いつか瑞々しく

__ 
ダンス・ファンファーレでの高嶋さんとの対談を拝読しました。その時からは変わっているかもしれないんですけど、高木さんがダンスを踊る理由というのは?
高木 
確かにあの時とはまた少し違ってきていて。段々自分に対してストイックじゃなくなってきた。それは自分にとってはポジティブな変化で。動く事を純粋に楽しむという事をやりたいなと思っているんです。自分の中にある澱みたいなのは消えないんでしょうけど、そうじゃない部分を拾い上げられるようになってきたんじゃないかと思います。瞬間、瞬間、自分にオープンになれるという事を楽しむようでありたい。
__ 
突然ですが、私は高校演劇をやっていてですね。役者でした。
高木 
えー!
__ 
夏にですね、静岡の高校の演劇部が集まって東京のプロの劇団と一緒に作品を作るんですよ。そこで自分、ウケました。
高木 
へー!
__ 
多分、そこには違った意味での瑞々しさがあったと思う。内輪イベントとは違う、同世代・演劇部、という共通項の連帯感があって、そこで「本番」という共有する創作物があったからだろうと思うんです。我々はあそこへは二度と行けない。しかし、手放された瑞々しいその振り付けは我々をもう一度遠い夏に連れて行く事も出来るだろう。ただし観客にも相応の姿勢が求められるんでしょうが。
高木 
うーん。
__ 
指先から星が出る的な、ジャニーズがやってるみたいな。
高木 
そうですね。
__ 
この間見た、jazz Danceの時のしげやん(北村茂美)みたいな。
高木 
私は拝見出来なかったんですけど、分かります。居方みたいなもの、ね。
__ 
あれは凄いですよね。
高木 
そう、何がどうなってるのか分からないけど。
__ 
あれこそ、トレーニング出来ない能力なのかもしれない。
高木 
そうですね、うんうん。
interview 高木喜久恵作品 ねほりはほり
高嶋慈→高木貴久恵 インタビュー。

タグ: トレーニング出来ない素養(愛嬌、セクシー等など) 瑞々しい感覚 内輪ウケの・・・ イベントの立ち上げ


匿名の矛盾

__ 
福谷さんが演劇を始めたのはどんな経緯が。
福谷 
僕は近畿大学の舞台芸術専攻に入ったのがキッカケですね。
__ 
なぜ近大に入学されましたか。
福谷 
本当は東京の日大に行きたかったんですけど、経済的事情もあって。入るなら、ツブシの利く総合大学かなと思って。
__ 
旗揚げしたのはどんな経緯が。
福谷 
大学入って2年の頃。授業以外で自分の公演が出来るんですよ。2012年6月が旗揚げですね。
__ 
そのころからメタフィクションだったんですか?
福谷 
旗揚げ公演が今回の作品みたいな感じでした。で、その一つ前のスタッフワークを中心に学ぶ公演のメンバーが、ほとんど今のメンバーなんです。東以外。カフカの「変身」を上演する劇団のバックステージもので、それも入れ子構造でぐっちゃぐちゃの作品でした。
__ 
なるほど。匿名劇壇では、今後どういう事をやっていこうと思っていますか?
福谷 
ちょっと前の「ポリアモリー」を作っていた頃は、まっとうな物語演劇を作ろうと思ってたんです。今はちょっと違って、例えば劇団の劇団性みたいなのが観客に事前知識として必要なのと同様、今回の作品は、僕が匿名劇壇の主宰であるという知識があって見た方が絶対面白いと思うんですね。劇団としてはそこをやりたいと思います。誰かが劇団を辞めたらその辞めた性が重要になってくる。そんな感じ。
__ 
何故そうしたい?
福谷 
それが自分で面白いと思ってるから、ですね。演劇の何が一番面白いというかというと、生である、という事ですよね。それも、裏側込みの生。踊る大捜査線でも、ギバちゃんと織田さんが一緒に出ているシーンに、含みをもった面白さがあるんですよ。みんな、そういう部分はあると思っていて、僕らをそういうふうに消費してほしいですね。
__ 
スキャンダラスさを含んだ、ね。初めての人でも面白い内輪ネタが出来るようになってほしいですね。
福谷 
そうですね、それは素晴らしいですね。
__ 
いつか、どんな作品が書きたいですか?
福谷 
やっぱり、外に出ても引きずれる作品。寺山修司の街頭劇のような、劇場の外に出ても芝居が続いているような、そんな芝居が作れたらと思います。
__ 
なるほど。
福谷 
事実と思われたくないと言ってる一方、客だしの時の僕らを見る目がちょっとおかしくなっている事が望ましいです。それがずっと引きずっているいるような。矛盾してますね、メタって。
__ 
パンフに、開場中は他の劇団のチラシは見ないで僕らの事だけを考えてほしい、みたいに書いてますね。
福谷 
そうですね。自己顕示欲というか。例えば芝居に人を殺した役が出てきたとして、「本当に殺してるんじゃないの?」と思わせたら勝ちですね。
__ 
なるほど。
福谷 
ポリアモリーの前にやったjerkという芝居で、劇団員との話をこっそり録音したテープを元に作った芝居を作ったんですよ。という体で実は全くの創作なんですよ僕の。
__ 
ええっ。
福谷 
それを、実際に録音したと思われたいです。
__ 
そういう福谷さんの、言葉は悪いですがかまってちゃん性に共感します。自分達を消費してほしいとか、ちょっと現代的な気がする・・・そんな言葉で表して良いのかわからないですけど、異質な感じがする。
福谷 
そうですね、自己満足には陥りたくないと絶対に思いますね。あくまで見せ物ですし、エンターテイメントですから。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 フランツ・カフカ 内輪ウケの・・・ わたしとわたしの矛盾 新しいエンターテイメント


匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
いまはとりあえず公演真っ只中で、それが終わっても最近はもう色々やる事があって。充実しています。
__ 
演劇を抜いたらどんな感じですか?
福谷 
それ以外はもうバイトしかしてませんね。コンビニとカラオケと。これから一人暮らしを始めるにあたって、コンビニの方を辞めました。
__ 
なるほど。匿名劇壇「2時間に及ぶ交渉の末」、大変面白かったです。本公演は初めて拝見したんですが、伺っていた通りメタフィクションでしたね。メタフィクションである自分自身達にも言及するぐらいメタの構造で、それが表現する内容自体とも一体になっていて。ご自身としては、手応えはいかがでしょうか?
福谷 
そうですね、メタフィクションとなるとどうしても小難しくなっちゃうんですよ。それが今回、初めてうまくエンターテイメントに持っていけたと思うんですよ。
__ 
福谷さんはメタフィクションを使ってエンターテインしたいんですか?
福谷 
そうですね。これまで作ってきたものは演劇に対してのリテラシーが必要だったんですけど、今回初めて、演劇が初めての人でも楽しめるものになったんじゃないかなと思います。
__ 
そうそう、そういう感想がtwitterにありましたね。誰でも純粋に楽しめるものになってました。
福谷 
そこは苦労してきたところで、玄人好みじゃない、内輪ネタでもない、違うものになれたかなと思います。
__ 
話題になった前回公演「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ」もメタフィクションでしたね。ドキュメンタリー映画の作家役が舞台上に出てきたり。あれは感情とかLOVEに食い込んでいました。今回はもっとエンターテイメントに徹したという感じですね。
福谷 
gateで上演した「奇跡と暴力と沈黙」なんかは、やっぱり演劇を見慣れている人が、俳優の頑張ってる感を面白がる込みの作品だったんですけど、今回はそんなの必要ない感じでしたね。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」
公演時期:2014/5/29~6/2。会場:シアトリカル應典院。

タグ: ドキュメンタリー 「初めて芝居を見たお客さん」 ウェブ上の感想 内輪ウケの・・・ メタフィクション 新しいエンターテイメント


震撼

藤原 
そもそも僕が演劇に深くコミットするようになったのは、元・快快の篠田千明に呼ばれて「キレなかった14才りたーんず」という企画公演にパンフの編集者として呼ばれたのがきっかけです。こまばアゴラ劇場に毎日貼り付いて、ほぼ全公演をいろんな角度から観つづけたことで、演劇というものの多角的な魅力が見えてきた。なんか、感触をつかんだんですよね、空間の。作り手たちの熱気のぶつかり合いを近くで目撃できたのも大きかった。ただ、観客動員数はすごくあったのに、あの頃の彼ら(6人の演出家たち)は演劇界ではまださほど認められていなくて。「若いやつらが内輪でハッピーなことやって騒いでる」みたいに軽んじられる雰囲気があった。僕はそれらに対して「彼らは彼らなりの若い感性で世界を切り取っていますよ」と証明する必要を感じたんですよね。ただ、そのためには言葉が必要だったし、まずはたくさん舞台を観ないとお話にならなかった。そしたら単純に、いろんな面白い舞台に出くわしていって、気づいたら戻れなくなっていたという(笑)。エンリク・カステーヤさんとの出会いとか衝撃的でしたね・・・・・・。まあこの話は長くなるので今はやめておきます。
__ 
若い才能。認められるべきですね。
藤原 
その過程でマームとジプシーの藤田貴大くんと出会っちゃったのは人生が変わるレベルの大きな出来事でした。『たゆたう、もえる』という作品を、現『シアターガイド』編集長の熊井玲さんに誘われて千秋楽に駆け込みで観に行って、びっくりして。いったいどんな人が作ってるのかと思ったらすっごい線の細い、でもエキゾチックな目をした美青年が現れて、やばいこれはマジで天才に遭遇してしまったと。震撼しましたね。それで家が近かったこともあり、一時期はほぼ毎日くらいのペースで飲んで話してました。村上春樹ふうにいえば、2010年の夏に2人で飲んだビールの量はプール一杯ぶんくらいに相当すると思いますよ(笑)。もちろん演劇の話もしたけど、映画とか小説とかの、あれがヤバイとか凄いとか・・・・・・。彼もやっぱり最初は認められてなかったし、傑出した才能があるからこそ、周囲の反発も凄いものがあったと思います。でも藤田くんはタフだったなー。彼とその仲間たちが、演劇界の空気をずいぶん変えたと思いますね。
__ 
素晴らしい。
藤原 
演劇界にかぎらず、世界は変わりつつあるんだなとひしひし感じてます。震災の前から、戦後日本を支えてきた社会の様々なシステムは斜陽に差し掛かっていた。それが震災で完全に露呈されたと思います。ハリボテだったじゃん!、っていう。逆に言うとこの混乱期は、若い世代にとっては大きなチャンスだとも思う。僕は人生のわりとそれなりの時間を酒場で過ごしてきたので、オッサンに説教されることなんて日常茶飯事だったんですよ。でも震災後、オッサンが自信を喪失したのがハッキリと分かりましたね。むしろ謝られることすらある。こんな日本にして悪かった、とかなんとか・・・・・・。とにかく、いい仕事をする若者がちゃんと認められるのは健全なことだと思う。
__ 
いい仕事をする若手。
藤原 
問題は、僕自身がもはやそれほど若くないということですね(笑)。だから単に若ければいいとも思っていない。大人には大人のやり方ってもんがあると思う。
快快
2004年結成、(2008年4月1日に小指値< koyubichi>から快快に改名)。集団制作という独自のスタイルで作品を発表し続ける、東京を中心に活動する劇団。パフォーミングアーツにおける斬新な表現を開拓し「物語ること」を重視した作風で今日の複雑な都市と人を映し出しながらも、次第に幸福感に包まれゆく人間の性をポップに新しく描いてきた。(公式サイトより)
マームとジプシー
藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める演劇団体として2007年設立。同年の『スープも枯れた』にて旗揚げ。作品ごとに出演者とスタッフを集め創作を行っている。08年3月に発表した『ほろほろ』を契機にいくつもの異なったシーンを複雑に交差させ、同時進行に描く手法へと変化。09年11月に発表した『コドモもももも、森んなか』以降の作品では、「記憶」をテーマに作品を創作している。シーンのリフレインを別の角度から見せる映画的手法を特徴とし、そこで生まれる「身体の変化」も丁寧に扱っている。(公式サイトより)

タグ: 一瞬を切り取る 村上春樹 内輪ウケの・・・ その人に出会ってしまった 丁寧な空気づくり 作家の手つき


狙う

__ 
今後、目標にしていきたい事はありますか?
3号 
やっぱり、社会的に認められたいですね。今まで割りと自分の事だけで精一杯だったんですけど。最近、地底人が社会派だと言われてきて。それは何故かというと、僕の方向が自意識から外の世界に向いてきているらしいです。それを見ているお客さんが、僕らの芝居を鏡のようにして自分自身を見てくれる。そういうふうに、せっかく、芝居が外に向いてきているので。
__ 
ええ。
3号 
何かもっと、社会貢献じゃないですけど・・・なんていうのかな。機能したいですよね。個人でやって、内輪で「いい芝居だったね」じゃなくて。これは僕の好きな押井守監督が言ってたんですけど、やっぱり社会から反響を得たいんですよね。影響を与えるのはきっと難しいですけど。
__ 
単純に見てもらいたいというだけじゃなくて?
3号 
社会の地続きで芝居していたいと思うんです。そこだけに自己完結しているんじゃなくて。そういう環境は、まだ京都にはないんじゃないかなと。劇場に来る人は来るけど、知らない人は多分、ずっと触れないままだと思うんですね。
__ 
お客さんがいないという事はないんですけど、少ないのは悔しいですよね。ユニークな劇団や作品がたくさんあるのに。
3号 
それには、割と閉じられた演劇を作っている人が多い、分かる人には分かるみたいなのが多いからかもしれないなと。僕はもちろんそういう芝居は好きなんですけど、間口が広い芝居を作りたいですね。地底人は割りとその辺を狙ってこれまでやってきたんです。何かちょっとおかしな事をやっていながら、ちゃんとお客さんに分かるような。
__ 
分かります。
3号 
そういう事を成立させてやっているのが、僕の知る限りsundayしかないんじゃないかと思うんです。凄く演劇的な事をやっているのに、間口が広いんですよね。ちなみにウォーリー木下さんには、今回のチラシにメッセージを頂きまして。すごく励みになって。
__ 
sunday。私も好きです。小劇場がベースにありながら、不特定多数向けというか、とにかく見やすいんですよね。
3号 
sundayは凄いですよ。作り手が見ても凄い事をやっているのにも関わらず、ポピュラリティを持っているって。普通ああいう事をしたら、一般のお客さんはよくわからない事になると思うのに。その辺りはピンク地底人は狙って行きたいですね。
sunday
大阪を拠点に活動する劇団。第二期・劇団☆世界一団。作・演出はウォーリー木下氏。

タグ: 外の世界と繋がる 内輪ウケの・・・ 地続き ウォーリー木下


人間が見れる

__ 
では、稲森さんは弱男のどういう所が魅力だと思われますか?
稲森 
人間。
__ 
おお。
稲森 
人間が見れる所だと思います。人間像という意味ではなくて。私にとって弱男の舞台は、演じる場所というよりは、現実の地続きなんです。
__ 
地続き。
稲森 
私と向井さんは割と長いことやってるんですね。その二人の感じって、私達にしかたぶん出せないんですよ。舞台上にまで二人の関係性が延長している、という事ではなくて。阿吽の呼吸でもないんですけど、ノリですかね。
__ 
ノリが舞台に持ち込まれている?
稲森 
そうですね。関係性とか言っちゃうと、具体的になってしまうので。
__ 
分かる気がします。クセというか、セッションというか。
稲森 
そうですね。音楽みたいな。
__ 
触れ合いみたいな・・・つまり、関係性みたいな高レベルな層じゃなくて、もっと低レベルな、もっと深い層での接触があるんですね。
稲森 
そうですね。頭で考えたコミュニケーションじゃないんですね。
__ 
そういう関係を舞台で見て、我々自身の、リアルタイムな実生活を却って思い出すという事なのかな。ふれあいの記憶が呼び出されるような。だから、役者が不器用だというのは必要な条件なのかもしれませんね。

タグ: 舞台に立つまでの葛藤 器用さ・不器用さ 内輪ウケの・・・ 地続き 劇団力 関係性が作品に結実する


湿った街

__ 
では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
向坂 
そうですね。ちょっと年末くらいに色々考えていたんですけど、ちょっと色々、他の可能性を探る為に今出来ている話を白紙に戻したんですよ。そういう話を池浦君にしたら「バカヤロー」って言われて。「頑張ります」って答えました。
__ 
なるほど。
向坂 
僕はこれからも京都を拠点にやっていくつもりなんですが、やっぱりもっと評価されたいですね。そういう事を考えていくと、やっぱり京都は湿っているように思います。「東京に行ったら売れるし」とかいうのはネタやと思っていたんですけど、やっぱり行ったら何かあるんですよ。基本冷たいんですけど、火が点いたらすぐ燃え広がるんです。では僕は10年も、湿った京都で何をしていたんだろうと。このままではカビてしまうと。
__ 
なるほど。
向坂 
ただまあ、東京に行って売れたら何とかなるというのは僕の好みではないんですよ。だから、湿った京都の環境に対してアプローチ出来たらいいなあと思っていますね。
__ 
京都の湿った環境。確かに、観客席にアグレッシブさはないかも知れませんね。
向坂 
京都で演劇を観る客層って、ほぼ大学生か大学出身者なんですよ。そこは学生の街だからなんですけど、きっと他の地域よりコアなんですよ。悪く言えば学生ノリで広い内輪ノリなんです。もちろん東京にもその傾向はあるんですけど。
__ 
なるほど。
向坂 
東京の人はもうちょっと、素直な方も多いんですよ。ストライクゾーンが広い。観劇を趣味と言い切れるようなバイタリティもあるんでしょうね。何にせよ、京都の客層に関しては非常に特殊なんじゃないかと思いますね。
__ 
もっと客層に広がりがあれば、というよりは、色んな種の人に対してアプローチする企画公演があるべきかも知れませんね。
向坂 
そうですね。コンビニの前で屯している高校生が、演劇観に行ってほしいですね。本当は。

タグ: 内輪ウケの・・・ 京都の学生演劇 創造環境としての京都 今後の攻め方 時間停止都市としての京都


ジョジョネタでウケる観客と、隣の分からない人

__ 
そういう意味で言うと、今回のオリジナルテンポの成功要因って、実は役者が細かい部分まできっちり演技出来ていたからかもしれないなと思うんですよ。その時に何を考えているかが、手に取るように分かるから。
長尾 
それは、もしかしたらその人の人となりが分かっているからかも知れません。たとえば全員で段ボールを片付けるシーン。坂口修一さんだけが仕事を押し付けられるネタで、彼のキャラクターを知っている人ならもっとおかしく思えると思うんですよ。いじられキャラだから。
坂口 
誰も協力していない><
観客 
いいぞもっとやれ(笑)
長尾 
みたいな。
__ 
あるある。
長尾 
そういう内輪ウケに近いノリって、実はテレビドラマではあんまり見られない。小劇場だから許されるんでしょうね。たまにそういうネタがあると思えば、作ってるのが舞台出身の人だったりする。
__ 
ただし、内輪受けというのはあまり良いイメージはないんですよね。分かる人だけ分かるというのは、他の人たちを拒んでいるようでもある。
長尾 
でもこの時代、全方向の人にウケるものを生み出すのは難しいんですね。60~80年代は、まだ同じ世代の人たちは同じものを見て笑うことが出来たんですけど、今は価値観が細分化されているんです。
__ 
自分はもの凄く面白いけれども、隣の人は笑ってないと。
長尾 
ここまでウケればOKというのは無くなって、どこを狙って投げても客層ルーレットでは「赤の8にしか当たりがない」んですよ。
__ 
ターゲットの割合から、5割~8割が消えてしまったということでしょうか。
長尾 
だから、むしろ、赤の8であるところの客が500%ウケるものを持ってきたら、隣の黄色の人も笑うんじゃないか。そういうふうなやり方じゃないと、もう面白いものは作れないような気がします。オシャレな人もいれば、気を使わない人もいる。お笑いファンがいれば、嫌いな人もいる。みんなもう、そういう風に向かっているんじゃないかと感覚的に思います。
__ 
なるほど。
長尾 
例えば舞台でジョジョのセリフを言ったとして、分かる人にはもの凄く面白い訳ですよ。で、分からない人にとってみれば不快かと言うと実はそれほどでもない。モノによるけど、ネタとしてのレベルが高ければ気になる一瞬になるんです。分からなくても面白ければいいんですよ。
__ 
パロディは分からなくても面白い。そうですね。
長尾 
例えば歴史というジャンルを、中・高でコースの関係で詳しく学んでこなかった女子が戦国時代を描いた舞台を観に行ったとして。歴史の素養がなくても、例えば恋人を殺されたお姫様の気持ちは分かる訳ですよ。感情が引っ張りだされてくるわけだから。演劇は、だから今後マニアックな方向に向かっていくかもしれない。でも当然、人間を描けていないと全然届かないから、基本的な部分は変わらないと思います。
__ 
結果、マニアックさを中核に含む高感覚を持ち、ただし誰にでも届くベーシックな演技がきちんと出来ている作品がウケていくと。

タグ: 内輪ウケの・・・ 黄色 稽古場でいじられる


vol.129 長尾 かおる

フリー・その他。

2009/春
この人のインタビューページへ
長尾

みんな演劇をしばらく休もう

山本 
さっき佳作が諸悪の根源だと申し上げたんですけど、それにはもう少し理由があるんです。単なる佳作では、初めて劇場に来たお客さんに観劇を習慣にしてもらえないと思うんですよ。
__ 
というと。
山本 
演劇フリークではない、初めて劇場に来たお客さんは二種類に大別出来るんじゃないか。何となく演劇の世界に憧れていて、内輪になりたい、またはなる素質を持っているお客さん。これを潜在的内輪と呼んでいます。
__ 
なるほど。
山本 
逆に、芸術なんて本当に触れた事がない人達、が実は大多数だと思うんです。本当の外輪の方がずっと多い。そういう人たちが例えば佳作を見たって次は来ないですよね。もちろんそれなりには面白かったと思うんですよ、佳作にはそれだけの力はありますから。でも肌にビリビリ来ないから次は来ないし、習慣化しない。だから、傑作オンリーでいかないと、観客は増えないんです。
__ 
難しいと思いますが。
山本 
可能でしょう。まあ、逆説になっちゃいますけど、傑作だという確信がなければやらなかったらいいんですね。
__ 
あ、なるほど!
山本 
みんな一斉に三年くらい演劇をやめて、その間働きながらネタや欲求や鬱積を貯めて、解禁になったら各カンパニーが傑作だけを上演するんですよ。しかも、無料で。とにかく多くのお客さんが来て、演劇の魅力が発見されるキャンペーンがあったら、良いと思いますけどね。
__ 
オリンピックみたいですね。
山本 
管理社会的な(笑う)。もちろん、当然、不可能だし。そういう管理に従うのが芸術かというとそんな訳ないですし。でも、傑作を作ることはそんなに難しくないはずです。たとえば、柿喰う客は傑作でしたよね。
__ 
ええ。
山本 
もちろん、個々人によって相対的な評価はまちまちですが、やっている側は絶対に傑作だと確信していた筈なんです。確信がそこかしこに溢れていた。だから傑作になったんです。で、それはきっと難しい事ではない。
__ 
確かに。あれはそういった重さを持つ作品だと思います。
山本 
佳作にはそんな力はない。やってる側の心のどこかに「これは面白いのかな」という不安を抱かせるのが佳作なんですよ。傑作を作ろうという気持ちがあれば、今の公演が終わらないのに次回公演の予定なんて軽々しく立てられないと思うんです。内輪で「次何する?」「こういうのやんねん」なんていう馴合いから次の公演が始まるなんて、違うやろと思うんです。
柿喰う客
東京の非常に勢いのある若手劇団。
立命芸術劇場
柿喰う客。2009年度に横浜、福岡、大阪、札幌、愛知などで全国ツアーを行う。

タグ: 外の世界と繋がる 「初めて芝居を見たお客さん」 内輪ウケの・・・ 社会、その大きなからくり


出会い系芸術

__ 
さて、先ほどおっしゃった普通芸術。そういった挑戦的な姿勢で作品を作られているのはどのような理由があるのでしょうか?
山本 
関西小劇場がいけすかない奴らばっかりだからですね。作品は面白いですけど、公演スタイルだけみたらダメダメやなと。
__ 
というのは。
山本 
例えば、劇団乾杯がもっと武闘派だった頃は打ち上げというのを一切やらなかったんですよ。あえて。極端な話、劇以外に楽しみを作ってしまうと作品が不純になってしまうというか。僕はそういうのを出会い系芸術と呼んでるんです。実際には良い劇を作りたいと思っている一方で、単に演劇人的な振舞いをしたいという気持ちがあるんじゃないか。これは色んな業界で起こる現象だと思います。筒井康隆の「文学部唯野教授」みたいな。
__ 
文学部で、研究評論そっちのけで学内政治ばっかりやってましたね。
山本 
ブログで「今日は誰誰と飲みに行きました」とか書いたり。単にみんな寂しいのかなと思いますね。副次的なそういう部分に重きを置いていると、いつか矛盾が生じてくるんじゃないかと。
__ 
語弊がある言い方ですが、ストイックさが足りないと。
山本 
この際そう言ってもいいと思います。もっと、真摯に作品に向き合っていけるんじゃないか。今のままだと、仲間や友達の内輪業界だけで演劇が終わってしまう。外開きの、もっと気軽に見に行けるような雰囲気を作っていけたらと。

タグ: 内輪ウケの・・・ 政治とパーティー


笑い

__
今後は、どんな面白さを目指していかれるのですか?
中野
やっぱりもう、発明しかないんですよね。どんだけ、笑いのロジックを発明できるかというところに掛かってくるんで。やっぱり、これまでは既存の笑いを使って、それを自分の言葉で肉付けする、というのが多かったんですけど。今後は、自分の、笑いの幹があって、それの肉付けも自分の手によるものになっていけたらと思うんですけどねえ。
__
うーん。
中野
やっぱり、どうしても既存のものに頼ってしまっている所があるので。
__
笑いのロジック。
中野
数はそんなにないと思うんですよ。世の中に出回ってるのは。だから一個発明するだけで全然違うと思うんですよ。
__
ラーメンズとか、そんな感じですよね。
中野
そうですよね。これは無かったやろ、というのが出てきた時はざまみろとかしてやったりとかいう感じになると思うんでね。そういう所ですよね。
__
作品作りにおいて、稽古場を使って、笑いの展開を繰り返して俳優に落としていくというプロセスがあると思うんですが。やはり何十回とやっていくと、芸が死んでいくのでは。
中野
ああ、もう死にますね。大体、体で覚えたという頃には、皆覚えてしまっているので面白くないんですよね。じゃあ面白くしようかとヒネりだすと内輪ウケになってしまうと。結構気をつけてはいるんですけどね。
__
で、死んだと思った演技を舞台に上げてみると、これが結構面白い。
中野
そうですよね。だから、役者が戸惑ってるけどお客さんは笑っているというパターンがあるんで。難しいですよね。稽古場でギャラリーがいてくれると、刺激にはなります。反応が分かるから。

タグ: アイデアが死ぬ 内輪ウケの・・・