透明な壁を巡る旅

__ 
マイムって、演劇ともダンスとも違うジャンルですよね。だからまだ人類の知らない可能性があると思うんですよ。参入人数もまだそれほど多くはない。というか、歴史がまだ100年経っていない。
黒木 
そうですね。いいむろさんもおっしゃってるんですけど、マイムの良いところって、人生の長い時間を3分くらいの、いや、もっと短い時間で表現出来たりするんです。それが凄く魅力的かなと思っていまして。でも、一時間ちょっとの作品を作りたいんですけど、自分自身で作ろうとすると3分程の作品の方が作りやすくて見やすいし、一つ伝えたい事がドンってくるから。
__ 
最終的にはより深い印象を刻めるかどうか、ですよね。
黒木 
そうですね。
__ 
人生を凝縮して見せる事が出来る・・・ちょっと脇道にそれますが、マイマーってすごく俳優の人格が出ると思いませんか?
黒木 
出ますね。
__ 
これはもう、演劇よりもくっきりと出るんじゃないかと思う。会話ではなく、モノVS人物なので。さらに、触れている人物を見ている観客はどんな状態にあるかと言うと、動きの面白さはもちろん、この人はこれからどうなってしまうんだろうというワクワク感。
黒木 
そうですね。何でしょうか。それこそ、それぞれの人格も含め、役者が客席の地続きに存在しているような・・・それは一要素としてはあると思います。名前が付いていない、情報が少ないからというのもあるかもしれません。誰か分からない方が面白いというのはあるかもしれません。
__ 
しかも誇張された動きで。何故あんなに不自然なのに見せられるんだろう。見えない壁に当たったら絶対、離れますもんね。絶対に触らないと思う。スリル満点ですよね。
黒木 
そんな人がいたらビックリしますよね。
__ 
意外と、その姿が異様だからこそ、何かを感じているのかもしれない。
黒木 
ええ。
__ 
マイムの表現の原理に、何か、触るというアプローチがあって。あるかどうかも分からない透明を触るその者はその瞬間、個として完全なのかもしれない。何故なら彼はその時誰にも支配されず個としてそれに触れる事を選んでいるから。その時だけは確かに、見えない何かに触っている疑念の身体が明確に存在している。この特定によって、絶対に流れ去ってしまう時間や風景を空間にとどめようとする技術なんじゃないかと。凄くエンターテイメント性を持ちながらも、無常さそのものと相性の良い芸能なのかなと思うんです。そこで家族をテーマにした作品を行うというのは興味深いですね。

タグ: 演技の理解、その可能性 役者はノイズを産み出す機械? 役者の認識(クオリア) 瞬きの数をコントロールする俳優 コンセプチュアルな作品 一瞬を切り取る 愛情表現 新しいエンターテイメント パントマイムの話題 関係性が作品に結実する 俳優を通して何かを見る


今、見てほしい作品あります

__ 
今年のおすすめのコンテンツを教えてください。
きた 
今回、3年目にして初めて運営スタッフが全員ディレクションしてるんですよ。今まではディレクションと制作チームが分かれていたりしてたんですが。だから3年目の今年は全部オススメです。
__ 
おお。
きた 
上演プログラムを説明すると私がやる「ダンス、なんや?」はですね、そもそもダンスとは何なんだ?これがダンスなんや?みたいな、企画です。
竹宮 
発音の微妙なニュアンス。
きた 
contact Gonzoの塚原悠也と、ヨーロッパ企画の上田誠。この二人がダンスの演出をするというと「ええっ?」みたいな感じかもしれんけど。塚原さんはトヨタコレオグラフィーアワードに選出されたり、海外のダンスフェスティバルにたくさん呼ばれてるのに、本人的にはダンスを作るのは初めてらしい。今までやってたのはパフォーマンスだから。今回はダンス作品という体の動きを彼がデザインする、ダンスとしての初めての作品という事になります。
__ 
なるほど。
きた 
上田さんは、実はずっと誘いたい演出家だったんです。でも今までスケジュール的に合わないというのもあって、3年目にしてようやく。上田さんは絶対にダンスの演出が出来ると以前から思っていたんです。彼の作品の作り方を聞くと、これは絶対にダンスにも応用出来ると思っていて。というのは空間を設定して、そこに役者を載せるという作品プロセスなんですが。これはダンサーでも成立すると。しかも、コメディ。
__ 
おおっ。ダンスでコメディとは。
きた 
(笑う)上田さんがダンスでコメディを作るのは、これは絶対にDance Fanfare Kyotoでしか見れないので、ぜひ。そして、今年の「ねほりはほり」は振付家がもの凄く若いんですよ。大学を卒業したばかりのニューカマーで、どっちも20代前半で佐藤有華さんと山本和馬くん。二人ともすばらしいセンスを持っている。以前、作品見た時に「あっセンスいいな」と思ってて。次来るんだろうなと思ってたら、ながらちゃんが誘ってくれてて。若くてまだ名前は知られてないけど、いま見ておくべきだと思います。
__ 
なるほどね。
きた 
美術×ダンスの方は完全なコラボレーションですよね、美術の鬣さんはペインターなんですが、何かね、ハプニングが起きるんじゃないかなと思ってる、話を聞く分には。そもそもライブペインティングにダンスは必要?そこにダンサーがいるという事は、もしかしたら筆の役割を果たすのか?60年代前後の「具体」の美術のような何かが起きるのかもしれないって。これは本当にわかんないけど超楽しみで。どれもDance Fanfare Kyotoじゃないと絶対見れないので、上演プログラムは全部見た方が良いと思います。後はね、アウトリーチプログラムとして川那辺さんがやっている企画「Listen, And... / around kyoto」。これはね、毎回いい意味で訳分かんないと思うんですよ。
一同 
(笑う)
きた 
例えば今日の「火を囲み、はなす」。これがダンスとどう繋がっているのかと思うし、じゃあダンスって何と繋がっている訳?って疑問でもあるし。根本、ダンスって生活の身振りから出てきたものでもあるし。劇場ばかり行っていてもしょうがないと思うんですよね。劇場も大好きだけどさ。やっぱり色んな気づきを得られる場として、アーティストに来て欲しい企画だなと思ってます。自分たちがマイノリティであるという事がどういう事かに気づける場だと思っています。トカティブカフェはアーティストやお客さんが語り合う場として機能できればと。Dance Fanfare Kyotoは実験としてやってきてるから、だからこそやりっぱなしにせずに、その実験をいかにして語り合う事が出来るのかと思っているので、この企画にも是非来て頂ければと思います。
PROGRAM01 きたまりディレクション ダンス、なんや?
関西を拠点に、演劇/パフォーマンスというそれぞれのフィールドを超えて幅広い活動を展開している、ヨーロッパ企画・上田誠contact Gonzo・塚原悠也の両者がダンスの演出を行います。どんな作品が生まれるのか?ご期待下さい!
ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」
Hurricane Thunder / Super Conceptual Dance no.001
公演時期:5月29日(金)19:30(呼)、5月30日(土)14:00(Su)、30日(土)19:30(呼)、31日(日)12:30(Su)、31日(日)17:00(呼)。場所:元・立誠小学校 1階 講堂。
PROGRAM03 和田ながらディレクション ねほりはほり
振付家がダンス作品を≪つくる前・つくっている最中・上演する間際≫に、インタビュアーが対話を通じて、ダンス/身体/作品について、ねほりはほり、聞き出します。さぐる、まとめる、ひろげる、ちらかす…ダンスにまつわる言葉のトライアル!
「愛してしまうたびに。」振付・構成:山本和馬
「CardinalLineⅡ-1」振付・構成:佐藤有華
公演時期:5月30日(土) 17:00 31日(日) 14:00(※2作品連続上演、30日(土)は終演後にトークセッションあり)
場所:元・立誠小学校 2階 音楽室。
PROGRAM06 川那辺香乃ディレクション Listen, And... / around kyoto
「対話」をテーマに全3回のイベント・ワークショップを実施します。一期一会の出会いのなかで、生まれて消える言葉たち。ルールは耳をすますこと。
1)「火を囲み、はなす」 4月25日(土)19:00~ (自由解散)、 2)「作品をみながら、はなす」 5月17日(日)14:00~17:00、 3)「まちあるきで、はなす」 6月27日(土)10:00~14:00(昼食込み)

タグ: コンセプチュアルな作品 ハプニング 町とアートと私の企画 批評の果たすべき役割 実験と作品の価値


不慮の事故から始まる、他でもないあなたの物語

__ 
最近、戒田さんがお考えになっている創作のヒントについて教えてください。
戒田 
それは自分が知りたいぐらいで・・・自分のスイッチがどこにあるのか、自分も知りたいくらいです。今の連作、観覧車が倒れる事故が始まりという縛りでやってますが、そういう縛りがあった方が書きやすいんですよね、何故か。
__ 
では、観覧車が倒れるというモチーフってどこから出てきたんですか?
戒田 
それをね、忘れてしまったんですよ。あの時の創作ノートがどこかに行ってしまって、15周年が始まる前に1年ぐらい探してたんですけど、出てこなくって。プロデューサーの相内さんに企画を細かく説明出来るぐらい作ったのに。
__ 
相内さんに聞いたらいいんじゃないですか?
戒田 
彼もね、覚えてないみたいで。
__ 
うーん、何でしょうね。人生そのものと輪廻を表している、とかですかね? 観覧車のゴンドラ=人体でもあり、その中に閉じ込められて、誰もが全く同じ道を通るという提喩で、その事故だから早死を表しているんでしょうかね。
戒田 
そういう見方も出来るかも・・・でも、震災を挟んで意味が変わりましたよね。亡くなられた方々にとっては理不尽そのものですから。
__ 
理不尽な死。
戒田 
そうですね、最初に「ツキカゲノモリを書いた時とは、意味合いは変わっていると思います。
__ 
なるほど。では、この作品をご覧になった方に、どう思ってもらいたいとかはありますか?
戒田 
正直に申し上げて、何を持って帰っていただくかはお客さん次第だと思っていまして、物語に感情移入していただきやすいように頑張るだけです。モチーフがモチーフなので、必然的に何かを持って帰って頂けるんですよね。そこを想定するのは放棄したと言ってもいいかなあ、と。
應典院舞台芸術祭 space×drama2009 満月動物園 子の刻『ツキカゲノモリ』
公演時期:2009/7/31~8/2。会場:シアトリカル應典院。

タグ: コンセプチュアルな作品 震災 月についての話題


男臭いブランデーのような

__ 
話題は変わるのですが、今回の取材にあたり、THE ROB CARLTONの歴史を紐解いていたところ一つ、気付いた事があります。キャストに女性が出てきた事がありませんね。
ボブ 
あ、そうなんですよ。実はそうなんです。
__ 
これに関しては非常に興味があります。
ボブ 
気付いたら、男だけの集団が周りにはないんですよね。だいたい登場人物には女性が一人はいる。僕らのように、男だけというのは割と珍しい。しかし別に狙ってやっていた訳ではなくて、単純に女優さんの知り合いがいなかっただけなんですよ。THE ROB CARLTON以前は満腹が女性役をやっていた頃もあったんですが。
__ 
あ、そうなんですね。
満腹 
あれは大失敗でしたね(笑う)。気持ち悪かった。
ボブ 
キャスティングするとき、いつも「次は女性ですかね」という話が出るんですが、なんとなく流れてしまうんです。男だけで収まっている。
ダイチ 
最近もそういう話は出るけど、流れてしまう。
__ 
初の女性、出るとしたら誰なんでしょうね。さて、THE ROB CARLTONは分別ある紳士だけが出てくる「限りなくコメディに近い芝居」というコンセプトですね。そして今回は特にですが、趣を追求するという男性性が前面に出ていると。これはまあ社会的ジェンダーに掛かってくる言い方なのかもしれないですけど。
ボブ 
そうですね、しかし「男のロマン」というのはジェンダーとは関係のない、割とソフトな言葉だと思うんです。憧れと呼べるものなんじゃないかなと思う。ただ、「シガールーム」を上演した時に、あるお客様には「面白いけど、女性にはウケへんかも」と言われた事があったんですが。
__ 
しかし女性も、「男のロマン」に強く惹かれる事がある。
ボブ 
そうなんです。男性女性問わず、カッコいいものなんですよ。
__ 
女性だからこそ、永久に分からない「男の秘密」に惹かれるのかもしれない。
ボブ 
僕ら男性も、そうやって女性に惹かれているのかもしれない。お互いに、ファンタジーみたいなところがあるんでしょうね。
__ 
「スカイ・エグゼクティヴ」はまさにそうした作品でしたね。企業の重役達が専用機の内部で取引先達と交渉戦をするんですから。
ボブ 
あれはなかなか、男くさい芝居でしたね、確かに。
THE ROB CARLTON 5Fスカイ・エグゼクティヴ
公演時期:2013/3/29~4/1。会場:元・立誠小学校 音楽室。

タグ: ロマンについて キャスティングについて コンセプチュアルな作品 男性性とは何か


村川拓也×和田ながら×punto

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いいたします。最近、高木さんはどんな感じでしょうか。
高木 
よろしくお願い致します。最近は、3月末の公演の稽古の日々です。
__ 
「村川拓也×和田ながら×punto」、高木さんは和田さんの作品、「肩甲骨と鎖骨」に出演されるんですよね。和田さんの作品を過去何度か拝見しましたが、非常にコンセプチュアル・抽象的で、なにより物語自体が存在しない。そして今回の「肩甲骨と鎖骨」。どんな作品になりそうでしょうか。
高木 
現時点で3分の2程度は通せる状態にあるんですが、まだまだ分からないですね。ここからどんなことになるのか。予想がつかないです。
村川拓也×和田ながら×punto
公演時期:2015/3/27~29。会場:punto。上演作品:『終わり』演出:村川拓也 出演:倉田翠、松尾恵美/『肩甲骨と鎖骨』演出:和田ながら 出演:穐月萌、高木貴久恵、田辺泰信 料金:一般:1,500円/高校生以下:無料 ※要予約

タグ: コンセプチュアルな作品 肩甲骨と鎖骨


したためで作る事

__ 
稽古はものを考えるいい機会・・・。本当にそうかもしれませんね。そもそも台本は仕事の筋書きと成果の二つを既に完全に表現した成果物で、これに取り組むというのは純粋な仕事そのものだろう、と。これは仕事をする人、つまりは人間にとっては幸せそのものだろうと。
和田 
ええ。
__ 
ところで、したための作品は非常にコンセプチュアルですよね。これを見てそのコンセプトを鑑賞するのも、仕事とは言えずとも、やはり純粋な取り組みと言えるのではないでしょうか。そこには物語はないかもしれないけれど。
和田 
そうですね。物語そのものを積極的につくっていく、ということには、あまり惹かれなくって。作り手としては、っていうことなんですけど。だから、普段はマンガもアニメも映画も楽しんで見ます。あとは、作り手側が物語を用意しなかったとしても、人は勝手に物語を作ってものを見る、とも考えていて。
__ 
なるほど。何故物語作りに興味が持てないのでしょう。
和田 
うーん。せっかくなら新しいものを開発したいなって思うんですけど、自分の力で新しい物語作りにトライするのは、まあかなり分が悪い勝負だなって考えているのかもしれないです。

タグ: コンセプチュアルな作品


村川さん

__ 
村川さんの作品で最後に見たのは「エヴェレットゴーストラインズ」だったかな。私はKEXで拝見しました。
倉田 
私は劇研の初演を見ました。カッコイイんですよね。村川さんは元々映像作家なので、編集をめっちゃこだわってするじゃないですか。1秒とかの単位で登場したり退場したりを組むんですよ。そのこだわりは映像的で、「このシーンでバンと人が登場しなければ意味がない、それまでやってきた事が無意味になる」とかのレベルで。「エヴェレット」もかなり緻密で。まあ、出演者が来なかった時もありましたけど。
__ 
作品の性質上ね。
倉田 
『瓦礫』って作品で、野渕杏子さん・中間アヤカちゃんと私が参加した村川さんのダンス作品、ものすごく細かかったんですよ。これまでの振付家の中で一番細かったと思う。ちょっとした出ハケを1時間ぐらい練習したりして。よく分かんないんですけど、もうそこは何かがあるんだろうって信用してるので任せられます。好きだからかな。
__ 
なるほどね。
倉田 
でも、村川さんはあの村川拓也感とは裏腹に普通の男の子やと思うんですよ。だからすごい。
__ 
笑顔の似合う、ね。
倉田 
でも編集は細かいところまでこだわる。異常なところまでね。この間「沖へ」という映像作品を見たんですけどめちゃくちゃ面白くって。カット割りとか区切りとかを細かくこだわっているってのが伝わって。村川さん、コンセプトを重視するタイプだと思われがちですけど、私は、コンセプトとかよりも技法寄りの人やなと思いますね。それは和田さんに関しても同じで。変なこだわりがあるんですよ。
村川拓也 『エヴェレットゴーストラインズ』
公演時期:2014/10/2~5。会場:京都芸術センター 講堂。

タグ: コンセプチュアルな作品 信頼のおける演出家


vol.405 倉田 翠

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2015/春
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倉田

60周年の原点回帰

__ 
UNIQUE NESS』。青年座創立60周年記念公演第2弾の三部作「Act3D」の内の1本、髙橋さんが企画された公演ですね。凄いですね。ではまず、企画の経緯を教えて頂けないでしょうか。
髙橋 
青年座は、演技部と文芸部と演出部、製作部で劇団の中でセクションが分かれているんですね。私は演技部なんですが、役者だけが集まった演技部会の中で公演をしようという事になったんですよ。
__ 
60周年!記念する価値がありますね。
髙橋 
60周年の原点回帰というコンセプトもあるんです。企画自体は10本以上あったんですが、早川さんの作品はキャッチーなものも多いので、中でも立ち上げ委員会の目を引いたというか。
__ 
それはもう、プレゼンも上手くいったんでしょうね。劇団ガバメンツとはどんなキッカケで?
髙橋 
元々、3年前に劇団ガバメンツの作品を東京で見たんです。劇団員の西岡(裕子)さんがお友達だったんですけど、観に行ったらドハマリして。公演直後に主宰の早川(康介)さんに「出してください」と言ったら「じゃあ、出て下さい」と即決して。青年座ではなかなか触れる事のない演技だったんですよ。
__ 
というと。
髙橋 
たとえば、ガバメンツ公演に出演した時、自主稽古をしていたんです。その時、芸人さんに求められるようなギャグを求められて困ったワタシに劇団員の方が、「ここは理由とか裏の描写とかではなくてノリでやってみたら?」って言われて。カミナリが落ちたくらいの衝撃を受けて。何より早川さんの作品は、裏付けもリアルも大切にちゃんと芝居をした上でのコメディ。青年座の役者さんて、「何故この人物はここでこう言うのか」と深めて深めて芝居するんですよね。だったら、ノリも加わった芝居が出来る上に裏付けのある演技が出来たら最強やなと。そうなれたら素敵やなと。そう思ったのがきっかけです。青年座はこれまでブッとんだ事をやってきた劇団なので、今回の企画をこういう風に許してくれる懐の深さが、60年続いた所以なのかなとも思います。
__ 
「ノリ」で芝居を作る。それが衝撃だった?
髙橋 
関西人の多い現場だったし、私も関西人なんですが、俳優は上京してから始めたので。芸人顔負けの面白いメンバーの中にポッと新劇の俳優が出てくると、全然違う空気をまとっていたみたいで。裏付け裏付けでがんじがらめになっていたんですけど、そこから次のステップに行く、いい契機だったんです。
劇団ガバメンツ
「コメディしかできません、でもいろんなコメディができます」シュチュエーションコメディばかりがコメディじゃないラブコメディ、サスペンスコメディ、スクリューボールコメディ、トラジコメディにコメディコメディ。喜劇はこんなにあったのか。喜劇を愛する全ての人と、そうでもない全ての人へ。1年に1回しか演劇を見ない人の為に、さまざまなスタイルの喜劇に挑戦している。(こりっちより)

タグ: コンセプチュアルな作品 衝撃を受けた作品 大阪演劇と「出会う」


図る

__ 
悪魔のしるしという集団について、こういう言われ方をして事があるんじゃないかと思うんですが、どこか建築的ですよね。
危口 
ちょいちょい話には出ますね。
__ 
例えば全員で一つの複雑な構造物を運ぶ作品「搬入プロジェクト」はまさに建築をモチーフにしているし、「注文の夥しい料理店」はまさに作品のコンセプトそのものがとても構造的だなと感じたんです。登場人物の人肉が出てきて、それを食べる作品というのは、これはもう驚きを覚える仕組みだと。
危口 
そうですね。お客さんを強制的に舞台空間に強制的に組み入れてしまう。
__ 
それは、どのような考え方で作るのでしょうか?
危口 
まあ、学生時代に建築をずっと勉強していて、その考え方が今でも生きているというのはあります。まず、ダイアグラムが大事であると。一旦図式化して、関係性を考えながら作る。
__ 
図式化する。
危口 
お客さんが演劇を鑑賞する際に、お金を払って劇場に来て、椅子に座って見るだろうと。そういう図式を前提としつつ、そこをちょっといじる事で、他の作品と比べにくくするという事なのかなと。同じ土俵で勝負したら勝てないという卑屈な自覚があるので。身体も強い、脚本も強い人たちには勝てないから、そうじゃないやり方をする我々が、スキマ産業的にいられればいいかなと思ってます。というのがこれまででした。最近はまたちょっと違ってきたかもしれませんが。
「搬入プロジェクト」
通常、演劇において舞台上の演者の動きは脚本と演出、すなわち言葉によって導かれる。しかし、ひとを動かすのは何も言葉だけではない。たとえば、ものすごくデカくて複雑なカタチの物体を運び入れねばならないとしたら――その物体の重量や形状こそが、このパフォーマンスの“脚本”と言えるのではないか。(公式サイトより)
「注文の夥しい料理店」
宮沢賢治の名作「注文の多い料理店」を元にした悪質剽窃舞台劇。原作では一命を取り留める猟師たちだが、本作では腕を切り落とされ目玉をえぐられ最後にははらわたを食い荒らされる。観客席をS席とA席に分け、倍近く価格は高いうえ正装を強いられたS席の客は特等席に座り、 話題のフードアーティスト諏訪綾子(food creation)による、場面展開に添った食事を食べながら観劇できるという仕掛け。逆にA席側から観ると、晩餐に興じる観客もまた舞台世界の住人のように感じられる。なお、本作のテーマとなる絵は画家である危口の父親が描きおろした。(公式サイトより)

タグ: クッキングの話題 コンセプチュアルな作品 ユニークな作品あります


夢の組み合わせ

__ 
新しく組んでみたい人はいますか?
木皮 
具体的に挙げるのは少し恥ずかしいですが、先輩ですけど、快快の方々は気になります。集団創作という形をとっておられるんですけど、予想でしかないですけど、振付に対して結構コンセプチュアルなキャスティングをしているんです。振付がおそらくストーリーに噛む事がある。つまり、振付が外付けじゃない人たちとやりたいというのがあるんです。そういう劇団と仕事させていただいたら、きっととても楽しいなと思います。それから、羽衣のファンの方からミジンコターボの振付をやってくれという声も頂きました。
__ 
それはやってほしいですね。夢の組み合わせですね。
ミジンコターボ
大阪芸術大学文芸学科卒業の竜崎だいちの書き下ろしたオリジナル戯曲作を、関西で数多くの外部出演をこなす片岡百萬両が演出するというスタイルで、現在もマイペースに活動中の集団、それがミジンコターボです。最終目標は月面公演。(公式サイトより)

タグ: キャスティングについて コンセプチュアルな作品


vol.320 木皮 成

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2013/春
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木皮

FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a Roll」

__ 
木皮さんが振付で参加したFUKAIPRODUCE羽衣の「Still on a Roll」。大変面白かったです。そして、昨日芸劇eyes番外編「God save the Queen」で拝見したうさぎストライプの作品も面白かったです。ええと、木皮さんが振付をされる時、どのようなポリシーがあるのでしょうか?
木皮 
劇団によって僕の振付は違いますね。僕が特にこだわっているのは演劇中のダンスなんですが、やっぱり踊る人のクセや個性を生かした振付がしたいと思っています。「格好良さ」を見せるだけには作らない、その劇団に見合ったダンスはコンセプトになっています。
__ 
確かに、劇団毎に振付のイメージが全然違いますね。
木皮 
うさぎストライプではダンストゥルグという役職を持っています。うさぎストライプの主宰の大池さんが、可愛い動きがほしいと言っていて。それが思いつける人として僕を横に置いているという感じですね。
__ 
そういうポジションなんですね。
木皮 
だから、気に入った動きでなければあっさりボツにされます(笑)。でも、気に入られれば「これだ!」となるので。
__ 
FUKAIPRODUCE羽衣では。
木皮 
10代の時にお手伝いをしていまして、踊るようになってから糸井さん(作・演出・音楽)に声を掛けてもらいました。もともとの羽衣のダンスの振付って糸井さんが振付を考えてらしたんですが、踊る人の発想じゃないというのが気持ち悪くていいなと思っていたんです。如何にダンサーが思いつかないアイデアを入れられるかが勝負ですね。まさかこんなところでこれはしないだろう、みたいな。最近の羽衣のコンセプトとしては、「うまく踊れすぎずかつ下手になり過ぎず」というところを狙っています。10何人かの出演者が全員踊れて、人間賛歌をテーマにしている羽衣の雰囲気が発揮出来るように構成していますね。
__ 
人間のクセと個性を生かす。
木皮 
個性とクセを、嫌わないで愛するという事ですね。クセが魅力になるように。おかしくなっていれば直しますけど、基本的なベースはそういうスタンスです。
FUKAIPRODUCE羽衣
2004年女優の深井順子により設立。作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体。妖艶かつ混沌とした詩的作品世界、韻を踏んだ歌詩と耳に残るメロディで高い評価を得るオリジナル楽曲、圧倒的熱量を持って放射される演者のパフォーマンスが特徴。(公式サイトより)
FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a Roll」
公演時期:2013/7/11~28。会場:東京、香川、大阪の全国ツアー。

タグ: 人を引き出す振付 コンセプチュアルな作品 ユニークな作品あります メロディ


vol.320 木皮 成

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2013/春
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木皮

「しちゃう」

__ 
実は私、dracomの祭典・公演はもれうた、事件母、弱法師、この間のたんじょうかいしか拝見出来ていなくて。どれもとても面白かったんですが、やっぱりもれうたの衝撃は凄かったんですよ。
筒井 
ありがとうございます。
__ 
dracomの特徴といえば俳優の身体と台詞のズレだと多くの人が思い浮かべると思うんです。つまり、俳優の台詞を前に録音しておいて、本番時にはスピーカーでそれを流し、意図的にズレを作りだす事で、観客の受容器官は別々に俳優の演技を受け止める事になる。私はあれがとても好きでして。そうした演出を発想されたのはどのような経緯があったのでしょうか。
筒井 
2007年に作品を作るという事で、企画書を書く事になって。その当時、ミュージカルに興味があったんです。好きとは言えないんですが、興味があって。
__ 
興味。
筒井 
もれうたの前の2年間に2本、ミュージカル作品の祭典を作っていたんです。歌って踊って、でも歌はとてもへんてこりんなメロディで、アレンジもスカスカで。でも、いずれは静かなミュージカルを作れるようになりたいと思っていました。演劇計画2007参加に向けて企画書に書いたタイトルは「もれうた」で、公園で鼻歌を歌っている人、それだけで作品を作れないだろうかと思っていました。
__ 
わかります。面白そうですね。
筒井 
でも、格式高い作品にしちゃおうと。(この「しちゃう」という言い方をよくするんです)その格式高さがおかしみになるんじゃないかと思うんです。鼻歌で歌われているのはオペラの歌曲で、歌詞が映像で出てきて、鼻歌を歌っている人がいて、それだけの作品。でもそれだけの作品だったら多くのお客さんは寝てしまうだろうと思って。だからセリフのテキストを書きました。が、すると客の意識はそちらの方にばかり向いてしまう。僕は鼻歌の方にフューチャーしたかったから、どうしようと思って。だから、会話のセリフを録音して、それをちっちゃいボリュームで流せば鼻歌の方が勝つ。そのコンセプトまでは稽古場に持っていくまでに出来たんです。練習して、俳優が身体だけで演じられるようになった。
__ 
なるほど。
筒井 
しかし、それだと俳優がセリフを覚えない手抜きという事になってないか。努力の跡が見えないといけないという言い方をする人もいるんですよ。僕はそういう評価の仕方は好きじゃないんですけど、でもまぁ、努力の跡を示すために、俳優たちがセリフを覚えている事を示すために思いついたのが、事前に録音しておいて、俳優が身体だけで演技した後に遅れてセリフが聞こえてくるという演出をしたんです。これなら、俳優はちゃんとセリフを覚えていると示せる・・・そういうつまらない発想からだったんです。まあ、それを実際試してみたら、過去に体験した事のない感覚があったんです。これは面白いなと。
dracom 祭典2007 『 もれうた 』
公演時期:2007/9/8~9(京都)、2007/9/29~30(伊丹)。会場:京都芸術センター(京都)、AI・HALL(伊丹)。
dracom 祭典2010 『事件母(JIKEN ? BO)』
公演時期:2010/10/14~17(京都)、2010/11/18~21(東京)。会場:京都芸術センター(京都)、THEATER GREEN BOX in BOX THEATER(東京)。
dracom 祭典2012 『弱法師』
公演時期:2012/9/7~9。会場:京都芸術センター。

タグ: ミュージカルの話題 コンセプチュアルな作品 ハミング・鼻歌 意図されたズレ メロディ


俯瞰する

__ 
今まで、この芝居を機に自分の演技が変わった、というような公演はありますか?
松田 
ありますね。今はもう解散しちゃったんやけど、France_panの「家族っぽい時間」という作品に参加させてもろうた時。それこそ20代ぐらいのメンバーの中に一人混ざってやってたんです。そこで結構、演出というか演技の細かい指示を色々出されたんです。「松田さん、そこ1秒間をとって」とか。
__ 
細かい演技の指示があった。
松田 
それまでは、そのままのキャラクターを期待されて声を掛けられる事が多く「素」のままでやっていればよかった(笑)。だから、かなり細かく演出を付けられて、ずいぶん戸惑いました。でもその作品が出来上がるプロセスを目の当たりにして、全体の中における自分の果たす役割をきちんと認識することができた。それ以降、役者の立場でありながらも、全体的な作品の仕上がりを見る事は多くなりましたね。
__ 
「家族っぽい時間」では、作品としての完成度をはっきり認識する事が出来た。
松田 
はい。具体的には「台本の読み込み」「セリフの間」「どれくらいの集中力が必要か」そして「稽古の質と量」などについて考えさせられました。それまでは「地でやらしといて面白いから、そのまんまでやらしとけ」みたいな。前田司郎さんの「生きてるものはいないのか」に出演させてもらったときも、そんな感じだったんちゃうかな。
France_pan
04年結成。演劇における恥ずかしい境界を壊しつつ護りつつ、覚束無い言葉のコミュニケーションを軸に、真面目と不真面目の中間地点を探り続ける。揺らいじゃった身体性、現代人の悲喜劇性、ペンペケピーな前衛性。作品はポリリズミックに展開。観客の過剰な能動性や批評眼の重要性を各方面に訴えながら、演劇知の可能性を弄ぶ。(公式サイトより)
France_pan 14th「家族っぽい時間」
公演時期:2008/12/12~14。会場:AI・HALL。

タグ: 役者の積み上げ 自分を変えた、あの舞台 コンセプチュアルな作品 ちゃんと楽しませる 追い詰められた時期 自分で考えてきたもの、の価値 前衛は手法から作る人々を指す


vol.293 松田 裕一郎

フリー・その他。

2013/春
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松田

ノーを言う前に

__ 
諸江さんは高嶺格さんの作品にも出演されるそうですね。
諸江 
そうなんです。元々高嶺さんは厳密にはダンサーではないので、で、集まってくる人もダンサーがメインではないんですね。こっちからどんどん提案していくんですよ。これやったら面白いんじゃないかって。みんなで大笑いしながら。しんどかったのは、30分間ずっと同じ動きをし続けるというものでした。結局使わなかったんですけど、たとえばカップを持ち上げるという行為をずっと繰り返すとか。
__ 
そんなダンスがあるんですか。ちょっと見たいです。
諸江 
それはお客さんに見せられないので使わなかったんですけど、そこから発生する何かを掴むんです。それらを高嶺さんが編集して、作品としてまとめるんですね。一枚のアルバムを作る、みたいなイメージです。
__ 
他には、どんな提案を。
諸江 
原始的な、こんな事してみたいよね、みたいなのをやってました。全然下らないんですけど、楽しいんです。芝居のエチュードもしたし。作品を作る上で、全裸になる事も提案して、全員裸になったことがありました。もちろん裸はタブーなんですけど、作品として必要であれば裸になる事は納得出来る、そんなメンバーでした。
__ 
なるほど。
諸江 
高嶺さんの作品には、世間一般ではタブーとされているものをモチーフにした作品がありまして。そういうのを学生の時に見てきて、ああ、自分の中にも、確かにタブー意識というものがあるなと。何も知らずに見たら拒否感しかないが、作品内で語られる背景を知ったらそんな事は言えない。拒否するのは後にしよう、という。一度試してみて、それでもダメだったらノーと言おう、と。そういうスタンスが学生の時に身について、今でも続いています。
__ 
外の物を受け容れる前に拒否してしまうのではなく、ですね。

タグ: コンセプチュアルな作品 背景が浮かびあがる はじまりのエチュード 受け入れる・受け入れられる


vol.287 諸江 翔大朗

フリー・その他。

2013/春
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諸江

質問 片桐 慎和子さんから 黒川 猛さんへ

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前回インタビューさせていただきました、片桐慎和子さんから質問を頂いてきております。「黒川さんにとって、ベトナムはどんな国ですか?」
黒川 
えっ・・・。国?
__ 
はい。
黒川 
国・・・。何年も「ベトナムからの笑い声」やってたでしょう。そうなると、ベトナム=国とかではなくなるので。パクチーぐらいしか思いつかないかな。行った事もないし。
__ 
そういう劇団名だったのに。
黒川 
僕と丸井の間で決めたんですよ。出来るだけ無意味なものにしました。
__ 
東南アジアに力強く生きる農民と子供たちが太陽の下で底抜けに笑う、現代の人びとへの生命のエールみたいな作品をやる演劇だと思ってたんですが全く違いましたね。笑いだけが目的の作品だと劇場で知った時、目が醒めました。
黒川 
まったく無いですね。タイトル付けるのが面倒臭い人間が大して考えている訳ないんですよ。でも・・・これ、この間の飲み会で言っちゃったんですけど、「ガキの使いやあらへんで」と同じ音なんですよ。
__ 
あ、韻を踏んでますね。そういえば。
黒川 
もう言うてもいいかなと。という事は、THE GO AND MO'sもあるんですよ。何かが。言わないですけど。酔うたら言うかもしれませんけど。

タグ: コンセプチュアルな作品 名称の由来


空気の中で探して

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この度結成した糸井さんのユニット「ぐうたららばい」。羽衣とは違ったコンセプトがあるのでしょうか。
糸井 
方向性を変えてみようとしています。ちょっとアダルティなんですよね。会話のシーンが多くて、声を張り上げて歌うのでもないし。でも、終演後には、いつもと同じようになったなあという感触があります。
__ 
同じ感触を掴んだ?
糸井 
表面を変える試みをした事により、逆に、いつもと同じ何かが浮かび上がってきたんですけど・・・うーん、どう言えばいいんだろう?言葉で中々説明出来ないですね。
__ 
糸井さんのイメージ、ムードになったという事でしょうか。
糸井 
それも探しながら、なんです。僕が追求したい価値というのも、終演後の空気にあるような気がします。

タグ: コンセプチュアルな作品


男肉

__
男肉(おにく)と男肉(だんにく)は、全然違う事だそうですが。
池浦
違いですか。そうですね、これにはウチの団体内ですら色々な諸説が出るほどの。何なんですかねえ。
__
「何なんですかねえ」? ええ!? 提唱している方がもう分からない。
池浦
(笑う)もはや、一人歩きしすぎなんですよね、男肉というものが。男肉(おにく)とは、初めは僕らの事を指していたんですよ。男肉(だんにく)はもっと、広い何かを指しているんですよ。分かりますかねえ。
__
分かりたいんですけどね。
池浦
しかも、意味も色々出てくるんですよね。言っている僕らも、何がどうなっているのか・・・。
__
まず、男肉(おにく)とは、一体どのようなものなんでしょうか。そういう、芸術的な価値なんですか?
池浦
男肉(おにく)とはですね、「とびっきりのオナニー」というコンセプトなんですよ。言わば。
__
(笑う)
池浦
ダメな公演を、よく自己満足とかマスターベーションとか言うじゃないですか。そこで、僕ふと考えて。ガチャっとドアを開けて、誰かが本気でマスターベーションをしていたらめっちゃおもろいやんけと思ったんですね。中途半端な自己満足ではなく、命がけでオナニーしたらそれは物凄い強度を誇ったパフォーマンスになるだろうと。
__
とびっきりのオナニー。
池浦
あとね、ニーズがどうとか良く聞くんですよ。今の社会においてこういう芝居が受けるとか、売れるにはこうすればとか。そんなもん、エスパーでもない限り絶対分からないだろうと。それやったら、自分達が面白いと思う事を命がけでオナニーしたったら、中途半端な人達には勝てるやろうと。で作ったのが男肉 du Soleilなんですよね。実は以前、2年生の時にダンスを作ったんです。女の子も入り混じって15人ぐらいの。そうしたら、ダンサーの女の子達からの物凄い否定がありまして。で、やりたい事をやろうと思ったら男じゃないと出来ないなと。別にね、顔面しばくとか乳出せとか言ったわけじゃないんですけど。
__
どんな事をしたんですか?
池浦
何なんですかね、今男肉 du Soleilがやっている事が、ダンスに近づいたぐらいの、ムーブメントよりのモダンダンスになったってだけで女の子達からの評判が悪くなって。で、男根でいこう我々は、女肉(めにく)を排除していこうという事になって。
__
女肉(めにく)。
池浦
女肉(めにく)、それはもう、区別というよりも差別的なね。こんな事をいったらフェミニズム団体から殺されるかもしれないんですけどね。でも、女の人の中にも、僕らに賛同している方もいるんですよ。僕らの内部の小さな世界で、男肉(だんにく)と女肉(めにく)を区別する方針となり、男肉(だんにく)が我々の通称となったのですが。
__
ええ。
池浦
今やもう、何かよく分からない・・・。
__
分からないんですね(笑う)。
池浦
女肉(めにく)とは情けなくてどうしようもない、男でもここで命を掛けれないというか。人前で恥ずかしがったり、チンコ出せとは言わないけれどその覚悟もない。女だったら、キスシーンでキスも出来ない。僕そういうの一番嫌いなんですよ。ダンスとかでもね、男と女で抱き合うようなフリというかシーンがあったりすると、男・男で抱き合う所と男・女で抱き合う所が出てくるんですよね。男と男はしっかりホールドしあってるのに、男と女ではそうしない。
__
ああ、腰が引けてたりしますよね。
池浦
そこがおかしいやろ!と思うんですよ。お前らのプライベートが見え隠れするやんけと。そこをしゃんと出来ない奴は舞台にあがんなよ、と思うんですよ。男にしたって、褌なのに下にブリーフみたいなのを履いてたり。
__
サポーターですね。
池浦
そこを出来ない奴は女肉(めにく)やと言ってたんですね。若かったから。

タグ: コンセプチュアルな作品 舞台上でのキス 表現=「自己満足、オナニー」?


アマチュアリズム

藤原
まあ、やみいちのあまり前面に出てないバックグラウンドとして、アマチュアリズムのひとつの在り方を示す、というのがあって。
__
コンセプトですか。
藤原
芝居に関わっている人たちの雰囲気として、就職とかせずに芝居のために全ての時間を捧げてプロを目指すという取り組み方が出来ないんであれば大学を出て芝居を継続して行く価値はない、みたいな半ば脅迫的な観念が支配していた時期というのがあったような気がして。アマチュアとして続けて行ける道を探るなんてのはお遊びだからロクな芝居を作れないだろう、そんな活動には価値はない、そんな続け方ならやめてしまえ、みたいな。
__
はい。
藤原
そうじゃなくて、生活しながら、仕事しながら芝居をやっていけるっていう、かつ楽しめるものを作るというのが、というのが一つのコンセプトとしてあったんだけど。
アマチュアリズム
アマチュアリズムについての考察は桶総帥による以下の記事を参照の事。(藤)
「総帥の投げキッス、その他の思い」内 アマチュアリズムについて少しばかり
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/masakage/sousuishitsu/ama.html
また、その頃そういう続け方をしている人たちの芝居は実際ひどかったのでもある。(藤)

タグ: コンセプチュアルな作品


難解

__
劇団と、劇団の公演活動をプロデュースする立場に就かれている訳ですが。衛星の、コンセプトが非常に強い公演についてはいかがですか。例えば、衛星のここ3~4年の公演は、世界観をまず作って観客を取り込んでいく、という理解なんですが。
植村
一方的に何かこう、提示したものを消費してもらうだけじゃなくて、一緒に楽しんでもらおうと思ってます。その意味で、私は、衛星だけに限った事ではなく、パッと見て分からない、難しい作品ってのは結構好きで。
__
はい。
植村
言ってみれば、文学とかの古典でも、昔の和歌を分かってなければ本歌取りの面白さが分からないみたいな。賢い人にはより楽しめる作品ってのは私は凄くいいと思っていて。見る立場の人も勉強しなくちゃいけなかったりだとか。積極的に理解しなけりゃいけなかったりだとか。
__
ええ。
植村
もちろんそうしなくてもそれなりには楽しめるんだけど、こっちから踏み込んでいくとさらに楽しめるというか。そういう作品は私は好きで。衛星に入る前からね。だから、味わおうと思えばより味わえる、そういう手法もあるかな、と思います。
__
なるほど。衛星の芝居は、そういう面ではいかがですか。
植村
いや、ホントはね。お客さんには衛星作品の本当の面白さは伝わっていないんじゃないかと思うの。私は、作ってる過程で、何を入れようとしてたのかとか、何を削ったかとか、その隠れた部分も全部分かっているから、お客さんよりも楽しんでいると思うのね。それが伝わらないと、ああ勿体無いなあと思うし。
__
ええ。
植村
だから、本当、よく見るといっぱい何かがこめられている作品もあるのね。深く考えると、より楽しめる作品を作っていると思います。

タグ: コンセプチュアルな作品 難しい演劇作品はいかが 単純に、楽しませたい


混合

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今日は宜しくお願いします。最近はいかがですか。
砂連尾
最近はねえ。先週、東京で初めてのソロを。今は、11月5日に京都造形大で上演する、ジャン・ジュネっていう思想家のテキストをもとにした作品を作ってます。それとじゃれみさでの「踊りに行くぜ!」の製作をしています。
___
ありがとうございます。ダンスの稽古って、どんな・・・。何か、芝居の稽古とはまったく違うものだと思うんですけど、ある方向性を見つけて、それを磨いて行ったりとか、追求していくことだと思うんですが。どんな感じですかね。稽古に対する姿勢というか。
砂連尾
多分それは、演劇の場合も同じだと思うんですけど、まず基本練習があって、それはバレエでいえば、バーレッスンとかの型みたいな体系立てられた稽古を日々繰り返します。
___
はい。
砂連尾
それ以外にも、例えば僕はいま合気道を始めたんだけど、まあ、自分なりに色々なメソードをミックスさせて体の鍛錬を日々行って。で、創作活動としてはあるテーマ、コンセプトに基づいて、新たな身体言語を開発していきます。もしかすると、その作業は作家さんが文章を書くような、新たなストーリーや言い回しを発見して文章化するような、そんな作業を体を通して行なっていくみたいな感じですかね。
___
なるほど・・・。
砂連尾
そういうことを、チマチマチマチマチマチマと、やらざるを得ないというか。
___
ああ・・・。
砂連尾
やっぱ、自分自身の体を同時には見れないじゃないですか。ビデオに撮って見れたとしても、同時に、詳細に見ることは出来ない。もちろん、訓練によってもう一つの自分の眼っていうのを作っていったりするんですけど、でもやっぱり、そういう事をするまでの鍛錬の時間は必要で、やっぱり、ノートやビデオに記録して鏡代わりにしては、生み出していった振りを作っては壊し作っては壊しを繰り返していくんですね。
___
本番に向けて練習の期間を取っている訳ですが、シーンごとの追求のし終わりっていうのはどこになるんでしょうか。
砂連尾
これは、本当にこんなやり方で良いのか分からないのですが、今のところ本番までの期間をリミットにしていますね。きっと、もっと探せば探すほど追求出来るのだとは思うのですが、設定されている期間で「とりあえずはここまで」としていますね。
___
なるほど。
砂連尾
うん。
___
うーん。
砂連尾
・・・ところで、ダンスは、どういうところから見始めたんですか?
___
あー、最初はしげやんのを見てから、ですかね。
砂連尾
じゃれみさは。
___
あー、6回ぐらい見てると思います。そうですね。テーマ性・・・テーマ性?ていうか。独特の暗さというか、うん。暗いのかな。
砂連尾
軽さと重さが混合しているみたいなね。
___
それが、一つのシーンに混じっている部分と、分かれている、マーブルな感じが面白いですね。
砂連尾
マーブルってのは、色んな感じが混じっているっていう事ですか。マーブルチョコってありますよね。
___
色の薄い所と濃い所が混じっていたり、そういう所ですかね。
砂連尾
いやいや、そういうところって色々聞いてみたいですよね。どんな風に見てるか、とかはね。
___
ええ、不思議な気分で毎回拝見してます。
踊りに行くぜ!
全国のコンテンポラリーダンサーを支援するNPO・JCDNが主催するダンス巡回公演プロジェクト。2009年現在、10週年を迎える。コンテンポラリーダンサーに別の土地での発表の機会与えている。

タグ: コンセプチュアルな作品 厳しいレッスン バレエやってた 俳優を通して何かを見る