面白がってもらいたいんです
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- 今後、どんな活動をしたいですか?
- 横山
- うーん・・・周りに面白がってもらえるような役者になりたいなと思います。人前に何故立つかと言うと、楽しんで貰いたいからだし。何かこいつ、見捨てられないな、何考えてるんやろうみたいな、そういう風に思って貰えるような役者になるのが自分の理想なのかなと思っています。映像も勿論ですけども、舞台にずっと立ち続けれるよう頑張りたいと思います。
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- なるほど。「くりかえしへこむ」の時の横山さんの演技で面白かったのが、3人のいじめっこがその父親に復讐されそうになりながら辛くも逃げ出して、でもその内一人がやっぱり殺してもらおうと戻ってくるというシーンの、そのヘラヘラした顔ですね。
- 横山
- ええっ!めっちゃ嬉しいです。
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- ちょっと憑き物が落ちた、みたいなあの表情。
- 横山
- 突拍子もない結論かもしれないけど、彼は本気なんですよね。死んだらそれはそれで解放されるし、復讐する側も楽になるし。思い切って明るく、満足したようにやろうと。
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- なるほど。ところで、今後やってみたいジャンルはありますか?
- 横山
- 会話劇ですね。今後というか、これからもですね。ただ、ベタな演技というか、演技らしい演技やキャラと向き合ってみたい気持ちはあります。うまく言えないのですが。大学に入って、前田司郎さんとか、岩井秀人 さんの演技体に凄く憧れていたんですよね。生活感の出し方というか、絶妙なラフさというか。ただ、そこから離れて自分なりの演技のリアリティーを見つけたいと思っています。
- ※月面クロワッサンVol.7「くりかえしへこむ/閻魔旅行」
- 公演時期:2014/9/26~28。会場:人間座スタジオ。
世界一緊張感のない劇団
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- 壱劇屋で犯した最悪の失敗を教えてください。
- 西分
- 「BlackSpace」という公演で、お芝居の中で焼きそばのUFOを作って食べながらやるパフォーマンスがあるんですよね。私、UFOを作った直後にひっくり返しちゃって。一瞬で舞台上にUFOが散らかって、わーってなってたらみんながすぐ寄ってきて、全部容器に放り込んでさーっといなくなる。息止まりましたね。その後袖で大熊さんにお前何やっとんねんって怒られて、「うわすみません」ってヘラヘラって謝って。その一連が数秒の間にあって、舞台は生物だなと思いましたね。
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- なるほど。
- 西分
- ウチの悪いところでもあるんですけど、誰かがミスしてもあんまり怒らないんですよね。笑い話にしちゃうんです。だから「ダメ出し」というのはなくて、「反省会」なんですね。車座になって、「はい何かあった人」って言って。事故に繋がるものは注意しるんですけど、誰かが段取りを間違えたぐらいだったらネタにしてますね。誰々さんが小道具出すの忘れててあれは困りますわ、みたいな。全員が全員のダメを出して、割と対等に言い合うんで。そのあたりはいい影響はあるかもしれませんね。お芝居って、絶対どこかで失敗するんですよ。100点では終わらんなあと。そういう、どうしても起きてしまうミスを「あいつやりやがった」ってピリピリして注意するんじゃなくて、面白い事が起きてるぐらいに思ってた方が、後々余裕が出来るんです。そっちの方が、多分いいなと。ウチは段取りが多いし、でも、だからこそミスは後々取り返せるし。
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- そうした空気感は大切ですね。
- 西分
- これが悪い方向にはならないようにしないといけませんね。ミスした人はちゃんと反省して、でも周りは許せるような。
長い付き合いになるんです
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- 山本さんがお芝居を始めたのは、どんな経緯が。
- 山本
- 高校演劇から、ですね。中学生まで人前に出るのが苦手だったんですが、そういう自分を変えようと演劇部に入りました。そこで演劇楽しいなと今に至る訳です。
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- なるほど。
- 山本
- 高校時代に大熊さんと竹村さんに出会いまして、一緒に舞台に立たせてもらって。その後も一緒に作品作りをしています。
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- 山本さんにとって、壱劇屋は正直、どんな集団なのでしょうか。
- 山本
- 高校時代からつきあいが長いんですよね。僕も劇団員なんですけど、先輩後輩という関係性は強いですね。仲が良くて、感覚が合うというのは長所だと思います。芝居の感想とかも、結構合うんですよ。
質問 小刀 里那さんから 山本 貴大さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました、小刀さんから質問を頂いてきております。「山本さんが真剣になるのはどんな時ですか?」小刀さんは、山本さんに真剣味を感じた事はあまり無いようですね。
- 山本
- いやあ、表面上柔らかく見えていても中身は堅く、みたいなのを心がけているんですけどなかなか伝わらないですね。結構真剣になる事もあるんですけど。
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- 小刀さんには、少なくとも伝わってないと。
- 山本
- ヘラヘラしちゃうんですね。あまり、緊張しているようには見えないらしいです。
演じること、関係性
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- KUNIO「更地」もうじきですね。いかがでしょうか。
- 武田
- 時間が欲しいですね・・・!邦生くんはいつも忙しくて、いろんなお仕事をする中、出演者の多い作品も仕上げているので、二人芝居と言うのもあって、今予定してるお稽古時間で充分仕上がると思っていると思うんですが、私は時間が欲しいなと。
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- というと。
- 武田
- 「更地」には戯曲として、確固としたものがある作品なんですが、邦生くんは、元々初老の夫婦の設定で書かれてあることもあり、出演者の見栄えに無理もあるし、設定そのままのテンポや出力方法にしたくないと。太田省吾さんの作品を大切にしながら、そこを離れてKUNIO式にしたいと。そこが難しいですね。一応、作品としてはポップカルチャーにしたいんですが・・・。
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- なるほど。
- 武田
- 私がポップではないので、どうかなあ?って。時間がもっと要るんじゃないかしらん。とにかく元気に行かなきゃなと。相手役の大窪君もとにかく若いので、老夫婦の会話にどれだけ新しい解釈を与えられるか、を探って行きたいです。夫婦役として、お互いに頼り合うような関係性を作れたら。
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- 期待しております。
- 武田
- 『更地』は太田さんが私の卒業した大学の先生であったこともあり、いつもより、同じ学科卒の人からも気にかけてもらえています。また、杉原邦生くん演出の評判が良いのか、東京から青年団の友達とかからも稽古場に見学に行っても良いか?と言われて驚いています。
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- 関係性。大切ですよね。KUNIOの「エンジェルス・イン・アメリカ」※の時も、共演者同士の関係性がかなり重視されていたように思います。「更地」でも、そうした親密な関係になるのにハードルがあるのかなと。
- 武田
- そういう事を考えると、掛け合いの時以外の空気が必要なんですよね。テキストは一切変えないので。二人の歴史を感じさせるような関係を成立させないと、落ちてこないセリフが結構あるんです。邦生くんも含め、3人の間で最初からどこか理解し合えていない部分があって。例えば私だけ古風な戯曲の読み方をして、暗いとか思われたり(その場はアハハってヘラヘラしてましたけど、へこんでました)。
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- なるほど。
- 武田
- 出演者の方は、俳優同士がどうであれ、本の中の役割がどうであれ、その役になれれば関係性が保てるところはある。でも、邦生くんの作り方は、本はテキストで、作家の世界で邦生くんが好きな部分・中心軸を残して、他はちょっと若者にも見やすく崩しちゃおうぜというスタンスなんじゃないかなと。今のところ勝手にそう解釈しています。
- ※KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
- 公演時期:2011/9/23~25(京都)。2011/10/20~23(東京)。会場:京都芸術センター講堂(京都)。自由学園明日館講堂(東京)。
何考えてるかわからへん
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- 今後は、どんなものを書きたいですか?
- 合田
- 僕はあんまり、劇団や作品を定番化したくないんですよ。この劇団ならコレ、みたいな。ぜんぜん予想が付かないような作品づくりをしたいんです。
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- それは何故でしょう。
- 合田
- ダウンタウンが出始めた時の評論に「彼らの笑いは予測が付かない、だから面白い」というのがあったんです。その言葉に影響を受けてます。
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- お客さんを純粋に驚かせたいという事ですか?
- 合田
- 「面白い」の過程の前に、「驚き」は常にあると思うんですよ。最終的な目的は「面白い」ですので・・・
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- では、今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 合田
- 今、色んな劇団が旗揚げされていますでしょう。
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- ええ。
- 合田
- その中に埋もれたくはないですね。「昔、努力クラブってあったね~」って、思い出されるくらいにはなっておきたいですね。
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- ああ、30年後ぐらいに回想されたらいいですね。
- 合田
- もう辞めるみたいな(笑う)。あと、さっきの意表を突く話に戻りますけど、何をやってくるか分からない感じになりたいですね。いつもはヘラヘラしてる担当で、あいつら基本はいい人やけど何考えてるかわからへんって思われている。不気味な感じになってたいですね。
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- うわさ話に困る感じの。
- 合田
- あそこの作品はヘラついてるぞ。みたいな。
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- ちょっと距離を置かれてるけど・・・
- 合田
- 目を離せないみたいな。