その日までは生きてる

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私がZTONで初めて拝見したのは「沙羅双樹のハムレット」でした。政治闘争がテーマで、エンタメなのにハッピーエンドじゃなかったんですよね。悪役に負けて終わったんですよね。
土肥 
最後をお客さんに委ねた作品は多いですね。でも、バッドエンドの時でも救いは少し残すみたいな。
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そう、自己解決でまとめようとしていない。二人ぐらいしか生き残らなくて、それぞれの旅路に着くみたいな。あるいは革命が為されてしまって都が転覆してしまって、みたいな。収まらない予感を感じさせてくれるというか。大団円もありますけどね。土肥さんは、ZTONの芝居を見たお客さんにどう思ってもらいたいですか?
土肥 
最近、周りでは思考を促す芝居は多いんですよね。気付きをもたらそうとしている。それは僕は素敵だと思うんですけど、僕がやりたいのはちょっと違うんです。お客さんの明日につながるような活力を与えられる日にしたいですね。本番のある日を。好きなバンドのライブがある日までは頑張ろう、みたいな。それの邪魔になるような事は、あまりしたくなくて。
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邪魔になることとは。
土肥 
「何やったんやろうな」とか、モヤモヤする事は残したくないですね。来てよかったなと思えるものにしたいです。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6~9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。

タグ: バッドエンド 大団円 ハッピーエンドについての考え方 どう思ってもらいたいか?


その台詞は言える。もちろん覚えてる、でも

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傷つく?
殿井 
もしかしたら、お芝居の大団円でなんかすごい道徳的な一般的に善しとされていることを感動的に言っても、観客席にいる人を、落ち込ませるに足る無神経さ不躾さが、言った本人の意図しないところで備わっているかもと。
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なるほど。それは、とても大切な感覚だと思います。その台詞が、お客さんの内面に対してどういう影響を与えるか、という想像ですよね。優しさかな。
殿井 
いや、優しさではないと思います。私もそうですが、客席で舞台をみる最中に「異議あり!」とはなかなかいえないんで、・・・。「明るく元気な方募集、大歓迎」と大きい声でいうとして。
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その台詞は言える。もちろん覚えてる。
殿井 
でも、「明るくなくて元気ない方は、もちろんあんま歓迎じゃないよ。」と言外に言ってないと、どうして言えるんだろう、と。その影響力にたじろいでしまう。
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いや、その恐れを、舞台で持てる人は珍しいと思います。

タグ: 大団円


vol.165 殿井 歩

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2011/春
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殿井