありますね。新しい地域との出会いも常にあって楽しいです。
- 五月
- 受け入れの方々との関係もありますけど、野外でやっているのが面白いかな。外でやっているから袖幕もなくて、お客さんの顔も自分達の芝居も同時に見えるんですよ。その時の私はどうやら楽しそうに見ているらしくて「凄く楽しそうに見てますよね」とよく言われます。なんでかな。やっぱり、自分達だけの芝居だけをやっている訳じゃないからかな。その日の客席とか天気とか、環境の中で毎回違うんですよ。うまく行く事も行かない事もあるけれど、毎回新鮮です。
- __
- ありがとうございます。芝居はお客さんのものでもあるから、その意味では常に違いますよね。
- ちゃあ
- 僕は今年が初参加なので、旅をするのも本番も楽しくて。色々なお客さんが来てくださるのが嬉しいです。演劇以外にも舞踏の人とか音楽の人とか、出会おうと思っても出会えない人にたくさん出会えるのが楽しいです。
- 根本
- 彼は鹿児島出身で、札幌の大学にいるときにどくんごを見て参加したいと言ってきて。去年は転換と演奏にも参加していました。
- __
- 今日はよろしくお願いします。2Bさんはいかがですか?
- 2B
- 僕が面白いと思うのは・・・本番が何回も出来るという事かな。
- どいの
- なるほど。
- 2B
- 何回やっても完璧な回はなくて、駄目なところは必ず出てくるんですけど。千秋楽でも間違えたりするんですけど(笑う)。時間もあるので、自分の気持ち次第で芝居を変えていく事が出来るんですよね。
- 高田
- 高田といいます。東京で「快楽のまばたき」という劇団で路上演劇をやっています。お亡くなりになった九条京子さんのご了解を得て、寺山修司さんの作品の登場人物の名前を使わせてもらっています。何が楽しいか?これからどうなるか分からないんですけど、まだ慣れてもないし本番も9回しか出来てないんですけど、本番の度に「今日はこう行こう」というのが毎回違っているのが自分でも面白いです。場所のせいという訳でも、周りのせいという訳でもない、その日に何を思っているかも違うし、自分のやろうと思っている事も違う。旅をしているどくんごだけの感覚なのかもしれないなと。面白くもあり、緊張することもあり。
- __
- スベる時はスベりますからね。
- 高田
- そうなんですよねー、こうやれば絶対うまくいくと思ってやっても、みんなからすれば全然面白くないって事がありますから。こんなんで大丈夫かなと思ってたらウケた事もあるし。
- __
- カオスですよね。でも、楽しいですよね。石田さんは?
- 石田
- 去年参加して、行く度に受け入れの方が盆に子供が帰って来たみたいに受け入れてくださって。素敵な体験ですね。それと、私も他の人のシーンを見るのが好きです。
- 根本
- 僕は、同じ公演で70~80ステージをするのは初めてで。今まで多くて15ステージだったから。単純に、行った事のない場所に行くというのは単純に楽しみですよね。それと、京都でもちょっと変わった事をしていたからか、ずっと連絡していなかった友達ともう一度繋がれたりとか、自分の地元で公演が出来たりとか、京都でもベビー・ピーのごった煮を前夜祭として出来たりとか。今回のインタビューもそうだし。接点の無かった人達に出会うのと同時に、自分の持っていた縁をもう一度新しい機会として掘り起こすのが楽しいです。
- __
- なるほど。これからも硬直する事なく、そして古い部分に光を当て、地を進み、根を破り、水を割り、空を飛んで頑張ってください。
- 全員
- (笑う)
- ※劇団どくんご
- 日本全国を旅するテント劇団。
- ※劇団どくんご 公演第二十八番「OUF!」 THE NAKED DOG TOUR 2014
- 公演時期:2014年。会場:日本全国各地。詳しい公演スケジュールはこちら。
わがまま、欲張り
- ___
- ヰトウさんにとって、表現って何ですか?
- ヰトウ
- 私にとってはなんですが、「わがまま」だと思います。演出家のその時の手法によると思うんですけど、わがままを押し通して自分の表現をして、評価を頂くものだと思っています。
- ___
- では逆に、もしヰトウさんが演出家として演劇を作るとしたら、どんな作品になると思いますか?
- ヰトウ
- 私は欲張りで色んな事に興味を持ってしまうので、演劇らしい演劇じゃないかもしれない。舞台でやられるのって、演劇かダンスじゃないですか。それ以外のジャンルの表現、例えば絵画とかを舞台にぎゅっと凝縮したらどんな形になるんだろう。ある種実験的な、カオスな事になるんじゃないかと思います。
心の目、幽霊、必死さ、鈴江さん
- __
- ホラーと言えば幽霊。昨日、心霊動画を見たんですが、良くみたらうっすい映り方してるんですよね。カメラ写りを見る以上、すごく平面的な存在なんじゃないかと。
- 山本
- ある小説で面白い記述があって。タクシーの運転手が幽霊に会うんですね。バックミラーには映らないけれど、目には見える。これはどういう事だろうか、と。
- __
- 光が何かを経由すると映らなくなる。でもカメラには写っている。
- 山本
- 人間が感知したものは全て脳みそに貯められていると考えられているけれども、その仕組は本当は解明されていなくて、実は体の細胞一つ一つに記憶が蓄積されていて、視覚以外の半端な記憶がそこに行くのではないかという本もありました。心の目、と言ってしまえばそうなんですけど、それは非常に面白いなと。
- __
- 脳が感知と記憶を一応やってはいるけれど、肉体が外を体感して貯めている(幽霊はその残響なんだろうか・・・?さらに、我々がそれらを誤検知してしまっている?)
- 山本
- それにしても幽霊は怖いですよね、何をするでもなく立っているだけ。宇宙人と同じく、目的が見えない怖さがある。それは生きている人がやっていても怖いんですけど。
- __
- 俳優の身体を見た時の印象は、最初に出てきた時にしか分からないという仮説を建てた事があります。俳優が研鑽を積み重ねたらそれはこちらにダイレクトに伝わってくる・・・なんてそう簡単にはいかなくて。最高の心技体でも、必ず上手く客席と交歓がなされる訳ではない。どうしても、どこか一瞬は混沌系に委ねられるんですよね。ただ、精神的なものがかなりあるんじゃないかとは思うんです。身体のどこかで世界をナメた役者がいたとしたらそれは分かるし、影響があるんですよ、きっと。幽霊と宇宙人はこちら(見ている側の者)をナメまくっているので問題外なんです。
- 山本
- あはは。
- __
- 奴らのだらしない態度が我々のカンに触るんでしょうね。
- 山本
- 劇団八時半の鈴江さんの下で役者を3回ほどやった事あるんですけど、あの人は芝居が出来てくるとそれを壊そうとするんですよね。僕らみたいなヘタな役者を上手く見せるためには、という事で、僕ら自身が必死になって慌てる事が大切だと。
- __
- なるほど。
- 山本
- いくら難しい演技でも、稽古を通したら出来ちゃうんですよね。だから、途中で難しい演技を与えてくる。これはムリだ!と必死になっている人が面白いんだ、って。
ぐうたららばい『観光裸(かんこーら)』※※
- __
- 今日はどうぞ、宜しくお願い致します。糸井さんは、最近はどんな感じでしょうか。
- 糸井
- こちらこそ、よろしくお願いします。私は普段、FUKAIPRODUCE羽衣という東京を中心に活動している劇団の作家・演出・音楽他をやっていまして。この度、京都で作品を上演するにあたって「ぐうたららばい」という個人ユニットを立ち上げまして。
- __
- KYOTO EXPERIMENTのフリンジ企画、「PLAYdom」での参加ですね。タイトルは「観光裸」という。
- 糸井
- はい。この半年、打ち合わせ等で何回も京都に来ています。作品の製作は終わっていて、実はいま上演期間なんですよ。
- __
- 京都、いかがですか。
- 糸井
- 居心地がいいというか、便利な街なのに、ちょっと通りを入ると静かな路地があって風情を感じたりと。素敵ですね。町のみなさんが、迎え入れる事に慣れてるんでしょうね。
- ※FUKAIPRODUCE羽衣
- 2004年女優の深井順子により設立。作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体。妖艶かつ混沌とした詩的作品世界、韻を踏んだ歌詩と耳に残るメロディで高い評価を得るオリジナル楽曲、圧倒的熱量を持って放射される演者のパフォーマンスが特徴。(公式サイトより)
- ※FUKAIPRODUCE羽衣
- 女優の深井順子が主宰するFUKAIPRODUCE羽衣(以下、羽衣)の座付作家・演出家・糸井幸之介。彼がこのたび、個人ユニット「ぐうたららばい」を旗揚げし、初の京都公演に挑みます。(以下略)(公式ブログより)
- ※ぐうたららばい『観光裸(かんこーら)』
- 公演時期:2012/10/18~21。会場:元・立誠小学校 音楽室。
宝塚文化の中で育って
- __
- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。今回のインタビュー実施場所、ここ宝塚大劇場が関さんの原点だと伺いましたが・・・。
- 関
- 実家がこの近所なんです。大学から東京で、今はまたこの街に戻ってきているんです。それから、子供の頃に習っていたバレエ教室の先生が元タカラジェンヌで。お嬢さんが当時スターで、辞められてからは宝塚歌劇団の振り付けをされるようになって。物心ついた時から、宝塚が身近にあったんですね。
- __
- 宝塚文化の中で育ったと。
- 関
- そうですね。一時期、すごくはまったんです。凄く好きで。その教室は宝塚受験対策で通われるバレエスタジオでもあったので、両親も「いつ受けたいと言い出すのか」と思っていたみたいです。私はそんな、大それた事は考えもせず。その後、大学時代にH・アール・カオス※といいう女性だけの団体に所属していたのはその影響だろうと言われたこともありました。
- __
- 宝塚。今でも好きですか?
- 関
- 好きですね。先日も見てきました。先のH・アール・カオスの大島早紀子さんなど、コンテンポラリーダンサーも振付を担当される場合があって、仕事上でも距離の近さを感じています。
- __
- 最近はいかがでしょうか。
- 関
- ぼちぼちですが、ちょっと悩んだりもしていました。東京からこちらに移って5年目になって、一年目は精一杯で、2年目はちょっと落ち着いたんですけど、こっちのダンス界ではあまり人脈も無かったりして。神戸に私がいるという事を、舞台活動を通して覚えて貰いたいと色々。今は、5年目の節目です。本当はどこに拠点を置くべきなんだろうと色々悩んだりもして。今は、関西で頑張っていこう!と思っていますね。
- ※H・アール・カオス
- 日本のコンテンポラリー・ダンスのカンパニー。東京都を拠点に活動。演出・振付家の大島早紀子がダンサーの白河直子と1989年に設立。独自の美意識と哲学に支えられた大島の空間感覚溢れる作品はどの作品もレベルが高く、ダンスの領域を遙かに超えた総合舞台芸術となっている。衝撃的な天才ダンサーといわれる白河の究極の身体造形と表現力も相まって、多くの支持を集めているカンパニーである。(Wikipediaより)
新しい、知らない人
- ___
- 若旦那は、今後どんな感じで攻めていかれますか?
- 若旦那
- 新しい人を見つけて、恩を売っていきます(笑う)。僕のターニングポイントは、大阪ショートプレイフェスティバルに参加して仕事した事なんですよ。凄い人も、誰も名前を知らない若手も、同じように15分の作品を上演するんですよね。有名無名関わらず。ABC春の文化祭にかのうとおっさんを紹介して、ABCの人に気に入られたり、ピンク地底人を推したり。知られていない人や、若手をどんどん売っていければいいなと思います。
- ___
- その、ショーケースの話。確かに若手もベテランも有名無名関わらず並べる事は出来ますよね。でも、カオスにする事は出来ない・・・って、twitterのエントリがあって。一体どうすれば、混沌としたショーケースに出来るのでしょうか。
- 若旦那
- ジャンルにこだわらず、まず見てみて、それで面白いと思った人を推していくという事じゃないかなと思います。一つの事にオタクな人もいると思うんですが、商店街のショーウインドウに目移りするように、とりあえず気になった公演に行って、その上で面白い、ちゃんと勧められると思われるものを勧めるという事ですかね。客寄せパンダよろしく、この人で集客しようと思ってエントリしない事だと思います。
- ___
- 客が来るという事が条件ではない。
- 若旦那
- そうですね。さらに、順番一つで本当に変わるし、そもそも舞台表現がジャンルレスになってきているのもあります。例えばきたまりさんが喋ったりとかMuDAとか、マイクパフォーマンスを取り入れたり。「声も一つの踊り」と言っていました。その作品一つですでにカオスな状態もあるわけですしね。
- ___
- チラシのプログラムに載っている情報だけでは、上演中の事なんて何も分からない。でも、とりあえずは、面白いからそこに並んでいるはず。通常の演劇公演でも同様ですね。まずは劇場に行かないと、面白いかどうかは分からないですが。
妊婦
- __
- 今は、どんな事を考えてお芝居をされているのですか?
- 3号
- やっぱり劇作をしたいですね。それ以外あまり考えていないです。
- __
- 次回の公演は。
- 3号
- 次回は7月です。その前に、戯曲の提供を行った2作の作品の上演があります。大阪と京都ですね。
- __
- いい感じだといいですね。今後はどんな感じでお芝居をされていくのでしょうか。
- 3号
- え、うーん。分からないな。・・・多分、もうあんまり役者をする事はないと思います。戯曲と演出で。
- __
- どのような作品を作られていくのか、気になるところなんですが。
- 3号
- みんなそうなのかも知れないですけど、自分の企画でしか作れない芝居がしたいと思います。今も台本を書きながら、混沌とした、サイケデリックなイメージが出てくるんですね。宇宙を漂っているような。
- __
- 宇宙を漂う。
- 3号
- (笑う)陶酔感のある。いや、ちょっと言ってみただけなんですけど・・・。
- __
- それは、ボーっと見ていられるような、心地良い芝居という意味ですか?
- 3号
- いや、違いますね。何か、麻薬をやっているみたいな感じにしたいんですね。「サリィ・シナモン」は完全にバッドトリップでしたけど、今書いているのもそういうのばっかですね。
- __
- 麻薬ですか。それはいいですね。
- 3号
- いいですね。あんまり麻薬を扱っている芝居ってないなあと思うんですね。ピンク地底人では、妊婦と麻薬を取り扱っていきたいですね。
- __
- 妊婦ですか。
- 3号
- 僕の書く作品には、必ず妊婦が出てくるんですよ。妊婦って、凄く劇的な存在だと思っていて。
- __
- それはありますね。すれすれに卑猥ですよね。危ういというか。妊婦の何にそんなに惹かれるんですか?
- 3号
- ドラマティックだと思うんですよ。あのかたちもそうですし、お腹の中に赤ん坊以外のものが入っていてもおかしくないような気がするんですよね。
- __
- 何が入っていてもおかしくない。
- 3号
- 不思議ですね。
- __
- それに、母親ではないけれども、子持ちであるという状態の女性というか。
- 3号
- ちなみに、次のピンクは妊婦4人出ます。助産婦も1人出ます。
- __
- 生殖における人類と動物の圧倒的な違いというのは、お婆ちゃんがいるという事らしいですね。
- 3号
- どういう事ですか?
- __
- つまり、1回出産を経験した者が近くで助産出来るという。
- 3号
- ああ、そうなんですか。
舞踏
- __
- その、次はダンス公演だと聞いて。※ちょっと意外な気がしていたんですが。
- 吾郷
- 実はね。うちの劇団員の結構な人数が日本舞踊やってるんですよ実は。
- __
- ええー!?
- 吾郷
- 意外でしょ(笑う)。舞台上でそういう教養のあるところを全く見せていない所とか。男はね、全員やってますよ。
- __
- へえー。
- 吾郷
- 僕もやっていたんですが、途中から休みがちになって。行けなくなって。
- __
- 意外ですね。
- 吾郷
- 今度、先斗町の歌舞練場で発表会やるんですよ。
- __
- それが3月の。
- 吾郷
- いや、それは舞踏なんです。そこで、丁度1年前くらいに、精華小劇場※が出演されたアトリエ劇研の公演ビデオも一緒に見せてもらったんですよ。それで興味を惹かれて、川村悟さんに紹介して頂いたんですよ。ダンサーの方のちょっとした動きとか、些細な仕草とか、そういうのがいいなと思って。その時はダンスをやろうとは思ってなかったんですが。
- __
- なるほど。
- 吾郷
- うちの役者はこういうのは出来ない。こういうふうにはいてられない。そういう感じを受けたんですね。
- __
- その、そういう感じというのは、細やかさとか。ダンサーが指を動かすだけなのに感じる、あの動きのことですかね。
- 吾郷
- そうそう、何か、体全体に行き渡ってる感じがあるよね。
- __
- 分かります。
- 吾郷
- 僕らはもっと、雑におると。
- __
- 蛍光灯の前で手を振ると残像が残りますが、ああいった、ぎこちない。
- 吾郷
- そうそう、南斗水鳥拳が始まるみたいな(笑う)。そういう動きの、切欠だけでも得られないかと。それで、うちの劇団でワークショップをやってもらえないかと、紹介していただいたんですよ。稽古場で何度か来ていただいて。それこそ歩くトレーニングとか。そのうち、向こうから一緒にやりませんか、というお話を頂いて。という事なんですね。こういう経験を、僕らなりに咀嚼して、自分達のものにしていきたいなと。
- ※香月人美&WANDERING PARTY舞踏公演『聴かせてよ、愛のことばを』
- 公演期間:2007年3月20~21日。会場:アトリエ劇研。
- ※精華小劇場
- 大阪市難波。元・精華小学校をリノベーションした劇場施設。
- ※川村悟
- 詩人・演出家。ポエトリー・リーディング、舞踏の演出・構成・振付など、多方面の作家活動を展開。
- ※香月人美
- 舞踏家。1997年、詩人河村悟の演出作品『オフィーリアの遺言』に主演。孤立した記憶に呼びかける、詩のカオスを抱えたダンスパフォーマーとして注目を浴びる。
職業
- __
- しかし、舞台監督。かなり独特な職業ですよね。
- 小島
- そうですね。
- __
- やはり、京都だけで営業するには限界があるんでしょうか。大阪からも受注しなくてはならないと。
- 小島
- そうですね。やっぱり、京都だと公演の本数が限られてまして。しかも京都に舞台監督さんはもっといるので、限られた現場をその人数で取り合うという事になりますね。結構、余ってます。そうすると、外部に仕事を求める事になります。大阪でも同様に余ってるのですが。
- __
- ありがとうございます。所で。私が考えるに、舞台監督って作品自体を作るのではなく、もちろん公演をマネジメントするのでもなく、単純に舞台を製作するという立場にいらっしゃる訳ですけれども。
- 小島
- そうですね、大きく言うと作る側ではないですね。実際に現場を進行させ、上演成立の為のバランスを取っていく立場だと思います。とは言っても劇団さんはそれぞれ、作品の製作過程において舞台監督・演出の比重の偏り方が違うんですね。
- __
- つまり、演出家さんによっては、作品の演出に非常に重点を置いている人もいれば、その公演の社会的な役割を考えている人もいる。はたまた、スタッフワークを含めた舞台作品としての出来栄えを強く意識する方もいる、という事だと思うんですが。そうした中で、どのような現場がやり易いですか?
- 小島
- まあ、何がやり易いかというと、舞台監督への要望が明確な現場はやり易いです。「ここをこうしたい」、「こうしたいんだけどどうすればいいの」とか。
- __
- なるほど。
- 小島
- もちろん、そういう現場ばかりではないんですけれども。一番困るのは、それが誰の仕事か明確にならないという現場ですね。混沌としてきて。だれが最終的に責任を持つのか、とか。例えば舞台装置の設置場所を最終的に決めるのは、美術さんなのか演出家さんなのか舞台監督なのか。明確にならないと、非常にやりにくいと。あとは、現場に呼ばれるという立場では作品内容については立ち入れないんですね。意向を尊重する仕事なので。「これをどこに置きましょう」という質問に対して、結局演出家さんに振りなおすしかないという。それに終始してしまう現場だと、大変んだなと。
- __
- そうですね。
- 小島
- 逆に、演出家さんがしっかり意見を持っている現場ですと、その意見は汲み上げやすいですね。僕の役割がしっかり決まっていなくても、例えば美術さんに振る事が出来安かったり。
- __
- なるほど。
- 小島
- その劇団さんなり演出家さんなりのやりたい事があって作品がある訳ですから。それらが明確に出てくると、非常にお手伝いし易いですね。それを、如何に劇団さんが望む形で具体化して無理なくお客さんに提供するか、というのが、仕事だと思っていますので。