それは雑談の横で行われている

倉田 
展示の中で会話をしているのがパフォーマンスかどうかが分からない、そのギリギリのところを攻めたいと思っていて。出演者には何も言ってないんですが、かなり要求はしています。
__ 
演出としては何も言ってないんですね。
倉田 
そういうコントロールや細かい指示は何にも。お客さんと喋っている時に照明が当たったりマイクが手渡されたりしたら虚構度はバーンって上がりますよね。それを客に体感させるかどうかというのは個人の判断ですね。他の出演者のやってる事に乗るかどうかも任せていて。だから失敗する事もあれば成功する事もあるんですよ。
__ 
あの空間で成功した瞬間は興奮しますよね。
倉田 
まあ私その、大学の頃食べられなくて痩せたりして、学内のカウンセリングに行けって言われてて。女の先生と30分ぐらい話してたんです、たまにですけど。その人が、卒業後の展示に見に来てくれたんですよ。久しぶりに会って、私いまこんな事してて元気ですよ、でもまだあんまり食べられなくてと個人的な話を普通の会話のボリュームで言ってたら私も悲しくなるし。喋りたい事を喋っている私と同時にマイクを持っている私がいて、どっちも本当の私で。それはちょっとかなりやりたいことに近くて。その機会を、私はそれを期間中ずっと狙っているというか。
__ 
いくつかの異なる様相に同時に自分が含まれている事を自覚するその不思議さ。三条のギャラリー・パルクで拝見した時も、そうした刺激的な瞬間はいくつもありました。
倉田 
あれもやばかったですね。あの時は出演者に、それを重く課していたんですよね。あの時は、過去現在で自分にとってなるべくキツい事を形にしてって言ったんですよ。思い出すだけでうええってなるぐらいのものでないとダメって。展示中の舞台の時間は、自分のことをおもっきりしろと言ってました。メンバーも凄かったんでえらい事になってましたよね。
__ 
頭がごちゃごちゃになりながらもスッキリするような感じがありましたね。出演者さんとどうでもいい事を話していたら隣で料理してたりとか、よく分からない占いに巻き込まれたりとか。ドキュメンタリーAVの架空収録みたいな下ネタに遭遇したりして。
倉田 
へー。全然覚えてへん。出演者だけがその全部を知れるんねんな。昔のように一週間出演者を拘束するとかが出来へんのですが、私に関してはずっといるので。この間の大学の時は私と玄済一さんだけが9日間ずっと会場に居てたので。むちゃくちゃ面白いですね。一回目の時、ずっと部屋の隅で見てる子とかもいて。ちょっとだけ参加して帰るのもいいけど、そういう居方もいいやろうなと思いますね。
__ 
そうそう、フラッシュモブみたいな感じに似てるなとちょっと思ったのかな。
倉田 
はい、フラッシュモブの何が面白いかって、その中に巻き込まれた人が、周りのパフォーマーがその日の為に練習してきた事に感動するからなんだと思うんですよ。それと照らし合わすとすると、あの展示の場合はほんまに用意してきたかが分からないようになっていて。浅田彰さんの言う「全裸で立ってろ」とはそういう意味でも違うつもりです。そんなんされたら困りますよね。まあ、私も舞台やってるからその面白さも分かるんですけど。
__ 
また見たいですよね。
倉田 
展示?
__ 
はい。
倉田 
これもね、またずっと作り続けたいなと思ってます。舞台で出来ひんくなっちゃったところを展示でガス抜きしている部分はあって。まあ、やりすぎると日常生活に支障をきたすし。生活の方に掛かってきちゃう、ギリギリの部分をやりたいのかな。でもしんどいですけどね。でもまだまだするつもりなんで、また来て下さい。長時間で。
__ 
一日、ずっと隅っこで見てたいですよ。
倉田 
それしたら段々、展示物化していくと思いますよ。

タグ: 役者のその場の判断 アーティストの生活


vol.405 倉田 翠

フリー・その他。

2015/春
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倉田

こころをほどくとき

__ 
去年の「君の名は」の大阪公演。場所は大阪城公園でしたね。とても面白かったですが、後半の方はものすごくおどろおどろしくて疲れてしまったんです。特に、2Bさんの悶々としたダンスが凄くどんよりとしていて。一見ポップなのに、ネガティブな表現もあるんだな、と。もしかしたら、旅をする人だから受け入れられたいという願いと同時に受け入れる事にも強い。その姿勢がきっと作品の作り方とも結びついているんじゃないか。そういう姿勢があるから、ネガティブな表現にも通じていくのかなと思う。そこで伺いたいんですが、お客さんにどう思ってもらいたいというのはありますか?
五月 
どう思ってもらいたいというのはないですね。色んな人がいるから、やっぱりキツい世の中だから、何となく気持ちが固くなって身体も固くなって、周囲に遠慮したり気を使ったり、それで自分がイヤになったり、遂にキレてしまったり。まあ何か、どくんごの芝居に来て、笑ったり空を見たり、下らないなあと思って呆れたり、可愛い小道具を見て和んでもらったり。色んな気持ちになって、感情を起こして、気持ちが柔らかくなるといいな、自由になるといいなあと。そう思います。だから色んなタイプの表現を挿入していると思います。だけど、基本的には「ひっどい世の中だなあ」という(笑う)、基本的には、私の芝居の世界は暗いんですけれども。でも、暗いでしょうと言ってもしょうがないですけどね。
__ 
気持ちをほぐす。揺さぶっているんですね。では、自分の芝居をやる上で、総合的に心がけている事はありますか?ちゃあくんさんからお願いします。
ちゃあ 
いやあ難しいなあ、僕は芝居も初めてなので。基本的な事ですけど、ちゃんとセリフを言えて、僕だけの独りよがりにならない、お客さんを置いていかないで、イメージを伝えられるようにしたいです。
__ 
難しいですよね、「ひとりよがりにならない事」。
2B 
まあ、自分がやりたいシーンを作ってやっているので・・・僕は、「どうすか?」って姿勢でいます。見る人によって色々だと思うんですけど、色々考えてもらえたらいいというか。去年のダンスも、ネガティブに捉える人もいれば、笑ってくれる子供もいるし。舞台でやっている事を使って、考えてもらうという部分があるんです。
__ 
ああ、エンターテイメントとして終始するだけじゃなくて、深い部分にまで考えが突入していくような、そんな感じ。
2B 
考え事をしてもらえれば。そういう風になるには舞台上の僕とか作品が上演は強さがなければならないと思うし、そういう風にやっていけたら嬉しいと思います。
__ 
ありがとうございます。高田さんは。
高田 
あえて決めてしまわないようにしてるかもしれません。大声を出そうとすると、「自分は大声を出すのが得意じゃないか」ってキャラを決めてしまって、その場でがんじがらめになってしまって。それはあえて決めないで、探していこうと思います。つまりは柔軟に対応しようという事だと思います。
__ 
その場その場での判断。そこで集中していられたらいいですよね。
高田 
そうですね、その為に体とかのケアはしないといけないな。
__ 
ケア出来ていますか?
高田 
どうですかね。一応、体調を落とさないようにはしています。
__ 
石田さんはいかがでしょうか?
石田 
五月さんが言ったみたいな、色々な感情があるみたいなのが凄く好きで。私は健康優良児なのでそれを生かしていこうと。テントで後ろが開けていって、大きく大きく見せられるように。器用じゃないから大きく大きくしていこうと思います。
__ 
なるほど。石田さんを早く見たいです。根本くんは。
根本 
僕はまあ、扉を開いていこうと思います。切り込み隊長だとこの間言われて。そういうポジションにいるのかなと思います。お客さんの中に入って新しいスペースを作って。ぐわって上げて、そこにさらに他の人達が乗っかって。
__ 
扉が開く!
根本 
開ける!後は任せた、みたいな(笑う)。まあそんな事が出来たらいいなと思ってます。
__ 
開く。それがキーワードな気はしますね。今回、根本くんは脚本ですね。これまでのどくんご公演は、役者の方々が作ってきた一人芝居・二人芝居を構成した作品だったと思うんですが・・・
根本 
今回も作り方としては一緒です。役者一人ひとりが作ってきたものを出すんだけど、僕が書いてきた脚本があって。今回はSFという設定で書いたんだけど、そこを各自が勝手に拾ったり、自分のアレンジでやったりとか、その繰り返しでやったり、原型が無くなっていったりとか。最終的にはどくんごの芝居という形になりますね。
劇団公演第27番・The Naked Dog Tour 13 『君の名は』
公演時期:2013年5月~11月。会場:日本全国各地。

タグ: 器用さ・不器用さ 生き方と世の中の為に動く 役者のその場の判断 新しいエンターテイメント 心を揺さぶる ポカーンとなった観客


自由さを感じると、何でも出来そうな気分になりますよね

__ 
まず、インプロショーの定義について伺えればと思うんですが。
木村 
インプロというのは即興のことなんですけど、わたしのやっているインプロは即興のお芝居です。インプロショーでは、即興で芝居を作ります。基本的には内容によって、楽しんでいただけるように、いろいろなルールを付けるんですが、何のルールもない場合もあります。
__ 
そう、つまりアドリブというか、台本が何もない状態での演劇なんですよね。先月のトランク企画 vol.11「LIFE」ももちろんインプロでした。とても面白かったです。
木村 
ありがとうございます!
__ 
ブログで拝見したんですが、インプロも稽古ってあるんですね。即興劇の稽古って、何をするんでしょうか。
木村 
訓練、に近いですね。言ってみれば。稽古を通して一番大事なのは、みんなが自由さを感じられるようになる事なんです。
__ 
自由さを感じる。
木村 
自由さがあれば、割となんでも出来るんです。その為に稽古ではゲームしたり、あとは本当に技術的な稽古もします。
trunkkikaku vol.11 『LIFE』
公演時期:2013/12/5~6。会場:Urbanguild。

タグ: 即興、インプロについて 役者のその場の判断


ロボット演劇版「銀河鉄道の夜」

__ 
ユーコさんがいま出演中の、ナレッジシアターのこけら落とし公演・ロボット演劇版「銀河鉄道の夜」、大変面白かったです。
山本 
ありがとうございます。どっちを見ました?
__ 
私はBチームを拝見しました。ご自身としては、どんな体験でしたか?
山本 
青年団としてはこれまで何度もロボット演劇はやってきていて。私はロボットに対しては偏見を持っていて、全く関わってこなかったんですよ。
__ 
ええ。
山本 
出演が人間だけの「銀河鉄道の夜」(青年団)には出演していたし、大阪で公演してみたかったので、参加させてもらいました。大変な事は沢山ありましたが、勉強になりましたね。
__ 
私が拝見した時はものすごくスムーズだったんですけど、芝居が止まる事もあるそうですね。
山本 
うん。止まる。もちろん、スタッフさん達がその度に同じ故障をしないように対策を重ねていくんですけど、にしても毎回、色んなところで止まる。それは建物の通信状態とか、お客さんの持ってるWi-fiとか、限定のしようがなくて。予想しようがないんですよ。さらに、ロボットが台詞を言うタイミングは全部決まっていて、つまりこちらの演技を待ってくれる訳じゃないです。そういう意味で、ロボットがこちらの動きを制限してくるんです。
__ 
全ての演技と台詞の出力が予めプログラミングされているのであれば、電波の干渉って受けないんじゃないかと思うんですが。
山本 
受けるんですよ。本当に。一時間のお芝居全てをプログラミングしちゃうと、かならずズレが出てくるので、いくつかのシーンのかたまりで分けてプログラミングしてあるんですけど、それでも。例えばロボビーがいるシーン、一連の台詞と動きはコンマ何秒までを稽古で決めて、役者はそれに合わせて演技を稽古して。そうやって決めた芝居を、本番に入ったらロボビーの方から崩してくる訳。
__ 
それはきついですね。
山本 
そうきついの。キツいと思ったらただのイヤな演劇になっちゃうから。何するか分からん役者が一人舞台上にいると思ってやると、逆に楽しい。「あ、そのセリフ言わへんのねじゃあうちらでフォローするわ」という判断が瞬間瞬間であって。
ナレッジシアター
大阪・梅田グランフロント大阪ビル内の劇場。
大阪大学ロボット演劇プロジェクトx吉本興業 世界初演!ロボット演劇版 銀河鉄道の夜
公演時期:2013/5/2~12。会場:ナレッジシアター。

タグ: 膨大な仕事量に押しつぶされそう 役者のその場の判断 ストップモーション 舞台転換が大変な舞台


オン、オフ

__ 
舞台に立った人を観る観客は、きっと彼をすぐカテゴリー分けするんですよ。属性を観察して、どのぐらいの存在で、どこどこの血族だ、って。それは一瞬で行われるプロセスで、高い精度を持っている上に誰でも備えている常識です。「不思議な存在感」の人は、そのカテゴライズで特殊な方にいったんじゃないかなと思うんです。
古藤 
なるほど。
__ 
努力すればそれになるのかどうかは分かりませんが、意識する事は必要でしょうね、きっと。
古藤 
だから僕は、彼ら以上に考えていかないといけないのかもなと。例えば舞台で、特殊な存在感を持つ彼に振り回される時に僕がのっかるべきか判断したり。オフにして持ってってもらう事も出来るし。要所要所で、生き残る道を探る。食われて終わるんじゃなくて。共存するか真っ正面から戦うかの判断を、もうちょっと考えないといけないんやろうなと。
__ 
芸人魂ですね。
古藤 
舞台に立っている時の存在感みたいなのを意識的にオンオフ出来たらいいなと思うんですよ。
__ 
そういう思考を現場で持つ人に頼りがいを感じますね。
古藤 
やばいなと思うんですよ。普通に台詞を覚えて演技するだけなら誰でもいいんだと思うし、サバイバルを掛けて、生き残るためにしないとあかんのやろうな、と。何を生き残るかというと舞台上かもしれんですけど、それを覚えてくれて、声を掛けてくれたら嬉しいですね。瞬間瞬間で巻き込まれてアイデアが思いつかなくて、後で「こうすれば良かった」って反省してしまうんですけど。もっと反応を早めていきたいです。
__ 
では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
古藤 
7月に、先輩と組んだユニットのコントをしたいなと思っていて。KUNIOを一緒に観ていて、「これ観ておいて良かった、危ねー」という感想を一緒に抱けた人なんです。そういうふうに、同じ志向を持つ人なんですよ。一緒に、驚ける何かを作れればと思います。
__ 
楽しみです。

タグ: カテゴライズされる俳優 役者のその場の判断 今後の攻め方


何をしても一人

__ 
ベトナム時代とは違って、役者が黒川さん一人だけになりましたが、どのような点が違いますか?
黒川 
単純に、稽古が一人なんですが、辛いですね。何をしても一人。これが面白いかどうかの判断も一人ですし。まあ、丸井も中川さんもいますけど。「これで合ってるのか?」と悩む事は増えましたね。もちろん、一人しかいないから生まれてくるものもあります。
__ 
出演者一人だけという事で、何というか、黒川さんの方向性に合ったらどこまででも笑う事が許されるような気がします。逆に言うと、観客個人が持つ悪趣味を、そのまま肯定してくれる気がする。そういう意味で、優しい笑いなのかもしれないと思っています。
黒川 
僕は、その辺に落ちてる石ころでも面白いと思ったら引き出しに入れてしまうので。だから受け付けない人は全く受け付けないと思います。仕方ないんですけど。受け付けない人でも、ちょっとでも笑ってほしいんですよね。

タグ: 役者のその場の判断 孤独と演劇 役作り=個人の人間力 悪意・悪趣味


ブレ

__ 
舞台で演技をしているときに、好きな一瞬はありますか?
村上 
昔から、笑いを取れた瞬間が一番好きなんですけど、最近はちょっと興味が変わってきています。今は、自分の影響力が共演者に伝わっているなと感じる時に喜びを感じるというか。その日によって調子が変わったりするじゃないですか。同じ事をやってるのに違うんです。感度が鋭かったり鈍かったり。例えば相手に「座れよ」と声を掛けるセリフ。その時の流れによって、説得するように優しく言った方がいいのか、強く言った方がいいのか。その時々で判断があって、相手がそれを汲んでくれて、噛み合った時というのがすごく面白いですね。もちろん、それを考えながらやってる訳じゃなく、終わってから「あの時、あのやり方にして良かった」と思うんですが。
__ 
そう考えるようになったのは、いつからですか?
村上 
柿喰う客の玉置玲央が主宰のカスガイというユニットに参加して会話劇をやって、それぐらいから面白いなと。得意不得意は別として、コメディを主にやってきたので、ちょっとノリが違うのをやるとみんな驚いてくれるというのもあって。意外だって。笑いで培ってきた貯金を崩しているような感覚があります(笑う)。
__ 
予想を裏切るみたいな感じですね。
村上 
会話劇。稽古が楽しいですよね。この間出演したオーストラマコンドーの稽古で、演出の倉本さんがとことん、練習に付き合ってくれるんですよ。役柄としての気持ちにも。白雪姫と七人の小人のお話で、僕は小人の一人だったんですけど、みんなで台本を持ってきて、お姫様が言った事に賛成の人、反対の人って聞いていって。その理由を聞いて、「ああそれだったらこのシーンはそうしよう」って。すると、嘘がないから自分の意思が明確になって演技のブレが少なくなるんです。段取りをガチガチに決めた芝居ではなく、かと言って感情以外何も決めない芝居でもない。相手が段取りにない意外な事をしてきても、方向性が決まっているのでどんなことでも対応出来る。芯のある話を作る。そういう取り組み方がすごく勉強になりました。

タグ: 役者のその場の判断 玉置玲央さん 嘘のない 意外にも・・・


vol.239 村上 誠基

フリー・その他。

2012/春
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村上