バトンタッチ

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次回公演「MATCH」。意気込みを教えてください。
白井 
僕が貰っている役というのが前半メインで、後半では段々と出番は減っていくんですが、通して見ると、後半に向けてどんどん盛り上がっていく感じ。急加速してラストに向かっていくんですね。でも、僕に関して言うなら、出ていないシーンでも存在感が出せればいいなと思います。
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その場にいないときにでも?
白井 
僕の役が思い返されるように、バトンタッチが出来たら。そう思った時に、次の人への影響が良かれ悪かれ印象付けられたらいいかなと。
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印象を刻む、という事ですね。
白井 
この人がいたから、この人のいるシーンが生まれて、この人の台詞に繋がっているみたいな。
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そこをしっかり押さえるんですね。最近ちょっと思うんですが、役者の自分の演技に対する理解って、観客の共感とどう関係しているんだろうという疑問があるんです。もちろんお客さんはそれぞれ別の価値観を持っているので共感は別々にするでしょう。でも、役個人が語る批評について、役者個人が理解していなければ、観客の価値観に訴える事出来ないはずで、それが役作りであり役作りにおける「理解」なんだろうなと思うんです。
白井 
今のお話を聞いていて、確かにその通りだなと思う部分はあるんですが、でも「伝わってるな」と感じながらやっている訳ではないんですね。僕も、「お芝居をしてしまう」というところで良く怒られてしまうんです。
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「お芝居をしているわね」と言われてしまうんですね。
白井 
嘘をついてはいけないんです。役のその気持ちは、ホンマにそう思ってやっているのか?「そのつもり」でやったらそれは嘘になる。それがすごく難しくて。だから僕らのお芝居は本当に走って本当に疲れるんですね。そのリアルさには嘘がないので。
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その通りですね。
白井 
僕はテクニカルな役者ではないので、でも嘘は付かない、大きな声を出す、目をまっすぐ見る、そういう事には気を付けるようにしています。まだまだですけど。

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アプローチ、アプローチ

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丸山さんにとって、優れた俳優とは何ですか。
丸山 
難しいですね。人によって考え方は違うと思うんですけど・・・少なくとも作品に対してアプローチ出来る事が最低条件だと思っています。ある演出で狙われている効果を察して、そこにアプローチを掛けられる事で、ようやく役者としてのスタートラインだと思うんです。その積み重ねで作品の方向性をお客さんに伝えられるんです。そうでなければ、漠然とした時間になってしまう。
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そうですね。
丸山 
それは最低条件で、演出をより効果的に感じてもらえるというのがいい役者なんじゃないかなと思います。さらに、その人でしか出来ない演技が出来ればその人がオンリーワンなんですよね。
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そこが、行き着くべき場所ですね。
丸山 
その為には、自分のやりたい事を全面に出すというよりは、そのシーンでなすべき事に積極的なアプローチ、例えば役作りや打ち合わせ、段取りの整理や確認。それは、ある程度経験のある役者であれば誰でも出来る筈の事なんですが、いかにサボらずに丁寧にやれるかなんじゃないかなと。
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そうですね。
丸山 
ただ、そこにこだわりすぎても面白くない演技が続いてしまうので。いかにその積み上げを忘れた身体になれるか、なのかなと思います。若手のいい俳優さんは個性でガッといけてしまうんですけど、ベテランさんになるほど、派手な演技じゃなくても一つづつのプロセスを積み重ねた仕事を手早くこなして、圧倒的な存在感が出せる。そんな人が求められるんじゃないかなと思います。

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