仮定的家庭∋家庭的仮定

北尾 
そういう意味で言うと、今回の題材が「家庭」でしたので、それぞれの人間味をより引き出せた部分もあったと思います。それと、裏のテーマとして「仮定」があったんです。たとえば、お母さん役として踊ってもらった人には母性であるとか内面であるとか、そこまで掘り下げないようにしてもらいました。ダンスの良さが損なわれかねないと考えたからです。だから、仮のお母さん。そういうキャラクタライズをしていました。
__ 
だから、振りの良さが生きて、観客が家族について考える余地が生まれたのかもしれませんね。
北尾 
そういう余白のある作品が作れたとしたら嬉しいです。舞台上で、「お母さん」とか「お父さん」と呼びかけ合う。それだけで想像に奥行きが生まれるといいなあと思っていました。

タグ: 言葉そのものを手がかりに 母性性


質問 古藤 望さんから 清水 智子さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、古藤望さんから質問を頂いてきております。「響きの好きな英単語を教えて下さい」。
清水 
英単語かー。あるとは思うんですけど・・・日本語でもいいのかなあ。
__ 
いいと思います。
清水 
「いぬ」が好きです。「い」と「ぬ」で犬を表現するんやなと。可愛くないですか?
__ 
あ、分かります分かります。実体である犬を表すのに「いぬ」という言葉を使うという、その理不尽さの面白さですね。分かります。
清水 
うん。あはは。
__ 
しかも、「いぬ」という言葉が持つ印象に可愛らしさと蔑みが同居していて。
清水 
そういうのがたまらなく好きで、ずっと考えているんですよね。「君ほほえめば」の時も、末満さん演じる引きこもりのケンを犬と呼ぶセリフがあったんです。何回かは心を込めて言ってました。
__ 
ネーミング、大切ですよね。私の中では「しみずともこ」は透明感があって、何か色々教えてくれそうな、賢そうな印象です。
清水 
ホントですか。へー。
__ 
まあそのままですけど、でも、「とも」がフレンドリーですよね。
清水 
大丈夫ですか、似あってますか。
__ 
はい。
清水 
あ、英単語。「ONE」が好きです。音と意味が愛しいです。

タグ: 言葉そのものを手がかりに ひきこもり 言葉以前のものを手がかりに 色んな秘訣集


vol.298 清水 智子

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
清水

幸福な交差

__ 
サンプルの公式サイトの松井さんのプロフィールに、「受動的で信用ならない俳優の姿を肯定する」ありますね。
松井 
受動的というともしかしたらネガティブに思われるかもしれません。でも僕はそういう捉え方を疑っています。人間、どうしたって受動的にしか生きられない、ならざるを得ないように思えるんです。しかもそれに自覚出来ない。能動的に生きていると錯覚している、理性でそういう風に思おうとしているんじゃないかと。
__ 
ええ。
松井 
五感を手がかりに人間像を作れば、人間を肯定出来るんじゃないかと思うんですね。
__ 
「自慢の息子」を見ていて感じたのは、たとえばノートに手が触れる瞬間の緊張感がすごいなと。感触が言葉や思想になる時の、境界の一瞬に緊張感があって。スポーツなり格闘なり、そういう、一瞬を争う感覚がありました。
松井 
そうですね。そこは俳優に求めたところだし、俳優もそこをやるのは刺激的だったと思います。その一瞬にこそ、生々しく自分が存在出来ると思っているんです。
__ 
一瞬・・・。動物は何かと相対する一瞬に、言葉じゃなくて感覚と概念だけで考える、が人間は言葉に置き換えてしまう。舞台上に上がった俳優は、動物の属性も持っていますね。
松井 
人間は何かを知覚した時に、そこに言葉を貼り付けてしまう。意味というか。言葉ってどうしても、生まれた瞬間に一つの物語が始まるんですよね。動物的な反射と、言葉の語る物語との交差があれば、それは幸福なんじゃないか、演劇としてやる価値が非常にあるんじゃないかと思っています。

タグ: 言葉そのものを手がかりに


ルドルフ「授業」

__ 
今回はルドルフ「授業」(作=ウージェーヌ・イヨネスコ、演出=水沼健)の稽古場におじゃまさせていただきました。本番が6月10日から13日まで、会場は京都芸術センターですね。そろそろ1ヶ月をきりました。稽古のすすみ具合としてはどんな感じですか?
金替 
そうですね。今回、ずっと喋り倒しの役なんですよ。
__ 
あ、そうなんですか!
金替 
やっと台詞が入ったところですね。自分の言葉として言えるようになるのはまだまだこれからです。うーん、難しいですね。ネタを見つける作業なんですよ。これは楽しい作業なんですけど。
__ 
今回の見所は。
金替 
結構この作品、いろんな所で上演されているみたいで。筒井さんはフランスで見てたり、永野君は東京で見たり、水沼さんは岡山で見たと。今回のは水沼さんが台詞をいじったり色々考えてるんですよ。
__ 
水沼版「授業」
金替 
独特なものが見られると思います。僕自身も期待していますね。
__ 
原作をお読みになった印象は。
金替 
読み物として結構面白いですよ。でも、上演するとなるとどうなのかな? そのままやって面白いかどうかは。
__ 
あ、なるほど。あらすじからすると凄く単純な話みたいですね。どんな作品に仕上がるんだろう。
MONO
京都を拠点に活動する劇団。軽妙な会話劇から古典劇まで手掛ける。
ルドルフ「授業」
作・ウージェーヌ・イヨネスコ。演出・水沼健。出演・金替康博[MONO]・筒井加寿子・永野宗典[ヨーロッパ企画]。公演時期:2010年6月10~13日。会場:京都芸術センター。
ルドルフ
京都で演劇を上演する集団。

タグ: 言葉そのものを手がかりに MONO