パーティーテーブルの向こう側

__ 
そういえば、ここ最近、THE ROB CARLTONの公演情報には具体的なあらすじが書かれなくなりましたが・・・今回は、どのようなお話になりそうでしょうか?
ボブ 
そうですね。今回のタイトルは直訳すると「元老の庭」という事で、時代設定としては明治時代の架空の日本です。時の総理大臣や各国の方々と、政治家たちが庭で語り合うお話になりそうです。
__ 
政治家達と庭、相性が良さそうですね。
ボブ 
調べたら、当時の元老の方々はガーデンパーティーをしたがっていたみたいで。庭をしっかり作って、園遊会を開催したい。つまり海外でいう政治サロンに恥じる事のない催しをしたいという。そうした価値観は、現代ではそこまで求められてはいないんじゃないかと思うんです。
__ 
政治家だからこそ、庭で語り合う、という事が重要だった?
ボブ 
もちろん彼らにはその先の話が何かあったんだろうと思うんですけどね。
__ 
なるほど。パーティーテーブルの向こう側に政局がある。
ボブ 
まあ、もちろん僕らのやる事ですので、お気軽にいらしていただければと思います。

タグ: 空気感を大切にした 見えないぐらい濃い交流 タイトルの秘密


沸騰する劇場

__ 
いつか、どんな演劇を作りたいですか?
Arry 
脚本も演出もいらない舞台、じゃないですか。ドリームクラブの舞台に脚本で関わっていたんですが、あれはお客さんが舞台を作るんですよ。作品を楽しもうと思って見に来ているんです。演じている女の子達も応援されて、たぶん稽古のときよりもずっといい演劇をしている。それって、観客も一緒に舞台を作っている、舞台のひとつのファクターとしてそこにいる。観客も含めて舞台作品なのかもしれないと思うようになりました。ピーターブルックが「俳優と観客さえいれば演劇は成立する」何かの本に書いていて。お客さんと一緒に作る、そんな作品がいいですよね。
__ 
きっと難しい事だと思うんですけど、そういう濃いコミュニケーションを取る事が出来ればいいですよね。これまで演劇をやってきた身からすると、稽古場で培ってきたもの以外が本番でいきなり出るというのは、ちょっと抵抗があるんです。でも、仰っている事の価値は分かるつもりです。

タグ: 見えないぐらい濃い交流


質問 畑中 華香さんから 是常 祐美さんへ

__ 
悪い芝居の畑中さんからも質問を頂いてきております。「大阪を拠点に演劇をやっていて、良いと思った事はありますか?」
是常 
そうですね・・・。大阪と関係あるかはわからないですけど、まずはかのうとおっさんに出られた事。あとは、お客さんとコミュニケーションを取ろうと思えた事ですかね。
__ 
というと。
是常 
色んなところに出演させていただいたり自分のところでの演出を通じて分かったんですが、客席の奥まで演技が届くかどうかが凄く大事で。いい芝居をしても、舞台の縁のところまでで止まっていたらお客さんはボーっと見ているだけなんですよね。舞台上ではすごく成立しているのに、客席の奥まで届いていない。
__ 
後ろの壁まで。
是常 
どんだけいい芝居をしても、届かなければ意味がない。範囲がここまでだったら意味がないと。笑いについても、ここまで届いていないといけないんですね。
__ 
基本的だけど、それってすごく重要な事のような気がしますね。客席を含んだ芝居の成立。
是常 
舞台で成立しているのは当たり前ですけど、客席に届かないと意味がない。見れない訳じゃないですけど、魅力は半分なんだと思います。私のイメージでは、笑いだったら「こっち来いよ☆」みたいな感じで、会話劇だと「いいよ・・・?」みたいな感じ。
__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
是常 
こまち日和でもそうだと思うんですけど、今まで共感性で作ってきたと思うんです。この役はこういう気持ちだろうから、その枠に自分をはめる、みたいな。でも、そんな作り方だけではいかんな、と。これは自分の人生が関わってくると思うんですが、自分自身のことが分かっていなければアカンな、自分の輪郭が分かっていなければ、これ以上のところには行けないんかなと。
__ 
なるほど。
是常 
もっと自分自身が自由であるためには、自分の足で立っていなくてはならないんですよ。私が何者で、何が好きだったりするのか。を明確にしていないと。役者としては何でも出来るようでありたいんですが。そう、自由な人に憧れています。今回の作品で言うと千田さんにそういうのを強く感じます。いい意味で自分勝手にいられているんですよ、共演者の存在とか、台詞とかに寄っかからずに、自分でまずは立っていようという感じがして。すごくいいなあ、って。私も、台詞がない、役の形がないと何も出来ませんというところからは、ちょっといい加減に出たいなと。それは嘉納さんを見てもそう思います。
__ 
これまでのスタイルから卒業したいと。
是常 
もちろん、役の型も保ちつつ、両立出来たらいいなあって思います。でも、舞台上で自由な人でいるためには、初見のお客様に「なんだかこの人、いいなあ」って思われるようでなければ成り立たないと思うので、すごく難しいなと思います。でも、できるようになりたいですね。

タグ: 演技を客席の奥まで届ける 見えないぐらい濃い交流


観客の呼吸を掴む

__ 
実は昔、shelfの作品を拝見した事があります。2009年のC.T.T京都でした。
矢野 
あ、そうなんですか。
__ 
「私たち死んだものが目覚めたら」のワーク・イン・プログレス作品でした。俳優が観客と向き合い、逃げない。そういう非常に緊張感のある作品だったと思います。一体、どのような経緯でそのような姿勢に辿り着いたのでしょうか。
矢野 
小説のような文字表現や、同じハコ型の(芸術)鑑賞施設である美術館や博物館と違う最大の点は、二人以上の多人数がいて、見る人と見られる人があって、そして一定時間をそこで過ごすということなのだと思うのです。であれば、そのことの何がいちばん面白いのかな、と。昔、札幌で学生していた頃、「キューブ」という映画をミニシアターで見たんです。お客さんは少なくって満員で50人ぐらい。みんな固唾を飲んで見ているんですが、それが、つまり呼吸とか皮膚感覚とかを共有する感じが凄く面白くて。緊張を強いられるシーンでは、皆が皆、息を潜めて。劇場って、そういうモノだと思うんです。
__ 
人が集まって、固唾を飲んでいる場所。
矢野 
だから僕はよく俳優に「先ず、観客の呼吸を支配してくれ」と言うんです。それは何も緊張感のあるシーンに限った話でなくて、例えば観客がどっと笑う。そのときに起こっていることというのは観客が全員、笑う直前に同時に息を吸っている間があるんですよ。そして同じタイミングで笑う=息を吐いている。客席で笑いがうねるということはそういうことなんでしょうね。大きな劇場でお客さんが一人しかいない、その状態は果たして面白いのか? 花火会場に行って、一人で花火を見たら楽しいのか? <場>を共有することで人と人との間で生まれる何かが劇場には、ある。それを最大限に引き出したいというのはありますね。だから、芝居の幕開けなんかでも俳優がまず最初の台詞を喋る、その発語のタイミングは基本的に俳優に任せているんですね、今は。昔は秒数で切ってたりもしたんですけど。
__ 
・・・。
矢野 
基本的に観客は、楽しもうとして劇場に来てくれている。だから、一番最初の時間が一番期待が膨らんでいる筈だと。その会場の全員の期待感や想像力がいい按配になったときにスッと言葉を差し出したら、きちんとそこから交流が始まるんじゃないかと思う。発語のタイミングが早過ぎるとお客さんが着いていけなくて戸惑っちゃうし、遅すぎると「まだ?」ってなってしまう。そのキワを攻めたいんですね。だから、その為の、<場>の呼吸を把握するための稽古を相当しています。今度ノルウェーに行くイプセンの「幽霊」、初演は2006年なんですけど、主演の川渕優子の冒頭のセリフが戯曲のト書きなんです。「イプセン 幽霊 三幕の家庭劇。」その発語の「イ」の稽古に2週間近く掛けた事があります。「違う」と言い続けて、周りの俳優が呆れちゃって。「こだわりたいところなのは分かるけど、取り敢えずちょっと先に進めてみようよ」って。当時の僕は、まだ今のような言葉も技術もなかったし、だから何が違うのかきちんと説明出来なかったんですけど、それでもそれは違う、と思ってたんですね。余談ですが、芝居を見に行くとだいたい最初の5分程度で、その芝居が面白いかどうかって分かるんですよ。うーん・・・と思ったのが、後から面白くなる事は殆どないんですよ。
__ 
観客の最初の印象って物凄く正確ですからね。開幕直後の観客の視線は、事件を出来るだけ早く理解するために、必然的に膨大な情報を取り込み、全く意識せずとも細かい部分を評定し、価値を判断しています。疲れも先入観もない、暗転の一瞬だけだけど社会と隔絶してコンテキストから切り離されるし、新しい世界を見るという立場上第六感も備えているんですよね。
矢野 
演出家的には、お客さんが一番期待してくれている瞬間に、期待に沿って、あるいはそれを裏切って、という心のやり取りで相手の心を掴まなければ、後はみんなだいたい引いていくだけなんですよね。
__ 
心を掴む。そこが今日一番話したかったことです。

タグ: 観客の呼吸 それを揺らしてはいけない リアルに相対し戦慄する 事件性のある俳優 見えないぐらい濃い交流 オーガナイザーの企み 舞台が始まる直前の緊張感


ふたりの会話

__ 
2年、学んだ中で一番ショックを受けた事は何ですか?
西岡 
一番最初の演技の授業。イギリスのRADAでも教えられているローナ・マーシャルさんの授業ですね。二人一組のダイアローグを、とりあえず貴方たちの思ったように作ってきて、と課題を出されまして。ペアの子と試行錯誤して作って、実際見て頂いたら、「お芝居をしているわね」と言われたんです。
__ 
なるほど。
西岡 
それまでやってきた事を根底から覆された気がして。私、今まで何をしてきたんだろう・・・いや、芝居をしているわねって言われたけどそれはどんな事なんだろう? 一年目は、演じるというよりも、まず自分が何者か、どこに立っているのか、その上で自分の癖を見直す、とかそういう、パーソナルな部分に触れる授業がほとんどでした。1年目の授業は、ほぼ毎回ショックを受けまくりでした。こんなにも、自分の体はコントロール出来ないものか、こんなにも私は人の話を聞いていないのか、というように。
__ 
自分の事を見つめる一年だったんですね。
西岡 
私はすごく、怖がりだという事が分かりました。
__ 
怖がり?
西岡 
芝居を始めた頃に自分がどういう演技の作り方をしていたかはあまり覚えてないんですけど・・・パッケージングするのが得意だったんじゃないかと思ってます。パッケージするというのは、例えばいまここで喋っている時、お互いに刺激を感じていますよね。
__ 
ええ。
西岡 
でも、会話している役を演じるとなると、相手からリアルタイムで刺激を受けている事実を忘れてセリフを吐いていたんです。しかも、やりたい絵を最初から決めてしまっていて、そこに向かう為にはどうすればいいのか?というのがある程度「かたち」として出来てしまう。
__ 
会話の交流を予測したり決めたりする事は、安心ですね。たしかにその意味では怖がりと言えるかもしれない。
西岡 
けれども、それはもう相手が誰であっても良いという事なんじゃないかと。多分、講師が言いたい事はそういう事だったんじゃないかと思います。人とどうやって対話するべきかと、それを考えるようになりましたね。
__ 
異なる存在と接する時の、エモーショナルな瞬間、ですね。
西岡 
そうですね、そういう、エモーショナルな状態のフリをしていたんだと思います。本当にそういう状態になる前に、まず「かたち」を作ってしまった。会話先行、頭先行だった。本来なら、もっと何が起こるか分からないのが演劇と交流の醍醐味なんですけど、私は多分それを見過ごしたまま、無自覚に絵を作って出来た気になっていたんです、きっと。でも、そういう事じゃなかったみたいだと。
__ 
それはきっと、舞台と観客席の間でも起こるべき事で。例えばいい映画って、全部の動きにワクワクするじゃないですか。一つ一つの動きや曲線が目に入る度、その効果が純粋に心に響く。意味や意図さえ伝わる。あれは舞台でも起こる。
西岡 
はい。
__ 
とにかく、一年目のスタート地点から、「交流」が本来持つべき価値が見えた。
西岡 
もしかしたらそうかもしれません。今まで関わった戯曲に対しては失礼な事をしていたのかも。答えを一つに決めて掛かってしまうなんて。それが、スタート地点に立つ上で一番大切な事だったのかもしれないなと。
__ 
なるほど。

タグ: 俳優の提案作業 演技それ自体への懐疑 見えないぐらい濃い交流 相互承認 観客との関係性 SeizeTheDay


サービス精神を持とう

__ 
これは仮説なんですけど、玉一さんは観客を味方にするタイプの役者なんじゃないかなと思うんですよ。そういう役者はいると思っていて。玉一さんは、お客さんに対して、何か思ったりする事はありますか?
玉一 
そうですね、悪い気持ちとかは抱かないですね。そもそもお芝居って、楽しんで何かを得ていただく場だと思っているので。お客さんがいないと成り立たないのが演劇だと思います。サービス業についているのですが私はサービス精神だけはあると思っていて、奉仕してナンボだと思うんですよ。演劇も楽しませてナンボだと思っています。基本的には、どんなお話をやっていたとしてもお客さんに対してウェルカムである事は間違いないです。感謝しかないですからね。時間を作って、お金を払って来てくださっている訳ですから、もう感謝しかないですね。
__ 
そのサービス精神が現れていないチラシがね。
玉一 
そうなんですよね~(笑う)私、白塗り大好きなんです。いい写真が撮れたと思います。お店に貼ってもらったりしたんですが、後日伺うとトイレの壁とかに貼ってあるんですよ。これ、知らずにトイレ使ったお客さん怖いかなあと。
__ 
「ニホンノカビ」非白塗りバージョンは見てみたいですけどね。
玉一 
あー、それは逆に、白塗りによって支えられているところもあるんですよね。私達の中で仮面に近いものがあるので、あれを外されるとこっちの心が折れるかもしれない。
__ 
白塗り、必要ですね。
玉一 
でもそればかりやってたら他のお仕事も来なくなっちゃうかなあ。

タグ: 「いつも同じ」と思われたくない 見えないぐらい濃い交流 キチガイ ポカーンとなった観客


社会人役者のなぞ

__ 
廣瀬さんがお芝居を始めた経緯を教えて下さい。
廣瀬 
僕は大学二年の時に仮面NEETをしていまして。実は1年の時にロボットサークルに入っていたんですが、人間関係がいやになって。別に問題があった訳じゃないんですけど。その1年で水曜どうでしょうにハマり、TEAM NACSにハマり、演劇サークルに入ったんです。基本的には、文化芸術は趣味でやってこそと高校の頃からそう思っているんですね。
__ 
ええ。
廣瀬 
まあ京都にはセミプロの人がたくさんいるんで「何言うてんねん」言われそうですけど、まあまあそう思っていて。で、サークルを卒業するとやはり寂しくなって、アクターズラボに入ったんですね。僕は就活が嫌でフリーターに成り下がったんです。演劇をやっている人って、普通の仕事したくないから芸術系の仕事をやりたいと思っている人が多いと思うんですけど、僕は就活というまどろっこしいものが嫌で、そんなややこしい事で仕事を決めなあかんというのが嫌で。それだったらアルバイトしつつ社員登用を狙ったほうが、いろいろ経験も積めるし、演劇もし易いだろうし。ようやく、ちょっとずつその足場固めが出来つつありますね。
__ 
素晴らしい。
廣瀬 
アクターズラボをやっていて、他のクラスの公演にも行くんですけどね。プロの役者はそりゃ皆さん上手だと思うんですけど、僕は社会人役者の方が面白いと思っているんです。プロの方々はもちろん尊敬しますけど、僕の趣味志向で言うたら、面白いのは社会人役者なんですよ。会社取締役をしながら計5公演くらい出演されてる人がいるんですが、ものすごく面白い役者でした。社会人劇団でいうと、ベトナムとか中野劇団とか柳川とか、面白いでしょう?
__ 
社会人俳優の身体が面白いというのは、よく分かります。
廣瀬 
アクターズラボの杉山さんは「責任感の違い」と仰っているんですけど、きっと、言語化出来ないですけど決定的な何かが責任感の他にあるんだろうなとどこかで思っていて。職業・職場が醸し出す個性が絶対あるんだろうなと。
__ 
社会人俳優の身体がこの世界に見られ慣れていないから、経験的に飽きられていないから、かもしれませんね。
廣瀬 
確かに、見られ慣れていないというのが、一つの圧になっているのかな。社会人の方が、見られるという圧力を自分の力に変換する能力を持っているんじゃないかなと思うんです。まあ、ハリウッド俳優とかは別にして、外からの圧を出力に変えるメカニズムは普通に働いていた方が養われると思うんですよ。さらに、観客の圧に慣れていないから、それを変換する作業がエネルギッシュになるんじゃないかと。その2つの構造があるんじゃないかと思うんです。
__ 
分かります。しかも、意気込みの種類が違いますからね。
廣瀬 
アクターズラボに参加する人は、次に出られるかどうか分かりませんからね。そういう意味で、責任感は違うかもしれません。
アクターズラボ
劇研アクターズラボはNPO劇研が主催する、総合的な演劇研修の場です。舞台芸術がより豊かで楽しい物となる事を目指して、さまざまなカリキュラムを用意しています。全くの初心者から、ベテランまで、その目的に応じてご参加頂く事ができます。現在、京都と高槻を拠点に、アクターズラボは展開中です。(公式サイトより)

タグ: 大学卒業後に・・・ 演劇のない地に演劇を現出 劇研アクターズラボ 見えないぐらい濃い交流 プロの仕事 ロボット演劇 社会人俳優についての考察


EPOCH MAN〈エポックマン〉

__ 
EPOCH MAN〈エポックマン〉。どんな作品を作られるのでしょうか。
小沢 
まだ一回しか公演をやっていないのですが、前回のは70分から80分の作品で、女性4人の芝居と、男女の二人芝居の二つの短編をくっつけた作品でした。僕自身が好きなのは、人の醜い部分だったりするんですね。女性の嫉妬心や執着心などのドロドロした部分。それが笑いになってしまいながら、心が痛くなるような。リアリティは大切につくるのですが、ひとりの役者がコロコロと役を変えたりと、基本的には生の演劇ならではのものは目指しています。自分自身が、何だかんだエンターテイメントが好きなので。
__ 
面白そうですね。拝見したいです。
小沢 
ただの、リアルな生活を見せるようなお芝居はあまり好きじゃないんですね。視覚的にも楽しみたいし、音楽も大切にしています。ただ、まだはっきりとは、こういう作風です、こういう色です、というのは見つけていないのでこれから探していこうといろいろ挑戦していきます。
__ 
彫刻で言うと、石の中から人物を取り出せていない感じ。
小沢 
まさにそうですね。その状態を楽しんではいるんですけど。映像も好きだし、落語も絵本も歌とかにも興味があるんですよね、最近。もしかしたら、毎回観にくる度に全く違う雰囲気の演劇になってるかもしれません(笑)とにかく今は、来年2月の公演に向けて次回作を書いています。
EPOCH MAN
虚構の劇団に所属する小沢道成が2013年より始める演劇プロジェクト。俳優として活動をしながら、劇団の自主企画公演で発表した数本の作品が好評を得る。人(特に女性の心の中をえぐり出すような作風と、繊細かつ粘り気がありながらスピード感ある演出が特徴のひとつ。問題を抱えた人物が前進しようとした時に生まれる障害や苦悩を丁寧に描きつつも、演劇ならではの手法で会場を笑いに誘う。(公式サイトより)

タグ: 努力を重ねる わたしの得意分野 書いてみたいと思った 見えないぐらい濃い交流 嫉妬心 印象に残るシーンを作りたい 舞台にいる瞬間 新しいエンターテイメント 作家としての課題 正体不明のエネルギー 作家の手つき


×

__ 
西原さんが舞台に立っていて、嬉しいのはどんな時ですか?
西原 
なんか空気が繋がった時ですね。舞台と客席の。客席に沢山の人がいて、一方通行じゃなくて、うわぁぁんってなった時。見えないんですけど「現れてる」と感じた時、です。
__ 
分かると思います。でも、そうなれている回はまれですよね。
西原 
演じている側が勝手に思っている場合もあるという事ですね。
__ 
いや、空気が繋がっていると感じた場合はどちらの側も分かっていると思いますよ。
西原 
うーん・・・
__ 
色んなジャンルの舞台がありますが、一律して確率は低いんじゃないかなと思います。前衛演劇の舞台でも空気が繋がる事はあるし、分かりやすいエンタメ芝居でも会場の空気が繋がる事は多くないと思います。
西原 
なるほど。
__ 
今までで、西原さんが「繋がった」と思った最たる時は?
西原 
「私の未来」の時、私が舞台上でハルくんの事を思っている時、お客さん達が想像しているハルくんを感じたんです。いくつもいくつも、ぽぽぽぽって、お客さんの側から感じて。私がそう思っているだけなんですけど、無限なんだなあって。私の想像力が受け取った人の想像力も喚起して、表現って無限なんだなあって。
__ 
想像力はそれぞれ無限ですよね。それが掛け合わさせる瞬間、その広がりを感じたという事ですね。
西原 
その時に、とても嬉しいんです。
__ 
一人芝居「私の未来」。最後の歌が本当に狂おしいというか、情念がこもっているんですよね。そこに到る背景が演劇で示されているから、尚更聞き惚れました。
西原 
歌うのっていつも難しくって。歌うのにはマイクが必要なんですけど、マイクってめっちゃ現実じゃないですか。戒田さんの脚本で、マイクが持てるシチュエーションになったから持てたんです。歌いたいだけになったら嫌やから・・・演出として言われたのは、「涙を湛えた笑顔で、プロ意識を持った一人の歌手という役として、一生懸命歌えばそういう風には見えないから大丈夫」って。

タグ: 役者の認識(クオリア) 背景が浮かびあがる 一生懸命を描く 見えないぐらい濃い交流 舞台にいる瞬間 前衛は手法から作る人々を指す


vol.290 西原 希蓉美

フリー・その他。

2013/春
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西原

饒舌な沈黙

片桐 
よく言われている事かもしれませんが、作品はその場にいる、お客さんを含めた全ての人で作るんですよね。
__ 
片桐さんは、そこに可能性を感じているんですね。
片桐 
同じ作品をやっていても、お客さんが参加していると感じた回は、全体として凄くいいものが出来た、と思えるんです。その逆もあります。演出に言われた事を忠実にやっていても、「これでいいのかな」と迷う瞬間があるんです。お客さんの「無言」という反応を皮膚で感じた時には、やっぱりそうなんですよ。
__ 
演劇は観客と作るものである、という言葉はよく聞きますが、なるほど。お客さんの無言のうちの反応を、舞台上の片桐さんが頭ではなく皮膚で感じている。その応酬は、作品に直接的な影響を与えうる。笑いとか拍手とかの表面のレベルじゃなく、もっと深いところで繋がってたんですね。
片桐 
結局、コミュニケーションなんですね。作品の上演はもちろんただの一方向じゃなくて、その交換が豊かであればあるほど、やる意義はあると思うんです。

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vol.288 片桐 慎和子

フリー・その他。

2013/春
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片桐