エンドマーク、スタートライン

__ 
・・・「ゼクシー」の話に戻りますが、正直、ミジンコターボの作品として、最も人間性を感じたんです。ネガティブな事をポジティブに変換したミジンコターボの作品作りはとても好きでしたが、同時に、この人達は眩しすぎて直視出来ない、とも思っていました。でも、例えば病室で感じた孤独感をそのまま作品に持ち込んで、それが誰かの琴線に触れるような作品が拝見出来るとは思っていなかったんですよ。意外だと思うと同時に、何だか嬉しかったです。
片岡 
そうした感想を頂けるのは嬉しいです。僕にとっては新天地だったので。
__ 
面白かった上に、泣けたという感想もあったみたいですね。
片岡 
最後のシーン。プロのバイオリニストの方がシンちゃんの亡き父親役で出演して下さいまして。そのシーンのリハーサルで僕は演出なので前から見させてもらったんです。主人公なのに。でも僕抜きでも成立していて、押し寄せてくるエネルギー量がね、バイオリンが良かったという感想だけだったらどうしようと思いました。
__ 
なるほど。
片岡 
これ裏話なんですけど、隙間の時間に、僕と音響王子とそのバイオリニストの方だけで音響のレベルチェックをしていたんです。アイデアとして、「本当はお父さん、めっちゃ下手なバイオリニストだったという設定はどうか」と。実際に音を外してみて貰ったら、やったらめっちゃ盛り上がりました。
__ 
それはちょっと泣けますね。そんな事をやったんですか。
片岡 
人間としてはそれが普通かも。上手だったら出来すぎやろう。下手くそやったんやお父さん!でも、それやったら意味あらへんがな、と。
__ 
天国にまで行ったのに。それは逆に出来すぎですね。
片岡 
これは泣けるけど、そういう人は少ないやろうなという話になりまして。結局、丁寧に弾いて見ただけました。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 天才スタッフのひらめき 生演奏のある作品 楽器の話題・バイオリン


コミュニケーションの積み重ね

__ 
魚森さんが照明のプランを決めていく上で気を付けている事は何ですか?
魚森 
やっぱり、お話をする事ですね。演出家だったり振付家だったり、その作品に責任を持つ人とどれだけお話をするかに懸かっているんじゃないかと思います。照明に関する打ち合わせというのは抽象的な言葉の積み重ねで。その結果が、小屋入りしてやっと具体化するのが照明なんですね。稽古を見る事も大事で。通し稽古も見ますが、実は普段の稽古を見る事も、見ないと分からない事があるんですね。
__ 
何が違うのでしょうか。
魚森 
普段の稽古だと、どういう実験や試行錯誤をしているのか、どういう演技を採用するのか、そういう考え方が分かるんです。これらは場当たりで反映されるんですよ。
__ 
場当たりというのは、仕込みの段階ですね。
魚森 
そうですね、このシーンではスタッフワークや演技をどうするか、という事を決めるんですが、普段どういうコミュニケーションをするかを知っていればやりやすいですね。演出家がどんな考え方をするか、というのも分かりますし、現場に入って突然「こうしたい」というのに共感しやすいんですね。逆に、「こう変えたいんだけど照明さんは困るかな」って思って秘密にしないで、それが必然だったり、実験が必要なら、遠慮なく提案して欲しい(笑う)。もちろん時間的な制約はあるんですが。現場でびっくりしたいなあと思うし、稽古場で緻密に積み重ねてきたものを出したいというのもあります。
__ 
ええ。
魚森 
どちらも大事で。
__ 
普段を知っていればその演出家の哲学やロマンも分かるし、現場での限られた調整時間も有効に使えると。つまり、コミュニケーションを大事にされているんですね。
魚森 
はい。照明って、空間と時間を扱うものだと思っているんですね。理想としては、空間の話は美術デザイナーともしたいし、時間の話は音響デザイナーともしたい。とにかく現場に入るまでにどれだけ話せるかに懸かっているんですね。
__ 
逆に言うと、話さなければしょうがない訳ですね。
魚森 
はい。例えば、私がどこまで作品の事を感知しているかまで話さないと、小屋入りしてからまずい事になる場合もあります。ですので、打ち合わせは大事にしています。
__ 
お話から察するに、魚森さんとの打ち合わせによって演出家が「自分の作品をどう見せたいか」がより明確になっていくという重要なプロセスが組み込まれているように思えます。

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vol.87 魚森 理恵

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魚森

専門家

__
MONOの活動の拠点も京都な訳ですが、京都の小劇場の状況について。どのように変わってきていると思われますか。
垣脇
うーん。ゆっくりとですけど、専門家が立つようになってきていると思います。呼び名が単純に増えてきたり。
__
コーディネーターとかですね。
垣脇
ええ、技術者、例えば照明さんとか音響さんとか、割とやる事はハッキリしていると思うんですけど。舞台監督とか制作とかは、あふれた部分を拾う部分もかなりあるんですね。そういう時は、それは舞監で拾う?制作で拾う?みたいな話し合いをして。
__
スイーパーみたいな。
垣脇
そうですね。もちろん、小さいカンパニーで全部分けるというのは大変だと思うんですけど、意識的にやることは大事だと思います。そうすれば「小道具さんがいたらいいな」とか、「チケットを売ることを中心にやってくれる人がいたらいいな」とかいうことに思いいたるんじゃないですかね。同じように「制作」と名乗っても得意分野も実際にやってることもそれぞれ違うだろうから、得意分野にそれぞれが気づけるといいですよね。

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仕事

__
今日は雨のなか、ありがとうございます。今回は清水さんのお仕事の内容について、伺っていきたいなと思っておりまして。考え方ですとか。
清水
難しいですね。舞台監督というのは、関係者はよく分かっていると思うんですけど、劇場入りしてからはもちろん設営をしなくちゃいけませんね。セット、照明、音響などのシステムを使えるようにしなくちゃならない。で、最終的には役者が板の上に乗って稽古して本番となるんですけども。劇場入りしてからの段取りを管理して、責任をもって本番を迎えなくちゃならない。だから、守備範囲が広いんですよね。例えばですが、ヨーロッパにおけるオペラとか、大きな規模での舞台監督ってのは何種類かあって。公演の予算組みの時にスタッフ予算を振り分ける人。それから、実際に現場で仕込み・ばらしの指揮をする人ですね。あとは稽古にずっとついていて、本番の現場で進行をする人。3人くらいに分担されているそうです。
__
そうなんですね。
清水
日本だと、特に予算のない小劇場の世界ではそれもみんな一緒くたになっていて。僕は稽古の現場についていて、本番の進行もするというのが、一番楽しみながら出来るやり方かなあと。ただ、実際は稽古にあんまり行けなかったりとか、通し稽古一回見て本番とか、そういう場合ももちろん多々ありますし。
__
ありがとうございます。作品に関わってから始まる、全体的の流れの中で、清水さんが一番大切にしている事ってありますか?
清水
一番大切にしている事?
__
いや、全部大切かとは思うんですが。
清水
それは、表現者のやりたい事に出来るだけ即してあげられれば一番いいですよね。ただ、予算的にも人数的にも無理であるとか、日程にも限界があるとかがありますからね。それでも僕らはああしたい、こうしたいというのを実現していかなくちゃならない訳ですから。物理的に不可能な事もありますが、お金がなくても経験や技術や知識があればこなせる事もあると思うんですね。その辺は勉強していかなくちゃならない所なんですけど。限られた時間の中で、やりたい事が出来るように持って行くのが大切だと思いますね。まあ、色んなジレンマがありますけどね。
__
色んな制限がある中で、一つの作品になるって事は凄い事ですよね。でも、それだけに難しいですね。
清水
ただ、スタッフっていうのは、演出家の表現したいというのを本番で実現しなくちゃならない訳ですからね。だから、舞台監督ってのはやるだけの事をやらなくちゃいけないんですね。

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vol.57 清水 忠文

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清水

牡丹灯篭

__
・・・・・・
窪木
・・・・・・黙ってしまうねえ。
__
そうですね。うーん。最近どうですか?
窪木
あ、最近は四月公演の練習をしています。
__
あ、どういった稽古を。
窪木
台本の方向性を決めたりとか・・・・・・あ、先日初顔合わせしまして。
__
あ、世界一団の赤星さんもでるんですよね。
窪木
はい、初めてお会いしました。今回はですね、モノクロームサーカスさんというんですが、初めてプロのダンサーさんをお招きするんですよ。もう適当に振付けしてられないな、という。さてどうしようかな、というところです。
__
ああ・・・・・・僕はそのですね、電游の雪だるま式に話が大きくなっていくところが好きなんですよ。
窪木
ああ。
__
参加してて。もう、懐かしいですよね「天つ」。
窪木
2年前か。障子の開け閉めしてたやんね。
__
はい。そうだ、つぎの「牡丹灯籠」のお勧めポイントを教えてください。
窪木
そうね、プロのダンサーさんはもちろんですが、うーん、舞台上の仕掛けも今回あっと驚くようになってますよ。
__
楽しみです。
窪木
新素材にもいくつか手を出しますしね。あと今回、会話劇色が強いですね。ほめられつつもちょっとどないやねんといわれ続けてきた所を強化して。
__
四月かー。一ヶ月間ですよね。
窪木
本当はゴールデンウィーク前には終わる予定だったんですけど。アトコンのプロデューサーさんに、GWに京都に来ている観光客の方に観に来てもらおう、そしてアトコンの名を全国に広めようじゃないか、と言って下さって。
__
おおー。
窪木
で。公演期間の初めの三日間は入場料を20%くらいオープニングセールのように割り引くんですよ。
__
京都のお客さんを意識していますね。
窪木
がんばってちょっと最初の方に来てもらって、ロングラン中には噂にのぼるように。
電視游戲科学舘 第7回公演 『牡丹灯篭』
公演時期:2003年4月18~5月6日。会場:アートコンプレックス1928。ロングラン公演。
雪だるま式に
何度か電游に関わった経験から受けた印象。装置を始め、音響や照明の大がかりな仕掛けが関係者に明かされるごとに公演が楽しみになる。
電視游戲科学舘 第5回公演 『天つ狐乱れにぞ』
公演時期:2001年4月。会場:京都大学西部講堂

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vol.10 窪木 亨

電視遊戯科学舘。

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窪木