PROGRAM02 美術×ダンス

__ 
御厨さんは去年、現代美術家の方との作品作りをされていましたが、今年も。
御厨 
そうですね。「美術×ダンス」を今年もディレクションします。鬣恒太郎さんという美術家の方と製作予定です。僕は学生時代、舞台ではなくて、美術家の方をプロデュースしたりディレクションしたりしていました。舞台を始めてからはそうしたこととは遠ざかっていたんです。が、美術作家とダンサーが、どのようにコミュニケーションを取ってクリエーションしていくのかを実験したいというのがあってこの企画に至りました。
__ 
なるほど。私は去年、ダンスの上演は拝見出来なかったので展示だけでしたがとても良かったです。見る度に全然違う角度の発見があって。見る人が見ないと分からないかもしれないけど。私は、好きです。
御厨 
ありがとうございます。ダンサーと美術家がそれぞれお互いの分野に対して「好き」をどう発見できるか。この企画が終わっても、この人と一緒にやりたい、という興味関心が続いていったらいいな、ということを考えてやっています。
__ 
現代美術を鑑賞する時、作家の思想や認識そのものが作品であると思うんです。ダンサーは踊っているさなか、観客にその認識をより正確に伝える存在なのではないかと思っているんです。その二者はきっと近しい。
御厨 
そうですね。
__ 
そこはまず期待ですね。
御厨 
雑多な事を言うと、僕はそれぞれをどう呼称すべきか―「コンテンポラリーダンス」「コンテンポラリーアート」と呼べますが、それが凄く気になっているんです。特に、最近の「コンテンポラリー」ではコンセプト重視になっている作品が多いと思うんですが、本当に自分たちはコンセプトを観客に伝えきれているのだろうか、という疑問があります。今回の企画においては、ダンサー、美術家がそれぞれのコンセプトを擦り合わせるなかで、互いにこの疑問に向き合ってもらえたらと考えています。普段のクリエイションで使っている些細な言葉の意味も違うでしょうし。僕自身も彼らとのコミュニケーションを通じて、他ジャンルへも横断できる可能性を探していきたいと思っています。
__ 
つまり、正確な所まで研究し合わないと作れない。
御厨 
そうですね。手間も時間も掛かる作業だと思うんですが、そうしないと深い出会いにはならないんじゃないか、と。
PROGRAM02 御厨亮ディレクション 美術×ダンス
ダンサーと美術家との対話/交換を通して生まれるプロジェクト。互いの出会いを通し出来上がった作品が、美術作品なのか、それとも舞台作品なのか、そうではない何かなのか。舞台美術の可能性を広義に捉え、検証していくための実験企画です。
公演時期:5月30日(土) 15:30、31日(日) 15:30。会場:元・立誠小学校 2階 図書室+資料室。

タグ: ボーダレス・横断 コラボレート


もっと、沢山の人とセッションしたいから・・・なのかもしれません

__ 
木村さんがインプロを始められた経緯を伺ってもよろしいでしょうか?
木村 
私、以前、劇団にお世話になっていて。でも物凄い落ちこぼれで、憧れているけれども何をしたいのか分からない状態で劇団にいる、という恐ろしく迷惑な存在だったんです。そもそも、切磋琢磨してコラボレーションして面白い作品が作られていくのが本当なのに、何をしたいのか分からない人がいる。なんじゃそりゃ、ですよね。
__ 
いえいえ。
木村 
本当によく受け入れてくださっていました。でもダメダメで、人としてすごく自信を無くしていた頃、増田記子さんという今も大好きな先輩が、絹川友梨さんのインプロの本を貸してくださって。それを読んで凄く感動したんですね。すぐに絹川さんのWSに行ったのが始まりです。絹川さんのワークショップで、私は私のままでいいんだ、って思えたんです。舞台というか、癒されに行ったようなものでした。
__ 
癒やし。
木村 
当時から周りに素敵な人が沢山いて、でも私はすごくダメだ、と勝手に思い込んでいて。そんな私でもいいんだって思わせてくれたという経験だったんです。
__ 
そして、現在、トランク企画を続けているのですね。その原動力は。
木村 
何でしょうね。インプロを始めてからは、いつも目の前に階段が出来ていくんです。何でしょうね。目の前の人たちが自由になればいいなと思っているんです。自分が自由でありたいために、周りの人も自由であってほしい。自分だけ自由というのはあり得ないですもんね。たとえば、周りの人がリラックスしていたら自分もリラックスできたり。
__ 
なるほど。
木村 
ショーは、それはそれは面白い瞬間で、みんなと積み重ねていく面白さっていったら無いんですよね。全身がワクワクする。周りもそうだと分かる。それをもっと、沢山の人と経験したいから、かもしれません。

タグ: コラボレート 留学して表現を学ぶ 自分は何で演劇を


重なりあって生まれる、その瞬間が大切

__ 
もちろん、「LIFE」を見ていて全て面白かった!楽しかった!という訳じゃなくて。やっぱり、観客はもの凄くフワフワしながら見ていたと思うんです。不安になる事もあった。お話が用意されていないという点で、観客の態度って相当違うんだなあって思いましたね。
木村 
なるほど~。何も決まってないから、そうですよね。そして、台本のお芝居と、絶対に違うのは、役者が自分自身の言葉で語っているという事なんじゃないかな、と思います。
__ 
役者が、自分の言葉で語っている?
木村 
即興は、その人の人生を反映したものしか出てこないんです。たとえば、台本は、作家さんの言葉、世界、その時代が再現されていきます。もちろん稽古で俳優とコラボレーションしながら作ると思うのですけれど。即興の場合は、一人一人の演者の言葉が瞬間に積み重なってどこまで行けるか、なんです。どんな人の人生も素晴らしいもので、それが重なっていく面白さ。
__ 
その人の生の言葉ですね。
木村 
だから色んな人、年齢層の人がいればいるほど面白いんですよね。さらに言うと、その役者の「今」の言葉しか出てこないんですよ。今の私と去年の私が同じシチュエーションに置かれたとしたら、全然違う事を喋っていると思います。

タグ: コラボレート


冨士山アネット「Woyzeck」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。村本さんは最近、どんな感じでしょうか?
村本 
冨士山アネットの「Woyzeck」にダンサーとして参加しています。普段はMOKKという自分の団体で自分の作品製作をしているんですけど。こういう外部出演の機会を頂くのは珍しいですね。
__ 
ちなみに、どんな経緯で。
村本 
シアタートラムでやった「SWAN」という作品から3回目の出演です。長谷川寧さんといると色々刺激を受けます。私を紅一点に選ぶとはまた、渋めのチョイスなのかなと。
__ 
いえいえ。魅力的でした。それ以外としては。
村本 
MOKKの他にも、アルゼンチンタンゴダンサーとしてクラスを持たせて貰っています。教え始めてからキャリアがある訳じゃないんですが、デモンストレーションやショー等もやっていますね。
__ 
そうなんですね。アルゼンチンタンゴ、実は初めて伺います。
村本 
メジャーとは言いがたいので・・・。でも、ヨーロッパでは結構流行していて、コンテンポラリーダンサーがタンゴをやる事も多いんです。これ熱く語りますけど、アルゼンチンタンゴは究極のコンタクトインプロなんですよ。初めて出会った男女が即興で踊り合うダンスなんです。凄いと思って、4・5年前にやり始めました。
__ 
初めて出会った男女でも踊れる!それは素晴らしいですね。
村本 
コンタクトインプロというと、初めての人はちょっと戸惑うんですが、リードする側とされる側という役割があって、基本的なステップさえ覚えてしまえば、どんな男声・女性とも踊れるんです。
__ 
何というか、色気を感じますね。
村本 
タンゴを踊り始めていくうちにかな。自分がダンサーとして出る時に、女性的な部分を求められるという事もあるのか・・・と気付いたんですよ。中性的な魅力を持つ方はたくさんいるんですが、いわゆる“女性的”なコンテンポラリーダンサーはあまりいらっしゃらないので。そういう需要として求められるのかなと。
__ 
色気って不思議ですよね。私の知り合いに、大変スタイルが良くて歌もダンスも上手いのに、色気が全く無い人がいて。
村本 
一方、可愛くなくて手足が短いのに得体の知れない色気がある人もいますよね。男女問わず、色気のある人がダンスもよかったりするんですよね。
MOKK
村本すみれを中心にメンバーは皆スタッフで構成される。日本大学芸術学部在学中の2002年に前身が発足。2007年『---frieg』より活動を本格化。クリエイターやダンサーとのコラボレーションにより、「劇場機構にとらわれない空間からの発信」を軸とした活動を行う。また、駐車場やビル、コンテナボックスなど、特異な空間で身体表現の可能性を探る実験企画MOKK LABOや映像作品なども 企画製作する。(公式サイトより)
冨士山アネット
2003年活動開始。類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、身体性を強く意識したパフォーマンスにて創造的な空間を描き出す。近年は、戯曲から身体を立ち上げるといった、ダンス的演劇(テアタータンツ)という独自のジャンルから作品を制作。(公式サイトより)
冨士山アネット × 冨士山アネット/Manos.(マノス) [Woyzeck/W]
公演時期:2013/9/13~23(東京)、2013/9/28~30(京都)。会場:こまばアゴラ劇場(東京)、アトリエ劇研(京都)。

タグ: コラボレート 魅力的な身体[心地よい重み] 女性的、それはなにか


濾過と雫

__ 
そう、「見て見て!」だけでは確かに足りないんですよね。では、どのような姿勢がアピールする際に必要なのでしょうか。
木下 
例えば演劇のチラシ。僕がお世話になった西田シャトナーさんにも、チラシに「面白い」という言葉を使ってはいけない。それを決めるのは観客なんだから、って教わった事があって。宣伝方法はとにかくたくさん考えないと見に来てくれないんですね。もしかしたら、「面白くない」と書いた方が見に来てくれるかもしれないぐらいです。
__ 
分かります。観客の体験を決めつけてしまうというか。「なんたら冒険活劇」とか「歌と音楽とダンスのコラボレーション」なんて書いてあった時点で見に行く気がなくなりますね。
木下 
(笑う)チラシの段階でどれだけパフォーマンス出来ているかという話だと思うんですね。チラシを作る時に考えて、たくさんのアイデアをボツにして、そうしてやっと出来たアイデアこそが「面白そう!」と思わせるんですよ。逆に言うと、そのトライアンドエラーの堆積は、その密度が高ければ高いほど、見えるんですよ。チラシがつまんないと、まあ本番でもそんなに面白くはないだろうなという気がする。
__ 
チラシでパフォーマンス出来ているぐらいのチラシ。そうですね、具体的にどういうプロセスを経てきたかは全く分かりませんが、どれだけの研鑽があったかはおおよそ伝わりますね。
木下 
分かりますよね。
__ 
見た瞬間に分かると思います、というか、見た瞬間にしか分からないかもしれない。
木下 
それで言うと、オリンピックの4年に一回というシステムって良く出来てると思うんですよね。
__ 
そうかもしれませんね。4年間の濾過装置を濾して出てきた、その結晶というか雫が、「位置について」の時に。
木下 
一瞬、見えるんですよね。
__ 
その姿が一番美しくて、きっと演劇も同じで、舞台に出てきた瞬間の俳優の姿が「位置について」してるか・捧げてるか、最初の姿で誰の目にも分かるんですよ。そうでないと、良くない。
木下 
捧げてない。今の話を聞いて思ったのは、文脈の話に切り替わりますけど・・・演劇って、いつの間にか文脈を尊重し始めていると思っていて。これは僕の解釈だから、現実とは違うんだけど。
西田シャトナー氏。
劇作家、演出家。

タグ: コラボレート 人脈・コネクションの大切さ


「9」

__ 
レトルト内閣の作演出である、三名さんは最近はどんな感じでしょうか。
三名 
オフ期間なので、実験的な企画や新たな音楽や、短いテキストを作ったりして、本公演にフィードバック出来るように挑戦しています。直近ではnu things(阿波座)というクラブでイベントを企画しています。即興音楽家とパフォーマーのコラボ作品でインスタ的な作品にする予定です。レトルト内閣は「安定志向というお笑いユニットや「白色テロルというシアターバンドといった多方面の表現を追求するユニットを抱えています。今回も本公演では出来ない尖った表現に挑戦したいと思っています。
劇団レトルト内閣
劇団レトルト内閣の舞台はエンターテインメントでありながら「振り切った暴走アート」とも評される。無駄のないストーリー構成に、 エレガンスロックと呼ばれる劇中歌、 B級レビューと銘打つショーシーンが作品を彩る。豊かなセリフ表現や、多彩なキャラクター、唐突なナンセンスギャグ、めまぐるしいほどにスピーディーな展開も近年の作品の特徴。華やかなのにダーク、B級なのに耽美という独自路線を開拓し続ける。(公式サイトより)
「9」
開催日時:2012/10/21。会場:nu things(阿波座)
安定志向
お笑いで市民サービスを!大阪の公務員二人が、ありあまる市民サービス向上意欲を満たすため結成した漫才コンビ、安定志向。公務員らしい地味で細かい着眼点で漫才・コントを展開。(公式サイトより)
白色テロル
2006年10月結成エレガンスロックバンド。(公式BLOGより)

タグ: B級の美学 コラボレート フィードバック 外部活動を持ち帰る 尖った事をやりたい


ポップな公演・ISUKA

__ 
ZTONの最近の公演ですと、「ISUKA」ですよね。非常に面白かったです。どんな稽古風景でしたか?
葛井 
今回、会場のキャパシティもそんなに大きくはないし、まあいい感じに気ぃ抜いていこうよ、初心に帰って。という方向で進んでいきました。
__ 
そういえば、役者の演技に余裕があったような気がします。
葛井 
ダレるという訳ではなく、シーンをきっちり作りながらも変なピリピリ感はないように、仕込みから本番までまったりと進んでいきましたね。良い人たちの現場でした(笑う)。
__ 
そういうカラーだったんですね。
葛井 
特に河瀬君が、「ポップな公演にしたい」って繰り返してたんですよ。
__ 
ポップが合言葉。
葛井 
そうですね。月黄泉の時はシニカルで。気に入ったら使い続けるんですよ彼は。
__ 
ZTONの稽古場で、何か苦労されることはありますか?
葛井 
パッと見エンターテイメントで、派手さをウリに押し出しているように見えて実は人間の根底にあるものを描く芝居を目指しているんです。役者はそれをどれだけくみ取って、演出とすり合わせて表現する事ができるかが大事だと思います。
__ 
演技の内容は役者が作るんですね?
葛井 
演出のなかにも大体のイメージがあるのでそれを聞き出しつつですが、基本は役者におまかせしてくれるのでそこで面白いものが出来たら採用する形ですね。だからか、伸び伸びと表現出来ますね。
__ 
いつも苦労する点とかはありますか?
葛井 
2年やらしてもらって、ここ最近でやっと自分のスタンスがちょっとみえてきたかな、と。舞台上で俯瞰しながら表現する事が出来てきたかな・・・。少しずつなんですけど。
__ 
冷静になれた、と。
葛井 
求められているものが思っていたより面白く出来なくて後悔する事が多いので、次からは思い切ってやりたいですね。
「ISUKA」
劇団ZTON Project R「ISUKA」公演時期:2008.11.8~9。会場:クロスロード梅田。東放エンターテイメントスクール芸術祭2008「アキコ伊達×コラボエンタフェス」 参加作品

タグ: 伸び伸びと演技 コラボレート 新しいエンターテイメント


vol.108 葛井 よう子

フリー・その他。

2009/春
この人のインタビューページへ
葛井