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ホテルの雰囲気
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- ホテルとラグビーが、THE ROB CARLTONの構成要素だそうですね。個人的な話、私もホテルでアルバイトしていた事があったんですよ。ドアマンと受付をやっていました。
- ボブ
- そうなんですね。楽しいですよね、ホテルで働くという事は。ホテルは非日常だと思うんですよ。
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- そうですね。
- ボブ
- 日常のようなホテルなんて、ちょっとがっかりするじゃないですか。まあホテルマンというのは演出するんですよ。出来るだけ胡散臭い格好や言葉遣いをしよう、とか。フランクなホテルマンもいらっしゃいますが、その対極にあるような、たとえば髪をガシガシに固めてピシピシ動くようなホテルマンがいたら嬉しいと思うんです。お客様は。芝居も同じように、お客様の理想像をしっかり具現化したいなと考えています。
- __
- それはまさに役作りですね。
- ボブ
- そこはやっぱり、しっかり演じてほしいところだと思うんですよ。だらっとされたら嫌なので。嘘でもいいから過剰にしてほしいですね。お芝居も、お客様を迎えてほしいんですよ。そこに見合った、それを越えた満足をしてほしいですから。しょうもないホテルには二度と行きたくないものですよ。
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- そこが一番見えるところですからね。インテリアやタリフよりも。
- ボブ
- そういう事ですね。もう一つの要素であるラグビーは、全員が高校のラグビー部だったからです。ラグビーって面白いんだよという事を、芝居を通して一人でも多くの人に伝えたいです。
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- 「トーストマスターズ」のラスト、ボブさんの正装で出てくるんですが、その衣裳がラグビーの・・・
- ボブ
- ラグビージャージの(笑う)。あれはラガーマンの最高の正装ですから。
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- 最後に出てきた時、何故短パンになっていたのかと思いましたが、そういう事だったんですね。
モモンガ・コンプレックスの大失敗※
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- PUNKな生き方って、夢ですよね。世の中は我々に当然のように成功する事を期待してきますからね。あんなに難しい事ばっかりなのに、出来て当然で評価もされない。あげくやり方にまでケチを付けて他の子と比べ始める。これはもうやっていられませんよ。
- 白神
- そうなんですよね、正しくはどうこうあるべきみたいな。そんなの無いに等しいみたいな生き方をしたいです。そもそも人間の存在自体が大失敗だと思っていて私は。
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- そうそう。物質の発祥から地球の誕生、生命の起こりという複雑な奇跡の末のこれですからね。
- 白神
- しかも地球にとっての大失敗という印象で、それは自分の中での問題になっていて。でも失敗だからしょうがじゃないじゃないかと自分は言い切るみたいな。次があるじゃないか、みたいな事もあって。
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- この「大失敗」の全国ツアーの末に、一体何が残っているというのでしょうか。
- 白神
- えー、何もなくなっても、それはそれで道が開けている気がしませんか?中途半端に続いているよりは、ガーンって失敗ですって認められたら次のステップに行けるかもしれない。失敗を隠す事ばかりが上手くなって、メッキがぶ厚くなってきて、失敗に目を向けられなくなってしまったら・・・。それよりも、失敗を突きつけられて、「あーそうだよね、失敗だよね」って認めたら、何か次のチャレンジにすぐに行けるんじゃないかと思うんです。
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- つまり、「大失敗」はそうした生き方の問題もはらんでいる?
- 白神
- そうですね。ふざけたチラシですけど。
- ※ダンスパフォーマンス的グループモモンガ・コンプレックス新作公演「大失敗。」
- 公演時期:2015/03/21~(東京)ほか全国ツアー。
ストイック!
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- 本番で何か気付いた事はありますか?
- 真壁
- 袖にいる時の自分は今までと全然違いましたね。今までは「次だな!」とビシッと身構えてました。今回は「さあ次出るでー」みたいな、いい意味でふざけてたかもしれないですね。舞台に出たら切り替えるんですけど、リラックスしてたと思います。「何でそんな笑ってるですかー」みたいな、でも、そんな感じでいこってなってましたね、ウチのチームは。
- __
- 今までの稽古の積み重ねがありますからね。
- 真壁
- もちろん劇団公演の緊張感の良さも分かってますけど、でも、個人個人が何かに向かっている集りだったので、それぐらい共有した気持ちがあった、という事じゃないかな。ストイックに目標に向かう人たちばかりで、自分もそうなろうと思いました。その上で、調子に乗らないように気をつけて頑張っていました。
芝居ってなんだろう
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 山本
- 年末にミソゲキがありまして、そこは遊んだ作品を持って行きたいと思います。来年2月に芸術創造館の芸創セレクション※に参加させていただくのと、来年5月末にAI・HALLのbreak a leg※にも参加させて頂きます。
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- 楽しみですね。
- 山本
- ええとですね、どのホールさんにも、あまりふざけた事はしません、普通の会話劇ですとお断りしています。こないだのように本番でカレー作ったりはしません。ちゃんとした劇場の中で、異空間の中で芝居したいなというのはあります。それと同時に僕が芝居ってなんだろうと思っている部分はあるので、ある時ふっといなくなるかもしれません。
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- ありがとうございました。今後も楽しみにしております。
- ※芸創セレクション
- 「芸創セレクション」・「芸創エクスペリメンタルシアター」は、大阪市の主催事業です。該当公演の決定は選定委員会が行い、公募によって集まった個人、及び団体の中から、年間約12の個人及び団体を選定します。また、エントリーについては、大阪市内の小劇場が実施しているアワードとも連携し、2~3の推薦枠を設定する予定です。(公式サイトより)
- ※次世代応援型企画break a leg
- 「break a leg(ブレイク ア レグ)」とは、これからパフォーマンスを始める人に向かって 「成功を祈る」という意味で用いられるフレーズ。本事業では、若手表現者に会場を提供し、次代を担う才能の発掘・育成を目指します。 新風を吹き込んでくれる表現者たちの競演にご期待ください。(公式サイトより)
ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」※
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、廣瀬さんはどんな感じでしょうか。
- 廣瀬
- この間本番が終わったボンク☆ランドの稽古と平行して、次のふつうユニット「旅行者感覚の欠落」の稽古を進めています。今回は今までにない大所帯で、初めて出演する人も多いんです。例えば宗岡さんは面識があったんですが、一緒に作品を作るのは初めてですね。
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- なるほど。
- 廣瀬
- 今まで演劇を10年間やってきて、ほとんど役者で、自分で脚本を描く事もあったけど演出やるのが一番面白いなと。まあ、まだ余裕がある今だからこそですけどね。稽古場で演技を見てゲラゲラ笑って、気になる部分があったら口を突っ込むだけですね。余裕無くなってきたら全然違いますけど。
- ※ふつうユニット
- 京都の演劇ユニット。ハードSFを得意とし、理系知識そのものが中心に据えられるタイプの演劇作品を上演する。
- ※ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」
- 公演時期:2013/12/20~12/22。会場:アトリエ劇研。
美学
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、為房さんはどんな感じでしょうか。
- 為房
- 最近はですね、5月に劇団ZTONの本公演「天狼ノ星」※、6月に客演した笑撃武踊団さんが終わりまして。それからはしばらく稽古がひと段落していたんですが、ちょっと仕事でまた東京に行くのでその準備に追われています。
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- というと。
- 為房
- 戦国BASARAのイベントなんですけど、その準備ですね。
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- 実は、戦国BASARAに為房さんがでている事は知っていました。拝見はしていませんが・・・
- 為房
- あ、そうなんですか。これで4本目くらいになるんです。僕は役についている訳じゃなくてアクションチーム、つまり斬られ役なんですけど。普通は、斬られ役って本来は目立たないみたいな事を思われてるんですが、結構随所随所で悪ふざけする人も多くて。
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- 素晴らしい。
- 為房
- 影響の無いところで勝手に階段落ちしてたりとか。自分達の出番が無いところはただ待ってるだけなので、勝手に斬ったり斬られたりしてますね。普通はNGと言われるんですけど、結構・・・。
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- そういうのはお客さんも楽しいですよね。
- 為房
- そうですね、リピーターのお客さんが多いので、「あ、あそこであんな事やってる!」って見つけて貰えたりして。
- ※劇団ZTON
- 2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(公式サイトより)
- ※劇団ZTON「天狼ノ星」
- 公演時期:2013/5/9~12。会場:京都府立文化芸術会館 。
「突撃!八百八町!!」の思い出
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- 「突撃!八百八町!!」でとても楽しかったシーンがあります。3章仕立ての最後くらいで全員が「バンブー!!」って主人公の掛け声が感染るシーン。竹村さん演じるタケミツナリタは巻き込まれ型の主人公ですが、話が進むにつれてだんだんと異能力者という事が判明し、逆に周囲を巻き込んでいくという壮大な逆転を体現したシーンと言えるでしょうね。
- 大熊
- ありがとうございます。とは言え、僕はあれ何にも言ってないんですけどね。気がついたら勝手にあいつらが「せーの、バンブー!」ってやってて。あ楽しそうやな・・・と。
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- そうなんですね。いい作品でした。
- 大熊
- ちょっと怖かったんですよね、最近の作風とかけ離れていたので、ウチを好きでいてくれるお客さんに受け容れられるかどうか。不思議な感覚を大事にした演劇をずっとやっていたし、くだけた感覚のは久しぶりでしたし。娯楽に徹したB級を全力でやらせてもらいましたが、結構楽しんでもらえたみたいでした。
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- あれだけふざけられるとは思ってなかったです。とても面白かったです!どうやって作ったのか気になるぐらい。
- 大熊
- 僕が一応、作演出なんですけど、結構みんなで話すんですよ。お話も皆で書いたりしてるんです。稽古の進め方についても全員主導で、僕が最終決定するんですけど、竹村が中心にストーリーも考えてますね。「今回こんな感じのがしたいんだけどどうしたらいいかな」から始まって。僕は最初「主人公の名前はバンブー万太郎にしたい」と提言したんですが、それは嫌やと言われて「タケミツナリタ」にしたり、実は公演タイトルも・・・。
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- つまり、壱劇屋の作品はメンバー全員が作って同意したアイデアと意見で出来ている。
- 大熊
- まあ、大きいですね。
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- 息が合っていると感じるのは、全員から出てきたものを面白くしようと動いているからかなと、ふと思いました。手作り風味と言えるのでしょうか。
- 大熊
- そういう事かもしれませんね。
人間を演じる、うまいやりかた
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い致します。大阪発のコントユニット、かのうとおっさんの有北さんにお話を伺います。有北さんは、最近はいかがでしょうか?
- 有北
- よろしくお願いします。最近は、稽古稽古の毎日を送っています。スイス銀行さんの「暮らしとゾンビ」※と、劇団赤鬼の岡本拓朗さんプロデュースの「ロッキュー」※ですね。
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- お忙しい中、本当にありがとうございます!意気込みを教えて頂けますでしょうか。
- 有北
- いつもいわゆる脱力系コメディをやらせてもらっているんですけど、二つともがっちりとしたお芝居なので、これは頑張らないといけないと思っています。
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- なるほど、脱力系コメディされている方としては。
- 有北
- 人の気持ちを表現するのは非常に難しいです(笑う)中でも、いい人を表現するのが難しいですね。かのうとおっさんの作品には良くない人間が非常に沢山出てきて、むしろ褒められる事のない人間しか出てこないと言ってもいいんですよね。そういう役だったらとても得意なんですが。「ロッキュー!」では、口うるさい人なんですけど根っこの部分ではいい人ですね。「スイス銀行」ではまるでダメな人なので、わりといつも通りやっています。
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- そういえば、かのうとおっさん作品には分かりやすいクズ人間ばかり出て来ますね。
- 有北
- 自分たちでやる時は、徹底してダメな人間像を描くんです。客演すると、「やっぱり人間って、どんな人でも良い部分はあるんだな」と気付かされますね。
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- うまくやれるといいですね。
- 有北
- (笑う)
- ※かのうとおっさん
- '99年、嘉納みなこと有北雅彦により結成。独特の台詞回し、印象に残るビジュアル、笑いをベースに人の生き様を鋭く描く作風は小学生から60代まで広く支持される。'12年「関西ふたり芝居セレクション」優勝。(公式BLOGより)
- ※スイス銀行第六回公演「暮らしとゾンビ」
- 公演時期:2013/6/7~10。会場:in→dependent theatre 1st。
- ※劇団赤鬼岡本拓朗プロデュース公演第二弾「ロッキュー!」
- 公演時期:2013/6/29~30。会場:神戸電子専門学校ソニックホール。
キリンの置物
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- 今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。今回はふざけた品物です。ガラクタは贈らないというのがルールなんですが、破りました。どうぞ。キリンの置物です。
- 北島
- 丸山君が気に入れば小道具行きかしら。
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- あっ。
- 北島
- あれ、これ耳折れてる。
見せたい絵がある
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- 原作モノをやり始めたのはどういう理由があるのでしょうか?
- 北島
- 『粗忽長屋』と『紙風船』の同時上演をやった時ですね。手応えが良かったので、続けて長編を芝浜で作ってみたら、勝手が良かったので続いています。
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- 使い勝手が良かったとは?
- 北島
- さっきも言ったように見せたい絵があるんです。その為に手順を踏んでいくお芝居なので、筋自体は何でもいいと言えば何でもいい。原作があるというのを言い訳にしつつ作っていくとすごく楽ちんなんですね。
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- 原作の骨子を使っている?
- 北島
- 筋をそのまま使っているということはないですね。原作を何回か読んで、受け取った印象から組み立てていく感じかな。
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- なるほど。ところで、これは面白いなと思ったんですが「芝浜」を「シ・バハマ」というタイトルにしたのはめちゃくちゃいいセンスですよね。バハマの海岸と芝浜の白砂が一気に重なるんですよね。
- 北島
- あれは言っちゃえばおふざけですね。区切りを変なところに入れるだけで印象がころっと変わっちゃうでしょう。
バランス
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- 私が初めて岡田さんにあったのは、柿喰う客の女体シェイクスピア001でしたね。「悩殺ハムレット」※。非常に鮮烈な印象がありました。
- 岡田
- ありがとうございます。最初に中屋敷さんに呼ばれて、何の役かなと思うじゃないですか。「岡田さんは何でもない兵士の役です」。「なるほど!」と。
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- 確かにそうでしたね。
- 岡田
- もちろん物語の上でとても重要な役ではあるのですが、序盤で消える、比較的印象の薄い兵士です。とはいえ、チーム戦なんですよね。そこで脇を固める役割として呼ばれているんです。クリアに意図が読み取れます。だから、本編との比重によってどれぐらい何をするかを考えていないと駄目なんですよね。
- __
- なるほど。
- 岡田
- あとは中屋敷さんは、俳優を活かすことに本当に秀でておいでなので、私の個性を知って、どう使ってくれるかを感謝し汲み取り、挑んでいます。例えば、本編が作品として伝わらなかったのに私が目立っていたら「何だアイツ、邪魔!」みたいな印象を持たれてしまうと思うんですよ。どういうふうになったら、お客さんが本編を面白いと思ってもらえて、私がそのスパイスになれるか?という事なんですよね。飛び出てふざけすぎるといけないんですね。お客さんが見やすくなるように導く変人という役割。バランサーになったらいいなと。
- __
- 難しいですね。
- 岡田
- 今回のマクベスは「医者の役です」って言われて。シェイクスピアオタクの方以外は、「医者って、マクベス夫人の横で、ちょっと出てきてたよな」と思われるぐらいの存在なんです。どう存在しようか、今から楽しみです。
- ※柿喰う客 女体シェイクスピア001 「悩殺ハムレット」
- 公演時期:2011年 9月16日(金)~25日(東京)、2011年 10月1日(土)~2日(日)、2011年 10月7日(金)~10日、2011年 10月14日(金)~15日。会場:シアタートラム(東京)、三重県文化会館(三重)、ABCホール(大阪)、長久手町文化の家(愛知)。
御巫山戯
- 向坂
- 舞台が出来て、お客さんが入って見ている以上は楽しんでもらいたいですね。俳優が下手くそな芝居してても照明を浴びて光ってるというのは、何だかツッコミ待ちのボケだよねと思うんです。だから僕はツッコミを入れるんですが、最大限、そこで楽しんで帰ってもらいたいという気持ちがありますね。
- __
- なるほど。
- 向坂
- 面白いお芝居だけじゃないのは分かっているんですけど、素直にみているだけでは楽しめない時もあるんですよ。
- __
- ひねくれた見方を持つのは大事ですよね。批評的な見方を持つというのは。
- 向坂
- そうですね。批評的な見方。あー、どうなんだろうな・・・? 以前、アートコンプレックスにきたチェルフィッチュを見たんですよ。
- __
- ええ。
- 向坂
- すごい評判の劇団としか知らなくて、彼らの演劇がどういう文脈上で成り立って評価を受けているのか、岡田利規がどういう人なのかも頭になくて、名前だけしか聞いた事のない状態で見たんです。実際見たら、凄くお洒落で洗練されていたんですよ。喋りながら踊っていて。でも演劇をちょっとかじっている僕が見て、「あーなるほどな」って思うこれを、劇場に訪れた事のない高校生が見てどう楽しむのか。
- __
- ええ。
- 向坂
- 僕らは稽古場でチェルフィッチュごっこをしてそれなりに遊べますけど、中高生はあれを見てどうすればいいのか? でも、チェルフィッチュが白塗りで出てきて「コントです」って言ったら素直に見れますよね。
- __
- そうかもしれませんね。
- 向坂
- シーンと静かになっている劇場で、男女がずっとクーラーがああだこうだと言いながら踊ってるんですよ。話の内容もどうでも良くて、きっとふざけてると思うんですよね。地点も好きなんですけど、笑いたくなる瞬間とかあると思うんですけど、前衛的だと笑っちゃいけないんですかね?
- __
- いや、笑っていいと思いますよ。
- 向坂
- やっぱり、ふざけてますよね? 僕も三浦さんと何回かお話しさせてもらった事ありますけど、「ふざけてるんですか」って聞いた事はなくて。
- __
- どうでしょうね? やっぱり「これ面白い!」って思って繰り出していると思いますけど。つまり、ギャグとしての文脈を踏んではいないですが、結果的に笑いを立ち上がらせるものとしての意識はしているんじゃないでしょうか。
- 向坂
- おもろいと思ってやっているという事ですよね。もちろん、インタレスティングというよりはファニーという意味で。じゃあ、何で笑い声が起きないんだろう。皆、面白いと思ってないのかな? でも評判いいですよね。
- __
- 私も自分が面白かったら遠慮せずに笑う方ですが、沸点が低いまたは何でも受け入れる体勢にあるのかもしれませんね。俳優の方にお話を伺った所、笑ってくれた方がホッとするらしいですよ。
- 向坂
- なるほど。三浦さんの笑いって秀逸で、一周回ってるんですよね。お笑い芸人が本当に面白い事を劇場でやったら面白くない、という感じなのかもなあ。
京都ロマンポップ さかあがりハリケーンvol.5「ミミズ50匹」※
- __
- 今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。向坂さんは、最近はいかがでしょうか?
- 向坂
- 最近は三月の京都ロマンポップのさかあがりハリケーン公演「ミミズ50匹」の稽古をやっています。
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- タイトルが心を惹きますよね。
- 向坂
- まあ下ネタですけどね。役者50人を使っておうと思って。さかあがりハリケーンでは割と大喜利的なやり方で芝居を作る事が多いのですが、今回は大勢で同時にふざけている感じですね。
- __
- さかあがりハリケーンではこれまでコント公演が多かったと思うんですが、今回は長編ですね。しかも笑の内閣の高間総裁が主役。私は、常々総裁の演技がすごく面白いなと思っていて。俳優としての活躍をじっくり見たいなと思っていたんですよ。
- 向坂
- そうですね。確かに、ちょっと変わった位置取りのキャラクターですね。
- ※京都ロマンポップ さかあがりハリケーン公演「ミミズ50匹」
- 公演時期:2012年3月1~3日。会場:アートコンプレックス1928。
あれ、いいな
- __
- カーチェイスのシーン、億さんが木の枝に光るガラス玉の付いている奴を持ってくるのがありましたね。
- 米田
- 東京での公演直前まであんな役なくて。会場前に落ちてた木拾って、これに電球巻いて億が水着で出てきたら面白いちゃうんて。
- __
- あはは。
- 米田
- 多分、当日とかに決まったんですよ。たまたまですね。
- __
- 車を運転するシーンで、なぜふらふらと億さんがあんなものを持ってくるのか謎で。スピード感を挑戦的に潰していて、非常に魅力的でした。
- 億
- 私も本番の時、分からないという顔だったらしいです。
- 米田
- あれいいな。
- 億
- あれ、いいな。
- __
- 演劇の文法全部無視して、よたよた歩いているのがね。幕に引っ込んで、またしばらくしたら出てくるし。結構かわいい小道具で悪ふざけでもない。何のつもりかと思いました。
最初の挨拶で
- __
- 初めて出会う人との仕事が多いと思うんですが、そういう場合、早く打ち解けるコツみたいなものってありますか?
- 紙本
- 衛星の名刺って結構ふざけてて、ファックさんの適当なイラストやねんで、でも社会人の人ってきっちりしてるから、「かわいいですね」って言ってくれるんやけど。
- __
- うん。
- 紙本
- 劇団のロゴとイラストの配色が変えれらるねん。私はピンクで、植村さんはオレンジだったかな。まあ、電通のマネやねんけど。
- __
- ふふふ。
- 紙本
- 「かわいい名刺ですね」って言われた後に、「自分の色を決められるんですよ。電通のパクリなんですけど」て。褒められた後にちょっと笑かすとか。このコンポタージュめっちゃ美味いね。でも、最初に会う人と打ち解けるのは毎回難しいな。
- __
- ちょっと緊張する人もいるかもね。
- 紙本
- うん。でもいつも勉強になるで。普通に仕事している人は、ホンマにすっごい面白いねん。ワークショップ、いつも盛り上がるねんで。
- __
- それはちょっと分かる気がする。
みんな死にましょうよ
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- 一瞬聞いただけで残りますよね。さっき気づいたんですが、五・七・五ですよね。
- 合田
- あ、ホンマや。全然気づいて無かったです。
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- いいタイトルですね。牛の鈍重さ、4回も反芻するという執拗さ、時折発揮する野生。そういう、上品さとは無縁の牛らしさ。それが芝居の様々な場面に反映されていました。
- 合田
- はあ・・・。ちょっと分からないですけど。
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- お互いが話していてもちっとも理解の進まない登場人物たち、ほぼ全てのコントが最後は同じ結末―つまり全員が何か殺害されて、やがて夕陽に照らされると生き返って立ち上がり、斜陽に目を細めて終わる―を迎えるという繰り返し。
- 合田
- ふふふ。
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- まず、それにはどういう意味があったんですか?
- 合田
- とりあえず、ルールは守りたいなと思ったんですね。各コントの終わりに夕陽に照らされるというルールが決まったんですよ。で、やってる内に、「みんな死にましょうよ」って事になって。夕陽か死か迷ったんですけどね。先に死んで、夕陽を浴びる事にしました。
- __
- その、下らなさはもちろんとして。夕陽を浴びると今までのがまるでコントだったかのようになるんですよね。
- 合田
- 夕陽、関係ないですからね。
- __
- だからあの一瞬、当助人物が本当に生き返ったという描写と、コントの練習が終わった役者たちの黄昏という図が同時に成立するんですよね。コントで描かれる下らない人々と、それを練習している役者達のわびしさが。
- 合田
- そうですか。めっちゃいいふうに解釈して下さって(笑う)。
- __
- いや、もちろん全部悪ふざけと取りましたよ。本当に下らないし。でも、あってもなくてもいいような芝居ではなかったですね。
- 合田
- ありがとうございます。
努力クラブ「牛だけが持つ牛特有の牛らしさ」※
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。先日の努力クラブ「牛だけが持つ牛特有の牛らしさ」大変面白かったです。お疲れ様でした。
- 合田
- ありがとうございます。ふざけたタイトルですよね。
- ※努力クラブ
- 元劇団紫の合田団地と元劇団西一風の佐々木峻一を中心に結成。上の人たちに加えて、斉藤千尋という女の人が制作担当として加入したので、今現在、構成メンバーは3人。今後、増えていったり減っていったりするかどうかはわからない。未来のことは全くわからない。未来のことをわかったようなふりするのは格好悪いとも思うしつまらないとも思う。だから、僕らは未来のことをわかったようなふりをするのはしない。できるだけしない。できるだけしないように努力している。未来のことをわかったふりをしている人がいたら、「それは格好悪いしつまらないことなのですよ」と言ってあげるように努力している。(公式サイトより)
- ※「牛だけが持つ牛特有の牛らしさ」
- 公演時期:2011/6/3~5。会場:人間座スタジオ。
サマータイムマシンブルース
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- 松居さんがお芝居を始めたキッカケとは。
- 松居
- 当時は漫画家を目指してたんですよね。高校卒業直前に、集英社に持ち込みしたんですよ。ギャグマンガだったんですけど、編集者の人に「芸人のやってる事だね」ってパって投げられて。じゃあ芸人になろうと、大学の演劇サークルでコントをやったりしていたんですよ。2年位経って「そろそろ飽きてきた」なと思ってきた所に、駅前劇場で「サマータイムマシンブルース」に合ったんですよね。
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- あ、ここで。
- 松居
- だから、いまここにこれたというのは感慨深いですね。
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- 小劇場スゴロクという奴ですね。ホントにあるんですね。
- 松居
- 審査とかあるんですよ。2年くらい出し続けてました。隣のOFF・OFFシアターに行くのにもちょっと時間掛かるんですよね。ちょっと有名な劇団でも、いきなりは駅前劇場に来れないんですよ。
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- へえー。では今後、どんな感じで攻めていかれますか。
- 松居
- 宮藤勘九郎さんを目指したいですね。ふざけていながらコンテンツは素晴らしいという。頑張りたいと思います。
「ザ・悲劇」
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- この芝居、岡田ケンの半生を八月の会メンバーが演じる劇中劇がありました。そのタイトル案が「漂泊の家」か、「ザ・悲劇」。この「ザ・悲劇」を出すというのが面白かったですね。ふざけたタイトルじゃないですか。
- 柳沼
- そうですね。
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- でも、それは会のメンバーが岡田ケンの物語への客観性を失っていないことの証拠で。完全に岡田ケンの世界に没入している訳ではないというストーリー上の宣言だったと思うんです。
- 柳沼
- 岡田ケンを神格化しないというのはちょこちょこ混ぜてましたね。みすぼらしいって表現したり。ケンの不幸に対しても、みんな感情移入するだけじゃなくて冷静に受け止めているんです。
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- 岡田ケンは神ではなくあくまで、一人の人間である。
- 柳沼
- 岡田ケンの遭った不幸って、誰にでも起こりうると思うんですよね。でもそれを不幸だ不幸だと評価するのではなく、まずみんなで認識しようと。今回一番大きなキーワードは相互認識だったと思うんですよ。お芝居の中で、良子役の阪本麻紀※が「ケン君は私の話を聞いてくれた。だから私も聞かなくちゃって思った」と言うんですが、まず相手を受け止めようと言う姿勢ですね。理解出来ないと決めつけるんじゃなく、まず話を聞こうと。これは劇中だけではなく、稽古場でも行われていたことで。非日常的な、利害を越えた所での相互理解って、貴重な事なんじゃないかと。
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- 人間同士の相互理解は、まず相手を受け止める事から始まる。
- 柳沼
- これから演劇活動を行うに当たっても、まずは相手を評価したり総括するのではなく、認識をしなければならない。その認識のあり方を知ってもらうために、舞台を作るというのが僕の使命じゃないかと思っています。
- ※阪本麻紀氏
- 烏丸ストロークロックメンバー。俳優、音楽、制作を担当。
亀島君の新鮮な動きかた
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- 今回の作品でもの凄く面白かったのは、恋人同士が久し振りに喫茶店に行くシーン。普通に椅子に座ればいいのに、男が振り向きざま飛びあがって抱きつく形でイスに腰掛けるという。ああ、これは絶対文章では伝わらないですけど、何か凄く新鮮なおふざけを見られたんですよ。
- 三浦
- 彼はロロのメンバーで亀島君というんですが、彼の動きは本当に面白くて。その、イスにジャンプして座るというのも、細かいタイミングが凄く重要なので何回も練習しています。
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- あ、やっぱり適当にやっている訳じゃないんですね。洗練されていると感じたのはやっぱり、精度があったからだし。着実に練習しているなと感じました。あと、演劇の面倒な手続き逆手に取ったセリフも面白かったですね。場面転換を、後ろを振り向きざま「ハイ着いた!」だけで済ませたり。
- 三浦
- 演劇特有の嘘みたいなのが凄い好きなんです。三角巾を額に付けて幽霊を表したり。旗揚げ公演の時に、雨男という設定のキャラクターに、ずっと横について如雨露で水を掛ける係を付けたり。ロロではいつも、演技にルールを付けているんですよ。この前で言うと何度も同じ動きをしたり、あえて変なポーズで止まったり。
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- そこが現代的な感覚に思えるんですよね。
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