ka2ak / 「罪ツツミツツ蜜」

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さて、カメハウスの次回公演は「罪ツツミツツ蜜」、五月一日から上演ですね。
亀井 
言いにくいですよね。
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いえ、好きなタイトルです。回文になっていて、日本語としても通っているじゃないですか。今の時点で、どんな作品になりそうでしょうか。
亀井 
いつもはパフォーマンスが多いんですけど、今回は比較的しっかりストーリーを組み立てているんじゃないかと思います。構造は凄くシンプルなんですけどね。章それぞれにテーマがあって、それらを全体で見ると回文形式になっているんです。それを初めに思いついて書き始めました。いつもは章立てすらしないんですけど。
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チラシからすると怪奇ゴシックロリータ的なイメージを感じますが、それがカメハウスのカラーなのでしょうか?
亀井 
基本的に、カラーは無いんですよ。短編と本公演で作風がガラッと変わりますし。そのとき僕が書きたいものを書くというのを信条にしているんです。最近はちょっと柔らかくなってるのかな。このごろ小説をよく読んでいる事もあって、文字にこだわった脚本を書いたりもしています。
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文字にこだわる?
亀井 
脚本家として、例えば「言えちゃう台詞」ってあるんですよね。それを、どこまで言わずにいけるか、にこだわったりしています。例えば普通に「元気ですか?」「元気です」という受け答えがあるとして、「元気です」という台詞を絶対に言わずに「はい元気です」と答えるには?みたいなまわりくどい事を結構やっています。そういう実験ばかりしていると言葉遊びとかリズムにこだわってきてしまって。
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最終的には、台詞を文字に近いように使うようになるとか?
亀井 
それに近いかもしれません。今回、作中にも言葉と認識というのがテーマとして出てくるんです。今ここにカップに入った水があるんですが、これを水と認識するには言葉が必要で、「水」という言葉があるから認識が出来るんじゃないか。今回は怪奇探偵もので、妖怪が絡んでくるんですよ。認識のズレがキーになる。お客さんに認識させる言葉とそのズレを意識しながら書こうとしています。
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舞台上での会話とは、とても複雑な現象ですね。通常の会話とはどこまでも異なっている。俳優によって演じられている、すでに用意された言葉を観客が解釈している、という状況。どうやっても誤解の生まれる状況ですよね。
亀井 
そうですね。誤解は発生するし、むしろ疑ってほしいです。僕の周りでは王道のエンターテイメント=シンプルな伝わり易さがその醍醐味だと考えられていますが、お客さんにはそこを疑ってほしいです。全部嘘なのかもしれない、って。で、今回は回文がテーマなんで、そこを手掛かりにしてほしいですね。意味が分からない言葉が出てきたら逆さまにしてみたり、とか。しかも今回は探偵モノなので、脚本の中にも謎を埋め込んでいます。話自体は簡単なんですけどね。
カメハウス第捌回本公演「罪ツツミツツ蜜」
tsumitsumimi
カメハウスが1年半振りにお送りする怪奇探偵物語!妖怪、怪異、愛、恋、オカルト、宗教、脳髄、記憶― 圧倒的なスケールと、カメハウスコラージュ演出の真骨頂を是非体感しに来てください!

【公演日程】
日時 2015/5/1~4
5/1(金) 19:30
5/2(土) 14:00 19:00
5/3(日) 14:00 19:00
5/4(月) 13:00 17:00
【会場】シアトリカル應典院
【料金】一般前売¥3,300 一般当日¥3,500 学生¥2,000(※要学生証)

タグ: 意図されたズレ 新しいエンターテイメント タイトルの秘密


「しちゃう」

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実は私、dracomの祭典・公演はもれうた、事件母、弱法師、この間のたんじょうかいしか拝見出来ていなくて。どれもとても面白かったんですが、やっぱりもれうたの衝撃は凄かったんですよ。
筒井 
ありがとうございます。
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dracomの特徴といえば俳優の身体と台詞のズレだと多くの人が思い浮かべると思うんです。つまり、俳優の台詞を前に録音しておいて、本番時にはスピーカーでそれを流し、意図的にズレを作りだす事で、観客の受容器官は別々に俳優の演技を受け止める事になる。私はあれがとても好きでして。そうした演出を発想されたのはどのような経緯があったのでしょうか。
筒井 
2007年に作品を作るという事で、企画書を書く事になって。その当時、ミュージカルに興味があったんです。好きとは言えないんですが、興味があって。
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興味。
筒井 
もれうたの前の2年間に2本、ミュージカル作品の祭典を作っていたんです。歌って踊って、でも歌はとてもへんてこりんなメロディで、アレンジもスカスカで。でも、いずれは静かなミュージカルを作れるようになりたいと思っていました。演劇計画2007参加に向けて企画書に書いたタイトルは「もれうた」で、公園で鼻歌を歌っている人、それだけで作品を作れないだろうかと思っていました。
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わかります。面白そうですね。
筒井 
でも、格式高い作品にしちゃおうと。(この「しちゃう」という言い方をよくするんです)その格式高さがおかしみになるんじゃないかと思うんです。鼻歌で歌われているのはオペラの歌曲で、歌詞が映像で出てきて、鼻歌を歌っている人がいて、それだけの作品。でもそれだけの作品だったら多くのお客さんは寝てしまうだろうと思って。だからセリフのテキストを書きました。が、すると客の意識はそちらの方にばかり向いてしまう。僕は鼻歌の方にフューチャーしたかったから、どうしようと思って。だから、会話のセリフを録音して、それをちっちゃいボリュームで流せば鼻歌の方が勝つ。そのコンセプトまでは稽古場に持っていくまでに出来たんです。練習して、俳優が身体だけで演じられるようになった。
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なるほど。
筒井 
しかし、それだと俳優がセリフを覚えない手抜きという事になってないか。努力の跡が見えないといけないという言い方をする人もいるんですよ。僕はそういう評価の仕方は好きじゃないんですけど、でもまぁ、努力の跡を示すために、俳優たちがセリフを覚えている事を示すために思いついたのが、事前に録音しておいて、俳優が身体だけで演技した後に遅れてセリフが聞こえてくるという演出をしたんです。これなら、俳優はちゃんとセリフを覚えていると示せる・・・そういうつまらない発想からだったんです。まあ、それを実際試してみたら、過去に体験した事のない感覚があったんです。これは面白いなと。
dracom 祭典2007 『 もれうた 』
公演時期:2007/9/8~9(京都)、2007/9/29~30(伊丹)。会場:京都芸術センター(京都)、AI・HALL(伊丹)。
dracom 祭典2010 『事件母(JIKEN ? BO)』
公演時期:2010/10/14~17(京都)、2010/11/18~21(東京)。会場:京都芸術センター(京都)、THEATER GREEN BOX in BOX THEATER(東京)。
dracom 祭典2012 『弱法師』
公演時期:2012/9/7~9。会場:京都芸術センター。

タグ: ミュージカルの話題 コンセプチュアルな作品 ハミング・鼻歌 意図されたズレ メロディ


フットワーク

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ユニット美人は、京都にあってどんなポジションの存在でありたいですか?
紙本 
黒木さんはどうか知らんけど、京都はあんまり意識してないかな。別の地域に行って上演する事が増えて、「京都から来た」って紹介される事が多くなって。思うのは、京都の芝居ってこんなんかって勘違いしてもらえたら嬉しいな。
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なるほどね。
紙本 
京都って恵まれてるやん、多分東京の次くらいに。色んなお芝居が見れるし。その環境をふんだんに取り入れた集団でいたいね。うん、フットワークが軽い存在でいたいです。
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いや~、ユニット美人は京都らしい芝居すると思うけどなあ。
紙本 
あー。
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質的に完璧なパッケージを目指すのではなくて、確からしい演技を追求していく感じ。
紙本 
うん。ちょこっと目的がズレている感じというかね。
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その結果、カッコ良くなるとかさ。その辺が何か、らしい気がする。

タグ: 意図されたズレ


何が役者から出てくるか?

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nono&lili.さんの前回公演、アトリエ劇研で上演された「ソニータイマー」。私は非常に面白く拝見しました。等身大の人間関係にメロウな雰囲気がほどほどに出ていて、いつまでも見ていたいような、でも終わってしまうんだ、という感覚がありました。青春ものでしたね。梶川さんは演出をされておりましたが、どのような事に気を付けておられたのでしょうか。
梶川 
あまり、その時のキャラの感情に対して指示などはしていなかったんですよ。これは途中で諦めたんですけど、感情とかそういうんじゃなくて、セリフのテンポとか間の詰め方とか、その時にどこを向いているかとか、そういう外面的な指示を与えた後に、何が役者から出てくるか? みたいな事をやろうとしていたんですけど、途中から扱いきれなくなってきて。
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なるほど。
梶川 
で、結局、その縛りはベースとして持ちながら、そこからは役者の方でどうにかしてくれ、という方向になりました。もう一度演出側に演技の選択を持ってこなければならなかったんだと思うんですけど、そのタイミングが公演時期と被ったんですね。演出側に引き寄せきれてなくて、作品のトータルを見たら散漫になっていた印象があるだろうなと。
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ちょっと整理をさせて頂きたいんですが。稽古の前期に演技の型を付けていって、それをまずは役者に落とすと。そこから、役者の体から何が出るか、という事ですよね。そういった方法は、これまでnono&lili. さんで培ってきたものなのでしょうか?
梶川 
いや、多分今回が初めてですね。
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では、どのような経緯で。
梶川 
これは多分、受け売りなんです(笑う)。鈴江俊郎さんが活躍されていて、その人達の作品が好きで始めているんですよ。で、その方法を鈴江さんのワークショップで見る事が出来たんですね。
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なるほど。
梶川 
僕が元々好きだったのがその方面であれば、まずは、そこで使われている方法を取り入れてみるのも悪くないだろうと。
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鈴江さんも、その型をきっちりと付ける事から始まる方法を使われていたという事でしょうか。
梶川 
どうなんでしょうね、ええと・・・。
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あ、そういったところに近づける為に考えた方法という。
梶川 
はい。演出・稽古のテクニックとして、そういう事だろうなと僕は受け止めたんですね。例えばその役がその時どういった感情を持っているかとかの抽象的な話をしていくと、どうしてもズレが生まれるんですよ。そのズレが面白い場合もあるとは思うんですけど、初期段階からそういう付け方をすると、落とし所がなくなってしまうだろうと。それよりは、もっと具体的な体の動かし方や呼吸から話をしていって、そこから作品を作っていった方が健全だろうと。
nono&lili.『ソニータイマー』
公演時期:2008年5月9日~12日。会場:アトリエ劇研。
鈴江俊郎氏
劇作家。演出家。office 白ヒ沼。
山岡徳貴子氏
劇作家。演出家。魚灯。

タグ: 意図されたズレ 自分は演出が向いているかも