透明な壁を巡る旅

__ 
マイムって、演劇ともダンスとも違うジャンルですよね。だからまだ人類の知らない可能性があると思うんですよ。参入人数もまだそれほど多くはない。というか、歴史がまだ100年経っていない。
黒木 
そうですね。いいむろさんもおっしゃってるんですけど、マイムの良いところって、人生の長い時間を3分くらいの、いや、もっと短い時間で表現出来たりするんです。それが凄く魅力的かなと思っていまして。でも、一時間ちょっとの作品を作りたいんですけど、自分自身で作ろうとすると3分程の作品の方が作りやすくて見やすいし、一つ伝えたい事がドンってくるから。
__ 
最終的にはより深い印象を刻めるかどうか、ですよね。
黒木 
そうですね。
__ 
人生を凝縮して見せる事が出来る・・・ちょっと脇道にそれますが、マイマーってすごく俳優の人格が出ると思いませんか?
黒木 
出ますね。
__ 
これはもう、演劇よりもくっきりと出るんじゃないかと思う。会話ではなく、モノVS人物なので。さらに、触れている人物を見ている観客はどんな状態にあるかと言うと、動きの面白さはもちろん、この人はこれからどうなってしまうんだろうというワクワク感。
黒木 
そうですね。何でしょうか。それこそ、それぞれの人格も含め、役者が客席の地続きに存在しているような・・・それは一要素としてはあると思います。名前が付いていない、情報が少ないからというのもあるかもしれません。誰か分からない方が面白いというのはあるかもしれません。
__ 
しかも誇張された動きで。何故あんなに不自然なのに見せられるんだろう。見えない壁に当たったら絶対、離れますもんね。絶対に触らないと思う。スリル満点ですよね。
黒木 
そんな人がいたらビックリしますよね。
__ 
意外と、その姿が異様だからこそ、何かを感じているのかもしれない。
黒木 
ええ。
__ 
マイムの表現の原理に、何か、触るというアプローチがあって。あるかどうかも分からない透明を触るその者はその瞬間、個として完全なのかもしれない。何故なら彼はその時誰にも支配されず個としてそれに触れる事を選んでいるから。その時だけは確かに、見えない何かに触っている疑念の身体が明確に存在している。この特定によって、絶対に流れ去ってしまう時間や風景を空間にとどめようとする技術なんじゃないかと。凄くエンターテイメント性を持ちながらも、無常さそのものと相性の良い芸能なのかなと思うんです。そこで家族をテーマにした作品を行うというのは興味深いですね。

タグ: 演技の理解、その可能性 役者はノイズを産み出す機械? 役者の認識(クオリア) 瞬きの数をコントロールする俳優 コンセプチュアルな作品 一瞬を切り取る 愛情表現 新しいエンターテイメント パントマイムの話題 関係性が作品に結実する 俳優を通して何かを見る


ka2ak / 「罪ツツミツツ蜜」

__ 
さて、カメハウスの次回公演は「罪ツツミツツ蜜」、五月一日から上演ですね。
亀井 
言いにくいですよね。
__ 
いえ、好きなタイトルです。回文になっていて、日本語としても通っているじゃないですか。今の時点で、どんな作品になりそうでしょうか。
亀井 
いつもはパフォーマンスが多いんですけど、今回は比較的しっかりストーリーを組み立てているんじゃないかと思います。構造は凄くシンプルなんですけどね。章それぞれにテーマがあって、それらを全体で見ると回文形式になっているんです。それを初めに思いついて書き始めました。いつもは章立てすらしないんですけど。
__ 
チラシからすると怪奇ゴシックロリータ的なイメージを感じますが、それがカメハウスのカラーなのでしょうか?
亀井 
基本的に、カラーは無いんですよ。短編と本公演で作風がガラッと変わりますし。そのとき僕が書きたいものを書くというのを信条にしているんです。最近はちょっと柔らかくなってるのかな。このごろ小説をよく読んでいる事もあって、文字にこだわった脚本を書いたりもしています。
__ 
文字にこだわる?
亀井 
脚本家として、例えば「言えちゃう台詞」ってあるんですよね。それを、どこまで言わずにいけるか、にこだわったりしています。例えば普通に「元気ですか?」「元気です」という受け答えがあるとして、「元気です」という台詞を絶対に言わずに「はい元気です」と答えるには?みたいなまわりくどい事を結構やっています。そういう実験ばかりしていると言葉遊びとかリズムにこだわってきてしまって。
__ 
最終的には、台詞を文字に近いように使うようになるとか?
亀井 
それに近いかもしれません。今回、作中にも言葉と認識というのがテーマとして出てくるんです。今ここにカップに入った水があるんですが、これを水と認識するには言葉が必要で、「水」という言葉があるから認識が出来るんじゃないか。今回は怪奇探偵もので、妖怪が絡んでくるんですよ。認識のズレがキーになる。お客さんに認識させる言葉とそのズレを意識しながら書こうとしています。
__ 
舞台上での会話とは、とても複雑な現象ですね。通常の会話とはどこまでも異なっている。俳優によって演じられている、すでに用意された言葉を観客が解釈している、という状況。どうやっても誤解の生まれる状況ですよね。
亀井 
そうですね。誤解は発生するし、むしろ疑ってほしいです。僕の周りでは王道のエンターテイメント=シンプルな伝わり易さがその醍醐味だと考えられていますが、お客さんにはそこを疑ってほしいです。全部嘘なのかもしれない、って。で、今回は回文がテーマなんで、そこを手掛かりにしてほしいですね。意味が分からない言葉が出てきたら逆さまにしてみたり、とか。しかも今回は探偵モノなので、脚本の中にも謎を埋め込んでいます。話自体は簡単なんですけどね。
カメハウス第捌回本公演「罪ツツミツツ蜜」
tsumitsumimi
カメハウスが1年半振りにお送りする怪奇探偵物語!妖怪、怪異、愛、恋、オカルト、宗教、脳髄、記憶― 圧倒的なスケールと、カメハウスコラージュ演出の真骨頂を是非体感しに来てください!

【公演日程】
日時 2015/5/1~4
5/1(金) 19:30
5/2(土) 14:00 19:00
5/3(日) 14:00 19:00
5/4(月) 13:00 17:00
【会場】シアトリカル應典院
【料金】一般前売¥3,300 一般当日¥3,500 学生¥2,000(※要学生証)

タグ: 意図されたズレ 新しいエンターテイメント タイトルの秘密


観客

高木 
以前は舞台に立つ時、観客を通して向こう側の絶対的な何かに届いてほしい、みたいなことがあったんです。とても小さい存在である自分を俯瞰でみているという実感があったんです。いまは、もう少し観客との距離感を近くありたいなと思っていて。客席に絡んでいく事もあるし、普段誰かと喋っている時のように舞台で振る舞いたい。
__ 
エンターテイメントに近くなった?
高木 
そう言えるのかもしれませんね。コンタクトを大切にするように変わってきたと思います。とは言っても、そう思えるようになってからまだ作品は作ってないんですけど・・・
__ 
新作、楽しみにしてます。

タグ: 新しいエンターテイメント 俳優を通して何かを見る


君となら、銀河の果てでも、どこまでも!

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、西村さんはどんな感じでしょうか。
西村 
最近は、劇団しようよで同志社小劇場の企画にお邪魔させて頂くんですけど、その稽古ですね。学祭での企画で、しようよを選んで頂いて。
__ 
可愛いチラシですね。『君となら、銀河の果てでも、どこまでも!そこになかったはずの酸素は要するに湧き上がり、星はまたたき、スーパーノヴァ』
西村 
無料の、入退場自由の企画公演になっています。もし宜しければ。
__ 
なるほど。西村さんはどんな役柄なんでしょうか。
西村 
実は初めての、自分とは年齢の離れた役なんです。役作りが大変で、難しいなと。
__ 
楽しみです。見に行けるように頑張ります。西村さんは、月面クロワッサンとしようよに同時に所属されているんですよね。
西村 
そうですね。元々は月面クロワッサンだったんですけど、しようよさんに客演させて頂いている内に大原さんからお誘い頂いて。月面クロワッサンはエンターテイメントで、ドラマもやって色々な方面に発信していく劇団で、劇団しようよは舞台でしかできないことにこだわるというか。そういった芝居をしたことが無かったので、新鮮に思っていたんです。月クロの活動がドラマ主体になっていったので、自分としては舞台をもっとやりたいなと思っていたのもあったんですが。
劇団しようよ
2011年4月、作家・演出家・俳優の大原渉平と、音楽家の吉見拓哉により旗揚げ。以降、大原の作・演出作品を上演する団体として活動。世の中に散らばる様々な事象を、あえて偏った目線からすくい上げ、ひとつに織り上げることで、社会と個人の”ねじれ”そのものを取り扱う作風が特徴。既存のモチーフが新たな物語に〈変形〉する戯曲や、想像力を喚起して時空間を超える演出で、現代/現在に有効な舞台作品を追求する。2012年「えだみつ演劇フェスティバル2012」(北九州)、2014年「王子小劇場新春ニューカマーフェス2014」(東京)に参加するなど、他地域での作品発表にも積極的に取り組む。野外パフォーマンスやイベント出演も多数。2015年「第6回せんがわ劇場演劇コンクール」(東京)にてオーディエンス賞受賞。同年よりアトリエ劇研(京都)創造サポートカンパニー。(公式サイトより)
月面クロワッサン
2011年、代表の作道雄を中心に活動を開始。演劇作品と映像作品の両方を発表、京都から作品を発信している。メンバーは、11人、平均年齢23歳。演劇・映像作品ともに、サスペンスやファンタジーなど、ジャンルは多岐に渡っているが、基本は群像劇のスタイルである。演劇では、笑えて、かつノスタルジックな物語性を中心とした会話劇を得意とし、vol.6「オレンジのハイウェイ」で、大阪に初進出。映像方面においては、2012年秋のWEBドラマを経て、2013年7月から連続ドラマ「ノスタルジア」をKBS京都にて3ヶ月にわたって製作、放送。地上波進出を果たした。また、「企画外企画劇場 IN 京都」などのバラエティーイベントの主催、WEBラジオの定期配信など、 様々なスタイルを持った活動で、新しいエンターテイメント創作者集団としての地平を開拓している。(公式サイトより)
同志社小劇場 同志社大学EVE祭プロデュース公演「すぺーす△ふらっと」劇団しようよ参加作品『君となら、銀河の果てでも、どこまでも!そこになかったはずの酸素は要するに湧き上がり、星はまたたき、スーパーノヴァ』
公演時期:2014/11/27~28。会場:同志社大学 今出川キャンパス 弘風館46教室。

タグ: 役作り=キャラクタの分析 ファンタジー 新しいエンターテイメント


「人格を消費する」

__ 
今回の最初のシーン、戦隊モノから入っていきましたね。もうこれはエンターテイメントであると宣言してくれていたような気がして、それを最後まで裏切らずいてくれて。俳優も全員面白かったです。まず伺いたいんですが、お客さんにどう感じてもらいたいですか?
福谷 
どう感じてもらいたいんかな・・・さっき言った事と矛盾してしまうんですけど、事実ではないと言いながらもやっぱり僕の作家性みたいなものは完全に入っているので、スタート地点は真実だったりもすると思うんですよ。スパイク・ジョーンズが好きなんですが、彼の映画には監督の苦悩が露骨に作品に出てきてるんですよ。僕はそれを見せ物として楽しんでもらいたいんですね。
__ 
苦悩?
福谷 
いじめられている俺を見て笑ってくれ、という気持ちですね。お客さんに対して。
__ 
それはつまり、自分に同調してもらいたいと思っている?自分をネタにして面白がってもらいたい?
福谷 
そうそう、そうですね。
__ 
それを面白いと思うようになったのはどこからですか?
福谷 
うーん、割と昔から、かな。作り込んだものよりも、ハプニングの方が面白いみたいな感覚ってあるじゃないですか。僕らのやっている事はそれではないですけど、僕の想像力なんて乏しいので・・・一番身近にある僕というコンテンツを消費してくれというスタンスですね。
__ 
なるほど。そういう企みに我々は見事に引っかかり、次も楽しみにしてしまうんでしょうね。その性向は、福谷さんにどのようにして備わったのでしょうか。
福谷 
僕、元々お笑い芸人になりたかったんです。小学生から高校までそう思ってたんです。全盛期から今でも好きなのがロンドンハーツなんですが、あれはものすごく人格を消費する笑いで、僕はそうなりたくないから止めた一方で、でもそれがあるんだろうなと思いますね。
__ 
ロンドンハーツ、面白いですよね。あれは普通の雛壇番組とは全然違って、そこにいる人達の関係性を駆使した笑いと、さらに尊厳を蹂躙する事で生まれる快楽。
福谷 
それはもう人気番組ですからね。みんな、それを求めてるんだろうなと。

タグ: 僕を消費してくれ 書いてみたいと思った わたしとわたしの矛盾 新しいエンターテイメント 関係性が作品に結実する 単純に、楽しませたい


匿名の矛盾

__ 
福谷さんが演劇を始めたのはどんな経緯が。
福谷 
僕は近畿大学の舞台芸術専攻に入ったのがキッカケですね。
__ 
なぜ近大に入学されましたか。
福谷 
本当は東京の日大に行きたかったんですけど、経済的事情もあって。入るなら、ツブシの利く総合大学かなと思って。
__ 
旗揚げしたのはどんな経緯が。
福谷 
大学入って2年の頃。授業以外で自分の公演が出来るんですよ。2012年6月が旗揚げですね。
__ 
そのころからメタフィクションだったんですか?
福谷 
旗揚げ公演が今回の作品みたいな感じでした。で、その一つ前のスタッフワークを中心に学ぶ公演のメンバーが、ほとんど今のメンバーなんです。東以外。カフカの「変身」を上演する劇団のバックステージもので、それも入れ子構造でぐっちゃぐちゃの作品でした。
__ 
なるほど。匿名劇壇では、今後どういう事をやっていこうと思っていますか?
福谷 
ちょっと前の「ポリアモリー」を作っていた頃は、まっとうな物語演劇を作ろうと思ってたんです。今はちょっと違って、例えば劇団の劇団性みたいなのが観客に事前知識として必要なのと同様、今回の作品は、僕が匿名劇壇の主宰であるという知識があって見た方が絶対面白いと思うんですね。劇団としてはそこをやりたいと思います。誰かが劇団を辞めたらその辞めた性が重要になってくる。そんな感じ。
__ 
何故そうしたい?
福谷 
それが自分で面白いと思ってるから、ですね。演劇の何が一番面白いというかというと、生である、という事ですよね。それも、裏側込みの生。踊る大捜査線でも、ギバちゃんと織田さんが一緒に出ているシーンに、含みをもった面白さがあるんですよ。みんな、そういう部分はあると思っていて、僕らをそういうふうに消費してほしいですね。
__ 
スキャンダラスさを含んだ、ね。初めての人でも面白い内輪ネタが出来るようになってほしいですね。
福谷 
そうですね、それは素晴らしいですね。
__ 
いつか、どんな作品が書きたいですか?
福谷 
やっぱり、外に出ても引きずれる作品。寺山修司の街頭劇のような、劇場の外に出ても芝居が続いているような、そんな芝居が作れたらと思います。
__ 
なるほど。
福谷 
事実と思われたくないと言ってる一方、客だしの時の僕らを見る目がちょっとおかしくなっている事が望ましいです。それがずっと引きずっているいるような。矛盾してますね、メタって。
__ 
パンフに、開場中は他の劇団のチラシは見ないで僕らの事だけを考えてほしい、みたいに書いてますね。
福谷 
そうですね。自己顕示欲というか。例えば芝居に人を殺した役が出てきたとして、「本当に殺してるんじゃないの?」と思わせたら勝ちですね。
__ 
なるほど。
福谷 
ポリアモリーの前にやったjerkという芝居で、劇団員との話をこっそり録音したテープを元に作った芝居を作ったんですよ。という体で実は全くの創作なんですよ僕の。
__ 
ええっ。
福谷 
それを、実際に録音したと思われたいです。
__ 
そういう福谷さんの、言葉は悪いですがかまってちゃん性に共感します。自分達を消費してほしいとか、ちょっと現代的な気がする・・・そんな言葉で表して良いのかわからないですけど、異質な感じがする。
福谷 
そうですね、自己満足には陥りたくないと絶対に思いますね。あくまで見せ物ですし、エンターテイメントですから。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 フランツ・カフカ 内輪ウケの・・・ わたしとわたしの矛盾 新しいエンターテイメント


匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
いまはとりあえず公演真っ只中で、それが終わっても最近はもう色々やる事があって。充実しています。
__ 
演劇を抜いたらどんな感じですか?
福谷 
それ以外はもうバイトしかしてませんね。コンビニとカラオケと。これから一人暮らしを始めるにあたって、コンビニの方を辞めました。
__ 
なるほど。匿名劇壇「2時間に及ぶ交渉の末」、大変面白かったです。本公演は初めて拝見したんですが、伺っていた通りメタフィクションでしたね。メタフィクションである自分自身達にも言及するぐらいメタの構造で、それが表現する内容自体とも一体になっていて。ご自身としては、手応えはいかがでしょうか?
福谷 
そうですね、メタフィクションとなるとどうしても小難しくなっちゃうんですよ。それが今回、初めてうまくエンターテイメントに持っていけたと思うんですよ。
__ 
福谷さんはメタフィクションを使ってエンターテインしたいんですか?
福谷 
そうですね。これまで作ってきたものは演劇に対してのリテラシーが必要だったんですけど、今回初めて、演劇が初めての人でも楽しめるものになったんじゃないかなと思います。
__ 
そうそう、そういう感想がtwitterにありましたね。誰でも純粋に楽しめるものになってました。
福谷 
そこは苦労してきたところで、玄人好みじゃない、内輪ネタでもない、違うものになれたかなと思います。
__ 
話題になった前回公演「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ」もメタフィクションでしたね。ドキュメンタリー映画の作家役が舞台上に出てきたり。あれは感情とかLOVEに食い込んでいました。今回はもっとエンターテイメントに徹したという感じですね。
福谷 
gateで上演した「奇跡と暴力と沈黙」なんかは、やっぱり演劇を見慣れている人が、俳優の頑張ってる感を面白がる込みの作品だったんですけど、今回はそんなの必要ない感じでしたね。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
匿名劇壇第五回本公演「二時間に及ぶ交渉の末」
公演時期:2014/5/29~6/2。会場:シアトリカル應典院。

タグ: ドキュメンタリー 「初めて芝居を見たお客さん」 ウェブ上の感想 内輪ウケの・・・ メタフィクション 新しいエンターテイメント


こころをほどくとき

__ 
去年の「君の名は」の大阪公演。場所は大阪城公園でしたね。とても面白かったですが、後半の方はものすごくおどろおどろしくて疲れてしまったんです。特に、2Bさんの悶々としたダンスが凄くどんよりとしていて。一見ポップなのに、ネガティブな表現もあるんだな、と。もしかしたら、旅をする人だから受け入れられたいという願いと同時に受け入れる事にも強い。その姿勢がきっと作品の作り方とも結びついているんじゃないか。そういう姿勢があるから、ネガティブな表現にも通じていくのかなと思う。そこで伺いたいんですが、お客さんにどう思ってもらいたいというのはありますか?
五月 
どう思ってもらいたいというのはないですね。色んな人がいるから、やっぱりキツい世の中だから、何となく気持ちが固くなって身体も固くなって、周囲に遠慮したり気を使ったり、それで自分がイヤになったり、遂にキレてしまったり。まあ何か、どくんごの芝居に来て、笑ったり空を見たり、下らないなあと思って呆れたり、可愛い小道具を見て和んでもらったり。色んな気持ちになって、感情を起こして、気持ちが柔らかくなるといいな、自由になるといいなあと。そう思います。だから色んなタイプの表現を挿入していると思います。だけど、基本的には「ひっどい世の中だなあ」という(笑う)、基本的には、私の芝居の世界は暗いんですけれども。でも、暗いでしょうと言ってもしょうがないですけどね。
__ 
気持ちをほぐす。揺さぶっているんですね。では、自分の芝居をやる上で、総合的に心がけている事はありますか?ちゃあくんさんからお願いします。
ちゃあ 
いやあ難しいなあ、僕は芝居も初めてなので。基本的な事ですけど、ちゃんとセリフを言えて、僕だけの独りよがりにならない、お客さんを置いていかないで、イメージを伝えられるようにしたいです。
__ 
難しいですよね、「ひとりよがりにならない事」。
2B 
まあ、自分がやりたいシーンを作ってやっているので・・・僕は、「どうすか?」って姿勢でいます。見る人によって色々だと思うんですけど、色々考えてもらえたらいいというか。去年のダンスも、ネガティブに捉える人もいれば、笑ってくれる子供もいるし。舞台でやっている事を使って、考えてもらうという部分があるんです。
__ 
ああ、エンターテイメントとして終始するだけじゃなくて、深い部分にまで考えが突入していくような、そんな感じ。
2B 
考え事をしてもらえれば。そういう風になるには舞台上の僕とか作品が上演は強さがなければならないと思うし、そういう風にやっていけたら嬉しいと思います。
__ 
ありがとうございます。高田さんは。
高田 
あえて決めてしまわないようにしてるかもしれません。大声を出そうとすると、「自分は大声を出すのが得意じゃないか」ってキャラを決めてしまって、その場でがんじがらめになってしまって。それはあえて決めないで、探していこうと思います。つまりは柔軟に対応しようという事だと思います。
__ 
その場その場での判断。そこで集中していられたらいいですよね。
高田 
そうですね、その為に体とかのケアはしないといけないな。
__ 
ケア出来ていますか?
高田 
どうですかね。一応、体調を落とさないようにはしています。
__ 
石田さんはいかがでしょうか?
石田 
五月さんが言ったみたいな、色々な感情があるみたいなのが凄く好きで。私は健康優良児なのでそれを生かしていこうと。テントで後ろが開けていって、大きく大きく見せられるように。器用じゃないから大きく大きくしていこうと思います。
__ 
なるほど。石田さんを早く見たいです。根本くんは。
根本 
僕はまあ、扉を開いていこうと思います。切り込み隊長だとこの間言われて。そういうポジションにいるのかなと思います。お客さんの中に入って新しいスペースを作って。ぐわって上げて、そこにさらに他の人達が乗っかって。
__ 
扉が開く!
根本 
開ける!後は任せた、みたいな(笑う)。まあそんな事が出来たらいいなと思ってます。
__ 
開く。それがキーワードな気はしますね。今回、根本くんは脚本ですね。これまでのどくんご公演は、役者の方々が作ってきた一人芝居・二人芝居を構成した作品だったと思うんですが・・・
根本 
今回も作り方としては一緒です。役者一人ひとりが作ってきたものを出すんだけど、僕が書いてきた脚本があって。今回はSFという設定で書いたんだけど、そこを各自が勝手に拾ったり、自分のアレンジでやったりとか、その繰り返しでやったり、原型が無くなっていったりとか。最終的にはどくんごの芝居という形になりますね。
劇団公演第27番・The Naked Dog Tour 13 『君の名は』
公演時期:2013年5月~11月。会場:日本全国各地。

タグ: 器用さ・不器用さ 生き方と世の中の為に動く 役者のその場の判断 新しいエンターテイメント 心を揺さぶる ポカーンとなった観客


いつかよぎる景色

__ 
山本さんはコトリ会議の脚本家・演出をされていますが、お客さんにどんな気持ちになって帰ってもらいたいですか?
山本 
やっぱり、どこかほっとした気持ちになってもらいたいですね。エンターテイメントを求める心が僕の中にはあって、観てたくさん笑った後にずっと考えさせられる。劇場を離れて時間が経って、例えば誰かと話している時、TVを見ている時、お茶を飲んでいるような時にふと再来する、そんないいシーンを生み出したいというのはありますね。作品の解釈なんて結構どうでもいいというのはあって、でも、印象に残るシーンを作りたいですね。
__ 
これまで作られた作品の中で、それはありますか?
山本 
あまり見られてはいないんですが、3回目の公演の「右はじの、映らなかった人」という作品。夕暮れの中で一人の女性が男の写真を映す、その情景であるとか。「サリリャンカララワールド」のラストもそうですね。
__ 
というと。
山本 
暗い倉庫の中生きている女の子が自分の中でストーリーと生活を作り上げるという話で、最後に光が差し込んで、抒情的なセリフが続いて、「母は思い出すよ」というセリフがあるんです。
__ 
ちょっと鳥肌が立ちました。
山本 
でも中々上手く行かなくて、あまり受け入れられなかったんです。
__ 
勇気を持って表現する劇団の芝居が好きなので、やってもらえると嬉しいし、やらなければ何も始まらないですけどね。だから私は、どんな作品の面白さも拾わなければならないと思っています。
山本 
ありがたいお客さんやなあと。ありがとうございます。
コトリ会議 演劇公演 5回め「サリリャンカ・ララ・ワールド」
公演時期:2010/4/17~18。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 一人では何も出来ない いつか、どんな演劇を作りたい? 新しいエンターテイメント 受け入れる・受け入れられる いつか、こんな作品を作りたい


EPOCH MAN〈エポックマン〉

__ 
EPOCH MAN〈エポックマン〉。どんな作品を作られるのでしょうか。
小沢 
まだ一回しか公演をやっていないのですが、前回のは70分から80分の作品で、女性4人の芝居と、男女の二人芝居の二つの短編をくっつけた作品でした。僕自身が好きなのは、人の醜い部分だったりするんですね。女性の嫉妬心や執着心などのドロドロした部分。それが笑いになってしまいながら、心が痛くなるような。リアリティは大切につくるのですが、ひとりの役者がコロコロと役を変えたりと、基本的には生の演劇ならではのものは目指しています。自分自身が、何だかんだエンターテイメントが好きなので。
__ 
面白そうですね。拝見したいです。
小沢 
ただの、リアルな生活を見せるようなお芝居はあまり好きじゃないんですね。視覚的にも楽しみたいし、音楽も大切にしています。ただ、まだはっきりとは、こういう作風です、こういう色です、というのは見つけていないのでこれから探していこうといろいろ挑戦していきます。
__ 
彫刻で言うと、石の中から人物を取り出せていない感じ。
小沢 
まさにそうですね。その状態を楽しんではいるんですけど。映像も好きだし、落語も絵本も歌とかにも興味があるんですよね、最近。もしかしたら、毎回観にくる度に全く違う雰囲気の演劇になってるかもしれません(笑)とにかく今は、来年2月の公演に向けて次回作を書いています。
EPOCH MAN
虚構の劇団に所属する小沢道成が2013年より始める演劇プロジェクト。俳優として活動をしながら、劇団の自主企画公演で発表した数本の作品が好評を得る。人(特に女性の心の中をえぐり出すような作風と、繊細かつ粘り気がありながらスピード感ある演出が特徴のひとつ。問題を抱えた人物が前進しようとした時に生まれる障害や苦悩を丁寧に描きつつも、演劇ならではの手法で会場を笑いに誘う。(公式サイトより)

タグ: 努力を重ねる わたしの得意分野 書いてみたいと思った 見えないぐらい濃い交流 嫉妬心 印象に残るシーンを作りたい 舞台にいる瞬間 新しいエンターテイメント 作家としての課題 正体不明のエネルギー 作家の手つき


帰りの電車のなかで

__ 
これは自分を変えた、という経験はなんでしょうか。
北尾 
僕は桜美林大学に入るまで、ミュージカル俳優を目指していたんです。入学した年の冬に野田地図の「ロープ」という作品を見させてもらいまして、衝撃を受けたんですよ。ミュージカルこそがエンターテイメントで最も輝くジャンルだと思っていたんですが、歌もダンスもなくても観客に迫るお芝居があるんだと。その時は何日も考え続けていたんです。僕の考えを打ち崩されたというか。
__ 
何日も考え続けた。それはどんな気分でしたか?
北尾 
その当時は気持ち悪かったですね、というか、何なんだろうとずっと考え続けてしまう。生活にも支障が出るくらい、ずっと考えていました。今考えると、あれは心地良い事だったんだと思います。
__ 
きっと幸せな事だと思うんですよ。表現者って、どうあれ、そういう体験を始めの頃にするんだと思っています。

タグ: 新しいエンターテイメント 野田地図


僕たちは幸福だ

__ 
下ネタは闇じゃないですからね。汚いかもしれないが、醜い闇の部分ではないはずだ。では、なぜそれを描こうと思うのでしょうか?
坂本 
旗揚げの段階から説明したいんですが、元々通っていた高校がフリースクール系で。アーツエンターテイメント学院という、名前こそ芸術系なんですけど実体は学校にほとんど来てない子らが籍をおいて卒業出来るようにしてあげるトコで。そこに来てる人らと旗揚げしたのががっかりアバターです。
__ 
なるほど。
坂本 
それこそ、一緒に芝居をやってた中から水商売に行く人もいて。最初はショッキングだったんですが、それもまた面白いのかなと思えるようになったんです。ホストにハマって風俗で働き始めるようになっても、それはそれで面白いのかな。みんな、悲惨がらずにもっと面白がっていったらいいんじゃないか、って。
__ 
世間的な価値観と対立する形ではなく、個人の価値観が存立していますからね。
坂本 
元々音楽が好きで、大槻ケンヂさんの曲を聞いていて。筋肉少女帯を好きになって、その流れです。専門学校では、劇団ZTONの河瀬さんが先生でした。
__ 
芝居を始めた頃に衝撃を受けた劇団は何ですか?
坂本 
大人計画です。松尾スズキさんの本ですね。

タグ: 汚す 新しいエンターテイメント 世界がズル剥け


ループ

___ 
silsilさんが絵を描き始めたのはどのような経緯があるのでしょうか。
silsil 
物心付いた時から描いていました。が、姉も描いていて賞も取ったりして、ずっと日陰の身でした。一向に褒められないけど、好きだから描いていました。
___ 
ずっと続けていたんですね。
silsil 
そうですね。高校では、全部の教科のノートに自分の絵や写真を切って貼ってしていました。こういう仕事をグラフィックデザインと呼ぶんだと知って、それで専門学校のグラフィックデザインコースに入学しました。入った後に、イラストを使うような授業があって。どの素材も気に入らなくて、自分でまた描き始めました。
___ 
その時に私と会ったんですかね。どこの大学でしたっけ・・・。
silsil 
甲南女子大の学園祭でしたね。どんな人でも可愛い女の子になるヘンな似顔絵師をしてました(笑う)。おばあちゃんが来ても可愛い女の子になりますけど、いいですか?って。
___ 
それは素晴らしいですね。似顔絵師なのに、自分の表現を曲げない。
silsil 
まあ、そう見えるので。ゴリゴリした男の人がきても、可愛い方がええなと思って女の子を描いてました。
___ 
おばあちゃんが来ても可愛い女の子が出てくるというのがいいですね。
silsil 
もう一度やりたいですね。あれはお小遣い稼ぎでやってました。「料金はお気持ちだけ下さい」って。露店をやってから色んな出会いがありました。本当に。クラブイベントに出演させてもらって、その先で個展に呼ばれて、またその先で・・・そういうループで今の活動のベースは出来ているので。ストリートで絵を描いていたその時間は大事だったと思いますね。
___ 
しかも、ムーンビームマシンのイベントにも出て。
silsil 
はい。ライブペイントを見に来ていらして、そこでお話が膨らんでいって。ムーンビームマシンの方々って、エンターテイメントに真っ直ぐなんですよね。舞台って凄く大変ですよね!みんな、何でこんなのやってるの、ってくらい大変でした。私なんて、そんなに演技はないので大変ではないはずなんですが・・・
___ 
そうですよね。
silsil 
すごく練習するじゃないですか。毎週2、3日の練習を2・3ヶ月して、公演は2~3日、一瞬で終わってしまうのに。
___ 
壮大なムダに見えるでしょうね。でも、それは傑作を生み出す為に仕方ない事だと思っています。画家の方にとっても同じかもしれませんが、傑作って皆、それと分かるじゃないですか。見たら。
silsil 
確かに。
___ 
その傑作なんて、いつでも作れる訳じゃないし、どんな条件が揃っていてもまだ足りない。俳優個人の力とか意識とか存在がこの世に具現化していて、しかも観客がその意味を分かっていないと成立しないし。そんな時には、舞台と観客の間にとても濃い応酬があるんです。
silsil 
確かに。私も舞台に出させて貰った時に物凄い感動がありましたね。みんなで一個のものを作って表現して。舞台に立つ興奮が、それまでの辛さを全て消し去るという。あれはビックリしましたね。ものすごい快感もあって・・・

タグ: 傑作の定義 新しいエンターテイメント


vol.311 silsil

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2013/春
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silsil

どうしたらああいう事が出来るんだろう

__ 
演劇を始めた頃の衝撃作を教えてください。
古藤 
めちゃめちゃ最近なんですけど、KUNIOの「椅子 FINAL」ですね。僕は本当にお笑いしか見た事がなくて、演劇を見始めたのはつい最近なんですけど、「椅子」はちょっと凄かったです。
__ 
私も見ました。面白かったですね。
古藤 
冒頭で古典劇のストレートプレイがあって、「こういう感じなのか」と思ってたんです。でもしばらくしたら杉原さんが舞台に出てきてモニタが付いて、観客も登場人物になっちゃったりして。舞台セットがどんどん変化していくのにも驚いたし、凄いなと。これなら、普段劇場に来ない人でも、観た後に「面白かった」って言えるんじゃないかなって。不条理劇の名作なのに、エンターテイメント性がめちゃあって、結構衝撃を受けました。今までは台本の構成とか、ギャグとか、役者の個性やキャラや演技とか、つまりソフトに目が行きがちだったんですけど、こういうやり方のエンターテイメントがあるんだって。
__ 
目から鱗だったんですね。
古藤 
あ、何やってもいいんだ、って。度肝を抜かれました。最近、その事ばかり考えています。どうしたらああいう事が出来るんだろう。きっと、客層の照準を絞ってるかもしれない。m-floのライブみたいだったんですよ、クラブの要素が入っているような気がしましたね。
KUNIO
杉原邦生が既存の戯曲を中心に様々な演劇作品を演出する場として、2004年に立ち上げる。俳優・スタッフ共に固定メンバーを持たない、プロデュース公演形式のスタイルで活動する。最近では、杉原が2年間務めた“こまばアゴラ劇場”のサミットディレクターの集大成として、初めて既存戯曲を使用せず構成から杉原自身が手がけた、KUNIO07『文化祭』や、上演時間が約8時間半にも及ぶ大作『エンジェルス・イン・アメリカ』を一部、二部を通して上演するなど、その演出力により戯曲はもちろん、劇場空間自体に新しい風を吹き込むことで、作品を生み出している。(公式サイトより)
KUNIO08『椅子』ファイナル
公演時期:2013/3/28~31。会場:京都芸術劇場 studio21。

タグ: 衝撃を受けた作品 新しいエンターテイメント 会場を使いこなす


「俺は今芝居出来ていたらそれでええねん」?

__ 
さて、長尾さんは今後、どのように攻めていかれますか?
長尾 
攻めないですよ(笑う)、でも、ずっと言っているのは「辞めないように、儲かるように」努力してほしいと。演劇という、経済的にあまり能率の良くなさそうなメディアにもっと商業的な思考を持ちこんで考えてほしい。役者とか作家って、そういう思考には疎いと思うんですよね。「俺は今芝居出来ていたらそれでええねん」じゃなくて、どうしたら続けていけるのかを考えてほしいんです。ベトナムからの笑い声の人たちとか、それぞれ仕事を持っていて結婚もしていて、だけど本番のこの瞬間だけは思いっきりアホな事をやる、そして面白いものを作る、それでいいじゃないか。
__ 
カッコイイですよね。
長尾 
または伊藤えん魔さん・わかぎゑふさんのように、初めての人もマニアックな人も楽しめる・みんながお金を払ってもいいと思えるエンターテイメントをつくりつつ、自分のこだわりもしっかりと盛り込んでいくとか。
__ 
プロ化すると。
長尾 
助成金を引っ張るためにこじつけのように頭を使うよりも、何か続けるための自立した方法はないのか、考えていってほしいですね。そういう事は言っていくと思います。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 結婚したら・・・ 新しいエンターテイメント 今後の攻め方


vol.129 長尾 かおる

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2009/春
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長尾

やっていて一番楽しい、キャスティング

__ 
先ほど、「程よい会話劇」と申し上げましたが、行き過ぎない現代口語会話劇、という印象を受けまして。エンターテイメント性を適当に配したというか、バーの雰囲気と凄く調和が取れていたように思います。いとこ達、兄弟、生き別れの親子が、同じバーで入れ替わりに会話するという内容でしたね。舞台が本物のバーというのがまず特色として面白いなと。
池田 
普通の舞台ではない分、会話のやりとりに集中出来る環境だったと思います。小道具も舞台も全部本物なんで。だから、役者はお芝居の周りの「嘘」が少ない分、自分の気持ちの動きだけでお客さんの心を動かす事が出来たと思います。気持ちの持って行き方とか、お互いの距離の詰め方とか。
__ 
なるほど。伺いたいのですが、演出をする際に何か気を配られた事はありますか?
池田 
台本の言葉と役者の言語感覚の相性ですね。体に乗っかった時にムリがない形になるよう注意していて、どうしてもそれを言っているように見えない役者がイヤなんです。そこは気を使っていました。
__ 
つまり、言えてないセリフ。
池田 
言わされちゃってるセリフを見ると、そうじゃないだろう、と思っちゃうんですよね。脚本と自分のイメージにそぐわない役者は呼ばないんです。逆に言うと、そうして選んだ役者さんは稽古場ですんなりと自分のものにしてくれるように思います。プロデュースをやっていて面白いなと思う瞬間ですね。
__ 
配役の妙ですね。
池田 
誰かが書いた脚本と、自分が選んだ役者が、化学反応を起こしてくれると嬉しいです。今回に関してはトリコ劇場の米内山さんとプロットの段階から詰められたんで、かなり良いイメージでできました。キャスティングは、やっていて一番楽しい作業ですね。
トリコ劇場
2003年結成。主宰・米内山陽子氏。

タグ: キャスティングについて 新しいエンターテイメント


ああー、インタレスティング!

__ 
さて、京都の演劇シーンについてすこし伺いたいと思います。関西の中の京都の小劇場は、吉永さんにはどのように映りますか?
吉永 
まず土地柄として、アーティストへの理解があるんですよ。簡単に比較してしまうのはどうかと思うけど、やっぱり大阪は商売の町じゃないですか。だからわかりやすい笑いや感動を求める人が多いんじゃないかと思います。一方、京都の人はわかり易い価値は余り求めていないと思う。
__ 
理解ですか。京都の、例えばカフェなんかそういう事例が多いんじゃないかなと。新しくカフェを作り始めていたら、いつの間にか近隣の人達がお店作りに参加してたり、ノリが良い。
吉永 
モノを作ることへの理解が、根本的にあるんですね。だから京都は、本気でモノを作りたい人にとっては幸せな場所だと思います。
__ 
その代り、作り手側の甘えは許されないのかな、と思いますが。
吉永 
そうですね。観る人の目は厳しいと思います。
__ 
都市全体にそういう考え方が浸透しているとすると、作品にはどのような傾向が生まれるでしょうか?
吉永 
「楽しい」より、「面白い」の方が重視されるようになると思います。英語で言うとentertainとinterestingの違いですね。もちろん全部が全部とは言わないですけれども。
__ 
エンターテインよりインタレストの方ですか。ああ、昔NEXTの都木さんに「作品は最低でもエンターテイメントでなければならない」と言われて、凄く納得した覚えがあるんですけどね。前衛劇でも何でも。
吉永 
それはインタレストという意味だったのかもしれないですね。作り手にとって、エンターテインというのは時に足かせになりかねない。そういう強迫観念は要らなくて。そればかりだと、さっき私が言った共感を求める態度に終始してしまう気がする。いいんですよ、ケンカ売って。
__ 
それを吉永さんが買うと。
吉永 
で、爽快なケンカが終わって劇場を出る時に「あーインタレスティングだった」って。それが一番理想かな。
NEXT
京都を中心に活動するリアリズム系現代演劇ユニット。

タグ: 新しいエンターテイメント


vol.116 吉永 美和子

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2009/春
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吉永

chikinエンターテイメント

___ 
今後、chikinではどんなお話を書かれるのでしょうか。
トミー 
まだ全然決めてないですね。舞台公演なのかイベントなのかも決まってないんです。
___ 
なるほど。舞台公演だったら、「豚」みたいな形式の。
トミー 
そうですね、感想を聞いていると長編を見たいというお声も頂いているので、既作台本をやるかもしれないですね。
___ 
分かりました。では、chikinの作品を見た方には、どんな気持ちになって頂きたいですか?
トミー 
そうですね。持って帰ってもらうものは何でも良くて。楽しかったでもムカついたでも(笑う)。でも、楽しんで帰って頂けたら嬉しいです。
___ 
では、今後どんな感じで攻めていかれますか?方向性でも何でも結構です。
トミー 
舞台とか、イベントとか、ネットとかでも、がんがんchikinエンターテイメントを広めていきたいです。
___ 
ご自身の目標としては。
トミー 
楽しんで続けていきたいです。

タグ: 新しいエンターテイメント 今後の攻め方 単純に、楽しませたい


親しまれる劇団に

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?個人としてでも、空晴としてでも。
岡部 
空晴としては、いつの間にか存在していきたいですね。
__ 
というのは。
岡部 
私たちのやってる事は、圧倒的なエンターテイメント性はないけど普遍的な事を扱っているつもりなんですね。こんなんしか出来ないですけど、良かったら・・・と地味にやり続けていって。でもみんな知ってるという存在になりたいです。地方にも行きたいし、ロングランもやっていきたいですし。
__ 
なるほど。
岡部 
とある人に、私の書く本は戯曲賞を取るようなものではないと言われたんですよ。それは私にも分かってて、文学チックではないなと自覚はしているんですよ。でも、それを面白いって言って見に来てくれるお客さんがたくさんいたらいいじゃないかと。
__ 
親しまれる、みたいな。
岡部 
そうですね。もちろん、賞なんていらないという意味じゃなく、貰えるものなら欲しいですけど。でも、とにかく長く存在出来たらと思いますね。
__ 
個人としての思いなんですが、心が動くようなそんな芝居をこれからも作っていって頂きたいなと思います。頑張ってください!
岡部 
はい。ありがとうございます。

タグ: 新しいエンターテイメント 今後の攻め方


ポップな公演・ISUKA

__ 
ZTONの最近の公演ですと、「ISUKA」ですよね。非常に面白かったです。どんな稽古風景でしたか?
葛井 
今回、会場のキャパシティもそんなに大きくはないし、まあいい感じに気ぃ抜いていこうよ、初心に帰って。という方向で進んでいきました。
__ 
そういえば、役者の演技に余裕があったような気がします。
葛井 
ダレるという訳ではなく、シーンをきっちり作りながらも変なピリピリ感はないように、仕込みから本番までまったりと進んでいきましたね。良い人たちの現場でした(笑う)。
__ 
そういうカラーだったんですね。
葛井 
特に河瀬君が、「ポップな公演にしたい」って繰り返してたんですよ。
__ 
ポップが合言葉。
葛井 
そうですね。月黄泉の時はシニカルで。気に入ったら使い続けるんですよ彼は。
__ 
ZTONの稽古場で、何か苦労されることはありますか?
葛井 
パッと見エンターテイメントで、派手さをウリに押し出しているように見えて実は人間の根底にあるものを描く芝居を目指しているんです。役者はそれをどれだけくみ取って、演出とすり合わせて表現する事ができるかが大事だと思います。
__ 
演技の内容は役者が作るんですね?
葛井 
演出のなかにも大体のイメージがあるのでそれを聞き出しつつですが、基本は役者におまかせしてくれるのでそこで面白いものが出来たら採用する形ですね。だからか、伸び伸びと表現出来ますね。
__ 
いつも苦労する点とかはありますか?
葛井 
2年やらしてもらって、ここ最近でやっと自分のスタンスがちょっとみえてきたかな、と。舞台上で俯瞰しながら表現する事が出来てきたかな・・・。少しずつなんですけど。
__ 
冷静になれた、と。
葛井 
求められているものが思っていたより面白く出来なくて後悔する事が多いので、次からは思い切ってやりたいですね。
「ISUKA」
劇団ZTON Project R「ISUKA」公演時期:2008.11.8~9。会場:クロスロード梅田。東放エンターテイメントスクール芸術祭2008「アキコ伊達×コラボエンタフェス」 参加作品

タグ: 伸び伸びと演技 コラボレート 新しいエンターテイメント


vol.108 葛井 よう子

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2009/春
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葛井