ホテルの雰囲気
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- ホテルとラグビーが、THE ROB CARLTONの構成要素だそうですね。個人的な話、私もホテルでアルバイトしていた事があったんですよ。ドアマンと受付をやっていました。
- ボブ
- そうなんですね。楽しいですよね、ホテルで働くという事は。ホテルは非日常だと思うんですよ。
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- そうですね。
- ボブ
- 日常のようなホテルなんて、ちょっとがっかりするじゃないですか。まあホテルマンというのは演出するんですよ。出来るだけ胡散臭い格好や言葉遣いをしよう、とか。フランクなホテルマンもいらっしゃいますが、その対極にあるような、たとえば髪をガシガシに固めてピシピシ動くようなホテルマンがいたら嬉しいと思うんです。お客様は。芝居も同じように、お客様の理想像をしっかり具現化したいなと考えています。
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- それはまさに役作りですね。
- ボブ
- そこはやっぱり、しっかり演じてほしいところだと思うんですよ。だらっとされたら嫌なので。嘘でもいいから過剰にしてほしいですね。お芝居も、お客様を迎えてほしいんですよ。そこに見合った、それを越えた満足をしてほしいですから。しょうもないホテルには二度と行きたくないものですよ。
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- そこが一番見えるところですからね。インテリアやタリフよりも。
- ボブ
- そういう事ですね。もう一つの要素であるラグビーは、全員が高校のラグビー部だったからです。ラグビーって面白いんだよという事を、芝居を通して一人でも多くの人に伝えたいです。
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- 「トーストマスターズ」のラスト、ボブさんの正装で出てくるんですが、その衣裳がラグビーの・・・
- ボブ
- ラグビージャージの(笑う)。あれはラガーマンの最高の正装ですから。
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- 最後に出てきた時、何故短パンになっていたのかと思いましたが、そういう事だったんですね。
脚本家としての変化
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- 今回の東京公演、企画のきっかけは。
- 野村
- オパンポン創造社が10年になりまして。一度、5年を迎えた日に東京に行ったんです。その時は公演する事自体が目標だったんです。
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- 10年!
- 野村
- というか、元々の始まりは16歳の頃から芸能事務所に入ってて。25ぐらいの時に辞めて、何も仕事がなくて。でも芝居がしたいと思った時にどうするべきかと思って、まずは一人芝居から初めたんです。10年経ってがむしゃらに走ってきたんですが、それが東京ではどう評価されるんだろうか、試したいんです。記念という意味もありますが。
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- では、去年の「曖昧模糊」はどんな手応えがありましたか。
- 野村
- 何よりも、自分が面白いと思って書いているところでちゃんと反応が返ってきたんですよね。昔は自分のやりたい事しかやってこなくて、それがズレているという事もあったんですけど。(良いか悪いかはともかく)お客さんとの感覚が一致してきている感触があります。これは別に妥協している訳じゃないですけど。
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- はい。
- 野村
- しょうがなしに始めた脚本が、やっと楽しくなってきた気がします。
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- 身について来た?
- 野村
- いや、身に付いたと言ったら勘違いした人みたいな感じですけど(笑う)なんだか、自分なりに形というか方程式が出来上がってきた気がします。
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- なるほど・・・去年、BLACK★TIGHTSの桜×心中※ですごいカッコ良く主演されてたじゃないですか。
- 野村
- あ、ありがとうございます。
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- 何かその時も感じて、今も改めて感じたんですけど、野村さんの作るものって気合を入れて“パッケージング”された手作り品って感じで好きです。
- 野村
- いやでも、まだまだ全然分かってない事は多くて勉強中なんです。今までは見ていただく時は不安だけだったんです。でも、今は見ていただきたいという欲が出てきましたね。楽しくはなってきたんですかね。
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- 素晴らしい。
- ※~BLACK★TIGHTSpecialnights vol.6~「桜×心中」
- 公演時期:2014/2/20~24。会場:世界館。
芝居と結婚
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- 是常さんがお芝居を始めたのは、どんな経緯があったのでしょうか。
- 是常
- 演劇を始めたのは高校からなんですけど、中学の頃に宝塚にハマってたんです。中学の時にTVで天海祐希さんを見て、ハッとなりまして。いとこも偶然宝塚が好きだったので、天海さんが出演されている作品のビデオを借りて、何回も見返しました。でも、思い返してみたら元から芝居には興味があったみたいで。小一の頃に、親子旅行で宝塚ファミリーランドに行ったんですが、雨が降ってきて。遊園地の代わりに入った宝塚の舞台を食い入るように見ていたそうです。
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- なぜ、舞台に引かれていたんでしょうね?
- 是常
- 変身願望が強かったのはあるかもしれません。これは関係あるかどうか分からないんですが、上に二人姉がいるんですが両親は男の子が欲しかったそうで、産み分けのためのサプリメントを飲んでいたそうなんです。
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- えっ、そんな事が出来るんですか。
- 是常
- 当時信じられていたんでしょうね。子供心に「男の子に変わらないと」という刷り込みがもしかしたらあったのかもしれない。昔は妄想癖がすごくて、本とかを大量に読んでいて。宝塚は身長が足りないので諦めて、憧れの天海祐希さんが高校時代演劇部だったこともあって、演劇部に入りました。
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- なるほど。失礼しました。そこから、大学でも演劇部に?
- 是常
- いえ、実はそこを区切りにして芝居をやめようとしていたんです。男役も出来ないし、演劇が好きかどうかというと、その演劇部が好きだっただけなんだろうと思って。大学では合気道部に入ってたんですけど、一年後のある夜、寝てたらいきなり「芝居がしたい!」と突然思ったんです。自分でもびっくりしました。私、芝居が好きだったんだ。
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- おお、ある種の回路が結びついたんですかね。
- 是常
- 結局二回生から演劇部に入ったんです。卒業後もいくつか出演したり舞台も見ていたんですけど、ある公演がすごくしんどい事があったんです。そこでまた「芝居はもういいかな」と。
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- そこでも区切りを迎えようとしていた。
- 是常
- こんなんやってられへんという状態になって。でも、同じ出演者の方に誘っていただいた舞台を経験して、それからまた出演し続けているんです。
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- それはつまり、辞めるに辞められない状態?
- 是常
- うーん、何て言うのか。元々自分は外に出るのも億劫な人間で、でも芝居に関われるなら外に出れるというのがあって。芝居に出られるんなら仕事も出来るし。芝居が、自分の行動の動機付けになっていたのかもしれません。敬愛する作演出家のひとりであるGRAVITY VANISHEDの村田絵美さんに、「いい役者ってどうやったらなれるんかな」って相談した事があって。そしたら、「いい人間になるしかないんじゃない?」って。ごもっともだな、と。
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- 確かに。
- 是常
- いい役者でいるために、いい人間になりたいと思ってます。ただの趣味として何かをやろうというのは私にはピンとこない。芝居をするというのが、自分の活動の動機付けになっていて・・・こんなんでええんやろうか、と自分の中ではコンプレックスなんですけどね。でも、昔ある人と話していたんですけど。芝居が大好きな人いうんは芝居を恋人にしていて、是ちゃんは、芝居と結婚したんじゃないの?って。芝居という存在にいてもらわないと困るんちゃう?って。
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- リビドーじゃなくて、自分の体重が乗っているって感じなのかもしれない。だから、きっと、次のこまち日和の芝居には合ってるんじゃないですか?
- 是常
- どうですかね、でも、その場所に、無理せずに楽にいる事を心がけてからは、だいぶ楽しくなりました。
セクシャルについて
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- いつか、こういうパフォーマンスが出来るようになりたいとかはありますか?
- 宮階
- 特に思い浮かばないです。自分にないものは今は無いんです。今、自分にごまかしている部分はあると思うんですけど、今以上にごまかさないで生き続けたい。いや、ごまかすしウソも付くんですけど、ずっとアホな事をし続けたい。整合性を付かせたくない。ハシゴを外し続けたいですね。「どやこう思ったやろえいっ」って。
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- 革命をし続けるという事ですね。
- 宮階
- 外し続けたい。
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- 変な派閥争いとか、守るべきものみたいな幻想とか、そういうのは持たない方がいいですね。
- 宮階
- たまに言われるんです、「守るものがないんですよね」って。いやそんな事はなくて、自分大事守りたいですね。とも思いますが私の守り方は手離すことみたいです。
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- その人にとっては、守る事=ハダカなんじゃないですか?
- 宮階
- ハダカになる事への抵抗・・・私にとってはハダカは衣裳で、それが一番しっくりくるなら。ちなみに、私の裸はセクシャルなイメージには着地させないようにコントロールします。そう見ている人がいる可能性は別として、自分の体の使い方はそういう意識でいます。私の舞台上での裸が独特に見られやすいのは、医学的にもジェンダー的なメジャーイメージからも造作が変わってる部分もあるのですが、セックスワーカーとしての経験からセクシャルな意識への見せ方や植え付け方はわかるし、簡単なので、わざわざ自分の作品でする意味もないと今は思ってます。うーん、意識や身体をコントロールしようとしている訳じゃないんですけどね。何といったらいいのかな。
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- 最高の風俗嬢は男性にリアクションを返す事が出来る存在だと考えています。男性は寂しい魂を曝け出しにくる。彼らの核心を等しく愛撫するには、磨き上げられた心技体が間違いなく必要で、さらに言うならその場での判断もいるしハートもいる。優秀な風俗嬢は優れたアーティストであり、クリエイティブな仕事だと考えています。
- 宮階
- その通りです。が、自分の仕事が創造的だと思えること自体奇跡的な仕事でもありますけどね。私は、自分の体をよりダイレクトに使う仕事として、限られた時間と空間で自分を作らざるをえませんでした。私はその作業が大好きで、お店に在籍していた頃はBLOG等でも演じ続けてました。物凄い勉強になりましたね。会って1・2分で、どういうのを求めているか、自分をどう出せば良いのかを考えないといけない。だから、大体のWS嫌いなんですよ。お金を払って眠たいことを言われなければならないのか。
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- そうですよね。難しい仕事なんですよね。
- 宮階
- でも、私にはとっても楽しいんです。アミューズメント系セックスワーカーだったんです、私。
質問 小沢 道成さんから 危口 統之さんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた、虚構の劇団の俳優、小沢道成さんから質問を頂いてきております。「1.何故、悪魔のしるしという劇団名にしたんですか?」
- 危口
- 僕が大好きなブラックサバスのある曲の邦題が「悪魔のしるし」で。響きがいいなと思って付けました。(詳しくはこちら※)
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- ありがとうございます。「2.働いている自分と演劇を作っている自分はどのように関係していますか?」
- 危口
- そこなんですよね。工事現場で働いていると、同僚がすごくいい動きで仕事しているのを発見し、そこから演目を思いついたりする。要するに、わざわざ公民館を予約して稽古しないといけないというのは思い込みにすぎないと。仕事=稽古みたいにしちゃえば、わざわざ稽古らしい稽古をしなくてもいいんじゃねえかと。なまけものの発想ですね。普段やっている事がそのまま作品になるような逆算をしようと。枠組みは後から作る。演劇ってこういうものでしょうという枠組みが最初から強固にありすぎるからバイトを切り上げて稽古をしなくてはいけなくなるのであって、じゃあ、再設計すればいいんじゃないかと。
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- それが搬入プロジェクトですね。確かに、全員で一つのものを一緒に運んだらものすごく面白いですよ。
- 危口
- 搬入経路の途中に障害物となる看板が立ってたりして、これさえなければって全員で悩んだり。
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- 面白そう!運ぶのってやっぱり仕事なんですよね。
- 危口
- バイトを作品(稽古)にするという仕組み。この考え方を捩子ぴじんさんが引き継いで、コンビニのアルバイトを主題に「モチベーション代行」という作品を作ってくれたときはとても嬉しかったです。
- ※「悪魔のしるし」のひみつ
- レビュー:エクセントリックなダンサーたちが集う吾妻橋ダンスクロッシング
質問 鈴木 ちひろさんから 戸谷 彩さんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、鈴木ちひろさんから質問を頂いてきております。「憧れている人はいますか?」
- 戸谷
- たくさんいますね。トリコ・A※の山口茜さんにはとても憧れていますね。『ポストムーミン』※に出させて頂いたんですが。
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- どういう所が。
- 戸谷
- すごく繊細な方だと思うんですけど、それをアピールする訳でもなく、気遣いが出来る人だと思います。『ポストムーミン』の時、私がどうしてもセリフを言えなかったんですが、そこで「座ったらセリフが言えるんちゃう?」って。そういう心遣いをしてくださるというのが凄いですね。
- ※トリコ・A
- トリコ・Aは、山口茜が「自分で戯曲を書いて演出をしてみたい」という安易な気持ちを胸に、1999年、勢い余って立ち上げた団体です。当初の団体名は、魚船プロデュースと言いました。以来11年間、基本的には上演ごとに俳優が変わるプロデュース形式で、京都を拠点に演劇を上演してまいりました。やってみると意外と大変だった事が多い様に思いますが、皆様の暖かいご支援のもと、現在も変わらず活動を続けております。(公式サイトより)
- ※トリコ・A「ポストムーミン」
- C.T.T.京都 vol.94 参加作品。公演時期:2011/6/30~7/1。会場:アトリエ劇研。