生きている、そして立ち上がる・・・

__ 
戒田さんにとって、魅力的な俳優とは?
戒田 
登場人物の人生をきちんと生きれる俳優。それに尽きますね。文法はアングラでもエンタメでも、静かな芝居でもいいんですけど。脚本を使って人間を表現出来る俳優じゃなければいやだと思っています。そういう人だけ集めているんですけどね。
__ 
台詞の言い方だけ研究している役者は、正直すぐ分かるし、ちょっと注意して観れば役作りの深浅も分かってしまいますからね。誰にでも。
戒田 
最後は俳優自身の人間力だと思うんですよ。舞台に如実に現れるんですよ。「上手にはなったら宜しいがな」とは思いますけどね。でもどういう経験をしてきたかは如実に出てくるんですよね。
__ 
ごく個人的には、観客からの見え方を研究して工夫してくれればもう、良いと思えてしまうんですよね。
戒田 
仰る通りです。
__ 
演劇は、その場に集う事から始まる。であれば、他者の思考の流れくらいは想像して作り上げてほしい。他者の認識に素直になるにはまず自己の素直な気持ちで今の役の気持ちと同調するのが大事で、そこには役者自身の経験や人間力がとても大切ではないかと思っています。
戒田 
ええ。
__ 
満月動物園は個人に陶酔し生死を全うする場所なので、つまり、役者自身による総力戦でもありますよね。尽くされたものを観たいと思っています。
戒田 
役に関しては俳優が専門家であるべきだと思っています。演出ではなく。だって、一人一人の役について演出家がそれを掘り下げていくんなら、何故役者を呼んだんやという話になってしまう。必要な時はやってますけど、でもやっぱり僕とは違う感性で掘り下げてもらいたい。
__ 
必要な時。
戒田 
あまりいい時じゃない(笑う)。
__ 
役の演技について、戒田さんから何も言う事はない?
戒田 
稽古の仕上げの段階では言いますが。序盤ではあくまで、「こういう面があるんじゃない」とか「こうも考えられるよね」という事を提示し続けます。俳優は役の専門家なんだから、全ての可能性を考慮してその中から選択しないとダメだろ、と。人間を描く担当でしょ、と。俳優の中から人間が立ち上がってお客さんの前に寄っていく段階になったら、作品を整えるという意味で指示を出したりしますね。役者の中で登場人物が動き出さないと、物語になりえないので。
__ 
満月動物園は、俳優にとってはやりがいのある環境でしょうね。
戒田 
そこにやりがいを感じてもらえる人が俳優でしょうね。・・・あえて足しておくと、登場人物が生きているというのはあくまで土台で(笑う)。
__ 
それはもちろん。最終的には・・・いや、作品によって違いますけど、向こうの世界に全員で行けたら、まあある程度は成功かな、というぐらいじゃないですか。だからこそ土台作りが重要ですけどね。
戒田 
そうですね。

タグ: 演技は出来てなんぼ 役者の認識(クオリア) 演技を客席の奥まで届ける 俳優自体の人間力 工夫する俳優 役作り=個人の人間力 俳優を通して何かを見る


全員もうガチガチに緊張してたなあん時。ウケたわ

__ 
KING&HEAVYLINX'S PRIME参加作品、「ダディ×ダディ」を拝見しました。とても面白かったです。シーン演出を狙ったところに落として行っている感覚があって見応えがありました。その、次はどんなものを見せてくれるのか凄く楽しみです。ご自身達としては、どんな経験でしたか?
飯嶋 
ありがとうございます。LINX'S PRIMEというイベントに参加しての感想ですよね。色んな表現とそれに対する様々な評価というものが与えられるのを目にしたのがまず印象的で。「面白い」には色んな形があって、結局「面白い」って何なんだろうというのが分からなくなりました。自信があるものを持っていっても「つまらない」と言われたり、その逆もあったり。じゃあ万人受けするのってどこなんだろうって、ちょっと迷いましたね。日によってウケも違うし。改めて、演劇って難しいなと思いました。
伊藤 
マジメに答えてるな(笑う)
飯嶋 
そういうもんやろ(笑う)
__ 
和田さんはいかがでしたか。
和田 
出演している6団体の中では一番広範囲にウケてたんじゃないかと思います。匿名劇壇さんは別格として、幅広い層にアプローチ出来る芝居としては間違った作りではないんじゃないかなと思います。犬串さんはおもしろすぎましたけど(笑)ちなみに僕は、その時はまだ正式なメンバーじゃなかったんですけどね。
__ 
なるほど。伊藤さんは、本番の舞台に立っていての実感は。
伊藤 
これまで学生劇団や有名な劇団さんの舞台に立ってきたんですが、知り合いやファンの多い舞台とは全然違う雰囲気でしたね。初めてのお客さんばかりで、プレッシャーを感じました。ショーケースイベントのトップバッターで、「どんなもんなんじゃい」っていう目線だったんだと思うんですよ。初日とか僕らガッチガッチで、台詞を噛むは終演後のインタビューも出れなかったり。
飯嶋 
その時のインタビューは伊藤だけ出ましたがやっぱりガッチガチで喋れなかったです。
__ 
コンディション的な部分があるんですね。私が拝見した回は大幅にウケていました。
飯嶋 
だから逆に、フラットな状態でいけたのは有り難い経験だったとも言えますね。このプレッシャーの中ぶちかませればいいなあと、そんな話もしていました。20分の中に無理矢理ダンスもねじ込めたし。お客さんを躍らせるみたいな事が出来ました。
__ 
そうそう。個人的には結構、ねじくれた趣味の演出があってそこが嬉しかったですね。人物が出てきて、役目は終わったのにハケずにずっと残ってたりとか。そういう変態的な演出が好きなので印象的だったんですよね。そういうひっかかりとか工夫を観ると嬉しいですよね。
飯嶋 
それから、ものすごくたくさんの仲間が増えたというのが大きかったんですよね。演劇やってる仲間。今度、劇団ほどよしの人たちとご飯行くんですよ。横の繋がりが広がったなと思いますね。もうなんか、プロデューサーの石田1967さんの思惑通りですね。KING&HEAVYの結成も石田1967さんがきっかけだったんですよ。
LINX’S PRIME
公演時期:2014/9/27~30。会場:TORII HALL。

タグ: 自信がない 工夫する俳優 ガチガチな身体


今、手の届く距離にかの人がいること

__ 
最近、演技をする上での気付きを教えて下さい。
西村 
私は大阪生まれですけど秋田育ちなんです。私って、勢いがある感じではないんですけど、でも得意な分野はあるはずなんです。それを大切にしたいです。あと、そこに流れている時間にどれだけリアルにそこにいれるか。本当に心を揺らして存在していたいです。
__ 
難しい領域ですね。
西村 
パワフルなのもリアルなのも両方出来るようになりたいですね。
__ 
一つ一つの演技、そのどれもが替えの効かないものであって欲しいですね。替えが効く役者なんて基本的にはいない筈なんですけど、でも替えが効く演技みたいになっているのを見ると悲しくなりますよね。そのステージのその時間にしかありえないことの為の工夫を見たいと思っています。西村さんは、女優としてどんな演技が出来るようになりたいですか?
西村 
何か気になって見てしまう、そんな人になりたいです。
__ 
なるほど。
西村 
舞台にいっぱい人がいても目が行ってしまって、自分の存在が伝わったら嬉しいです。あの、私、右脳左脳テストで、左右脳らしくって、理論的に捉えたたものを感覚的に表現しているみたいで。私の言っている事伝わるかなあ。
__ 
分かりますよ。何か見てしまう、上品さが西村さんの演技なのかもしれない。悪目立ちじゃなくて、洗練されていると言えるのかな。
西村 
そう、そうですね。魅力的になりたいんです。

タグ: 目を引く役者とは 工夫する俳優 今、手が届く距離にかの人がいる事


全ては二人のために?

伊藤 
一人芝居、初めてなんですよ。最初はメチャクチャ戸惑いました。今まで僕は、相手のリアクションで演技していたんだなと。相手役に応じてセリフを返しているだけの演技は、自分には楽だったんですね。一人芝居だと相手の演技を自分の中で作って、その上で自分の演技をしないと行けないので。最初の内はだいぶ戸惑いました。
__ 
もの凄く難しいですね。そして、とても面白そうですね。
伊藤 
舞台上にはもう僕一人しか居ないんですよ。大きめのクッションを一つおいて、それだけなんです。気恥ずかしいし、照れがなくなるまで一週間くらい掛かりました。
__ 
最初の1分は少なくとも、一挙手一投足がお客さんに受け止められるでしょうね。そういう時の観客って面白いもので、工夫して作ってきた所があったら、絶対認識するんですよ。もちろんラッキーパンチはあるけれども。
伊藤 
僕が演技していて、ふっと出てくる面白さや、僕の事をよく知っている延命さんが考えて作ったネタがあるんです。さっきまで通しをしていたんですが、・・・大丈夫かなあ(笑う)。頑張ります。頑張ってます。一人芝居なので、お客さんを集めるのが大変なんですよ。これで西部講堂がガラガラだったら・・・。
__ 
ガラガラでもいいじゃないですか。私、たまたま客席が自分一人だけ、みたいなそんなシチュエーションに憧れていて。ガラスの仮面の「忘れられた荒野」の1ステの時みたいな。
伊藤 
それ、やってる方は大分キツイですね(笑う)それが一人芝居だったらもう・・・お客さん一人に役者一人。
__ 
最高のコミュニケーションじゃないですか。その二人の為だけに、舞台・照明・音響・演出が用意されているんですよ。
伊藤 
それでお客さんが寝ちゃったらキツイですね。

タグ: 恥ずかしいコト 工夫する俳優 北島マヤ


vol.353 伊藤 泰三

フリー・その他。

2014/春
この人のインタビューページへ
伊藤

ずっと残ってる、私の中に

__ 
私が小刀さんを初めて見たのは「タケミツナリタ」でしたね。あの幽霊役はとても面白かったです。
小刀 
ありがとうございます。でもわたし、普段から幽霊っぽいと言われてしまうので。大熊先輩から。あまり存在感がないというか。だから、作らずにナチュラルにやってましたね。
__ 
小刀さんが、舞台で好きな瞬間はどんな時ですか?
小刀 
舞台に立っているだけで好きなんですよね。さまよっているだけでも。もちろん、パフォーマンスが上手に出来た時はとても嬉しいです。
__ 
なるほど、それは嬉しいですよね。これまでの壱劇屋で、最も自分が輝いたのは。
小刀 
SquareAreaで、走馬燈のように舞台が回る演出の時ですね。お客さんが泣いている音が聞こえたり。あの時は多分、輝いていたと思います。
__ 
壱劇屋は工夫が多いですよね。
小刀 
うちは段取りが多いんですよ。舞台上でも裏でもバタバタしてます。ダメ出しも、演技よりパフォーマンスに関する事の方が多いので。一度、出とちって小道具を出し忘れた事があって、マイムで何とかしてもらった事もあります。
__ 
大変ですね。1年ゆっくりと時間を掛けて一つの作品に集中してみたらどうですか?
小刀 
それはやってみたいですね。
__ 
でも、途中で飽きそう?
小刀 
飽きますね、きっと。
劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!~人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ~」
公演時期:2013/2/23~24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。

タグ: 泣く観客 壱劇屋の無謀さについて 工夫する俳優


ホンを書く高校生

__ 
坂本さんがお芝居を始めたキッカケを教えて下さい。
坂本 
私は大阪府立寝屋川高校に入学しましてですね。そこは文化祭を頑張る不思議な高校でした。3年になったら演劇やらなあかんやろという風潮になるんです。2年以下は体育館ではなく小さい講堂で「小劇」というのをやったり、映像作品を作ったりするんですね。高校一年生のとき、私達のクラスはHIVに感染した女の子の話を映像作品としてやる事になって。4人で台本を書く事になりました。女の子本人を主人公にするのではなく、クラスメイトの男の子の目線から描こう、というアイデアが出たりして。皆なんて頭がいいんだろうと感心してました。台本は4分割して書く事になって、私は最後のパートを書きました。
__ 
それが最初の脚本だったんですね・
坂本 
自分のノートにバーっと思いついた事を書いたんですよ。それを、先生が「見せなさい」と、一つ一つ添削してくれて「ここはとても良い」とか「ここはもう少し考えないとあかん」と。ありがたかったですね。撮影を終えて編集を始めるとこれが大変で、規定時間に収まらないとか、エンドロールが入らないとか。そうした困った事が、工夫によって上手い演出に転化していくのが超面白くて。台本楽しいとなって、もっと書きたくなったんですね。

タグ: 文化祭前夜 書いてみたいと思った 工夫する俳優


BRDG vol.2『TEA×HOUSE』

__ 
「TEA×HOUSE」。物語というよりも、取材で得た資料を再構成して作品化しているという事ですが、そうした作品を作っているのはどのような理由があるのでしょうか。
山口 
まず、私は物語が作れないんですよ。自分からはどうしても出てこない。紡げないし、自分よりも大きなものが沢山あるとずっと前から思っていて。紡ぐよりはどう吸収するか、が私の表現だと考えています。舞台に出る時も、自分から表現するというよりも何かに動かされる事が多いですね。外の要素だったりとか、もちろん共演者、環境、お客さんにも動かされるのが好きなんです。受動的な・怠惰な態度ではなくて。作品を製作する時も、世界を解釈をして変換して、つまり通訳してそれを違う言語に出力する。そういう事に興味があります。私は別に作家じゃないと思っています。紡げないので。外と接する作品を作りたいと思っています。
__ 
個人が世界と接する作品。
山口 
個人と他者が、どう接するのか。いい悪いじゃなくて、そこを観察したいですね。
__ 
ありがとうございます。私は最近のテーマとして、情報は読み手の創造性を以って初めてその価値を成立させると思っています。だから、山口さんの仰っている事はそうした観客にはきっと歓迎されるかもしれません。しかし、観客という他者が、舞台上の世界を常に受け止めてくれる訳ではありませんよね。積極的になるかもしれないし、消極的になるかもしれない。むしろ、敵視してくるかもしれない。
山口 
そうなんです。他の人にも、それが美しいと思ってもらえる為の工夫をしないといけないんですよね。やっぱり、お客さんの感想が分かれるんですよ。「全く意味が分からなかった」と、「もの凄く面白かった」と。それは、どちらも当然返ってくる反応で。分からない=面白くないと見なすのは当然じゃないか、って私も思ってしまう時があるんです。だから、もっと作り手として、「これがキレイだよね」と紹介するだけのものじゃなくて、「何故そう思えるのか」が分かる。そんな、もっと面白く見てもらえる仕組みを考えださないといけないと感じています。
__ 
余談ですが・・・「TEA×HOUSE」で、非常にスリリングで面白いと思ったシーンがあります。スコーンが焼けるまでに、若干時間が余りましたよね。その時に舞台上で二人の出演者が暴れまわっているという場面がありました。時間稼ぎだと気付いた瞬間、ものすごく面白かったんですよ。物凄い可愛らしい時間でしたね。チャームポイントだったと思うんですよ。何か、お客さんに渡してあげたゆとりのある時間というか。
山口 
素敵に思って頂けるのは嬉しいですが、そこに甘んじる事無く(笑う)スコーンを焼く間の時間で作品を収めようと決めていたんですが、出演していたブリジットが「焼き時間を短くなんて出来ない」と言ってくれて。だからどうしても。辛かったお客さんもいたかもしれません。
BRDG vol.2『TEA×HOUSE』
公演時期:2013/4/26~28。会場:京都四条大宮滋野宅。

タグ: 色んなものを吸収 外の世界と繋がる わたしの得意分野 ユニークな作品あります 工夫する俳優 「目の前で起こっている」 受け入れる・受け入れられる 世界 その題材を通して描きたい 焦点を絞った作品づくり


意図

__ 
天狼ノ星で印象深かった殺陣。地の章で、森さん演じる鷹の王ニソロが弓と刀の二刀流で戦った時、ニソロが倒した敵の背中に刀を突き立てて、しかも背中に足を載せて、弓をつがえて離れた別の敵を攻撃してたのが物凄くカッコ良かったんですよ。あれ、倒れてる人が協力してましたよね?
為房 
そうですね。してないと出来ないですね。
__ 
刀を脇に挟んで、真っ直ぐ立てていました。大変キレイでした。あれは素晴らしかったです。
為房 
アレは森君が考えた筈です。僕と河瀬さんがアイデアをちょっと吹きこみつつ。背中に足を載せるのは僕のアイデア、刀と弓矢の二刀流にしたのは河瀬さんのアイデアですね。
__ 
素晴らしかったです。為房さんが思い入れのある殺陣はどれでしたか。
為房 
自分の個人戦よりはアンサンブル戦ですね。集団戦が好きで。槍で狼の軍と戦う時。槍を使うのは初めてだったんですが、思いっきり振らせてもらいました。良い意味で自分勝手にやらせてもらえたのは貴重でした。それから、自分がアイデアを出したシーン。シュマリ隊長が死ぬ瞬間をいじらせてもらいました。セタの前で隊長が槍に貫かれるんですが、その切っ先がセタの目の前に来るようにしてもらったんです。そういう、ドラマのある立ち回りの一枚絵にはこだわっています。
__ 
切り結ぶだけじゃなくて、ドラマがある。
為房 
何て言うんですかね、ただキレイでカッコイイだけじゃない、人の感情が動く殺陣が僕は好きですね。
__ 
それは、ある種、殺陣こそが行ける領域なんじゃないかなと思うんですよ。身体の動きに物語がまとわれる訳で。抽象的なダンスだと意味に揺れが生じ、演劇的所作だと現実が近くなる。
為房 
普通の立ち回りだけだと、慣れてくるんですよね。目が。最初は刀でガンガンと打ち合わせていてもいいんですが、慣れてきてしまうと、具体的な意図がないと見続けられなくなるんです。感情的な動きでなくても、彼らの行動に理由付けが見えると、それだけでお客さんには強く伝わると思うんですよ。例えば何かの事情があって刀を使わずに斬り合っていて、別の事情と理由が生じて投げ渡された短刀で相手を斬れる、とか。ただ刀を振っている訳じゃない、というのが伝わるのが、ZTONの個性に繋がると思っています。
__ 
有効な筋立て、という事ですかね。物語、殺陣の組立、それらを組み上げる演出が咬み合って、それでようやく見応えのあるものが出来るんだと思います。

タグ: 工夫する俳優


咲かないバラ

__ 
あ、作品についてもっと話したくて。
森口 
そうですね、全然喋っていませんでしたね。話しましょう。
__ 
「薔薇にポケット」で凄く工夫されていて驚いたのが、後ろの布地に小道具というか、アップリケをマジックテープで貼り付けて書き割にして、それが絵本のようになるという発想がとても可愛らしいですよね。花で出来たアーチとか、お祭りの風景とか。あれを考えたのは。
森口 
私です。舞台装置をどうしようと思っていたんですが、ページをめくるようなイメージでした。それらを貼り替えるというのなら出来そうだし、絵を描くのも好きなので。背景が変わったら面白いなと思ったんです。何もないところに重ねていくとか、減っていくのが面白いなと。
__ 
あの美術、凄く効いていました。
森口 
ありがとうございます。
__ 
絵本という世界観を一瞬で説明してくれるし、その中で行われる演技もとても絵本調なのに嫌らしくなく決まっていて。感心したのが、場面転換の時、俳優の一人が前に出てきて次の場面の説明をボードでするんですが、その時に後ろを気にする演技をしますよね。それが凄く良かったんです。
森口 
あれはみんなでやってもらったんですが、イメージとしてはニワシティの住人や妖精というものでした。
__ 
いや、何か言葉で言うとありきたりかもしれないんですけど、それを実際に目にすると何故かものすごくびっくりしたんです。だって、あまりにも当然というか、あんなにハマっているメタ演技はないんですよ。そこに演出の手つきの良さを凄く感じたんです。
森口 
そういうのがパプリカンポップでやりたい事なのかなと。もちろん大人向けの作品なんですが、子供が観ても大丈夫、というのを結構意識しています。あの役割も、私がこういう事をやりたいと言っただけで、解釈してくれたんですよね。
__ 
「薔薇にポケット」じつはちょっと、悔しかったです。
森口 
悔しい?
__ 
正直、最初の10分間ぐらい、子供向けの何かだろうと思ってたんですよ。その後の予定があって、ちょっと焦った気分で見ていました。なのに、それが凄く調和されて作られているものだと分かって。
森口 
ありがとうございました。
__ 
結局、赦しの話だったと思うんですよ。咲かないバラが秘めているものが、彼女の思いそのもので。裏切りにあっても許すというのがすごくいい展開ですよね。
森口 
はい。それもテーマの一つでした。

タグ: 子供が見て喜んで、且つ同時に批評家が唸ってしまう 工夫する俳優 調和の価値 世界観の作り込み 作家の手つき


切り下ろし・切り上げ

__ 
ステラさんの殺陣はとにかくキレイですよね。
焼酎 
ありがとうございます! 運動部に入った事もないので、初めて殺陣のある作品の時は毎日素振りしていました。
__ 
大変ですね。
焼酎 
ずっと独学で、切り下ろし・切り上げと鏡の前で練習していました。今も、イベント業務に出させてもらう中で勉強しております。
__ 
イベントに出られる事もあるんですね。
焼酎 
この間は静岡で、三方ヶ原の合戦を再現するイベントがありました。そこで役者として呼んで頂いて、芝居と殺陣をさせて頂きました。
__ 
すごいですね。
焼酎 
一騎打ちのシーンで、名乗りを上げて殺陣をさせてもらいました。最近は、そういう風に声が掛かる事も増えてきて。
__ 
すばらしい。そうそう、「月黄泉の唄」でのステラさんの刀裁きは良かったです。相手の目の前に刀をピッって突き付けたり。
焼酎 
女の子はあまり背が高くなく、手も短いので、抜刀する時は腰を落として抜いたりと工夫するんです。まだまだ、勉強中です。

タグ: 工夫する俳優 劇団ZTON、参る


[model:unkei]

__ 
私が初めて世田谷シルクに出会ったのは去年の末でしたね。15 minutes madeでした。あの時の作品、面白かったです。
堀川 
ありがとうございます。
__ 
先ほどワークショップの件で仰っていた通り、俳優がモノローグを言う時には客席正面にまっすぐに向かっていましたね。堀川さんにとって、俳優にそういう台詞の出し方を求めるのはどうしてですか?
堀川 
普通に台詞を言うのは面白くないなと思っていて・・・私は元々、山の手事情社という前衛的な作品を作るカンパニーに研修生として入っていたんです。だから演劇の面白さを追求する時に、普通は気付かない角度から考えるようにしているんだと思います。
__ 
なるほど。
堀川 
あの作品では他にも、背景に文字が流れたりとか出演者が懐中電灯で自分を照らしたりとか。会話シーンも、内面の吐露だけではなく、見せ方を色々工夫してた気がします。
__ 
確かに、会話シーンはあくまで構成要素として扱われていましたね。
堀川 
対話は本公演でもやるんですけど、ぱっぱと切り替わるような、身体表現やダンスがめまぐるしく変わる構成にする事が多いです。
__ 
ああ、だからちょっと不思議な感覚だったんですよね。映像アート作品をみている感覚がありました。
15 Minutes Made
東京の劇団・Mrs.fictionsによるショーケース公演。6団体がそれぞれ15分程度の作品を上演する。

タグ: 「異なる角度から」 工夫する俳優 前衛は手法から作る人々を指す


振り向くんだ

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蟻さんが演劇を始めて、今続けられている結局のところの理由とは。
蟻  
たどり着けないから、ですね。一番最初は気持ち良くなりたかったからなんですよ。でもやっていくと、その時に想像していた気持ちよさからどんどん離れていく。
__ 
経験とともに上達していく内に、ハードルが高くなっていく。
蟻  
気持ちよさを求めて、感覚に忠実に作品を作っていくと行き止まりが来るんです。人間は結構バカだから、感覚だけを頼って創造していてもやはり破綻するんですよね。それが面白くなくて。例えば、ハリウッド映画のつまらなさって、絵コンテ通りにできてしまうことだと思うんですよ。誰かの指示通りにCGで出来てしまう。
__ 
現場の工夫や遊びが入る余地がなくなる。
蟻  
そうそう。香港映画となると当然そんな予算も技術もないからワイヤーアクションで何とかしようとする。でもワイヤーアクションには見えないように作りたいわけじゃないですか。ここで、そのシーンで見せたい本質的なものは何かを問い直す作業がもう一度生まれるんですよね。
__ 
手間がある分、何がやりたいか今一度振り向かざるを得ない。
蟻  
CGだといきなり、何がやりたいのかわからないままに人を飛ばせるんです。飛んでる時のいつ落ちるか分からないスリルを見せたいのか、風を切る感覚を見せたいのか、そんな議論がされずに済んでしまう。でも、制限のなかで工夫を重ねるうちに磨かれるものもあると思うんですよね。舞台の面白さもそこから発生すると思います。
__ 
舞台は物理的な制約が多いですからね。
蟻  
最初のインスピレーションだけに従って創作すると、自分自身が本質を見失ってしまう。それは良くなくて。当初のイメージがなぜそういうベクトルをもっているのかを見直す作業をするんです。しながらも、身体感覚には忠実にという感じですね。
__ 
そこに辿り着けないから続けていると。
蟻  
まあ納得いかないですからね。今の段階でいくらでも改革の余地はあると思います。とにかく、お話の部分は丁寧に。表現の部分は失敗を恐れずに色んなものを取り入れてやっていきたいなと思います。

タグ: 工夫する俳優 自分は何で演劇を