倫理VS本能

__ 
圧倒的虚業。非日常を社会にぶち込む所業、という言葉がチラシにありました。本来、劇場は舞台と客席の二つの集団で構成されています。舞台側が(稽古によって共有された)歴史をもって、可能性を客席側に投げかける構造がある。その時客席側は未読の領域をワクワクしながら切り拓いて進んでいる訳ですが、・・・そのオープニング、そんなに驚きというなら、いきなり奇想天外で、でも説得力のある風景が出てきそうですね。
畑中 
おお、そうなのかな。でも、テーマとして掲げられている「倫理VS本能」。イタズラ心ってありますよね。この静かな喫茶店でいきなり大声で歌い出したらどうなるのかな、とか。何か、目の前の人の頭をぶっ叩いたらどうなるかなとか、学校や会社に向かうのとは反対の電車に乗ってしまったら、とか。それが本能だと思うんですけど、そこを倫理で押さえて社会になじんでいる。でも、彼らは本能に従っている集団なんですね。虚業をぶちこもうと、本能に従って面白い事をしたい、それだけしかない、という感じなんです。まずは、どんな人達が出てくるか楽しみにしていただけたら。

タグ: 演技それ自体への懐疑 非日常の演出 キチガイ ロックな生き方 社会、その大きなからくり 悪いけど、芝居させてください


コアラからつかむシェイクスピア

__ 
最近、学んだ中での気づきを教えてください。
西岡 
ちょっと大きな話になってしまうかもしれないんですけど、欲望を持ち続ける事かもしれません。結構、欲を表に出しても、すぐ諦めちゃったり、抑制するタイプだと自分では思っています。講師の方のエクササイズの一つで、アニマルエクササイズというものをやったんです。ある動物の事を研究して、完全に動物になっちゃう。私の場合はコアラでした。コアラを研究して擬態する。そこを起点にして、段々とシェイクスピアの登場人物の一人にスライドしていくんですよ。シェイクスピアに出てくる人物は欲求が強いんですよね。
__ 
ええ。
西岡 
その人物の欲求に、自分自身の欲求から近づいていっても分からなかった点が、本能的な動物の形態を借りてそこからスライドさせて行くことによって、「今何がしたい」とか「アイツを叩きのめしてやりたい」とか、ビビッドな欲求になって出てきたんですよ。それが必要なんだなと思いました。日常を切り取った演劇だって、中には非日常なものが紛れ込んでいると思うんですよ。それを全部、日常の自分でやってしまうのはもったいないな、と。自分にはないタフさが必要なんですけど、日常から欲求を閉じこめていると、演じる時に息切れしてしまうんですよ。だから、そういう時の為のトレーニングとして、自分の欲求を素直に出そうと思います。
__ 
アニマルエクササイズか。
西岡 
他の人のアニマルも、どこかその人の個性が出ているんですよ。私自身も、コアラの事を他人とは思えなくなりました。

タグ: 動物と俳優 役をつかむ 一瞬を切り取る 非日常の演出 続ける事が大事 シェイクスピア


誰何

北尾 
今回の作品は、舞台上に立つことにまっすぐになりすぎてしまうと、見せる者としてちょっとダサいかなあと思う部分があって。ダンサーとしては誠実に身体を投げ出すというのが大前提なんですけど、何かの役として真剣になりきっているのではなくて。だからあまりガチガチに役柄を固めず、家族内での役割が変わっていくような演出にしました。
__ 
例えば「お母さん」「お兄さん」という強い、具体的な代名詞をダンサーに投げかけた時に、不自由さと同時にイメージの広がりと同時に不自由さも得られる訳ですけど、その辺りは上演を通していかがでしたか?
北尾 
東京公演を経て京都公演では、キャラクタライズ・集団性(有象無象)というものを強めた感じで改訂しました。踊る時には、その必然性を言い訳だと思っているんです。踊るというのはすごく非日常的な行為だと思っています。路上で、ダンスが始まる事はないと思っています。そことの距離を何か考えたいと思って、言葉を扱ったりしているんですね。お客さんとの壁を取り払う、一つのてがかりとして。すごく難しいんですけど。そこで、家族という身近なテーマをストレートに扱いました。作用としてはうまくいったんじゃないかなと思っています。仰って頂いたように、家族の事を想起していってもらったらと。

タグ: 演技の型の重要性 役をつかむ 演技それ自体への懐疑 非日常の演出 第四の壁


劇団 壱劇屋 第21回公演「6人の悩める観客」

__ 
そして、壱劇屋「6人の悩める観客」ですね。
丹下 
はい。
__ 
これ、丹下さん。
丹下 
はい。ぶっさいくな顔をしております。肌色のチラシなんですけど。
__ 
いえいえ。横の丸山さんが気になりますね。
丹下 
そうですね、凄い顔してますね。一応、悩んでいる顔を指定されたんですが、どう見ても私だけ怒ってるんですよね。
__ 
うーん?怒ってますね。
丹下 
そうなんじゃないかと言ってみたんですが、もうチラシ刷っちゃったので・・・。この作品、初演がものすごく面白かったんです。壱劇屋は作風が毎回違って、非日常を描く作品もあればファンタジーの時もある。私はどちらかというと奇妙な非日常を扱った壱劇屋が好きで、「6人の悩める観客」はそれだったんですよ。西分ちゃんとかに「再演するなら私出たい」とずっと言ってたんです。そしたら今回呼んでもらえて。
__ 
おめでとうございます。
丹下 
ありがとうございます。
__ 
壱劇屋。私もこれまで3回拝見したんですが、面白いですよね。チャンバラ時代劇の「タケミツナリタ」が本当にバカバカしくて、ずっと楽しんでみていられました。センスがいいんですよ、なんか。飽きずに見れましたね。
丹下 
私も何回か拝見はしましたが、これが一番好きな作品です。今回どうなるかは分かりませんが、頑張ります。
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
劇団 壱劇屋 第21回公演
公演時期:2013/10/11~14(大阪)、2013/10/25~27(京都)。会場:芸術創造館(大阪)、京都市東山青少年活動センター(京都)。

タグ: 非日常の演出 京都と大阪・大阪と京都 下らなさへの礼賛 再演の持つ可能性について 奇妙さへの礼賛 実験と作品の価値


vol.317 丹下 真寿美

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2013/春
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丹下

眼帯のQ

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。佐々木さんは最近、どんな感じでしょうか?
佐々木 
きのう、髪を切りました。このところはレポートと試験の準備に追われています。普通に大学生生活を送っています。
___ 
どんなレポートですか?
佐々木 
一番最近書いたのは、表現活動についてをテーマにするもので、この間出演した舞台「眼帯のQ」について書きました。
___ 
それはいいですね。「眼帯のQ」。残念ながら拝見出来なかったのですが、どんな作品でしたか?
佐々木 
レトルト内閣の三名刺繍さんが脚本で、銀幕レプリカントの佐藤香聲さんが演出されたんです。エロスについての作品で、凄く勉強になりましたね。
___ 
というと。
佐々木 
エロスを身体表現と演劇の融合で視覚化するという試みだったそうで、でも「二十歳そこそこの女の子にはエロスは分からないかなぁ」と。
___ 
なるほど。
佐々木 
でも、勉強になりました。
___ 
大学生活以外では?
佐々木 
プライベートとしては何をするのでもなく家に引きこもっています。今日は久しぶりに家を出ました。
眼帯のQ
公演時期:2013/7/26~28。会場:藝術中心・カナリヤ条約。

タグ: エロスについて 自分を変えた、あの舞台 非日常の演出 最近どう? 二十歳のわたし あの公演の衣裳はこだわった


vol.315 佐々木 ヤス子

フリー・その他。

2013/春
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佐々木

村川拓也「羅生門」を終えて

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします!最近、舞台でよく見る大石さんにお話を伺います。大石さんは、最近はどんな感じでしょうか?
大石 
よろしくお願いします。最近は、『羅生門』が終わって、バイトをしたり、映画を観たりと、のんびりとした時間を過ごしています。
__ 
村川拓也さんの『羅生門』ですね。振り返ってみると、大石さんの良さが非常によく出た作品だったと、私は思っています。ご自身にとっては、どんな経験になりましたか?
大石 
自信を持つことが出来た公演でした。自分のことを役者と名乗ることに対しての抵抗が、少しだけ減りました。
__ 
なるほど。公演の内容的に、結構特殊な役どころでしたね。大石さんが言葉の通じないドイツ人の女性に、身振り手振りで羅生門を説明するという作品でしたね。でもそれが、どこか重なるかのような。伝わったというか、重なったんじゃないかなと。どのような稽古場だったのでしょうか?
大石 
他の稽古場のとき以上に、演出家(村川拓也さん)と対話をする時間が多い稽古場でした。自分の考えを言葉にして伝えなればならない状況が、他の稽古場よりも多かったように思います。
__ 
言葉にするというのは、セリフの言い方を整理する為に、考え方を精査するという作業でしょうか?
大石 
うーん、というよりも、舞台でする行為を僕自身が自覚して行えているかに、向き合う作業だったように思います。うん、何だか的は外していないのですが、伝えたいことと微妙に違うような気もします。一言では表せない作業でした。
AAFリージョナル・シアター2013~京都と愛知 vol.3~ 参加作品 村川拓也「羅生門」
公演時期:2013/6/13~16(愛知)、2013/6/21~23(京都)。会場:愛知県芸術劇場小ホール、京都芸術センター。

タグ: 役者の認識(クオリア) 稽古とコミュニケーション能力 客席と舞台の共犯関係 今の作品に集中する 非日常の演出 ユニークな作品あります 最近どう? 創造環境としての京都 実験と作品の価値


vol.312 大石 英史

フリー・その他。

2013/春
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大石

非日常

__ 
関さんが舞台に立つ上で、ご自分にしか出来ない事はなんだと思われますか?
関  
オリジナリティという事ですよね。まず身体が自分の個性かなあと思っています。そんなに器用という訳では全くなく、他の人の振り覚えも遅いので、素材として使うのは結構厄介な存在なんじゃないかなと。自分で作る振付はそうでもないんですけど。
__ 
振付家としては。
関  
最近の傾向のひとつとして、テクニックから離れていきつつあって、例えばダンスらしくないダンスが新しいとされていたり。
__ 
それは、ウミ下着がそうですね。
関  
それも素敵だと思うんです。でも、私自身がお客さんとして見る時は、身体なり、動きだったり、テクニックや特別な肉体を見たいんですよね。私も、そういうものを提供出来たらなと思っています。
__ 
そういうもの?
関  
非日常という事ですね、きっと。特別なものを見たいし、見せたいですね。それを表現するために、例えばバレエは客席と舞台が全く分離した、違う世界として扱うんですね。それにも惹かれるんですけど、受動的に鑑賞しているだけではなくて、本能的に、身体的に共感するような交流が舞台と客席の間で出来ればなと志向してきました。例えばサーカスは、映像で見るのとテントで見るのとはまるで違いますよね。映像は視聴覚的な情報だけで、身体に訴えかけるような感覚は伝わらないんです。
__ 
共有感覚ですね。相手の感覚がこちらで想像出来る。
関  
そうですね。追体験みたいな。それはもしかしたら痛さであるかもしれないし、笑いかもしれない。
__ 
そうした、特別なものを共有したいという思いはどこが出発点なのでしょうか。
関  
元々はバレエをやっていたんですが、高校入りたての時に続けていいのかどうか迷っていたんですね。もちろんダンスを仕事にしたいんですけど、バレリーナにはとてもなれないのではないか。それにはちょっと故障があったりとか、そもそも素質的に、バレリーナは無理だわと。
__ 
そうでしたか。
関  
それ以前に、バレエの演技に疑問を感じてしまったんですね。バレリーナは役柄になりきって踊るんですけど、もっと、自分として踊りたいと思っていたんです。自分として、お客さんに向き合いたいと。一年半ほど踊ることを休んでいました。ダンスを嫌いになった訳じゃないんですが。
__ 
休んでいたのですね。
関  
その間は舞台を見に行っていました。コンテンポラリーダンスとか演劇とか、色んな表現を見て、そうした思いはさらに強くなりました。もちろんバレエも特別な事は起きますけど、スタイルとして・様式として追求するものが予想を裏切らないように思ったんです。そこを裏切っていくものを見たいし、やりたいなと。
__ 
それはきっと、革命とか変革とかとはちょっと違うんですよね。関さんのような、クラシックとは違う方向を目指す人がいる事に、むしろ全体の意思を感じます。

タグ: 器用さ・不器用さ 非日常の演出 バレエやってた SeizeTheDay


vol.246 関 典子

フリー・その他。

2012/春
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関

マレビトの会とロメオ・カステルッチ

山口 
最近見た、メディアミックス作品というと。
西尾 
松田正隆さんですね。
__ 
マレビトの会ですね。あれこそまさに映像メディアと演劇の融合で。
西尾 
客席一つ一つにモニタがついていて、それが舞台の様子を監視カメラっぽく移したり、それと同じシーンなのに微妙に違う映像を流したり。
山口 
ええっ。オペどうしてるんですか。
西尾 
YCAMでの滞在制作だったらしいから、そこの専門家がやってたんじゃないですかね。
山口 
すごいですね。
__ 
芝居自体は、乾いたシリアスタッチの情景でしたね。あの空気感は確かに松田正隆作品でしたね。
西尾 
私も解読するのに3日くらい掛かりました。一緒に行った人と散々喋って。見には行ったんですけど、どういう頭で見ればいいのか全然分からない。
__ 
東京にもいっぱいあるのかな、こういうのは。
西尾 
FESTIVAL/TOKYOという催しで一番評判の良かったロメオ・カステルッチの作品が良かったです。
山口 
どういう表現だったんですか?
西尾 
後半まで、ずっと一般のブルジョア家庭を淡々とした演技で見せるんです。最後のシーンで父親が息子に性的な暴力を与える。
山口 
淡々と。
西尾 
そう、セリフが聞き取れないくらい小さい声で。で、更にその後、いきなり舞台上がスペクタクルに移るんですよ。もの凄い大きさの花が背景を流れていくんですけど、丸く切り取られた枠の向こうを映像にしか見えない実物のセットが通り過ぎていくという。
山口 
ええ、まじっすか。
西尾 
どう見ても映像なんですよ。リアルだけど映像に見えて、でも実物っていう。ちょっと観客どよめいてたんです。ピントのボケ方が絶妙で、これは凄かったです。
松田正隆
マレビトの会を主宰する劇作家。
マレビトの会「PARK CITY」
公演時期:2009/8/28-29(山口県)、2009/10/24-25(滋賀県)。会場:山口情報芸術センター、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第一回公演『島式振動器官』を上演する。 2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海を巡演するなど、その活動は海外にも広がる。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。
山口情報芸術センター(YCAM)
山口県山口市。メディア利用に特化したラボを有する複合文化施設。展示スペース・劇場も併設。多数のメディアアート作品や舞台芸術が研究・制作されている。

タグ: 非日常の演出 暴力


ヨーロッパ企画第29回公演「サーフィンUSB」

__ 
あ、ヨーロッパ企画といえば次回公演が再来月に。タイトルがいいですね。「サーフィンUSB」
永野 
サーフィンものってどう舞台で表現するのか。現在、研究開発中です。
__ 
一昨年の年末のBRAVA!でやってたカウントダウンのコントで、サーフィンものがありましたね。
永野 
もともと作・演出の上田の中で、「波」というテーマを扱いたいとという思いはあったみたいで、その延長線上にBRAVA!でのコントもあったんでしょうね。本公演はもっと、非日常寄りになると思いますが。
__ 
実は今日、悪い芝居のアフタートークで上田さんが出てきて。舞台上に扱いづらい要素を載せるという事について話されてたんですよね。振り返ってみると、ヨーロッパ企画の公演では、完全にコントロールの利かないものがよく出ますよね。
永野 
地形演劇ってよう言ってますけど(笑う)。その上で、役者の体がライブで動いている面白さがあるんでしょうね。
ヨーロッパ企画第29回公演「サーフィンUSB」
作・演出・上田誠。公演データは>>公式サイトへ

タグ: 非日常の演出


「ザ・悲劇」

__ 
この芝居、岡田ケンの半生を八月の会メンバーが演じる劇中劇がありました。そのタイトル案が「漂泊の家」か、「ザ・悲劇」。この「ザ・悲劇」を出すというのが面白かったですね。ふざけたタイトルじゃないですか。
柳沼 
そうですね。
__ 
でも、それは会のメンバーが岡田ケンの物語への客観性を失っていないことの証拠で。完全に岡田ケンの世界に没入している訳ではないというストーリー上の宣言だったと思うんです。
柳沼 
岡田ケンを神格化しないというのはちょこちょこ混ぜてましたね。みすぼらしいって表現したり。ケンの不幸に対しても、みんな感情移入するだけじゃなくて冷静に受け止めているんです。
__ 
岡田ケンは神ではなくあくまで、一人の人間である。
柳沼 
岡田ケンの遭った不幸って、誰にでも起こりうると思うんですよね。でもそれを不幸だ不幸だと評価するのではなく、まずみんなで認識しようと。今回一番大きなキーワードは相互認識だったと思うんですよ。お芝居の中で、良子役の阪本麻紀が「ケン君は私の話を聞いてくれた。だから私も聞かなくちゃって思った」と言うんですが、まず相手を受け止めようと言う姿勢ですね。理解出来ないと決めつけるんじゃなく、まず話を聞こうと。これは劇中だけではなく、稽古場でも行われていたことで。非日常的な、利害を越えた所での相互理解って、貴重な事なんじゃないかと。
__ 
人間同士の相互理解は、まず相手を受け止める事から始まる。
柳沼 
これから演劇活動を行うに当たっても、まずは相手を評価したり総括するのではなく、認識をしなければならない。その認識のあり方を知ってもらうために、舞台を作るというのが僕の使命じゃないかと思っています。
阪本麻紀氏
烏丸ストロークロックメンバー。俳優、音楽、制作を担当。

タグ: 非日常の演出 おふざけ タイトルの秘密


「そういえば、私にも」を

__ 
今回の「引っ越しのススメ」。大きく言うと登場人物がみんな素直になっていくという流れだったと思うんですけど、やっぱりいいなあと思ったんですよね。ハートフルというか。そこで伺いたいのですが、岡部さんは空晴の作品を通して、どんな事を表現されたいのでしょうか。
岡部 
非日常やスペクタクルなものを見せているつもりはないんです。どこかの部分で、「そういえば、私にもそんな人がいた」と共感してもらえる。そういうことを大事にしています。
__ 
共感というと。
岡部 
ウチの芝居では、よく舞台上には出てきていない人の話をする事が多いんですよ。今回で言うと、西さんという女性の。
__ 
ええ、マドンナ役ですよね。
岡部 
他の作品だと、買い物に行ったまま帰ってこない両親とか。そういう、今はいない人達を語ると、舞台上に出てくるよりも想像が広がるんですよ。それで、観ている人にも誰かの事を思い出して貰えたらいいですね。
__ 
あ、それ私もなりました。家族の事を思い出しました。
岡部 
観て頂いた方それぞれにとっての、ある人の顔を思い出すという。それがいいんじゃないかなと思います。「実家の母に電話したくなりました」とか、アンケートに書かれていると嬉しいです。

タグ: 非日常の演出 引っ越し その題材を通して描きたい


緊張感

__
村井さんがお芝居を始めたのは何故なのでしょうか。
村井
小学生の頃から、声優になりたいというのがあって。というのも、音読が好きだったんですね。
__
ああ、分かります。
村井
本読みが上手だと言われたから好きになったんだと思います。んで中学校入って、演劇部がなかったので作って、高校で演劇部に入って、大学の演劇部が合わなかったので自分で作って。
__
円劇飴色ですね。
村井
で、その延長線上で何色何番に。今は、もうダメだと思うまで演劇を続けて、限界になったら就職しようと。それで今まで、うっかり続けています。
__
うっかり。
村井
うっかり。
__
それでは、村井さんの趣味について伺いたいと思います。
村井
趣味。こういうお芝居が好きとか。
__
いえ、お芝居作りにおいての村井さんのスタンスですね。作るにあたって大事にしたい事ですとか。たかつさんからはとてもストイックなやり方をされると伺っていますけれども。
村井
あ、ホントですか。ストイックって響きがかっこいいですよね。
__
そうですね。
村井
・・・緊張感。
__
それは、演技をする上での。
村井
演技をする上で、ですかね。ダラダラするんだったらしない方がいいと思っているので。今は稽古期間が休み中で、本番まで時間が無いんですが、そういう意味ではもの凄い緊張感がありますね。
__
緊張感というのは、稽古時間中の話ですか?
村井
芝居をするなら、いつでも「殺される」と思っていないとなあ。という。わかんないですね。
__
いえ、ええと。緊張感そのものが重要という事なのかなあと思うんですが。芝居の内容ももちろん重要なのですが、それとは別で、舞台上で集中している人、というのが大事なんですかね。
村井
あ、そうですね。緊張感が好きです。
__
いいですね。それは。
村井
いえ、私から出てるかは知らないですよ(笑う)。
__
いえいえ。集中している人の姿というのは、演劇でしか見られないですもんね。
村井
ショッキングな場面というのは、現場に行けば見れるものかもしれませんが、それは見世物と言っていいものかどうか。事件現場であったり、抗議活動のさ中であったり、劇的だし、非日常的だし、凄いあてられるものがあるのですが、それは見世物とは違う。
__
マスコミの取り巻く中で殺されたりね。
村井
そういうのは見世物とは違うけれど、人はそういうものをうっかり見てしまいたくなるものだと思うんですね。人倫的な事はともかく。舞台上で役が傷つくのは、それに応えられるものになるなあ、と思っていて。まあ、重たい人には重たいと思うんですが。
__
劇場に行けば、失敗したら終わりの本番が見れますね。まあ、現場ですよね。
村井
ある記事に取り上げてもらった事があって、そこで言った事なのですが・・・。演技をしているというのは、舞台上でちゃんと生きて死にたいという。
__
生きて死ぬ?
村井
あたりまえの事なんですが、役者はその人の人生の断片を表現するんですね。役は本番という時間でしか息が出来ない。だから自分の持てる限りのものをめいっぱい費やして、ちゃんと死なせたい。一日に本番が3回あったとしても、二度とやれないじゃないですか。
__
では、村井さんにとっていい役者というのは、舞台でちゃんと生きて死ぬ事が出来る人なんですね。
村井
そうですね。私は、本番に入った途端生き生きする人が好きです。お客さん、小屋、本番の時間が好きな人ですね。そういう役者を見ると、脅かされます。やべっと思います。いい緊張感、刺激になります。

タグ: 声優になりたかった 非日常の演出 何色何番 見世物


これから

__
その、俳優としてのこれまでとこれからについてお話を伺いたいと思います。
鈴木
これまでとこれから。うーん。今までですよね。結構、ある時点で役者としての気持ちの持ちようが変わりまして。何ていったらいいのか。大学を出て、京都に出てきて。やっと、就職せんとこれでやっていこうと決めた時は、今よりは凄く浅はかな気分で決めてた。演劇できればいいや、というぐらいのノリでやってて。で、それで劇団だった頃の山口さんのトリコ・Aに入らせてもらって。で、トリコ・Aが解散したんですよ。
__
2002年くらいでしたね。
鈴木
そうですね。で、劇団員だった人たちと山口さんで話したことが、『役者としての不安感をいいように使おう』と。こんな事言ってたのかな、僕としてはそう受け止めたんだけど。劇団という形であって、いい事も沢山あるんだけども、『次もこの劇団での仕事があるから、何もしなくても芝居に出れるわ』という状態が凄く役者をダメにする。作・演出の人は、まあ自分で書いて演出して、でチラシとかで一番最初に名前が出るから名前も覚えられ易いけど。役者の場合は、『あそこの劇団の人でしょ』という状態でいると何も努力しなくなる。作・演出の人は賞とか取ってどんどん知られていくけど。そうすると、あそこの劇団の人だから大丈夫に思われる・・・という状態は、それでいいのか、という話。
__
はい。
鈴木
解散した理由はそれだけじゃないですけど。まあ、一番大きいのはそこで。役者自身が何も努力しなくなるというか。芝居をする上で何をしなくちゃならないのかを全く考えなくなってしまうのではないか、という。そこからですね、気の持ちようが変わっていったのは。もうフリーだから、自分からアクションを起こさなければどこかに呼んで芝居をやらせてもらったり出来ないし。自分に何か無ければなおさら呼んでもらえない。今までは運良く、山口さんとか、マレビトの会とか、前田さんとかのに出させてもらってますけど。これから、他に色んなところに出させてもらうのには、もっと努力しなくちゃならないと思いますね。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。(公式サイトより)

タグ: 非日常の演出


パライゾノート

__
今日は宜しくお願いします。
筒井
今日は何を話す感じなん?
__
いや、別に・・・。
筒井
あ、別に。はっはっは。何やん、それ。テーマとかなしにみんなやってるの。
__
いや、これまでは雑談というか。何の関係もない話をしてましたね。
筒井
ああ、そうなんや。へえ~。何かテーマがあんのかと思った。
__
まあ、今回はお芝居に関する話なんかも聞いていければ、と思います。
筒井
なるほどね。笑っていいとものテレホンショッキングぐらいやと思ったらいいんやね。
__
そうですね。多分。
筒井
あれってテーマないよね。
__
常々ないですね。
筒井
ないですね。・・・。
__
最近はどうですか。
筒井
いや、芝居、芝居の毎日で。幸せですね。一緒にやりたいと思える人とやれて嬉しい。凄く、今はいい時期だと思う。
__
今日は、何の稽古でした?
筒井
今日はマレビトの会と二人芝居の稽古してて。二人芝居、初めてなんですけど。面白くなるかどうかはこれから次第なんやけど、楽しみ。
__
確か、劇研で5月でしたっけ?
筒井
5月。砂連尾+寺田さんのダンスで2月にやったやつを戯曲で。
__
松田さん演出というか、稽古場での采配はどうですか。
筒井
いや、もう、私にとっては最高で。楽しい稽古場です。松田さんは意外とこう、物真似上手で。この前は舞台監督の清水さんを真似してて。めっちゃ楽しいですよ。
マレビトの会
2003年旗揚げ。作・演出は代表の松田正隆氏。暗号のようなセリフが観客を非日常の巨大な世界に連れ去る。
パライゾノート
公演時期:2006年5月。アトリエ劇研
ごまのはえ
ニットキャップシアター代表・作・演出。俳優としても活躍。
砂連尾理+寺田みさこ
京都を中心に活躍するコンテンポラリーダンスデュオ。1991年より共同で活動を開始。公演活動だけでなく、ワークショップ・教育などアウトリーチ活動も活発に行う。
清水さん
舞台監督、清水忠文さん。

タグ: 非日常の演出 アウトリーチ