話題の「レ・カルテットトリオ」
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- さて、「ELDER」については後でもう一度伺うとして・・・先日、ROB CARLOTNは大大阪舞台博覧会※にも出展されていましたね。タイトルは「レ・カルテットトリオ」。幸運にも拝見出来ましたが、これも大変面白かったです。
- ボブ
- ありがとうございます。良いふうにおっしゃってくださって。
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- コントにもミュージカルにも近い芝居でした。非常にまとまった作品でしたね。歌も非常に良かったです。ミュージカルとコントの切り替えが非常に刺激的な演出でしたね。
- ボブ
- そうですね、実際どうなるかドキドキしながらやっていました。クルッて切り替わるのが単純に面白いなと思いながら作っていました。本番では照明とかもありましたしね。
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- そして、計算ボケ役のダイチさんのあの目つき。これが非常に良かったんですよね。下手側をあの「やったったで」的な表情で見回された度にそこのお客さんが沸いてました。
- ダイチ
- あはは(笑う)
- ボブ
- 本当ですか。彼はボケては「どないでっか」みたいな役回りなので、それがハマっていたなら成功ですね。
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- もちろんです。3人の役柄が非常に考え抜かれていて、洗練されていました。あのフォーメーションは、いわば発明品でしたよ。
- ボブ
- 満腹が天然のボケの体で、ダイチが「ボケてやりましたで」というポジションでした。それが出来ているのであれば。
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- 狙い通りだったのですね。何よりです。さて、初めての大阪での上演でしたが、いかがでしたか。
- ダイチ
- 大阪、遠いですね。
- ボブ
- 京都でやっているとどうしてもね。東京と距離感が似ていて、僕らも思い切りがいるところがあって。
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- それが、次回公演はいきなりのHEPですからね。楽しみです。
- ボブ
- 僕らも楽しみです。
- ※大大阪舞台博覧会
- 公演時期:2015/2/21~22。会場:大阪市立芸術創造館。
劇団レトルト内閣とその変遷について
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- さて、レトルト内閣とその変遷について今日はお話したいと存じます。
- 三名
- 細かく説明しだしたらキリがないんですけど、どういう感じでいきましょうかね。
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- まず、私の経験から良いでしょうか。5年前に楽園狂想曲という作品を芸術創造館で拝見し、それから一作品くらい飛ばして全て拝見しています。
- 三名
- ありがとうございます。
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- これは大変失礼な言い方ですが、最初に観たその作品からほぼ別の劇団なんじゃないかというぐらい作品の質が上がったと思っています。偉そうな言い方にならざるを得ないんですが、成長されたなと。最初に観た作品は、下手というよりかは、表現を伝えたいという意思と手法がマッチしておらず、安易な作りに見えたというか・・・やりたいようにやってるだけのように見えてしまったんですね。しかし5年して、演出方法に劇的な変化があり、ほとんど変身しているように思えます。驚きました。何があったんでしょうか。
- 三名
- 楽園狂想曲に関しては、まあ失敗したなというのがあったかなと。
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- そうなんですね。
- 三名
- 演出方法として、大劇場寄りの作り方をしてしまったので・・・これではちょっとあかんなと。どこまでいっても大劇場を超えられないし自分達の良さを引き出せない。そういう意味では絶叫ソングもそうでした。社会に訴えるようなというテーマを選んでしまったために、焦点がぼやけていて。演出の面でも、ポイントがハッキリと分からなかったんですよね。
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- しかし、「さらばアイドル、君の放つ光線ゆえに」※から一転、全く違う演出方法が取られるようになりましたね。「さらばアイドル」は非常に場面転換が多い、暗転と出ハケと映像のテンポが良く、恐ろしいスピードでイメージの切り替わる芝居でした。それまでのレトルト内閣の持っていたイメージを受け継ぎながら、とてもシャープな仕上がりでした。強烈なイメージを伝えるのに必要な、切れ味のあるやり方。演劇に形を借りたパフォーマンス作品と言えるんじゃないかと考えています。そういう作品はあまり観たことがなかったので、新鮮でした。そうなったのは、内から来る表現欲求だけに拘るよりも、演出方法に目を向け始めたからじゃないかと考えているのですが。
- 三名
- それはありますね。従来の手法を変えようと言い出したのがレトルト内閣の代表でした。
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- というと。
- 三名
- 「さらばアイドル」以前は演出に向いていないんじゃないかと思っていて。それならお芝居の鉄則、一場一シーンに則って作ったらクオリティが高くなるんじゃないかなと。ウチは台本を決める会議を毎回するんですが、そこで私が「鉄則通りの大人しい演出をしたい」と言うと、代表の川内が「それは可能性を狭めるから嫌だ」と。「そんな発想ではもうどこにも行けないから、抜けだそう」と。じゃあ思い切ってやってみましょうかという事になって、逆にシーンを細かくぶった切って映画のシーン作りを意識した演出になりました。
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- そう、映画みたいな演出でしたよね。
- 三名
- 次の「猿とドレス」※はデビッド・リンチやジョーン・ゾーンを研究して、訳の解らない演出をやりました。
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- あれは凄かったです。強烈なイメージがあるんですよね。
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- しかし、そうした転換は会議で決まった方針なのですね。
- 三名
- 会議はいつも作品が幅広い客層にウケるようにというスタンスで、焦点のボケるものだったんですけど・・・。その時は珍しく、変化や挑戦していこうと代表が言って、すごく感謝しています。
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- それからなのか、俳優の会話もモノローグも凄く上手くなっていったような気がします。自分の保守範囲を守るような演技じゃなくて、演じる事に捧げているように感じます。見せ方が変わっただけじゃなくて。この間の「金色夜叉オルタナティブ」※も非常に面白かったし。そうなんですよ、劇団って頑張ったら成長するんですよね。少なくとも変わる。でも、俳優の方々は苦労されたんじゃないですか?
- 三名
- 凄く苦労しました(笑う)。早替えであったりとか、複数役があるとか、数秒で暗転するとか。技術も気合もいる(笑う)
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- でも、よく訓練されている感じはしますね。全然不安にならない。
- 三名
- やり始めたら、技術がだんだん蓄積し始めているんですよ。俳優も苦労しながらノウハウを蓄積して、根をあげず助けてくれました。
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- たった一作品で変わる事ないですもんね。
- 三名
- ウチの特徴として、セリフのテンポが早いんですね。以前伊藤えん魔さんがゲストで来て下さったとき、ものすごく多忙な時期を融通してくださって来てくれたんです。バタバタだったので段取りだけ確認して、本番が始まってから、自分の出番までの時間で台本を覚えてはったんです。そろそろ自分の出番かなというシーンで。そしたら、すごいスピードでシーンが変わっていくから「今、どこ?こんな早いんか、間に合わない」って(笑う)。
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- それは伊藤えん魔さんが面白い話ですね(笑う)。
- 三名
- 知れば知るほど凄い方です(笑う)。
- ※劇団レトルト内閣17回 10周年記念公演「さらばアイドル、君の放つ光線ゆえに」
- 公演時期:2011/2/18~20。会場:HEP HALL。
- ※劇団レトルト内閣18回 10周年記念公演第二弾「猿とドレス」
- 公演時期:2011/9/16~18。会場:ABCホール。
- ※劇団レトルト内閣19回公演「金色夜叉オルタナティブ」
- 公演時期:2012/6/15~17。会場:HEP HALL。
COMME CAとANNA SUI
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 堀川
- これから定期的に、東京だけではなく京都でも公演をやれたらと思っています。
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- あ、いいですね。楽しみです。では、どんなお芝居を作って行きたいですか?
- 堀川
- 「SF=すこしふしぎ」というコンセプトを掲げているんですが、そんな作品を作りたいですね。あと、男性はおしゃれな作品が苦手だと思うんですよ。おしゃれすぎず、でもスタイリッシュなものがいいんじゃないかなって思っています。
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- お洒落すぎず、しかしスタイリッシュな?何だか分かるような気がします。東京っぽい感じですよね!
- 堀川
- 東京らしい作品って、私の中ではカットチェンジが多くて、パッパとシーンが切り替わるようなのを思い浮かべます。何かわかんないけど(笑う)、SFな感じで、都会っぽさを出していけたらと思います。
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- 堀川さんの東京的な洗練さとは。
- 堀川
- コムサにアナスイを足したみたいな・・・ボーダーの世界にチョウチョを足したみたいな。
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- では、京都はどんなイメージですか?
- 堀川
- 和ですね。今日も着物の女の子をたくさん見たんですよ。
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- 私も今日見かけました。気合の入った感じのは舞妓さんなんだと思います。