モモンガ・コンプレックスの大失敗

__ 
PUNKな生き方って、夢ですよね。世の中は我々に当然のように成功する事を期待してきますからね。あんなに難しい事ばっかりなのに、出来て当然で評価もされない。あげくやり方にまでケチを付けて他の子と比べ始める。これはもうやっていられませんよ。
白神 
そうなんですよね、正しくはどうこうあるべきみたいな。そんなの無いに等しいみたいな生き方をしたいです。そもそも人間の存在自体が大失敗だと思っていて私は。
__ 
そうそう。物質の発祥から地球の誕生、生命の起こりという複雑な奇跡の末のこれですからね。
白神 
しかも地球にとっての大失敗という印象で、それは自分の中での問題になっていて。でも失敗だからしょうがじゃないじゃないかと自分は言い切るみたいな。次があるじゃないか、みたいな事もあって。
__ 
この「大失敗」の全国ツアーの末に、一体何が残っているというのでしょうか。
白神 
えー、何もなくなっても、それはそれで道が開けている気がしませんか?中途半端に続いているよりは、ガーンって失敗ですって認められたら次のステップに行けるかもしれない。失敗を隠す事ばかりが上手くなって、メッキがぶ厚くなってきて、失敗に目を向けられなくなってしまったら・・・。それよりも、失敗を突きつけられて、「あーそうだよね、失敗だよね」って認めたら、何か次のチャレンジにすぐに行けるんじゃないかと思うんです。
__ 
つまり、「大失敗」はそうした生き方の問題もはらんでいる?
白神 
そうですね。ふざけたチラシですけど。

タグ: 生き方と世の中の為に動く おふざけ


もう、無難に行きたい

高間 
あとは、またプロレスはしたいですね。みんな年食っちゃったからなあ。僕が、プロレス団体のメイクになった方が面白いぐらいになってますし、笑の内閣にとってプロレスというのはお荷物になってる状態で。
__ 
でも、結婚式プロレスは去年だったじゃないですか。
高間 
その前に2年ブランクがありましたからね。でも、すっ太郎みたいな場外でプロレスを挑んでくる若手とそういう事をやりたいという気持ちはありますね。
__ 
挑戦してきてくれる若手、ね。
高間 
やっぱりね、噛み付いてきてくれるというのは嬉しいですよね。
__ 
最後の質問です。内閣は今後、どんな感じで世の中にケンカを仕掛けていきたいですか?
高間 
安全に行きたいですね。もう、無難に生きていきたい。
__ 
えっ・・・!?
高間 
いやあ、だって、僕就職出来なかったから芝居してる訳ですから。妻ともしっかり話しましたけど、芝居辞めて就職しようにも高間響で画像検索したら上祐史浩さんや鈴木邦男さんと一緒に写ってる写真が出てくるんじゃ面接受かんないですからね、続けてた方がまだ可能性あるだろうと。
__ 
うーん。
高間 
やばい事をtwitterに排泄的に書いたり、やばい本心を煙に巻きながらも書いたり、でも全部バランスを取って書いているんですよ。どれが自分の本心か分からなくなってきましたから。このインタビューだってどこまで本心か。

タグ: 生き方と世の中の為に動く


KYOTO EXPERIMENT 2014 フリンジ企画 オープンエントリー作品 第19次笑の内閣 福島第一原発舞台化計画-黎明編-『超天晴!福島旅行』

__ 
次回は笑の内閣、ですね。どんな作品になりそうでしょうか?
楠  
面白くなると思います。今回の作品に参加するメンバーは、この夏に本当に福島旅行に行ってきました。私はみんなと一緒には行けなかったのですが、5月に高間さんたちと少人数で行っています。
__ 
そうでしたね。
楠  
難しい状況にも直面しましたし、一方でわかっていたことも沢山ありました。原発についても、ゼロにするとかしないとか、問題はそこではないんだと尚更思いました。どちらか一つということはないんです。私は原発がゼロの世の中よりも、原発に賛成とか反対とか、いろんな人が自由に意見を言える世の中がいいと思っています。
__ 
手応えがあるんですね。
楠  
一言で言うと福島をネタに公演をうつことなるのですから(そういうわけではないのですが)、いろんな気持ちになる人がいるのは当たり前です。特に内閣は、実際の中身よりも宣伝などの外面がチャラいですし。だから福島に行って「これはだめだ」と思ったら出演しないでおこうと思っていました。自分の良心と相談して。福島に行ったとき、コメディをやると言ったら「絶対笑えないから不可能」と言われたこともあります。私は、笑えないものから笑いを生むことはアーティストができることのうちの一つだと思っていて、高間さんはそれができる人だと思っています。だから参加を決めました。
笑の内閣
笑の内閣の特徴としてプロレス芝居というものをしています。プロレス芝居とは、その名の通り、芝居中にプロレスを挟んだ芝居です。「芝居っぽいプロレス」をするプロレス団体はあっても、プロレスをする劇団は無い点に着目し、ぜひ京都演劇界内でのプロレス芝居というジャンルを確立したパイオニアになりたいと、06年8月に西部講堂で行われた第4次笑の内閣「白いマットのジャングルに、今日も嵐が吹き荒れる(仮)」を上演しました。会場に実際にリングを組んで、大阪学院大学プロレス研究会さんに指導をしていただいたプロレスを披露し、観客からレスラーに声援拍手が沸き起こり大反響を呼びました。(公式サイトより)(公式サイトより)
KYOTO EXPERIMENT 2014 フリンジ企画 オープンエントリー作品 第19次笑の内閣 福島第一原発舞台化計画-黎明編-『超天晴!福島旅行』
公演時期:2014/10/16~21(京都)、2014/12/4~7(東京)。会場:アトリエ劇研(京都)、こまばアゴラ劇場(東京)。

タグ: 超天晴!福島旅行 生き方と世の中の為に動く


vol.381 楠 海緒

フリー・その他。

2014/春
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楠

こころをほどくとき

__ 
去年の「君の名は」の大阪公演。場所は大阪城公園でしたね。とても面白かったですが、後半の方はものすごくおどろおどろしくて疲れてしまったんです。特に、2Bさんの悶々としたダンスが凄くどんよりとしていて。一見ポップなのに、ネガティブな表現もあるんだな、と。もしかしたら、旅をする人だから受け入れられたいという願いと同時に受け入れる事にも強い。その姿勢がきっと作品の作り方とも結びついているんじゃないか。そういう姿勢があるから、ネガティブな表現にも通じていくのかなと思う。そこで伺いたいんですが、お客さんにどう思ってもらいたいというのはありますか?
五月 
どう思ってもらいたいというのはないですね。色んな人がいるから、やっぱりキツい世の中だから、何となく気持ちが固くなって身体も固くなって、周囲に遠慮したり気を使ったり、それで自分がイヤになったり、遂にキレてしまったり。まあ何か、どくんごの芝居に来て、笑ったり空を見たり、下らないなあと思って呆れたり、可愛い小道具を見て和んでもらったり。色んな気持ちになって、感情を起こして、気持ちが柔らかくなるといいな、自由になるといいなあと。そう思います。だから色んなタイプの表現を挿入していると思います。だけど、基本的には「ひっどい世の中だなあ」という(笑う)、基本的には、私の芝居の世界は暗いんですけれども。でも、暗いでしょうと言ってもしょうがないですけどね。
__ 
気持ちをほぐす。揺さぶっているんですね。では、自分の芝居をやる上で、総合的に心がけている事はありますか?ちゃあくんさんからお願いします。
ちゃあ 
いやあ難しいなあ、僕は芝居も初めてなので。基本的な事ですけど、ちゃんとセリフを言えて、僕だけの独りよがりにならない、お客さんを置いていかないで、イメージを伝えられるようにしたいです。
__ 
難しいですよね、「ひとりよがりにならない事」。
2B 
まあ、自分がやりたいシーンを作ってやっているので・・・僕は、「どうすか?」って姿勢でいます。見る人によって色々だと思うんですけど、色々考えてもらえたらいいというか。去年のダンスも、ネガティブに捉える人もいれば、笑ってくれる子供もいるし。舞台でやっている事を使って、考えてもらうという部分があるんです。
__ 
ああ、エンターテイメントとして終始するだけじゃなくて、深い部分にまで考えが突入していくような、そんな感じ。
2B 
考え事をしてもらえれば。そういう風になるには舞台上の僕とか作品が上演は強さがなければならないと思うし、そういう風にやっていけたら嬉しいと思います。
__ 
ありがとうございます。高田さんは。
高田 
あえて決めてしまわないようにしてるかもしれません。大声を出そうとすると、「自分は大声を出すのが得意じゃないか」ってキャラを決めてしまって、その場でがんじがらめになってしまって。それはあえて決めないで、探していこうと思います。つまりは柔軟に対応しようという事だと思います。
__ 
その場その場での判断。そこで集中していられたらいいですよね。
高田 
そうですね、その為に体とかのケアはしないといけないな。
__ 
ケア出来ていますか?
高田 
どうですかね。一応、体調を落とさないようにはしています。
__ 
石田さんはいかがでしょうか?
石田 
五月さんが言ったみたいな、色々な感情があるみたいなのが凄く好きで。私は健康優良児なのでそれを生かしていこうと。テントで後ろが開けていって、大きく大きく見せられるように。器用じゃないから大きく大きくしていこうと思います。
__ 
なるほど。石田さんを早く見たいです。根本くんは。
根本 
僕はまあ、扉を開いていこうと思います。切り込み隊長だとこの間言われて。そういうポジションにいるのかなと思います。お客さんの中に入って新しいスペースを作って。ぐわって上げて、そこにさらに他の人達が乗っかって。
__ 
扉が開く!
根本 
開ける!後は任せた、みたいな(笑う)。まあそんな事が出来たらいいなと思ってます。
__ 
開く。それがキーワードな気はしますね。今回、根本くんは脚本ですね。これまでのどくんご公演は、役者の方々が作ってきた一人芝居・二人芝居を構成した作品だったと思うんですが・・・
根本 
今回も作り方としては一緒です。役者一人ひとりが作ってきたものを出すんだけど、僕が書いてきた脚本があって。今回はSFという設定で書いたんだけど、そこを各自が勝手に拾ったり、自分のアレンジでやったりとか、その繰り返しでやったり、原型が無くなっていったりとか。最終的にはどくんごの芝居という形になりますね。
劇団公演第27番・The Naked Dog Tour 13 『君の名は』
公演時期:2013年5月~11月。会場:日本全国各地。

タグ: 器用さ・不器用さ 生き方と世の中の為に動く 役者のその場の判断 新しいエンターテイメント 心を揺さぶる ポカーンとなった観客


脱臼/村のアホウ者

__ 
風営法について。東京都の条例で、夜12時以降のクラブで客のダンスが違反になりましたね。その他にもタバコや風俗など、社会から遊びの部分がどんどん排除されていく、とてもヒステリックな世の中だと考えておりまして。それは公的な機関による圧力から、次は民意―大衆の暴力に移行していくだろうと。当然、表現の方にもそうした圧は及んでいくと危ぶんでいるのですが、宮階さんはどう思われますか?
宮階 
絶対良くないと思います。だってそれは、いまいる者を殺していく事でしょう。人殺しとほぼ一緒なんですよ。
__ 
そうですね。
宮階 
何によっての殺人かというと、動機は嫉妬、そして寂しさだと思っているんです。
__ 
寂しさ?
宮階 
例えば、今晩は大阪のヘイトスピーチのカウンターデモに行ったんですが、彼らは誰一人として強そうな人はいなかったんです。てっきり、怖そうな人がオラオラ叫んでいるかと思っていたら、なんかショボショボっとした人ばかりで。拡声器があるからようやく大きな声で「死ね」と言える。外に出てきたネトウヨを見ていて、なんか怒るというよりは、哀れだと思ったんです。彼らも、本当はしんどいんじゃないかと。そのしんどさの理由は韓国人や中国人や在日等の存在なんかじゃなくて、彼らの主張が「違うよ」と言ってもらえる人間関係がない事なんじゃないか。それはとても寂しい事で。親でも兄弟でも友達でも。
__ 
本当に宮階さんにお話を聞けて良かった。
宮階 
いえいえ(笑う)
__ 
私も少し前までネトウヨが嫌いだったんですよ。一見、頭ごなしのバカなポジショントークのように見えて、実は幼稚な感情論が底にあるところが。でもそれって、カウンターデモ側にも同じ状況があるんじゃないか?ネトウヨを攻撃する事で得られる達成感は、ネトウヨのそれとどう違うんだ?と。
宮階 
カウンターが発する罵声というのは、声の大きさや言葉にもよりますが、暴力性とはまた文脈も意味合いも違うと私は思っています。でも、私は個人的に怒鳴ったりは出来ないんですね。私はヘイトスピーチ側にもカウンター側にも、もちろん意思はカウンターですが、存在としては離れ小島や、村のアホウ者でいたいと思っています。
__ 
離れ小島。
宮階 
ヘイトの中にいるけれども「もう嫌だ、ここから出たい」と思ったら、意固地にならずに逃げていいと揺らいでいいと思える例として。そんな離れ小島。現場では、ヘイトとカウンターは対立する形で離れているんですね。間に警察がいて、カウンター側を睨んでいる。どちらも怒鳴っている。
__ 
ヘイト側もカウンター側も、どちらも相手を倒すために来ている訳ですからね。お互いを人間だと思えないぐらいの勢いで。
宮階 
私はそこで奇襲作戦を取るんですよたまに。
__ 
おお。それは。
宮階 
ある時のヘイトスピーチの現場では、人が沢山いるなかで、生け垣だけ誰もいない。そこで2リットルの水を撒いて水を差すというパフォーマンスをやったら警察に引きずり降ろされそうになって、すぐ引き上げました。大阪では、ヘイトスピーチ側では彼らの子供が壁になってたんですよ。サッカーのフリーキックみたいに。そんなの、もの凄く悲惨でしょう。私は怒鳴っている人たちの間で、ずっと道に迷ったフリをしていました。電話しているフリをしながら。みんな、ポカーンとして見ていて。
__ 
なるほど。
宮階 
私は脱臼させに行くんです。今日も大阪でやってきました。ヘイトスピーチ側が拍手して盛り上がっている時に風船を割ったんです。パーンって。警察に「ビックリするやろ」って言われて、「出て行けとか言われた在日の人たちの気持ち考えた事あんの?びっくりどころやないでしょう?」って言ったら「まあ、まあ」って。
__ 
なんかいいですね。というか、「水を差す」ところから回を重ねる毎に面白くなっていっていますね。
宮階 
遊び場なんです、私にとっては。乱暴に言ってしまうと。差別のような醜悪なものに、どの生命も削らせたくない。私にとっての怒りの変換です。有効な電波障害をしようと。
__ 
というより、そうなるべきなんです。あんなバカバカしい場だからこそ芸能が何かの役割を持ちうるでしょうね。
宮階 
彼らヘイトスピーチが掲げているスローガンは醜悪で、聞くに耐えない。当事者に矢面に立たせたくない。ばかばかしさをもってヘイト側に反射したるねん、て思います。出来るかわからないですけど。

タグ: 幼稚さについて 凶暴な役者 ヘイトスピーチ 生き方と世の中の為に動く 嫉妬心 「目の前で起こっている」 心を揺さぶる 正体不明のエネルギー 暴力 外傷・内傷


vol.333 gay makimaki

カウパー団。

2014/春
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gay

触れる機会、その希少さ

__ 
放映する作品のセレクションは、どのようにされているのでしょうか。
武信 
基準とか選定とかは特にしていません。単純に、公演が近くなってきたカンパニーさんから連絡を頂いて、という感じです。「ウチはあまり公演を打たないので、宣伝にしたいんですが」と。最初の頃は、僕が撮影した舞台で、僕が好きなものを放送してたんですけど、最近は依頼が多いですね。基本的には本公演の宣伝ですね。
__ 
何か素敵な基準があるのかなと思っていました。
武信 
やっぱり、作品の面白さを決めるのはお客さんなんですよ。だからランキングを付けたりとかは絶対しないようにしていますね。
__ 
SP水曜劇場をご覧になった方に、どう思ってもらうのが理想ですか?
武信 
世の中にはこんなに面白い演劇がたくさんあるんだ、こんなに面白いのがあるなら自分で探して見に行ってみよう、と思ってもらえたらそれが理想です。楽しい事はいっぱいあるよ、と伝えたい。
__ 
面白いものはいっぱいある。そうですね。
武信 
田舎に住んでいると、演劇に触れる機会なんて単純に少ないんですよ。思っている以上に個人の格差はあるんです。東京大阪に住んでいると「演劇なんて普通にあるでしょ」って思ってしまうけれど・・・
__ 
むしろ少ないくらいだと思っているぐらいですね。
武信 
実は、全く触れる機会のない地域がほとんどなんです。都会に住んでいても仕事や子育てで劇場に行けない事もある。みんなの状況はバラバラなんですけど、観たいと思っている人全員に機会があるのなら、そっちの方が楽しいんですね。オタクの発想ですけど、自分の好きなものが身の回りにいっぱいあると嬉しいんですよ。聖地のように祭り上げておくか、みんなで共有するかだったら、僕はみんなでワイワイした方が面白いし、そうしたいなと。

タグ: 演劇のない地に演劇を現出 生き方と世の中の為に動く


正しく生きる

__ 
末山さんがいま演劇を続けているのはどういう理由があるのでしょうか。
末山 
何でしょうね・・・。漠然とした話なんですが、正しく生きたいという気持ちがあって。その正しく生きるという事が自分にとって何なのか?と言われると困るんですが。正しく生きる事を考え続ける為に演劇が必要だと思っています。
__ 
逆に、演劇というフレームでどのような事が見つかりましたか?
末山 
大事な話は面と向かってしないといけない、という事ですかね。それと、自分の身の回りは一つ一つ切り分けて考えないとおかしな事になるよな。という事。演劇を作る上で作品を突き詰めて考えるというのは切り分けるという事と凄く繋がってくると思います。
__ 
脚本を書きたいという動機はどこから始まっていますか?
末山 
前は個人的な恨みつらみの捌け口として書いていたんです。でも、その内に、世の中これじゃいけないだろうと思い始めてきて。人の心の持ちようから、もっと世の中が良くならないものかと。たくさんの人に見られる訳じゃないし、街頭演説する訳でもないんですが、手が届くちょっとの人に、思いが伝わって行ければと思います。

タグ: 外の世界と繋がる 生き方と世の中の為に動く 捌け口として書いていた


出会いの連鎖

__ 
思い返すと、カラフル3というイベント。正気の沙汰じゃないですね。
大橋 
一時間の作品を一日八本、隣接する二つの劇場で3日間。舞監が3人いるというね。
__ 
お話を伺っていると、ご出身の愛知の演劇界への思いが動機の中心にあるように思いますが。
大橋 
やっぱり、地元が好きですね。何回かあったんですけど「大橋くん、俺本気になったよ。東京行くわ」って、演劇仲間が言うんですよ。本気になってする事ってつまり、仕事を辞めて東京に行く事なんですね。ここじゃなくて。住んでるところで結果を出せない奴が、アウェーに行って何かが出来るとは思えないんです。残念ながら、よほどの天才筋か才能集団でない限り東京に行ってもしょうがないんじゃないか。一方で創作環境は東京の方が豊かなのは間違いなくて、それを引き止めるのは躊躇われるんですけど。はっきり言うと、腹が立っていて。
__ 
ええ。
大橋 
ここでやろうや、と思ったんです。ここを日本の中心にすればいいんです。まあ、カラフル3は必死の努力にも関わらず結構な赤字を出してしまいましたけどね・・・。スタッフさんたちも本当に苦しい中で尽力してくれて、カンパニーも「こんな協力の仕方見たことのない」と言ってくれたのに。でも振り返ってみると、世の中に演劇を広めるという、自分の一番最初の動機と重なる部分があって。閉塞感に対して打ち勝てたところもあるのかな。
__ 
カラフルが大橋さんに残したものは。
大橋 
借金・・・
__ 
借金以外では。
大橋 
やっぱり出会いですね。名古屋を出るキッカケにはなりました。2年間京都にいって、福岡・金沢で仕事して、大阪に移って。BRAVA!に入ったのも、カラフルのお陰という面もあります。出会いの連鎖ですね。

タグ: 生き方と世の中の為に動く ターニング・ポイント


vol.280 大橋 敦史

フリー・その他。

2013/春
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大橋

同国の同時代にいる意味

__ 
iakuプロデュースの試みの一つに、大阪の演劇の発信と、他地域との交流を通した活性化があるとの事ですが、その狙いとはどのような。
横山 
今は、関西とか関東とかのくくりがある程度取っ払われつつあると思うんです。東京のカンパニーが自主企画で大阪公演するというケースも増えてきていたり、三重が全国のカンパニー招聘に力を入れていたり、福岡の演劇シーンが興味深かったり。ああ、これはもう、東京の小劇場とか関西の小劇場とかをもっと全国的なムーブメントにしていく時期なんじゃないかと。
__ 
時期。
横山 
東京からきたカンパニーに聞いてみたんですよ、何故大阪公演をしたのかって。一意見ですが、東京では頭打ちでもうお客さんが増えない、単純にもっと多くの人に見て貰いたいという事でした。正直言うと、大阪にそんなに大きなマーケットがある訳ではないですが、でも来てもらいたいです。それが、さきほど言った「分母」を生む事にもつながるし。関西にきて成功する劇団ばかりではないですが、少なくとも、僕が来てほしいと思った劇団には、何らかのアシストをしていきたいですね。これから関西にも、たくさんの演劇を輸入出来るように、地域との連携を深めていきたいです。その一助が出来ればと思っています。
__ 
と交換する形で、横山さんの書かれた作品も全国に行きますね。
横山 
そうですね。全国で自分の作品が毎月やっているようであればとても嬉しいです。関西にもまだまだ良い俳優がいて、厚い層があるという事を知ってもらいたいですね。
__ 
エダニクもサキトサンズも、全国ツアー中ですしね。私はどちらの作品も好きです。それが毎月、日本のどこかで上演されているというのは、考えてみれば嬉しいですね。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
横山 
iakuプロデュースは2011年から準備して、2012年は種まきの期間でした。2013年を迎えましたが、2014年までには、自分の作品が毎月日本のどこかでかかっていて。さらには、全国でどこでも面白い演劇が見られる状況に向けて、何か自分が関わっているようになっていれば。時間を区切ってしまうのは良くないんですけど、だらだらとは動けないし。出会った人と繋がっていき、地道にでも続けて行きたいです。単純に、各地の演劇人とつながるのは楽しいし。そこは攻めなのかは分からないですけど。
__ 
演劇から地方の垣根が取れて全国化するという流れ。当然の事ながら、各地に同時代の演劇人がいる事が実感できますね。もちろん、いないとは思ってませんでしたけど、いること自体に勇気づけられるというか。次のステージに行こうとしている段階を感じています。
横山 
世間全体が、飽きられる、飽きてしまうサイクルが早い世の中ですからね。それで自分達が諦めてしまう前に、飽きてしまう前に、時間を区切って挑戦していきたいです。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 境界を越える・会いに行く 生き方と世の中の為に動く 垣根の無い世界へ 今後の攻め方 地方における演劇の厳しさ 深めていきたい


__ 
私はここ3年ほど、一年に一回は必ず東京に来て演劇をみる旅行をしています。やはり、東京で作った作品にしか宿らないスピード感は感じるんです。これは気のせいではなく。京都はその環境から、宿命的に一つの作品や劇団に長い時間を掛けて向き合う事が出来る、というかそうせざるを得ない。それはきっと、東京にはない特性だと思っています。芝居のテーマが難しすぎて公演中止したケースが何件かあるぐらいです。
藤原 
へー。東京だとちょっと考えられないですね・・・・・・。
__ 
演劇人口が少ないという事が時間の流れの遅さに直結している。では、翻って東京は本当に向き合う時間なるものが短いのでしょうか?
藤原 
んー、観客も次々作品を消費して、「あー、これってこういう感じね? ○×に似てる」って確認するような作業に陥ってないかなあと。それと逆に作り手が焦っているということもあると思います。「失敗出来ない」と思ってる人が多いんじゃないかな。
__ 
失敗が出来ない世界。なるほど。
藤原 
公演の感想にしても、紙のアンケートであれば、手書きの痕跡が残ってしまうこともあって、作り手への最低限の敬意は払われていたと思うんですよ。ところがtwitterだと、リスペクトを欠いたまま適当に書きなぐったような感想まで含めてすべてが可視化されてしまう。あるいは空虚な賛辞ばかりが並ぶ。それはアーティストにとってはキツイ環境ですよね。気狂いますよ。ある意味、感性を摩滅させないとスルーできない。
__ 
検索すれば一瞬で出てきますからね。
藤原 
このままの環境だと、みんな保たないと思います。特に東京は異常。そういう状況からはまずは撤退ですな。
__ 
きっと、東京に演劇人口が異常に多く、それが流行とか、シーンが伝わって消費?されるスピードを上げているのかなと思うんです。いくつかの劇団や一つの作品のみを意識するというのは、環境からしてとても難しいであろうと。
藤原 
東京では毎週末、イベントがあちこちで勃発していて、観客は膨大な情報からの取捨選択を常に迫られている。これだけでも多大なストレスだと思います。やっぱ人間、そんなにたくさんの情報は受け取れないと思うんですよね。一定量を超えるとシャッターを降ろしちゃう。未知のものへの好奇心を失ってしまう。それは世の中をつまらなくしてしまうんで。最近編集者として考えているのは、その情報量やノイズをいかに的確に縮減するか、そしてそこからどんなアクロバティックな回路をつくるか、ということです。
__ 
藤原さんのように、物理的にその量をコントロール出来る立場は理想なのかもしれませんね。

タグ: 生き方と世の中の為に動く 時間停止都市としての京都 アンケートについての話題


ボール

__ 
橋本さんは、今度どのように攻めていかれますか? 
橋本 
まず、攻められるような体力を身につけなければいけない気がする。具体的な意味でも抽象的な意味でも。やっぱり新しい物を考えたり、人と付き合って仕事したりする時にはスタミナがなければいけない。それから、抽象的な意味で知識のストックが足りていないなと思っている。勉強したいな。
__ 
勉強ですか。座学という意味での? 
橋本 
色々かな。とにかく、今世の中で何がどのような背景を持って起こっているのかを知らなければ、色々な作品を作る、あるいは見る目が養えないと思っていて。
__ 
自分達の置かれている世の中の状況を知らなければ創作なんて出来っこない、という事ですか? 
橋本 
うん。創作活動って、球を外に向かって投げる事だと思うんだけど、どこに向かって投げるのかを見定められていないと、その球の投げ方が分からない。強いのか、早いのか、軽いのか、駄目なのかの判断すら付けられない。野球だと、ストレートはどんな状況でもストレートかもしれないけれど、表現活動は状況が違えばストレートだと思って投げていたものが実はそうでなかったという事もありえるんじゃないかと思うんですよ。

タグ: 背景が浮かびあがる 生き方と世の中の為に動く 今後の攻め方


vol.86 橋本 裕介

橋本制作事務所。

2006年以前
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橋本

領域外

___
その、これはお聞きしていいかどうか微妙なんですけど。えー。ダンスって言葉がないですよね。そういう事に制限を感じてしま訳で。言葉がない、さらに抽象性の度合いが高くなってくると、理解のハードルが高くなり、エンターテイメントとして楽しめなくなっている観客も出てきてしまうと。
砂連尾
その辺を、どう認識して活動しているか、という事ですよね。
___
ええ。
砂連尾
色んな答え方があると思うんですけど。えーと。
___
はい。
砂連尾
私の実感として、言葉で全てが語れる訳ではないということはまず前提となっていると思うんですが、でも、まあ、分からないという事はある意味恐怖になるというのは分かります。
___
ええ。
砂連尾
これは僕がニューヨークに留学してた事と非常に関係があると思うんですが、ニューヨークに初めて行ったのが25歳の頃だったんですよね。その時、私個人の状況は日本ではそんなに舞台芸術とか音楽を観たり聴いたりする機会が限られていたので、少なかったんですが、まあ、アメリカはブロードウェイから前衛ものまで多種多様にあり、そして何より日本より格段に安く観れたんですね。渡米当初は向こうに友達もいないで行ったので、毎晩劇場に行くのがレッスン以外では楽しい事だったんですよね。数としてはかなり行ったと思いますよ。僕、ニューヨークフィルの会員にもなってて。音楽・オペラも含めたら2~300の公演に行ったんじゃないかな。
___
ええ。
砂連尾
ほぼ毎日見てるという週が何週も続いたり。言葉が分からなかったり音楽の予備知識も少なかったので元から作品の内容を分かろうとしない所から入ったんですよね。とりあえず意味的に理解しようとするのではなく、先ずは感じようと。例えば、クラシックとかではベートーヴェンとか知ってる曲は聴けたけれども、そうじゃない初めての曲や現代音楽って最初はしんどい訳ですよ。
___
知らない曲って、どれも同じに聞こえてしまいますね。
砂連尾
でも会員になっちゃうと演奏が分からず楽しめないのは勿体無いから、聴きに行く前にCDを借りて聞いたり、オペラとかだと年に何回か同じ演目をやるから複数回行って、同じ曲や演目に触れる機会を多くするわけね。そうすると、以前には気付かなかった旋律に気付くんですよね。それから、そういう楽しみ方を音楽以外にも当てはめていくようになったんですね。例えば、バレエだったら、同じダンサー、同じ演目でも体の動かし方が違ったり。そういう事に気付いていく事が、何か凄く楽しくなっていったんですよね。
___
なるほど。
砂連尾
楽しみ方ってのは色々あるし、そういった意味では、その、分からないと言ったことがあんまり絶望的なことではないなあっていうか。分からない事から、自分なりの見方、感じ方を作る第一歩が始まるっていうか。
___
ええ。
砂連尾
世の中、舞台の数は限られていて、その日見てつまんなかったらもう観に来ない人はいっぱいいる。私達の舞台にしても、こちらがその日の為にしっかりとコンディションを整えて本番に臨んでも、分からないと思われる事は充分あり得る訳で。ただ、分からない事から始まる可能性を信じ、それでも、なおかつ理解出来ないと言う結果ならばそういう縁で仕方ないと思うことにして。言葉の領域外のもの、抽象的なものが、この世には一杯あるという事を伝える手段が、舞台芸術、とりわけダンスには非常にあると思っています。
___
なるほど。
砂連尾
だから分かりにくい事に対して、そんなに悲観的ではない。もちろん、非常にマイノリティ的な発想かもしれないけれど。言葉が通じない中での、他人の仕草だとか表情だとか。そういうもので凄く幸せに感じた事もあるし、言葉ってコミュニケーションでありながらディスコミュニケーションにもなりえちゃうって言うか。
___
誤解を生み出しやすいとか、そういう事ですか?
砂連尾
うん、そういうのもあるし、例えば日本語だったら、日本語を喋れない人からしたらそれはディスコミュニケーションじゃないですか。
___
はい。
砂連尾
で、えっと、そういう事になったら別に言葉が絶対に一番理解しやすいものじゃないんじゃないかなと。
___
言葉を意図的に排除するという考え方ではなく、言葉のない世界のコミュニケーションもあるという事ですね。
砂連尾
それも人間としては重要だろうと。言葉も重要だけど、そうじゃない世界も重要だなと。別に体のコミュニケーションが一番とは思ってないですが。

タグ: 稽古とコミュニケーション能力 生き方と世の中の為に動く 新しいエンターテイメント


当然

__
コックピットとか、大陪審の黒木さんのナビゲート役はいいですよね。好きです。
黒木
ありがとうございます。山形ね。
__
ああ。
黒木
いやー、いい仕事してると思いますね(笑う)。
__
ええ。
黒木
本当にね、あれは完成が遅れてしまって・・・。そうそう、最近ね、いい仕事をしているかどうか。これが世の中の基準になって。
__
いい仕事。
黒木
お客さんにお金を払って見に来てもらってるわけで。それは凄く。大きな話ですけど。
__
いえいえ。僕も、何かの職人っていいなあと。いい仕事をして当たり前、のヒロイズムというか。この前、ある人と話していて。その人はベトナムを見てああ、ありだなと思ったそうなんですよ。社会人でも、芝居はやり続けられると。大変だろうけど。
黒木
私は、蓮行さんが言う職業的演劇人っていうのがあまり理解できなかったんだけど。最近はそれはそれでいいかなと思えるようになった。もちろん、保障も何も無いけど。それでバイトをやめる時も、言い出し易かったし。それはそれで難しいこともあるけど。個人事業主としてやっていくていうのは。

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