あれから

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永津さんがお芝居を始めたのはどんな経緯があったのでしょうか。
永津 
まず、中学の時に演劇部の友達と仲良くなって。それから高校演劇まで続けてました。大学に入ってからは2年ほど辞めていたですが、短大の友達が就職していくのをキッカケに、私も自分の方向性を決めないといけない。そこで劇団ひまわりに入って、今に続いています。
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ありがとうございます。演劇を始めた初期で、転機になった作品があれば教えてください。
永津 
演技集中コースの卒業公演で、「パレード旅団」をやったんです。ダブルキャストでやったんですけど、それが私の中ではいい体験をさせて頂いたなと思います。研究生の最後に一致団結して一つの作品を作る。今となっては有り難い経験だと思うのですが、当時は「それは甘えなんじゃないか」と当時はしていたんです。「全員で力を合わせる」という事が。
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とてもよく分かります。皆で力を合わせる。そう、難しいですよね。
永津 
研究生の時はそれが出来なくて。結構、個人主義というか、そんなスタンスでいたので。
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そうそう、他人に任せるのが苦手で、結局自分でやった方が早い、とかね。
永津 
でもその公演の最後に、「これが全員でやる」って事なんだって実感があって。今も同じ事をしている。あの時に経験しておいて本当に良かったです。

タグ: 他人に任せることの難しさ ターニング・ポイント


不器用なおかげで書けたもの

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突劇金魚の7月の短編公演、キンギョの人々vol.2「蛇口からアイスクリーム」。面白かったです。
サリ 
ありがとうございます。
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その内の「夏の残骸」を長編として、伊丹AI・HALLで再演ですね。意気込みを伺えますでしょうか。
サリ 
いつでもそうなんですけど、その都度、今出せる力の全てを出すんですよ。本当に生命力を削ってます。いま、これ以上を求められてももう出来ないでという感じですね。ネガティブな感じで言ったら、これが面白くなくても仕方がないんですというしかなくて。ポジティブに言ったら出し惜しみせず全部注いでます。何でもそうかもしれませんけど、今見てもらわんともう見れないと思いますね。
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エネルギーをつぎ込む。それはどういう事ですか?
サリ 
日頃お金を貰ってやる仕事が全ておざなりになりますね。全部、滞りますね・・・。
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つぎ込まないと作れない?
サリ 
わたしの場合はつぎ込まないと作れないっぽいです。頂いている仕事と劇団の両立が、よりシビアになっていっていると思います。作品作りになると、どうやったら面白くなるかとか、お客さんにどうやって伝えようかとか、稽古でどう俳優に伝えようかとか、演出プランでもそうだし、書き上がった脚本に「もう一つ何か」があるんじゃないかとか、考えるのは当然なんですけど、他のことが全部後回しにしてしまうので、すごく焦ります。後回しにしている他のことをいつやるのか、そっちの〆切どうするのかとか。多分、わたしが不器用なだけなんですけど。そこまで思いつめんでも出来るのかもしれませんけどね。
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サリngさんはご自分の不器用さをどう思っていますか?
サリ 
いや、そのお陰で書けたものがいっぱいあるので。ありがたいといえばありがたいんですけど、自分の浮き沈みが激しくなってしまうんです。勝手に焦って、いっぱいっぱいになって。すぐしんどくなるから、もう・・・しんどいですよね。人生がしんどいです。どんなに充実していてもすぐしんどくなってしまうのは正直しんどいんですけど、その感性のお陰で書けたものもあるので。まあこうやって、生きていくしかないねんなって思いますね。
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楽な方法を選んだらいいのでは。
サリ 
選べないんですよねー。例えば舞台が決まって、それの練習をしようということになって。今回は楽ちんな方法にしようと思っても、途中で「いやそんな楽をしてはいけない」って思ってしまう。「私程度の力の者がその程度で面白くなれる訳がないやん」って。そっちに行っちゃうんですよね。
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私個人の性向として、全部自分でやろうとするというか、他人に任せるのがめちゃくちゃしんどいというのがあるんですけど。そういうところが、もしかしてサリngさんにもあるのでは。
サリ 
それはありますね。人に頼むのは苦手ですね。申し訳なく思ってしまうので。相手はきっと別に不愉快に思ってなくても、頼む事自体にストレスを感じてしまうので。
キンギョの人々vol.2「蛇口からアイスクリーム」
公演時期:2012/7/2~4。会場:in→dependent theatre 1st。
突劇金魚 第13回公演「夏の残骸」
公演時期:2012/10/12~15。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。

タグ: 器用さ・不器用さ 他人に任せることの難しさ エネルギーを持つ戯曲 産みの苦しみ ユニークな作品あります


縦横で考える

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ボランティアのサポートスタッフから、事務所に入ってすぐマネージャーって、波瀾万丈ですね。
小林 
確かにそうですね(笑う)その頃は若かったので、プレッシャーはあまり無かったと思います。劇団と作家が多くを占める仕事だったので、マネージャー的な仕事は最初は多くは無かったです。大変には、あまり感じなかったですね。・・・会社って大きくなればなるほど、各個人の意思とはまた違う、会社としての動きが生まれて来るんです。入った当初の自分の意思からは想像もつかない仕事をする事もありました。でも、入る前からそこの人たちとは知り合いでしたし。不安でガチガチという事はありませんでしたね。
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今のお仕事に、マネージャー時代の経験が生かされていると仰いましたが、具体的にはどのような事でしょうか。
小林 
当時覚えた事ですが、未来の仕事や企画などのスケジュールを踏まえて動く事です。それと同時に、その仕事に関わる人達という、「横の広がり」を意識する事ですね。先と横を見て、自分たちのやりたい事を実現する力です。人に教えて貰ったり実践して身につきました。例えばテレビとかラジオの仕事。自分たちだけではどうしようもない事が、局の方々のご協力を頂く事で面白い事が出来るようになったりとか。フリーで制作をするようになってから、そういう見方の大事さを思い知るようになりました。やっぱり、自分一人だけで出来る事って物凄く限られていて広がりがない。いつまでも同じ場所で同じ事を続けるだけになってしまう。そうじゃなくて、一緒に仕事する人達とどういう進め方をすれば面白いのかを考える。もちろん、本人達がやりたい事というのは前提にあるんですけど。
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戦略的な思考と言えるかもしれませんね。
小林 
企画をすすめる上で、色々な要素を捉えて考えます。今の仕事の進み具合、メンバーの志向や長所を考えてそれを生かす仕事や時期を考えたり。
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そうした要素を、曖昧にではなく、明確に定義付けて認識する。それがまず大変そうに思えます。さらに、先と横の思考。ごく個人的には非常に苦手な作業でして。
小林 
あ、そうなんですか。
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他人に任せるのが苦手で、自分だけで出来れば全てやってしまいたいという志向なので。小林さんは縦軸と横軸を知覚し、予見し、戦略すると。流石だと思うんですが、では、そうした能力に、ご自身ならではの個性が現れているとすればそれはどこでしょう。
小林 
うーん。やっぱり、自分の好きなものを知ってほしいんですね。これは下世話な言い方かもしれませんが、お芝居以外でも「これは売れるだろうな」という勘が結構当たるんです。でも、それが私の好きなものとは限らないんですね。事務所を離れてフリーになると、自分の好きなもので仕事が出来るのが強みです。
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世の中に知ってほしい。
小林 
そう、世の中の人に。凄く好きな作家さんや演出家さんがいて、でも知らない人が沢山いるというのがもどかしいんです。それを如何に知ってもらうかを考えるのが凄く楽しいです。
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ご自身が面白いと思うものを、売りたい。
小林 
そうですね。本当にそう思うものを。だからこそ、自分が見た作品に対する評価には厳しくありたいなと考えています。何を観ても「面白い」と言ってしまうと説得力が無くなってしまうと思うんです。私は本当に面白いと思う物しか「面白い」と言わないようにしています。
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自分の好きなものを広めたい。その為に戦略する。それは、古今東西時代や地域を問わず、あらゆる制作者がそう思ってきたんでしょうね。再生性の無い演劇というジャンルだったら特に。
小林 
そうですね。

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