衝撃を受けた舞台

__ 
芝居を始めた頃に見た衝撃作を教えて下さい。
松永 
PARCOプロデュースで長塚圭史さん脚本、河原雅彦さん演出の「テキサス」です。ちょうど3年前ですね。その時期小劇場はたくさん観ていたのですが、大きなステージの作品を観たことは数回しかなくて。まず、すごくカッコ良かったです。大きい劇場で音楽がガンガン鳴って、照明が凄くて。もう、単純にカッコ良かったんですよ。
__ 
ああ、分かります。カッコイイですよね。
松永 
主人公が故郷に戻ったら、家族や周りの友達が整形していて、全員顔が違うんですよ。それが100円とかの悪徳整形手術で、目玉や鼻や耳が取れちゃったりするんです。それを包帯の上から両面テープとかで留めてたりするんです。普通に考えたら、めっちゃ嫌じゃないですか。
__ 
そうですね。
松永 
でも、すごく笑って観ていたんですよ。今でも忘れられない作品ですね。
__ 
そういう格好良さを目指したいと思われますか?
松永 
そうですね、やってみたいですね。最近はそういう舞台を観に行く事が多いので。
__ 
身体能力を生かして。そう、高校時代は陸上部だったそうじゃないですか。
松永 
(笑う)それ良く言われるんですけど、してないです。バレーボールだけです。
__ 
えっ・・・
松永 
あと初めて会う人にもよく、「絶対スポーツ出来るよね」って言われるんですよ。でも、本当は走るのと泳ぐのが苦手で。う、うーん。みたいな。
__ 
失礼しました。何だろう、バネを生かして最大の格好良さを発揮していただきたいですね。
松永 
そうですね、やらせていただきたいですね。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 衝撃を受けた作品


映画と演劇の二択

__ 
fukui企画を立ち上げた経緯を教えてください。
福井 
立ち上げたというより、僕一人のユニットで。名前にもずっと(仮)が付いてる感じなんで。そもそも説明させて頂くと、僕は映画監督になりたかったんですよ。造形大にも映画学科はあるんですけど、舞台の演出の方が役者の動かし方が分かるようになると何かの本で読んで。それを鵜呑みにして舞台芸術学科に入ったんですね。それは僕は全く後悔してないんですけど。
__ 
なるほど。
福井 
脚本にしても、映画と演劇のそれって決定的な違いがあると思うんですよ。映画は、物語の核心を隠していくために描写を削る事が正義で、舞台はそれを出す事が正義だ、と学んでいったんです。隠すという事は、多分もう、何回もやれば上手になっていくと思うんですよ。緻密さは映画の方が絶対あると思う。物語の求心力も強いと思う。一方演劇は役者のものと言われていますよね。
__ 
役者が支柱となって物語を支える、というより、一体になっていると。
福井 
そうですね、俳優の一挙手一投足に集中してみているお客さんに、しかも彼らは向き合っているじゃないですか。演劇は衰退しているんですけど、そういう面では優れていると思うんですよ。優れた演劇を見た時の発見は凄いものがあって。そういう思いがあって、回り道かもしれないですけど、演劇学科に入ったんです。出す事を学んで、その後、隠していけばいいや、と。戯曲を書く事を始めて、上演しないと意味がないと学んで、それで始めたのがfukui企画です。
__ 
なるほど。ちなみに、最初に書かれた作品はどのような。
福井 
かいつまんで言うと、ミュージシャンを目指して東京に出てきたヒモとその彼女の話で、最終的にヒモがオカマになる話です。というか、ニューハーフとしてゲイバーで働き始めるんです。上演時間は2時間10~15分ぐらいありました。僕は遺作にしたいなと思うぐらい、思い入れは強いですね。2回生の時に上演して、手探りで演出していました。
__ 
素晴らしい。
福井 
最初の作品で、根を詰めて書いたものなんです。面白いなんて言ってくれる人は限りなく少ないんですけど、僕は大好きです。「不肖死スベシ」という作品でした。
__ 
気持ちは良く分かります。自分が作ったもの、というのがありますしね。

タグ: 役者全員の集中が一致 今の作品に集中する エネルギーを持つ戯曲 映画の話題 舞台にいる瞬間 観客との関係性 つかこうへい


楽屋へ這って帰る

__ 
逆に、役者が自分の演技を理解しようと思ったら手抜きは出来ないはずで、だからその時の積み重ねとか検証が、一つの演技を支えているに違いないんですよ。で、観客は実は役者の演技を見る時、そのスープが何で出来ているかを味覚とか直感でかなり正確に理解出来てしまうんですよね。評判の良い舞台でもそこが出来ていなければ、やっぱり面白くないと感じてしまうんですよね。
白井 
それはありますよね。ストーリーが凝っていても、何か。
__ 
まあ、もちろん役者から入っていかないお客さんもいるんですけどね。
白井 
僕らで言うたら、役者の一人間としてのエネルギーこそが売りだと思っているんです。だから、手抜きなんて出来ないですね。終演後に役者が立てないぐらい疲労して、バタバタと倒れて、ぐったりしている。それぐらいのエネルギーを出さないと。
__ 
そんな、エネルギーに由来した演劇。
白井 
ジャブは撃つんですけど、最後は必ず大振りのストレートなんです。そういうイメージかなあ。殴る方もクタクタになる。
__ 
そういう舞台で、お客さんに何を持って帰ってもらいたいですか?
白井 
「何か」はお客さんが作ってもらいたいです。その何かの元になるものを与える事が出来たらいいなと。駅までの距離をちょっと早歩きで帰れるぐらいのエネルギーでもいいですし、家で腹筋するとか、楽器の練習するでもいいいですし。何かのワンプッシュというか、起爆剤になれたら嬉しいです。
__ 
わかりました。起爆剤!いい言葉ですね。

タグ: エネルギーを持つ戯曲


ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「TWO」

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。たみおさんは最近、どんな感じでしょうか。
たみお 
最近は、「TWO」の稽古と、リーディングと、子供向けWSのあれこれと。子育てをしています。迷惑を掛け通しです。
___ 
私、この一年以内に取材した女性の5人ぐらいが結婚された方だったんですけど、演劇活動と結婚が両立していないみたいなお悩みをみなさん持っていたようでした。自信がないのですか?
たみお 
母親とはこうあるべきだという思い込みとかけ離れているんですよね。好きな人と結婚したのは幸せだけれど、これからあれやこれやをしていこうと思っていたのに、そのあれやこれやを向こうにしてもらってばっかりだなあ、と。
___ 
大好きな方と結婚出来たのは素敵な事じゃないですか。
たみお 
それもちろん。理想はもっときちんとして、もっと料理もして。しかも今は土日を創作の時間に充てさせてもらっています。もちろん家族の時間も持ってはいるんですけど。
___ 
旦那さんのご協力のもと、製作されているんですね。つまり、それはもう失敗出来ませんね。
たみお 
そうですよ。本当に。
ユリイカ百貨店
ユリイカ百貨店は 2001年より、脚本・演出を担当するたみおを中心とするプロデュース集団として活動を展開。幼い頃の「空想」と大人になってからの「遊び心」を大切に、ノスタルジックな空気の中に、ほんの少しの「不思議」を加えたユリイカ百貨店ならではの舞台作品を作り続けている。(公式サイトより)
ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「TWO」
公演時期:2014/10/18~19。会場:元・立誠小学校。

タグ: 結婚について 母になる エネルギーを持つ戯曲 自信がない


朋恵さんがピンときたら

__ 
こまち日和を立ち上げた経緯を教えて下さい。
西村 
わたし、今までどこの劇団にも所属したことが無くて。フリーだったんですよ。フリーは声を掛けてもらうのを待つしかないんですけど、それじゃ駄目だなと。何か発信していかなきゃと思ったのがキッカケですね。あと、色々企画をするのが嫌いじゃないので。
__ 
好きなんですね。
西村 
こういう事をやったら面白いなと思い始めたらどんどんアイデアが湧いてくるんです。やってみよう、という思いを何かの打ち上げでチャーハン・ラモーンさんに話したら「じゃあ、俺書くよ」とポロッと言ってくれて。
__ 
なるほど。
西村 
それからしばらくして本当に書いてもらえる事になって。それまでコントの脚本は書いていたけれど、お芝居の脚本と演出は初めてだったんです。なのにあんな素敵な作品を書いて下さって。立ち上げから一緒につきあって下さってチャーハンさんがいなかったらこまち日和は無かったと思います。
__ 
つまり、チャーハンさんが恩人という訳なんですね。毎回、どんな経緯で企画していくんですか?例えば今回の宮川サキさんは。
西村 
今回は、サキさんにお願いしたい!という気持ちがあったんです。普段お話ししていて、サキさんは作・演出できる人だって感じていて。wake.3が終わった頃からサキさんにお話していたんですよね。作・演出の方の存在が最初なのかな。サキさんは一人芝居の作品は創られていますが、大人数の脚本と演出は初めてなんです。関わって下さる方みんなが、普段とは違う姿をこまち日和で見せて欲しいなという所もすごくあって。会場も含めて、「初めて」が好きなのかもしれないです。
__ 
確かに。
西村 
まず、作演出の方ありきで、一緒に出演者も決めて行って、会場を決めて。普通とは違うぐらい、がっつり組んで頂くんです。
__ 
この人に書いてもらいたいと思う、そのセンサーはどこから?
西村 
私、とにかくひらめき型というか。ピンって来るんです。竜崎さんの時も、wake.2が終わってしばらく休もうかなと思ってたところに「あ、竜崎さんだ」って思って、帰りの車の中で話したんです。一緒にやってください、って。メンバーが集まった時もいい座組になるって見える?ピンってくるんです。言葉ではうまく言えないですけど。
__ 
その勘はどこで培われたんでしょうか。
西村 
昔から、あまり大胆な事はしないように見えて変な所大胆なんです。一人で海外に行ったり、留学したり。その時も多分、ピンって来てるんです。
__ 
その行動力、羨ましいですね。
西村 
私、名前が朋恵って言うんですけど。「友達に恵まれますように」って願いが込められてて。旅行先でもいい人に出会えて、普通の旅なら行けない場所や食べられないモノに出会わせてもらえたり。こまち日和に関しても、本当にいい人達に巡り会えていて。周りの方達に恵まれているというか。この名前を付けてくれた両親に感謝です。

タグ: この座組は凄い エネルギーを持つ戯曲 混成軍的な座組 宮川サキさん


話してみよう

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
西尾 
仲間を増やすこと、かな。
__ 
劇団員を増やす?
西尾 
という事じゃなくて、約束を決めていくより、もっと沢山話そうと思うんです。言ってみたら、結構なんとかなる事が多いんですよ。例えば、こちらの準備が整うまで話してはいけないとか、どんな条件を出してあげられるだろうか、とか。でもそれより、会って話した方が良いんですよね。
__ 
関係性を深めたい、紐帯を強めたい。
西尾 
そうですね。それと、さらけ出すって感じですね。整ってからじゃないと話してはいけないと思っていたんですけど、「こんな事をしてみたいんだよね」みたいな状態で話したら「じゃあ、こういうのはどう?」って言ってきてくれる。生煮えの状態で話した方がいい流れになる事もあるんですよね。
__ 
突然ですけど・・・最近、「黒子のバスケ」脅迫犯の陳述書を読んだんです。彼が本当に求めていたのは、憂さ晴らしではなく「誰かと話す事」だったそうなんですね。いま彼は留置所仲間とおしゃべりしているらしいんですが、ものすごく心が穏やかになっているそうなんです。気を許せる人と話が出来るという、自分の存在を許してくれる、そんな関係性が欲しかった、らしいですね。
西尾 
私も許容してもらわなくちゃ、と思ってたんですけど。許させるというと言葉が強いですけど、やはりこちらから積極的に関係性を作っていかなくちゃいけないんですね。まず、私が相手に何をもたらせるか・・・
__ 
与える自分になる?
西尾 
というと偉そうなんですけど、引き出しを全部使うという事ですかね。今持っている引き出しを使い尽くすと次が大変かと思いきや、むしろもっと入ってくる。今回の「緑子の部屋」は、キャストもスタッフも、それぞれがそれぞれに全部使い尽くした感じですね。
__ 
最後に、「緑子の部屋」。ご自身としてはどんな作品でしたか?
西尾 
すごく楽しくやれた作品でした。全般的に、エネルギーが上手く流れていたと思います。去年、9月10月と連続で作品を上演したんですが、かすかすの雑巾みたいになるまで自分を絞ってたんです。そうじゃなくて、自分も潤す時間があって、それが返ってきて、みたいな感じで回せたかなと。
__ 
循環型鳥公園ですね。
西尾 
サスティナブルな(笑う)。
__ 
そう、持続的発展可能な。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 関係性が作品に結実する


中野劇団「イレカワ」の思い出

__ 
今年の延命さん。2月の壱劇屋への出演に始まり、中野劇団、伊藤えん魔さんのプロデュース公演、ナントカ世代、落語と充実していましたね。
延命 
その通りです。ありがとうございます。
__ 
中野劇団はほぼ主演でしたね。登場して最初のセリフ、面白かったですね。「あの、私、あれ何だこの声」って。
延命 
あれは本当に中野さんの筆の力で。
__ 
全体的に、どんな思い出でしたか?
延命 
今回は中野さんが最初から最後まできっちり作るんじゃなくて、オーディションで選んだメンバーと一緒に稽古を通して作っていくという方式で。この作り方は、以前参加した長編公演と同じなんです。
__ 
なるほど。もしかして、中野さんの完璧さがないから、ちょっと不安だった?
延命 
でも、今回出演されてなかった三条上ルさんが稽古場で「これ絶対面白いで」って言ってはって、確かに本番でもウケてて、安心しましたね。
中野劇団
2003年に京都で旗揚げした劇団です。長篇の公演と短篇(コント)オムニバス公演と2つの形式があり、どちらもほとんどが「笑い」が主体の内容です。長篇はほぼ全てが一幕もので、シチュエーションコメディの要素を含むことが多いです。(公式サイトより)
中野劇団 第15回公演「イレカワ」
公演時期:2013/8/11~13。会場:in→dependent theater 1st。(公式サイトより)
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!~人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ~」
公演時期:2013/2/23~24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。
伊藤えん魔プロデュース「百物語」2013
公演時期:2013/8/16~18。会場:in→dependent theater 1st。(公式サイトより)
ナントカ世代
当初は、すべての公演タイトルを『?世代』とすることを約束事として北島淳の脚本を上演する企画であった。が、そもそもは「タイトルを考えるのが面倒」という安易な理由から導入したタイトルシステムにより、徐々に狭まる選択肢に逆に苦しむハメになり約束を破る。つまり、今ではただの不条理劇とコメディが好きなだけの、京都の演劇企画である。(公式サイトより)

タグ: エネルギーを持つ戯曲 京都と大阪・大阪と京都 今年のわたし


僕はハードSF

__ 
ふつうユニットの次回公演「旅行者感覚の欠落」。脚本は努力クラブの合田団地さんで、以前上演されたものですね。副題として「プロトコルに関する考察」とありますが、これはどのような潤色をするのでしょうか?
廣瀬 
基本的に、本はいっさい変えないんですよ。僕なりに、合田くんの作品から、勝手にこの物語のメッセージを考えて、それに合った見せ方をしようと。
__ 
「考察」というのはそういうやり方なんですね。
廣瀬 
僕は「第*回公演」て自分で言うのが恥ずかしいんですよ。基本的に、自分で脚本を書く時はハードSFをテーマにするので、「~~に関する考察」を付けようと。今回は、人間同士の通信規約なのかなあ。見せ物に関わる、作者、演者、観客、それらの間のコミュニケーションの時の決まり事に関して考察します。
__ 
この企画の経緯を教えて下さい。
廣瀬 
次の作品を作るまでに、既製台本の演出をやりたいなあと思っていて。でも有名人が書いたようなのは使いたくないなあと。そういう時に、努力クラブのコント公演「正しい異臭」に出演して、最初は単に受付で売ってる台本が欲しかっただけなんですが、既製をやりたいと思っていた事を思い出して。で、合田くんに「脚本を上演するから台本売って」って話したら、「廣瀬さんが上演するなら持ってっていいですよ」と。代金浮いて、ラッキーでした。読んでいて、合田くんが書いた文字情報を考えたんです。「旅行者感覚の欠落」をロジック変換していくと、「主人公意識の肥大化」やなと。で、まあ、こちょこちょっと変換して。
__ 
ロジック変換したんですね。
廣瀬 
ああ!こういうふうに文字にして言い切ってしまうと見に来る価値なくなりそうなんですけど、見に来ないと分からない部分もあるんですよ。演劇だから。
努力クラブ5 旅行者感覚の欠落
公演時期:2012/12/7~10。会場:元・立誠小学校 音楽室。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 恥ずかしいコト 書いてみたいと思った いつか、あの人と


カーテンコール

__ 
舞台に立っていて、どんな瞬間が好きですか?
小沢 
カーテンコールの時です。
__ 
なるほど! 昨日拝見した「エゴサーチ」のカーテンコールは、全員、何だか潔い感じがしましたが。
小沢 
本当ですか。でも、そんな感じになったのは最近だと思います。それも覚悟が付いたからじゃないかな。2時間の舞台を確実に面白いものにする。そういう意思を皆で確認するところから始まるんです。舞台が終わった時に、お客さんと一緒になって作り上げた結果がカーテンコールなので。感謝を込めたあの瞬間ですね。
__ 
私は初めて虚構の劇団という集団を拝見したのですが、大変強い集団力を感じました。ラストの流れるようなシーン展開は、全ての演技が整理されていて、全員で一つのセリフを喋っているぐらいの、キレイで見事な演劇だったんですよ。
小沢 
嬉しいです。
__ 
お客さんが、笑っているんだけど同時にすすり泣いているような人もいて。
小沢 
鴻上さんの作品の特長だと思うんですよ。人を救えるくらい大事な言葉をエネルギーを、鴻上さんの作品は持っていると思います。

タグ: 泣く観客 エネルギーを持つ戯曲 鴻上尚史


エンドマーク、スタートライン

__ 
・・・「ゼクシー」の話に戻りますが、正直、ミジンコターボの作品として、最も人間性を感じたんです。ネガティブな事をポジティブに変換したミジンコターボの作品作りはとても好きでしたが、同時に、この人達は眩しすぎて直視出来ない、とも思っていました。でも、例えば病室で感じた孤独感をそのまま作品に持ち込んで、それが誰かの琴線に触れるような作品が拝見出来るとは思っていなかったんですよ。意外だと思うと同時に、何だか嬉しかったです。
片岡 
そうした感想を頂けるのは嬉しいです。僕にとっては新天地だったので。
__ 
面白かった上に、泣けたという感想もあったみたいですね。
片岡 
最後のシーン。プロのバイオリニストの方がシンちゃんの亡き父親役で出演して下さいまして。そのシーンのリハーサルで僕は演出なので前から見させてもらったんです。主人公なのに。でも僕抜きでも成立していて、押し寄せてくるエネルギー量がね、バイオリンが良かったという感想だけだったらどうしようと思いました。
__ 
なるほど。
片岡 
これ裏話なんですけど、隙間の時間に、僕と音響王子とそのバイオリニストの方だけで音響のレベルチェックをしていたんです。アイデアとして、「本当はお父さん、めっちゃ下手なバイオリニストだったという設定はどうか」と。実際に音を外してみて貰ったら、やったらめっちゃ盛り上がりました。
__ 
それはちょっと泣けますね。そんな事をやったんですか。
片岡 
人間としてはそれが普通かも。上手だったら出来すぎやろう。下手くそやったんやお父さん!でも、それやったら意味あらへんがな、と。
__ 
天国にまで行ったのに。それは逆に出来すぎですね。
片岡 
これは泣けるけど、そういう人は少ないやろうなという話になりまして。結局、丁寧に弾いて見ただけました。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 天才スタッフのひらめき 生演奏のある作品 楽器の話題・バイオリン


人間

__ 
藤本さんの演出家としての特長は、ご自身ではどこだと思われますか?
藤本 
演出としての一番願っている事は、引いて舞台を見ていても、大事な瞬間にフォーカスがアップに見えるような感覚が作品に欲しいですね。そこにぎゅっと、そこに今マックスのエネルギーが掛かっている、濃厚な瞬間を舞台で実現したいです。役者としても、そこへのこだわりがありますね。
__ 
ありますよね。後ろの客席から遠くの舞台の人の、例えば振りかざしている腕が迫力を持って大きく見える瞬間。
藤本 
映画のアップみたいに、そこしか見えていないような瞬間がたくさんあるといいお芝居になるんじゃないかなと思います。
__ 
集中しているという事ですね。
藤本 
大事だと思います。
__ 
集中している事が何故大切なのでしょうか。
藤本 
そこに人間が出てくるからだと思いますね。登場人物の人間像や、もしかしたら俳優が持つ人間性などが何ものをも押しのけるほどのパワーを持っていて、そこに見入ってしまう。そこに圧倒されてしまうし、惹かれます。もちろん、引いた目線の作品で素晴らしいものもありますけどね、やっぱりどうしても惹かれてしまいます。それを具現化していくのが本当に難しいんですが。
__ 
そうかもしれませんね。
藤本 
そこで思うのは、型を持たずに柔軟に行こうと。脚本や役者によって変わりますしね。もちろん、型を持つ方はたくさんいらっしゃいますし、本当に強くて魅力的です。が、僕はフラフラしながらの演出なので、うらやましいからこそマネ出来ないですね。
__ 
特定の型を作らない事で、飽きられないし、藤本さんご自身も飽きないんですね。

タグ: 役者の認識(クオリア) エネルギーを持つ戯曲 演技を客席の奥まで届ける 舞台全体を見渡せる感覚 俳優自体の人間力 俳優を通して何かを見る


くらえ~元気玉!!

__ 
榊さんはご自身では自分をどのような俳優だと思っておられますか?
榊  
根がホントに明るいので、ネアカな。BLOGの副題に「くらえ!元気玉」って付けてるんです。
__ 
おお。
榊  
元気玉ってみんなから元気を貰ってるし、その上他人にぶつけるわで。
__ 
考えてみればネガティブな技ですよね。名前とは裏腹に。しかし術者である悟空も相当に疲労するようですね。あのエネルギー弾、渡されたクリリンが「な・・・なんだこれ・・・」と異様な驚き方をする訳ですが、仮説として、
 1.他者のエネルギーを徴収する。
 2.エネルギーの総量に関わらず、球形はもちろん、他人に譲渡出来るなど、扱いやすい状態にまとめる。
かめはめ派のようなエネルギー放出型とはもちろん違うし、他人に渡したりバレーボールのように扱っても攻撃力はそのまま。
榊  
そうですよね。減衰しないエネルギー伝導ですよね。
__ 
だから元気玉は、悟空がそれまで学んだ事のないような特殊なエネルギー操作術であると言えます。その後瞬間移動やフュージョンや念話という、人間には到底不可能な技を体得していく訳ですが、意外とこの元気玉の修得がそれらの技術を覚える根幹になったんじゃないかと思うんですよね。榊さんにとっての元気玉は何ですか?
榊  
私は本当にプラス志向なんですよ。私の前向きな気持ちが元気玉だと思います。暗い事はあまり考えないからかな。
__ 
暗いことを考えないようにしている?
榊  
そういう訳じゃないですけど、考える事もあるんですけど、最終的な結論は前向きですね。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 お客さんに元気になってもらいたい 訳の分からないボールの話


vol.283 榊 菜津美

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
榊

不器用なおかげで書けたもの

__ 
突劇金魚の7月の短編公演、キンギョの人々vol.2「蛇口からアイスクリーム」。面白かったです。
サリ 
ありがとうございます。
__ 
その内の「夏の残骸」を長編として、伊丹AI・HALLで再演ですね。意気込みを伺えますでしょうか。
サリ 
いつでもそうなんですけど、その都度、今出せる力の全てを出すんですよ。本当に生命力を削ってます。いま、これ以上を求められてももう出来ないでという感じですね。ネガティブな感じで言ったら、これが面白くなくても仕方がないんですというしかなくて。ポジティブに言ったら出し惜しみせず全部注いでます。何でもそうかもしれませんけど、今見てもらわんともう見れないと思いますね。
__ 
エネルギーをつぎ込む。それはどういう事ですか?
サリ 
日頃お金を貰ってやる仕事が全ておざなりになりますね。全部、滞りますね・・・。
__ 
つぎ込まないと作れない?
サリ 
わたしの場合はつぎ込まないと作れないっぽいです。頂いている仕事と劇団の両立が、よりシビアになっていっていると思います。作品作りになると、どうやったら面白くなるかとか、お客さんにどうやって伝えようかとか、稽古でどう俳優に伝えようかとか、演出プランでもそうだし、書き上がった脚本に「もう一つ何か」があるんじゃないかとか、考えるのは当然なんですけど、他のことが全部後回しにしてしまうので、すごく焦ります。後回しにしている他のことをいつやるのか、そっちの〆切どうするのかとか。多分、わたしが不器用なだけなんですけど。そこまで思いつめんでも出来るのかもしれませんけどね。
__ 
サリngさんはご自分の不器用さをどう思っていますか?
サリ 
いや、そのお陰で書けたものがいっぱいあるので。ありがたいといえばありがたいんですけど、自分の浮き沈みが激しくなってしまうんです。勝手に焦って、いっぱいっぱいになって。すぐしんどくなるから、もう・・・しんどいですよね。人生がしんどいです。どんなに充実していてもすぐしんどくなってしまうのは正直しんどいんですけど、その感性のお陰で書けたものもあるので。まあこうやって、生きていくしかないねんなって思いますね。
__ 
楽な方法を選んだらいいのでは。
サリ 
選べないんですよねー。例えば舞台が決まって、それの練習をしようということになって。今回は楽ちんな方法にしようと思っても、途中で「いやそんな楽をしてはいけない」って思ってしまう。「私程度の力の者がその程度で面白くなれる訳がないやん」って。そっちに行っちゃうんですよね。
__ 
私個人の性向として、全部自分でやろうとするというか、他人に任せるのがめちゃくちゃしんどいというのがあるんですけど。そういうところが、もしかしてサリngさんにもあるのでは。
サリ 
それはありますね。人に頼むのは苦手ですね。申し訳なく思ってしまうので。相手はきっと別に不愉快に思ってなくても、頼む事自体にストレスを感じてしまうので。
キンギョの人々vol.2「蛇口からアイスクリーム」
公演時期:2012/7/2~4。会場:in→dependent theatre 1st。
突劇金魚 第13回公演「夏の残骸」
公演時期:2012/10/12~15。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。

タグ: 器用さ・不器用さ 他人に任せることの難しさ エネルギーを持つ戯曲 産みの苦しみ ユニークな作品あります


10本の楽しい遊び

__ 
中崎町ミュージアムスクエア、略してNMS。企画として、すごく遊び心が感じられますね。
石原 
個人的にはやっぱり作家の方に脚本を書き下ろして頂いている事が楽しい点でした。10作品全てがほぼ、僕と共演者のあて書きだったんです。そうした楽しみは、企画の段階からありましたね。
__ 
そうなんですよね。20人以上の作家と共演者。バラエティ豊かですよね。
石原 
脚本の方も、これ一度きりだけじゃなくて、これからも折りにふれて上演出来るようにとお願いしていました。これからも、いろんな時にいろんなところでやれると思っています。
__ 
終わってみて、どのような経験に。
石原 
10本の楽しい遊びを覚えた、という実感があります。旅行で言えば、あちこちの国に行けるみたいな。そんな作品群でした。
__ 
旅行!
石原 
ええ、結局は僕が一番楽しかったんだと思いますよ(笑う)。
__ 
この企画を始めた動機を伺ってもよろしいでしょうか。
石原 
40代になった春、さて何をしようと思ったんです。これから何をしたら面白いのかなと。19歳で演劇を始めてから出る側、書く側、プロデュースする側と色々携わって。ここでもう一度、セリフを吐きたいなと。一周して役者の欲求が強くなったんですね。もちろん漫画朗読も役者の仕事ではあるんですけど、やはり掛け合いをしたい。でも大人数は無理なんで二人ぐらいかなと。脚本も誰かに頼んで・・・と考えたら「どんどん作品を作ろう、年一本じゃなく、二月に一回くらいのペースでやってみよう」。
__ 
二ヶ月に一度、定期的に中崎町のコモンカフェで上演されましたね。
石原 
大阪キタの演劇としてはHEPがあるし、昔は扇町ミュージアムスクエアがあったし。オーナーの方も元々扇町ミュージアムスクエア(OMS)のスタッフさんだったのでご理解があって。コモンカフェがなかったらやってないかもしれません。
__ 
OMS。
石原 
はい。匂いとして、OMS的な事をやろうと思っていたんですね。だから中崎町ミュージアムスクエア。場所はあるし、ソフトは僕の知り合いの作家さんにお願いして、共演者も今まで通り気になった方に声を掛けて。もう、走れるところまで走ってみようと。そうしたら、いろんな方が協力して下さったんですね。初めて記者発表というものもしました。大体僕、思いつきで何でもやるんですけど、協力を頂けたのが良かったです。
__ 
素晴らしいですね。これまで多人数が出演する劇を作られていた方が二人芝居をやるというのが鮮やかですね。
石原 
そうですね。実は、二人芝居って割合としてはそれほど多くない。一時間の二人芝居の作品という事で、単純にひとり30分ぶんの仕事。そこで、自分がどれだけの役者なのかがはっきりするんです。自分の実力を査定して、高めるみたいな。共演の方も、昔一緒の劇団にいた同輩や、若手の方もいて。胸を借りたり貸したりでした。ごく個人的には、役者としてはとても有意義な時間にもなりました。
コモンカフェ
さまざまな人によるさまざまな人のためのさまざまな居心地のさまざまな空間。さまざまなつなぎめがさまざまな方向へ向かったりすると愉しい。common cafeはさまざまなジャンルに関心を持つ日替わりマスター・企画スタッフにより共同運営されています。(公式サイトより)
扇町ミュージアムスクエア
扇町ミュージアムスクエア(おおぎまちミュージアムスクエア、略称OMS)とは、かつて大阪市北区に存在した小劇場である。(Wikipediaより)

タグ: エネルギーを持つ戯曲


劇団うりんこ「お伽草紙/戯曲」全国ツアー

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。twitter等で近況を伺えましたが、お忙しいなかありがとうございます。
平松 
こちらこそ、ありがとうございます。特に今は忙しくしているんですけど、やりたくてやっている事を全てしてしまう性分なんです。でも楽しいです。俗に言う、《辛楽しい》ですね。
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素晴らしい。
平松 
最後には何でこんな事になっちゃったんだろうって思うんですけど、結局自分で決めてやっている事だった、みたいな。むしろ、他人に言われてやるというのが苦手で。頼まれないでやっている事が最近特に多いです。
__ 
でも、それで効果があったら幸せですよね。
平松 
そうですね。その効果を推し量るのが大変なんですけどね。今手がけている「お伽草紙/戯曲」の場合は、作品の反響が大きいんです。一度見に来て頂いたお客さんがツアーの応援をして下さったりするんですよね。「最後は松本ですよね!みんな一緒に観に行ってみる?」みたいに。ネットならではの結実の仕方をする気配があります。そうしたエピソードの出方が、近年まれに見る状況ですね。
__ 
それは俗に言う、モテているという状態ですね。
平松 
へぇ~、なるほど。分かりやすい。2年前に公演した時はモテると思ったのにそこまでじゃなくて(笑う)。だから、とにかく見に来てもらおうと売り込んだんですよね。モテるための努力をここ一年くらいしまくったんです。すると、以前は気になっていても来れなかったお客さんが来てくれたり、うりんこの事を最近知って下さったお客さんがいらしたり。
__ 
企画の素晴らしさはもちろんとして、劇団うりんこ/うりんこ劇場ならではのモテ要素とは。
平松 
多分、家族のような感覚が劇場にあるからかもしれません。これまでの歴史が堆積しているんですね。脚本・演出家に固定の人はいないし、俳優の年代もバラバラ。それでも、人が見れば「あ、うりんこだね」って分かるみたいなんです。
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ああ、そうした下地とかムードがあるのかもしれませんね。

劇団うりんこ
劇団うりんこの創立は1973年。8人の若者が集まって創った劇団です。以来、うりんこはその名前・・・・・・猪のこども・・・・・・のとおりに元気に走り続けてきました。今では、活動も広がり、愛知・岐阜・三重の東海三県での学校公演だけでなく、おやこ劇場・こども劇場、公立文化施設の主催事業、教育委員会、児童館の仕事などで、全国的に公演をするようになりました。また、海外の劇団との合同公演。スタッフの招聘。海外公演など国際的な活動も広がっています。(以下略。公式サイトより)
劇団うりんこ「お伽草紙/戯曲」
公演時期:2012年1月~3月。会場:名古屋・横浜・広島・福岡・大阪・相模原・豊川・松本。

タグ: 『モテ』 エネルギーを持つ戯曲


「どくはく」

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
上原 
役者として借り出された時に、求められた事を楽しんで仕事したいですね。
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私も、楽しんでいる上原さんを見たいです。
上原 
(笑う)どんな舞台でも楽しみたいですね。
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演出者としては。
上原 
応えてくれる俳優には、最大限報いたいと思います。こないだの一人芝居の大西さんみたいに。
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あれは凄かったですね。
上原 
あの作品は、もうそのまま素直に演出させてもらった感じですね。
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「どくはく」大変面白かったです。演出をされておりましたね。途中から、見てはいけないものを見ているような気がしていました。
上原 
脚本の力ですね(笑う)。実はめっちゃ細かく段取りを付けました。大西千保という役者の存在感がずば抜けている上に踊れるので、緊張と緩和を上手く使えるんですよね。30分間ずっと緊張していても面白いかなと思って作りました。
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最後、大西さんにしては珍しく汗だくになっていましたね。
上原 
そうですね、普段大西さんはそんな状態になりませんからね。
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役柄は「思いの強い人」でしたね。
上原 
内面から出てくる腹立たしさを鍵に作りました。彼女の中ではグルングルンしたと思いますよ。せっかく、演出が別だから「どくはく」は玉置君がしないであろう遊びをしてみたり。色々な試みに応えてくれたと思います。

タグ: 役者の汗を見せる エネルギーを持つ戯曲 役者に求めるもの 今後の攻め方 玉置玲央さん


サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」

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さて、「小部屋の中の三匹の虫」。大変面白かったです。後から知ったんですが、マルチエンディングだったそうですね。私が見たのはバッドエンドだったのですが。
三國 
全部バッドエンドです。ハッピーエンド?も一応考えたのですが、会場を扉も窓もない密室に見立て、そこから出ることだけが目的の芝居だったので、ハッピーっていっても、「出れる!出た!」だけで終わっちゃいますからね。なら別にいいかなって。
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なるほど。スリラーというジャンルだと思うんですが、最初に脚本をきっちりと作った訳ではなく、稽古場のエチュードで作られた作品だそうですね。
三國 
稽古場で出てきたもので構成を考えて、それを基に作っていきました。だから変な話、4カ月稽古を続けてきたんですけど完成したのは本番直前なんですよ。
__ 
そうなんですか!
三國 
ソリッドシチュエーションスリラーというジャンルの作品を色々研究するうちに、結局は緊迫感が重要なんだと思ったんです。なのでギリギリに完成するくらいがいいのかな、と。3回目の本番ぐらいが、役者の緊張と落ち着きのバランスが絶妙で、僕も手が震えるくらいぞわぞわしました。
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何回か見に行きたかったです。公演期間はロングランで京都市内6箇所を回っていましたが。
三國 
ロングランにしたのはやっぱり、旗揚げして一年経つのですがまだまだ集団としては体力がないなと思っていたからです。団体として強くなるには、1ヶ月ぐらいの公演を乗り越えないと、と。
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大変でしたね。
三國 
続けざまに6会場25ステージと。ゲネプロもせずに本番、なんてザラで、役者にとっては大きな制約になっていたと思います。もちろん、演出としてもですけど。でもそれ以上に、繰り返しお客さんに見られる中で得られるものも大きかったですね。
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ちなみに、あの血みたいな液体が入っていたペットボトルの中身は何だったんでしょうか。
三國 
あれは試行錯誤を重ねた結果ですね、コーヒーとココアを混ぜ、さらに緑と赤の着色料を加えたものです。とろみを付けたんですけど、あまり生かされなかったですね。
__ 
いや、あれはどういう原理の何だったんでしょうか?あのペットボトルを振るとその人が苦しんだりしていましたが。
三國 
映画ならいざ知らず、演劇で出来るリアルな暴力表現は限られていると思うんですよ。足を切断とかはできないし、血を吹き出させてもトリックを疑われてしまって興が冷めてしま。でも、演劇が虚構なら、暴力の対象が別に身体じゃなくてもいいんじゃないか。体の外に暴力の対象を設定することが出来れば、人を実際に殴らなくても、殴ることで発生する「痛々しさ」みたいなものだけ抽出できるんじゃないのかなって。それで、人間の心の醜さを見せられたらと思いました。
__ 
なるほど。
サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」
公演時期:2011/8/5~8/30。会場:元・立誠小学校ほか。

タグ: バッドエンド エネルギーを持つ戯曲 凶暴な役者 暴力


面白いということって

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私が最初に見たトリコ・Aの作品は、「肉付きの面 現代版―絵―」でした。それからは断続的に拝見しています。凄く好きなんですよ。
山口 
そんなー。ありがとうございます。そう仰って頂けるだけで。
__ 
いえいえ。ぜひ伺い事があるんです。私はトリコ・Aの作品を拝見する度に、「男性らしく・女性らしく」という意味でのジェンダーを強く意識するんですが・・・
山口 
それはもうちょっと詳しく聞きたいです。
__ 
私が勝手に思っているだけの事かもしれませんが、何だか演劇で受ける面白さの根元って、いわゆる男性的な攻撃的発想からくる事が多いんじゃないかなと思うんです。これはもちろん、実際の性とはあまり関係なく、文化的な役割としての男性性で。一方トリコ・Aの作品は豊かなイメージがあって、それが女性性的な印象があります。たぶん、論理的にユーモアを作り出していくんじゃなく。
山口 
ええ。
__ 
だから、最初に反発が自分の中に立ち上がる事もあるんです。ラストに近づくにつれて、良さに転化していくんですけど。面白さを定義づけて構築する余裕よりも、良さを生み出す力強さを感じる。
山口 
私は自分の作品を、女性的なものと言うよりは、未熟だなあと思っています。その未熟さの事を女性的であると言うならば、私はその女性的な部分を良いとは思わない。それに、私が常々感じる面白さは、その男性性的な面白さなんですよ。・・・昨日、子守歌代わりに「笑の大学」のDVDを見たんですけど、めっちゃ面白かったんです。ああいうのを見ると私にはとても真似出来ないと思うんですが、でもこういうレベルにまで行きたいとも思うし。
__ 
はい。
山口 
未熟であるが故の訳が分からなさには、安住したくないです。
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いや、感性に訴えかける作品と、「せりふのないガラスの動物園」のように構成の強い作品もあって、何か意識されてるんじゃないかなと思っていました。あれは、本当に「男性性的な」面白さがあったと思う。
山口 
えー。ホンマですか。無意識ですね。明確に分けてないです。
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そうなんですね。意外です。「ガラスの動物園」は本当に面白かったです。最初は脚本のシーンをダンスで表現したコンピレーションかとかと思わせておいて、徐々に物語りが姿を現して、最後は会話劇が展開するのはゾクゾクしました。
山口 
ありがとうございます。そう仰って頂けて。頑張ります。
トリコ・A「肉付きの面 現代版―絵―」
公演時期:2004/8。会場:アートコンプレックス1928。
トリコ・A「せりふのないガラスの動物園」
公演時期:2010/7/3~4。会場:アトリエ劇研。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 ジェンダー・女性らしさ 男性性とは何か 女性的、それはなにか