不慮の事故から始まる、他でもないあなたの物語

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最近、戒田さんがお考えになっている創作のヒントについて教えてください。
戒田 
それは自分が知りたいぐらいで・・・自分のスイッチがどこにあるのか、自分も知りたいくらいです。今の連作、観覧車が倒れる事故が始まりという縛りでやってますが、そういう縛りがあった方が書きやすいんですよね、何故か。
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では、観覧車が倒れるというモチーフってどこから出てきたんですか?
戒田 
それをね、忘れてしまったんですよ。あの時の創作ノートがどこかに行ってしまって、15周年が始まる前に1年ぐらい探してたんですけど、出てこなくって。プロデューサーの相内さんに企画を細かく説明出来るぐらい作ったのに。
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相内さんに聞いたらいいんじゃないですか?
戒田 
彼もね、覚えてないみたいで。
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うーん、何でしょうね。人生そのものと輪廻を表している、とかですかね? 観覧車のゴンドラ=人体でもあり、その中に閉じ込められて、誰もが全く同じ道を通るという提喩で、その事故だから早死を表しているんでしょうかね。
戒田 
そういう見方も出来るかも・・・でも、震災を挟んで意味が変わりましたよね。亡くなられた方々にとっては理不尽そのものですから。
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理不尽な死。
戒田 
そうですね、最初に「ツキカゲノモリを書いた時とは、意味合いは変わっていると思います。
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なるほど。では、この作品をご覧になった方に、どう思ってもらいたいとかはありますか?
戒田 
正直に申し上げて、何を持って帰っていただくかはお客さん次第だと思っていまして、物語に感情移入していただきやすいように頑張るだけです。モチーフがモチーフなので、必然的に何かを持って帰って頂けるんですよね。そこを想定するのは放棄したと言ってもいいかなあ、と。
應典院舞台芸術祭 space×drama2009 満月動物園 子の刻『ツキカゲノモリ』
公演時期:2009/7/31~8/2。会場:シアトリカル應典院。

タグ: コンセプチュアルな作品 震災 月についての話題


いまでもどう受け止めていいのか分からないあの出来事

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さて、笑の内閣の「福島~」について。京都公演がひと月前に終わりました。どんな反響がありましたか。
横山 
アンケートを見ると「福島に実際に行ってみようと思った」とか、純粋に興味を持ってくださった方が多くて。「福島に対して何も考えていないじゃないか」という感情的な否定意見はほとんど無かったように思えます。距離が離れているからこそ、そういう引いたところからの意見が多かったのかもしれませんが。
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ご自身としては、福島に対してどんな意見を持つようになりましたか。
横山 
稽古に入る前に今回の座組の方たちと福島に行ってきて、かなり認識が変わりました。放射能による被爆や津波の怖さが、自分の中で凄くリアルになって。町や駅が流されてしまった光景や立ち入り禁止のゲートや誰もいない住宅街。津波や地震の被害と原子力事故による放射能漏れが与えた被害は当たり前だけども違うんだなとか。被災にあった人もそれぞれ違う意識を持ってるだろうし、ましてや被災にあわれた方と僕らとでは、と考えると。
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そうですね。現地にいた人たちとの意識の違いは大きいですよね。
横山 
震災のあったその時間、僕は京都で演劇公演の総括をするミーティングをやっていまして。後輩が携帯で「これちょっと見て下さいよ、こんな事が起こってるらしいですよ」って見せてくれて。現実感が無かったんですよね。どう受け止めたら良いのか分からなくて。その日家に帰ってTVを付けたら砂嵐で、でもネット上からはどんどん情報が入ってきて。悲惨なことが起こっていて。けども、自分の周りが劇的に変わることはなくて。本当によくわからなかったんですよね。でも3年以上経って、実際に現地に行ってみて、自分の中の震災の衝撃や問題意識が形になったというか。
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この間、作演出の高間さんがNHKのラジオに出演されましたよね。その時のtwitterの感想に、「観光地化計画」という副題がどうしても傷ついてしまうという意見がありました。正直それはそうだろうなと思ってしまいますよね。
横山 
ただ、高間さんもラジオで言っていた通り、強い言葉を使う事で興味を引くという。それは手段としてはあると言っていて。
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果たして、被災地としての福島に興味本位で遊びに行っていいのか?という問い。でも、少なくとも、これを演劇で問うのはやっぱり意義があると思うんですよね。ダークツーリズムが今回のテーマですが、理不尽に傷付いた人間に対して、どのように相対するべきなのか。実際にコンタクトして、どんな作用が生まれて、誰が救われたり、あるいは誰かが傷付いてしまうのか? そこは演劇こそが特権的に考えられる領域なんだと思う。直接のコンタクトを主体にしたメディアだから。
横山 
僕自身も今回初めて笑の内閣さんの芝居に出させてもらって、高間さんの考えに触れて。高間さんが最終的にどういう作品にしたいのか、僕もすべて掴んではいないかもしれませんが、今回、この役で呼ばれた役割を果たしたいですね。自分が出ることで、このお芝居がより見やすいものになればと思っています。

タグ: 震災 ウェブ上の感想 生きている実感 アンケートについての話題 大・大・理不尽


豆電球のささやき

たみお 
それから、KYOTO EXPERIMENTに出すので、日本語でも英語でも通じるもの。
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それはめちゃくちゃお題が多いですね。移動できて、大人も子供も楽しめて、言語的にも問題ない。まさに、サギノモリラボとの共作ですね。
たみお 
題材としては、3.11の震災が大きいです。当時、気の向くままにトークショー等で色んなジャンルのアーティストさんがどんな事を考えているかを探っていくと、3.11の事を少しづつ消化しよう、癒やそうとしているような気がしたんですね。もちろん、構造的な事は解決出来ないし、そう簡単な事ではないんですけど。でも各々、少しづつアートで形にして、光をあてよう、癒やそうとしているんじゃないか。そう思ったんです。
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最初にオフレコでお話していただいた、ある仕掛け・・・とても象徴的ですよね。
たみお 
ユリイカ百貨店でずっとテーマにあった事も、引き続いているんです。大切な人を亡くした誰かに、「今は目に見えないけれど、いつか立ち直れるようになっている、より良く生きる事が出来るようになっているんだよ」というメッセージ。有り難い事に、子供が出来てからもそれはすれ違わなかったんですね。自分の世界観が、子育てとケンカしなかった。むしろ、子どもたちにもっとそれと出会って欲しいなと。それは今回の事と重なって、ユリイカでやっていた事をそのまま作品にしてもいいんだなあと。
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お子さん向けの公演でもあるという事ですね。
たみお 
小学生まで無料なんですね。子供達にも見て欲しいと思います。おとなにも、子供越しの風景を見て欲しいですね。童心に触れるというか。難しい事を扱うのもいいですけど、芝居はそういう迷宮の部分があってこそなので。でも、それは私には向いていなくて、私が作れる、ビジュアルとアイデアが少し変わっているというのが出来ればいいかなと思っています。今回の上演時間は45分と短いんですけど、やっていければと思います。

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