人脈だけは引き継げない、けれども

__ 
後進に何を引き継ぎたいですか?
油田 
人脈の事かな。悩みなんですよ。人脈って人と人が出会う事でしか生まれないと思うんですよ。引き継げない。特に我々みたいな民間の補助金もなかなかないような劇場の者は、お互いの人的なやり取りをするしかないし、そうやって生まれた財産だからこそ引き継げないと思うんですよね。
__ 
そうですね。
油田 
3、4年ぐらいは何とかなるかもしれないですけど、続かないとダメになるのかなと。でも、「この人達は演劇がバカが付くほど好きなんだ」というのはなんとか伝えられると思っています。残せるのはそれだけかもしれない。この分野には舗装された道はないので、自分達で切り開いていって貰うしか無いんですよね。公共劇場さんだって、熱意のある担当さんが異動しただけで勢いがなくなるとかしょっちゅうあるじゃないですか。
__ 
つまり、先輩の背中を見せる事ですね。
油田 
人脈という道は、閉じたらそこで終わってしまうんだからそこはもう諦めて。若手には、会ってこい、一緒に公演を打ってみたらどうだ、みたいに言って。で、ちょっとお膳立てはしておいて。そういう風に築いていくしかないんですよね。そうじゃないとまた僕らの世代が出て行く事になってしまう。
__ 
中心人物が居なくなっても新しいところに人脈を求めていくようであってほしいですね。
鳴海 
新しい関係性の中ではベクトルは絶対に違ってくるはずなので、そこに対して上の人間がちょっかいを掛けてはいけないと思うんですよ。その人脈の中でしか人は呼べない訳だから。それは世の成り行きだぐらいに思ってないといけないし、それが若いやつがやりやすい環境なんじゃないかなと。

タグ: 人脈を繋げる 後輩たちへ


質問 宿南 麻衣さんから 伊藤 えり子さんへ

__ 
次は「人の気も知らないで」で共演された宿南麻衣さんからのご質問です。
伊藤 
あはは。はい。
__ 
「稽古場で、演出家からいきなりネタをやってくれと言われて、それを受けて立ったりいなしたりしていて。そういう態勢をどうやって鍛えたんですか?」
伊藤 
(笑う)20代前半にお芝居を始めた頃に、「絶対に断ってはいけない」という精神を教えられて染み着いているんですよ。インプロなんかでもそうなんですけど、断っちゃいけない、いいえで返しちゃいけない。あと、早く返さないといけないんです。それがずっと頭の中にあって。ちょっとマイペースな永津に「早く早く!」ってなってしまって(笑う)。私「慌て」なんです。性格がホントに逆なんですよ。あとは先輩が本当にどんどん振ってくる方がまわりにいてて、転球劇場の橋田さんとか本当に憧れてて、生き様とかに憧れているんですけど、飲んでフラフラの状態でもエチュードを始めたりとか。そこに絶対に面白くして返さなくてはあかん。いや、多分訳わからなくてもいいんですよ。でも断ったらあかん。と思ってます(笑)
__ 
そして早く返す。
伊藤 
そうですね、なるべく早く返そうとしてしまいます。最近よくそう言われます。
__ 
凄いなあ。それ、トレーニング出来る能力なんでしょうか。
伊藤 
出来るんちゃいます?新喜劇の役者さんが段々と面白くなっていくとか、返しの早さとかも。笑ってるのが好きなので、横山さんにはコメディエンヌやなと言われますね(笑う)。

タグ: はじまりのエチュード 後輩たちへ マイペースの価値


個性がめまぐるしく飛び交う、そんな日

__ 
学生演劇祭を通して、ご自身が一番好きな時間はいつですか?
沢  
それはやっぱり、学生の作品を一番最初に見れる時ですね。なんじゃこりゃ、というものもありますけど、でも、お客さんより大分感動しているとは思います。
__ 
なんじゃこりゃ、という作品もありますよね。
沢  
そうですね、面白いものもつまらないものも個性があって、自分の個性を好きなようにつぎ込める。それが許される。それは京都という土地柄の大きな魅力、懐の深さかなと。雑多な感じですね。小屋入りしてからはそういう個性がめまぐるしく飛び交っていて、面白いです。
__ 
楽しみですね。どんなお客さんに見てもらいたいですか?
沢  
やっぱり、同世代の学生には見てもらいたいです。演劇に近い文化系のサークルの人と、ジャンルを越えた交流が生まれたらいいなと。お互いに刺激しあって化学変化が起きたら。
__ 
反対に、演劇祭に来ないであろう方々に一言。
沢  
演劇というジャンルの、それも学生の作品。演劇というジャンルで声を上げようとしている(社会に対してか、同世代に対してか、それとも自分自身に対してかは分からないですけど)。それが最も凝縮して集まっている企画だと思います。是非、複数団体見て頂けたらと思います。
__ 
当日の現場の空気を感じてもらいたいです。きっと、普通の演劇とは違うし、もしかしたら他のどんな演劇祭よりも濃い熱量があるかもしれない。さらに、学生演劇を始めようと思っている方に一言頂けますか。
沢  
中高校招待枠を去年から用意しています。今年も早速申し込みがあったんです。是非、利用してもらいたいです。
__ 
学生演劇を辞めた方々に一言。
沢  
そうですね。学生時代の思い出って沢山あると思うんですけど、僕の場合は一つ上の先輩がいわゆる黄金世代。今でも忘年会を開いてくれるんです。後に続いている後輩が、今も母校で演劇をやっているんですよね。演劇をですね、是非趣味の一つとして。今住んでいる土地の演劇を見ていただきたいですね。

タグ: 後輩たちへ 京都の学生演劇 土地の力 俳優を通して何かを見る


少なくとも11,175よりも多い絆

__ 
その頃に見た衝撃作を教えて下さい。
髙橋 
青年座の作品ですが、高畑淳子さんが主演された『パートタイマー・秋子』に衝撃を受けましたね。あと、映画だと『CHICAGO』。キャサリン・ゼタ・ジョーンズの演技が凄くて、10回以上見ましたね。東京で見た初めての映画で、女がのし上がっていくストーリーなんですね。自分も東京でやっていく!という思いがあって。それと、ミュージカルへの思いが残っていたんですね。の割に青年座に入ったんですけど(笑)
__ 
青年座ではミュージカルは難しい?
髙橋 
研究所時代、授業で「バルタン星人になってください」というお題が講師の方から出された時に、ちょっと戸惑い・・・(笑)その後、入団して“ああ、私はミュージカルとは本当に関係ない劇団に入ってしまったんだ”って。今はあまり思わないですし、それまでやっていた日舞やダンスは今でも現場で役に立つので、何も無駄じゃないんですけど。
__ 
青年座の稽古で、どんな時間が好きですか?
髙橋 
家族というか、同じ釜の飯を食う、みたいな。同じ青年座という絆は感じます。でも約150人もの役者さんがいるのでまだ会った事のない方もいらっしゃるんですけどね。
__ 
ええ。
髙橋 
先輩が、後輩を何とかしてあげようという気持ちも色んな状況で感じるんですよ。アプローチはそれぞれ違うんですけど、後輩も先輩に相談しに行きやすくて。そういう環境が、すごく素敵ですね。お酒の席でも、大先輩に「あのシーン、どうでした?」って言い合えるんですよ。
__ 
いや、それはそういう事が積極的に出来る髙橋さんが素晴らしいですね。
髙橋 
いえ、それでも行き詰まってしまう自分が情けないという気持ちは強いです。

タグ: ミュージカルの話題 演劇研修所 自分を変えた、あの舞台 日本舞踊 後輩たちへ 衝撃を受けた作品


基本的に僕、笑っていたいんです

__ 
今まで、これはよく作れたな、という笑いはありますか?
黒川 
何かな。オーソドックスなもので良かったのは妖怪シリーズとかかな。
__ 
妖怪に延々とツッコミ続ける奴ですよね。あれは初めて見たベトナムでした。
黒川 
僕はツッコミ体質なので。あと、演劇ドラフト会議とか、もぐらパンチとか、いっぱいあって絞りきれないですね。今回の新作「狂言病」は、かなり手応えを感じています。
__ 
笑いの前衛として、若手に何か一言頂けますか?
黒川 
いやー・・・うーん。若手に?
__ 
いえいえ、すごく偉そうな言い方なんですが、笑いだけを追求している表現者としてモデルケースだと思うんですよ。
黒川 
いえいえ。僕が言えるのは、「面白いものを作ってください」だけですよ。先輩とか若手とか関係なしに。こういう事をしなさいとかは無いですね、笑いを作る人々の円に入って、とにかく面白いものを作ってもらって、笑いたいです。基本的に僕、笑っていたいんですよ。

タグ: とにかく作品を作ろう 後輩たちへ


あれから

__ 
小林さんは劇団衛星を辞めてから、どんな感じで活動してきたんでしょうか?
小林 
三歩進んで二歩下がるみたいに、でもけして止まったり戻ったりはせずに進んできたと思います。辞めて、今振り返ると、自分が先輩に頼りきっていて、自分から積極的には動いていなかったんじゃないかなって。自分が舞台に出たい、先輩に教わりたいだけだったんだと思います。
__ 
今は、そうする事が出来ている?
小林 
辞めて、KAIKA劇団に入って旗揚げ公演をして。色々ぶつかり合いながらやっています。手を掛けた分だけ楽しいですね。芝居以外だったら、去年からキャラクターショーの司会のアルバイトをやっています。
__ 
司会!?
小林 
司会というよりはお姉さん的な。
__ 
凄い事やってたんですね。
小林 
去年の2月に面接に行って、流れ的なものを学んで。去年の夏ぐらいから、一人で出させてもらえるようになったんです。
__ 
いつか見てみたいです。
小林 
はい。是非。
劇団衛星
「小劇場での演劇でしか絶対に表現できない舞台表現」を極めるべく、1995年6月設立。「演劇人=アルバイト生活」の常識を破った、フリンジ業界における非常に珍しい専業演劇人集団である。京都を拠点に、既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く行い、茶道劇「珠光の庵」や裁判劇「大陪審」などの代表作を全国で上演。また、演劇のポテンシャルを利用したワークショップなど「演劇のないところに演劇を送り込む」活動を、幅広く展開中。(公式サイトより)

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本当はもっともっと舞台に立ちたいです

__ 
これからの目標を教えて下さい。
吉川 
自分がかっこいいなって思う人と一緒に舞台に立ちたい。そこに混ぜて欲しいから。あとは、東京に住んでるけど今回みたく関西でもお芝居したいから、こう、身軽な感じで。本当はもっともっと舞台に立ちたいです。
__ 
そうですね。
吉川 
また一緒にやろーねって思ってもらえる人になりたいです。
__ 
俳優としては。
吉川 
あ。えっと、先輩にこの間言われた事、そのまんまいいですか。自分が面白いと思う感覚を大事にする。それ磨きたいです。先輩、乱用すみません。

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vol.247 吉川 莉早

フリー・その他。

2012/春
この人のインタビューページへ
吉川

粘土

___ 
長谷川さんは、いつ演劇をやっていこうと思われたのでしょうか。
長谷川 
大学に入った時、文化祭などの時期にしか公演しないサークルに入るのが違うと思っていて。それよりは、学外で作った自分のカンパニーでやっていきたいと思ったんですね。
___ 
なるほど。
長谷川 
すると、だんだんとメンバーが固定化していったんです。それ自体は今思えば悪い事じゃないんですけど、当時は限界を感じて、人の役割を固定しないユニットになりました。
___ 
学外に出たのは、独立したかったという事ですか?
長谷川 
いえ、そもそも演劇を演ること自体が最初から独立だと思うんです。専門的な演劇の教育を受けたという訳じゃないですしね。でも、自由に施設が使えたりとか、そういう環境にコンプレックスがあったんだと思う。
___ 
今の若手に一言頂けますか?
長谷川 
自分もまだまだ全然若手だと思っているので何も言えた事はないと思うのですが(笑う)好きなだけ、ガツガツしていればいいんじゃないかなと。僕にしたって、自分で何だか分からないまま演出も振り付けも出演もさせて貰っているので。でも、そういったものを志向しないとここまでは来れなかったんだと思います。
___ 
ええ。
長谷川 
やっぱり製作って楽しいんですね。ずっと粘土をこねているようで楽しいです。何か言える事としたら、「こねたら?」と。どうこねたらいいか分からないかもしれないけど、諦めずに作り続ける事だと思います。

タグ: 後輩たちへ 続ける事が大事


社会と折り合う

__ 
先程「中堅」というお言葉を伺ったのですが、それはどのようなポジションなのでしょうか。
蓮行 
我々のプロフェッションを野球に置き換えて考えた時、20代というのはとにかくバットを振れ、投げろという世界なんです。チームプレイを叩きこまれていく時期ですね。レギュラー10年となると、メジャーに行くだの別のチームにFAで行くだの。一方、チームに残った選手は仕事として後輩の指導をすることになる訳ですよね。指導をしなくても、背中を見せる。
__ 
ええ。
蓮行 
若いうちは練習して活躍するだけで良かったかもしれない。でも、世代の真ん中として、若手選手をある程度見ないとあかんのやろうなと。僕は生え抜きなので。
__ 
若手に何か一言頂けますか?
蓮行 
口はばったいけど、自分たちがどういうアイデンティティで進んでいくかを早めに決めた方が良いと思う。そうしないと、取り残されるという訳じゃないけど、なんにもならないという事になる。今、僕らのような中堅世代で曲がりなりにも活躍というか、活動を続けられているのは、やっぱり頑張って自分たちの正体、それからやる事を明確に見出す努力をして、そして社会にコミットしていこうとしているからだろうと思う。
__ 
活躍という事で真っ先に思い出すのはやはりヨーロッパ企画ですね。
蓮行 
うん。ちょっとそれますけど・・・ヨーロッパ企画が売れてて悔しいとか、ネタで言うけどホントは全然そんな事はなくて。例えば駅でポスターが貼ってあったら画鋲さしてやりたくなるとかね(笑う)言うんだけど、本当に全然なくて。正直に言うと。
__ 
なるほど。
蓮行 
衛星や僕個人を好きで面白いと言ってくれる人や、劇団員でもいいけど、ああいう方向で行きたかったとか売れたかったとか、そういう思いを感じてもらえる事についてはありがたいと思うんだけど、僕自身は全然そんな事はなくて。というか・・・芸能界とかテレビ界に出ていく事にはあまりピンと来ていなくてですね。
__ 
テレビ志向ではないのですね。
蓮行 
テレビなんてこの20年見てないから、最初からあんまりそれがやりたいという訳じゃなかったんですね。ヨーロッパ企画が素晴らしいと思うのは、テレビとかマスメディアの仕事をしながら、必ずしも大きい劇場だけでやることを良しとせず、百人しか入らない劇場で5回公演するような、つまり汗をかくことや骨を折ることを厭わず、肉体で表現し続けるところだと思う。電波やお金に強い指向性を持たずにね。僕の考えだと演劇は肉体労働なので。彼らも必要に迫られてやっている事かもしれないけれど。彼らの身体は我々よりも圧倒的にテレビとかメディアにマッチするところがある。
__ 
そうかもしれませんね。
蓮行 
そこで行くと、例えばJリーガーはイチローを見て「俺もあっち行けば良かったな」とあんまり思わないはずなんですよね。年俸高くて羨ましいなと思うかもしれないけどね。「でも俺ボール蹴ってる方が好きだし」。
__ 
なるほど。
蓮行 
同じプロスポーツ選手だけど、隣接するジャンルだけど、やっている事が違うんですね。そういう事を前提にした場合、ヨーロッパ企画さんが京都を拠点だと言いはって頑張っているという事は、彼らは完全には電波主義ではないという事だ。東京に行くという事は電波主義だから。
__ 
東京は、色々な可能性が近くにある地域ですからね。もちろん、何もしなくていいという訳ではないですが。
蓮行 
ヨーロッパ企画が見事なのは、その二つを上手くハイブリッドして渡って行っているのが素晴らしいのよね。平田オリザさんもそうだけど、TVに出ながら、自分たちの演劇を作り続けていく姿勢。そのようにして、社会とどこかで折り合う事をしないとなんにもならないんです。仕事をしながら、自費で個展を開くような美術系アーティストの方がよっぽど社会に認められると思う。社会性すらも否定するロック魂のところは、大いにやってくれと思うけれども。
__ 
社会と折り合うには、どのような事が必要なのでしょうか。
蓮行 
一言で言うのなら、自分達の手法にアイデンティティを明確に持って、劇団だったらそれを共有する事ですね。アマチュアでもプロでもいい、表現を目指すのなら、それを早く獲得しないと。イチローさんだって、高校卒業と同時にプロ野球選手になったんですから。教師もそう。先生を目指す多くの人は、大学入学前に、教育大を選ぶんです。もちろん、モラトリアムが長い方が芽が出る部分もある訳ですが、大学を卒業して2、3年モラトリアムをしながら演劇やって、それからプロを目指すというのは世の中から見れば遅いんですよね。結構、みなさん、ぼーっとしてるように見えてしまう。世間のスピードというものを考えたら、はよ決めた方がいいんちゃうと。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

タグ: 役者の汗を見せる 後輩たちへ


いい感じ。もっと盛り上がってほしい

__ 
最近、椎名さんは若手の劇団と主に仕事されているんですね。
椎名 
そうですね。この間入った現場で、僕の年齢の半分の子がオペに入っていました。でも、最近は若手の劇団が元気がいいですね。京都学生演劇祭が影響強いのかな。
__ 
そうかもしれませんね。
椎名 
チラシ束も、若手劇団多いし。いい感じ。もっと盛り上がってほしいです。
__ 
作品を主体とした盛り上がりだと思います。お互いに批判したり評価しあったり。非常に良い雰囲気ですね。
椎名 
そうね。あとはやっぱり、劇団が少ないというのはあまり盛り上がらないんじゃないか。僕らが活発立った頃は、今でも活躍している劇団も含めてたくさん活動していたね。
__ 
盛り上がってましたね。
椎名 
それが少なくなって、一時期落ち着いて下火になってたでしょう。今は、活発な時代になりつつあるんだと思う。
__ 
良い悪いじゃないですけど、プロ化したりとか、会社を立ち上げたりとか。昔はそれが主題でしたが、そう、今の時期はそれはそれほどでもない。いま、若手に向かって、何か一言ありますか?
椎名 
劇団が互いに講演を見て、良い刺激を与え合ってほしいですね。あと、これはスタッフにも言いたいんですけど、やっぱり妥協するなと。音響キッカケがない作品をよう見るねんけど、それは無音劇という選択の一つであって。無自覚に音響キッカケを持たない芝居というのはないんだよ、と。音響は作品全編の全時間に対して考えていないといけないんやね。それをあまり考えてない若手が多いように思うけど。空気を演出するのに最も有効なのは音響なんです。もっと言うと、空気を扱えるのは音響だけなんです。音楽を選んで流せばいい、それだけの仕事じゃないよと。

タグ: 後輩たちへ 相互承認 一段落ついた


試行錯誤だけじゃないやり方

__ 
今後、小嶋さんはどんな感じで攻めていかれますか?
小嶋 
この間柳川さんで客演をさせてもらって、全く違うところのやり方を学べたので、とても勉強になりました。それを生かして、イッパイアンテナをベースに、どんどん外にも出ていければなと思っています。
__ 
ああ、「昔、柳川がいた」ですね。どうでしたか。
小嶋 
大変でしたね(笑う)。いつも参加している作品と全く違うので、戸惑う事はありました。会話の返し方も違うし、台本の解釈も違うし、ドツボに嵌りそうになって・・・でも、競演している二人の先輩が稽古場で色々な事を試しておられて、それが全て面白かったんです。短い稽古期間でしたが、スムーズに吸収出来たと思います。
__ 
次に、同じような短い作品を作るとしたらどのような事に気をつけたいですか?
小嶋 
競演した浦島さんが仰っていたんですが、「やり過ぎると良くない」んですよ。どうしても感じる事が出来なくなってしまう。演技の解釈やタイミングを繰り返し試行錯誤すると、中身に取り込まれて面白さを感じる事が出来なくなるんですね。
__ 
面白さの論理は知り尽くすのに、外から見た時の味が分からなくなると。
柳川presents「昔、柳川がいた。」
公演時期:2011/10/29~30。会場:アトリエ劇研。

タグ: 色んなものを吸収 後輩たちへ 稽古期間が短いピンチ 今後の攻め方


「いちげんさん」

__
京都舞台芸術協会についての関わりについて。藤原さんも理事として深く関わっておいでですが、いかがでしょうか。
藤原
どう言ったらいいんかな。発足する前は、横で連携していくという事が薄かったみたいで。僕らのだいぶ先輩にあたる人達が。だから、横の連携を取るという為に作られたのもあるんですけどね。ただ、僕らはやっている上で割とそういうのは結構出来ているので、それをわざわざ確認する必要はないだろうと思います。ただ、京都で演劇をやっていて、横のつながりが希薄な人も中にはいると思いますので、そういう人達の為の仕事が出来ないと本当は出来ないと思っています。ただ現状、他の理事も自分達の公演があったりで積極的に協会の仕事を広げていくのが体力的に難しいという面もありますね。ですが、協会を発足した先達は活動から手を引いて僕らの世代に譲ったという形ですので、多分これから変わっていかなきゃならない時期なんでしょうね。どう変わっていくかはまだちょっと詰められていませんが。
__
話は飛びますが、2月から始まる精華演劇祭京都舞台芸術協会主催ですよね。これは、一体どんな経緯で。
藤原
元々、大阪舞台芸術協会と企画委員の持ち回りみたいな形でやってるんですね。
__
なるほど。今回のタイトルは「いちげんさん」ですが、これはどういう・・・
藤原
理事達がもの凄く頭を捻って。「どうする?」「何にする?キャッチコピー」って(笑う)。
__
京都らしさ、をアピールした。
藤原
そうですね、京都らしさがわかりやすいものである事と、今回のセレクトは誰でも見た事があるよ、という所を選んでないんですね。京都の人ならば名前は知っているけれども、大阪の人はあんまり知らないんじゃないかな、というところをあえて選ばせてもらっています。
__
2月からですね。非常に楽しみにしています。
藤原
僕も楽しみです。自分も出ているから頑張らないといけないし。
京都舞台芸術協会
京都の舞台芸術の活性化を目的としたNPO法人。(公式サイトより)

タグ: 後輩たちへ


コーディネーターの役割

__
Afro13のみならず、兎町十三番地の受付などでも齋藤さんのお姿を拝見する事があるんですけれども、齋藤さんのお仕事とはプロデューサーという。
齋藤
そうですね、世間的にはプロデューサーとして名刺を渡したり挨拶させてもらったりしているんですけども、関わる劇団との関係でそれぞれ違いますね。それこそプロデューサーだったり、コーディネーターだったり制作やマネジメントだったり。というのは、プロデューサーという役割にこだわりがあって。映画においてプロデューサーというのは監督よりも偉い立場なんですよ。何故なら、お金を出しているから、というアメリカ的な考え方があって。それは良い考え方だなと思っていて。最終的には、監督が撮った映像の編集権限はプロデューサーにあるんですね。それで面白くない編集をされたら監督は怒りますね。したら監督が外されるんですよ。そうなると映画の監督のクレジットには外された人の名前は出ず、代わりにある架空の人物の名前が表示されるんですね。その名前でクレジットする事が決まっていて。ハリウッドでは、その架空の人物が一番多く映画を撮った事になっているんですね。
__
なるほど。
齋藤
日本でも、そういう意味でのプロデューサーがちゃんといるべきだと思っています。僕は色んな所で仕事をしてるんですけど、お金の責任を全て持つ場合以外は、プロデューサーという名前は付けません。
__
例えば、コーディネーターですとか。
齋藤
劇団鹿殺しの制作をしていたときは、劇団の方向性とかも結構考えたりしていて。お金の責任以外のプロデューサー的な仕事もしていたので、ぴったり合う名前が無かったからコーディネーターという役職名もにしました。兎町も結構そういう感じですね。
__
コーディネーターとは、基本的にはどういうお仕事なんでしょうか。
齋藤
僕の中ではコーディネータとは、劇団が立ち上がって、その後の道筋を一緒に考えられる仕事まで出来る人をコーディネーターと呼んでいます。道一つ間違うと、5年で行ける所を10年掛かる場合があるから、そういう立場が必要なんですね。でも、そういうノウハウを上の世代の人は持ってる筈なのに下の世代には落としてこないんですよね。
__
確かに、そういうイメージはありますね。
齋藤
映画ではそういうのちゃんと出来てるんですけど、お芝居は上にいっちゃったら下の関わりが、あんまり無いんですね。40代、50代の人たちが、20代の若手に「あなたはこういう風にすればメジャーになれるよ」みたいな話をする機会が減ってて。昔は、そういう人が劇場のプロデューサーになって、若手の劇団と接触する事もあったんですが、それすらも今はなくなって。行き詰まるじゃないですか。才能があっても。
__
それは嫌ですね。
齋藤
もちろん劇団としての方向性とかはあるので色んなパターンを組まなければならないんですけどね。一度道を通っている人達と、右も左も分からない人達とでは、理想への近づき方は全く違いますよね。そこを、もっと手伝えたらいいなと思っています。だから、例えば兎町とかは第四回公演で東京公演するというのはここ十年くらいの関西ではかなり特殊な存在だと思うんですよ。それは、他のみんなが行けないという訳ではなくて、行く道しるべが無かったからなので。ちゃんと、マーキングさえしていれば、四回目で東京というのはそんなに無茶ではないんですね。
__
なるほど。
齋藤
そこで勝負して駄目だったら、演劇でご飯を食べていく事を諦めて、社会に戻るか、細々と演劇を続けていくか、という選択肢を提案できるじゃないですか。
__
そういう、一個の公演の初めから終わりまでではなく、劇団の最初から最後までの舵取りを手伝うのがコーディネーターなんですね。
齋藤
そうですね。それに加えて、さらにお金とかの責任を持って自分がどうこうしていく、という立場をプロデューサーだと思っています。
兎町十三番地
2005年3月13日結成。作・演出・中川昌紀氏。歌とダンスを中心に、幻想的な世界を紡ぐ。
劇団鹿殺し
座長・菜月チョビが関西学院大学在学中にサークルの先輩であった代表・丸尾丸一郎とともに旗揚げ。旗揚げより「老若男女の心をガツンと殴ってギュッと抱きしめる」を合言葉に土臭さと激しさが同居する人間の愛おしさを表現する物語と、役者の身体、パフォーマンスに重点をおいた演出で観客を魅了している。(公式サイトより)

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