でも、次も来て下さい、きっと

__ 
逆に、観客に何か期待する事、欲望する事はありますか?
油田 
演劇は多様性のあるメディアだと思うんですよね。作品が違えば何もかも違うし、俳優が一人違うだけでもかなり変わる。見ている人のコンディションでも違う。テンションの低い日に見たらやっぱり面白く無い事もありますしね(笑う)。
__ 
年齢層によっても感想って違いますしね。
油田 
それでも、いつ何時でもあなたを受け入れる場所として僕らはある。つまんなくても次絶対来てください、と。
__ 
なるほど。
油田 
いや面白い作品を呼んでるんですよ。でも、あるじゃないですか。あれっ?みたいな事。特に新作とかは。でも僕らは小屋側の人間なので、言い訳は出来ないじゃないですか。でも、次も来て下さい、と。
__ 
でも、頑張って作った作品が面白くない事ってありますよね。
鳴海 
そうですね。まあさっき油田さんのおっしゃったコンディションもありますけど、でも、頑張らなくても上手くいくなんて事はないんですよ。残念ながら頑張っても良いものになるとは限らない。ただ、良いものをつくるためには努力する必要があると信じないといけない、私たちはね。
__ 
そうですね。
鳴海 
私の観劇思考でもあるんですが、もし観た作品が肌に合わなかったとして、その時お客さんが自分にはなぜいまいち面白くなかったんだろうと考えてくれるのなら、それは作品と同時に自分についても考えているんだと思います。それはつまり、他者について考えているんです。自分にはピンとこなかった観劇体験であっても、価値ある劇場体験につなげる回路も私たちは作っていかないといけないんだろうとも思います。「何故面白くなかったのか考えてみませんか」と。肯定も否定もしないですが、その話ができれば2500円は決して無駄じゃないですよ、と。そういう文化の利用の仕方ができると、人生をまちがいなく押し広げることができる。

タグ: 「多様性と受容」への批判 直接感想を聞きたい 訳の分からないボールの話 社会の中で演劇の果たすべき役割


ファンタジーの不可解さって

__ 
作家としても幅を広げている野村さん。どんな作品を書きたいのですか?
野村 
何かあるんですかね。この前もテノヒラサイズさんで短編集のうちの一本を書かせて頂いたんです。ドキュメンタリーシリーズという事で、普段自分が思っている事を書いたんですよ。というか、どんな作家さんでも同じだと思うんですけど、自分が思っている事しか書けないものなんですよね。僕は普段、インドア派なんですけど、もうちょっと余所に出ていって、事件に巻き込まれなきゃならんなと。書ける範囲が限られてるな、とは、ね、思っています。
__ 
領域を広げる、という事ですね。
野村 
でも、ファンタジーの書き方にも興味があるんですよ。ファンタジーの中に生身の人間を置くやり方、とか・・・
__ 
ありえないファンタジーの世界や人物に、さらに訳の分からない事をしてもらう事で、自分の影の部分を投影しようとする、とかかもしれませんね。そこには現実の不合理さも流れ込んでいるのかもしれない。それで解消するような部分はあるかもしれない。だから、ファンタジーの住人には全然理解出来ない行動をとってもらいたいですね。
野村 
ああ、なるほど。
__ 
魔王とかにはもっと不可解であってほしいかな。
野村 
面白い事を聞きました。なるほど!書いてると気持ち悪くなるんですよね・・・矛盾を矛盾と思わなくなっていくのが大人やと思うんですけど、矛盾過ぎると気持ち悪くなって、途中で筋を通したくなってしまうんですよね。これで芝居をやっていけるんだろうか。
__ 
いやあ、これからどんどん、表現は色々な面から切り詰められていっていくような気がするので。遊びと余裕のある表現を大切にしてもらいたいです。ワガママかもしれないですけど。

タグ: ドキュメンタリー 訳の分からないボールの話 ファンタジー 事件性のある俳優 わたしとわたしの矛盾


投げ返してほしい

__ 
観客にどう思ってもらいたいですか?
矢野 
面白かったとか感動したとかじゃなくて・・・なんというか、例えば終わってから話をしに来てほしいです。ボールは投げているので、投げ返してほしい、という感じですかね。僕をつかまえるか、それが自分の直接には知らない俳優であってもぜひ、話しかけてみてほしいです。

タグ: 直接感想を聞きたい 訳の分からないボールの話 どう思ってもらいたいか?


わかりにくい演劇?

__ 
ただ、どうしてもお客さんにわかりにくい演技や演奏をする場合もあると思いますが・・・。
平林 
ええ、ありますね。
__ 
そういう時、舞台上でどう思われているんですか?
平林 
もちろん、分かりにくいよりは理解してもらった方がいいので、フォローが必要だとは思います。投げっぱなしになってしまうのはきっと良くないので。
__ 
sundayはきっちり回収する部分と投げっぱなしの部分が趣味良く並べられていていいですよね。平林さんがこれまでに一番投げっぱなしにしたのは?
平林 
きたまりさんの作品「ぼく」ですね。上演中、ミラーボールにゴンッてぶつかったんですよ(笑う)。
__ 
あっ、その回私見てました。心配でした。
平林 
あれはびっくりしましたね。こんな事があるんやと。病院で見てもらったら無傷でしたけど。

タグ: 訳の分からないボールの話 きたまり


京都ロマンポップ さかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」

__ 
さて、京都ロマンポップ「ニホンノカビ」お疲れさまでした。大変面白かったです。
玉一 
ありがとうございます。
__ 
まずは、とにかく俳優が魅力的でしたね。玉一さんはもちろん、肥後橋さん、高田会計さんと、一言で言うなら大変奇妙な熱演だったと思うんです。目に焼き付いています。
玉一 
いえいえ。今回は本当に、各自が生きる役割を与えられたなあと思います。演出からの要求はすごく難しくて、それでも、みんなが応えていけたんじゃないかなと。
__ 
魅力的でしたね。高田会計さんが良かったですね。オルテガが何度もキャラ変するのが凄かったですね。最初はクズだったのが、結婚すると別人のように落ち着いたりとか。それが戦場に戻るとやっぱり凄絶な戦士になって。
玉一 
そうですね。今回の作品を通して、改めて、いいメンバー達とやってるなあと思ったんですよね。これまではなかなかうまくコミュニケーションを取れなかったりしたんですが、福岡のコメディフェスティバルから京都での公演とずっとやってきて、ここにきて漸くお互いの特性が分かったような気がするんです。
__ 
なるほど、作品全体のまとまりの良さの正体はそれなのですね。俳優がとても良いと先ほど申し上げたんですけど、それはつまり舞台の時間においての生き方で、ここからここまで行ったら良くないとか、そういうタイミングと加減がいちいちセンスが良いんですよね。安心して見ていられる前衛劇というか。肥後橋さんはそれが超良くて、ぞわぞわかき立てられながら見ていました。その根底に、役者同士の雰囲気の良さがあったのかな。ちょっと納得しました。
玉一 
そうですね、そこを見せるためには。
京都ロマンポップさかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」
公演時期:2013/9/21~23(福岡)、2013/11/22(京都)。会場:H732シアター(福岡)、UrBANGUILD(京都)。
国際コメディ演劇フェスティバル
公演時期:2013/9/14~10/6。会場:H732シアター。

タグ: 訳の分からないボールの話 分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間 生きている実感 ツアー演劇の可能性 ターニング・ポイント 正体不明のエネルギー 前衛は手法から作る人々を指す


好き放題

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。筒井さんは最近、いかがでしょうか?
筒井 
おかげさまで、忙しくさせてもらっています。まあ順風万帆でもないという感じかな。
__ 
私は逆境に立たされているというのが結構好きなんですけど、筒井さんはいかがですか。
筒井 
そうですね、そもそも演劇を選んでいる時点で、この現代社会においては逆境なんですけれども、もっと具体的には、なかなか自分がやりたいことを認めてもらえなかったり、賞をもらってから数年経って、昔ほどやりたい放題ではなくなっていたりして。それは僕のせいでもあるんですけど。
__ 
好き放題出来なくなっている?
筒井 
昔はお金の事なんか全く気にしないで作品を作っていたんです。すごい借金して公演を打ってたりしてました。それだけじゃ難しくなると思って方向転換をしていきました。やりきった感と共に辞めるのならともかく、お金の融通が効かなくなって、どうしようもなくなって辞めるのは避けたいです。
__ 
なるほど。
筒井 
ただ、やれる範囲でものを作るという事が習慣化されていくという弊害にも直面していて。発想力が上演空間に収まっていて、それを破るようなキテレツなアイデアが生まれにくくあるんじゃないかというのが、自分が生んでいる逆境といえるのかも。悩んでいるという訳じゃないんだけど。いまは活動の継続性を確保しつつ、発想力が劇場に収まらないようにするやり方を模索しています。
dracom
1992年、dracomの前身となる劇団ドラマティック・カンパニーが、大阪芸術大学の学生を中心に旗揚げ。基本的には年に1回の本公演(=「祭典」)と、同集団内の別ユニットによる小公演を不定期に行う。年に一回行われる本公演では、テキスト・演技・照明・音響・美術など、舞台芸術が持っているさまざまな要素をバランスよく融合させて、濃密な空間を表出する。多くの観客に「実験的」と言われているが、我々としては我々が生きている世界の中にすでに存在し、浮遊する可能性を見落とさずに拾い上げるという作業を続けているだけである。世界中のあらゆる民族がお祭りの中で行う伝統的なパフォーマンスは、日常の衣食住の営みへの感謝や治療としてのお清め、さらには彼らの死生観を表現していることが多い。我々の表現は後に伝統として残すことは考えていないが、現在の我々がおかれている世界観をあらゆる角度からとらえ、それをユーモラスに表現しているという意味で、これを「祭典」と銘打っている。(公式サイトより)

タグ: どんな手段でもいいから続ける 劇団の方向転換 訳の分からないボールの話 難しくて、厳しい 人生の節目 ロックな生き方 筒井潤 実験と作品の価値


くらえ~元気玉!!

__ 
榊さんはご自身では自分をどのような俳優だと思っておられますか?
榊  
根がホントに明るいので、ネアカな。BLOGの副題に「くらえ!元気玉」って付けてるんです。
__ 
おお。
榊  
元気玉ってみんなから元気を貰ってるし、その上他人にぶつけるわで。
__ 
考えてみればネガティブな技ですよね。名前とは裏腹に。しかし術者である悟空も相当に疲労するようですね。あのエネルギー弾、渡されたクリリンが「な・・・なんだこれ・・・」と異様な驚き方をする訳ですが、仮説として、
 1.他者のエネルギーを徴収する。
 2.エネルギーの総量に関わらず、球形はもちろん、他人に譲渡出来るなど、扱いやすい状態にまとめる。
かめはめ派のようなエネルギー放出型とはもちろん違うし、他人に渡したりバレーボールのように扱っても攻撃力はそのまま。
榊  
そうですよね。減衰しないエネルギー伝導ですよね。
__ 
だから元気玉は、悟空がそれまで学んだ事のないような特殊なエネルギー操作術であると言えます。その後瞬間移動やフュージョンや念話という、人間には到底不可能な技を体得していく訳ですが、意外とこの元気玉の修得がそれらの技術を覚える根幹になったんじゃないかと思うんですよね。榊さんにとっての元気玉は何ですか?
榊  
私は本当にプラス志向なんですよ。私の前向きな気持ちが元気玉だと思います。暗い事はあまり考えないからかな。
__ 
暗いことを考えないようにしている?
榊  
そういう訳じゃないですけど、考える事もあるんですけど、最終的な結論は前向きですね。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 お客さんに元気になってもらいたい 訳の分からないボールの話


vol.283 榊 菜津美

フリー・その他。

2013/春
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榊

受けた事のないボール

__ 
今後、橋本さんが実現したい企画は何ですか? 投げたいボールというか。
橋本 
まあ一つは、京都で国際的な演劇祭がしたいなと。
__ 
国際的な演劇祭。
橋本 
舞台を通して、今この世の中でこんな色々な人達がいるんだなあという実感出来るような。訳の分からないものがうわぁってあるような。そういうのがやってみたいね。
__ 
それは面白いですね。訳の分からないものが沢山ある。
橋本 
その横で、身近な作品も並べられていて、我々が慣れ親しんできたものに対しての新しい見方が生まれるかもしれない。と同時に、京都にいながら、自分の行ったこともない国の出会ったこともない人の生活や考えを知るきっかけが出来れば楽しいだろうなと。
__ 
国際ですか。いいですね。奇人変人が沢山観れるんですね。
橋本 
それは是非、実現させたいですね。
__ 
きっと実現します。
橋本 
ありがとう。
__ 
何故、そのような企画を考えられたのでしょうか。
橋本 
さっき、「企画するにあたって何を重要と考えているか」という質問の延長にあると思うんだけどね。
__ 
はい。
橋本 
表現する人が一体どこにどうやってボールを投げるのか、を考える為には、世の中の事をもっと知る必要があるし、それを受け取る側に立って考えれば、まだ受けた事のないボールを受けたいという欲求もある。そう考えると、国際という広がりになっていくんじゃないかと。
__ 
受けた事の無い、多種多様なボールですか。
橋本 
最初は受け止められないかもしれないし、魔球だったりするかもしれない。それも良しだと思うんだけどね。でも、難しいボールの方が受けた時の喜びは大きいんじゃないかな。

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vol.86 橋本 裕介

橋本制作事務所。

2006年以前
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橋本