視界への入り口

__ 
いつか、こんな事が出来たらいいなとかそういうのはありますか。
和田 
あんまり野望みたいなものはもってないんですけど・・・出来たらいいなってことだと、わたし、写真とドキュメンタリー映画が好きで、でも自分では撮らないんですよね。もし自分がそういうような映像作品を作るとしたら、どういうものになるのか。ちょっと考えたりします
__ 
映像作品といえば、倉田さんに聞いたんですが、村川さんの新作の映像作品「千葉さん家の夏休み」が面白いそうですね。
和田 
東北に取材に行って撮影された映画ですね。やっぱりドキュメンタリーや写真って、作家が何をどう見ようとしているかとか、世界をどのように見ているかがすごくハッキリ出る。
__ 
よく出来た俳句とかもそうですよね。
和田 
こういう物の見方や解釈があるとか、時間を掛けて見えてくるあり方とか。映画も写真も、カメラを通してなにかを「見ている」、その行為がおもしろいですよね。
__ 
あ、そういえばそうですね!絶対そうだ。
和田 
フレームで切り取る。クローズアップも出来る。何秒間映すとか、一息に撮ってしまうとか、ダイレクトに意志や美学が現れますよね。
__ 
その前提として作家が見て認識している事実があり、それは観客にはもちろん作家にも動かしようがない。
和田 
ツァイ・ミンリャンの「郊遊」という映画をこの間京都シネマで見ましたが、シーンの長回しが多くて、しかもいちいちすっごくカットが長いんです。好き嫌いは分かれてしまうと思うんですけど、私はその退屈かもしれない長さが彼にとって必要なんだということがよくわかった。演劇にしても、演出家がどういう時間の使い方をしているかは結構気になります。
__ 
アングラ演劇とかね。
和田 
まあ、時間の感覚は主観的なものなので、それがハマるかどうかは本当に個人的な出来事だと思うんですけど。でも、このシーン面白いんだから、もっとやったらいいのにって感じることの方が多いですね。

タグ: ドキュメンタリー アングラ演劇という価値


希望

__ 
「曖昧模糊」、ご自身としてはどんな作品なのでしょうか?
野村 
お芝居していると本当に色々な方とお仕事をするんですけど、中でもアイデンティティを突き詰める作品を作られている方もいる中で、僕の作品というのは自分自身のちっぽけな世界の中で生きていく、転んでも生きていこうという。「曖昧模糊」は短編集なんですけど。
__ 
はい。
野村 
ちょっと話変わるんですけど、昨日劇団Mayの金哲義さんのドキュメンタリーを見に行って。面白くて、そしてもの凄く衝撃的で。自分は本当に作品を作っていっていい人間なのか迷って、落ち込んでしまったんですよね。
__ 
なるほど。
野村 
そう思ってても、自分にしか作れないものはあると思うんです。自分の作品で、誰かにちょっとでも勇気を与えられたらなと思っています。最終的に、ご覧になったお客さんがほっこりして帰っていって下さったら。
__ 
私が見た「曖昧模糊」は正にそんな空気感の作品でしたね。空気がね、いいんですよ。
野村 
何かその・・・どういう状況にあったとしても最後には希望があるんだよ、という事を言いたいんですね。本当にちっちゃい事なんですけど。諦めなければ幸せになれるんじゃないか、みたいな。現実でそれを言うと単なる綺麗事で終わっちゃうんですけど、お芝居ならそれを体現出来るんじゃないかと思うんです。

タグ: ドキュメンタリー 迷っています


ファンタジーの不可解さって

__ 
作家としても幅を広げている野村さん。どんな作品を書きたいのですか?
野村 
何かあるんですかね。この前もテノヒラサイズさんで短編集のうちの一本を書かせて頂いたんです。ドキュメンタリーシリーズという事で、普段自分が思っている事を書いたんですよ。というか、どんな作家さんでも同じだと思うんですけど、自分が思っている事しか書けないものなんですよね。僕は普段、インドア派なんですけど、もうちょっと余所に出ていって、事件に巻き込まれなきゃならんなと。書ける範囲が限られてるな、とは、ね、思っています。
__ 
領域を広げる、という事ですね。
野村 
でも、ファンタジーの書き方にも興味があるんですよ。ファンタジーの中に生身の人間を置くやり方、とか・・・
__ 
ありえないファンタジーの世界や人物に、さらに訳の分からない事をしてもらう事で、自分の影の部分を投影しようとする、とかかもしれませんね。そこには現実の不合理さも流れ込んでいるのかもしれない。それで解消するような部分はあるかもしれない。だから、ファンタジーの住人には全然理解出来ない行動をとってもらいたいですね。
野村 
ああ、なるほど。
__ 
魔王とかにはもっと不可解であってほしいかな。
野村 
面白い事を聞きました。なるほど!書いてると気持ち悪くなるんですよね・・・矛盾を矛盾と思わなくなっていくのが大人やと思うんですけど、矛盾過ぎると気持ち悪くなって、途中で筋を通したくなってしまうんですよね。これで芝居をやっていけるんだろうか。
__ 
いやあ、これからどんどん、表現は色々な面から切り詰められていっていくような気がするので。遊びと余裕のある表現を大切にしてもらいたいです。ワガママかもしれないですけど。

タグ: ドキュメンタリー 訳の分からないボールの話 ファンタジー 事件性のある俳優 わたしとわたしの矛盾


目標

__ 
メイン業務と今後の活動についてはいかがでしょうか。メインはTVドラマの制作なんですよね。
作道 
そうですね、TVドラマの制作は今後も行わせていただきます。僕らはいま、自分達で劇団だとは名乗っていなくて。ただ、自分達でTVドラマを作っている若手集団、というのはなかなか無い面白味だと思うので。
__ 
そうですね。
作道 
今、ほぼ制約のない形でドラマを制作出来ているんです。作りたいものが作れているなという実感はあります。もしちゃんとそこに面白味があるならば、もっと多くの人に知ってもらって、僕らの年齢が上がっていくと同時に面白さが大きくなっていけたらと思います。
__ 
ドラマ「ショート・ショウ」の第一話を拝見しました。面白かったです。太田さんがいいですね。吉岡さんも可愛かったし、悪い芝居の植田さんは分からなかった。
作道 
色々なところで言われているみたいですね(笑う)。やっぱり京都の演劇人としては嬉しいですよね、知っている人がたくさんTVドラマに出ているって。僕は三谷幸喜さんを尊敬していて、ドラマに舞台の人を出すという。三谷組の京都版というと不遜ですけど、映像畑と演劇畑の垣根を越えていけたらと思います。
__ 
素晴らしい。私が拝見した第一話「サティスファクション」、大衆ウケする/しないの話がテーマではありましたがまさに象徴的ですよね。それから、月面クロワッサンにしか出来ない、何と言ったらいいのか・・・あっさりした魅力というか。それが面白くもあり、不満でもあります。
作道 
それは色んな方に色んな表現で仰って頂きました(笑う)。ドラマとしての完成度はもっと高く出来るかもしれない、でも、言いたかった事は伝わる、と。
__ 
それはもちろん。作劇も良かったし、SF的な設定も現実味があって、何だか可愛い感じがしました。今後の方向としてはいかがでしょうか。
作道 
とりあえず一話完結で作っていこうとは思っていますが、今後はある種の連続性を演出していければと思います。最後の最後に、これまでの話の伏線が回収される、みたいな。やりたい事がたくさんあるので、そんな方向になるのかもしれません。
月面クロワッサンの連続ドラマ2「ショート・ショウ」
一話完結の短編集月面クロワッサンの連続ドラマ2「ショート・ショウ」。KBS京都にて放送2012年秋、YouTubeにて4週連続配信を行った「虹をめぐる冒険」―2013年夏、KBS京都にて放送された、地上波初進出連続ドラマ「ノスタルジア」―そして2014年春、また新たなドラマが誕生します。その名も、「ショート・ショウ」―2011年旗揚げ以降、映像作品と演劇作品の両方を京都から発信し続けている月面クロワッサンが、今回手がけるのは、一話完結の短編集。全六話、コメディ、SF、オカルト、フェイクドキュメンタリー、アクションなど毎回違ったジャンルのストーリーをお届けします。そしてこれまで同様、企画・脚本・演出・撮影・編集・音楽まですべてを月面クロワッサンが担当。手作り感あふれる、世界に一つの短編ドラマ集が誕生します。(YouTubeより)

タグ: SFについて ドキュメンタリー 手作りのあたたかみ 三谷幸喜 垣根の無い世界へ 生きている実感 TVドラマの話題


逃げ水を追う人々

__ 
舞台上の登場人物が不幸になる様、もしくは愚かしい行動を見て、なぜ観客は面白いと思うんだろう?
田中 
大人計画のドキュメンタリーで、宮藤官九郎が「松尾さんの芝居って、悪い人は出てこない、弱い人間とかダメな人間は出てくるけど、悪いことを考えてる人は出てこない、なのに、話はどんどん悪い方向に行ってしまう」と言ってて。それはかなり昔に見たんですけど、残ってる言葉です。自分も、悪人はそんなに可愛くないなあと。もし悪人を描くなら全員悪人にしないといけないかもしれない。
__ 
「可愛い」? ひどい目にあう・道を踏み外す人を見てそう思うのはどのような感性であるのか。
田中 
うーん・・・(照れ笑い)ちょっとずれるかもしれないですけど、今、先輩方の話を稽古後とかに聞いていると、すごく面白いんです。すると、やらしいんですけど、自分の中で脚本のネタというか残すものを探してしまうんです。けど、その思いがいろんな話を何度も聞くにつれて、段々と薄れていったんです。それはもちろん先輩の話がつまらないという事ではなく、その先輩たちがひどい目にあったり失敗したりしたらそこで学んで、次の為に対策を立てて生きていく、強い人たちだったからだと思うんです。自分は、そういう事が出来ない、ちょっと話したらすぐ解決するような問題をどんどんこじらせる、そんなマヌケな人が描きたいんだと思うんです。強い人達を描くなら、もっとリアルな芝居にしないといけないだろうし。
__ 
常識的に考えて、お話って行き着く先の答えが分かるものじゃないですか。でも愚かな彼らは迷走し続けていって、自覚なしに奇妙な方向にたどり着いてしまう。でも、僕ら自身も彼らと似たようなもので、どこか重ね合わせているんだろうなと思うところがあります。
田中 
そうですね、全く共感出来なかったら「なんだこいつらは」になるだけでしょうね。

タグ: ドキュメンタリー 奇妙さへの礼賛 反復の生むもの


匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
いまはとりあえず公演真っ只中で、それが終わっても最近はもう色々やる事があって。充実しています。
__ 
演劇を抜いたらどんな感じですか?
福谷 
それ以外はもうバイトしかしてませんね。コンビニとカラオケと。これから一人暮らしを始めるにあたって、コンビニの方を辞めました。
__ 
なるほど。匿名劇壇「2時間に及ぶ交渉の末」、大変面白かったです。本公演は初めて拝見したんですが、伺っていた通りメタフィクションでしたね。メタフィクションである自分自身達にも言及するぐらいメタの構造で、それが表現する内容自体とも一体になっていて。ご自身としては、手応えはいかがでしょうか?
福谷 
そうですね、メタフィクションとなるとどうしても小難しくなっちゃうんですよ。それが今回、初めてうまくエンターテイメントに持っていけたと思うんですよ。
__ 
福谷さんはメタフィクションを使ってエンターテインしたいんですか?
福谷 
そうですね。これまで作ってきたものは演劇に対してのリテラシーが必要だったんですけど、今回初めて、演劇が初めての人でも楽しめるものになったんじゃないかなと思います。
__ 
そうそう、そういう感想がtwitterにありましたね。誰でも純粋に楽しめるものになってました。
福谷 
そこは苦労してきたところで、玄人好みじゃない、内輪ネタでもない、違うものになれたかなと思います。
__ 
話題になった前回公演「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ」もメタフィクションでしたね。ドキュメンタリー映画の作家役が舞台上に出てきたり。あれは感情とかLOVEに食い込んでいました。今回はもっとエンターテイメントに徹したという感じですね。
福谷 
gateで上演した「奇跡と暴力と沈黙」なんかは、やっぱり演劇を見慣れている人が、俳優の頑張ってる感を面白がる込みの作品だったんですけど、今回はそんなの必要ない感じでしたね。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」
公演時期:2014/5/29~6/2。会場:シアトリカル應典院。

タグ: ドキュメンタリー 「初めて芝居を見たお客さん」 ウェブ上の感想 内輪ウケの・・・ メタフィクション 新しいエンターテイメント


「そこで本当に起こっているんだ」

__ 
見に来たお客さんに、どう思ってもらうのが理想ですか?
坂本 
「ここで起こっている事は本当の事なんだ」と思って欲しいですね。ドキュメンタリーという意味じゃなくて。役者の演技が「そこで本当に起こっているんだ」と感じてもらいたいですね。
__ 
鬼気迫る、という事ですね。物語の再現という訳じゃなくて、いま目の届く距離にかの人がいる事。それは、何故でしょうか。
坂本 
私が興奮して見ている時、「本当の事なんだ」と思うから、ですね。現代劇でも歌舞伎でも、同じように思います。私の書くものはファンタジーであり、一見するとただの「つくりごと」なのですが、私、座右の銘的に思っている事があって。「リアリティとは現実に似ていることから生じるのではなく、わたしたちの魂の願望を言い当ててくれることによって生じるのではないか」って。これは「十二国記」の評論にあった一節なんですが。
__ 
魂の願望からリアリティが生まれる。
坂本 
「十二国記」は、主人公の女子高生が色んな超人的能力を得て一国の王になるという英雄譚で、それは現実にはあり得ないけど、魂の奥底にある願望を汲み取っているからここまでのリアリティがあるのだ、と。これも受け売りですけど(笑う)現実と似てるからリアリティを感じるんじゃなくて、現実からは遠いけれども、私達の根源的な望みや悲しみをすくい上げてくれているから共感出来るし、リアリティがあるのだと。そのことは思い続けていますね。
__ 
魂が震える、揺れるところを見たいですね。
坂本 
はい。それを書きたいです。演劇が面白いのは、役者は何回も同じ芝居を演じていて、もちろん結末も全て知ってるんですよね。そうした存在が、また自分の運命を頭からたどり直している。そこには、潜在的な色気を見る気がするんです。
__ 
構造が生む、かすかな色気。
坂本 
そうだと思います。それは狙う所じゃないんですけどね。まるでファンタジーです。見ようと思っても見えない。でも視界の隅でチカチカと光っている。でも焦点を合わせようとすると見えない。そういうものをつかみとろうとすることが、ファンタジーを書くという行為なんだと思います。

タグ: ドキュメンタリー ファンタジー 色気なるものの謎 今、手が届く距離にかの人がいる事 焦点を絞った作品づくり


ゴム手袋

__ 
がっかりアバターの作品についてお話出来ればと思います。2013年6月に上演された「俺ライドオン天使」、すごく面白かったです。個人的な所感ですが、非常に真摯に作られた下ネタであると感じました。大変下劣な下ネタに、あるフェアさを見た気がしたんです。いじめられっこもリア充も障害者も幽霊も皆同列に性欲を持っているという観点に、差別意識の無さを感じました。後半でひきこもりが出てくるんですけど、彼は非常に下種なんですが、それをとても正直に描いている。ネガティブな人間性すら受け入れ、下種をそのまま認めている。なぜ、そうした姿勢をとる事が出来るのでしょうか?
坂本 
もしかしたら、以前見た映像に影響を受けているんじゃないかと思います。障害者の性的支援サービスを紹介するドキュメンタリーで、おばさんがゴム手袋をしてしごいてあげるというもので。それを見た時に、「そうか、こういう人もそうなのか」と。障害を持って生まれた子を天使という言葉で呼んであげる親がいるけれども、障害者も当然性欲を持ってるんですよね。
__ 
そうですね。
坂本 
そういうモヤモヤした思いがあるんですよね。自分の中で答えが出ている訳じゃないんですけど。でも、その映像を見た時に納得した思いもあったんです。性欲というものは、NHKがそれを取り上げるぐらい歴然と社会にあるんです。
__ 
そこに気付いた時、何かが腑に落ちた。
坂本 
はい。もちろん、下ネタをやっているのが楽しい、面白いというのはありますけど。
がっかりアバター vol.3『俺ライドオン天使』
公演時期:2013/6/28~30。会場:ロクソドンタブラック。

タグ: ドキュメンタリー ひきこもり 性欲 下ネタを考える


明るい場所

__ 
最近、考えている事はありますか?
丸山 
参議院選挙で、京都の選挙区から出た新藤伸夫さんの政見放送がめっちゃ面白かったです。
__ 
というと。
丸山 
最初に自作の歌を一しきり歌って、その歌がめっちゃ面白くて。で、最後になるにつれしどろもどろになってしまって。でも最後に「私に大量票をお願いします」と言うてはって。それはどうやら本気なんですよ。これは演劇は勝てへんわ。どうしようと。ちょっと悩んでますね。ドキュメンタリー凄いわ、演劇は勝てへんかもしれん。
__ 
ドキュメンタリーも文学作品として認められる場合はあると思います。そういう意味で言うと、「オレンジのハイウェイ」にはドキュメンタリーの要素もあったとは思うんですよ。その真っ直ぐな道をスピードを上げて行く事にした彼らにしか出来ない演劇。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
丸山 
月クロのスタンスと、僕の立ち位置はこのまま進めて行ければ。明るい場所にしていきたいと思います。出来たら、もっとたくさん笑いを取って行きたいです。僕個人としては、9月以降にまた劇作の仕事があって。そちらの方は普段考えているような暗い思いを表現する場にしていきたいと思います。役者も脚本演出も頑張りたいですね。

タグ: ドキュメンタリー


「業」

__ 
松田さんは定職をもちながら演劇をしているという事で、しかも役職についていながらかなり様々な公演に出演されていますよね。それはきっと大変な事だと思うんですが、どういうバランスでやっているんですか?
松田 
少なくとも楽ではないですよね。自分にとって「芝居って何なんだろう」と考えた場合、ここまで来るともう趣味とは言えないんですよ。趣味って、余暇を利用して、自分の中に何か活力が再生産する役割があるでしょう。ところが、逆にヘトヘトに擦り切れることも多いですから(笑)。
__ 
それはまあ、演劇は作って上演するのにとんでもない労力を費やしますからね。
松田 
もう、「業」なんじゃないか。「それをやらないと生きていけない」という・・・。
__ 
芝居を辞めたらどうなりますか?
松田 
目に力がなくなって、死んだ魚みたいな目になるのではないかと。実際には死ななくても「死んだも同然」だと思います。しかし、その対象は「現代演劇でないといけないのか?」と考えてみると別にそうでもなさそうで、昔から落語や狂言もやってきましたしね。後、文章を書くのも面白いと思います。私、東北に4回ほど震災のボランティアに行ったんですが、その事を勤務先の広報誌に書かせてもらったりして。おかげさまで好評でした。結局、表現する事が自分にとっては大事なんじゃないかと思います。

タグ: ドキュメンタリー 一瞬を切り取る 書いてみたいと思った 落語 生きている実感


vol.293 松田 裕一郎

フリー・その他。

2013/春
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松田

やせ我慢

福田 
30代女性で結婚していない人が可哀そうという枠があって。私の思い込みかもしれないけど。可哀そうがられるのはムカつかれるよりきついことだと思うので、ついやせ我慢する。すると、女芸人がやってるみたいな自虐的な笑いになっていくんですよ。微妙に人に気を使われる立場というのは、人前で何かをするのに向いていないと思うんです。安定志向のコンセプトとも関係してますけど、ある程度安心して笑える人である必要があるんですよ。
__ 
安心して笑える事を大事にしている?
福田 
はい。安心してツッコんでいい人である必要があるんです。
__ 
福田さんはやせ我慢していますか?
福田 
あれ、している、という事になっちゃいますね(笑う)でも、正直なんとも思っていない部分がありますね。なんか、正直、コレいつまでネタにして大丈夫かな、って冷静に見てるかも。
__ 
確かに福田さんはその自虐的なのを笑いに変えてますよね。それを聞くと何だか妙なおかしみがあるんですよね。
福田 
それは本気で嬉しいです。ストレートに言うと可哀想になりすぎるやろうなというバランスはすごく気をつけていますね。
__ 
安定志向、それが中心になっていく事が多いですね。
福田 
Mー1の時は公務員押しでやっていましたけど、身近な問題になっていきますよね。藤さんも結婚したし。そうだ、藤さんの結婚式の模様が関テレの「アンカー」に取材を受けたんですよ。
__ 
えっ!それは凄い。
福田 
藤さんが漫才をやっている事が、相手のご家族に受け入れられるかどうか。そういうドキュメンタリーになりました。結婚式での漫才もちょっと映ってると思います。
__ 
そう言えば、時間外で市民サービスとして結婚式の盛り上げ役をされているそうですが、公務員がそれをしに式場に来るってショッキングですよね。会場は、どんな反応を示すんですか?
福田 
公務員だっていう以前に、知らない人が突然ウェディングドレスでやってくるっていう、もう要素が多すぎるんで、ポッカーンとされます。まあでも皆さん暖かいです。
__ 
安定志向。世間にどう受け止めてもらいたいですか?
福田 
受け止められ方・・・あんまり考えたことなかったですけど、そういえば安定志向の市民サービスのひとつに「合コンの欠員に入る」っていうのがあるのですが、声がかかったことがないので、それも我々の活動のひとつの大きな柱だと認識してほしいです。こちらはいつでも出動体制だぞと。

タグ: ドキュメンタリー 衣裳・ウェディングドレス


ふるえるくちびる

__ 
ウミ下着はこれまで、どのような作品を作ってこられたのでしょうか。
中西 
結構長い間、自分自身の事を描いていたと思います。自分の性の事や、自分の生活について。ずっとそれを描いていたんですが、去年の震災を境に変わったと思います。
__ 
というと。
中西 
震災が起こった日、私、誕生日だったんですよ。それで誰も祝ってくれなくなったのがちょっと引っかかって。私すごく、自分の事ばっかりだったんだなと気付かされました。誰かに何かをしたいとか、寄付したいとか。そういう気持ちが素直に出てこなかったんです。それはどういう事なのかな、みんなどう思っているんだろう。そう考え始めてから、作品の作り方は変わったと思います。
__ 
どのように変わりましたか?
中西 
言葉または身体を使った対話ですね。さらに、それらを通して自分の考え方が揺らいでいくのが面白いなと思っています。
__ 
揺らぐとは。ご自身の考え方によっても、相手との関係性が変わる事もある?
中西 
自分が翻弄されたり、迷ったりすると、観客も一緒に考えてくれるようになるんです。多分、意見したくなると思うんですよね。私と一緒に悩んでくれるようになるんです。
__ 
例えば。
中西 
この間作った「ふるえるくちびる」という、震災と大阪に住んでいる私たちについてのドキュメンタリーみたいな作品。私たちの震災後の過ごし方を紹介したんですね。ゲストも呼んで、強い意見を言われたりしたらどうしようとか思っていたんですけど。それで実際、アンケートにも不快だったと書かれた方もいらっしゃったし、逆に、私たちと同じようにどうしたらいいのか分からなくなって戸惑っているという人たちもいたんです。いろんな意見があってそれが面白かった。それから、お客さんの方から発信したくなるような舞台が作りたいなと考えるようになりました。完成された舞台芸術じゃなくて、お客さんも巻き込んだ作品が作りたいですね。
__ 
ダンス作品でそれをやるというのは珍しいかもしれないですね。
中西 
ダンス関係の人からはダンスじゃないとよく言われ、演劇系の人からはコンテンポラリーダンスだねと言われます(笑う)。どっちでもないんだなと。どっちでもいいんだなと思います。

タグ: ドキュメンタリー ユニークな作品あります その題材を通して描きたい 俳優を通して何かを見る アンケートについての話題


質問 益山 貴司さん から 豊島 由香さん へ

Q & A
__ 
さて、前回インタビューをさせて頂きました益山さんからですね、豊島さんにご質問を預かってきております。
豊島 
はい。
__ 
「好きな映画は何ですか?」
豊島 
ええ、何だろう。うーん・・・是枝さんの、「誰も知らない」という。
__ 
ええと、柳楽優弥の。
豊島 
あ、そうです。
__ 
あの悲惨な。お母さん役のYOUが絶妙なキャスティングでしたね。
豊島 
そうですね。ダメなんだけど憎めない。
__ 
最初に画面に出てきたとき、あまりにハマっていて笑っちゃいました。YOUには本当に失礼な話なんですが。
豊島 
ええ、あのYOUは、誤解を受けるかもしれませんが、魅力的でした。あの母親はひどいかもしれないけど、彼女なりに背負っているものがあって、自分とは無関係に思えない、あちら側の悪い人、とは思えない。あと、「歩いても歩いても」という映画があるんですけど、面白かったです。特に劇的じゃないんだけども感動しました。人はしんしんと怖くて悲しくて、でも同時に面白いなというのをあらためて感じました。是枝さんはドキュメンタリーを以前よく撮られていて、そこで培われたであろう視点が好きなんだと思います。村上春樹さんに通じると思います。どちらの方の作品も、人を、世界をよく見て、耳を澄ましていて・・・。
__ 
それを再構成して作品に昇華するという感じなんでしょうね。作品性に結び付けるって凄いなと思います。
豊島 
都合良くしていないんですよね。あと、料理のシーンがめちゃくちゃおいしそうですね。枝豆とかがザアって出てきたりとか、食材をかき混ぜたりとか。希林さんって料理好きなんだろうなと思いました。一番好きなシーンですね。

「誰も知らない」
2004年日本。監督:是枝裕和。
「歩いても歩いても」
2008年日本。監督:是枝裕和。

タグ: ドキュメンタリー 村上春樹


vol.105 豊島 由香

フリー・その他。

2008/春
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豊島

映画、舞台

__ 
弓井さんは、お芝居を始められたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。
弓井 
高校三年生の時に、映画を撮りたかったんですよ。凄く。でも、映画の現場ってどういうものか全然分からなくて、たまたま映画館で見つけた映画のオーディションのチラシを見て、とりあえず関わりたいと思って受けたんですよ。それが井土紀州さんという方の「ラザロ」っていう作品で、そのオーディションに受かったのがキッカケです。
__ 
それから京都造形大学に入られて、映像を学ばれていたんですよね。
弓井 
そうなんですよ。もともと造形大を選んだのが、映像も舞台も出来るからだったんです。映像の作り方同様、演じる事にも興味があったんです。高校の頃、ちょっとクラブでやっていたりしたので。でも、ウェイト的には映画監督になりたいと思って入りました。その内に、「ラザロ」で共演した人から劇団の旗揚げに誘われたんです、カウボーイダンスっていう。
__ 
あ、知ってますね。
弓井 
あ、凄い。3回しか公演をやっていないので、知っている人に初めて会いました。そこと、大学で舞台の授業を取ったりするうちに、舞台のウェイトが高くなっていきました。
__ 
ちなみに、在学中はどのような映像作品を作られたんでしょうか。
弓井 
ドキュメンタリーしか撮ってないですね。大学に入って一番最初に作った習作も、フェイクドキュメンタリーでした。
__ 
どのような題材でしたか?
弓井 
さっき言った、劇団の旗揚げに誘ってくれた人が主役で、その女性が好きな人について色んな思い出を語っていくんだけど、それは全て妄想だったという・・・。まあ、1回生の頃でしたね。
__ 
面白そうですね。

タグ: ドキュメンタリー 映像の現場


vol.94 弓井 茉那

フリー・その他。

2008/春
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弓井