引き出しをお互いに開ける

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
勝二 
すごく抽象的なんですけど、自分が光る事によって相手役がもの凄く光るようになったらいいなあと。やっぱり自分一人では出来ないなあという事を、もう長いあいだ痛感していて。芝居を始めた最初の方はああしてやろうこうしてやろうみたいなのがあったんですけど、そういう風に自分で考えてきたものは9割面白くなくて。現場に入って相手とやる事によって生まれるものがホントなんだなと。相手を引き出せる役者に魅力を感じています。そういう事をやるには自分がまず光らないといけないような気もしていて、そこから引き出しの開け合いみたいになれば。そういう事が出来たら物凄い楽しいと思っています。
__ 
匿名劇壇の松原さんとの話の中でも近い事が話されたと思います。会話劇で、自分演技が上手くなったと錯覚するほど転がしてくれる人、というのが凄い人だ、みたいな話しになりました。でも、「引き出しの開け合い」とはまさに理想ですね。
勝二 
そうですね、自分から開けてしまうと失敗するんですよね。俺こんなんあるぜ、みたいなんじゃなくて。
__ 
そして、お客さんにも開けられるかもしれませんしね。
勝二 
そうですね、同じく演出家にも言える事かもしれません。

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vol.397 勝二 繁

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2015/春
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勝二

質問 杉原 公輔さんから 松原 由希子さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、杉原さんから質問を頂いてきております。「良い役者とは」。
松原 
難しいなあ。相手役の方自身が(演技巧くなったな自分)と思えるような演技が出来る人かな。
__ 
というと?
松原 
相手役に気持ちよく芝居させてあげられる役者が良いんだと思います。
__ 
会話劇を例にすると?
松原 
相手役Bが怒るという芝居をしなければならない時、B自身が「怒る」に持っていくのではなく、気づいたら怒っていたみたいな。それが良い役者というか。Aの役者がコントロールしているという事なんですけど。相手が出したい音をこっちが引き出す、みたいな。
__ 
相手役が、怒っている事に気づかないぐらいスムーズに怒れる。そんなコントロール力。
松原 
という事はAの役者は、凄く怒らせる言い方が出来たという事ですよね。現象を生める役者が上手いなあと思います。
__ 
会話のキャッチボールの筋書きを把握して、逃さない人と言えるのかもしれませんね。
松原 
会話劇が凄く上手な人と演技した時って、自分もなんか上手になったような気がしてしまうんですよ。向こうが返してくれるし、自分が動きたいように動けるし、みたいな。
__ 
つまり、向こうがこっちの演技を理解してくれている、という事なのかな。
松原 
ゴール決めた人より、そこまでの道のりを的確なパスでアシストした人が、私は魅力的に見えるし重要に感じます。その人が蹴りやすい足元に、蹴りやすいタイミングでボールを出してあげれば、あとはもう相手役が思いっきり足を振り上げるだけでキチンとゴールできる。
__ 
そのシーンが必要としている内容とその為の文法を前もって理解している事が前提ですね。細かいレベルで言えば、その会話で出すべき答えにたどり着く道筋を内外から検証している事。もっと細かく言うと、会話ってものすごく微細な要素に分解出来るんですけど(例えば目の瞬きの角度とか目を閉じるテンポも表現の要素のパーツだし、相手のそれらへの注目/無視も重要な情報だし)。意外にそれはお客さんに響いていくんですよね。それらのやり取りが呼吸を劇場に呼び込んで、共感が生まれて、重なり合いが出来て。
松原 
うんうん。
__ 
それはめっちゃ難しいですね。
松原 
難しいですけど、それが出来ている人を見ると上手だなと思います。

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やってやろうやってやろう

__ 
最近の、演技を作る上での気づきを教えてください。
畑中 
ずっと言われ続けてきた事でもあるんですけど・・・舞台の上では、何も考えない方がいいな、と思っています。もちろん、稽古ではそういう細かい事を作り続けるんですけど、それを本番でやると、役として生きられず、閉じてしまう。何も反応出来なくなるんですね。だから、こうしようああしようというのは稽古場で済ませておくべきだ、って。
__ 
素晴らしい。意識的になるべきところは意識的になる?
畑中 
やれてる人は無意識にやれてるんだと思います。引き出されるように台詞を言えるように、芝居は常にリアクション、と山崎さんからずっと言われていて。自分発信の台詞や行動であっても、相手の状態をどれだけ汲み取れるかどうか。それって、「やってやろうやってやろう」という態勢じゃ絶対出来ない事なんですね。
__ 
正直者の会の田中遊さんが昔言ってたんですけど、相手に呼びかける台詞、例えばAが「おーい」というのが台本にあったとして。呼びかけられたBはそれに振り向くという台本なんですけど、もしBが「呼ばれていない」と感じたら振り向かなくていいし、たとえBが振り向いたとしても、「Bの意識がこちらに向いていない」と感じたらもう一度呼びかけても良い、と。そういうのって、役者の責任で作るべき領域ですよね。実は観客としてはそこをもの凄く重要視している気がするんですよ。
畑中 
山崎さんもそのような事を言っていて。台本というのはあくまで記録にしか過ぎないから、台詞に「あははは」って笑う一行があったとしても、もし笑い続けたいんだったらずっと笑い続けていてもいいんだ。エチュードで出来た事が台本になると出来なくなる、ってすごく良くある事なんですよね。
__ 
そうですね。
畑中 
だから、もうリアクションリアクションと思っていて。課題ですね。
__ 
その上で伺いたいのですが、畑中さんが考える魅力的な俳優とは。
畑中 
さっきの話の回答とかぶっちゃうと思うんですけど。「見たいもの」を出した時に、そう来てほしかった!というのと、そう来るとは思わなかった!が両方出来る人が魅力的だと思います。村上誠基さんは大好きな俳優さんの一人なのですが、相手ありきのリアクションの芝居をずっとしてて。当たり前の事をしているんですよね。具体的な何かにずっと対峙しているように見える。そういう人は強いな、と思います。
__ 
お客さんが期待していながら、でもびっくりするもの。新しい価値観を見せられて、さらに納得してしまうもの。

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タケミツナリタ

__ 
去年の話になりますが、タケミツナリタが面白かったですね。凄く、ああした作品も出来るという懐の深さを感じました。
竹村 
ありがとうございます。
__ 
「バンブー!」っていうかけ声が、後半になってみんなに移るというのがいいシーンでした。伺いたいのですが、今までで一番、壱劇屋でご自身が輝いたのはどの瞬間ですか?
竹村 
輝いた・・・。僕はすごくネガティブなので、言ってしまえばあまり自分が好きではないので。いつかな。少なくとも、タケミツナリタは、個人的には・・・。実はあの時、喉を潰してしまって。大丈夫だろうかと不安になりながらやっていました。ウォーミングアップを普段より多くこなして、それでようやく声が出てくるような感じでしたね。気を付けたいです。
__ 
ネガティブですね!では、どういう時に「これは上手くいった」と感じますか?
竹村 
例えば、大熊の演出を、大熊が伝えきれない時に僕が落とし込んで誰かにすっと伝えられた時、とかですね。僕らが独自ルールでやっているのを、例えば客演さんに何とか伝えないといけないんですけど、大熊の頭の中にしかなくて、大熊も言語化出来てないものを作るのが僕らの役割なので、そこをまず俳優に落とし込んで、さらに作品に転化出来たら、それは成功だと思っています。
__ 
演劇を作るのはそれはもう大変ですよね。台本さえあればそれは作れると思いきや、イメージの伝達が舞台上で行われなければ客席には伝わらない。台本だけでも十分面白い作品があったとして、しかし演劇シーンにしたとき、作家も気付かないような面白い可能性がたくさん眠っている。それを引き出すには劇団という集団が最も深く探り出せるんですね。役者が行くべき可能性に到達出来る。その時、竹村さんのようなポジションの人がやるべきなのはどういう事なのでしょうか。
竹村 
自分のカラーを強く持っている人であれば、普通に演技をしていてもそれは出てくるし、面白いと思うんですよ。しかし、壱劇屋に限って言えば、大熊のイメージありきだと僕は思うようにしていて。他の劇団が大熊の演出をやろうとしても、それは上手くいかないと思いますね。大熊が狙っている事を僕らがそのまま落とし込んで表現するのが、壱劇屋の公演の俳優の役割だと思うんです。だから細かく伝えますね。ざっくりとは伝えないです。もちろん、強制する訳じゃないですけど。でも、個性を強く出すべきシーンと、あまり出さない方がいいシーンがあって、そのラインは伝えます。大熊は才能は絶対多く持っている演出家なので、そこを最大に引き出すのが僕らの成功ですね。
劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!?人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ?」
公演時期:2013/2/23?24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。

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本当に素敵なショーだったんです

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トランク企画の前回のセッション、「LIFE」を拝見していて凄く楽しかったのが、演技が噛み合った瞬間なんです。同時に、きっと難しい事なんだろうなと思っていました。高杉さんと内田さんと真野さんのやった、捕まったゴキブリの話はとても良かったですね。
木村 
そう!本当に素敵でしたね。いいシーン、家に帰ってもプププって笑えるのがいいインプロだと思います。お互いすっごい協力して、周りのみんなもいつも協力しようとしていて。なちゅほ(浜田)さんが最後に言ったセリフもすごい良かったですよね。人間が彼らを見つけてしまって、彼らが上を見上げて終わる、みたいな。
__ 
素晴らしかったですよね。何だか、そう作られた演劇のように思えたんです。最後の山口茜さんの実家話から始まるショーなんて、本当にあの台本で数ヶ月稽古したもののように見えました。実家の町で乗っていた自転車が宇宙船と交信を始め、そこから、思い出というあやふや記録の情景が、インプロなのに調和をもって紡ぎだされて、他の俳優達の町の思い出も混ざり合いながら、引っ越しの日を迎えるという明確な物語がある稀有なショーでした。UrBANGUILDの店員さんも凄い拍手してましたよ。
木村 
ええっ、それは嬉しい。
__ 
即興でしか生まれない空気感があるんですよね、確かに。

タグ: 引き出し合う ファンタジー 舞台全体を見渡せる感覚 即興、インプロについて 引っ越し 反応し合う Urbanguild


トリコ・A「つきのないよる」の思い出

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トリコ・A「つきのないよる」も出演されてましたね。
小沢 
ありがとうございます。あの作品はまた全然役柄が違いましたね。
__ 
そうでしたね。悪女役の丹下さんを手球にとる小沢道成という、珍しいシーンだったなあ。
小沢 
丹下ちゃん面白かったですよね。凄い好きです。山口さんの作品には、京都にいた事出演させてもらった事があって。だから今回も。それに、京都で一度共演させて頂きたかった方もいて。びっくりしました。
__ 
小熊ヒデジさんもいましたしね。
小沢 
いやー、凄かったですよ。本当に尊敬すべき先輩ですから。小熊さんはね、目が凄いんですよ。

タグ: 引き出し合う 舞台にいる瞬間


歯車がぴたっと合った瞬間

__ 
舞台の上で演技をした時。「この演技が上手くいった」という時があると思うんですが、その条件は何だと思いますか?
丹下 
それは私個人では絶対出来ないんです。相手ありきというか。全ての歯車がぴたっと合った瞬間。その確率を上げるのが稽古なんだなと思います。全ての関係者とも、その日のコンディションも合わないと上手くいかないと思います。
__ 
確率を上げる。その言い方、凄く面白いですね。
丹下 
エンタメ系だと、それはパフォーマンスに当てはまるんですけど、会話劇だとそれは当てはまらなくなるんですよね。

タグ: 一人では何も出来ない 揺らぎ、余白 引き出し合う 舞台にいる瞬間 関係性が作品に結実する 自覚的になりたい


vol.317 丹下 真寿美

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2013/春
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丹下

一人芝居の脚本執筆中!!

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今日はどうぞ、よろしくお願い致します。片岡さんは最近、どんな感じでしょうか?
片岡 
最近はおかげ様で忙しくさせて頂いていますね。いまはウチの劇団員の真壁愛がindependentの一人芝居フェスに出るんですが、今その台本を書いています。
__ 
どのような作品になるのでしょうか。
片岡 
前回は恋愛の話だったし、今回はせっかくの一人芝居なので、少し変わった事をやってもらいたいなと思って。女性役ではないものを書こうとしています。
__ 
人間以外ですか?
片岡 
人間ではあります。やっぱり、振り幅の多い役をやった方が貴重な経験になるなと思っていまして。僕も他の所に出させて頂いて、そういう恩恵も感じているんです。ウチの劇団員には色んな役をやらせて、引き出しを広げてもらえたらと。
__ 
作品が上演されるのは一人芝居トライアル二次審査、ですね。
片岡 
審査会という事で、14組中6組なのでどうしても周りを意識してしまうんですけどね。でも見せるのはお客さんだし、一人芝居やねんからその関係性を崩さないようにしてほしいですね。そうした意識を内に秘めて望んで欲しいです。
__ 
そういう意味では、落語に似ていますよね。
片岡 
そうですね。一人芝居の作り方って、一人で喋っててもおかしくないシチュエーションを設けるか・独り言をただただ吐露させる説得力を成立させるために人物設定を練り上げるか、なんじゃないかと。脚本家としての腕の見せ所ですね。裁判での証言とか、留守電に言葉を吹き込み続けるとか。僕が一人芝居フェスに出た時は浮遊許可証の坂本見花さんに脚本をお願いしたんですが、坂本さん「これ、終わっても拍手一つも貰えないかもしれませんよ」って。最高じゃないですかそれ、って。
__ 
脚本と役者の掛け合いの究極が一人芝居なのかもしれませんね。どんなものになるのか、楽しみです。
ミジンコターボ
大阪芸術大学文芸学科卒業の竜崎だいちの書き下ろしたオリジナル戯曲作を、関西で数多くの外部出演をこなす片岡百萬両が演出するというスタイルで、現在もマイペースに活動中の集団、それがミジンコターボです。最終目標は月面公演。(公式サイトより)
INDEPENDENT:13 トライアル
審査:2013/7/9~10。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 役者の積み上げ 目を引く役者とは 拍手についてのイシュー 引き出し合う 浮遊許可証 一人芝居 落語 実験と作品の価値


質問 飯坂 美鶴妃さんから 小林 真弓さんへ

__ 
以前インタビューさせて頂きました、京都でフリーで俳優をされている飯坂美鶴妃さんから質問を頂いてきております。「舞台上に立っている時、何を考えていますか?」
小林 
お客さんの反応とか、段取りとかはどうしても考えますね。感じるのは、一緒に立っている人の状態です。今日は調子が良さそうだとか、テンポがいいとか。
__ 
なるほど。
小林 
笑の内閣のツアー中で感じているのが、自分のテンポだけで芝居すると、ボタンを掛け違えたように後の芝居が合わなくなってしまうんですよね。本番後も、演出から「ちぐはぐな感じだった」って言われてしまって。その次の回以降は、ムリに修正をかけるんじゃなくて、なだらかに乗って立てなおしていくようなイメージで演技していました。無理に我を通さない。声量とかでも、一人だけ大きくても、やり過ぎると差が見えてしまう。見てておかしくないくらいに合わせて行く感じです。
__ 
歩調を合わせるという事ですね。
小林 
はい。それが最近考えている事です。それが正しいかどうかは分かりませんけど。

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質問 澤村 喜一郎さんから 伊藤 拓さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、ニットキャップシアターの澤村さんからご質問を頂いてきております。これは役者向けの質問かもしれませんが、1.もし何の制限もなかったとしたら、どんな役をやってみたいですか?
伊藤 
自分の家族をやりたいですね。オカンとか、妹でも弟でもいいし。「点在する私」にも関わってくるんですけど、役者が何かの役をやる時はその役についての情報が必要じゃないですか。でも家族の場合は個人の思い出があるので、それが滲んで来るのが面白いんじゃないかと。「点在する私」も、役者が役者個人をやってるんですよね。それも、ちょっと変わった方法で作っています。
__ 
非常に興味深いです。2.好きな俳優さんは誰ですか?
伊藤 
親族に映画好きが多くて、やたらロバート・デニーロを勧めてくるんですよ。ヤバいぞと。で見てみたら確かにクレイジーなんですよね。それから何本も立て続けに見ました。アル・パチーノも好きです。
__ 
3.役作りってどうしてるんですか?
伊藤 
役者さんって、引出しが多ければ多いほどいいと思うんですけど。うーん。イメトレと実際のトレーニングを両方やるしかないんじゃないですかね?

ニットキャップシアター
京都の劇団。代表・演出はごまのはえ氏。個性的な俳優陣と高い集団力をもってごまのはえ氏の独特な世界観を表現する。

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