匿名の矛盾

__ 
福谷さんが演劇を始めたのはどんな経緯が。
福谷 
僕は近畿大学の舞台芸術専攻に入ったのがキッカケですね。
__ 
なぜ近大に入学されましたか。
福谷 
本当は東京の日大に行きたかったんですけど、経済的事情もあって。入るなら、ツブシの利く総合大学かなと思って。
__ 
旗揚げしたのはどんな経緯が。
福谷 
大学入って2年の頃。授業以外で自分の公演が出来るんですよ。2012年6月が旗揚げですね。
__ 
そのころからメタフィクションだったんですか?
福谷 
旗揚げ公演が今回の作品みたいな感じでした。で、その一つ前のスタッフワークを中心に学ぶ公演のメンバーが、ほとんど今のメンバーなんです。東以外。カフカの「変身」を上演する劇団のバックステージもので、それも入れ子構造でぐっちゃぐちゃの作品でした。
__ 
なるほど。匿名劇壇では、今後どういう事をやっていこうと思っていますか?
福谷 
ちょっと前の「ポリアモリー」を作っていた頃は、まっとうな物語演劇を作ろうと思ってたんです。今はちょっと違って、例えば劇団の劇団性みたいなのが観客に事前知識として必要なのと同様、今回の作品は、僕が匿名劇壇の主宰であるという知識があって見た方が絶対面白いと思うんですね。劇団としてはそこをやりたいと思います。誰かが劇団を辞めたらその辞めた性が重要になってくる。そんな感じ。
__ 
何故そうしたい?
福谷 
それが自分で面白いと思ってるから、ですね。演劇の何が一番面白いというかというと、生である、という事ですよね。それも、裏側込みの生。踊る大捜査線でも、ギバちゃんと織田さんが一緒に出ているシーンに、含みをもった面白さがあるんですよ。みんな、そういう部分はあると思っていて、僕らをそういうふうに消費してほしいですね。
__ 
スキャンダラスさを含んだ、ね。初めての人でも面白い内輪ネタが出来るようになってほしいですね。
福谷 
そうですね、それは素晴らしいですね。
__ 
いつか、どんな作品が書きたいですか?
福谷 
やっぱり、外に出ても引きずれる作品。寺山修司の街頭劇のような、劇場の外に出ても芝居が続いているような、そんな芝居が作れたらと思います。
__ 
なるほど。
福谷 
事実と思われたくないと言ってる一方、客だしの時の僕らを見る目がちょっとおかしくなっている事が望ましいです。それがずっと引きずっているいるような。矛盾してますね、メタって。
__ 
パンフに、開場中は他の劇団のチラシは見ないで僕らの事だけを考えてほしい、みたいに書いてますね。
福谷 
そうですね。自己顕示欲というか。例えば芝居に人を殺した役が出てきたとして、「本当に殺してるんじゃないの?」と思わせたら勝ちですね。
__ 
なるほど。
福谷 
ポリアモリーの前にやったjerkという芝居で、劇団員との話をこっそり録音したテープを元に作った芝居を作ったんですよ。という体で実は全くの創作なんですよ僕の。
__ 
ええっ。
福谷 
それを、実際に録音したと思われたいです。
__ 
そういう福谷さんの、言葉は悪いですがかまってちゃん性に共感します。自分達を消費してほしいとか、ちょっと現代的な気がする・・・そんな言葉で表して良いのかわからないですけど、異質な感じがする。
福谷 
そうですね、自己満足には陥りたくないと絶対に思いますね。あくまで見せ物ですし、エンターテイメントですから。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 フランツ・カフカ 内輪ウケの・・・ わたしとわたしの矛盾 新しいエンターテイメント


西部講堂でプロレス芝居!

__
この間の「狂い酒サンダーロード」、大変興味深く拝見しました。
高間
ありがとうございます。
__
次は、西部講堂でプロレス芝居をされるんですね。
高間
はい。そうですね、毎年恒例にしたいなと思います。
__
去年、本当に観たかったんですけどね。チラシ見て、これは凄い事だと思いながら。結局行けなかったんですが。
高間
去年は中々好評で。何でやり始めたかというと、元からプロレスはそこそこ見てたんですけど、高校生の時にプロレスから離れて。で、大学の学生プロレスが、僕が入ってた学生劇団よりお客さんを魅了してたのが悔しかったんですよね。どうしたらこういう事が出来るんだろうっていう。あと、和泉元彌のプロレスを見たのが大きいです。
__
アレは衝撃的でしたね。
高間
やっぱり僕は芝居が一番面白いと思っているんですけど、あれを見た年は他のどの芝居よりも面白かったんですよ。もう、作られたものとしてアレは面白すぎるな、と。悔しかったですね。だからやってやろうと。
__
なるほど。
高間
で、受け入れられるかどうか不安だったんですけど、役者も受身の練習からやって。リングもフカフカのマットだったので、プロレス研究会の人から指導してもらったら思ったよりは難しくはないなと思ったんですよ。受身さえ出来れば。出来ない技は最初から台本には入れないので。でも、一つ間違えばやっぱり危険なので、体を張ってやってくれましたね。ただ、やはり今までにない試みなのでふざけんなって言われないか、反応が不安だったんですけど、お客さんも拍手してくれたり、歓声が上がったり。
__
それはもう、プロレスですね。
高間
そうですね(笑う)。悪役が出てきたらブーイングが起きたり。確かに開演前に前説でやってくださいて頼んでたんですけど、あそこまでお客さんが参加してくれた芝居はないなと。役者の方も、それが気持ち良かったみたいだし。入場の時に派手な音効や照明使って花道を歩いて来たりとか。
__
そりゃ見たいな。
高間
何が嬉しいって、プロレスにそれほど興味の無かった役者が、今回は去年出来なかったこんな事をしたい、あんな技がやりたいって言ってくれる事が嬉しいですね。
笑の内閣
2005年、元劇団紫高間響が代表をつとめるプロデュース団体として結成、後に劇団として旗揚げ。プロレスを演劇に組み込んだ作品を作り続ける。派手なプロレス演出の完成度は高く、しかも笑いを取るための努力を惜しまない。
第5次笑の内閣 狂い酒サンダーロード
公演時期:2007年4月6~9日。会場:カクテルバーナギサクラブ。

タグ: フランツ・カフカ


根本
あと、カフカの「城」という小説があって。
__
うん。
根本
ある測量技師が、ある城の領地の測量をしにやってくるんだけど、土地の人に「お前なんか知らん」と言われて、「城に行って手続きをしてこい」と言われて城に向かうんだけど、いつまで経っても城に辿りつかなくて、町の人達と不毛なやりとりをし続けるという話で。
__
うん。
根本
それだけの話なんだけど。
__
不毛だな。
根本
でも、自分にとっての物語というのは根本的にその城みたいなもんなんじゃないかと思っていて。それ自体を直接出してくることは出来ない。でもその、目的地にたどり着けずに土地の人と延々やりとりをしているだけで圧倒的に城が浮かび上がってくる。物語も、それをそのまま表現する事は出来なくって、そこに入ろうとしているんだけど入れない人を透かして物語りは浮き出てくるんではないかと思っていて。「月を食べる」の時は、月がそれの役割だった。一時期、月自体を書こうとしていたんだけども失敗していて、でもその、お釈迦様(月)の手の上で滅茶苦茶に動き回る人を書く事で手のひらなり月なりが浮かび上がってくるという事に気付いて。
__
浮かび上がる。
根本
だから、余計なものやノイズを歓迎する方向で作っていった方が、真ん中のものを浮かび上げる事が出来るんじゃないかと。
__
うん。
根本
そういう発想と、自分の手さばきっていうのかな、そういうのを生かしていきたいなと。
ベビー・ピー#5「月を食べる」
公演時期:2006年2日~4日。会場:京都大学西部講堂。

タグ: フランツ・カフカ